吾亦紅(バラ科)花言葉は、愛慕;変化。植物学上はバラ科の仲間だが、素人目には、それは不思議に見える「吾もまた紅」から吾亦紅だなんて、面白い。数ある花の中でこれほど地味で目立たない紅も珍しい。紅よりむしろえび茶色といった方が当っていて、いかにも渋いその花を好きだという人がいるかと思うと、こんな美しくない花のどこがいいのだろうと首をかしげる人もいる。山野の雑草に紛れるほど寂しげであるのに、どこか心ひかれる野趣を持つた花である。桑の実に似ていて「だんご花」とも呼ばれるゆえんである。「吾亦紅紅の焦げたる山日和 森 澄雄」「吾亦紅うらわかければまだ青し 飴山 実」「吾亦紅夕日といへど眼に痛し 福永耕二」「遠山の晴間短かし吾亦紅 上田五千石」「朱の帯生涯似合え吾亦紅 殿村莵絲子」「吾亦紅霧の日輪球となる 植山露子」「此秋も吾亦紅よと見て過ぎぬ 白 雄」「吾亦紅霧が山越す音ならむ 篠田悌次郎」「吾亦紅ぽつんぽつんと気ままなる 細見綾子」「吾亦紅渓へだて行く影と吾 千代田葛彦」「山の日のしみじみさせば吾亦紅 鷲谷七菜子」「甲斐駒の返す木霊や吾亦紅 山下喜子」。(夕風は今日も冷えけり吾亦紅 ケイスケ)