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川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

朝鮮高校で6・25はどう教えられているか。 『現代朝鮮歴史 高級1』

2010-06-26 05:01:46 | 韓国・北朝鮮
 しばらく前に朝鮮高級学校の教科書『現代朝鮮歴史 高級1』(日本語訳)を購入した。
 
 2880円(送料100円)と結構高いが発行元に連絡すればだれでも買うことができる。

  「星への歩み出版」581-0863 八尾市西山本町7-6-5 3F

     Tel/Fax072-990-2887 

 翻訳・編集は「朝鮮高校への税金投入に反対する専門家の会」だが代表は萩原遼さんである。

 朝高の歴史の教科書を読んでみたいと思っていたがやっとその機会に恵まれた。


 わずか8年間(1945~53)を112ページを割いて記述してある。皆さんも購入して(公共の図書館にリクエストして)ぜひ読んでもらいたい。僕は全3巻のうち第一巻だけしか購入していないがすでに全巻が発行されたようだ。

 ここでは萩原さんが書かれた翻訳・刊行の趣旨を全文掲載させてもらう。

 僕としては6・25から60年にあたるに際し、「朝鮮戦争はどちらが始めたのか?」の一点に絞り記述の全体を資料として紹介したい思いだが、そうはいかない。そこで、まことに勝手ながらごく一部を抜書きさせてもらった。

 刊行の趣旨には大いに賛成である。教科書をはじめこの学校に対する数多くの疑問を事実に即して議論すべきだ。左右を問わず、日本の検定教科書を口をきわめて批判する人たちが朝高の教科書ひとつ読むこともしないでああだこうだと言っているのは笑止千万だ。

 萩原さんたちが翻訳・刊行して議論のたたき台を作ってくれたことに感謝したい。

 

 朝鮮高校『現代朝鮮歴史』の翻訳・刊行にさいして

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 1.朝鮮総連が運営する朝鮮高級学校(高校、以下同じ)の現代史教科書『現代朝鮮歴史』の第1巻を全文翻訳し、世に出すことにした。現在、日本各地の朝鮮高校で使われているもので、1巻から3巻まである。これを3年間で教えているとみられる。第1巻に次いで2,3巻も引き続き翻訳出版する。

 昨年末ごろから鳩山内閣が高校授業料の無料化方針を打ち出したことに関連して、朝鮮総連や朝鮮学校関係者から朝鮮高校も無償化すべきだとの意見があがった。

2010年3月の衆議院議員本会議で、日本の高校授業料無償化法が通過した。このさい、朝鮮高校については教育内容がわからないいから「第3者機関」を設け検討して判断し、決定するとした。

2.このころから、朝鮮総連や朝鮮学校関係者から「朝鮮の子どもを差別するな」の意見がはげしくなるにつれて、マスコミやインターネット上で賛否の議論が行われている。教育問題から政治的問題へと発展しつつある。

 これらの論議に問題点が多い。朝鮮学校の教科書は朝鮮語で書かれている。多くの論者が朝鮮語を読めず、中身を知らないままであれこれのべあっている段階である。


3.われわれは朝鮮問題を長く研究してきた専門家の立場から、朝鮮高校の現代史教科書を翻訳して、討論の参考に供することにした。中身で判断していただくことが基本である。

4.翻訳にあたっては、原文に忠実に訳した。写真や図表の位置、ページ数も原書と同じように配列した。ただし不要と判断する表などは翻訳を省略しそのままハングルで残したものも若干ある。巻末の索引は省略した。
原文は漢字を排し、地名、人名はハングル書きであるが、日本でよく知られている韓国・朝鮮の人名、地名などは漢字を当てた。

 複数のもので翻訳を分担し、萩原が全体を統一した。

5.著作権についてふれる。著作権法が保護する著作物は「日本人の書いたもの」に限られる。国交のない国のものはこの保護を受けないというのが日本の文化庁の見解である。

 日本の公費を要求する以上、朝鮮学校側がその教科書を日本語に訳し、関係方面に配り判断を仰ぐのが筋である。それどころか、朝鮮学校側は教科書をあたかも秘密文書のように隠して公表を抑えている。われわれの今回の措置はそうした秘密主義を排し公明正大な土壌で論議するための一つの試みである。

6.この機会に、われわれ専門家の立場も明らかにしておく。

 朝鮮教科書の内容は虚偽が多い。たとえば朝鮮戦争は南北どちらの側が起こしたか、についてはおびただしい証拠や文献によっていまでは北の主導による南進であったことが国際的常識になっている。にもかかわらず、朝鮮高校教科書は、アメリカと韓国による北朝鮮への侵略戦争だと教えている。虚偽はこれだけではなく、ソ連軍の手で植民地朝鮮の解放がおこなわれ、次いで北朝鮮地域におけるソ連の軍政が行われたことも隠されている。1960年代の帰国事業についても正反対のことを教えている。

 いうまでもなく、教育の目的は、真実を求めることであり、愛と助け合いで平和に生きるための人材を育てることである。

 虚偽を教え込むことは、ある種の犯罪である。南とアメリカが北を侵略し、人命や財産、国土に甚大な破壊をもたらしたと言いつのるならば、南の側との和解や共生はうまれない。逆に南北対立をあおり復讐のためには命を賭して邁進しようとする若者を育てることになりかねない。

 朝鮮高校の卒業生のなかから日本人拉致や韓国での破壊活動に従事する者が少なからず生まれていることも、こうした教育と無関係ではない。

 虚偽を教育の柱としている機関に日本の公費をつぎ込むことは犯罪に手を貸すことになる。


7.教育に政治を持ち込むなとの意見についても、無理解がある。朝鮮総連は彼らの経営する民族教育を「在日朝鮮人運動の生命線」と規定し、「高等学校授業料無償化」を必ず勝ちとるよう運動をおこなうと決定した(2009年11月11日の本部での会議決定)。そして、この方針が偉大なる金正日将軍様のご指導であるとこう述べている。

