キューピーヘアーのたらたら日記

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『SAKURA』 第三幕-1

2011-04-15 15:22:09 | 私が作者です
第三幕-1


桃十字病院脳卒中病棟の病室

入口脇に何故か警察官の制服を着た女のマネキンが置いてある。

妙にセクシー。


ベッドに横たわる遠藤、

付き添いの桜子がパイプ椅子に座っている。

桜子が立ち上がり、遠藤の乱れた掛け布団を整える。

そこに看護師が登場。


看護師:遠藤さ~ん。

桜子 :お世話になっております。

看護師:遠藤さ~ん。奥さんが来てくれたよ~。

桜子 :いえ、親戚の者です。

看護師:あら、ごめんなさい。

桜子 :小吉さんの従姉妹の娘の桜子と申します。

看護師:遠藤さ~ん、桜子さんが来てくれたよ~。わかるう?

    返事なし。

    おしめまだかえんでいいかな。


看護師、布団の中に手を突っ込む。


看護師:まだいいみたいやね。


看護師、慣れた手つきで点滴を交換する。

そしてカートに乗ったノートパソコンにデータを入力。

また遠藤の枕元に行く。


看護師:遠藤さ~ん、起きてるう?目開けて、パチっと。

    遠藤さん、お名前は?お名前。

遠藤 :え・え・ん・ど・う

看護師:うん、えんどう、遠藤なんていうの?下のお名前は?

遠藤 :し・よ・う・ひ・ち

看護師:はっきり言って。

遠藤 :し・よ・う・き・ち

看護師:はい、遠藤小吉さん、腕を前に挙げて。

    腕を挙げるの。

    はい、じゃあグーチョキパーして。

    グーは?グー。

    それパー。ぐーは手を握るの。

    じゃあ、チョキ。


遠藤、人差し指だけ立てる。


看護師:ははは、中指はどうしたの?中指。

    それはファックユー。

    ほんと、面白いわ。


桜子もつられて笑う。


看護師:チョキやって。はい。じゃあ、パー。

    はい、よくできました。


看護師、またパソコンにデータを打ち込む。


桜子 :あのう、認知症もあるんでしょうか?

看護師:いえ、脳卒中で倒れられた直後なんで、

    せん妄状態にあるんだと思われます。

    詳しいことは主治医の滝下先生にお聞きになってください。

    市内にお住みなんですか?

桜子 :はい、花堂です。

看護師:じゃあお近くですね。それでずっと付き添われます?

桜子 :はい、そのつもりです。

看護師:それは良かったけど、

    状態が落ち着いたら東京の警察病院に搬送されるそうですよ。

    取り調べ中に倒れられたとか。

    ご存知ないんですか?

桜子 :ええ、テレビのニュースで見ただけですから。

    本当に伯父が悪いことをしたんでしょうか?

看護師:さあ、私はただの看護師ですから。

    それから注意事項ですが、絶対に水とかあげないでくださいね。

    お茶もダメですよ。食べ物も一切ダメ。

    最低限必要な栄養と水分は点滴で補給してますから。

    いいですね、

    誤燕して肺炎をおこすと、この年じゃあ間違いなく

    コロリとお亡くなりになりますからね。

桜子 :はい。

    ありがとうございました。


看護師、病室を出ていく。

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