上越市家族会 ~ひとりで悩まずみんなで支え合って~

この会は、こころの病を持つ人を身内に抱える家族の集まりです。みんなで支え合って精神障害者の福祉向上を目指します。

家族支援ということ(3)     No222

2020-04-30 08:31:01 | 日記
◆前号に引き続き、家族支援の必要性について家族支援を推進されている佐藤純氏の論文「何をすることが家族の支援になるのか」を紹介します。
◯佐藤純氏は、京都ノートルダム女子大の准教授で、昨年、新潟で開催された精神保健福祉フォーラムにもお出でいただきました。
~「何をすることが家族の支援になるのか」~
◯下記のとおり「1~8」に整理してあります。前号は5~6でした。今回は7~8です。
1.相談の実態は半数が家族、心労が心配、一体誰に支えられているのか!
2.家族支援=家族心理教育と言われたが!
3.家族支援=家族心理教育+家族自身の人生の支援!
4.家族自身の困難について:医療も専門職も目が届いていない!
5.ACT―K(アクト-K 京都)の活動からみる家族自身の人生への支援のあり方!
6.英国に見る家族支援;家族と別に暮らすことが可能な支援!
7.「家族がケアをするかしないかを選択できる権利を保障する」ことの意義!
8.さいごに・・・!


7.「家族がケアをするかしないかを選択できる権利を保障する」ことの意義!
(1)これまで述べたように、我が国では家族のケアなしに地域生活をおくることが難しい状況にある。そのため、まずは当事者自身も支援するスタッフも、家族によるケアを当てにせずとも地域生活が可能になるよう、きめ細やかな訪問による地域医療や地域生活支援の充実を図ることを目指さなければならない。
近年、家族の個人化は一層進んでいる中、今後ますます家族のケアを当てにしなくても当事者が地域で暮らすことができるようなシステムが求められている。
(2)このような地域精神保健医療福祉の支援が整うことではじめて、当事者とその家族が、「ケアをしない、ケアを受けない」を選択する条件が整うことになる。
どうすれば質の高い地域生活支援を実現できるのか、英国のバーミンガムの幹部に尋ねると、精神科病床の削減と地域精神保健医療福祉システムの充実が同時に進められることではじめて可能となると強い口調で語ってくれた。
8.さいごに・・・!
青年期は自立の時期である。そんな精神に障害のある人の中にも、親と同居してケアを受けることへ否定的な考えの人もいると思うし、逆なケースで親が否定をする考えもあると思う。内心そう思いながら生活することほど辛いことはない。
そういった辛い関係を回避するためにも、まず、本人と家族に同居するか別居するかを尋ね、地域で暮らしていく為の支援をして行く英国のバーミンガムのようなシステムが日本に実現できれば、このような選択が可能になるかも知れない。
本人や家族が望んでいる支援とはこういう支援ではないかと、2011年(平成23年)秋の時点で考えている。
しかし、目の前に表れる本人と家族は、難しい現実に直面しながら何とか乗り切れないものかと四苦八苦しているのが現状である。これらの目指す方向を本人も家族も共有した上で、まずは可能な限り、本人も家族もともに一人ひとりの人生を活き活きと暮らせるように家族支援を実践していくことが求められている。
*************************************
■家族支援について佐藤純先生の論文を僭越ながらまとめてみました。約10年前に書かれたものですが、現状はどうでしょう。入院者数もそう変わらず、病院中心の状態は相変わらずではないでしょうか。そんな中、上越市障害者福祉計画(H30.3)の中で「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」が事業化され、「保健、医療、福祉関係者の連携のもと病院から地域へ」という流れが、「上越市版地域包括ケアシステム」の中で検討されていくこととなった訳ですが、如何に理念に基づく目標に近づくシステムを創り上げていくか、難儀なことではありますが期待をしたいと思っています。
自助・互助・公助・共助とは地域で障害者や高齢者そして子供達をみんなで支えていくという、地域で暮らす一人ひとりの生きて行く権利を保障する助け合いの精神だと思います。まさに、佐藤先生が10年前に言われたことの実現だと思います。
この論文を読んでそんな感想を感じました。
何とか簡単に(失礼)まとめようと思ったのですが、書き始めると「ここは入れなければ」とか思い、とうとうA4版4ページになってしまいました。分かりにくい所が多々あったかと思いますがご容赦を願います。(吉原)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

