お待たせしました。昨日、タイトルだけ挙げて、結局時間がありませんでした。
今回、歯科麻酔の効き方についてお話したいと思います。
私の話は教科書的な話というよりも、経験上の話ばかりで、以前「エビデンス・・・」(2013.10.1)
についてお話したものをお読みの方なら理解いただけるかも知れませんが、
イマドキの言い方で「・・・は、うそ、まじで?」と言っちゃいたいことが多いかも・・・です。
ーと前置きしつつ、歯科麻酔の話です。
問診時に歯科麻酔での不安をおっしゃる方の中に、
”麻酔がなかなか効かなくて”という方がいらっしゃいます。
また、”麻酔が効きすぎて”という方もいらっしゃいます。
今回後者の方でなく、”効かない”という内容の話をします。
歯科麻酔というのは、ご承知の通り、簡単にわかりやすくお話すれば、
処置を行う部位、つまり、歯の切削や粘膜の処置を行う時にそれらの部位をシビレさせ、痛みをわからなくする、というものです。
しかし、大抵の場合、処置を行う必要のなる箇所は、歯であれ、粘膜であれ炎症が生じており、痛みをすでに伴っているところです。
痛みがあるからこそ、処置が必要なわけですよね。
健全なところには麻酔を行うことはほとんど考えられません。
例えば、内科や外科的な何かの検査時に体内にカメラなどを挿入する場合は、まず麻酔を前処置として
行いますが、歯科では炎症や痛みを伴う部位の処置の前段階として
麻酔は使用されます。
歯科の局所麻酔ですが、麻酔薬でシビレさせるために、麻酔薬の濃度が”効く”というph濃度に体内(局部)で保たれていないといけない
わけですが、炎症、痛みのために、その”効く”濃度に達すまで、また、その濃度を保つことが
かなり困難になることが前提条件としてあります。
想像してみて下さい。
バスタブに水を貯めるならば、水の状態で簡単に水は貯められますが、
バスタブに熱いお湯が入っている場合、水の状態に持っていくことはちょっと簡単にはいきませんよね。
歯科で麻酔を行うとは、そういうことと似ています。
加えて、これは私が常々思うことですが、そういう科学的、化学的なことのほかに、恐怖心や不信感が
麻酔の効きに影響をもたらす、ということです。
もちろん、過去麻酔が効かない体質だったことで、痛みのあるまま処置をせざるをえず、
それからそのまま歯科恐怖症になってしまった、ということも考えられます。
麻酔の効きは、体質、そして体調にもよると思います。
私は歯科医院を開院し、5000人の患者さんを治療してきました。
処置の回数に換算したら、もっと数は多くなります。
そのうちの1%未満が、歯科麻酔が効かなかったことがある、という不安をお持ちの方だったとすると、
その中で、実際効かなかった方は1−2名だったと思い返します。
特に歯科麻酔で論文を書いたとか、研究室で麻酔について研究したということはありません。
ちっぽけな町医者です。
そんな私がそれを承知の上で、あくまでも経験上でお話しています。
歯科麻酔の効きには、患者さんの恐怖心、不安を取り除き、
信頼感を持っていただくことが、結構重要なポイントとなると思っています。
つまり、かなりの会話力、コミュニケーション力も必要になるということです。
それは、幼児から大人まで同じです。