昨日の日本経済新聞ネット記事で既報の通り、政府は2015年度に介護サービスの報酬を引き上げる検討に入ったとのこと。
<記事抜粋>
・介護報酬は公定価格。原則3年に1度、来年度が改定年。15年4月からの適用を目指す。09年度の改定後増額の流れが続いている。
・介護業界は離職率が10%台後半、人手不足が続く。
・「団塊の世代」が75歳以上になる25年度までに、職員数を今の約150万人から約250万人に増やす必要があるとの試算も。
・賃上げに取り組んだ事業者への報酬を増やす「介護職員処遇改善加算」の拡充策が浮上。12年度は職員平均月収約6千円、13年度約7千円増。
・介護報酬を1%引き上げれば、14年度予算ベースで介護サービス費用は930億円増。
・財源は消費増税分を想定しているが、将来、保険料や自己負担の引き上げにつながる可能性も。
先のブログ記事に書いたように、介護業界の離職率は確かに10%台ではあるが、介護職だけが特別に高い離職率なのかというと、そういうわけでもない。問題の本質は、介護保険制度によって財政的に裏打ちされた国家的公益事業である介護サービス産業が人手不足であるという点。
14年度予算ベースで単純計算すると、介護報酬を1%引き上げるのに930億円の介護サービス費用増ということは、介護報酬を10%引き上げるのに年間9300億円(=1兆円弱)の介護サービス費用増となる。現在の平均賃金が約20万円とすると、10%増の約22万円にするのに1兆円弱の介護サービス費用増となる。
先のブログ記事では、平成21年度補正予算で計上した『介護職員処遇改善交付金』の積算根拠を参酌しながら、介護職員1人当たり月9万円引き上げるのに必要な予算額は年間9540億円と試算した。
これらの相違点を明らかにすることも重要だが、介護職の賃金水準をどの程度の水準にまで引き上げるべきなのかに関する目標を定めるとともに、年金・高齢者医療に係る社会保障費からの財源転用、費用対効果の高い介護サービスへの誘導などに取り組んでいく必要がある。特に介護サービスの費用対効果の評価については、下の資料1が大いに参考になるだろう。
下の資料2は、これまでの介護報酬改定の経緯であるが、これでは全くの力不足であり、介護職の賃金水準は殆ど上がったことにはなっていない。介護人材が集まらなければ、介護サービスを受けることはできない。困るのは、介護をする側にいる介護職の人々ではなく、介護をされる側にいる高齢の人々だ。それは、将来必ず高齢になる我々国民全員のことである。
<資料1>
(出所:厚生労働省資料)
<資料2>
(出所:厚生労働省資料)
<記事抜粋>
・介護報酬は公定価格。原則3年に1度、来年度が改定年。15年4月からの適用を目指す。09年度の改定後増額の流れが続いている。
・介護業界は離職率が10%台後半、人手不足が続く。
・「団塊の世代」が75歳以上になる25年度までに、職員数を今の約150万人から約250万人に増やす必要があるとの試算も。
・賃上げに取り組んだ事業者への報酬を増やす「介護職員処遇改善加算」の拡充策が浮上。12年度は職員平均月収約6千円、13年度約7千円増。
・介護報酬を1%引き上げれば、14年度予算ベースで介護サービス費用は930億円増。
・財源は消費増税分を想定しているが、将来、保険料や自己負担の引き上げにつながる可能性も。
先のブログ記事に書いたように、介護業界の離職率は確かに10%台ではあるが、介護職だけが特別に高い離職率なのかというと、そういうわけでもない。問題の本質は、介護保険制度によって財政的に裏打ちされた国家的公益事業である介護サービス産業が人手不足であるという点。
14年度予算ベースで単純計算すると、介護報酬を1%引き上げるのに930億円の介護サービス費用増ということは、介護報酬を10%引き上げるのに年間9300億円(=1兆円弱)の介護サービス費用増となる。現在の平均賃金が約20万円とすると、10%増の約22万円にするのに1兆円弱の介護サービス費用増となる。
先のブログ記事では、平成21年度補正予算で計上した『介護職員処遇改善交付金』の積算根拠を参酌しながら、介護職員1人当たり月9万円引き上げるのに必要な予算額は年間9540億円と試算した。
これらの相違点を明らかにすることも重要だが、介護職の賃金水準をどの程度の水準にまで引き上げるべきなのかに関する目標を定めるとともに、年金・高齢者医療に係る社会保障費からの財源転用、費用対効果の高い介護サービスへの誘導などに取り組んでいく必要がある。特に介護サービスの費用対効果の評価については、下の資料1が大いに参考になるだろう。
下の資料2は、これまでの介護報酬改定の経緯であるが、これでは全くの力不足であり、介護職の賃金水準は殆ど上がったことにはなっていない。介護人材が集まらなければ、介護サービスを受けることはできない。困るのは、介護をする側にいる介護職の人々ではなく、介護をされる側にいる高齢の人々だ。それは、将来必ず高齢になる我々国民全員のことである。
<資料1>
(出所:厚生労働省資料)
<資料2>
(出所:厚生労働省資料)
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