きものサロンながしま福岡支店

福岡支店のスタッフが更新するブログです。
お着物に関するお悩みのあれこれを、より分かりやすくお答えいたします。

必殺技

2019-04-20 19:17:19 | 日記
今日ご来店下さったN様。
「丸帯を袋帯に仕立て替えて欲しい」とのご要望でした。
通常、丸帯は短いので丸帯の表裏を解き、状態の良い方を使用します。
使用しない方で掛け継ぎをして長さを4m50cmほどにすると丁度良い長さになります。


で、
N様がお持ちになった丸帯は既に充分な長さがあり、且つ通常の丸帯のように分厚くもなかったので
「これは、このまま締めて頂いても大丈夫ですよ」と。
一応、着付けされる方に実物を見せて確認を取って頂くことになりました。
「もし、やっぱり通常の袋帯の方がいいという事になりましたらまたご連絡を頂ければ幸いでございます」
という事で一件落着。


と思いきや。。。
「先日、お電話したら小物合わせを見てくれると聞いたので一応全部持って来たんですけど・・・」
まずは寸法の件。
お嬢様の身長をお聞きして、裄を測り、お母様がお召しになったという紺地の振袖の身丈と裄を測って
「若干、お着物の方が大きめですがお召になれる範囲ですから大丈夫です


「小物はこれだけあればいいんですか?」
和装小物はOK。
ただ、帯締め・帯揚げの色がちょっと暗めかな~という感じ。
半衿ははずしてあるけど、和装バックの中には見当たらず
「もしかしたら捨てっちゃったかも」とお母様。


「草履とバックはこれでいいですか?」
拝見すると劣化が激しく、すでに底が離れつつある状態。
「こちらは買い直された方が良いかも知れません」


と、そこまで話が進んできた時。。。
「私、やっぱり緑系の振袖がいい」とお嬢様。
根底から覆る大どんでん返し


「あんた、これでいいって言うたやん
「でも、足りないもの揃えていったら何万か要るやろうけん、それなら緑系の振袖が着たい
その間、私はただただ母娘さんの会話を見守るだけです。
そこでお嬢様、
スマホでレンタル屋さんを検索し
「こんな感じ。。。」お母様に見せてます。
「だって、あんた。これ27万もするとよ


その後、いろんな会話が飛び交い
最終的にはお母様が必殺技というか、奥の手というか、
「じゃあ、これを着るんだったらお祝いに10万プレゼントするよ」と。


草履バックは他社でレンタルし、その他の小物は当社でコーディネートさせて頂くことで何とかお話しはまとまりました。
めでたしめでたし。。。です

ps
いろんな会話の中で、当社のレンタルをご紹介したところ
母娘様ともどもその金額に驚いて
「20万とか27万とかウソみたいね。。。ここはその十分の一なんでしょ
残念ながらお嬢様がお気にいるような色柄がなく、当社でのレンタルの話はなくなりましたが、
「娘の結婚式の時は、絶対おたくで留袖お借りするからね」と。

その日が来たら、きっと私は今日の親子の会話を思い出すんだろうなぁ~と思います




単衣きもの

2019-04-05 17:59:16 | 日記
先日、W様からこんなお尋ねが・・・
「そろそろ単衣を作ろうかと思ってるんですけど、だいたいいつ頃着て、どんな帯を締めたらいいんですか?」と。


単衣きものの時期は基本6月・9月です。
7・8月の盛夏は薄単衣(夏きもの)を着ます。

が、
ここ近年の温暖化で5月中旬頃には単衣をお召になってらっしゃる方も多いようです。
福岡では「博多どんたく」が終わると。。。GWが終わる頃には既にお召しになってます。


そこで帯合わせですが、
5月ならまだ袷の着物用の帯で、生地の薄いものや、涼しげな色・柄のものを合わせます。
6月に入ると一転して絽、絽綴(ろつづれ)、紗などの夏帯に衣替えです。
波、紫陽花、アサガオなど夏の文様を選ぶと季節感を先取りでき、涼しげなコーディネートを演出できますよ


9月に合わせる帯は、
まだ残暑が厳しいので9月上旬くらいまでは夏帯で大丈夫なのですが
それ以降となると、さすがに季節感的なものもあり袷の着物用の帯を締めます。
が、
色や絵柄で秋の到来を感じさせるものをうまく合わせると粋に仕上がりますよ


ついでながら、
5月に単衣をお召になる場合は半衿は袷用の塩瀬を。
もちろん、長襦袢は単衣襦袢や夏襦袢でもかまいません。
6月には半衿も絽の半衿に替えます。
(帯締・帯揚げも一緒に衣替えです)


単衣きもので帯合わせに迷ったら、博多帯が一番楽です。
というか、
博多献上は年中使える帯なので一本お持ちになってると重宝しますよ
もちろん、カジュアル着の時だけですが。。。



インターナショナル

2019-04-04 17:07:45 | 日記
エイプリルフールの事も忘れ、4月1日は『令和』一色でしたね。
凛とした響きがあって私は好きです。


その翌日4月2日のお話しです。
当日はお休みを頂いてたのですが、用があって福岡市役所まで出てきてました。
(福岡県知事選の期日前投票に行ってきました)
市役所の前の天神中央公園はまさに桜が満開
お花見の集団があちこちに陣取って宴を楽しんでます。


そんな中、特に際立ってたのが着物姿の女性5~6人のグループ。
振袖や小紋、様々な種類のお着物に色とりどりの装い。
ゴザを敷いて食事をしてるわけでもなく、
ただただお互いにポーズをとって写真を撮りあってます。
なかには『夜桜お七』のように舞って自撮りしてる女性も。
(坂本冬美なん?)


仕事柄、何だか気になって仕方なかったので吸い寄せられるように近づいてみました。
そうしたら。。。
大声で中国語が行きかってます。
おそらくどこかのレンタル屋さんで借りて、着付けしてもらって・・・という段取りなんだと思います。
(もしかしたら、そういったオプションがついてるのかもです)
博多港には毎週、大きな豪華客船が多くの外国人観光客を運んできますが、
特に韓国や中国のお客さんが多いです。
近くて安いというのが、その理由かと。。。
国と国との関係はいろいろ難問を抱えてても、個人としては何も問題なくこうして訪れてくれてることに
ちょっとホッとしたりします


今年はラグビーワールドカップや世界水泳も福岡で開催される予定です。
より多くの外国の方に日本の着物の美しさや、わび・さび(侘・寂)を感じて頂けるようなシーンが増えると嬉しいです。
もちろん、来年の東京オリンピックにはとても期待してます。
きっと大勢の外国の方が押し寄せてくるでしょうから、
ここ一番の勝負服はやっぱり着物ですよね


となると、
まずは私たち日本人が積極的に着物の世界に入っていくことが大切だと・・・
もしかしたら、逆に日本の女性が着物の良さに気づいて今まで以上に関心を持って下さる方が増えるかも知れません。
その第一歩を後押ししていくお手伝いが微力ながらできればいいなと、そう思ってます。