◆1月19日県庁にて、「しんかれん」理事長、副理事長、理事の5名で行いました。県側は「いのちとこころの支援室」の室長以下4名の皆様、県会議員(自民、未来、共産)の皆様も同席していただきました。私も上越市家族会長として初めての経験でしたが、思う所を述べて参りました。
回答については後日いただく事となっておりますが、当日は私達の主旨と行政側の考え方について議論を行いました。
初めての出席で感じたことは「壁は厚い・・・」という事でした。
しかしながら「まだまだこれから・・・、これで・・・!!!」と思いました。
以下は陳情の内容です。
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平成30年 1月19日
新潟県知事 米山 隆一 様
特定非営利活動法人
新潟県精神障害者家族会連合会
理事長 江口 道夫
平成29年度 精神障害者の保健・医療・福祉に関する陳情
平成30年度からの第5期新潟県障害福祉計画において『精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築』が検討事項に挙げられています。精神障害の疾患の治療には医学的治療、障害の援助には福祉的援助がそれぞれなされていますが、この医学的治療と福祉的援助が包括された複合的支援が存在する”地域”こそ、人が孤立せず安心して自分らしく暮らすことができる場所であり”地域包括ケアシステム”の”地域”であると私たちは考えます。
1 精神医療の今後について
①アウトリーチ体制の実現に向けた取り組みをお願いします。
精神科病院と診療所及び福祉が連携し、多職種チームによる支援体制を構築できるような対策を講じてください。引きこもりの人や未治療者を医療につなげ、在宅での生活が安定するためには生活の場における長期的な支援が必要です。
②往診・訪問診療の充実
現在の精神医療は本人を病院に連れて行かないとことが進みません。
私たちは、この前提こそが問題であると思います。加えて下記のような状況下で多くの受診困難な患者とその家族がおります。
1.病気の症状から通院出来ない人、病状悪化が進んでいる人、また病識がない当事者。
2.県北の村上市府屋地域や糸魚川市ではJRとバスを乗り継いで片道1時間以かけて通院している現実があります。
3.佐渡市や魚沼地域のような中山間地域での受診は車に頼るしかありません。今まで親が自家用車を運転し、当事者を連れて行ったところですが「8050問題」と言い表されるように親が高齢になり通院させるのが困難な状況になっておりす。
4.行政区域の中で精神科病院、ましてや診療所も無い精神医療空白地帯では公共交通機関を利用してもアクセスが悪く、時としてタクシー利用を余儀なくされ高額な交通費の支出を強いられております。是非、医療に緊急時の往診や定期的な訪問診療充実の働きかけをお願いします。
2.重度心身障害者医療費助成制度を引続き2級にも適用してください
皆様のお力で精神障害者保健福祉手帳1級に重度心身障害者医療費助成制度の適用が実現しました。誠にありがとうございます。なお引き続きではございますが手帳所持者の8割を占める2級にまで拡大していただけますようお願いします。
平成28年の新潟県の調査によりますと2級は12,707人おります。精神障害者の7割は年収100万円以下、親との同居率は6割。20~44歳の未婚者で親と同居する人が31.9%という総務省統計数字の2倍以上です。これは親の庇護の下でやっと生計を立てている精神障害者の姿が見えます。また薬による副作用で障害者は圧倒的な成人病予備軍であり、心血管系の有病率の多さなど、将来的に当事者の医療費の負担は目に見えています。
上記実現のため宜しくお願いします。
3 県央基幹病院に「精神科救急及び精神障害者の身体合併症治療に
対応できる精神科病床」の設置をお願いします
県央圏域における精神科病床数は基準病床数の40%以下で県内二次保健医療七圏域中最も低い状態です。60%の患者さんが他圏域の病院に入院・通院せざるをえない現状にあります。著しい医療の地域間格差の存在があります。県央基幹病院に県立新発田病院、魚沼基幹病院並みの身体合併症治療に対応できる精神科病院を設置してください。
身体合併症治療に対応できる総合病院は長岡(中越)圏域にもなく長岡地域の身体合併症
治療の受け皿としても必要と思われます。ご検討のほど宜しくお願いします。
4 義務教育での『心のバリアフリー教育』を補完する精神障害・精神保健の正しい教育を実現してください
保健体育でのカリキュラム化は最大の予防と偏見・差別の解消の手段です。
精神疾患は、生涯を通じて5人に1人がかかるといわれています。国民5大疾病の第1位であり、発症してから治療を受けるまでの期間が長ければ長いほど治りにくくなります。
「心の病気に早く気づき」「もし心の病気になってしまったらどうしたらいい」「心の病気の人にどう接したらいい」について義務教育(小中)と高等学校段階まで備える教育が重要ではないでしょうか。統合失調症の発症 (100人に1人) のピークが思春期から青年期にであると言われています。これは家族会会員の100%が当事者の中学校での不登校を経験しています。
いち早く病気のシグナルを先生や周囲が受けとめ、医療と支援につなげることの重要ではないでしょうか。是非、この福祉教育実現に向けてご尽力ください。
5 精神障害者の就労について
障害者の自立は経済的自立を前提にしつつも、日本の精神科医療の主流は薬物療法と入院治療が主流です。服薬を定期的に続けての就労の困難さ、病気の特性である体調の変化(良いときと悪いときがある)があるのが精神障害者です。来年度から障害者の法定雇用率の改定があります。主な改訂としては一般企業の障害者雇用率2.0%が.2.2%になります。しかし精神障害は見えない障害です。精神障害者の特性を考慮して職場でのフォロー、サポート体制の充実に雇用する企業へのご指導をくれぐれもお願いします。
6 さいがた医療センターの医師不足解消に向けて国立病院機構への県の働きかけをお願いします。
さいがた医療センターは、地域の精神科医療の中心として、私ども家族と精神障害者の心の拠り所として永年支えていただいて参りました。
しかしながら、本年度に入り医師の異動そして退職が続き常勤医が一人という異常な状態となっております。更に8月、「医師不足の為、患者への充実した診察が出来ない為一部患者に転院をお願いしたい・・」等の内容の文書が掲出されました。
私達家族会の中からも、常勤医師一人という主治医不在の現状に当事者も家族もとまどいが広がっております。
精神障害者にとって主治医の重要性は言うまでもありません。
遡ること6年前の平成23年3月に新患診察の休止が掲出された時は、近いうちに必ずや再開されるだろうと何の疑いももっておりませんでした。
医師不足が表面化して6年が経った今、現状をみれば悪化の一途を辿ってきたこととなります。さいがた医療センターの院長を初め医師・看護師・関係職員の皆様、そして出張医の皆様がこの厳しい環境の中で頑張っておられる事は理解します。
しかしながら、永年、犀潟の地にあるこの病院に通院し、或は入院をして病院を信頼し、心の拠り所としてきた上越地域あるいは上越地域外からの患者の皆さん、そして私達家族の不安は図り知れないものがあります。
全国的な医師不足と言われておりますが、なぜ独立行政法人という公立の、且つ、県内の唯一の精神科の基幹病院としての社会的責任がきわめて大きな病院が、新患の休止や入院・外来患者の転院までを選択しなければならないのか、私達には理解できないことであります。
どうかこの声をお聞きいただき一日も早く安心して本来の医療が受けられるよう、かかる問題の解消に向け、行政として関係機関への働きかけを切にお願いするものです。宜しくお願い申し上げます。
以上
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