加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

「愛・地球博」は歴史に新しいページを残せるか?(その2):「新しい時代精神」を語るEXPOエコマネー

2005-08-14 00:15:23 | Weblog
 そして、いよいよ21世紀初の“一般博”として「愛・地球博」が開催されました。そのテーマは“自然の叡智”となっていますが、どのような21世紀の時代精神を語るのかに関しては、少なくとも私の見る限り明確にはなっていません。
 「愛・地球博」は単なる“環境万博”ではありません。また、シンボルとしてマンモスやロボットが語られがちですが、これで新しい時代精神が生まれるわけではありません。EXPOエコマネーこそが、「愛・地球博」を契機に新しい時代精神を創造するものなのです。
 EXPOエコマネーが訴えるのは、人間の好奇心ではなく、それを超えた「創発」(emergence)です。それによって社会的なイノベーションを起こし、20世紀型の「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の産業文明とは対極にある産業文明や資本主義を創造するものです。私は、これこそが21世紀の「エコデザイン」であるといえると思います。
創発とは、人間の本源的な欲求である「創造」(creation)を駆動力として、社会を変革するイノベーションを起こす状態を指しています。パソコンの原型であるダイナブックを1970年代に開発し「パソコンの父」と呼ばれるアラン・ケイは、現在子供向けのプログラム言語「スクイーク」(squeak)を開発しその普及に努めていますが、次のように語っています。

 「私が子供向けのプログラム言語「スクイーク」(squeak)を開発したのは、子供たちが分解し、組み立てられ、アイデアをシンプルに表現できることが大事だと考えたからです」
 「私は、アーティストというのは人々を愛するのと同様にアイデアを愛することができる人々だと思います。これは、子供たちが文明の作り手になるのを助けるというアイデアです。次世代の子供たちが文明を改良していくのを助けるという活動でもあります。こうした考えに、私自身ワクワクしているんですよ」
 (http://www.ewoman.co.jp/winwin/44ak/17.html)

 また、ペッカ・ヒネマンが著した『リナックスの革命』(原題”The Hacker Ethic”)のプロローグを書いているリーナス・トーバルズ(コンピュータの新しいOSとして注目されているリナックスの提唱者)は、これからの人間の動機づけは「生き残り」から「社会生活」へ、「社会生活」から「娯楽」へと段階を移していくという現象を「まちがいなく強い衝動だ」と形容しています。
 この衝動に駆られる人間は、自分たちの情熱を他の人々と一緒に実現したいと念じています。人類にとって価値があるものを創りあげて、それによって仲間たちに認められたいと考えています。最高の価値観は、「創造」です。そこでは、お金もうけは第二義的な動機づけとなります。この点に関してペッカ・ヒネマンは、「それは創造性だ。…・つまり自分の能力を想像力豊かな形で使い、絶えず自分自身の限界を予想を超える形で乗り越え続け、世界に本当に価値ある新たな貢献物を提供することだ」と指摘しています。
  EXPOエコマネーは人間に創発を喚起するツールであり、その創発を「持続可能な発展」の構築に誘導するものです。その意味で、“百年紀”のみならず“千年紀”のあり方を問いかける「愛・地球博」においてEXPOエコマネーが活用されることは、大きな意味があります。
 そこで、世界市民一人一人がEXPOエコマネーを活用した「市民交流」により新しい価値尺度の重要性を認識し、真の意味での「持続可能な発展」の構築に至る創発 を起こし、新しい時代精神の“渦”が生成・発展して社会が進化していく……・・・・・・・・・。そのような姿を実現したいものです。

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