家族支援ということ(2)      No221

2020-04-26 14:02:11 | 日記
◆前号に続いて、家族支援を推進されている佐藤純氏の論文「何をすることが家族の支援になるのか」を紹介します。
~「何をすることが家族の支援になるのか」~
◯下記のとおり「1~8」に整理してあります。前号は1~4でした。今回は5~6です。
1.相談の実態は半数が家族、心労が心配、一体誰に支えられているのか!
2.家族支援=家族心理教育と言われたが!
3.家族支援=家族心理教育+家族自身の人生の支援!
4.家族自身の困難について:医療も専門職も目が届いていない!
5.ACT―K(アクト-K 京都)の活動からみる家族自身の人生への支援のあり方!
6.英国に見る家族支援;家族と別に暮らすことが可能な支援!

7.「家族がケアをするかしないかを選択できる権利を保障する」ことの意義!
8.さいごに・・・!

5.ACT―K(アクト-K 京都)の活動からみる家族自身の人生への支援のあり方!
◯ACT―K(アクト-K)は京都市内で、主に統合失調症患者を対象に地域で暮らすための訪問支援をしています。メンバーは医師、看護師、薬剤師、精神保健福祉士の多職種で構成され、緊急対応を含む24時間365日の体制がとられています。
注:ACTとは?******************************
ACT(Assertive Community Treatment:包括的地域生活支援)は, 重い精神障害をもった人であっても, 地域社会の中で自分らしい生活を実現・維持できるよう包括的な訪問型支援を提供するケアマネジメントモデルのひとつです. 1970年代初頭にアメリカで生まれてから多くの国に普及し, 効果が実証されています. 特徴として以下のようなことが挙げられます.
・看護師・精神保健福祉士・作業療法士・精神科医からなる多職種チームアプローチであること.
・利用者の生活の場へ赴くアウトリーチ(訪問)が支援活動の中心であること.
・365日24時間のサービスを実施すること.
・スタッフ1人に対し担当する利用者を10人以下とすること.
このような特徴は, 医療・福祉・リハビリなど多岐にわたる支援を網羅する集中的で包括的な, 利用者のあり方に沿った地域生活を支えるために, 欠くことの出来ない要素です。********************************
◯ACT―Kのスタッフと利用者のインタビューから家族支援の調査を進めていくと・・・
(1)当事者の病状の変化について家族に聞くと「少し良くなったでしょうか」程度の反応だったが、ACTスタッフがアウトリーチ支援の中で本人や時には家族と「楽しく話す」➡「ともに活動する」➡「一緒に出掛ける」など繰返すことにより、本人が「良く笑うようになった」「外に出かけるようになった」など変化がみられた。
(2)ACTの家族支援について家族に尋ねると、「特に家族に対し特別な支援はない」と答える。次にACTスタッフに同じことを尋ねると、実に丁寧に家族と「支援関係つくり」を行いながら、当事者のケアの他にニーズがあれば家族自身に対する支援も行っていることがわかった。しかもスタッフは問題を解決するのではなく、パートナーとして家族との共同作業の中で、家族自らが解決していくという側面的支援に徹している。
当事者や家族に対し、ごく自然に行われる支援の為、冒頭の家族の言葉にあるように「特別な支援はない」と認識されたようだ。
(3)ACTはケアマネジメントの一類型であり、そこにニーズがあれば多くのスタッフが得意技を生かしながら柔軟なチームワークと豊かな創意工夫と、やる以上は楽しくやろうとする姿勢で本人や家族を支援するのである。更に、ACTは訪問による支援が加わる。来所や来院と違い、家族に受け入れられなければ本人に会うこともできない。まずは、家族との信頼関係をつくることに心をくだき、その上で本人や家族への支援もごく自然に行われていることがわかった。
(4)このような支援が続けられると、本人の病状があまり変化しなくても、同居している家族に「本人が生き生きとして生活していくことができるかもしれない」という希望がみられ、更にインタビューをした家族全員が「私達が死んでもACTさんがきてくれるから」と言われた。私はこれまでにこんな信頼感と安心感をもった言葉を聞いた事が無かった。
6.英国に見る家族支援;家族と別に暮らすことが可能な支援!
◯ACT-kスタッフと英国のバーミンガムに一週間ほど視察に出かけた。人口130万人、そこに広がる精神保健医療福祉システムは実によくデザインされていた。
(1)地域には必要最小限の入院病床数、かつ入院治療は原則20日間迄、地域で精神障害者が暮らして行く為に、リハビリやリカバリーを担当する「一般精神保健医療福祉チーム」、重い精神に障害がある人達の為の「ACTチーム」、危機介入のために訪問する「ホームトリトメントチーム」など3種類の多職種訪問チームが地域を走り回って支援をしている。
(2)住まいが何よりも重要と、自宅、アパート、公営住宅、グループホーム、レスパイト施設(一時休養施設)が整えられ、本人の希望にそって住まいを定めていくということであった。ちなみにACT利用者の中で家族と同居しているか尋ねたところ、重い状態であるにもかかわらず18%であった。通院中である日本の場合の同居率は何と75%である。つまり、英国のバーミンガムでは、家族と同居せずとも地域で暮らせるシステムが整えてある。そして、英国では成人した子供が親とは同居しないという文化的な違いはあるのだが、精神保健福祉のスタッフは口々に家族支援の大事さも言い、家族支援の技術も身につけていて、日本とのあまりに違い過ぎる「差」がそこにあった。
(3)日本には精神に障害のある人の約33万人が入院し、家族のケアに依存した地域精神保健医療福祉システムだとバーミンガムのスタッフに説明すると、スタッフの全ての人達が口を揃えて「イギリスの50年前だね」と話された。50年も差があるのかと唖然とした。1918年(大正7年)に呉秀三が欧州を視察した後に書いたと言われる「我が国に生まれたる不幸」はいままだ存在しているのだと思いを新たにした。・・・次号に続きます。
黄色のビオラです。花言葉は「ささやかな幸せ」です。皆さん、コロナウイルス対策はシッカリと!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

