『国境なき針と糸』レシャード・カレッドさんの続き
日本で何をしたの?
自分の医院を作った。その他、介護施設も3つの施設を作られました。特にこれらの施設は人里離れた森の中などに作られることが多いが、子供の声が聞け、時折、料理のにおいが香る中、家々が見えるところに生きるのが大切の考えのもと建設されたそうです。
そして、大切な視点を示してくれました。それは。『畳の上で死にたい』と言っていたおばあさんの話。
ある88歳のおばあちゃんが臨終の際、本人が希望している自宅で家族に囲まれて畳の上で死にたいという願いをかなえるため、自宅につれ帰りました。
孫やひ孫たちがおばあちゃんの手をにぎり、「しっかりしてよ」「起きてよ」と会話し続けることで、3日間延命し、最後は笑顔で亡くなりました。
レシャードさんは、今の子供たちは家の中で人が亡くなるのを見ていないことが、現代のいじめや暴力にも影響しているのではと言います。死の苦しみや悲しみを学べていないといいます。
私はもう一つ、「励ましは人の生きる力を強くするんだ」ということを実感したし、励ましのできる人にならなければいけないと思った。
また、医師のいない山村にも毎週往診に向かっておられるそうですが、「患者が病院に来るのではなく、医療者が患者のもとへ出向くべきだ。それが私の理念です」と、レシャードさんはおっしゃいます。
なるほどまさにそのとおりだ。医療は本来病人が寝ていて動けないのだから、元気な医師や医療スタッフが自分から動いていくのが当たり前なのに、日本では、元気な医者のもとに病人がわんさと集まってくる。
医師にとって場所ではない、患者がいればそこに出向くのが当たり前だと言われ、実践されていることに感動しました。
そして、レシャードさんは、「手当て」の日本語に感動したと言われます。
手を当てるだけで通じあうという素晴らしさを体験していると。
「手当て」とは、治療に意味や医薬品を使うことと思われているが、まず患者の声に耳を傾け話を聞くことだという。
「手当て」は医療の根源にある言葉なのだと言われる。ことには納得をした。
このことを通しても、よく言われる「人の話をよく聞くことが大事。口は一つだが、耳は2つあるのはそのためだ」を思い出し、質問の仕方をしっかりと学ばなければいけないなと思った。
また面白かった話は、詩人のお父さんが話してくれた逸話(故事?)だった。
シルクロードの貿易が盛んだった頃の話。国王のところに商隊の隊長から立派な良く切れるハサミですと贈られると、王様は、素晴らしいハサミだと褒めた後、しかし、受け取らないと言い、これより針と糸の方がよいと言ったそうです。
何故か?それは、切る物は心も切るかもしれないから、糸と針で縫い合わせたいのだと。これはアフガニスタンの心ですと、レシャードさんは言われる。
東西文明が交流した地域の王様だけはあるなと思いました。文化の違うものを違うと切り捨てるのではなく、違うもの(文化)をつなぎ合わせることの大切さを教えられた故事ではないかと思いました。
また、医療をとおして、アフガニスタンと日本の文化の違いを乗り越えて、両国を結び合わすことに努力して来られたレシャード・カレッドさんこそ、この王様かもしれません。
あと一つ、「医療人とはなに」(医師ではなく)
これは、医者だけではないという意味。(患者を治すのは)医者は、3分の1だと思っている。その他の部分は、介護人や看護婦などが病人を直しているから。
この人たちが居るから、医者の技術が生きて来ると思っている・・と。
素晴らしい。この番組を通して多くのものを学ばせてもらったが、一つでも実践をしていかなければいけない。ちょっと長くなりました。
参考
日本記者クラブでの講演 (出演者/レシャード・カレッド)
レシャードさんの医療活動や介護活動は、こちらで!!