古事記・日本書紀・万葉集を読む(論文集)

ヤマトコトバについての学術情報リポジトリ 加藤良平

十巻本和名類聚抄 巻第二(1/2)

2022年03月04日 | 和名類聚抄
和名類聚抄巻第二
和名類聚抄巻第二
 形體部第三 疾病部第四 術藝部第五
 形体部第三 疾病部第四 術芸部第五
形躰部第三
形躰部第三
 頭面類十三 耳目類十四 鼻口類十五 毛髮類十六 身體類十七 蔵府類十八 手足類十九 莖𡸁類二十
 頭面類十三 耳目類十四 鼻口類十五 毛髪類十六 身体類十七 蔵府類十八 手足類十九 茎垂類二十

頭面類十三
頭面類十三
首頭 釋名曰首〈賀宇倍〉始也頭〈度侯反訓上同一云賀之良〉獨也言𠁅體而獨貴也
首頭 釈名に曰く、首〈賀宇倍(かうべ)〉は始(はじめ)なり、頭〈度侯反、訓は上に同じ、一に賀之良(かしら)と云ふ〉は独なりといふ。体にある処にして独り貴(たか)きなるを言ふ。
顱〈髑髏附〉 文字集略云顱〈落胡反字亦作髗加之良乃加波良〉𦛁葢也玉篇云髑髏〈獨娄二音俗云比度加之良〉頭骨也
顱〈髑髏付〉 文字集略に云はく、顱〈落胡反、字は亦、髗に作る、加之良乃加波良(かしらのかはら)〉は脳の蓋なりといふ。玉篇に云はく、髑髏〈独婁の二音、俗に比度加之良(ひとがしら)と云ふ〉は頭骨なりといふ。
𦛁 說文云𦛁〈奴道反字亦作𦠊和名奈都歧〉頭中髓也
脳 説文に云はく、脳〈奴道反、字は亦、𦠊に作る、和名は奈都岐(なづき)〉は頭中の髄なりといふ。
顖會 針灸經云顖會一名天窓〈顖音信字亦作囱和名阿太万〉楊氏漢語抄云䫜〈訓上同音於交反〉
顖会 針灸経に云はく、顖会は一名に天窓といふ〈顖の音は信、字は亦、囱に作る。和名は阿太万(あたま)〉。楊氏漢語抄に䫜〈訓は上に同じ、音は於交反〉と云ふ。
頂𩕳 陸詞曰㒹〈音天訓以太々歧〉頂也頂𩕳〈丁寜之上聲〉頭上也
頂𩕳 陸詞に曰く、顚〈音は天、訓は以太々岐(いただき)〉は頂なり、頂𩕳〈丁寧の上声〉は頭の上(かみ)なりといふ。
䫦 文字集略云䫦〈古盍反加波知〉䫦車也
䫦 文字集略に云はく、䫦〈古盍反、加波知(かばち)〉は䫦車なりといふ。
蟀谷〈髮際附〉 鍼灸經云耳以上入髮際一寸半有二穴應嚼而動謂之蟀谷〈和名古米加𫟈髮際加𫟈歧波〉
蟀谷〈髪際付〉 針灸経に云はく、耳以上の髪際に入ること一寸半に二穴有り、嚼むに応へて動くは之れを蟀谷〈和名は古米加美(こめかみ)、髪際は加美岐波(かみぎは)〉と謂ふといふ。
雲脂 墨子五行記云頭垢謂之雲脂〈和名頭乃阿加一云以路古〉
雲脂 墨子五行記に云はく、頭垢は之れを雲脂〈和名は頭乃阿加(かしらのあか)、一に以路古(いろこ)と云ふ〉と謂ふといふ。
顔面 四聲字菀云顔〈五姦反訓与面同〉眉目間也遊仙窟云面子〈師說加保波世一云保々豆歧〉
顔面 四声字苑に云はく、顔〈五姦反、訓は面と同じ〉は眉目の間なりといふ。遊仙窟に面子〈師説に加保波世(かほばせ)、一に保々豆岐(ほほづき)と云ふ〉と云ふ。
額 楊雄方言云額〈五陌反比太非〉東齊謂之䫙〈蘓朗反〉幽州謂之顎〈五各反〉
額 楊雄方言に云はく、額〈五陌反、比太非(ひたひ)〉は東斉に之れを顙〈蘇朗反〉と謂ひ、幽州に之れを顎〈五各反〉と謂ふといふ。
頰〈頰骨附〉 野王案云頬〈音狭豆良一云保々〉面旁目下也師古漢書注云頬骨曰胲〈音改〉玉篇云顴〈音權今案字或通用豆良保祢〉頬骨也或曰輔車
頬〈頬骨付〉 野王案に云はく、頬〈音は狭、豆良(つら)、一に保々(ほほ)と云ふ〉は面の旁(かたはら)、目の下なりといふ。師古漢書注に云はく、頬骨を胲〈音は改〉と曰ふといふ。玉篇に云はく、顴〈音は権、今案ふるに字は或に通ひ用ゐる。豆良保禰(つらぼね)〉は頬骨なりといふ。或に輔車と曰ふ。
靨 淮南子注云靨〈音𦯧恵久保〉面小下也
靨 淮南子注に云はく、靨〈音は葉、恵久保(ゑくぼ)〉は面の小し下(ひく)きところなりといふ。
頷〈頷骨附〉 方言云頥〈音怡〉謂之頷〈胡感反上聲之重字亦作顄於度加比〉野王案顄車〈歧保祢〉頷骨也
頷〈頷骨付〉 方言に云はく、頥〈音は怡〉は之れを頷〈胡感反、上声の重、字は亦、顄に作る。於度加比(おとがひ)〉と謂ふといふ。野王案に顄車〈岐保禰(きぼね)〉は頷骨なりとす。
頸 陸詞切韻云領〈音冷〉頸也頸〈居井反久比〉頭莖也
頸 陸詞切韻に云はく、領〈音は冷〉は頸なり、頸〈居井反、久比(くび)〉は頭の茎なりといふ。
胡 釋名云咽下𡸁曰胡〈之太久比〉
胡 釈名に云はく、咽の下に垂るるを胡〈之太久比(したくび)〉と曰ふといふ。
項 陸詞切韻云項〈胡講反上聲之重宇奈之〉頸後也公羊傳注云齊人項謂之脰〈田侯反〉
項 陸詞切韻に云はく、項〈胡講反、上声の重、宇奈之(うなじ)〉は頸の後なりといふ。公羊伝注に云はく、斉人、項は之れを脰〈田侯反〉と謂ふといふ。

耳目類十四
耳目類十四
耳 孫愐切韻云耳〈𫟈々〉聼聲者也
耳 孫愐切韻に云はく、耳〈美々(みみ)〉は声を聴く者なりといふ。
耳埵 辨色立成云耳埵〈𫟈々太比下丁果反〉
耳埵 弁色立成に耳埵〈美々太比(みみたび)、下は丁果反〉と云ふ。
完骨 針灸經云完骨〈𫟈々世々乃保祢〉耳後大骨也
完骨 針灸経に云はく、完骨〈美々世々乃保禰(みみせせのほね)〉は耳の後の大きな骨なりといふ。
目 釋名云目黙而内識
目 釈名に云はく、目は黙して内に識(しろしめ)すといふ。
眼〈眼皮附〉 廣雅云眼〈吾簡反万奈古〉目子也唐韵云瞳〈音童訓上同〉目也遊仙窟云眼皮〈師說万比歧又末奈古井〉
眼〈眼皮付〉 広雅に云はく、眼〈吾簡反、万奈古(まなこ)〉は目の子なりといふ。唐韻に云はく、瞳〈音は童、訓は上に同じ〉は目なりといふ。遊仙窟に眼皮〈師説に万比岐(まびき)、又、末奈古井(まなこゐ)〉と云ふ。
矊 文字集略云矊〈音綿久路万奈古〉瞳子黒也
矊 文字集略に云はく、矊〈音は綿、久路万奈古(くろまなこ)〉は瞳子の黒きなりといふ。
眸 廣雅云眸〈莫侯反比度𫟈一訓与眼同〉目珠子也
眸 広雅に云はく、眸〈莫侯反、比度美(ひとみ)、一に訓は眼と同じ〉は目の珠子なりといふ。
瞼 唐韵云瞼〈巨險反居儼反末奈布太〉目瞼也
瞼 唐韻に云はく、瞼〈巨険反、居儼反、末奈布太(まなぶた)〉は目の瞼なりといふ。
眶 唐韵云眶〈音匡万奈賀不良〉目眶也
眶 唐韻に云はく、眶〈音は匡、万奈賀不良(まなかぶら)〉は目の眶なりといふ。
眦 廣雅云眦〈在詣反又才賜反末奈之利〉目裂也遊仙窟云眼尾〈師說訓同上〉
眦 広雅に云はく、眦〈在詣反、又、才賜反、末奈之利(まなじり)〉は目の裂なりといふ。遊仙窟に眼尾〈師説に訓は上に同じ〉と云ふ。
眵 唐韵云眵〈音支米久曽〉目汁凝也
眵 唐韻に云はく、眵〈音は支、米久曽(めくそ)〉は目の汁の凝るなりといふ。
涕淚〈𣴎泣附〉 說文云涕淚〈體類二音奈𫟈太〉目汁也黄帝内經云目下謂之𣴎泣〈音急奈𫟈多々利〉
涕涙〈承泣付〉 説文に云はく、涕涙〈体類の二音、奈美太(なみだ)〉は目の汁なりといふ。黄帝内経に云はく、目の下、之れを承泣〈音は急、奈美多々利(なみだたり)〉と謂ふといふ。

