南極の大自然に生きる皇帝ペンギンの愛と奇跡の感動映画。
監督は動物学者でもある、仏・リュック・ジャケ監督。
「ディープブルー」「WATARIDORI」に続く、動物たちの美しくも壮絶な生き様を描いたドキュメンタリー映画の第3作目だ。
ペンギンの愛らしさだけを求めて映画館に行った人には、残酷に映るシーンもあると思う。けど、人間が作り上げたファンタジーではなく、リアリティーがあるこの映画は、是非をとも多くの人に観て欲しいと思った。
毎日暑い日が続くこのごろ、スクリーンの中の氷の世界を眺めて涼むのもお勧め!
<ストーリーが書いてあります。ご覧になる予定のある方は要注意>
マイナス40度という極寒の地に皇帝ペンギンたちは住んでいる。
彼らは2つの拠点をもち、一年の間、その二つの場所を短い足でヨチヨチと行ったりきたりするのだ。
一つは、食料の魚がいっぱい泳いでいる青い海。
そしてもうひとつは、海から雪山を超えた先にある氷の郷国「オアモック」と呼ばれる場所だ。
短い夏の間に魚をいっぱい食べて、子育ての時期がくると、群れになったキャラバンと呼ばれるペンギンたちの行進が始まり、みんな一斉に「オアモック」を目指す。
しかし、その長い長い旅も決してピクニック気分でウキウキと楽しげな行進ではない。
いく手には、氷山が道をふさいでいて、途方もない遠回りをしなければいけない時もある。
体を左右に振りながら、ヨチヨチと歩くペンギンたちが氷の世界に長い長い列を作っている。
あちこちからキャラバンが到着して、「オアモック」はペンギンたちで埋め尽くされていく。そして、オスたちの求愛ダンスが始まり、カップルが成立していった。
息のあったカップル同士の愛の囁きは、お互い首を大きくしだらせ、くちばしとくちばしを寄せ合い、その姿は二匹で大きなハートを描いているようだ。
ペンギンは一年に一度結婚して、卵をもうけ、2羽で力をあわせて子育てをしていくのだ。
「2匹の息が合わないと、可愛いヒナが成長することはない。」という。
どういうことだろう???
その答えが、この映画の大きなテーマの一つだ。
愛の儀式から3週間もすると、一カップルに一つずつ大きな卵が産まれる。
お腹の下の羽毛に包み込まれた可愛い卵がそこにあった。
これから厳しい子育ての戦いが始まるのだ。
最初の試練とは!
オアモックについてから母ペンギンたちは食事をしていない。
卵を産んだら、すぐに卵を父ペンギンに渡し、魚のいる海を目指さなければならない。
足の上にある卵を寒さにさらされないように、父ペンギンの足の上に移さなければならないのだ。
子育てに慣れていない若いカップルがクローズアップされた。
ぎこちない足つきで卵の受け渡しをしている。
上手にいかない・・・。
くちばしでフォローしながら、なんとか父ペンギンに受け取ってもらおうと必死になっているが、思うように息があわないようだ。
そして・・・、卵はコロコロと氷の上を転がってしまった。
卵が寒さに耐えられる時間は数秒だ。無残にも卵はひび割れみるみるうちに凍ってしまった。・・・
受け渡しに成功し、卵を父ペンギンに託した母ペンギンたちは、お腹を満たしてくれる海を目指すために2度目の行進をする。
またあの長い道のりを旅しなければならないのだ。
今度母ペンギンがオアモックに戻ってくるときには、ヒナが産まれているだろう。
父ペンギンが言う。
「必ず無事に帰ってきておくれ!お腹を空かしたヒナが待っているよ」と。
20日ほどかけて、ようやく海にたどり着く。
小さな氷の穴めがけて、次々と母ペンギンたちは海に飛び込んでいく。
2匹で同時に、その小さな穴に飛び込むものだから、お尻がつかえて空中で4本の短い足がバタバタとしてしまっている。