 「敬愛する将軍様におかれましては、今年を『民族教育を強化する年』とお定めくださり、決死の覚悟と不退転の意思で民族教育を守り発展させることについての方針をお与えくださいました」(2010年1月13日 朝鮮総連本部委員長・中央団体責任者会議での報告から)

 教育に政治を持ち込んでいるのは朝鮮総連であり、それを指導する朝鮮民主主義人民共和国である。北の朝鮮労働党は機関紙「労働新聞」でこういっている。

 「在日朝鮮学校を政府の支援対象から除外しようとする日本当局の方針はたんに金銭にかかわる問題ではなく、朝鮮総連の民族教育の権利を奪うための犯罪的策動である」「反朝鮮総連、反共和国政策の産物である日本反動どもの今回の策動はわが朝鮮人民の憤怒を激発させている」(2010年3月9日付)

 こうした感情論ではなくきちんとした話し合いこそ教育問題の基本である。


8.われわれの立場と行動は、朝鮮高校生を差別するものではない。真実と平和を愛する子どもを育てるという普遍的な理念から出発するものである。

 この翻訳.刊行が正しい論議のたたき台となることを期待する。

 
 2010年4月15日

  「朝鮮高校への税金投入に反対する専門家の会」 代表   萩原遼


 

○朝鮮戦争は南北どちら側が始めたのか?


 朝鮮高級学校教科書『現代朝鮮歴史 高級1』

  「第2編 祖国解放戦争(1950.6ー1953.7)」抜粋


 「共和国政府は…祖国の平和統一を終始一貫主張し続け、米帝と李承晩の戦争挑発策動が絶頂に達したときにも、なんとしてでも戦争を防ぎ平和統一を実現するためのあらゆる努力を尽くした。………しかし南朝鮮当局は…ついに全面戦争に挑発する犯罪の道へと進んだ。」(P77~78)

 「米帝のそそのかしのもと、李承晩は1950年6月23日から38度線の共和国地域に集中的な砲射撃を加え、6月25日には全面戦争へと拡大した。共和国政府はただちに李承晩「政府」へ戦争行為を中止することを要求し、もしも侵攻をやめないときには決定的な対策をとることを警告した。しかし、敵は戦争の炎を引きつづき拡大した。」(P79) 

「6月25日共和国に作り出された厳重な事態と関連して朝鮮労働党中央委員会政治委員会が招集され、ついで共和国内閣非常会議がひらかれた。敬愛する金日成主席様におかれては、会議で朝鮮人をみくびり刃向かう米国の奴らに朝鮮人の根性を見せてやらねばならないとおっしゃりながら、共和国警備隊と人民軍部隊に敵の武力侵攻を阻止し即時反攻撃に移るよう命令をお下しになった。」(P79)

 (参考までに)

 「3年間の祖国解放戦争は、全朝鮮を占領し、さらにアジアと世界を制覇しようという米帝の侵略計画を破綻させた。また、米帝の強大性の神話を打ち砕いてしまい、下り坂の始まりとなり、民族解放のための世界人民の闘争を大いに鼓舞した。」(P111)



 「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会は、祖国解放戦争で卓越した軍事知略と指揮によって敵に殲滅的打撃を与え、祖国の歴史に不滅の業績を積まれた敬愛する金日成主席様に1953年2月7日、朝鮮民主主義人民共和国元帥称号を、7月28日には朝鮮民主主義人民共和国英雄称号を捧げた。」(P111~112)


 ○僕のコメント  ここまでではなかったが僕が昔読んだ本の記述にも似たようなものが多かったように思う。今このような記述を正しいとする歴史学者はいるのだろうか。

 僕は次のような著作を読んで米韓説が完全なデマゴギーであることを確信した。

  萩原遼『朝鮮戦争―金日成とマッカーサーの陰謀』(文藝春秋 のち文春文庫)
  萩原遼『「朝鮮戦争」取材ノート』(かもがわ出版 のち文春文庫)
  赤木完爾編『朝鮮戦争-休戦50周年の検証・半島の内と外から』(慶應義塾大学出版会)
  和田春樹『朝鮮戦争全史』(岩波書店 2002年)

 ウソで塗り固められた歴史を小さいころから叩き込まれた子どもの不幸は計り知れない。

 僕はかつて「大東亜戦争」の時代に「少国民」錬成にかかわった父の苦悩や錬成された先輩たちの悲劇を学んだ。今、朝鮮学校の子どもたちはまさに銃後の「少国民」や愛国青年として錬成されているのだろう。そのような教育(犯罪)を許したり、助成したりしていいはずがない。

 こんなニュースが流れている。頼みとする中国でも変化が起きつつあるのだろうか。


 朝鮮戦争 「北朝鮮侵攻」と中国紙が異例の記述
            (2010/6/25 22:17  日経新聞)
 中国国営の新華社系列の中国紙「国際先駆導報」は25日付で、朝鮮戦争開戦60周年に関する特集記事を掲載し「北朝鮮軍が38度線を越えて侵攻、3日後にソウルが陥落した」と紹介した。義勇軍を派遣した中国は公式には開戦の発端が「北朝鮮の南進」だったとは認めておらず、異例の記述になった。

 記事は「北朝鮮の侵攻による開戦説が中国でも定説になっていることを示した」(中国メディア関係者)との見方が出ている。中国外務省の秦剛副報道局長は24日の記者会見で、開戦の経緯に関する質問に直接の言及を避けていた。(北京=佐藤賢)
出典http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE0E7E2E1908DE0E7E2E4E0E2E3E29494E3E2E2E2;at=ALL