鼻口類十五
鼻口類十五
鼻〈嚏附〉 陸詞切韵云鼻〈音必波奈〉面中岳也漢書注云髙祖為人隆凖〈音准〉應劭曰隆髙也李斐曰凖鼻也玉篇云嚏〈丁計反波奈比流〉
鼻〈嚏付〉 陸詞切韻に云はく、鼻〈音は必、波奈(はな)〉は面中の岳なりといふ。漢書注に云はく、高祖は為人(ひととなり)隆凖〈音は准〉なりとは、応劭は隆は高なりと曰ひ、李斐は凖は鼻なりと曰ふといふ。玉篇に嚏〈丁計反、波奈比流(はなひる)〉と云ふ。
齃 說文云齃〈烏曷反字亦作頞波奈久歧〉鼻莖也
齃 説文に云はく、齃〈烏曷反、字は亦、頞に作る。波奈久岐(はなぐき)〉は鼻の茎なりといふ。
鼻柱 黄帝内經云水溝在鼻柱下〈鼻柱波奈波之良〉
鼻柱 黄帝内経に云はく、水溝は鼻柱の下に在りといふ。〈鼻柱は波奈波之良(はなばしら)〉
𩈄 說文云𩈄〈女菊反波𥘾知〉鼻出血也
衄 説文に云はく、衄〈女菊反、波奈知(はなぢ)〉は鼻より出づる血なりといふ。
洟〈挮字附〉 字書云洟〈音夷湏々波奈〉鼻液也文字集略云挮〈他礼反又他細反俗云波奈加无〉以手去鼻洟也
洟〈挮字付〉 字書に云はく、洟〈音は夷、須々波奈(すすはな)〉は鼻の液なりといふ。文字集略に云はく、挮〈他礼反、又、他細反、俗に波奈加无(はなかむ)と云ふ〉は手を以て鼻の洟(しる)を去るなりといふ。
口 野王案口〈苦后反〉㪽以言食也
口 野王案に口〈苦后反〉は言ひ食ふ所以なりとす。
舌 四声字苑云舌〈音切之多〉
舌 四声字苑に云はく、舌〈音は切、之多(した)〉といふ。
人中 黄帝内經云水溝即人中也
人中 黄帝内経に云はく、水溝は即ち人中なりといふ。
脣吻 說文云脣吻〈上音旬久知比留下音粉久知佐歧良〉
脣吻 説文に脣吻〈上の音は旬、久知比留(くちびる)、下の音は粉、久知佐岐良(くちさきら)〉と云ふ。
縦理 史記云縦理〈如字入縦理口餓死之相也〉
縦理 史記に縦理〈字の如し、縦理の入る口は餓死の相なり〉と云ふ。
齒〈齔字附〉 說文云齒〈音始波〉口中㹞骨者也齔〈初覲反去聲訓波賀久〉毀齒也
歯〈齔字付〉 説文に云はく、歯〈音は始、波(は)〉は口の中の骨を齗(かみあ)はす者なり、齔〈初覲反、去声、訓は波賀久(はかく)〉は歯を毀(そこな)ふなりといふ。
板齒 辨色立成云板齒〈奴可波楊氏說同〉
板歯 弁色立成に板歯〈奴可波(ぬかば)、楊氏の説に同じ〉と云ふ。
牙 廣雅云機謂之牙〈𩵋加反歧波〉野王案牙在齒後最近輔車者也
牙 広雅に云はく、機は之れを牙〈魚加反、岐波(きば)〉と謂ふといふ。野王案に、牙は歯の後に在り最も輔車に近き者なりとす。
齨 說文云齨〈音舅上聲之重宇湏波〉老人齒如臼也
齨 説文に云はく、齨〈音は舅、上声の重、宇須波(うすば)〉は老人の歯の臼の如きなりといふ。
齗 玉篇云齗〈音銀波之々〉齒之肉也
齗 玉篇に云はく、齗〈音は銀、波之々(はじし)〉は歯の肉なりといふ。
腭 唐韵云腭〈音萼字亦作咢阿歧〉口中上腭也
腭 唐韻に云はく、腭〈音は萼、字は亦、咢に作る、阿岐(あぎ)〉は口の中の上腭なりといふ。
咽喉 說文云咽〈於前反哽之䖏音悦〉謂之嗌〈音益〉尒雅注云喉〈音侯〉謂之嚨〈音籠乃无止〉
咽喉 説文に云はく、咽〈於前反、哽みし処、音は悦〉は之れを嗌〈音は益〉と謂ふといふ。爾雅注に云はく、喉〈音は侯〉は之れを嚨〈音は籠、乃无止(のむど)〉と謂ふといふ。
吭 史記云絶亢而死〈亢音胡郎反又去聲唐韵従口作吭訓上同俗云能无度布江〉
吭 史記に云はく、亢を絶ちて死ぬといふ。〈亢の音は胡郎反、又、去声。唐韻に口に従ひ吭に作る、訓は上に同じ。俗に能无度布江(のむどぶえ)と云ふ〉
唾 考聲切韵云唾〈湯卧反豆波歧〉口中津也
唾 考声切韻に云はく、唾〈湯臥反、豆波岐(つばき)〉は口の中の津なりといふ。

毛髮類十六
毛髪類十六
毫毛 陸詞曰毛〈音旄〉膚毫也毫〈胡髙反〉長毛也
毫毛 陸詞に曰く、毛〈音は旄〉は膚の毫(け)なり、毫〈胡高反〉は長き毛なりといふ。
鬢髮〈髮根附〉 說文云鬢〈卑𠫤反〉頬髮也野王案髮〈音𤼲加𫟈〉首上長毛也蘓敬夲草注云髲〈仁諝音義云音被楊玄操作採髣〈走孔反又私国反〉和名加𫟈乃祢今案楊說是也髲者頭髲見容飾具〉髮根也
鬢髪〈髪根付〉 説文に云はく、鬢〈卑吝反〉は頬の髪なりといふ。野王案に髪〈音は発、加美(かみ)〉は首の上の長き毛なりとす。蘇敬本草注に云はく、髲〈仁諝音義に音は被と云ひ、楊玄操は採髣〈走孔反、又、私国反〉に作る。和名は加美乃禰(かみのね)。今案ふるに楊説は是きなり。髲は頭髲なり、容飾具に見ゆ〉は髪の根なりといふ。
䭮 唐韻云䭮〈音柫沼加々𫟈〉額前髮也
䭮 唐韻に云はく、䭮〈音は柫、沼加々美(ぬかがみ)〉は額の前の髪なりといふ。
髻〈鬟附〉 唐韻云髻〈音計毛度々理〉鬟也四聲字菀云鬟〈音還和名𫟈豆良一訓上同〉屈髮也
髻〈鬟付〉 唐韻に云はく、髻〈音は計、毛度々理(もとどり)〉は鬟なりといふ。四声字苑に云はく、鬟〈音は還、和名は美豆良(みづら)、一に訓は上に同じ〉は屈(まが)れる髪なりといふ。
鬌 文字集略云鬌〈丁果反湏々之路〉小兒剪髮㪽餘也
鬌 文字集略に云はく、鬌〈丁果反、須々之路(すずしろ)〉は小児の髪の剪り余る所なりといふ。
髭鬚 說文云髭〈子移反賀𫟈豆比介〉口上鬚也鬚髯〈上音湏下如廉反之毛豆比介〉頥下毛也
髭鬚 説文に云はく、髭〈子移反、賀美豆比介(かみつひげ)〉は口の上の鬚なり、鬚髯〈上の音は須、下は如廉反、之毛豆比介(しもつひげ)〉は頤(おとがひ)の下の毛なりといふ。
眉 說文云眉〈音麋万由〉目上毛也
眉 説文に云はく、眉〈音は麋、万由(まゆ)〉は目の上の毛なりといふ。
睫 四聲字菀云睫〈音接字亦作𥅴麻都介〉目瞼毛也
睫 四声字苑に云はく、睫〈音は接、字は亦、䀹に作る、麻都介(まつげ)〉は目の瞼の毛なりといふ。
䀹 玉篇云䀹〈子𦯧反目旁也〉
䀹 玉篇に云はく、䀹〈子葉反、目の旁なり〉といふ。

