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【映画感想・タ行】 単騎、千里を走る。 ★★☆

2006-02-22 | 【映画感想・タ行】
ストーリー:
長年の確執を抱えたまま病に倒れてしまった息子。
交わした約束を代わりに果たすため、高田は中国大陸奥地への旅を決意する。
民俗学を研究する息子の健一は、
舞踏家・李加民の仮面劇「単騎、千里を走る。」を撮影するため、
中国・雲南省を再訪する約束をしていたのだった。
単身訪れた言葉の通じない異郷の地で途方に暮れる高田だったが、
息子のためにという一途な思いが、
通訳の青年チュー・リンをはじめ現地の人々を次第に動かして行く。
(goo映画より引用)

出演:
高倉健、リー・ジャーミン、ジャン・ウェン
チュー・リン、ヤン・ジェンボー、寺島しのぶ

監督:
チャン・イーモウ

高倉健という役者は、立っているだけで芝居ができる。
彼の立ち居振舞いで、どんな心情であるのかが手に取るように分る。
そういう役者というのは、なかなか見受けられないだろう。

この映画の健さんは、彼の最近の出演作同様に寡黙な男だ。
中国の民族芸術を研究する息子健一とは仲が上手くいっていないようだ。
お互いがお互いを嫌っている。でも、歩み寄りたい。
健さん演じる高田は、人付き合いは滅法苦手な性質のようだ。
仕事である漁師としての付き合いがある程度。
息子を可愛くないという親はいない訳で、
病に倒れた息子をお見舞いしようとするが、拒絶される。
父親として如何にしてアプローチするのかが問題である。

そこで彼は、健一が「単騎、千里を走る。」という舞踊を撮りたかったことを知り、
単身で中国へ向かう。漁村から出たことがない身分なのに唐突な行動だ。
しかしながら、息子との関係回復のための最後のチャンスかもしれない。
高田にとっては、必死だった。できるのはそれしかないと思ったのだろう。

雲南省に到着したが、踊り手である李加民は捕まってしまい、刑務所にいる。
お国柄、しかも、外人である高田が会えるはずもない。
それにもかかわらず、通訳やツアーガイドの手を借りて、再会しようとする。
(この手法、やられる側はたまったものではないだろうけど・・・)
司法の枠、国の枠を飛び越えたこれら行為を成し遂げることができたのか?
当然のこととして、健一への想いが第一にあるため、様々な人に高田は頭を下げる。
彼の純粋な願いを知ると、困難に立ち向かおうとしてくれる。
この映画の一番描きたい内容は、人との繋がりの大切さ。
日本と中国は、政治的には非常に微妙な関係にあるのは事実だ。
しかし、そんな国対国は関係なしに、人的な関係は温かいものを感じた。
礼節を重んじる相手に対しては、しっかりと対処しようとする。
やはり、人の優しさというのは、どんな人種にも伝わるのだろう。

やっとの思いで李加民と対面する高田であったが、歌を歌ってくれない。
理由は、自分の行為で息子に会うツラがないためだ。
ちなみに、その息子ヤンヤンは李加民の存在を知らない。
そこで高田は、ヤンヤンを連れてこようと試みる。
正に高田自らが関羽となり、千里を駆け抜けようとする。
そして、ヤンヤンと会い、彼が何を思うのか。高田は胸に突き刺さるものがあった。
自分の息子健一と重ねて見ていたと思う。相手を理解することの大切さを。
再び李加民と再会し、その気持ちを伝えるべくデジカメの映像を李加民に映し出す時、
彼も高田の考えている意思と優しさに気づき、泣いたのではないか。

雲南省の風景や人の表情で語る展開が多く、心理的描写が弱い印象を受ける。
しかしながら、人との繋がりの大切さということが最も語りたかったのだと思う。
優しさには優しさでもてなす。全村民が机を並べてまで食事をもてなすシーンが圧巻である。
人と人との繋がりというものは、いつの時代でも温かい気持ちを生み出してくれるのだ。



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