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【映画感想・タ行】 長江哀歌(エレジー) ★★☆

2007-10-12 | 【映画感想・タ行】
ストーリー:
三峡ダムの建設のため、水没していく運命にある町、奉節。
そこへ船に乗って一人の男がやってくる。彼の名はハン・サンミン。
16年前に別れた妻子を探しに、山西省からやってきた炭鉱夫だ。
様変わりしてしまったこの町で、サンミンは働き口を見つけ、
妻探しを続ける。一方、2年間音信不通の夫を探しに、
やはり山西省からやってきた女がいた。
(goo映画より引用)

出演:
チャオ・タオ、ハン・サンミン

監督:
ジャ・ジャンクー

冒頭の船内での風景から引き込まれた。
ノースリーブのシャツ、上半身裸の男たち、
象棋、トランプに興じ、大声で騒いでいる姿は、
自分が中国に行った時の風景そのままであったからだ。
兎に角、懐かしさを感じているところに、
雄大な三峡の絶景が広がってくる展開から、
三峡と人々の関係を物語るぞという映画の趣旨が見えてくる。

にしても、ドラマティックな展開はこの作品には存在しない。
市井の人々にそういうことが起こるはずもない。
普段の日常の行間を覗いていくという作品であるため、
玄人向けしそうなテイストであろう。
(自分自身も途中睡魔に襲われてしまったのも事実…。)

ドラマティックな様相を見せるのは、
むしろ三峡ダムにより水没する奉節の街そのものである。
156mも水位が上昇し、街そのものは消え去ってしまう。
また、長江河畔の街や三国志で有名な史跡も全て水の中。
更には、150万人の人々が家を失ってしまうという現実。
ドキュメンタリーでも見てみたいほどのドラマ性がある。

そんな現実を前程として、市井の人々の生きる姿を描く監督。
長江に沈みゆく現実があっても、人々は生きていかねばならない。
愛する人を探す2人の男女の姿は、どこにでも見られる風景だ。
男女の別れ、再会というシーンが正にそれ。

世界は変わろうとも、人の営みは何も変わらず続いていく。
それを如実に表現された1本であった。

(名古屋シネマテークにて鑑賞)


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