身躰類十七
身体類十七
身 唐韵云身〈式神反〉躬〈音弓又作躳軀音區訓与身同〉
身 唐韻に云はく、身〈式神反〉、躬〈音は弓、又、躳に作る。躯の音は区、訓は身と同じ〉といふ。
肢躰 野王案肢〈章移反字亦作𨈛衣太〉四躰也體〈他礼反字亦作躰〉猶形也有形之揔稱也
肢躰 野王案に肢〈章移反、字は亦、𨈛に作る、衣太(えだ)〉は四躰なり、體〈他礼反、字は亦、躰に作る〉は猶ほ形のごときなり、有形の惣称なりとす。
𩩲𩨗 廣雅云𩩲𩨗〈二音曷亐針灸經云缺盆骨肩骨也加太乃保祢〉
𩩲𩨗 広雅に𩩲𩨗〈二音で曷亐。針灸経に欠盆骨は肩骨なりと云ふ。加太乃保禰(かたのほね)〉と云ふ。
𢩌 陸詞曰𢩌〈音堅加太〉髆也髆〈音愽字亦作膊〉𢩌也
肩 陸詞に曰く、肩〈音は堅、加太(かた)〉は髆なり、髆〈音は博、字は亦、膊に作る〉は肩なりといふ。
胛 四聲字菀云胛〈音鴨賀以加祢〉𢩌之下也
胛 四声字苑に云はく、胛〈音は鴨、賀以加禰(かいがね)〉は肩の下なりといふ。
腋 唐韻云腋〈音液和歧〉肘腋也四聲字菀云脇〈虚業反字或作胠又与脅同〉腋下也
腋 唐韻に云はく、腋〈音は液、和岐(わき)〉は肘の腋なりといふ。四声字苑に云はく、脇〈虚業反、字は或に胠に作る、又、脅と同じ〉は腋の下なりといふ。
背 玉篇云脊〈音跡世奈賀〉背也
背 玉篇に云はく、脊〈音は跡、世奈賀(せなか)〉は背なりといふ。
胷臆 唐韻云胷〈許容反〉膺〈於陵反〉臆〈於力反无祢〉也
胸臆 唐韻に胸〈許容反〉、膺〈於陵反〉、臆〈於力反、無祢(むね)〉なりと云ふ。
乳 考聲切韻云乳〈而主反上聲之重智〉母㪽以飲子之汁也
乳 考声切韻に云はく、乳〈而主反、上声の重、智(ち)〉は母の子に飲ましむる所以の汁なりといふ。
腹 野王案腹〈音複波良〉㪽以容褁五蔵者也
腹 野王案に腹〈音は複、波良(はら)〉は五臓を容れ裹む所以の者なりとす。
膍臍 四聲字菀云膍臍〈鼙齊二音保曽俗云倍曽〉腹孔也
膍𦜝 四声字苑に云はく、膍𦜝〈鼙斉の二音、保曽(ほぞ)、俗に倍曽(へそ)と云ふ〉は腹の孔なりといふ。
水腹 釋名云自臍以下謂之水腹或曰小腹〈古䏻加𫟈〉
水腹 釈名に云はく、臍より以下は之れを水腹と謂ひ、或に小腹〈古能加美(このかみ)〉と曰ふといふ。
脅肋 四聲字菀云脅〈虚業反加太波良保祢〉身傍脅肋间也文字集略云肋〈音勒太湏介乃保祢〉幹骨也
脅肋 四声字苑に云はく、脅〈虚業反、加太波良保禰(かたはらほね)〉は身の傍の脅肋の間なりといふ。文字集略に云はく、肋〈音は勒、太須介乃保祢(たすけのほね)〉は幹骨なりといふ。
𦝫〈支附〉 說文云𦝫〈於𫕟反字或作腰古之〉身中也遊仙窟云細々腰支〈師說古之波𫝑〉
𦝫〈支付〉 説文に云はく、𦝫〈於𫕟反、字は或に腰に作る、古之(こし)〉は身の中なりといふ。遊仙窟に細々(たをやか)なる腰支〈師説に古之波勢(こしばせ)〉と云ふ。
膁 唐韵云膁〈苦簟反上声扵比之波利〉腰㔫右虚肉処也
膁 唐韻に云はく、膁〈苦簟反、上声、於比之波利(おびしばり)〉は腰の左右の虚しき肉の処なりといふ。
胯 唐韵云胯〈音袴万太〉兩股间也
胯 唐韻に云はく、胯〈音は袴、万太(また)〉は両股の間なりといふ。
腿 宿耀經云㔫右腿股〈腿音退宇知阿波㔟〉
腿 宿耀経に左右の腿股と云ふ。〈腿の音は退、宇知阿波勢(うちあはせ)〉
臋〈𡰪片附〉 唐韵云尻〈苦刀反之利〉臋也〈音屯俗云井佐良比〉坐処也𡱰〈音竺字亦作𡰪弁色立成云𡰪片之利太无良今案鳥獣之尻也〉尾下孔也
臋〈𡰪片付〉 唐韻に云はく、尻〈苦刀反、之利(しり)〉は臋なり〈音は屯、俗に井佐良比(ゐざらひ)と云ふ〉、坐る処なり、𡱰〈音は竺、字は亦、𡰪に作る。弁色立成に𡰪片は之利太無良(しりたむら)と云ふ。今案ふるに鳥獣の尻なり〉は尾の下の孔なりといふ。
骨 野王案骨〈音忽保祢〉肉之核也針灸經注云缺盆骨肩骨也鳩尾骨臆前骨也
骨 野王案に、骨〈音は忽、保祢(ほね)〉は肉の核(さね)なりとす。針灸経注に云はく、欠盆骨は肩の骨なり、鳩尾骨は臆(むね)の前の骨なりといふ。
髓 野王案髓〈先累反湏祢〉骨中脂也
髄 野王案に髄〈先累反、須禰(すね)〉は骨の中の脂なりとす。
筋力 陸詞曰筋〈音斤湏知〉骨筋字従𥭊力也周礼注云力〈呂軄反〉筋骸之強者也
筋力 陸詞に曰く、筋〈音は斤、須知(すぢ)〉は骨の筋、字は𥭊力に従ふなりといふ。周礼注に云はく、力〈呂職反〉は筋骸の強き者なりといふ。
肉〈腠理附〉 玉篇云肉〈如六反字亦作宍之々〉肌膚之肉也淮南子云解肉必中腠〈音蒼奏反之々和歧〉
肉〈腠理付〉 玉篇に云はく、肉〈如六反、字は亦、宍に作る、之々(しし)〉は肌膚の肉なりといふ。淮南子に云はく、肉を解(わ)けば必ず腠〈音は蒼奏反、之々和岐(ししわき)〉に中(あた)るといふ。
脂膏 唐韵云膏〈音髙〉肪〈音方〉脂〈之夷反阿布良〉
脂膏 唐韻に膏〈音は高〉、肪〈音は方〉、脂〈之夷反、阿布良(あぶら)〉と云ふ。
血脉 野王案血〈音决知〉肉中赤汁也脉〈音麦知乃𫟈知〉肉中血理也
血脈 野王案に血〈音は決、知(ち)〉は肉の中の赤汁なり、脈〈音は麦、知乃美知(ちのみち)〉は肉の中の血理なりとす。
孔竅 唐韵云竅〈苦吊反去声孔竅並阿奈〉穴也
孔竅 唐韻に云はく、竅〈苦吊反、去声、孔、竅は並びに阿奈(あな)〉は穴なりといふ。
皮〈皴附〉 釋名云皮〈音疲加波〉被躰也唐韵云皴〈音夋之和〉皮之細起也
皮〈皴付〉 釈名に云はく、皮〈音は疲、加波(かは)〉は体を被ふなりといふ。唐韻に云はく、皴〈音は夋、之和(しわ)〉は皮の細く起るなりといふ。
肌膚 陸詞切韵云膚〈音府隅反字亦作肤波太倍〉體肌也肌〈居夷反賀波倍〉膚肉也
肌膚 陸詞切韻に云はく、膚〈音は府隅反、字は亦、肤に作る、波太倍(はだへ)〉は体の肌なり、肌〈居夷反、賀波倍(かはへ)〉は膚の肉なりといふ。
汗 蔣魴切韵云汗〈音翰阿㔟〉人身上𤍽汁也
汗 蒋魴切韻に云はく、汗〈音は翰、阿勢(あせ)〉は人身の上の熱汁なりといふ。

蔵府類十八
蔵府類十八
五蔵 中黄子云五蔵〈去声〉肝心𦜉肺腎也
五蔵 中黄子に云はく、五蔵〈去声〉は肝、心、脾、肺、腎なりといふ。
肝 白虎通云肝〈音干歧毛〉木之精也色青
肝 白虎通に云はく、肝〈音は干、岐毛(きも)〉は木の精なり、色は青といふ。
心 白虎通云心〈息林反〉火之精也色赤
心 白虎通に云はく、心〈息林反〉は火の精なり、色は赤といふ。
𦜉 白虎通云𦜉〈𠈷移反与古之〉圡之精也色黄
脾 白虎通に云はく、脾〈俾移反、与古之(よこし)〉は土の精なり、色は黄といふ。
肺 白虎通云肺〈音廢布久布久之〉金之精也色白
肺 白虎通に云はく、肺〈音は廃、布久布久之(ふくぶくし)〉は金の精なり、色は白といふ。
腎 白虎通云腎〈時忍反上声之重无良度〉水之精也色黒
腎 白虎通に云はく、腎〈時忍反、上声の重、無良度(むらと)〉は水の精なり、色は黒といふ。
六府 中黄子云六府大腸小腸膽胃三膲膀胱也
六府 中黄子に云はく、六府は大腸、小腸、胆、胃、三膲、膀胱なりといふ。
大腸 中黄子云大腸〈音𥄂良反波良和太〉為傳送之府
大腸 中黄子に云はく、大腸〈音は直良反、波良和太(はらわた))〉は伝送の府為(た)りといふ。
小腸 中黄子云小腸〈楊氏漢語抄云保曽和太〉為受盛之府
小腸 中黄子に云はく、小腸〈楊氏漢語抄に保曽和太(ほそわた)と云ふ〉は受盛の府為りといふ。
膽 中黄子云膽〈都敢反以〉為中精之府
胆 中黄子に云はく、胆〈都敢反、以(い)〉は中精の府為りといふ。
胃 中黄子云胃〈音渭久曽布久路〉為五穀之府
胃 中黄子に云はく、胃〈音は渭、久曽布久呂(くそぶくろ)〉は五穀の府為りといふ。
三膲 中黄子云三膲〈膲音焦楊氏漢語抄云𫟈能和太〉孤立為中瀆之府野王案上中下謂之三膲也
三膲 中黄子に云はく、三膲〈膲の音は焦、楊氏漢語抄に美能和太(みのわた)と云ふ〉は孤立して中涜の府為りといふ。野王案に、上中下、之れを三膲と謂ふなりとす。
膀胱 廣雅云膀胱〈膀音旁胱音光楊氏漢語抄云由波利布久路〉脬也唐韵云脬〈音胞〉腹中水府也
膀胱 広雅に云はく、膀胱〈膀の音は旁、胱の音は光、楊氏漢語抄に由波利布久路(ゆばりぶくろ)と云ふ〉は脬なりといふ。唐韻に云はく、脬〈音は胞〉は腹の中の水府なりといふ。
魂神 淮南子云天氣為魂〈多末之比〉許愼曰魄隂神也魂陽神也
魂神 淮南子に云はく、天の気は魂〈多末之比(たましひ)〉と為るといふ。許愼曰く、魄は陰神なり、魂は陽神なりといふ。

