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上越市家族会 ~ひとりで悩まずみんなで支え合って~

この会は、こころの病を持つ人を身内に抱える家族の集まりです。みんなで支え合って精神障害者の福祉向上を目指します。

年金生活者支援給付金の支給について         No177

2019-09-24 10:56:31 | 日記
◆10月の消費税率引き上げに伴い低所得の高齢者・障害者等に月最大5000円を支給する「年金生活者支援給付金制度」がスタートします(初回の支払いは12月中旬を予定)。
対象となる方には2019年9月頃に日本年金機構から手続きのご案内が送付されていると思います。
内容を確認し所定の手続きをお忘れなく!
詳細については、下記サイトでもご覧いただけます。
・厚労省 年金生活者支援給付金制度で検索
・https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/index.html?_fsi=HXqjhazJ

野ボタンです!

第1回研修会(社会見学)報告             No176

2019-09-15 10:02:45 | 日記
◆毎年実施している「社会見学」が9月11日(水)、22名が参加し終了いたしました。今号はその報告です。
◯今年度は障害者雇用率6.8%と国の基準(2.2%)の3倍もの雇用をされている社会福祉法人 越後上越福祉会 特別養護老人ホーム「あいれふ安塚」様にお邪魔しました。
まず、訪問してビックリしたのは、広いコミュニケーションルームに整然と並べられた机に案内資料が一人づつ置かれ、且つ、飲物迄用意していただき、圧巻は歓迎の横断幕の掲出、そして施設長の太田雅俊さんは正装してのお出迎えでした。施設長はじめ職員の皆様のお気持ちに深く感謝した次第です。(下の写真をご覧ください。)
◯太田施設長より施設の説明があり、理念、環境、人材など、入居者目線での様々な取組みが熱く語られました。紹介します。
・「愛をもってふれあう施設 あいれふ安塚」、基本理念は「地域に根ざした施設、地域に愛される施設、地域に開かれた施設」、この理念を全職員が共有し、入居者が「安全・安心・快適・自由」なくらし暮しができる、質の高い介護サービスを提供することを第一義として施設運営に努めている。
・私のモットーは「福祉は人なり、人は心なり・職員は宝であり財産である、適材適所は必ずある」「泣いても、笑っても8時間、ならば笑って過ごそう8時間」全職員と合い言葉にして人材育成に努めている。
・開設日:2011年(平成23年)5月1日 ・入所定員:100名
・施設の特徴:100床・全室個室10.7畳、トイレ付、洗面台完備、オール電化、
エアコン管理、食堂は床暖房、感染症対策の徹底、臭いの無い施設対策の徹底、入浴施設はプライバシー重視とユックリ入浴など
・職員数:116名(障害者雇用11名、60歳以上雇用16人)
・介護ロボット及びコミュニケーションロボットの活用
▢障害者雇用については、採用にあたっては保護者も含めて充分な話し合いを行い、仕事へのつまづきがあった場合は、当事者を責めずみんなで話し合う。仕事の内容も適材適所が原則。3カ月がひとつの目安。そこをクリアすることが大事。皆さんから働きたいとのお申し出があればいつでも相談ください。との事でした。
▢施設長から施設概要等をお聞きした後は施設内見学です。施設の特徴にも書きましたが、その一つひとつに、改めて「気配り、目配り、心配り」が施されていることが分かりました。それと同時に、その事が職員の皆様の仕事の合理性にもつながっていると思いました。
施設長はじめ職員の皆さんからお見送りをいただき、雪だるま温泉のマイクロバスで一路「雪だるま温泉」へ向かいました。皆さん、大変有難うございました。
▢雪だるま温泉ではみどり一面の世界をバックに、昼食と温泉を堪能し、ユックリと交流を深めました。

雪だるま温泉です!

