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【映画感想・タ行】 ダーウィンの悪夢 ★★★

2007-02-22 | 【映画感想・タ行】
ストーリー:
アフリカのヴィクトリア湖。
かつてそこでは多様な生物が棲む「生態系の宝庫」だった。
しかし、半世紀ほど前に放流された外来魚ナイルパーチが、
他の魚を駆逐していく。
それと同時に湖畔では、ナイルパーチの一大漁業産業が発展。
加工された魚は、毎日のように飛行機でヨーロッパへ運ばれていく。
それは湖畔に住む人々に、大きな影響を与え始める…。
(goo映画より引用)

監督:
フーベルト・ザウパー

ひょんなことで放流された魚が生み出したもの。
「グローバリズム」という大義名分の裏側に、
欧米諸国の誇らしげな顔が浮ぶ。
がしかし、当事地域には悪影響しか及ぼしていない。
生態系、すなわち、自然界の法則を崩したことのしっぺ返しは、
非常に重々しく、目を背けたくなる現実が横たわっている。

ビクトリア湖に放流されたナイルパーチが、
肥沃な湖の資源を食い荒らし、湖の王者として君臨した時、
湖の周辺地域の生活と環境は大きく変化した。

街には、ナイルパーチを捌く欧米資本の加工工場が軒を連ねる。
多くの労働者が働き、欧米人が輸出するべく街を闊歩する。
工場で働く者、そうでない者。貧富の差が拡大していく。
稼げない者はストリートチルドレン、売春婦として生活せざるを得ない。

兎に角、貧困凄まじい過程、売春婦が欧米人に媚びる姿、
行きは武器・弾薬、帰りはナイルパーチを持ち運ぶ欧米の商人。
世界の縮図、アフリカのリアルな問題が、徐々に見え始めてくる。

その中でも衝撃的でスクリーンに釘付けとなったのは、
ナイルパーチが白身を剥がされ、捨てられた骨と頭の部分を
地元民が食料として普通に食べている場面だ。
身近な湖に生息する魚を食することができないこと自体、
普通では考えられない、ナンセンスの極みであるのだが、
こうもしないと食べていけない人々の姿が痛々しい。

骨と頭は無造作に捨てれていて、魚からは蛆虫が涌いている。
気持ち悪い状態でも彼らは食べようとする。顔が引き攣ってしまう。
その上、アンモニア臭が強烈らしく、目を失った人もいる。
食べること自体に危険であることもナンセンスである。

グローバリズムは、結局は欧米のエゴなのだろうか。
日本人も食しているというこの魚の出所では、
今も貧困と暴力とエイズいとった地獄が横たわっている。
目を背けたくなる現実。
しかし、今だからこそ真正面から向き合う時期にあることを
このドキュメンタリー作品が語っている。

(名古屋シネマテークにて鑑賞)

※余談
「白身魚のフライ」の“白身魚”って何か?
ずーっと考えていたのですが、ナイルパーチだったんですね。
この映画を観たら、食べにくくなりそうで怖い…。


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