大自然の脅威にも負けず、敢然と立ち向かっているペンギンの姿を描いている映画なのに、「くすっ」と笑ってしまえるそんなシーンもふんだんに織り込まれている。
ペンギンたちの愛らしい姿が余すところなく描かれているような気がした。
陸の上ではおぼつかない足取りで、ぎこちない動きをしているペンギンたちも、海の中では精悍な鳥へと代わる。スイスイというよりビュンビュンと海の中を飛んでいた。
海の中は「気持ちイイ!」「美味しそうな魚たちもいっぱい!お腹いっぱい食べて早くかえらなくちゃ!!」と海の中を飛び回っているペンギンたちの前に天敵アザラシが現れた。
急いで陸にあがるペンギン、逃げ惑うペンギン、そしてアザラシの牙に命を奪われてしまうペンギン。
アザラシが食べたペンギンには、オアモックで待っているヒナがいる。
辛い現実だが、母ペンギンが餌を持って帰ってこなければ、間違いなく産まれたばかりのヒナは飢えて死んでしまうことになるだろう。
アザラシは2羽の母ペンギンと仔ペンギンの命を奪ってしまったのだ。
ペンギン側から見れば、アザラシは凶暴で残忍な生き物だ。
スクリーンの中のアザラシは大きな口をいっぱいに広げて、ペンギンたちに襲い掛かる海獣だった。
しかし、これがアザラシ側からみた映画だったら??
きっとお腹を空かした子供のために獲物を捕ろうと必死になっている母親の姿だったかもしれない。そのときのペンギンは美味しそうな獲物に見えるだろう。
「可哀想・・・」と思うだけでなく、生態系の仕組みを否応無く感じさせるシーンだった。みんな必死に一生懸命生きているのだ。
一方、オアモックに残って卵を温めている父ペンギンたちは!?
ここにも自然の猛威が牙をむいていた。
毎日毎日吹き荒れるブリザードだ!!
マイナス40度の寒さをしのぐために、ペンギンたちは体を亀の甲羅のように寄せ合って固まっている。
卵を抱いているペンギンを真ん中に集め、それ以外のペンギンたちは、風の直撃を受ける外側と仲間の体温で温かい内側とを順番に入れ替わるらしい。
ここにも、群れで暮している動物の賢さがあった。
しかし寒さに耐えられず、息絶えてしまうペンギンも少ない。
そして、卵も・・・。
嵐が去った後のオアモックには、あちこちに孵ることのない卵が転がっていた。
そして、寒さに勝った卵からヒナが孵った。
父ペンギンの足元から顔を出したヒナは、グレーの産毛に包まれた可愛らしい姿をしている。生命の喜びを歌うようにピヨピヨと鳴いている。
そしてピヨピヨピヨと餌をねだる。
でもまだ母ペンギンは帰ってこない・・・。
空腹もそろそろ限界に近い。
あと数時間の内に母ペンギンが帰ってこなければ、餌場の海へ出発しなければ・・・。ヒナを見捨てて・・・。
次々と生きるための難関が待ち受けているのだ。
胃袋に残った微量の餌をヒナに与える。
「今夜中に帰ってこなければ出発しなければ・・・」
さて、母ペンギンたちのほうは!?
もう何日も前に海を出発し、オアモックへ急いでいる。
急いでいる・・・・んだけど・・・。
相変わらずヨチヨチと歩いている。
お腹で氷の上を滑って先を急いでいるようだけど、海の中のようにビュンビュンと進む事はできない。
「早く!早く!!!」
私はスクリーンの中のペンギンたちに心の中そう叫んでいた。
「急いで!早く急いで!!!」
そして母ペンギンたちはようやくオアモックに辿り着いた。
たくさんいるペンギンの中から自分の夫と子供をみつけなければ!!
私たちから見るとペンギンは個体差が殆どなく、みんな同じ姿、同じ顔をしている。
(ー'‘ー;) ウーン、ここにもまた難関があるのか!?