「身体拘束なき精神科へ・・新聞記事から」(2)       No175

2019-09-09 08:42:48 | 日記
◆朝日新聞(8月22日付)オピニオン&フォーラム欄より、東京都立松沢病院院長の斎藤正彦さんへのインタビュー記事がありましたので、
その内容について紹介します。今号は前号の続きです。

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6.病院が変われば、精神科医療を取り巻く課題は解決するか>>>
・最大の気がかりは地域福祉の劣化だ。患者を退院させようと思っても地域は抵抗勢力になって助けてくれないことが多い。松沢病院を退院できない高齢患者の8割は行き場がないからだ。彼らが持っているお金でケアを受けながら暮らせる場所がない。
福祉は、底辺の人を税金で支えようという情熱を失ってしまったと思う。
・精神障害者は偏見に満ち満ちた社会で暮らしている。患者と市民が一緒に過ごす機会を作って互いの理解を深めるために、10月に病院の敷地で初めて地元住民と共催でお祭りを計画した。
・理想の医療を追求する松沢病院は赤字続きであり、経営改善は緊急の課題だ。一方でどれほど経営を改善しても、民間病院ではやらない、公立病院として必要とされる医療をやろうと思えば赤字は必然だ。
・松沢病院で一番赤字が多いのは、外科や内科の病気もある身体合併症病棟で、次は治療困難な患者がいる慢性病棟だ。「長期入院はけしからん」とかあるが、社会復帰が容易でない重度な精神疾患もある。
・精神医療の目的は、精神に障害があっても、普通に生活できるようにすることだ。
多額の税金によって運営される公立病院は、採算にとらわれずに、必要とされる医療を提供するだけでなく、民間医療機関を支援し、精神医療を取り巻く環境全体を向上させなければならない。出来るだけ多くのニーズに応えるためにも、納税者が納得してくれる経営効率の達成は前提条件だ。

7.国の精神医療改革のあり方を思う>>>
・一般病院に比べて診療報酬が低いため、積極的に治療し早期退院させようとすると稼働率が下がる。何もせず満床を維持する方が経営は楽だ。やる気のある病院ほど経営が苦しくなる。
・厚生労働省は良い病院をつぶさないでほしい。目指すべき医療を考えた政策ビジョンを持ち、実現の為の診療報酬のあり方を考えていただきたい。
・精神医療行政に大きな発言権を持つ団体は、民間病院を中心とした日本精神科病院協会だけだ。昨年、日本公的病院精神科協会を作ったので、公的精神医療の立場からも意見と政策形成にも関与していきたい。
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■以下はこの記事を見て感じたことです。
◯斎藤院長の精神医療に対する公立病院としての先導的な役割と病院・行政・福祉・地域を意識して取組んでおられる姿に感銘し、今後更に期待したいと思います。

◯松沢病院の入院患者は、任意で入院される患者より、強制的な入院患者が多いそうです。公立病院であるがゆえかも知れませんが、その中で身体拘束を減らす取組みをし、現実に実績を上げているということに着目します。インタビューでもありましたが、医師・看護師の皆さんと患者の皆さんの「人としての関係つくり」が決め手なんですね。

◯次に精神科病院の「精神科特例」の話が前号「3.日本の精神科医療」にありました。
日本の医療の差別を是正する必要があります。これからは、入院患者を減らし、入院病床を減らし、病院で働く人達が地域に出て、地域の中で精神疾患のある人達に関わっていくことが求められています。これらの実現の為には政策・システムなどの制度設計が必要です。そして、「精神科特例」という医療の中の差別の是正も欠かせないことを再度訴えたいと思います。
<精神科特例とは>
 ①1958年、厚生省は局長通達で医療法(一般病院)では認めていない「職員が少なくてもよい」という「精神科特例」を暫定的に設けた。
 ②この特例を受けて精神科病床は1958年から急増する事となる。同時にこの暫定措置が年次と共に標準化してきた。
  ここに精神科医療の質の低下と言う問題がある。
 ③精神科病院の収入は、その9割前後を入院料収入が占めている。この収入の基礎となっている患者一人一日当たりの入院料単価(日当点)
  が一般病院の3分の一と超定額である。
 ④この背景には、病院に払われる入院料は、基本的に職員数に比例して設定されている為職員数等のとおり収入も3分の一となる。
  全ては精神科特例が問題!
 ⑤入院している患者数では最多だが医療費は数%と安上がりの医療である。

◯この記事をみて、昨年「ぎょうされん」が製作した「夜明け前」という映画を思い出しました。この映画は日本の精神医学の先駆者である「呉 秀三」先生の精神医療に対する取組みを描いたもので、この中でも松沢病院の院長が身体拘束について述べておられました。
呉先生の意思を連綿として受継いでいるわけです。
「夜明け前」の記事はブログNo110~111をご覧ください。
以上で「身体拘束なき精神科へ(新聞記事から)」を終わります。
  


「身体拘束なき精神科へ・・新聞記事から」(1)     No174

2019-09-04 09:43:48 | 日記
◆朝日新聞(8月22日付)オピニオン&フォーラム欄より、東京都立松沢病院院長の斎藤正彦さんへの
インタビュー記事がありましたので、その内容について紹介します。

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1.はじめに>>>
日本の精神医療は、海外に比べて多い病床数や身体拘束、長期入院など、人権上の課題を指摘されてきた。そんな中、東京都立松沢病院が、身体拘束を大幅に減らすなど大胆な改革を進めている。7年前に院長となった斎藤院長が目指すものは・・・!

