あさねぼう

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わたしで最後にして

2020-02-21 20:08:29 | 日記
生産性がない人は生きる価値がないの?20万人以上の障害者を虐殺したナチスと「やまゆり園事件」に通じる思想とは―「優生思想」と「障害者差別」を考えるための1冊。中学生から。

目次

第1章 オットー・ヴァイトとの出会い
第2章 殺された障害のある人は20万人以上
第3章 優生思想は多くの国々で、私たちの日本でも
第4章 優生思想に対峙する障害者権利条約
第5章 「やまゆり園事件」と障害のある人のいま
第6章 私たちにできること

2016年7月に起きた障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件の裁判員裁判が続いている。
すでに14回の公判が開かれ、3月16日に判決が出る予定となっている。刑罰ももちろんだが、このような事件が起きた社会的背景を明らかにしてほしいと、被害者の家族や障害者団体などは強く望んでいる。

植松聖被告に3回面会し、裁判の傍聴も続けている日本障害者協議会代表の藤井克徳氏は、被告があまりに表層的で浅薄であったこと、育った時代や環境も含め被告一人だけの問題ではないこと、そして、障害者施設に勤務する間に「重度障害者は生きていても仕方がない」という誤った障害者観を持つようになったという事実などから、事件に対する複雑な思いを語る。この事件は社会の仕組みや行政の対応も含め、解明されるべきことが数多くあるが、藤井氏は裁判で全容が解明されるかどうかを危惧している。
 やまゆり園事件のあとも、障害者雇用の水増し問題や精神医療での身体拘束、旧優生保護法の強制不妊手術の被害者による提訴、などが次々と明らかになり、障害者をめぐる状況はその後も変わっていない。藤井氏はこうした問題の背景には、根深い優生思想があることが認識されなければならないと指摘する。

藤井氏は、第二次大戦中のナチスによる障害者虐殺、いわゆるT4作戦が、優生思想に基づいて行われ、それがその後のホロコーストにつながった経緯を、自ら取材した体験に基づいて語る。ドイツだけではなく日本でも優生思想に基づく政策がつい20年ほど前まで行われており、強制的に不妊手術を受けされられた障害のある人たちが今やっと声を上げ始めている。

生産性や効率重視の傾向がより強くなる世の中で、劣った人を排除しようとする優生思想は、今も社会のなかに存在する。一人ひとりの中にも“内なる優生思想”があることを認めたうえで、より能力を高めたいという縦にのびる力と同時に、文化や地域や多様なひととのつながりといった横にのびる力が必要だと藤井氏は語る。

私たちは、どうしたら優生思想を克服することができるのか。人々の無関心と忘却がもっとも手ごわい敵だと語る藤井克徳氏と、社会学者の宮台真司とジャーナリストの迫田朋子が議論した。
 
藤井克徳[フジイカツノリ]
日本障害者協議会代表、日本障害フォーラム副代表、きょうされん専務理事、ワーカビリティー・アジア(障害者の就労分野のアジアネットワーク)代表、公益財団法人日本精神衛生会理事、公益財団法人ヤマト福祉財団評議員、精神保健福祉士。1949年福井市生まれ。青森県立盲学校高等部専攻科卒業。1982年都立小平養護学校教諭退職。養護学校在職中の1974年にあさやけ作業所設置に参加、同じく1977年に共同作業所全国連絡会(現・きょうされん)結成に参加(結成時から現在まできょうされん役員)。1982~1994年あさやけ第2作業所所長。1994~2003年埼玉大学教育学部非常勤講師(兼職)。2010~2014年内閣府障がい者制度改革推進会議議長代理・障害者政策員会委員長代理。2014年国連障害者権利条約締約国会議日本政府代表団顧問。2012年国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)チャンピオン賞(障害者の権利擁護推進)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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