J.J.cale チェリー
クラシック音楽をいいなって思いたくて、通勤途上、10年以上聴いているのですが、未だにその瞬間がきません。たぶん、私の想像力が足りないんだと思いますが、演者による違いにも気づけません。クラシックにはまる人は、ワインや日本酒みたいに、その違いを味わって聴いているんだろうなと思うと羨ましいです。ただ、そんな私でも、映像と合わさると、凄くいいなって思う時があります。この映画の中でも、時系列を表すのに、クラシック音楽の演奏シーンが随所に出てくるのですが、みんなとてもいいんです。ラモー、ドビュッシー、ラベル、メシアン、シェーンベルクやリゲティも弾かれます。エジソンによって音楽の録音ができるようになって、現在のように音楽を感じる手段として、聴くことが前提になった世界では、演奏家は特別な職業になってしまいましたが、バッハ以降、ピアノが発明された頃は、スコアを手に入れ、弾くことが音楽に触れる喜びだったのでしょうか。家族に不幸が起こり、やり直すことができない過去のきっかけを背負ったまま、主人公は現実世界を彷徨います。映画を見た後、わからなかったことが多かった時、ネットで他の人の感想を見たりしますが、みんな、いろいろわかっててすごいなと思います。すごく単純な映画も好きですが、多くを語らない映画も好きなので、わりと見ますが、これもそんな感じです。家族と乗っていた古い車に乗って、主人公が歌う音楽はJ.J.cale。とてもいい歌です。