キューピーヘアーのたらたら日記

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『SAKURA』 第三幕-5

2011-04-15 16:08:49 | 私が作者です
第三幕-5


同じ病室。消灯後だから照明は暗い。

桜子がパイプ椅子に座りうつらうつらしている。

警察官の服を着たマネキンの目が心なしか光っているように見える。

遠藤が突如起き上がる。


遠藤:さんぜんまんどるううううう!!!!????


桜子、はっと目が覚める。


桜子:伯父さん、大丈夫ですか?

遠藤:誰だ、お前?

桜子:あなたの従姉妹の娘の桜子です。

遠藤:知らん。わしに従姉妹なぞおらん。それよか、

   クリスティのやつ、俺に隠してやがったな!

   そんな金があったら、毎晩キャバクラに通えるじゃないか!

   そうか、俺が女遊びに金をつぎ込むと読んで…

   ピンポーン、さすが俺のクリちゃん、ご明察!!!

   そうだそうだ、おばちゃん、

   看護師の使っているパソコンをこそっと拝借してきてくれ。

桜子:嫌よ。

遠藤:頼むよ、姉ちゃ~ん。

桜子:何に使うんです?

遠藤:ちょっと妻の口座の残高を調べるだけだよ。

桜子:銀行なら明日私が代わりに行ってきますから、

   寝ててください、伯父さん。

遠藤:そんなわけにいくか。

   明日、俺は東京の警察病院に搬送されるそうじゃないか。

   どうしても今知りたいんだ。

   今、何時だ?

   9時半か。スイスは多分昼の2時半かそこらだろう。

   今ならできる。

桜子:何ができるんです?

遠藤:だから残高照会だけだってばあ。

   姉ちゃん頼むよ。俺は身体拘束されて身動きが取れないんだ。

桜子:わかりました。こそっとですね。

遠藤:そうだ、ナースステイションにあるノートパソコンを一台持ってこい。


桜子、忍び足で病室の出口へ向う。


桜子:伯父さん、この人形の目、怖いわ。

遠藤:ん~なもん、ただのマネキンだ。さ、早く。


桜子、退場。


遠藤:確かチューリッヒシティバンクとか言ってたな。

   よし、俺の取って置きのスパイウェアを使ってやる。

   マシンは何使ってるんだろう?

   ん~~ん、久しぶりに胸がわくわくする。


戻ってくる桜子、両手にはノートパソコン。

息をハアハアと吐いている。


桜子:やりました、伯父さん。

   誰にも気付かれていません。

遠藤:よくやった!

   じゃ、さっそく、、、、、

   チャンチャン、、、、、

   チューリッヒ、、、シティ、、バンクっとお。

   マシンはIBMか。しばらく待つ待つ、

   掴まえた、こいつがシステム管理者だ。

   IBM011だって、分かりやすいユーザーID使いやがって。

   もっとオッペケペ091とかユニークなIDにしないと駄目だよ、きみい。

   あとはやりたい放題、、、データーベース一覧。

   顧客名簿はどれだ?これが臭いな。おお正解!

   クリスチーナ・エンドウでサーチ。

   あった!これで口座番号がわかったぞ。

   これで預金残高照会に飛んで、、、、

   暗証番号は、あいつがいつも使っていた"0615"。

   昔の家の電話番号だ、、、どうだ?よし!!!

桜子:やりましたね、伯父さん。

遠藤:あんぐ…

   残高が100ドル?

   うそ

   ……

ボブ:その100ドルは僕のポケットマネーだ。


ボブが病室の照明のスイッチを入れる。


ボブ:そこまでだ、遠藤。

   貴様をチューリッヒシティバンクオンライン不正アクセスの

   現行犯で再逮捕する!!


ベッドに仰向けになり腕を突き出しグーチョキパーを続ける遠藤。

その腕に容赦なく手錠をかけるボブ。

ボスが登場。


ボス:お前の行動はこのマネキンの目に仕掛けられた小型カメラで、

   24時間全て我々が監視していたんだよ。

   ワハハ、どうだ、ドッキリだろう?

   検査が一通り終わってようやく医者の診断がおりた。

   これがカルテだ。

   悪筆だなあ。

   何々?前立腺肥大?

   おしっこの出が悪くなってるそうだ。

   よくもこの俺を騙しやがって!!!

遠藤:しゅびばしぇん。

ボス:…まあ完璧な演技だったよ。褒めてやる。

   おい女。

ボブ:桜子さん、売春の前科がある者を洗ったらすぐに身元がわれた。

   矢崎桜子、不正アクセス幇助で逮捕する。

ボス:この売女、我々が撒いたクリスティの3000万ドルの遺産の噂に

   誰よりも早くくらいつきおって。

   まったく、動物的カンというやつだな。
   

ボブが桜子に手錠をかけようとしたとき、照明が暗くなり時間が止まる。

舞台上全員微動だにしない。

客席よりスポットライトを浴びてクリスティーナの亡霊が登場。

舞台にあがり桜子のそばにより、

桜子の上着のポケットからお守り袋を取り出し、

桜子の手に握らせる。

桜子、動き出す。

クリスティーナ、桜子を遠藤の前に導く。

桜子、遠藤にお守り袋を握らせる。

遠藤、動き出す。


桜子:母の形見です。


遠藤、手錠が掛かった手で袋の中の物を取り出す。


遠藤:これは何だ?

   何か、とても懐かしい…。

   制服の…

   俺の第二ボタン!

   澄江…

   お前は、お前は、あの時の…

桜子:長い、長い、とても長い冬でした。

   でも今、一輪の花が咲きました。

   ようやく私にも春が来んですね。

   おとうさん。

遠藤:おお、おお、おお、すまなかった。

   すまなかった。

   許しておくれ。

   私を許しておくれ。

桜子:いいんですよ。

   ありがとうございます。

   命を、ありがとう。

遠藤:おおおおおおおおおおおお


暗転

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