今まで3回にわたり「格差問題」を取り上げてきましたが、今回はこれに関連した好著として『変化する社会の不平等』(2006)を取り上げてみたいと思います。
この本で問題としているのは、統計データで図られる実態は、所得格差論争で争われる程度にしか大きくないのに、なぜ人々は過激な不平等化論に相槌を打ち、世の中を負け組みと勝ち組に二分化しようとするのか、というところにあります。
編者によると、「格差」と「不平等」には違いがあるといいます。格差は経験的、実証的に測定可能なものであるのに対して、不平等は社会正義という規範概念に基づく価値判断を伴います。人々の業績が正当に評価されず、個人の手の届かない不条理な要因によって決まると考えられると、所得の格差は不当で不平等なものとなるというのです。
まず本書では、このような「不平等の爆発」は戦後型社会の仕組みの喪失、バブル崩壊後の不況とグローバル化に伴う経済や雇用の仕組みの転換など、不安は不信を増大させる政策が合わさって起こっていると指摘しています。そしてこの本が新たに提示している問題は、社会保障との関連に焦点を当て、少子高齢化社会に潜む不平等構造を明らかにしていることです。
今後、本人の努力ではどうにもならない世代間や地域間、親の所得階層間の格差が拡大し、社会福祉サービスに対するニーズはこれまで以上に高まるのに、それに対する政策的対応がなされていないと指摘しています。
この本で問題としているのは、統計データで図られる実態は、所得格差論争で争われる程度にしか大きくないのに、なぜ人々は過激な不平等化論に相槌を打ち、世の中を負け組みと勝ち組に二分化しようとするのか、というところにあります。
編者によると、「格差」と「不平等」には違いがあるといいます。格差は経験的、実証的に測定可能なものであるのに対して、不平等は社会正義という規範概念に基づく価値判断を伴います。人々の業績が正当に評価されず、個人の手の届かない不条理な要因によって決まると考えられると、所得の格差は不当で不平等なものとなるというのです。
まず本書では、このような「不平等の爆発」は戦後型社会の仕組みの喪失、バブル崩壊後の不況とグローバル化に伴う経済や雇用の仕組みの転換など、不安は不信を増大させる政策が合わさって起こっていると指摘しています。そしてこの本が新たに提示している問題は、社会保障との関連に焦点を当て、少子高齢化社会に潜む不平等構造を明らかにしていることです。
今後、本人の努力ではどうにもならない世代間や地域間、親の所得階層間の格差が拡大し、社会福祉サービスに対するニーズはこれまで以上に高まるのに、それに対する政策的対応がなされていないと指摘しています。