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【映画感想・タ行】 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン ★★★☆

2007-04-19 | 【映画感想・タ行】
ストーリー:
1960年代。3歳のボクは、
遊び人のオトンを捨てたオカンに連れられ、
小倉から筑豊のオカンの実家に戻ってきた。
オカンは女手ひとつでボクを育てた。
オカンの作る美味しいご飯を食べて、ボクは成長した。
15歳になって、ボクはこの町を出て行きたくなった。
大分の美術高校に入学し、東京の美大をなんとか卒業するが、
仕事もせずに、仕送りしてもらい、更に借金を重ねていた。
そんな中、オカンが癌に侵されていることが分かった。
(goo映画より引用)

出演:
オダギリジョー、樹木希林、内田也哉子、
松たか子、小林薫

監督:
松岡錠司

大泉洋&田中裕子の単発ドラマ(これは未見。近々鑑賞予定)、
速水もこみち&倍賞美津子の連続ドラマ(第2話で挫折)、
そして、今回の映画版と広がりを見せる『東京タワー』である。

結末が見えているだけに、「泣かせ」に走ることは簡単にできる。
がしかし、普遍的な父母のドラマとして淡々と映し出すという描写方法が、
胸に染み入る味わい深い作品に仕上がった。
監督の松岡錠司、脚本の松尾スズキの勝利といって過言ではない。

オカンとボクが病室から東京タワーを眺める場面で始まる映画。
幼少期、そして、死期が刻々と近付く現在を交互に描き、
親子の愛情、オカンが息子を思う気持ち、
ボクが親不孝ながらもオカンなくては生きられなかった姿、
そういう感情を切々と見せることで、親子の絆をきっちり感じ取れた。
本当に自分にも置き換えることのできるドラマであって、
そういうものに対して、過度な演出など必要ない証明でしょう。
脚色した松尾スズキは、上手く書いたなと思わされた。

ボクであるオダギリジョーのナレーションも効果的だ。
映像で感情を語ることこそ映画だと思っているので、
感情表現を言葉で発する(しかも、ナレーション)のは卑怯だと思う。
がしかし、この作品ではそういう意識は微塵も働かなかった。
彼の語り口もあるのだろうが、親に対して思っていることは、
声を出したり、顔に出したりするのは照れくさいものだ。
そんなボクの心の声として、ナレーションは大きな意味があった。

この映画版のボク=オダギリジョー、オカン=樹木希林。
兎に角、ベストなキャスティングであった、違和感全くなし。
オダギリジョーの見せる表情、しぐさは素晴らしいし、
自由人(怠け者)であったボクを表現するファッションも面白い。
また、樹木希林はユーモアのあるオカンを好演。
恥じらい、可笑しさ、子を思う気持ちが表現されていたと思う。
それは、若かりしオカンを演じた実の娘の内田也哉子にも言える。

リリーさん繋がりなのか、松尾スズキ繋がりなのか分からないが、
チョイ役で登場する大物キャスト達を見るのも楽しく、
映画的魅力も満ち溢れていて、長尺でありながらも飽きずに観られる。

直球勝負の作品が好きな人には向いていないかもしれないが、
さりげない演出、淡々と描く中に面白味を感じる作品が好きな人には、
実に興味深い作品となっている。

※余談
劇場パンフレットは、読み応えあります。
写真にしろ、文章にしろ、700円以上のコストパフォーマンです。
これは、買って正解でした。

(ミッドランドスクエアシネマ スクリーン1にて鑑賞)


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