家族支援ということ(1)    No220  

2020-04-23 14:32:43 | 日記
◆家族支援の必要性については新家連の江口理事長がよく口にされています。近年、家族への支援も含めた「丸ごと支援」がいわれるようになりましたが、まだまだ道半ばではないでしょうか。
家族支援を推進されている佐藤純氏の論文「何をすることが家族の支援になるのか」が江口理事長より提供がありましたので紹介します。

◯佐藤純氏は、京都ノートルダム女子大の准教授で、昨年、新潟で開催された精神保健福祉フォーラムにもお出でいただきました。
◯下記のとおり「1~8」に整理されています。今号No220 は1~4を掲載しました。次号No221は5~8の予定です。
1.相談の実態は半数が家族、心労が心配、一体誰に支えられているのか!
2.家族支援=家族心理教育と言われたが!
3.家族支援=家族心理教育+家族自身の人生の支援!
4.家族自身の困難について:医療も専門職も目が届いていない!
5.ACT―K(アクト-K 京都)の活動からみる家族自身の人生への支援のあり方!
6.英国に見る家族支援;家族と別に暮らすことが可能な支援!
7.「家族がケアをするかしないかを選択できる権利を保障する」ことの意義!
8.さいごに・・・!
**********「何をすることが家族の支援になるのか」********************
1.相談の実態は半数が家族、心労が心配、一体誰に支えられているのか!
同氏は大学の教員になる前の18年間を、京都府の保健所や精神保健福祉センターで相談員として勤務をしてきた。相談に来る方は半数が家族で、その多くが肩を落として、誰かに見られないかキョロキョロしながら相談に見える。思わず家族の方のことが心配になってしまい、大丈夫かと尋ねてしまう。話が終わると「有難うございました。何とか頑張ってみます」といって、帰る後姿をみて、いったいこの人達は誰に支えられているのだろうといつも考えていた。
2.家族支援=家族心理教育と言われたが!
家族に対し、精神疾患やその治療として使える社会資源や制度の知識などの情報と併せて、心理的な支えが必要と捉えられるようになり、家族への心理教育を提供すするようになった。
3.家族支援=家族心理教育+家族自身の人生の支援!
しかし、ある2つの家族の支援をした経験から家族支援とは何かを改めて考えた。
その内容は、精神障害者を抱える家族が、自分の生活のほとんどを当事者のケアに費やし、本来ならば経験できることさえもできないでいるなど、全ての生活が家族の犠牲の上に成り立っているという実態であった。
そして、自分が見落としていたことは「家族が当事者に対し如何にケアするか」ということだけに目を奪われ、「その家族自身の人生にまで思いをはせる」ことができなかった。
4.家族自身の困難について:医療も専門職も目が届いていない!
京都府の家族会員500人に対しアンケートを行い、「家族自身の困難について、主治医や専門職に尋ねられたことがあるか」の質問をしたところ、約60%が尋ねられないか、或は尋ねられても相談にはのってもらえなかったというものだった。
やはり、多くの支援者は、当事者の病状やケアに関する困難にはよく尋ね、助言や支援を行っているが、家族自身の困難や悩みまでは関心が向けられていない事がわかった。・・・・・次号に続きます。
黄色のパンジーの花言葉は「つつましい幸せ」だそうです!コロナウイルスに負けないで感染予防を!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「家族の茶の間」合同交流会スタート!  No219