2.院長となって>>>
松沢病院の前に院長をしていた民間の病院では隔離室も拘束もゼロであった。民間でできることが医師もスタッフも多い公立病院でできないことが無いと思った。

3.日本の精神科医療>>>
・日本には精神科病床が約34万床あり、世界の5分の1を占め、平均入院期間も275日と他国に比べて長いのが実態だ。
・更に「精神科病床」は「一般病床」に比べ、医師数は3分の1、看護師数は3分の2でいいとする「精神科特例」がある。その分入院医療費もおよそ3分の1に抑えられているなど、精神科医療に様々な問題が在ることも認識している。
・病院の8割が民間病院、戦後、精神科病床を急速に増やそうとした国の政策の結果であり、民間病院は経営を考えると、患者や病床を積極的に減らすことは中々難しいというのが実情だ。

4.公立病院の院長として何を目指すか>>>
・職員には「選ばれた患者に先進医療を提供することではなく、しんがりを歩いて標準的な治療を提供し、取りこぼしの無い医療をしよう」と話している。
・取りこぼしがない医療とは、面倒な患者こそ松沢病院で診るべきだということで、2013年に「民間医療機関の依頼を断らない」というスローガンを掲げた。
・当初は「これ以上患者が増えると良い医療ができない」と空きがあっても入院を断ることがあった。しかし、断られた患者は松沢病院より人出が少ない民間病院が見るわけで、断る理由にはならない。翌2014年には「患者さんに選ばれる病院になろう」というスローガンを掲げた。

5.身体拘束を考える>>>
・拘束を「合理的な理由があり法律的な手続きが正しければよい」という人もいる。
しかし、理由があればいいのかということだ。退院した患者が「何かあったら松沢病院に行きたい」と言ってくれる医療をやろうと呼びかけた。
・「患者が薬を飲むのを止めて再発させ、警察官に縛られて病院に来る」のと、「最近落ち着かないから自ら松沢病院に来る」のでは、患者のストレスが違う。自分の意思で治療を選択するとういう経験は、精神疾患を抱えながら自分の力で自分の人生を生き抜くために必要な経験だ。
・身体拘束をなくすという目標はその一環であって、院長になった頃は入院患者の拘束率は20%弱だったが、今は約3%となった。何故減ったのか?
・スタッフの中に本当は縛りたくない人が沢山いる。拘束をしないと決めたことでスタッフが興奮している患者とも真摯に向き合い、一生懸命説得するようになった。精神科は看護部が重要。看護部長はじめスタッフの力が大きい。
・事故を防ぐために身体拘束は必要だという人もいる。認知症患者が入院中に転び、病院側に3000万円の賠償を命じられた判決があった。
民間病院は訴えられると経営上困る。従って、前の病院では家族を味方につけようと、面会は24時間可能とし、人手が少ない夜間帯に見えた家族は、看護スタッフ3人が走り回って60人に対応しているのをみる。その仕事ぶりをみれば、万が一、骨折事故があっても理解してくれる。
・松沢病院ではホームページに事故報告を公開しているし、出来るだけ病棟内で面会していただき、店頭や骨折のリスクを家族に伝えている。
確かに拘束をやめて、転倒や高齢女性の骨折は増えている。しかし、他の病院との比較で松沢病院が高いということはない。
・日本では身体拘束される患者が年間1万人を越え、10年前の2倍に増えている。しかし、本当に拘束以外に方法はないのか真剣に考えているのかという問題はある。
・ただ精神科病院はもともとスタッフが少ない。また家族側にも精神科病院に偏見があり、「精神科に入院させた」という罪悪感があって、事故があるとその思いが病院への攻撃に変わる。精神医療が世間で受け入れられ、入院することは恥ずかしい事ではないという認識になれば、もう少し寛容になれると思う。
***************************次号に続きます。