私の町 吉備津

私の町 吉備津

小雪という名の遊女

2013-07-22 17:21:07 | 吉備津神社の神領「宮内」
 これは嘉永6年の宮内の話です。
  どのような事情があってこんな辺鄙な片田舎の遊廓なんぞに流れついたのかその辺の事情は一切分かりませんが、小雪という遊女が此の宮内にいたのは確かです。そしてどのような事情があってか、小雪の墓が熊次郎の乾児片島屋萬五郎の墓などと一緒に、熊次郎の墓地に一緒に葬られています。
 一般に、遊女が此の地で亡くなった場合は、無縁仏として葬られるのが普通なのですが、「小雪」という名の京都出身の遊女の墓が、戒名まで付けてもらって、それも、熊五郎の四天王と呼ばれた大乾児片島屋萬五郎の墓の側にあるのです。何か特別な事情があったのだろうと云うことは分かりますが、詳しいことは何一つこの宮内の町には伝わっていません。
 
 何かこんな遊郭でなければ聞けないような哀話が沢山あるだろうことは確かですが、そんな話の一つも、今の宮内には残ってはいません。吉備の中山を吹き流れる風の音に打ち消されて、何処かへ、あまりにもむごたらしいのでしょうか消え失せてしまっています。