手足類十九
手足類十九
手子 遊仙窟云手子〈師說太奈湏惠〉
手子 遊仙窟に手子〈師説に太奈須恵(たなすゑ)〉と云ふ。
掌 四声字苑云掌〈音賞和名太那古々路日本紀私記云手掌太奈曽古〉手心也
掌 四声字苑に云はく、掌〈音は賞、和名は太那古々路(たなごころ)。日本紀私記に手掌は太奈曽古(たなぞこ)と云ふ〉は手の心なりといふ。
拳 唐韵云拳〈渠貟反古布之〉屈手也
拳 唐韻に云はく、拳〈渠員反、古布之(こぶし)〉は屈手なりといふ。
指 唐韵云指〈諸視反由比俗云扵与比〉手指也指扐〈音勒和名扵与比乃万太〉指間也
指 唐韻に云はく、指〈諸視反、由比(ゆび)。俗に於与比(および)と云ふ〉は手の指なり、指扐〈音は勒、於与比乃万太(およびのまた)〉は指の間なりといふ。
腡 四声字苑云腡〈落戈反和名天乃阿夜〉手指文也
腡 四声字苑に云はく、腡〈落戈反、和名は天乃阿夜(てのあや)〉は手の指の文なりといふ。
拇 國語注云拇〈音母扵保扵与比〉大指也
拇 国語注に云はく、拇〈音は母、於保於与比(おほおよび)〉は大指なりといふ。
食指 㔫傳云食指〈楊氏漢語抄云頭指比斗佐之乃扵与比〉野王案第二指也
食指 左伝に食指〈楊氏漢語抄に頭指を比斗佐之乃於与比(ひとさしのおよび)と云ふ〉と云ふ。野王案に第二の指なりとす。
中指 儀礼云中指〈奈賀乃扵与比〉野王案第三指也
中指 儀礼に中指〈奈賀乃於与比(なかのおよび)〉と云ふ。野王案に第三の指なりとす。
無名指 孟子云無名指〈奈々之乃扵与比〉野王案第四指也
無名指 孟子に無名指〈奈々之乃於与比(ななしのおよび)〉と云ふ。野王案に第四の指なりとす。
季指 儀礼云季指〈古扵与比〉野王案小指第五指也
季指 儀礼に季指〈古於与比(こおよび)〉と云ふ。野王案に小指は第五の指なりとす。
腕 陸詞切韵云腕〈烏叚反太々无歧俗云宇天〉手腕也
腕 陸詞切韻に云はく、腕〈烏段反、太々無岐(ただむき)、俗に宇天(うで)と云ふ〉は手の腕なりといふ。
臂 廣雅云臂〈音秘〉謂之肱〈古弘反〉四声字苑云肘〈陟柳反或作䏔比知〉臂節也
臂 広雅に云はく、臂〈音は秘〉は之れを肱〈古弘反〉と謂ふといふ。四声字苑に云はく、肘〈陟柳反、或に䏔に作る、比知(ひぢ)〉は臂の節なりといふ。
股 唐韵云髀〈傍礼反上声之重与䯗同弁色立成云圍髀毛々〉股也𦙶〈公戸反上声〉古文股字也
股 唐韻に云はく、髀〈傍礼反、上声の重、䯗と同じ。弁色立成に囲髀は毛々(もも)と云ふ〉は股なり、𦙶〈公戸反、上声〉は古文に股の字なりといふ。
𦡀 野王案𦡀〈音悉比佐〉脛頭也
膝 野王案に、膝〈音は悉、比佐(ひざ)〉は脛の頭なりとす。
膝䯊 宿曜經云膝珂〈師說比佐乃加波良今案珂冝作䯊音苦何反見唐韵〉野王案𩪯〈蒲忍反上声之重字亦作臏阿波太古俗云阿波太今案𩪯与𦡀珂名異實同〉𦡀骨也
膝䯊 宿曜経に云はく、膝珂〈師説に比佐乃加波良(ひざのかはら)。今案ふるに珂は宜しく䯊に作るべし。音は苦何反。唐韻に見ゆ〉といふ。野王案に、髕〈蒲忍反、上声の重、字は亦、臏に作る。阿波太古(あはたこ)、俗に阿波太(あはた)、今案ふるに𩪯は膝珂と名を異にし実は同じ〉は膝の骨なりとす。
膕 太素經注云膕〈戈麥反与保路〉曲脚中也
膕 太素経注に云はく、膕〈戈麦反、与保路(よほろ)〉は曲る脚の中なりといふ。
腓 陸詞云腓〈音肥古无良見周易〉脚腓也
腓 陸詞に云はく、腓〈音は肥、古無良(こむら)。周易に見ゆ〉は脚腓なりといふ。
胻 說文云胻〈胡良反波歧〉脛也釋名云脛〈胡定反〉莖也似物莖也
胻 説文に云はく、胻〈胡良反、波岐(はぎ)〉は脛なりといふ。釈名に云はく、脛〈胡定反〉は茎なり、物の茎に似るなりといふ。
脚足 釋名云脚〈居灼反〉言坐時却在後也足〈即玉反〉言踵續也趾〈音止訓並阿之〉言行一進一止也
脚足 釈名に云はく、脚〈居灼反〉は坐る時、却りて後(しりへ)に在るを言ふなり、足〈即玉反〉は踵に続くを言ふなり、趾〈音は止、訓は並びに阿之(あし)〉は行くこと一進一止するを言ふなりといふ。
踝 唐韵云踝〈𦛋瓦反上声之重豆不奈歧俗云豆不々之〉足骨也
踝 唐韻に云はく、踝〈𦛋瓦反、上声の重、豆不奈岐(つぶなき)、俗に豆不々之(つぶふし)と云ふ〉は足の骨なりといふ。
踵 唐韵云跟〈音根久比湏俗云歧比湏〉足踵也踵〈音腫〉足後也
踵 唐韻に云はく、跟〈音は根、久比須(くびす)、俗に岐比須(きびす)と云ふ〉は足の踵なり、踵〈音は腫〉は足の後なりといふ。
跗 儀礼注云趺〈方倶反字亦作跗阿奈比良〉足上也
跗 儀礼注に云はく、趺〈方倶反、字は亦、跗に作る、阿奈比良(あなびら)〉は足の上なりといふ。
蹠 說文云跖〈音尺字亦作踱阿奈宇良〉足下也
蹠 説文に云はく、跖〈音は尺、字は亦、踱に作る、阿奈宇良(あなうら)〉は足の下なりといふ。
爪甲 四声字苑云爪〈音早豆米〉手足指上甲也
爪甲 四声字苑に云はく、爪〈音は早、豆米(つめ)〉は手足の指の上の甲なりといふ。

