Cutting Edge on My Life

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家庭内据え置き型PHSの可能性

2005-05-27 16:42:19 | IT Life
ウィルコムの音声定額プランが好評で近年まれに見る純増数を獲得しているそうだ.カップル同士の利用が想定されているようですが,やはり家族同士の利用も見込むことができるでしょう(特に単身赴任など離れている場合にはなおさら好都合.ケータイ同士の場合でも距離に応じて料金が高くなるのが普通).そこで,今ある家の電話(固定電話)に取って代わる据え置き型のPHSの可能性について考えてみました.
追い風はいくらかあると思います.第1に,今後順調に光ファイバーが普及すると固定電話の回線は必ずしも必要ないこと.ADSLだと電話回線が必要なので,だったら電話もということになりますが(通信専用のADSLプランは割高).光ファイバーが開通してしまうとそうとはいえないわけです.実際NTTも光ファイバーによる自前のIP電話サービスを始めています.そこにPHSが食い込む余地はあるのでしょうか.
光ファイバーによるIP電話に比べた利点はやはり定額であること(IP電話は従量制).IP電話に比べて通話できないダイヤルが少ないのも魅力です(115やダイヤルQ2くらい).あと電話機で電子メールやウェブ閲覧もできるような機器が投入されることが予想されます.家庭の主婦にがちょっとメールチェックしたりウェブを見るくらいの利用であればむしろこういう機器のほうがぱっと使えてよいことでしょう.実際,すでに携帯電話サイズの機器でできていることなので,あらためて高度な技術を開発する必要があるレベルの話ではないわけです.あとは,ケーブルレスで好きなところに持っていって使えるのもよいと思いますfaxつきの大きな機器でも,ダイヤルとディスプレイがついた一部だけを取り外せるようにするとか,機器を工夫すれば解決します.
一方,障壁となるのは何でしょうか.一番大きそうなのは「家の電話は固定電話」という既成概念を壊すことでしょうか.ただ,最近はこうした考えも薄れてきていますし,今後ますます薄れていくという期待はできます.2番目に,競合するサービスとの競争です.光ファイバーによるIP電話が従量制だといっても基本料金もずっと安い(約1,000円)ので,かなり通話料を支払う人でないとメリットを感じられないかもしれません(ただ,メールも無料なのでメールと通話をこみで考えると経済的なメリットを感じる人も増えるのかもしれません).携帯電話会社も「家族間の通話無料」などとうたうサービスを前面に押し出しています.これらの競争に勝てるようなサービスでないといけません.第3に,家庭内ではPHSの電波が届かないという心配です.ただこれは,付属のアンテナを1本つければ解決する話のようにも思います.第4に,魅力的な機器を市場に投入できるかという問題があります.特にPHSはなかなか新規機種が出ないというイメージをもたれてしまっているように思いますので,市場のニーズに答えられるかは不透明なところがあります.あるいは,電話機の買い替えを勧めるよりも,既存の電話機をPHSにしてしまうようなアダプタを売るのはどうでしょうか.こういった手もあるかなと思います.
近頃,携帯電話ネットワークの障害が続いています.PHSはそういったものに強い技術でしょうし,定額サービスの動向によっては家庭の電話を置き換えることもありうるのではないでしょうか.

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