一昨年、死ぬ前に源氏物語でも読んどくかと思い、読み終えた。
もちろん、現代語訳、瀬戸内源氏である。
読む前にいだいていた源氏物語のイメージとはだいぶ違った。
光源氏という名のプレイボーイが織りなす数々の女遍歴。(同僚は「平安エロ小説」と呼んでいた)
全然違うのであ~る。
いきなり、女に逃げられ、しかたなく隣の生娘に手を出す。
通ってた女が死んで大慌て。
ロリコン伯爵顔負け小学生に手を出す。
かと思うと60歳近くの婆ちゃん相手に親友と戯れる。
まあ、特異な関係だけが物語になるのだろうけれど、それにしても、である。
何よりも「困ったことで」いう感じで書かれており、女性が「まったく男ったら、いつまでもしょうがない」と言っているかのよう。
プレイボーイが女をもてあそぶというよりも、女の掌で踊らされているという感じ。
瀬戸内寂聴さんは、女性差別の視点で解説していたが、ちょっと違う印象を持った。
「こうしたら、ああなる。ああしたらこうなる。どうしたらいいかわからない」とか「周りの人がどう思うだろうか」など、つくづく「日本だなあ」と感じた。
宇治十帖の方がおもしろい。
特に「浮舟」。(2日間やりまくり)
好みは「朧月夜」。
1000年前にすでに、天皇の子が実子ではない、と書かれており、それが貴族達のベストセラーになるのだから。
それにしても、1000年前に女性がこのような小説を残すという日本文化はすごい。(女性が読み書きをできる文化はそうなかったという意味)
円地源氏がおすすめかな。(瀬戸内源氏は「ですます」調が読みづらい)
橋本源氏も個性的だが。(彼の「徒然草」はよかった)
大塚ひかりはエロ過ぎ。(余韻がないね)
原文にも挑戦してみたい。
何せ「夕顔」の冒頭、「白き花ぞ、おのれひとり笑みの眉開けたる」なんて、絶対に訳せないよね。
残念ながら、歌心がないため、おもしろみは半減していると思う。
ぜひご一読を。