イヤイヤ、私の心配は余計なお世話でだった。
カップルたちは難なくパートナーを見つけることができ、またお互いの首を寄せ合い、二匹でハートの柄を宙に描く。
親愛を深めるいとまもなく、今度は父ペンギンが母ペンギンにヒナを託し、急いで餌場の海へ出発した。
この行進もまた、過酷な道のりだ。
空腹の限界を超えたペンギンの中には、飢えと寒さに耐えられず、氷の上で息絶えてしまうペンギンもいるらしい・・・。
一難去ってまた一難。。。
ペンギンたちの運命は耐えることが必至のようだ。
2週間もすると、ヒナたちは自分の足でソロソロと氷の上に立ち、ヨタヨタと遊び始める。ヒナ同士で身体を寄せ合って温まったり、氷の割れ目に入り込んで無邪気に戯れたりしている。
o(〃^▽^〃)oあははっ♪かわいいいいいいいいいいいいいい!!!
ちょっとママから離れて冒険してみよう!
すると、空から大きな翼をもったヘンな顔の鳥がやってきた。
ぎゃあぎゃあと叫びながらヒナに襲い掛かってくる。
逃げ惑うヒナたち・・・。そして、一匹がその鳥の餌食になってしまった。
「可哀想・・・」
しかし、やっぱりここにも自然の営みの成り立ちがあるのだ。
その変な顔をした鳥にも、ヒナがいて家族がいて子育てをしなければいけないのだろう・・・。
その変な顔をした鳥(名前がわからないけど、顔はあほう鳥に似ているような気がした)も大自然の中で強く生きているのだ。
春の訪れる前の最後のブリザードがやってきた。
ヒナたちを必死で守り通そうとする母ペンギンたち。
黒と白の毛皮が真っ白に染まり、仲間たちと身体を寄せ合っている。
無事にブリザードが去ったかと思われたが、あとには残念ながらヒナの亡骸がいくつかあった・・・。
「命と寒さの戦い」だ。
南極は強いものだけが生き残れる氷の世界だった。
ヒナを失った母ペンギンの中には、他人(ペンギン)の子供を奪おうとするものもいた。
悲しさの余り、正気を失ってしまっているのだという。
ここで思うのは、ペンギンの子育ては、あくまでも個人個人の試練なのだということだ。
例えば、同じように群れで暮している動物の中にゾウがいる。
ゾウは、他人の子供も自分の子供のように、群れ全体で育てていく習性がある。
母ゾウを失った小象のために、若いメス象が乳を与えることがあるらしい。
象の妊娠期間は3年近いと言われ、地球上の生物の中でも最も妊娠期間が長い。
一年に一度、子供をもうけられるペンギンと同じというわけにはいかないと思うけど、子育ての厳しさを痛感してしまった。
そして、どの種族でも「子供」は大事に大事に育てれる愛すべき宝なのだ。
半年に及ぶ厳しい子育ても、夏が近づきブリザードが吹き荒れる冬が終わるのと同時に終わりがやってくる。
先祖たちに受け継がれた、氷の道のりをまた行進し始める。
餌場の海へと向かうのだ。
そして仔ペンギンたちもあとに続き、初めての海へ飛び込んでいく。
誰にも泳ぎを教えてもらうことも、餌の捕りかたを教えてもらう事も無い。
産まれて半年足らずで、親離れをして独立しなければいけないのだ。
過酷なように見えるが、皇帝ペンギンたちは氷河期がくるもっと前から、ずっとそうして子孫を繁栄してきたのだ。
ペンギンは強い。とてつもなく強いと思った。
マイナス40度の極寒の地でしか生きていけないというわけではなく、自分たちの選んだその土地で過酷な運命と向き合って生きているのだ。
ま、っと言っても今更どこに行けというんだ!?
