甘裸哲学

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原子の安定性(ワイゼッカー・ベーテの質量公式)

2013-01-13 03:29:29 | レポートや発表
E=mc^2(イーイコールエムシーにじょう)は
質量とエネルギーとが等価であることを表した式です
エネルギーを持っているということは不安定であるということであり
つまり、質量の小さい原子ほど安定に存在できるということになります
原子の質量は原子核の質量とほぼ同じなので(電子の質量は陽子や中性子の質量の1840分の1程度しかない)
原子核の質量公式(ワイゼッカー・ベーテの質量公式)を用いて、原子の質量を求めます

ワイゼッカー・ベーテの質量公式では、負のエネルギーである結合エネルギーが原子の質量の核であるとします(原子における原子核のような重要さ)
※結合エネルギーは普通のエネルギーとはエネルギーの意味が逆なので、普通のエネルギーと同列(一緒)に扱うときにはーをつけてやる必要があります
(結合エネルギー)=(体積項)ー{(表面積項)+(クーロン項)+(対称項)+(偶奇項)}です
今からこれらの項一つ一つを順に説明していきます

1.体積項(陽子も中性子もほぼ同じ体積であることが前提)
これが結合エネルギーの核です(他の項は全て補正項)
核子(陽子や中性子)は互いに引力で結びついています
体積が多いほど、核子の数が多くなり、結び付きが強くなります
核子の数に比例して働く力によるエネルギーです
この項だけしか見ないと、体積が多いほど質量が少ないという狂った結論を導いてしまうかもしれません
だから、他の項で補正してやる必要があるのです

2.表面積項(原子核を球体に近似し、その半径をrとします)
体積項では、全ての核子に同じ引力が働いているように考えましたが
実際は、表面の核子は周りの核子の数が少なく、受ける引力が少ないので不安定です
この項は表面積(r^2に比例)に比例して働く力であり
核子数と体積(r^3に比例)が比例することから
核子数の三分の二乗に比例して働く力によるエネルギーであることが分かります

3.クーロン項
陽子間に働くクーロン力(+同士の反発)を考慮するための項です
陽子数をzとすると、全ての陽子の中から二つの陽子を選び出す組み合わせは
zC2=z(z-1)/2となりますね?これは陽子数が充分多いものとしてz^2/2に近似します
また、クーロン力による位置エネルギーはrに反比例しますから
この項はz^2/rに比例して働く力によるエネルギーであると考えられます

4.対称項
実験により、陽子ー陽子間や中性子ー中性子間に働く引力よりも
陽子ー中性子間に働く引力の方が大きいことが分かったので
体積項では、陽子と中性子の数が同じであるときの全体の引力の平均を基準の引力として考えてしまったので
この項により、陽子数と中性子数の差に合わせて、働く引力を低く補正します
陽子数をz、中性子数をn、核子数をAとすると(z-n)^2/Aに比例する力だと考えられます
Aに反比例するのは、核子数が多いと、クーロン力による効果が強く出て、この効果が弱まるからです

5.偶奇項
実験により、陽子数も中性子数も偶数の方が安定であることが分かりました
だから、片方が偶数でもう片方が奇数の時を基準にして
両方とも偶数の時にーα、両方とも奇数の時に+αのエネルギー補正です(αは核子数のルートに反比例しますが、うまく説明できません)
ちなみに両方とも奇数で安定な原子は、水素・リチウム・ホウ素・窒素だけです

以上で簡略化した説明は終了します
このワイゼッカー・ベーテの質量公式は
4や5のような、実験データから導き出した説明の難しい項が含まれているため
半経験的質量公式と呼ばれます
一番安定な原子が鉄であることは、常識的に知っておいてください
この質量公式は、原子核を液的模型に照らし合わせて作ったものです
追伸により、殻模型についても扱うかもしれません

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