莖垂類二十
茎垂類二十
隂 釋名云隂〈今案玉莖玉門䓁通称也〉䕃也言其㪽在蔭翳也
陰 釈名に云はく、陰〈今案ふるに玉茎、玉門等の通称なり〉は蔭なりといふ。其の蔭翳に在る所なれば言ふなり。
玉莖 房内經云玉莖〈男隂名也〉楊氏漢語抄云𡱼〈破前一云麻良今案玉篇䓁云々臋骨也音課可為玉莖之義不見〉日本𩄇異記云紀伊國伊都郡有一凶人不信三宝死時蟻著其𨳯〈今案是闭字也俗云或以此字為男隂以開字為女隂其說未詳〉
玉茎 房内経に玉茎〈男陰の名なり〉と云ふ。楊氏漢語抄に𡱼〈破前、一に麻良(まら)と云ふ。今案ふるに玉篇等に云々いへりて臋(ししむら)の骨なり、音は課、玉茎と為べき義見えず〉と云ふ。日本霊異記に云はく、紀伊国伊都郡に一の凶人有り、三宝を信じず、死(い)にし時、蟻、其の𨳯〈今案ふるに是れは閉の字なり。俗に云はく、或に此の字を以て男陰と為、開の字を以て女陰と為といふ。其の説は未だ詳(つばひら)かならず〉に著くといふ。
隂嚢 針灸經云隂嚢〈俗云布久利其義見疾病部隂頽下〉
陰囊 針灸経に陰囊〈俗に布久利(ふぐり)と云ふ。其の義は疾病部の陰頽下に見ゆ〉と云ふ。
隂頽 太素經云天有十日人手有十指辰有十二足有十指莖垂之二以應之〈今案莖者玉莖垂者隂囊也〉女子有隂而不足二節故得懐子也
陰頽 太素経に云はく、天に十日有り、人の手に十指有り、辰(とき)に十二有り、足に十指有り、茎垂の二は以て之れに応へ〈今案ふるに茎は玉茎、垂は陰囊なり〉、女子に陰有りて二節足らず、故、子を懐くを得るなりといふ。
隂核 食療經云食蓼及生魚或令隂核疼〈隂核俗云篇乃古〉刑徳教云丈夫淫乱割其㔟〈𫝑者則隂核也〉
陰核 食療経に云はく、蓼及び生魚を食ふとき或は陰核をして疼(いた)め令むといふ〈陰核は俗に篇乃古(へのこ)と云ふ〉。刑徳教に云はく、丈夫淫乱は其の勢(へのこ)〈勢は則ち陰核なり〉を割くといふ。
玉門 房内経云玉門〈女隂名也〉楊氏漢語抄云𡱖〈通鼻今案俗人或曰朱門並未詳〉
玉門 房内経に玉門と云ふ〈女陰の名なり〉。楊氏漢語抄に𡱖〈通鼻(つび)、今案ふるに俗人は或に朱門と曰ふ。並びに未だ詳かならず〉と云ふ。
吉舌 楊氏漢語抄云吉舌〈比奈佐歧〉
吉舌 楊氏漢語抄に吉舌と云ふ。〈比奈佐岐(ひなさき)〉
月水 針灸經云月水不通則灸氣穴〈月水俗云佐波利〉
月水 針灸経に云はく、月水通らざれば則ち気穴に灸すといふ。〈月水は俗に佐波利(さはり)と云ふ〉
精液 房内經云交接之時精液流𣻌
精液 房内経に云はく、交接の時、精液流れ𣻌(ただよ)ふといふ。
尿 說文云尿〈奴吊反由波利〉小便也
尿 説文に云はく、尿〈奴吊反、由波利(ゆばり)〉は小便なりといふ。
屁 四声字苑云屁䊧𥥓〈匹鼻反三字通也楊氏漢語抄云放屁倍比流〉下部出氣也
屁 四声字苑に云はく、屁䊧𥥓〈匹鼻反、三字通ふなり。楊氏漢語抄に云はく、放屁は倍比流(へひる)といふ〉は、下部より気を出すなりといふ。
屎 野王案糞〈府悶反久曽又糞土見塵土類〉屎也說文云屎〈音矢字亦作𡱁今案俗人呼牛馬犬等糞如弓矢之矢是𡱁之訛也〉大便也
屎 野王案に、糞〈府悶反、久曽(くそ)、又、糞土は塵土類に見ゆ〉は屎なりとす。説文に云はく、屎〈音は矢、字は亦、𡱁に作る。今案ふるに俗人、牛馬犬等の糞を弓矢の矢の如しと呼ぶは、是れ𡱁の訛れるなり〉は大便なりといふ。