と問われてしまっても、私には答えようがないのだけど・・・。Σ( ̄口 ̄*)とほほ
ペンギンの子育ては、二人で息を合わせ協力しあわなければ成功しない。
卵の受け渡しから始まって、餌場へと交互で出掛けていく。
その道のりにも、また海にも危険はいっぱいだ。
仲良く肩を寄せ合っているカップルではないけど、ヒナを育てたいというその信念がお互いを一心同体にしていくのかもしれない・・・。
子育てが終わって、カップルはまたそれぞれの道を歩き始める。
また、来年もあなたに逢えますように、と囁きあいながら・・・・。


監督は動物学者でもある、仏・リュック・ジャケ監督。
「ディープブルー」「WATARIDORI」に続く、動物たちの美しくも壮絶な生き様を描いたドキュメンタリー映画の第3作目だ。
ペンギンの愛らしさだけを求めて映画館に行った人には、残酷に映るシーンもあると思う。けど、人間が作り上げたファンタジーではなく、リアリティーがあるこの映画は、是非をとも多くの人に観て欲しいと思った。
毎日暑い日が続くこのごろ、スクリーンの中の氷の世界を眺めて涼むのもお勧め!
<ストーリーが書いてあります。ご覧になる予定のある方は要注意>
マイナス40度という極寒の地に皇帝ペンギンたちは住んでいる。
彼らは2つの拠点をもち、一年の間、その二つの場所を短い足でヨチヨチと行ったりきたりするのだ。
一つは、食料の魚がいっぱい泳いでいる青い海。
そしてもうひとつは、海から雪山を超えた先にある氷の郷国「オアモック」と呼ばれる場所だ。
短い夏の間に魚をいっぱい食べて、子育ての時期がくると、群れになったキャラバンと呼ばれるペンギンたちの行進が始まり、みんな一斉に「オアモック」を目指す。
しかし、その長い長い旅も決してピクニック気分でウキウキと楽しげな行進ではない。
いく手には、氷山が道をふさいでいて、途方もない遠回りをしなければいけない時もある。
体を左右に振りながら、ヨチヨチと歩くペンギンたちが氷の世界に長い長い列を作っている。
あちこちからキャラバンが到着して、「オアモック」はペンギンたちで埋め尽くされていく。そして、オスたちの求愛ダンスが始まり、カップルが成立していった。
息のあったカップル同士の愛の囁きは、お互い首を大きくしだらせ、くちばしとくちばしを寄せ合い、その姿は二匹で大きなハートを描いているようだ。
ペンギンは一年に一度結婚して、卵をもうけ、2羽で力をあわせて子育てをしていくのだ。
「2匹の息が合わないと、可愛いヒナが成長することはない。」という。
どういうことだろう???
その答えが、この映画の大きなテーマの一つだ。
愛の儀式から3週間もすると、一カップルに一つずつ大きな卵が産まれる。
お腹の下の羽毛に包み込まれた可愛い卵がそこにあった。
これから厳しい子育ての戦いが始まるのだ。
最初の試練とは!
オアモックについてから母ペンギンたちは食事をしていない。
卵を産んだら、すぐに卵を父ペンギンに渡し、魚のいる海を目指さなければならない。
足の上にある卵を寒さにさらされないように、父ペンギンの足の上に移さなければならないのだ。
子育てに慣れていない若いカップルがクローズアップされた。
ぎこちない足つきで卵の受け渡しをしている。
上手にいかない・・・。
くちばしでフォローしながら、なんとか父ペンギンに受け取ってもらおうと必死になっているが、思うように息があわないようだ。
そして・・・、卵はコロコロと氷の上を転がってしまった。
卵が寒さに耐えられる時間は数秒だ。無残にも卵はひび割れみるみるうちに凍ってしまった。・・・
受け渡しに成功し、卵を父ペンギンに託した母ペンギンたちは、お腹を満たしてくれる海を目指すために2度目の行進をする。
またあの長い道のりを旅しなければならないのだ。
今度母ペンギンがオアモックに戻ってくるときには、ヒナが産まれているだろう。
父ペンギンが言う。
