ガトゥ・ハロゥ

八犬伝と特撮と山田風太郎をこよなく愛する花夜のブログ。

京伝と馬琴

2015年12月14日 22時02分53秒 | 八犬伝いろいろ
最近はこんな漫画を読んでます。

在原業平と菅原道真がコンビ?組んで「相棒」みたいに謎を解く「応天の門」とか
清少納言と紫式部が意気投合したりしなかったりの「姫のためなら死ねる」とか
最澄と空海がとにかく格好いい「阿・吽」とか
歴史上の人物で接点のあるふたり、別の視点から見れば…な漫画が面白いです。

だから、馬琴と京伝の若かりし頃の漫画とか小説とかがあったら面白そうだなぁと。
(だけど、付け焼刃的な中身ぺらぺらのBL系だったらやだなあ)

馬琴先生こと曲亭馬琴が、その書き物の先輩というか弟子入り志願した相手が山東京伝。
当時のお江戸のベストセラー作家だった京伝28歳に弟子にしてくれと押しかける馬琴24歳。

「弟子にしてください」
「駄目。だけどここに来たいんだったら来てもいいよ」

あくまでも想像です。そして弟子にはしてもらえなかったけれど、京伝の家に通い詰める馬琴。
時には長期間泊り込みで、口述筆記みたいなものをこなしたり。
そんな、このふたりの関係がちょっとどころか、かなり心魅かれるものだったりして。

大雑把に書いてのふたりの巨匠のイメージ。

おおらかで陽気で好奇心旺盛で実力もあって頼れるリーダー気質の京伝と
偏屈で真面目でひがみっぽくて正義感は強いけれど世渡りの下手なタイプの馬琴。

ふたりの関係は一般的には「ライバル」で「師弟関係」としか出てこないけど、なんとなく違うような。

明るい性格で面倒見のいい京伝を慕いながらもその才能と才覚に嫉妬しまくりの馬琴。
難しい性格のくせに驚くほどにロマン溢れる設定の物語を真面目に書き続ける馬琴に一目置く京伝。

いろいろ読むと、こんな風なイメージがこのふたりには浮かぶんですね。
この小説のイメージも大きいです →山東京伝の人物考【およね平吉時穴道行】

馬琴と京伝が出会ってから26年目。京伝は急死。
奇しくもそれから26年目の夏。長編「八犬伝」完結。
自分と出会ってから死ぬまでの「26年」の間に京伝が出した作品を越えてみせよう。
そう馬琴が思っていたなら、京伝が死んでからの「26年間」がタイムリミット。
偏屈な馬琴ならそんな風にも思っていたんじゃないのかなぁと。

琉球王国の王子の浪漫あふれる活劇奇譚の次は、宇宙樹(?)の下での男女の宿命の恋愛もの。
で、この次が因果が入り乱れまくりの、お姫様と獣との悲恋と、その宿命を受け継いだ
八人の青年たちの運命の物語「八犬伝」。

そりゃ、女性人気爆発になるわけですよ。
こうやってそれらしく書き出してみただけでも、読みたくなるもの。

「この作品であなたを越えてみせます」と馬琴が言ったかどうかは判らないけど
書き始めてから2年目でその京伝は死去。一番に読ませて張り合いたかった相手を失っても
必死必死で書いていった馬琴の心中やいかに。
眼が見えなくなっても、後半の親兵衛のひとり活躍ばかりの内容が延々と続いて人気が落ちてきても
「とにかく完結させる」と書き続けた執念はここにも一因あるのではないかと思うのです。


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