疾病部第四
疾病部第四
 病類廿一 瘡類廿二
 病類二十一 瘡類二十二

病類廿一
病類二十一
頭風 魏志云大祖苦頭風
頭風 魏志に云はく、大祖は頭風を苦しむといふ。
聾 四声字苑云聾〈音力東反𫟈々之比〉耳不闻声也
聾 四声字苑に云はく、聾〈音は力東反、美々之比(みみしひ)〉は耳の声を聞かざるなりといふ。
聤耳 病源論云聤耳〈上音亭𫟈々太利〉凨熱耳生膿〈汁也〉
聤耳 病源論に云はく、聤耳〈上の音は亭、美々太利(みみだり)〉は風熱にて耳に膿〈汁なり〉を生ずるといふ。
盲 唐韵云盲〈莫耕反米之比〉目無眸子也
盲 唐韻に云はく、盲〈莫耕反、米之比(めしひ)〉は目に眸子無きなりといふ。
清盲 七巻食經云凢麋并梅李食之任身使子清盲〈俗云阿歧之比〉
清盲 七巻食経に云はく、凡そ麋、梅李を并せて之れを食ひて任身(みごも)れば子をして清盲〈俗に阿岐之比(あきしひ)と云ふ〉なら使むといふ。
近目 食療經云婦人任身勿食驢馬肉令子近目〈俗云智賀米〉
近目 食療経に云はく、婦人、任身りて驢馬の肉を食ふこと勿れ、子をして近目〈俗に智賀米(ちかめ)と云ふ〉なら令むといふ。
眇 周易云眇能視蹇能行〈師説眇讀湏加女蹇見下文也〉
眇 周易に云はく、眇にして能く視、蹇(あしなへ)にして能く行くといふ。〈師説に眇は須加女(すがめ)と読む。蹇は下文に見ゆるなり〉
䁾  文選風賦云得目為䁾〈亡結反師説多々良女〉
䁾  文選風賦に云はく、目に得るときは䁾〈亡結反、師説に多々良女(ただらめ)〉を為すといふ。
目翳 病源論云目翳〈於䴡反俗云比〉目膚眼精之上有物如蝿翅是也
目翳 病源論に云はく、目翳〈於麗反、俗に比(ひ)と云ふ〉は目膚眼精の上に物有り、蠅の翅の如きは是れなりといふ。
萑盲 病源論曰人至暮不見物世謂之萑盲〈俗云度利女〉謂如鳥萑暝則無㪽見也
萑盲 病源論に曰はく、人暮れに至りて物見えざるは世に之れを萑盲〈俗に度利女(とりめ)と云ふ〉と謂ひ、鳥萑の暝(くら)くならば則ち見る所無きが如きを謂ふなりといふ。
眩 釋名云眩〈音懸女久流米久夜万比〉懸也目㪽視動乱如懸物揺々然不定也
眩 釈名に云はく、眩〈音は懸、女久流米久夜万比(めくるめくやまひ)〉は懸なり、目の視る所、動き乱るること物を懸くるが如く揺揺然として定まらざるなりといふ。
塞鼻 釋名云齆〈音一共反波奈比世〉洟久不通遂至室塞也
塞鼻 釈名に云はく、齆〈音は一共反、波奈比世(はなびせ)〉は、洟(はなじる)久しく通らずして遂に室塞に至るなりといふ。
瘖瘂 説文云瘖瘂〈音鵶二音於布之〉不能言也
瘖瘂 説文に云はく、瘖瘂〈音鵶の二音、於布之(おふし)〉は言ふこと能はざるなりといふ。
吃 声類云吃〈居乞反俗云古度々毛利〉重言也説文云言語難也
吃 声類に云はく、吃〈居乞反、俗に古度々毛利(ことどもり)と云ふ〉は重言なりといふ。説文に云はく、言語の難きなりといふ。
兎缺 續晉陽秋云魏詠之生而兎缺〈俗云宇久知〉辨色立成云缺脣也
兎缺 続晋陽秋に云はく、魏詠之は生れながらにして兎缺といふ〈俗に宇久知(うぐち)と云ふ〉。弁色立成に脣を欠くなりと云ふ。
喎僻 説文云咼〈口蛙反或作喎久知由賀无〉口戾也病源論云喎僻則言語不正也
喎僻 説文に云はく、咼〈口蛙反、或に喎に作る。久知由賀無(くちゆがむ)〉は口戻(もと)るなりといふ。病源論に云はく、喎僻するときは則ち言語の正しからざるなりといふ。
失聲〈嘶𠰸附〉 食療經云食熱膩物勿飲酢漿失声嘶𠰸〈師説失声比古惠嘶咽古路々久〉
失声〈嘶咽付〉 食療経に云はく、熱膩の物を食ひて酢漿を飲むこと勿れ、声を失ひ嘶咽すといふ〈師説に失声は比古恵(ひごゑ)、嘶咽は古路々久(ころろく)〉。
噦噎 唐韵云噦噎〈上於越反下乙芴反楊氏漢語抄云噦噎佐久利〉逆氣也
噦噎 唐韻に云はく、噦噎〈上は於越反、下は乙芴反、楊氏漢語抄に噦噎は佐久利(さくり)と云ふ〉は逆気なりといふ。
喘息 唐韵云歂〈昌苑反字亦作喘阿倍歧〉口氣引㒵也
喘息 唐韻に云はく、歂〈昌苑反、字は亦、喘に作る、阿倍岐(あへぎ)〉は口の気引く貌なりといふ。
欬𠲿 病源論云欬欶〈亥束二音字亦作咳𠲿之波不歧〉肺寒則成也
欬𠲿 病源論に云はく、欬欶〈亥束の二音、字は亦、咳𠲿に作る、之波不岐(しはぶき)〉は肺寒からば則ち成るなりといふ。
歐吐 病源論云胃氣逆則歐吐〈上於后反字亦作嘔都久又太万比〉
欧吐 病源論に云はく、胃の気、逆らば則ち欧吐〈上は於后反、字は亦、嘔に作る、都久(つく)、又、太万比(たまひ)〉すといふ。
唾血 極要方云唾血〈知波久唾已見上文〉一縁内傷一縁積熱有此病矣
唾血 極要方に云はく、唾血〈知波久(ちはく)、唾は已に上文に見ゆ〉は一は内傷に縁り、一は熱積に縁りて此の病有りといふ。
哽𠰸 唐韵云哽噎〈綆悦二音噎亦作𠰸无湏〉食塞也
哽咽 唐韻に云はく、哽噎〈綆悦の二音、噎は亦、咽に作る、無須(むす)〉は食ふとき塞がるなりといふ。
津頥 病源論云津頥〈与多利〉小児多涎唾流出於頥下也
津頥 病源論に云はく、津頥〈与多利(よだり)〉は小児、涎唾を多くして頤下に流れ出づるなりといふ。
哯吐 病源論云哯吐〈上音見豆太𫟈〉小児由哺乳冷熱不調㪽致也
哯吐 病源論に云はく、哯吐〈上の音は見、豆太美(つだみ)〉は小児の哺乳、冷熱の調はざるに由りて致す所なりといふ。
喉痺 病源論云喉痺〈侯婢二音俗訛云古比〉喉裏腫塞痺痛水漿不得入是也
喉痺 病源論に云はく、喉痺〈侯婢の二音、俗に訛りて古比(こひ)と云ふ〉は喉の裏腫れ塞がり、痺痛して水漿すら入ること得ざるは是れなりといふ。
齞脣 説文云齞〈牛善反文選云齞脣師説阿以久知〉口張齒見也
齞脣 説文に云はく、齞〈牛善反、文選に齞脣を師説に阿以久知(あいくち)と云ふ〉は口張りて歯見(あらは)るなりといふ。
重舌 病源論云舌本血脉脹然變生如舌之狀謂之重舌也
重舌 病源論に云はく、舌の本の血脈、脹然と変り生え舌の状(かたち)の如くなるは之れを重舌と謂ふなりといふ。
𦧴𦧝 張揖曰𦧴𦧝〈灘天二音之多都歧〉舌不正也
𦧴𦧝 張揖に曰はく、𦧴𦧝〈灘天の二音、之多都岐(したつき)〉は舌の正しからざるなりといふ。
齵歯 蒼頡篇云齵〈五溝反又音隅齵歯於曽波〉歯重生也
齵歯 蒼頡篇に云はく、齵〈五溝反、又、音は隅、齵歯は於曽波(おそは)〉は歯の重ねて生ゆるなりといふ。
歴歯 文選好色賦云歴歯〈師説波和賀礼〉
歴歯 文選好色賦に歴歯〈師説に波和賀礼(はわかれ)〉と云ふ。
齲歯 釋名云齲〈倶禹反齲歯无之加女波〉蟲齧之歯缺朽也
齲歯 釈名に云はく、齲〈倶禹反、齲歯は無之加女波(むしかめは)〉は虫齧みし歯の欠け朽つるなりといふ。
齘歯 録験方云齘歯〈上胡介反波賀𫟈〉睡眠而歯相切有声也令人取其席下土内口中勿使知則止矣
齘歯 録験方に云はく、齘歯〈上は胡介反、波賀美(はがみ)〉は睡眠して歯相切(くひしば)りて声有るなりといふ。人をして其の席の下の土を取りて口の中に内(い)れしめば知らしむること勿くして則ち止む。
齭 説文云齭〈音所此间云波井留〉歯傷酢也
齭 説文に云はく、齭〈音は所、此の間に波井留(はゐる)と云ふ〉は歯、酢に傷むなりといふ。
胡臰 病源論云胡臰〈和歧久曽〉人掖下臰如葱豉之氣也亦謂之狐臰如狐狸之氣也
胡臰 病源論に云はく、胡臰〈和岐久曽(わきくそ)〉は人の掖の下の臰(くさ)きこと葱豉の気の如きなり、亦、之れを狐臰と謂ひ、狐狸の気の如きなりといふ。
脚氣 毉家書有脚氣論〈脚氣一云脚病俗云阿之乃介〉
脚気 医家書に脚気論有り。〈脚気は一に脚の病と云ひ、俗に阿之乃介(あしのけ)と云ふ〉
