きものサロンながしま福岡支店

福岡支店のスタッフが更新するブログです。
お着物に関するお悩みのあれこれを、より分かりやすくお答えいたします。

半衿

2023-06-29 18:16:36 | 日記
少し前の話になりますが、
男性のお客様からのお電話で
「友達に貰った着物を自分のサイズに直して欲しい」というご注文がございました。

拝見すると
男性ものの塩沢紬のアンサンブル。
羽裏には渋くてオシャレな達磨の柄
「こんな羽裏をつけるなんて、かなりお着物をお持ちの方なんでしょうね?」
「普段から着物を着てる奴で、オマエに似合うかも・・・とか言って、くれたんよ」

A様の採寸を取り、男性着物の計測をしたところ
ほとんどの箇所でお直しが必要となり、
「この状態なら、いったん洗い張りをさせて頂いてお仕立て直したほうがよさそうです」

という事で、
二か月後に納品させて頂いたわけなんですが。。。

「実は家内と一緒に着物で太宰府に行こうっていう話になってて、
 家内のきものを選んでもらえんやろか?」

そこで、
奥様が持ってこられたのが五つの化粧箱
拝見すると
留袖・訪問着・色無地・喪服・小紋

「これって全部、母とか祖母の着物なんです。
 私、全然きもののことわからないので、選んでもらってもいいですか?」

取り敢えず留袖・喪服以外の選択となりますが、
心配なのが寸法の件。
(もしかして全滅だったらどうしよう・・・
とか思いながら、
奥様を採寸させて頂き、まずは一番お気に入りだとおっしゃてた小紋の計測を。

(う~~ん。びみょう~)

裄が長くて、身丈が短い。

ただ、お直しするには時間が足りないんです。

お二人とも働いてらして、お互いのお休みが合うのが月に一回くらい。
ちょうど、その月の一緒のお休みが結婚記念日だということで、
太宰府計画が始まったそうです。

(なんとかしないと。。。)
訪問着・色無地を計測。

「このお着物なら、なんとかなりそうです」
「良かったぁ~ 私、この色は好きなんだけど柄が無いからちょっと寂しいのかな~とか
 思ってたんです」

で・・・
おもむろにA様が別の部屋から袋を持ってみえて
「これ付けたらよかろ~もん」と、
淡い桜色の刺繍の半衿を出されたんです

ちょっと強面のA様ですが、
この時はちょっと感動でしたね~

奥様に内緒で買っておいたんだとか。
きっと、お店の人にいろいろ聞いて選ばれたんだと思います。
当然、奥様は満面の笑みです。

後日、奥様から太宰府の写メを見せて頂きました。
ホントに、ほのぼの夫婦そのものでした














久々の登場です

2023-06-22 18:23:11 | 日記
先日、新規のお客様から
「お店のブログを読んで、ここなら安心かなぁ~と思って注文したんですよ」と。
「ネットは便利だけど、やっぱりちょっと不安もあるしね・・・」とも。

当社の価格帯をご覧になって、最初はそう思われたそうです。
来店するには市外でもあるし、運転免許もお持ちでないとのことでしたので、
「取りに来てくれるし、出来上がりを持って来てくれるって本当に助かります」

「それで、このお値段でしょ?
 だから、ちょっと心配もあったんです」

で、
このブログの存在に気づき
知らぬ間に最初の方まで遡って閲覧して下さったそうで
「あれは続けた方がいいですよ~ 私みたいなお客さんって多いと思うから。。。」

有難いやら身につまされるやらで、
とにかく本日は久々の登場となりました。

その新規のお客様R様からご注文頂いたのが
生前、お母様が好んでお召しになってた白大島紬。
「これって、私のサイズに直せますかね~?」

身長差は10cmくらい。
身巾はほとんど変わらず。
身丈と裄の問題です。
このケース、よくあります。

袖付けの縫い代、そして打ち揚げがどれ程あるのか・・・
後ろ身頃の打揚げだけを見て、
「何とかなりそう」と思われるお客様も多いのですが、
実際は前身頃の揚げが無いと身丈は伸ばせません。

R様の場合、
裄、身丈ともにいっぱいに出しても希望寸法には届かない状態。
ただ、多少短いという程度でしたので
「大丈夫‼ 着付けで何とかします」と。
ということで、白大島と江戸小紋の部分直しを承りました。

帰り際
「着付けは、もう長いんですか?」とお尋ねすると
「まだ、二ヶ月です」

先ほどの
「大丈夫‼」は、どのへんの自信からきたのか。。。
その心意気に感銘を受けた次第です