「必ず無事に帰ってきておくれ!お腹を空かしたヒナが待っているよ」と。
20日ほどかけて、ようやく海にたどり着く。
小さな氷の穴めがけて、次々と母ペンギンたちは海に飛び込んでいく。
2匹で同時に、その小さな穴に飛び込むものだから、お尻がつかえて空中で4本の短い足がバタバタとしてしまっている。
大自然の脅威にも負けず、敢然と立ち向かっているペンギンの姿を描いている映画なのに、「くすっ」と笑ってしまえるそんなシーンもふんだんに織り込まれている。
ペンギンたちの愛らしい姿が余すところなく描かれているような気がした。
陸の上ではおぼつかない足取りで、ぎこちない動きをしているペンギンたちも、海の中では精悍な鳥へと代わる。スイスイというよりビュンビュンと海の中を飛んでいた。
海の中は「気持ちイイ!」「美味しそうな魚たちもいっぱい!お腹いっぱい食べて早くかえらなくちゃ!!」と海の中を飛び回っているペンギンたちの前に天敵アザラシが現れた。
急いで陸にあがるペンギン、逃げ惑うペンギン、そしてアザラシの牙に命を奪われてしまうペンギン。
アザラシが食べたペンギンには、オアモックで待っているヒナがいる。
辛い現実だが、母ペンギンが餌を持って帰ってこなければ、間違いなく産まれたばかりのヒナは飢えて死んでしまうことになるだろう。
アザラシは2羽の母ペンギンと仔ペンギンの命を奪ってしまったのだ。
ペンギン側から見れば、アザラシは凶暴で残忍な生き物だ。
スクリーンの中のアザラシは大きな口をいっぱいに広げて、ペンギンたちに襲い掛かる海獣だった。
しかし、これがアザラシ側からみた映画だったら??
きっとお腹を空かした子供のために獲物を捕ろうと必死になっている母親の姿だったかもしれない。そのときのペンギンは美味しそうな獲物に見えるだろう。
「可哀想・・・」と思うだけでなく、生態系の仕組みを否応無く感じさせるシーンだった。みんな必死に一生懸命生きているのだ。
一方、オアモックに残って卵を温めている父ペンギンたちは!?
ここにも自然の猛威が牙をむいていた。
毎日毎日吹き荒れるブリザードだ!!
マイナス40度の寒さをしのぐために、ペンギンたちは体を亀の甲羅のように寄せ合って固まっている。
卵を抱いているペンギンを真ん中に集め、それ以外のペンギンたちは、風の直撃を受ける外側と仲間の体温で温かい内側とを順番に入れ替わるらしい。
ここにも、群れで暮している動物の賢さがあった。
しかし寒さに耐えられず、息絶えてしまうペンギンも少ない。
そして、卵も・・・。
嵐が去った後のオアモックには、あちこちに孵ることのない卵が転がっていた。
そして、寒さに勝った卵からヒナが孵った。
父ペンギンの足元から顔を出したヒナは、グレーの産毛に包まれた可愛らしい姿をしている。生命の喜びを歌うようにピヨピヨと鳴いている。
そしてピヨピヨピヨと餌をねだる。
でもまだ母ペンギンは帰ってこない・・・。
空腹もそろそろ限界に近い。
あと数時間の内に母ペンギンが帰ってこなければ、餌場の海へ出発しなければ・・・。ヒナを見捨てて・・・。
次々と生きるための難関が待ち受けているのだ。
胃袋に残った微量の餌をヒナに与える。
「今夜中に帰ってこなければ出発しなければ・・・」
さて、母ペンギンたちのほうは!?
もう何日も前に海を出発し、オアモックへ急いでいる。
急いでいる・・・・んだけど・・・。
相変わらずヨチヨチと歩いている。
お腹で氷の上を滑って先を急いでいるようだけど、海の中のようにビュンビュンと進む事はできない。
「早く!早く!!!」
私はスクリーンの中のペンギンたちに心の中そう叫んでいた。
「急いで!早く急いで!!!」
そして母ペンギンたちはようやくオアモックに辿り着いた。
たくさんいるペンギンの中から自分の夫と子供をみつけなければ!!
私たちから見るとペンギンは個体差が殆どなく、みんな同じ姿、同じ顔をしている。
(ー'‘ー;) ウーン、ここにもまた難関があるのか!?