痿痺 蒼頡篇云痿痺〈萎𠈷二音俗云比留无夜末比〉不能行也
痿痺 蒼頡篇に云はく、痿痺〈萎俾の二音、俗に比留無夜末比(ひるむやまひ)と云ふ〉は行くこと能はざるなりといふ。
轉筋 脚氣論云轉筋〈俗云古无良加倍利一云加良湏奈米理〉由脚弱㪽生也
転筋 脚気論に云はく、転筋〈俗に古無良加倍利(こむらがへり)と云ひ、一に加良須奈米理(からすなめり)と云ふ〉は脚の弱きに由りて生(な)る所なりといふ。
𡰁 毛詩注云腫足曰𡰁〈唐韵時種反足病也亦弁色立成云於賣阿志此间云古比〉又云𤰞濕之地其人多𡰁
𡰁 毛詩注に云はく、腫足〈唐韻に時種反、足の病なり。亦、弁色立成に於売阿志(おめあし)と云ひ、此の間に古比(こひ)と云ふ〉は𡰁と曰ふといふ。又、卑湿の地に其の人、𡰁多しと云ふ。
蹇 説文云蹇〈音犬訓阿之奈閇此间云那閇久〉行不正也
蹇 説文に云はく、蹇〈音は犬、訓は阿之奈閉(あしなへ)、此の間に那閉久(なへぐ)と云ふ〉は行くこと正しからざるなりといふ。
駢拇 荘子云駢拇枝指〈駢音薄堅反駢拇此间云无豆於与非〉
駢拇 荘子に駢拇枝指と云ふ。〈駢の音は薄堅反、駢拇は此の間に無豆於与非(むつおよび)と云ふ〉
癥瘕 蒼頡篇云癥瘕〈徴嫁二音今案醫家書有魚瘕蛇瘕等師傳云加女波良此類也〉腹中病也
癥瘕 蒼頡篇に云はく、癥瘕〈徴嫁の二音、今案ふるに医家書に魚瘕、蛇瘕等有り、師伝に加女波良(かめはら)と云ふは此の類なり〉は腹の中の病なりといふ。
痞 録驗方云痞〈符鄙反上声之重衣賀波良〉小児腹病也唐韵云腹中結病也
痞 録験方に云はく、痞〈符鄙反、上声の重、衣賀波良(えがはら)〉は小児の腹の病なりといふ。唐韻に云はく、腹の中の結ぶ病なりといふ。
疝 釋名云疝〈音山阿太波良一云之良太𫟈〉腹急痛也
疝 釈名に云はく、疝〈音は山、阿太波良(あたばら)、一に之良太美(しらたみ)と云ふ〉は腹の急に痛むなりといふ。
蚘蟲 唐韵云蚘〈音回蛸蛔並同〉人腹中長虫也病源論云蚘蟲〈今案一名寸白俗云加以又云阿久太〉飲白酒食生栗䓁㪽成也
蚘虫 唐韻に云はく、蚘〈音は回、蛸、蛔は並びに同じ〉は人の腹の中の長き虫なりといふ。病源論に云はく、蚘虫〈今案ふるに一名に寸白、俗に加以(かい)と云ひ、又、阿久太(あくた)と云ふ〉は白酒を飲み、生栗等を食ひて成る所なりといふ。
痮 字書云痮〈音悵字亦作脹波良不久流〉腹𫞜也
痮 字書に云はく、痮〈音は悵、字は亦、脹に作る、波良不久流(はらふくる)〉は腹の満つるなりといふ。
痔 説文云痔〈治里反上声之重智乃夜万比〉後病也四声字苑云痔〈今案俗云之利乃夜万比〉䖝食下部病也
痔 説文に云はく、痔〈治里反、上声の重、智乃夜万比(ぢのやまひ)〉は後(しりへ)の病なりといふ。四声字苑に云はく、痔〈今案ふるに俗に之利乃夜万比(しりのやまひ)と云ふ〉は虫の下部を食ふ病なりといふ。
脱疘 病源論云脱疘〈疘古經反字亦作肛也之利以豆流夜万比〉肛門脱出也久痢則大腸虚冷㪽為也
脱疘 病源論に云はく、脱疘〈疘は古経反、字は亦、肛に作るなり。之利以豆流夜万比(しりいづるやまひ)〉は肛門の脱け出づるなりといふ。久しく痢(はらくだ)らば則ち大腸虚冷の為す所なりといふ。
痢 釋名云痢〈音利久曽比理乃夜万比〉言出漏之利也
痢 釈名に云はく、痢〈音は利、久曽比理乃夜万比(くそひりのやまひ)〉は出で漏るるの利なるを言ふといふ。
㿃 釋名云痢赤白曰㿃〈音帯赤痢知久曽白痢奈女〉言滞而難出也葛氏方云重下〈俗云之利於毛〉今㪽謂赤白痢也言令下部疼重故以名之
㿃 釈名に云はく、痢の赤白を㿃〈音は帯、赤痢は知久曽(ちくそ)、白痢は奈女(なめ)〉と曰ふといふ。滞りて出で難きなるを言ふ。葛氏方に云はく、重下〈俗に之利於毛(しりおも)と云ふ〉は今の所謂、赤白痢なりといふ。下部をして疼き重からしむ故に以て之れを名づくと言ふ。
淋病 声類云淋〈音林字亦作痳之波由波利〉小便數也
淋病 声類に云はく、淋〈音は林、字は亦、痳に作る、之波由波利(しばゆばり)〉は小便、数(しばしば)するなりといふ。
臨𤁋 病源論云臨𤁋〈音歴之太天由波利〉小便滴𤁋也
臨瀝 病源論に云はく、臨瀝〈音は歴、之太天由波利(したでゆばり)〉は小便の滴瀝(しただ)るなりといふ。
長血 小品方云婦人長血〈奈賀知又有白血〉
長血 小品方に、婦人の長血と云ふ。〈奈賀知(ながち)、又、白血有り〉
産後腹 新撰要方云婦人産後腹痛〈俗云之利波良〉取大豆二七枚呑之
産後腹 新撰要方に云はく、婦人の産後の腹痛〈俗に之利波良(しりばら)と云ふ〉は大豆二七枚を取りて之れに呑めといふ。
隂頽 針灸經云治隂頽方〈頽音杜囬反一名下重俗云曽比〉令莖頭下向隂囊縫當頭㪽着処灸其縫上七即有験矣
陰頽 針灸経に云はく、陰頽を治する方〈頽の音は杜回反、一名は下重、俗に曽比(そび)と云ふ〉は茎頭をして下(くだ)して陰囊に向はしめ、当頭の着ける処を縫ひ、其の縫へる上灸すること七たび、即ち験有らむといふ。
疫 説文云疫〈音役衣夜𫟈一云度歧乃介〉民皆病也
疫 説文に云はく、疫〈音は役、衣夜美(えやみ)、一に度岐乃介(ときのけ)と云ふ〉は民、皆病なりといふ。
癘 説文云癘〈音例阿之歧夜万比〉悪疾也
癘 説文に云はく、癘〈音は例、阿之岐夜万比(あしきやまひ)〉は悪疾なりといふ。
癲狂 唐令云癲狂酗酒皆不得居侍衛之官〈癲音天狂訓太布流俗云毛乃久流比〉本朝令義解云癲𤼲時仆地吐涎沬無㪽覚也狂或自欲走或自髙称聖賢者也
癲狂 唐令に云はく、癲狂、酗酒は皆、侍衛の官に居ることを得ずといふ〈癲の音は天、狂の訓は太布流(たふる)、俗に毛乃久流比(ものぐるひ)と云ふ〉。本朝令義解に云はく、癲は発する時、地に仆れ涎沬を吐き、覚ゆる所無きなり、狂は或に自ら走らむと欲(し)、或に自ら高(おご)りて聖賢なる者なりと称すといふ。
失意 日本紀私記云失意〈古々路万都比〉
失意 日本紀私記に失意〈古々路万都比(こころまどひ)〉と云ふ。
酗酒 唐韻云酗〈香句反一云酒狂俗云佐加々理〉酔怒也
酗酒 唐韻に云はく、酗〈香句反、一に酒狂と云ひ、俗に佐加々理(さかかり)と云ふ〉は酔ひ怒るなりといふ。
痟𤸎 病源論云消渇〈今案四声字苑云痟𤸎音与消渇同俗云加知乃夜万比〉渇而不小便也
痟𤸎 病源論に云はく、消渇〈今案ふるに四声字苑に痟𤸎の音は消渇と同じと云ひ、俗に加知乃夜万比(かちのやまひ)と云ふ〉は渇きて小便せざるなりといふ。
黃疸 病源論云黃疸〈音旦一云黃病歧波无夜万比〉身躰面目爪甲及小便尽黃之病也
黄疸 病源論に云はく、黄疸〈音は旦、一に黄病は岐波無夜万比(きばむやまひ)と云ふ〉は身体、面目、爪甲、及び小便、尽く黄なる病なりといふ。
癨乱 漢書云南越多癨乱之病矣〈癨乱俗云之利与理久智与理古久夜万比〉
癨乱 漢書に云はく、南越に癨乱の病多しといふ。〈癨乱は俗に之利与理久智与理古久夜万比(しりよりくちよりこくやまひ)と云ふ〉
瘧 説文云瘧〈音虐俗云衣夜𫟈一云和良波夜𫟈〉熱寒並作二日一𤼲之病也
瘧 説文に云はく、瘧〈音は虐、俗に衣夜美(えやみ)と云ひ、一に和良波夜美(わらはやみ)と云ふ〉は熱寒、並(あは)せて作(おこ)り、二日に一発するの病なりといふ。
苦舩 辨色立成云苦舩〈布奈夜毛非〉
苦船 弁色立成に苦船〈布奈夜毛非(ふなやもひ)〉と云ふ。
瘼卧 日本紀私記云瘼卧〈乎江不世理瘼音莫〉
瘼臥 日本紀私記に瘼臥〈乎江不世理(をえふせり)、瘼の音は莫〉と云ふ。
擇食 弁色立成云擇食〈豆波利又楊氏説同〉
択食 弁色立成に択食〈豆波利(つはり)、又、楊氏の説に同じ〉と云ふ。

