今回の東京マラソン2012。過去2回は雨。
今年は、マラソン日和になるらしい。それも信じることはスタートの都庁ですら、信じられなかったくらい、天候にナーバスになった東京マラソン。
昨日書いたように、昨晩、足の状態は最悪だった。
いつもならナーバスに最後までいろんな事に気をつけるんだけど、今回は、別の意味でナーバスだった。
前夜は友人夫妻とご飯食べるも、普段飲めないアルコール。やけ酒?
それでも、眠れなかった。何度も目が覚めた。悔しくて。走ることすら嫌になった。
それでも東京を走ること。こんなラッキーな事を忘れてはいけないよね。
それだけを信じて、朝は念入りにふくらはぎにテーピングをしてその上からサポーターで完全防備。。痛み止めを飲む。
これでも、走れる幸せを必死に探す。
幸いに痛みは、気にならなくなった。なんとかなるかな。一縷の思いとともにスタートへ。
大雨の中大混雑でうんざりだった2年前とは違い、雨が降らないだけでも心に余裕。ブロックには40分位前に入る。トイレは数百mの列・・・無理。諦め。
ブロック内で羊羹、VAAM, VESPA、水分をきっちり取る。手袋の中に、カイロを入れる。雨は降らないも、ゴミ袋をかぶり防寒。
アップもできないから、身体がどんどん固まってく。あー、相変わらずの東京マラソンだなあ。とほほ。
そしてオープニング。
やはりいざセレモニーが始まると雰囲気も高揚。石原さんのスピーチや君が代を聴いていると、国際大会を実感。
そして、スタート。
紙吹雪にテンション上がる。全身ぞくぞく。わーい。ロスタイム40秒でスタート。去年は1分半位だったからスムーズ。スタートしても自分のスペースを確保できる。
ここまでは、よかった。
最初の下り5km。ここをどう走れるか。それが今日のレースを物語る。そう信じていたから、最初の5kmを慎重に入る。少しずつあげていくか。
で、いざ、下り始めた瞬間。
「ダメだ・・・」
さっきまで何も感じなかったふくらはぎ、いきなりピキッと。
違和感、いや、痛み。それも結構キツい。激痛。
足に全く力はいらない。最初の1kmを何分で走ったのだろうか。あんまり覚えてないけど、最初1kmのラップにため息しか出ない。ペースをあげようとしても、力は全く入らない。
足は棒のようだ。
次の2kmも余り変わらない。どんどん人に抜かれて行く。
歌舞伎町の辺り。こんなに時間かかるか?いくらでもスピードあげれる環境はあるのに、全然足が動かない。
あー、やっぱりだめだったか。ごまかしても今日の状態は厳しいな。
1kmがとにかく長い!もうダメだ。。。
3km過ぎて、もう今日は無理だ。観念するか。
途中で止める?いや、それは、もったいない。ペースをあげることはできなくても、なんとか最後まで頑張ろう。
とりあえず、サブ4狙い、と考えるも、サブ4なら5kmラップは何分になるんだ?と頭で計算しても、タダでさえ算数弱いからわけわかんない(笑)
とりあえず4時間なんてもんじゃないね。
今回の東京は、長旅になりそうだ。。。。
市ヶ谷で会った友には、「今日はダメだわ」と一言。
そう悟った。ふと前を見ると、トイレがあった。
トイレ、どっちでもよかったけど、もう開き直りなので、時間はどうでもよくなったのでトイレに並ぶ。ここで2分近くロス。
最初のラップは
0−5km28:37(AVE5:43)
とほほ・・・・落ち込む元気もなかった。足はどうしようもないんだもん。
まさに手も足も出ない。動かない痛い足はどうしようもない。
6−10km27:16(AVE5:27)
ここからの長旅、どういう走りにしてみようか。
うーん、次の京都?いや、もうこれは無理でしょ。
「いかにボストンまで回復するか?どういうプランを立てるか?」
必死に頭で、今日の走りをどう繋げるか。そんなテーマを作らないとこれからの残り37kmを走る力はないと。
「Road to BOSTON!」
ふとそんなフレーズが、口からでた。先日、東京マラソンのサイトで走るときに唱えるマントラは何ですか?とアンケートしてた。
[https://www.facebook.com/questions/348141408558796/?qa_ref=pt]
うーん、そんなもんないなあー。と思いつかなかった数日前だけど、
そうか、今日はまさに、この言葉しか無い!
そこから、Road to BOSTONを繰り返す。
時計は、あんまりみないようにした。っていうかみても意味ないとおもったから。自分の楽なペースで、きっちり最後までのロング走ができれば、とそう思った。
そして、今まで前向くだけでしか余裕がなかったけど周りのボランティアや応援の人たちに反応し始めた。ハイタッチをしたり手を振ったり。
周りの風景に心をやったり。そして、皇居が見えてきた。この日も皇居ランをしているランナー達、すごいなあー(笑)って思ったり、観光客を眺めたり。
皇居を見つめ、天皇陛下お大事にしてほしいなあ、、とか。
すっかり気持ちは、観光ランぽくなってきた。楽しいというより、気持ちをそれでごまかしていたというのが、最初だったけど、だんだん、「楽しむのも悪くないよなあ」と思うようになった。
2年間の間に、東京マラソンはとっても進化していた。
沿 道の応援や、ボランティアの動きは、ワールドメジャーズの大会と遜色がないところまでにきている。前回気になったところも改善されており、応援も本当に素 晴らしい。そんな日本の東京に感動を覚えていたら、その東京を心いくまで満喫しよう。そう感じ始めていて、決して負け戦だて思わなくなってきた。
10km手前の日比谷に到着する前に「karenさん!」と本名で呼ぶ人が居た。
それは、昨日お会いできた大恩人のTさんだった。ここでも会えたことに感激。
でも、全然ペース上がってないことに、申し訳無さも少し。
だけど、Tさんに言われたことを改めて、今日は忘れず走って行くことにしよう。
11-15km25:44(AVE5:09)
日比谷のチェックポイント(10km)も、分かってるも55分という現実は、強がっていてもやっぱりキツかった。10kmを55分って・・・。
まあ、しゃーないな。
そして、ココを過ぎたころから、男子のトップ集団が帰ってきた。
ハイレが先頭集団で走ってる!ニューヨークでも出会えなかった憧れのハイレとすれ違いできたことに、ぞくぞく。
もう、東京すごいぞ!嬉しい!
そして、そんな事をしながら、友達が12kmくらいから陣取ってるといってたのを思い出し、探しながら走るが、見つからず。
まあええか。しゃないな。
増上寺の前の東京タワー!!!今日はもう満喫。素晴らしい!
応援の人と相変わらずハイタッチを続けるも、肝心の友達には一向に会えず。
諦めながら走ってたら、、、、ここで少し変な疑問。
「あれ、ここってこんなに短かったっけ?」
品川への折り返し。1年目は、強風でまともに前をすすめず、2年目は必死に姉さんについていくので、キツかったが、今日はペースを落として走ってるにもかかわらず、距離の進むのが、早くなってない?
時計ほとんどみてなかったので、ためしに1kmどれくらいで走ってるか、測ってみる。
5分半で走ってたつもりが、5分10秒近くまで上がってきてる!
身体が温まりだしたのが幸いしたのか、脚の違和感も余り感じることなくなってきた。相変わらず右足は全く動いていないが、それ以外の身体が安定していることに気づく。
折り返しのコーンをポーンと叩く。最後まで頑張れるように!
そしてもう一度冷静になる。オーバーペースになってない?今日は一旦ゆっくりロングをするって決めた以上、心拍などに余裕が無いかを確認するも、今のペースならなんとかなりそうだ。
でも、これ以上は絶対あげてはいけないね。とりあえず、ハーフ過ぎまでは。
もう一度、Road to BOSTONを口にする。
16−20km 25:31(AVE5:06)
18kmくらいで、まず取ったのは、痛み止め。
痛み止めは3時間くらいしか効かないっていう話だったので、朝部屋でとってから3時間近くになってる。効いてるかどうかは分からないけど、とりあえず気休めでも取っておこう。痛みはなくとも右足は相変わらず使い物にならないけど。
そして20km手前でジェル。今日は走るだけでなくエネルギーの補給の練習もしておこうっていうわけで、丁寧に摂取。
21-25km24:48(AVE4:58)
相変わらず、ペースは落ちない。
ハーフ通過がとても速く感じた。それでも、53分か54分くらいでしょ。
うーん、サブ4を狙ってたときと変わらないなあ。
やっぱり、とほほ。
でもでも。ここからが、東京マラソンはどんどん楽しくなっていくのだ!
銀座!
凄い人!ワールドメジャーズですっかり免疫ができてる(エッヘン)なワタシですが、それでも今日の銀座は凄かったねえー。天気がよかったからか、2年の間に注目度が上がってるからか、とにかく凄い人。
笑顔で、思い切り手を降る余裕はもちろん一杯!
聖地(笑)アップル銀座が、初めてちゃんと拝めた気分。ピースV
銀座では、知らず知らずにペースが少し上がってる。あれ?キロ5切ってる?
ここで調子に乗らないようにしないといけないけど、少しずつ少しずつビルドアップできるのかもしれない。そんな気がして来た。
それでも、ギアをもう一つあげるのは、30km過ぎまでやると、今日はギリギリの走りをしてることを忘れないように、慎重になる。でも、敢えてペース落とす必要もないから、少しずつ大胆さを小出しにしてく。
VESPAを25km地点で摂取。ガス欠はいまのところ大丈夫。足以外は、凄く調子良さそう。このペースを維持させるために。この辺からバナナの給食もみられるので、時折口にしながら、走る。
26-30km25:05(AVE05:01)
ペースはなんとかなんとか維持。ひたすらキロ5を死守。
この辺りの応援に知り合いが居る可能性があるので、一生懸命探しながら走ってく。残念ながら、会えなかったが、そしてここで見えて来たのは、
スカイツリー!!
おー!笑顔でスカイツリーを眺められたぞ。満足。
そのまま進むと、雷門へ。雷門も元気、元気。
ハイタッチをしながら、さらに近くに見えてきた、スカイツリーは壮大だった。
大感動!!
この辺りでは、普通のワタシに戻りつつあった。
折り返し、30km地点を目指すも、前回はずるずるおちてきたも、今日はそんな大きな沈みはない。前半の貯金が、効いたか?
31-35km25:16(AVE05:03)
30kmを2時間37分くらいで通過。おーーー、凄いリカバリや。
あと12kmをキロ5+αでも走りきれたら、サブ4どころか、40分切れるかも。
モティベーションは全開!
この辺からは面白いくらいごぼう抜きの連続。ここキツイんだよねえ。ワタシもそうやって、どんどん抜かれて行った経験があるから。雷門のテンション高の反動で、気持ちを維持させるのが本当大変。
でも、なんとか走り続ける。
銀座まで戻って来た。
銀座では初めて走り出した頃のホノルルラン友Aちゃんが見つけてくれた。
東京在住のAちゃんには久しぶりの再会。凄い大観衆の中、うれしかった。「速いよー頑張って」と。
築地方向への広い道では、そろそろギアをあげることにした。
広い道をどんどん走ってく。足は相変わらず棒だけど、ひたすら上半身で走り続ける。もういつもボロボロになってる35kmポイントでも、まだ元気。
36-40km 25:34(AVE5:07)
そして、ポイントを超えたところで、もう一回ジェルを摂取。
最後戦うでえー。と気合いれて、ジェルの口を噛みちぎろうとしたときに、品川で会えなかった友達が、ワタシを呼んでくれたー。ちょっと怖い顔だったかも。でも会えてよかった。
そして、気合を入れ、いよいよ佃大橋。
2年前、あそこはフラットだ、と思えたあの走りを必死に思い出す。
そして、今年頑張ったロング走のことも、思い出しながら、坂道を気合いれて上がってく。
さすがにちょっとキツかったけど、ここでも人を抜いていくことをモティベに。
そして、今回は佃大橋では、応援が大きかった。ボランティアの方も積極的に声をかけてくれるのが力になった。
3回目になれば、この後の春美橋、東雲橋だってわかってる。
上がりすぎず、無理せず、リラックスして進む。この辺では、時計もあんまりみてなかったけど、気持ち少し落ちてるなあ。だけど、それでもペースは維持できてるんだと、心を前向きに前を進む。
心を折れることはなくも、ギリギリのところで踏ん張りながら、走り続けると、38km過ぎで、もういちどワタシを呼ぶ人が!
なんと、またTさんだった。日比谷でお会いしたときは、正直恥ずかしかったけど、なんとかここまで、結果Tさんが昨日言ってくれた展開をできたことに、感動できた。それがもう一回モティベになり、40kmまで落ちるペースを止めることができた。
Finish11:08(AVE5:04)
今年は天気のお陰か、40km過ぎでもたくさんの応援が居てありがたかった。
みんな最後まで元気をくれる。
最後頑張るでえ。。
有明への橋もなんとか渡れるかなあ。
そう思った、41km地点。
ついに、左ふくらはぎが悲鳴をあげた。
ここまでで、勘弁して~。と言う声が聞こえてくるかのようだった。
もう両足が痙攣して、立ってることもままならなくなった。
それでも、切れないモティベーションが、ワタシを引っ張ってくれた。
まともに動かない足を、必死に腕をふって前を向く。
心拍が上がって来た。あと1km、そう言い聞かせて、前を向く。
ビッグサイトに戻って来た。
後195m。その看板と、うっすらフィニッシュの電光掲示板に、38分の文字を見る。
ここで頑張らないでどうする。必死に必死にもがいて、40分になる前に駆け抜けた。
3:39:38 (3:38:59)
まさか、ここまで粘れるとは。
前半を1時間53~54分だったとして、ほぼ1時間45分で後半を抜けた。
久しぶりのネガティブスプリットだった。
うーん、このネガティブスプリットは、褒められるようなものではないけど、
後半頑張れたのは、よかった。
ほっとして、フィニッシュを抜け歩こうと思うと・・・
足が全く動かない。
うーん、どうしよ、と思う瞬間に、ボランティアの方が飛んで来てくれた。
そこで倒れ込み。歩けなくなったので、車いすにのせられ、メダルやフィニッシャータオルの方面とは真逆に救護室に連れて行かれる。
「あ、これって川内君やん」って冗談を言うのは瞬時で、足がもう激痛。
車いすで荷物も運んでもらう。
お医者さんに足をみてもらう。
昨日の事を報告。「頑張り過ぎたようだね。でも、軽い肉離れのようだけど、大丈夫だよ」と。ストレッチを念入りにしてもらい、なんとか歩けるようになった。
「もう大丈夫ですよ」とにっこりボランティアの方が言ったけど、
「あの・・・フィニッシャーのメダルとタオルはあ?」
「完走したんですよね。どうぞ」
その言葉とともに、完走セットをまとめて渡してもらった。(よかった(爆))
そのまま、横のマッサージコーナーに向かう。
ふくらはぎをそれはまあ丁寧に施術してくださった。
トレーナーの方に顛末を話す。すると、「肉離れまではいってないですよ。心配なく。ただ、かなり筋膜炎がひどいです。すごい張ってるからケアしてあげてください」
2週間後に京都走るっていうと・・・うーん、ちょっとそれは。。。と言われた。
そんなこんなで、なんとか大騒ぎしながらも、東京マラソン2012は終わった。
今年の東京マラソン、防府のリベンジと思ったが、やはりそんなに甘くなかった。
だけど、負け惜しみでもなく。
本当に心の底から、楽しい、最高の東京マラソンだった。
足を痛め、この絶好のコンディションで走れないと分かった時、東京は鬼門なのかなとおもったが、ゆっくりいろんなことを考えながら、走れたこと。
そして、沿道からたくさんの方々に支えてもらったこと。
たくさんの友が沿道から応援してくれたこと。
東京の美しい街並に支えられたこと。
東京マラソンが、ワールドメジャーズに遜色無い所まで進化していたこと。遂に日本にも世界に誇れる市民マラソン大会が育ちつつあること。
恩人のTさんに何度もお会いできたこと。
車いすに乗りながら、ポロポロ涙が出て、ボランティアの人にありがとうってたくさん言った。
タイムばっかり追ってたら、見えなかった事だらけ。
そんなワタシに、神様が、試練を与えて、思い出させてくれたのかもしれない。また、結果は出せなかったけど、諦めずに、来年頑張れば良いや。
良い経験でした。
痛みの向こうには、たくさんの素晴らしいものをみる事ができた。ありがとう。東京マラソン。
終わってから、有明の海の上に青空。美しい青空だった。 そして、有明は、まだまだあと1kmを頑張ってるランナーがたくさん。大声で応援。
終わってから、部屋に戻り、給水会。
めちゃめちゃ楽しかった。ご一緒できた方、また新しい出会い。そして、ここから京都、ボストンまで一緒になる方々。頑張りましょう!
足は、今も両足は固まったままだけど、怪我ではないから、アイシングと軽いジョグで快方をまとう。
京都も、もちろん、Load to BOSTON!!
一旦卒業したつもりだった東京は、また来年も懲りずにエントリします。勝率6割は維持できるかな?
ヨッシャのオーラが光ってたよ。
だから見つけられたかも(笑)
前日のブログ見て、夫婦で心配してたよ。
京都でも、会いましょう!