イヤイヤ、私の心配は余計なお世話でだった。
カップルたちは難なくパートナーを見つけることができ、またお互いの首を寄せ合い、二匹でハートの柄を宙に描く。
親愛を深めるいとまもなく、今度は父ペンギンが母ペンギンにヒナを託し、急いで餌場の海へ出発した。
この行進もまた、過酷な道のりだ。
空腹の限界を超えたペンギンの中には、飢えと寒さに耐えられず、氷の上で息絶えてしまうペンギンもいるらしい・・・。
一難去ってまた一難。。。
ペンギンたちの運命は耐えることが必至のようだ。
2週間もすると、ヒナたちは自分の足でソロソロと氷の上に立ち、ヨタヨタと遊び始める。ヒナ同士で身体を寄せ合って温まったり、氷の割れ目に入り込んで無邪気に戯れたりしている。
o(〃^▽^〃)oあははっ♪かわいいいいいいいいいいいいいい!!!
ちょっとママから離れて冒険してみよう!
すると、空から大きな翼をもったヘンな顔の鳥がやってきた。
ぎゃあぎゃあと叫びながらヒナに襲い掛かってくる。
逃げ惑うヒナたち・・・。そして、一匹がその鳥の餌食になってしまった。
「可哀想・・・」
しかし、やっぱりここにも自然の営みの成り立ちがあるのだ。
その変な顔をした鳥にも、ヒナがいて家族がいて子育てをしなければいけないのだろう・・・。
その変な顔をした鳥(名前がわからないけど、顔はあほう鳥に似ているような気がした)も大自然の中で強く生きているのだ。
春の訪れる前の最後のブリザードがやってきた。
ヒナたちを必死で守り通そうとする母ペンギンたち。
黒と白の毛皮が真っ白に染まり、仲間たちと身体を寄せ合っている。
無事にブリザードが去ったかと思われたが、あとには残念ながらヒナの亡骸がいくつかあった・・・。
「命と寒さの戦い」だ。
南極は強いものだけが生き残れる氷の世界だった。
ヒナを失った母ペンギンの中には、他人(ペンギン)の子供を奪おうとするものもいた。
悲しさの余り、正気を失ってしまっているのだという。
ここで思うのは、ペンギンの子育ては、あくまでも個人個人の試練なのだということだ。
例えば、同じように群れで暮している動物の中にゾウがいる。
ゾウは、他人の子供も自分の子供のように、群れ全体で育てていく習性がある。
母ゾウを失った小象のために、若いメス象が乳を与えることがあるらしい。
象の妊娠期間は3年近いと言われ、地球上の生物の中でも最も妊娠期間が長い。
一年に一度、子供をもうけられるペンギンと同じというわけにはいかないと思うけど、子育ての厳しさを痛感してしまった。
そして、どの種族でも「子供」は大事に大事に育てれる愛すべき宝なのだ。
半年に及ぶ厳しい子育ても、夏が近づきブリザードが吹き荒れる冬が終わるのと同時に終わりがやってくる。
先祖たちに受け継がれた、氷の道のりをまた行進し始める。
餌場の海へと向かうのだ。
そして仔ペンギンたちもあとに続き、初めての海へ飛び込んでいく。
誰にも泳ぎを教えてもらうことも、餌の捕りかたを教えてもらう事も無い。
産まれて半年足らずで、親離れをして独立しなければいけないのだ。
過酷なように見えるが、皇帝ペンギンたちは氷河期がくるもっと前から、ずっとそうして子孫を繁栄してきたのだ。
ペンギンは強い。とてつもなく強いと思った。
マイナス40度の極寒の地でしか生きていけないというわけではなく、自分たちの選んだその土地で過酷な運命と向き合って生きているのだ。
ま、っと言っても今更どこに行けというんだ!?
と問われてしまっても、私には答えようがないのだけど・・・。Σ( ̄口 ̄*)とほほ
ペンギンの子育ては、二人で息を合わせ協力しあわなければ成功しない。
卵の受け渡しから始まって、餌場へと交互で出掛けていく。
その道のりにも、また海にも危険はいっぱいだ。
仲良く肩を寄せ合っているカップルではないけど、ヒナを育てたいというその信念がお互いを一心同体にしていくのかもしれない・・・。
子育てが終わって、カップルはまたそれぞれの道を歩き始める。
また、来年もあなたに逢えますように、と囁きあいながら・・・・。