瘡類廿二
瘡類二十二
瘡 唐韵云瘡〈音倉加佐〉痍也痍〈音夷歧湏〉瘡也瘢〈音般加佐度古路〉瘡痕也四声字苑云痕〈戸恩反訓上同一訓歧波〉故瘡処也廣雅云痂〈音家加佐布太〉瘡上甲也
瘡 唐韻に云はく、瘡〈音は倉、加佐(かさ)〉は痍なり、痍〈音は夷、岐須(きず)〉は瘡なり、瘢〈音は般、加佐度古路(かさどころ)〉は瘡の痕なりといふ。四声字苑に云はく、痕〈戸恩反、訓は上は同じ、一訓に岐波(きは)〉は故(ふる)瘡の処なりといふ。広雅に云はく、痂〈音は家、加佐布太(かさぶた)〉は瘡の上の甲なりといふ。
丁瘡 千金方云治丁瘡方云丁〈或本丁作疔未詳〉
瘡 千金方に云はく、丁瘡を治す方を丁と云ふといふ。〈或本に丁は疔に作る、未だ詳かならず〉
丹毒瘡 掌中要方云丹〈或本作𤴿未詳〉悪毒之氣其色無常也
丹毒瘡 掌中要方に云はく、丹〈或本に𤴿に作る、未だ詳かならず〉は悪毒の気、其の色は常無きなりといふ。
疽 説文云疽〈七余反俗云去声一名𤼲背〉久㿈也
疽 説文に云はく、疽〈七余反、俗に去声、一名に発背と云ふ〉は久しき㿈なりといふ。
癰 釋名云癰〈於容反俗云去声〉氣壅結而不潰也
癰 釈名に云はく、癰〈於容反、俗に去声と云ふ〉は気の壅(ふさ)がり結びて潰せざるなりといふ。
瘭疽 集験方云瘭疽〈瘭音摽俗云倍宇曽〉血氣否渋而㪽生也
瘭疽 集験方に云はく、瘭疽〈瘭の音は摽、俗に倍宇曽(へうそ)と云ふ〉は血気の否渋して生ずる所なりといふ。
乳癰 四声字苑云𤴱〈竹故反与妬同俗云知布〉婦人乳腫也釋名云乳癰曰妬〈今案妬冝作𤴱見上文〉妬貯也積不通也言氣貯積不通矣
乳癰 四声字苑に云はく、𤴱〈竹故反、妬と同じ、俗に知布(ちぶ)と云ふ〉は婦人の乳の腫るるなりといふ。釈名に云はく、乳癰を妬〈今案ふるに妬は宜しく𤴱に作るべし、上文に見ゆ〉と曰ひ、妬は貯なり、積みて通らざるなりといふ。気の貯へ積みて通らざるを言ふ。
痤 唐韵云痤〈昨禾反迩歧𫟈〉小癤也
痤 唐韻に云はく、痤〈昨禾反、邇岐美(にきみ)〉は小さき癤なりといふ。
癤 病源論云癰癤〈音子結反字亦作𤻛賀太祢〉血結聚㪽生也
癤 病源論に云はく、癰癤〈音は子結反、字は亦、𤻛に作る、賀太禰(かたね)〉は血の結び聚まりて生るる所なりといふ。
浸滛瘡 病源論云浸滛瘡〈俗云心𫟈佐宇〉凨熱𤼲於肌膚也
浸淫瘡 病源論に云はく、浸淫瘡〈俗に心美佐宇(しんみさう)と云ふ〉は風熱、肌膚に発るなりといふ。
皰瘡 唐韵云皰〈防教反〉面瘡也類聚國史云仁壽二年皰瘡流行人民疫死〈皰瘡此间云毛加佐〉
皰瘡 唐韻に云はく、皰〈防教反〉は面瘡なりといふ。類聚国史に云はく、仁寿二年に皰瘡流行り人民疫(えやみ)に死ぬといふ。〈皰瘡は此の間に毛加佐(もがさ)と云ふ〉
癭瘻 説文云癭瘻〈郢漏二音俗云路〉頸腫也
癭瘻 説文に云はく、癭瘻〈郢漏の二音、俗に路(ろ)と云ふ〉は頸の腫るるなりといふ。
瘤 病源論云瘤〈力求反之比祢〉皮肉急腫起初如梅李漸長大不癢不痛又不堅強者也
瘤 病源論に云はく、瘤〈力求反、之比祢(しひね)〉は皮の肉、急に腫れ起ること、初め梅李の如し、漸く長大にして癢(かゆ)からず、痛からず、又、堅強ならざる者なりといふ。
瘜肉 説文云瘜〈音息又作𦞜肉阿末之之又古久𫟈〉寄肉也
瘜肉 説文に云はく、瘜〈音は息、又、𦞜肉に作る、阿末之々(あまじし)、又、古久美(こくみ)〉は寄肉なりといふ。
附贅 荘子云附贅懸疣〈贅音制俗云布湏倍〉
附贅 荘子に付贅懸疣(ふぜいけんゆう)〈贅の音は制、俗に布須倍(ふすべ)と云ふ〉と云ふ。
懸疣 釋名云疣〈音尤又音宥懸疣佐賀利布湏倍〉丘也出皮上聚髙如地之有丘也
懸疣 釈名に云はく、疣〈音は尤、又、音は宥、懸疣は佐賀利布須倍(さがりふすべ)〉は丘なり、皮の上に出でて聚り高きこと地の丘有るが如きなりといふ。
肬目 病源論云肬目〈今案肬即疣字也以比保又以乎女〉手足𨕙忽生如豆麁強於肉者也
肬目 病源論に云はく、肬目〈今案ふるに肬は即ち疣の字なりとかむがふ。以比保(いひぼ)、又、以乎女(いをめ)〉は手足の辺に忽ちに生じ、豆の麁きが如く肉より強き者なりといふ。
耵聹 孫愐云耵聹〈丁寜二音𫟈々久曽〉耳垢也
耵聹 孫愐に云はく、耵聹〈丁寧の二音、美々久曽(みみくそ)〉は耳垢なりといふ。
疥癩 内典云疥癩〈介頼二音波太介〉
疥癩 内典に疥癩〈介頼の二音、波太介(はたけ)〉と云ふ。
癬 説文云癬〈音淺俗云錢加佐〉乾瘍也
癬 説文に云はく、癬〈音は浅、俗に銭加佐(ぜにがさ)と云ふ〉は乾瘍なりといふ。
瘍〈禿附〉 説文云瘍〈音楊賀之良加佐〉頭瘡也周礼注云禿〈土木反加不路〉頭瘡也野王案無髮也
瘍〈禿付〉 説文に云はく、瘍〈音は楊、賀之良加佐(かしらがさ)〉は頭の瘡なりといふ。周礼注に云はく、禿〈土木反、加不路(かぶろ)〉は頭の瘡なりといふ。野王案に髪無きなりとす。
鬼舐頭 病源論云鬼舐頭〈師説云為天狗下食㪽舐〉人頭或如錢大或如指大髮不生也
鬼舐頭 病源論に云はく、鬼舐頭〈師説に天狗の下りて食ふに舐むる所が為(ため)と云ふ〉は人の頭に或は銭の大きさの如く、或は指の大きさの如く、髪の生えざるなりといふ。
皯 玉篇云皯〈古但反俗云久路久佐〉面黒氣也
皯 玉篇に云はく、皯〈古但反、俗に久路久佐(くろくさ)と云ふ〉は面の黒き気なりといふ。
𪒎 唐韵云𪒎〈音孕於毛波々久曽〉面黒子也
䵴 唐韻に云はく、䵴〈音は孕、於毛波々久曽(をもははくそ)〉は面の黒子なりといふ。
𣾰瘡 病源論云𣾰瘡〈宇流之加不礼〉人見𣾰中其毒而腫是也
漆瘡 病源論に云はく、漆瘡〈宇流之加不礼(うるしかぶれ)〉は人、漆を見て其の毒に中(あた)りて腫るるは是れなりといふ。
熱沸瘡 四声字苑云疿〈音佛〉𤍽時細瘡也新録方云治夏月熱沸瘡〈和名阿世毛今案沸字冝作疿乎〉
熱沸瘡 四声字苑に云はく、疿〈音は佛〉は熱き時の細(こまか)き瘡なりといふ。新録方に云はく、夏月の熱沸瘡〈和名は阿世毛(あせも)、今案ふるに沸の字は宜しく疿に作るべきか〉を治すといふ。
飼面 病源論云飼面〈加湏毛〉面皮上有滓
飼面 病源論に云はく、飼面〈加須毛(かすも)〉は面皮の上に滓有りといふ。
皶鼻 野王案皶〈音砂迩歧𫟈波奈〉鼻上皰也
皶鼻 野王案に、皶〈音は砂、邇岐美波奈(にきみはな)〉は鼻の上の皰なりといふ。
胗 唐韵云胗〈音軫久智比々〉脣瘡也
胗 唐韻に云はく、胗〈音は軫、久智比々(くちひび)〉は脣の瘡なりといふ。
白癜 病源論云白癜〈一云白電之良波太〉人面及身頸皮肉色変白亦不痛癢者也
白癜 病源論に云はく、白癜〈一に白電と云ふ、之良波太(しらはだ)〉は人の面、及び身の頸の皮肉、色変りて白くして、亦、痛癢せざる者なりといふ。
歴易 病源論云歴易〈奈末豆波太〉人頸及胸前掖下自然斑點相連不痛不癢者也
歴易 病源論に云はく、歴易〈奈末豆波太(なまづはだ)〉は人の頸、及び胸の前、掖の下に自然に斑点相連なりて痛からず、癢からざる者なりといふ。
疵 晋書云趙孟面有二疵〈音疾移反師説阿佐〉
疵 晋書に云はく、趙孟は面に二つの疵〈音は疾移反、師説に阿佐(あざ)〉有りといふ。
黒子 漢書注云黒子〈波々久曽〉今中国呼黶子〈黶音烏添反〉呉楚俗謂之誌〈音志〉々者記也
黒子 漢書注に云はく、黒子〈波々久曽(ははくそ)〉は今、中国に黶子〈黶の音は烏添反〉と呼び、呉楚に俗に之れを誌〈音は志〉と謂ひ、誌は記すことなりといふ。
代指 集驗方云代指〈豆万波良米〉無毒由筋骨中𤍽之盛㪽生也
代指 集験方に云はく、代指〈豆万波良米(つまはらめ)〉は毒の筋骨の中に由ること無く、熱の盛りに生るる所なりといふ。
瘃 漢書音義云瘃〈陟玉反比𫟈弁色立成云之毛久知〉手足中寒作瘡也
瘃 漢書音義に云はく、瘃〈陟玉反、比美(ひみ)、弁色立成に之毛久知(しもくち)と云ふ〉は手足の寒きに中りて瘡と作(な)るなりといふ。
皹 漢書注云皹〈音軍阿加々利〉手足坼裂也
皹 漢書注に云はく、皹〈音は軍、阿加々利(あかがり)〉は手足の坼け裂くるなりといふ。
肉剌 病源論云肉剌〈乃以湏𫟈〉脚指間生肉如剌由着靴小相揩而㪽生也
肉刺 病源論に云はく、肉刺〈乃以須美(のいずみ)〉は脚の指の間に生(な)る肉、刺の如し、靴の小さきを着けて相揩(こす)るに由りて生る所なりといふ。
癮胗 四声字苑云癮胗〈隠軫二音知々保无一云知々波久留〉皮外小起也
癮胗 四声字苑に云はく、癮胗〈隠軫の二音、知々保無(ちちほむ)、一に知々波久留(ちちはくる)と云ふ〉は皮の外に小(すこ)し起るなりといふ。
風癮胗 病源論云風癮胗〈加佐保路之〉人皮膚虚為凨寒㪽折則起也
風癮胗 病源論に云はく、風癮胗〈加佐保路之(かさほろし)〉は人の皮膚の虚にして風の寒きが為に折られば則ち起るなりといふ。
㿺 声類云㿺〈北角反布久流〉肉憤起也
㿺 声類に云はく、㿺〈北角反、布久流(ふくる)〉は肉の憤(いき)り起るなりといふ。
腫 山海經云㾈〈音符一音府今案俗人㪽謂乳腫歯腫冝用此字〉腫也野王案𤺄〈之勇反字亦作腫波留〉身體㿺起虚𣼛也
腫 山海経に云はく、㾈〈音は符、一音に府、今案ふるに俗人の所謂、乳腫、歯腫、宜しく此の字を用ゐるべし〉は腫なりといふ。野王案に、𤺄〈之勇反、字は亦、腫に作る、波留(はる)〉は身体の㿺(ふくれ)起きて虚しく満つるなりとす。
膿 四声字苑云膿〈音農俗云宇𫟈古又云宇𫟈之留〉瘡汁也説文云膿腫血也
膿 四声字苑に云はく、膿〈音は農、俗に宇美古(うみこ)と云ひ、又、宇美之留(うみじる)と云ふ〉は瘡の汁なりといふ。説文に云はく、膿は腫の血なりといふ。
疻 漢書音義云疻〈音脂訓宇流无〉以杖撃人其膚皮起青黒也
疻 漢書音義に云はく、疻〈音は脂、訓は宇流無(うるむ)〉は杖を以て人を撃ちて其の膚の皮に青黒を起すなりといふ。
疼 説文云疼〈徒冬反訓比々良久〉動痛也
疼 説文に云はく、疼〈徒冬反、訓は比々良久(ひひらく)〉は動き痛むなりといふ。
痂 廣雅云痂〈古牙反訓加佐不太〉瘡上甲也
痂 広雅に云はく、痂〈古牙反、訓は加佐不太(かさぶた)〉は瘡の上の甲なりといふ。
痕 四声字苑云痕〈戸恩反加佐度古呂一説与痍同一訓歧波也浪痕涙痕䓁是也〉
痕 四声字苑に痕〈戸恩反、加佐度古呂(かさどころ)、一説に痍と同じ、一訓に岐波(きば)なり、浪痕、涙痕等は是れなり〉と云ふ。
痛 釋名云痛〈音洞訓伊太之〉通也通在膚脉中也
痛 釈名に云はく、痛〈音は洞、訓は伊太之(いたし)〉は通なり、通ひて膚脈の中に在るなりといふ。
癢 釋名云癢〈餘兩反与飬同加由之〉揚也其氣在皮中欲𤼲揚使人搔𤼲而揚出也
癢 釈名に云はく、癢〈余両反、養と同じ、加由之(かゆし)〉は揚なり、其の気は皮の中に在りて、揚を発さむと欲して人をして搔発して揚出せしめんとするなりといふ。

更新履歴:2022年2月2日公開、3月3日訂正。⇒凡例
⇒「和名類聚抄を読む」にて全巻
和名類聚抄(尾州大須宝生院蔵倭名抄残篇稲葉通邦謄写、国文学研究資料館鵜飼文庫、新日本古典籍総合データベースhttps://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/200017318/viewer/38)

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