加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

「コパクト・シティ」に関する考察(その2):エコミュニティが究極の姿

2005-11-08 00:43:38 | Weblog
 「コンパクト・シティ」が目指す究極の姿は、結論から先に言うと、商業・ビジネス機能(economy)、生活・コミュニティ機能(community)、環境保全機能(ecology)の融合化であり(=エコミュニティ(ecommunity))、それを持続可能にするスキームを構築すること(sustainable development)であると私は解釈しています。
 その意味で、NPO「エコミュニティ・ネットワーク」が目指してきた「エコミュニティ」は、現在「まちづくり三法」の見直しのキーコンセプトとされている「コンパクト・シティ」と同じものなのです。このことを①目指すべき都市像、②目指すべき商業・ビジネス機能の2つの面から考察してみたいと思います。まず今回は、目指すべき都市像に関する考察です。
 都市像という点から見ると、これは都市の縮小期における都市のあり方を提示するものです。この点で先陣を切ったのはドイツであり、1980年代から「進歩のための縮小」という考え方が議論され始めました。ドイツ建設法典は、この考え方を取り入れたといわれており、「ポスト成長主義型都市建設」を指向しているとされています。
 日本の都市計画法の変遷を見ると、ほぼ同様な軌跡をたどってきています。まず、現在の都市計画法の基本となっている68年改正は、都市の急速な拡大への対応を大きな狙いとしていました。それ以来の都市計画法は、都市の成長を抑制することを狙いとするものではありませんでした。
 転機となったのは、2000年2月都市計画中央審議会の答申「今後の都市政策はいかにあるべきか」です。そこでは、わが国の都市は歴史的な転換期に立っており、量的な拡大を続けてきた「都市化社会」から「都市型社会」を迎えようとしていると述べています。そして都市計画制度の課題として、目指すべき都市像の明確化、前引き制度・開発許可制度の見直し、既成市街地の土地の有効高度利用、質の高い都市環境の確保などを示しています。
 2000年5月に改正された都市計画法と建築基準法は、不十分ながら新しい方向を示そうとしたものでした。都市マスタープランの地位を高め、既成市街地に開発を誘導しようとしました。2000年6月の住宅宅地審議会答申「21世紀の豊かな生活を支える住宅・宅地政策はいかにあるべきか」では「これまでは住宅宅地が都市の外延部に供給されるのが当然とされてきたが、21世紀においては大都市圏・地方部を問わずコンパクトな都市構造の(再)形成が不可避となる」と述べています。そして今、社会資本整備審議会で「コンパクト・シティ」の実現策が検討されているのです。ドイツから遅れること10年から20年で日本の都市計画法も、「ポスト成長主義型都市建設」を指向しているのです。答申は本年末に出される予定です。
 目指すべき都市像に関してキーワードだけ並べれば、私は「自治体主権」、「市民主体」、「伝統的な価値の継承」、「アーバンデザインの活用」、「自動車偏重の交通システムからの脱却」、「環境との共生」、「持続可能な地域社会の実現」などがポイントになると考えています。 

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