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2025・3・19 上野の森美術館 VOCA展2025。宮本華子。諌山元貴。小林万里子。鮫島ゆい。𠮷田芙希子。髙木優希。

早咲きの桜満開で花見本番を待つ上野恩賜公園。


上野の森美術館ではVOCA展2025開催中。
会期は3月15日~3月30日。
主催:公益財団法人日本美術協会上野の森美術館。

VOCA展は、1994年に始まった平面美術の領域で有望な若手作家を奨励する展覧会。
全国の美術館学芸員やキュレーター、研究者などから推薦された40才以下の作家の作品が出品される。
32回目の今回は23組24人の作家の作品。
今年受賞は、VOCA賞:1名。奨励賞:2名。佳作賞:2名。大原美術館賞:1名。

VOCA賞:宮本華子。
推薦者:関岡絵梨花(キュレーター)
宮本華子(1987~)は熊本県生まれ。女子美術大学大学院美術研究科修士課程美術専攻洋画研究領域修了。
作品名:「ある家の日常」。
素材:ミクストメディア。
サイズ:250×379×20㎝。

宮本は、実父との違和感や複雑な感情を起点に「家」や「家族」「他者」とのコミュニケーションについて扱ってきたという。
この家は、木材、人工芝、壁紙、ペンキなど実際に家を建てる際の素材で構成されている。
異なるいくつもの家が連なり、そこにはそれぞれの日常生活がある。
近年の宮本は、祖母の訪問介護でのケアを通して、「家」や「家族」に「他者」の手が入ること/手を借りて生きることについて考えているという。





VOCA奨励賞:諌山元貴。
推薦者:松岡剛(広島市現代美術館主任学芸員)。
諌山元貴(1987~)は大分県生まれ。吉野石膏美術振興財団在外研修の助成によりベルリン滞在。
作品名:Objects #21。
素材:ヴィデオ(ループ、無音)。
サイズ:274.8×142.3×12㎝。



諌山は「Objects」シリーズにおいて、土産物や政治指導者の像など、様々な政治的・文化的背景を持つ品々を土で複製、水中で崩壊していく様を実際の速度を保ったまま映像化し、それらをグリット状に並列させるという。
この作品ではオブジェクトはオリジナルとは脈略のないとりどりの色彩に照らし出され、特定の物語に収斂しない背景の無効化がおしすすめられている。という。
一見なんの変化もないように見えて、いつの間にか像がそれぞれの周期で静かに静かに崩壊を繰り返す。
難解ではあるけれど、その起承転結の無い時間軸をも無効化する行為は心に響くのであった。




VOCA奨励賞:小林万里子。
推薦者:竹崎瑞季(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館キュレーター)。
小林万里子(1987~)は大阪府生まれ。多摩美術大学大学院テキスタイルデザイン研究領域修了。
作品名:The Five Domains。
素材:木綿、麻、鉄、アクリルガッシュ、コンテ、粘土、染料、ウール。
サイズ:248×376.5×7㎝。
小林は、自ら染めた布や糸などを用いて多様な存在が生きる世界を表現するという。
一貫して染め、織り、刺繍などの手法を多層的に組み合わせて制作を行うことにより、自然の生態系に通じるアプローチを試みる。
今回の作品は、渋柿染め、錆染め、刺繍、ペイントなどの手法を織り交ぜることで、人間が他の動物たちに及ぼす力にたいする警鐘や彼等の解放への願いを、この世界から姿を消しつつあるものの象徴としてのスズメに託した。




VOCA佳作賞:鮫島ゆい。
推薦者:伊藤まゆみ(京都精華大学ギャラリーTerra-S学芸員)
鮫島ゆい(1988~)京都府生まれ。京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業。
作品名:Ritual Room (Pretend to Be Happy)。
素材:油絵具、アクリル絵具、キャンパス、パネル。
サイズ:229×380×4㎝。
人は五感から集められた断片的な情報の収集から世界を構築している。視覚芸術である絵画表現を通じて、断片の外側にある“見えない存在”を指し示すことを、鮫島は試みる。
今回の作品は、SNS上にあふれる真偽不明なニュースをめぐり知らない者同士がタイムライン上で争い戦う様を目にして、私達が本当にみているものはなんだろうか、と感じたことを、争いと特にそれとは関係ないものの断片をつなぎ合わせた。



VOCA佳作賞:𠮷田芙希子。
推薦者:川西由里(島根県立石見美術館専門学芸員)。
𠮷田芙希子(1988~)は滋賀県生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了。
作品名:Go into the Medaillon。
素材:樹脂、ガラス繊維、油絵具、パネル。
𠮷田は、レリーフで美青年の顔を表現し続けるという。
かといって、理想の男性を自らと同じ空間に存在させることには興味はないという。
レリーフが顔だけになったのは、いらないものを捨てた結果という。
そして、自分が生み出した美青年を、何の役にも立たないという。誰のものにもならない存在だという。
力や権威の象徴たる男性像や愛玩の対象となる女性像によって編まれてきた美術史にさり気なく一石を投じるのであった。


大原美術館賞:髙木優希。
推薦者:尹志慧(国立新美術館特定研究員)。
髙木優希(1994~)は福島県生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。同大大学院美術研究科修士課程修了。
作品名:Room。
素材:油絵具、キャンパス。
サイズ:227.3×291×3.8㎝。
今回の作品の制作にあたり、髙木は、自分の部屋の写真を提供してくれる人をネットで募集し、様々な角度から撮影された約20枚の写真を元に、その部屋のマケットを制作したという。
マケットの外から照明を照らして部屋のコントラストを決め、マケットを再び撮影し、その写真をみながら油彩画を描いた。
なんとも回りくどい手間暇から生み出された平面。
室内画と同時に静物画である決定不能な空間の重ね合わせ。
奔放な想像力の発露でも、写実や抽象でもない、しかしながら忠実な静物画であり、現実には存在しない室内画である点で、絵画と描かれる対象の関係性を再び考えさせる作品である、と、推薦者の言葉。



コメント一覧(10/1 コメント投稿終了予定)

kinntilyann
待ってるよ(⁠^⁠^⁠)/
新緑もいいね!
薫風の中のNoriって案外と素敵かも(⁠^⁠^⁠)/
kazunori19jun
是非是非 ご一緒できたらと
4月になれば落ち着けそうかな
楽しみにしてるね (^^)/
kinntilyann
The Five Domainsは、動物界の構成要員としてのヒトがそこにいる気がしました。

そうそう。
作品にこう言ってはいけないけど、ジャケットに仕立てたらNoriにめちゃ似合いそう♡

Nori落ち着いたら展覧会に行こうよ(⁠^⁠^⁠)/
kazunori19jun
このなかでは
The Five Domains
が一番好きかな

いつも素敵な情報
ありがとです (^^)/

Nori
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