2020-04-18 16:35:30 | 日記
◆4月16日(第3木曜日)は、今年度よりスタートした地域活動支援センター利用者と家族会との合同交流会でした。午後1時から開催し13名の参加がありました。
チョット当日の状況をお知らせしますと********************
交流会は、NPO上越メンタルネットの青木さんの進行で開始、①守秘義務、②人の話を邪魔しない、③発言の強制はしない。3点を確認し、自己紹介から始まりました。自己紹介が終わると、ある家族の方から、今抱える悩みの発言がありました。
詳細は載せることはできませんが、やはり当事者と家族の関わりに関することでした。
出席された皆さんから、当事者のこと、家族のこと、病院のこと、支援者のこと、自分の経験してきたことなど、質問や自分の思いなどそれぞれ発言がありました。
交流会は、どうしても雰囲気が重くなるようですが、思いを話す中で、適当に笑いもあったりして少し楽になります。今回は当事者の皆さんの参加もあり、更に笑顔が多かったように思えました。
利用者の方々の「‘地活あぽあん‘に一度一緒に来てみたらどうですか?」という声がけもあって、その方向で進むこととなりました。
開始後1時間が過ぎて、発言された家族の方から「今日はホットしました!」という声をお聞きし、私達もホットしました。
ここで、お茶が入り、それぞれお茶を戴きながら談笑し3時に解散となりました。
*************************************
以上でした。次は5月21日(木)13時~地活あぽあんです!
写真は当日の家族の茶の間です。

◆新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受け、福祉交流プラザが19日~5月6日まで臨時休館となります。会議、催事などの複数による集まり等が今回の中止の対象となっており、「地活あぽあん」も6日まで中止ということになります。
但し、福祉交流プラザに入っている事業所は運営しています。レストランもいつものとおり営業しています。
相談など個別対応は従来どおりとなります。
緊急事態宣言が全国に出されました。皆さん、感染予防に注意しましょう!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

16日は家族の茶の間です!            No218

2020-04-14 18:30:58 | 日記
◆「家族の茶の間」を4月16日(木)13時~開催致します。今年度より第3木曜日の家族の茶の間は、地域活動支援センター「あぽあん」利用者の皆さんと合同開催となります。
始めての試みですが、当事者と家族のそれぞれの想いを話し合ってみるのもよろしいかと思います。何れにしても気楽に肩の張らない茶の間にしたいと思っています。
換気をするなど注意して開催したいと思います。どうぞお出かけください!
場所は、福祉交流プラザ1階、NPO上越メンタルネット打合せ室です。
会報14号と上精連あゆみ25号が発行されました。お手元に届いたと思います!

花桃とソメイヨシノいいですね!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする