12月の第三日曜日。
ここ三年間、この日に本気で走るために一年を回して来た。楽園ランナーだったんだけどな。走り出した頃は。
本気しかない、みんなの眼差しが本当に素晴らしいこの場所で本気になる。大好きな場所。
それが防府読売マラソン。
3年間毎年気合入れて準備して、そして、跳ね返されて来た(笑)
自己ベストを出して大喜びした場所であり、最高に悔しい経験をして大泣きした場所でもある。毎年ここでも沢山書いて来た。
1年前、最高にいい状態で臨んだはずだったのに、あの日だけ身体が動かなかった。未だにあの原因は分からない。
そして。楽園ランナーだったはずの私。
3年間ここを走ってきたことと同時に、昔、走り始めた時に決めたことがあった。
「オリンピックイヤーはホノルルを走る」
走ることより、ハワイが好きだったはず。ハワイが好きで、その延長にホノルルマラソン、マウイマラソンがあったはずなんだけど。
その言葉通り、2000年、2004年、2008年と走ってきた。今年はオリンピックイヤー。本当ならホノルルを走ることになる。
だけど、どうしても去年のあの日の謎を知りたかった。もう一度チャレンジしよう。ホノルルは走らないって決めた。
(といいながら、ニューヨークで結果を出せてたら、ホノルル走ったかもしれない(笑))
そう決めて、8月のエントリ開始初日に防府に、エントリした。いつもはツアー組んで行ったけど、本当に走れるかわからないから、今年は一人で行く事にした。
そして、ホノルル走らないの?って一緒に走るはずだった人たちに残念がられた。
なのに。
そんな8月以降。
身体中が金縛のような事に襲われてしまった。いろんなことがあり過ぎた。10km以上全力で走れなくなった。
今年、たくさん大切なものを無くしたことが、走ることまでブレーキをかけてしまった。
マジランしか許されない防府。こんな状態では走るどころか、完走すら危うい。出るだけ無理。失礼だ。遠いところまで行く意味が無い。
これだったら、ホノルルでておけばよかったかな。
なんて出てくるのは愚痴ばかり。
仲間が、どんどん頑張ってPBを更新していることを喜ぶことすらできなくなってた。それより妬ましさばっかり。
そんな中、同じように、今年に向けて頑張ってるけど故障でうまくいかないのに、私のように、愚痴なんて無縁で、今出来ることを一生懸命探されてた。
もがいている私に、沢山励ましをくださった。
その姿に、自分の今が何て情けないんだって思った。
今出来ることがたくさんあるんだよね。って。そのうえ、代わりにホノルル出る?そんな生半可な気持ちでホノルルに失礼。
1秒でも速くより、 「今自己ベスト」を突き詰める
by 為末 大
尊敬する彼の言葉をふと思い出した。というわけで、迷いに迷っていたが、2日前、思い切り青空の下を走り、日曜楽しもう。そう決めた。
4年目にしてのんびりふらりの防府。ゆっくり遅くに行くつもりだったが、身の回りも片付き、前日受付に間にあう時間に防府へ。
ずっとのぞみだったけど、最近は絶対さくら。さくらはものづくり日本の誇りだ。製造業に携わるものとして、こんなに美しい工業製品は無いと思う。
(なんて偉そうなこといいながら、新大阪乗った瞬間降りる直前まで爆睡してたけど)
受付会場では、ラン友さん達と再会。旅ランの一番のいいところは、別に誰と約束してなくても、必ず再会できること。
旅を重ねるごとに、友が増えていく。これが醍醐味だ。
時間があったので、お誘いを受けて開会式にも参加してみた。さすが準エリート大会。結講厳か。すっかり有名人の埼玉県庁の川内君。なんとマネージャーまでついていた。
彼も旅ランナーなので(笑)しょっちゅうあちらこちらの大会で見かける。最近彼に会ってもあんまり感動しなかったりする
観光モードとはちと遠い防府なので、大人しくうろうろせず。おまけに大雨だったので、まったりと前夜を過ごす。
緊張していないつもりだったが、やはり眠りが浅かった。緊張してるんだろうな。
昨日は大雨だった防府は、打って変わっての青空。
さすがの晴れ女。朝で9℃!
正午スタートだからのんびり。
7時45分に朝食まったり食べてたら、8時になった瞬間大行列(^^;;マニュアル通り4時間前だからかな(笑)朝ご飯は3杯おかわり。この量なら今日は調子良さそう。
ゆっくり準備して、シャトルバスで10時過ぎて会場に到着。
出発前に全部準備終わってるから余裕ー。
今年は1000人以上増えたから混雑を恐れていたけど全く杞憂に終わる。
会場内どこも何時もより人が多いなって感じるだけで影響なし。
防府の良さはここに尽きる!走ることだけに集中できる。
準エリート大会だから、仮装ゼロやし。みんなマジランに足元のシューズが物語ってる。
しかし!やっぱり人の多さは大きく変わった。
競技場、すごい人!
今年はラン友さんが一緒に走っていただけることになってたが、競技場のおびただしい人に、探すのは限りなく難しくなり、焦った。
ゼッケン番号教えて貰ってたのに忘れて、立ってる係員さんに出走表借りて探すも男性ランナーの数多すぎ。探しきれず時間切れ(T_T)
あーどうしよ、と思ってたときに声かけてもらう。セーフ!なんていってたらスタート5分前切ってた。
女子は出走少ないので、結構前から走れるけど、後ろでも良いや、どうせごぼう抜きされるんだから、ってリラックス。
ロスタイムは?家帰ってガーミン確認したら23秒。というか、どこがスタートか分からないし(汗)トラック溢れて最初フィールド走った(爆)
今日の目標は45分切りでペース5分15秒前後がターゲット。
45分切り=私の2014BQ。 今キロ5で10km走れないような今の私には、壮大すぎる。
ここ3年間、ここでサブ3.5を狙ってきたというのに。情けないが、今日のベスト、頑張るぞ。
とはいえ、エンジンかかるのが遅い私だから、最初は20秒オーバーでも焦らず、後半上げてく作戦。
「走りはネガティブ、気持ちはポジティブ」
なんてわけわかんないテーマを最初1km過ぎた頃に見える海見ながらつぶやく。
去年、この海見ながら、身体動かないー、とぼやいてたのにね。
それにしても今年は去年海風で凍るような感覚だったのに、汗がいきなり最初の5kmで止まらない。
暑い!
毎年8~9℃位で寒風、時折雪の防府が、スタート16℃、湿度50%って!
信じられない!最初の給水ポイント既に水が間に合ってない。取れる水が無い。これは運営のせいじゃなくて、経験値超えた暑さなんだと思う。
そんな気象条件にボヤキかけた瞬間、後ろから声が。
「大したロスじゃないです。ゆっくり焦らずいきましょう」と友の声。
ハッと我に戻る。今日は、全てを言い訳にしない、気持ち切らさず走ろう。その瞬間そう誓った。
暑くてサングラスから汗が溢れてなんども拭うも、いつも強敵だった風を味方にすることにした。時折吹く風に、暑さを和らいでもらった。
今年は、私には、風も強い味方だ。ってポジティブに考える。
現実、実際、ペースは前半イージーペースを維持するので精一杯だった。5分15秒に一生懸命近づけるも、かなりもがき続ける。
それでも、このペースは、突っ込んで撃沈しないギリギリのところ(いわゆるLT値)だと、自分なりに理解した。
じゃあ、これを維持しよう。残念ながら、例年より、10秒以上低いが、現実を受け止めよう。
だけど、これを絶対落とさない。これを最後まで死守してやる。
なんていいながら、落ちそうになったりふらついたラップ。でも、友が励ましてくれる。後ろからそっと見守ってくださる。
相変わらず、余裕度は最初から全くなく。
沿道の暖かい声にも申し訳ないけど、今日だけは応える余裕ない。今日は、走りだけに集中しなきゃ、最後まで走り抜けない。
「今日だけはワガママに自分の事だけ考えて走らせて下さい。なので、わたしの分も沿道に応えてください」
って、そう友にお願いした。その通り、私の分も沿道に笑顔で手を降り、猫ひろしに大声をかけ、川内君には最大のエールを送ってくれた爆。
そして、時折いろんな話をしてくれる。その度に、「karenさん、話返さないでいいですよ、聞いてるだけいいですよ」って。普通ならうるうるなんだろうけど、
それも、封印して走りに集中。
5km、10km、15kmと進む毎にかつての悔しい思いが蘇る。
防府はガチ走りしかしないから、楽しいなんてないんだよね、当たり前。
だけど、不思議な事に、ペースが今まで最遅なのに、チェックポイントを気持ちよく越えていける。
ペースが遅いからじゃない。だって今日の精一杯のペースなのに。ハーフ52分で通過。よし!
「女子をごぼう抜きしてますよ」って。友が褒めてくれた。
(ほんとかなあ、と後でリザルト見たらほんとに50人以上最後で女子を抜いていた。ま、おそすぎなスタートだったからだけどね)
ハーフ直後の三田尻大橋のアップダウン。去年はめちゃきつかったのに、フラットに感じた。
それでも、ペースはひたすら維持。
ちょうどその頃私の前に素晴らしい走りをするランナーさんがいた。
上下動全くぶれず、フォームが美しい。ペースを頑なに守ってる。
多分本当はスーパーランナーさんだとおもうけど、何かの理由でイーブン走してるんだと勝手に解釈してそのランナーさんをひたすら追いかけてく。
走るだけ集中できる、こんなに贅沢な走りは最初で最後だろう。
25km~30km。
去年ここで気持ちが切れた、折り返しまでのポイント。周りのペースに巻き込まれ、向かい風が去年ハンパなかった。
もがいた結果、折り返した後はリカバリ出来ず、ずるずると落ちたところ。
ここを焦らず大切に走る。何も考えず、とにかく前。
橋の上りは頑張らず、下りでリカバリして上手く走りをコントロールするんですよ、って後ろから聞こえてくる絶妙なアドバイスだけ耳に入れるのみ。
給水は、最初は取れなかったけど、給水体制もリカバリしつつ。
って、ここまで書いて思ったが、実は自分の順位が上がりつつあったから、確保出来たのかも。それなら嬉しいな。
とにかく給水は、ペースを乱そうとも最優先。暑いレースなら任せて(笑)
30kmを2時間40分。
凄い、予定通りだ!折り返しコーンを気持ちよく叩く。ここからだ!
気持ちは全然全く切れてない。
給水もジェル補給も上手くこなせ、体調にも脚にもさほど疲れは感じない。
けど、今シーズンろくにロングしてない現実を誤魔化せるほど甘くない。
心拍が上がり出した。
時計を見るのを止めた。ペースが落ちてるのは自覚しても、とにかく前進む。友のアドバイスの通り、前進むランナーを一人一人捕まえてくことに
だけ気持ちいれる。
防府のランナーは、みんなボストンと一緒。同じペースで走っていくから、その人たちにとにかくついてけばいいんだよって。
35km。防府駅前賑やかな場所。
応援が賑やかな所で、キツさが全開(T_T)心拍あがりまくってきた。
後7km。
友が、落ちかけてる自分の前を力強く走ってく(T_T)45分カットは無理って35kmで判ってた。
だけど、だからと言って最後流すのは失礼だし、自分自身の今日の目的である、最後まで気持ち切らさないっていう目標がある。
今日はタイムより、もう一度力強く本気で走れる気持ちを取り戻す。目先の一秒より、今日のベストを目指す。そう決めたんだから。
「みんなキツイんですよー!!粘れ!」
とはいえ、41km手前の横入川越え、強烈にキツイ。
頑張ってなかったら大した上りじゃないんだろうけど、このまま走ったら気絶するんちゃうか?って思うくらい、本気で登った!
そして競技場までの1km弱、
「あと800mですよ!!」のかけ声。
ここでヤッソやるのぉ???それより遥かに遥かにキツイ。
心臓が口から出そうな感覚、インターバルじゃなくてフルでは初めて。
そして、やっと競技場。
ヘロヘロになってるはずなのに、ふと気づくが脚、どこも痛くない。痙攣ってなーに?内臓痛くないの?ってくらい元気。心拍以外(爆)
神戸で大きなマメができ、メディカル行ったのに、今日は全然元気。
トラックへ。
「ここからリラックスで笑顔でゴールしましょう」って。
ラスト1kmのとてつもない苦しさは、フィニッシュラインを超えた瞬間、全て吹き飛んだ。それは、全て満足感に変わった。
フィニッシュした時、号泣の準備してたんだけど、涙は一滴もでず。普通に元気に笑顔で競技場を後にした。
心技体、今回は心に120点位あげたいくらい、良くがんばった。
もちろん、それは、私一人の力じゃなく、今日のレースだけでなく、その前からずっと調子悪い私を一杯一杯励ましてくれた、たくさんの仲間達のお陰。
私って、本当に幸せだなあーって本当に思った。
神戸の後粉々になった自分の心を一つ一つ繋ぎ合わせて、ここから長い道のりだけど、も一回時間かかっても、積み木を積み直そう。
時間かかっても、まだまだひよっこだもんね。ランナーとしては。
それにしても、防府って、やっぱり素晴らしい大会だ。
今日の結果は、過去3年より10分以上遅いタイム。
それでも、恥ずかしくない、かな。いや、、多分、一番自分を褒めてやってもいいかもしれない。
防府で一番長い時間、一度も気持ちを切らさなかったんだから。
このホスピタリティの素晴らしさ。コースの素晴らしさ、ランナーの素晴らしさ。日本で一番大事な大会の一つになりそうだ。
来年は今日学んだ事で自分一人でおさらいしに戻ってこよう。
・・・
レース終わって、早4日経っている。
仕事が忙しすぎて、毎日12時間以上働いているけど、疲れはなく、未だに日曜のあの満足感、達成感に満ちあふれる日々が続いている。
それは、ベストを出せたからなんだろうな。
また、ボチボチ、また次ベスト出せる走りが出来る日まで頑張ろう。
一杯昔ガチ走りした場所が、あろはさんを待ってますよ。
ずっとガチ走り、続けますよ。私も。
スポーツ全くしない(恥)私ですが、防府読売毎年沿道に応援にかけつけています。選手の皆さんが一生懸命に走る姿に感動し、次の年もまた次も。
走りの詳しいことはわかりませんが、またきっといらしてくださいね!!
防府の素晴らしさは、ランナーと沿道の市民の方と運営の方々みんなが一団となってまとまってる、その一体感です。年々大好きになっています。また来年も本気でがんばります。来年はちゃんと手を振れる余裕はじゅんびしておきます。また沿道で会えますように!