<北朝鮮のミサイルが、日本の本土を焼き払う。そんな悪夢はあり得るのか?>
・意外に思うでしょうが、日本政府には、北朝鮮に対する省庁横断的な専任部署がありません。大きな危険をはらむ国がすぐそこにあるのに、なおざりです。
<今この瞬間にも、日本は射程内。150~200発が狙っている>
・「在日米軍」と「在韓米軍」は、それぞれ違う役割をもっています。実はこの二つは「併せて一つ」のユニットなのです。
<なぜ韓国に米軍が置かれたのか?そこから見えてくる脅威>
・「フィリピン-台湾-韓国-日本-アリューシャン列島」がアメリカの新たな防衛ラインとなり、韓国がその最前線になったのです。
<朝鮮半島の二面性。刀にもなれば守りにもなる>
・ちなみに、アメリカはなぜ、海軍や海兵隊を日本に置いたのか?
それは朝鮮半島に置いたら、動きを察知されてしまうからです。
<ミサイルは防御できない ⁉ マッハ5以上で飛ぶ極超音速ミサイル>
<新たな防衛システムの構築に出遅れないために>
・しかし安全保障は待ったなしなのです。早急に課題を解決しながら防衛力を高めていかねばなりません。本書でお伝えしているような現状を、みなさんが理解するのと、何も知らないのとでは、物事の進展は大きく変わってくると私は思っています。
<レーザー兵器の実用化。実弾を必要としない画期的兵器>
・いずれにせよ「待ったなし」の状況下にある日本が、どのように自分を守るのか?それは政治家だけではなく、私たち一人ひとりに突き付けられた喫緊の課題なのです。
<北朝鮮の弾道ミサイルが日本を直撃。ロシア・中国が連動する ⁉>
・私は予言者ではありませんから“その日がいつか?”という問いには答えられません。しかし私は政治家ですから、国民を守らなければなりません。危険なものに対しては「危険だ」と強く訴えることが私の務めです。
・北朝鮮が単独で日本に侵攻してくることは、現状では考えにくいと思います。ただし、日本人を拉致した国であることを忘れてはなりません。工作員は日々入ってきており、何らかの諜報活動をしていると考えるのが自然です。
<中国は台湾の次に尖閣を狙う。その時、日本は!>
<中国のミサイルの現実。沖縄・嘉手納基地への仮想攻撃>
・「8:250」という数字があります。これは2020年に行われたと判明している限りのミサイル発射弾数です。「8」は北朝鮮。「250」は中国。中国の異様な多さがわかるでしょう。
<専守防衛のためのミサイル配備。中国の一人勝ちを許さない>
・中国には今、地上発射式のミサイルが2000発以上あります。
・日本にできることはないのか?今考えられるのは「スタンドオフミサイル」です。
・無論移動式なので、北海道から西日本に移動すれば中国内陸のミサイル基地にも届きますし、北海道からでも北京は射程圏内に入ります。
<海が陸地化している2022年の世界。島国日本はどうやって国を守るのか?>
・それに加え「QUAD」や「TPP」、「IPEF」などが多角的に結びつきます。
<台湾有事とは何か。なぜ中国は台湾を護りにいくのか?>
・台湾も含めての「東シナ海の蓋」は、軍事的にも経済的にも、非常に大きな意味をもつからです。中国が、尖閣諸島や台湾を強引な論理で「自国のもの」と主張するのはこのためです。
・このように、海をもつことは“戦略上”とても有利なのです。
<台湾有事になれば、日本には石油が入ってこない!>
・日本は石油の9割以上を中東から輸入しています。
・台湾有事、つまり中国が台湾に侵略戦争をしかけたら、どうなりますか?
<台湾有事はいつ起こる? 2027年に緊張はマックスになる>
・「台湾有事」という言葉を耳にする機会が増えました。でも多くの日本人はピンとこなかったでしょう。しかし前項で話したように「台湾有事は日本有事」なのです。さらに直接、攻撃を受ける可能性もありますが、それについては後述します。
・ずばり“その時”はいつか?早ければ2027年、というのが私の“読み”です。
・しかし「最悪のシナリオ」を想定して、リスク回避に備えておくことも、私の仕事だと思っているのです。
<中国の覇権主義。油断したら根こそぎ奪い取られる>
・しかし中国の欲望は、今に始まったことではなかったのです。
ざっくり話します。例えば1953年。中国は南シナ海に「九段線」と呼ばれる破線を引き「ここは2000年前から中国のものだ」と主張。馬鹿げているので、周辺国が相手にしないでいると、中国は実力行使に出ました。
<世論を味方にしながらの横暴。世界が中国に振り回されている>
・まさに、今回のロシアがウクライナにしたようなことを、中国は南シナ海で行っているのです。
・中国は、こうして各国との結びつきを深め、「親中」の国を増やしています。国際社会の“世論”を味方にしながら“横暴”もしているのです。
<南シナ海を護った理由。核ミサイル搭載の潜水艦が隠れている>
・しかしそれ以上に、南シナ海を「潜水艦の聖域」にしたかったのです。
<昨日の南シナ海は明日の東シナ海。尖閣諸島は完全にターゲットになる>
<2027年有事危機。なぜ習近平は、この年に動くのか?>
・台湾有事があるとしたら2027年の可能性が高い――。
私がそう言うのは、2027年が習近平国家主席の4期目を決める年だからです。
<中国は短期決戦を挑む。用意周到にしかけてくる罠“三戦”に注意>
・中国が台湾統一に動くとしたら、短期決戦を挑む――。今回のロシアのウクライナ侵攻を見て、習近平国家主席も改めてそう決意したはずです。
・さらに中国は、用意周到に「三戦」もしかけてくると思います。三戦とは「世論戦」「心理戦」「法律戦」の三つで、中国が戦いで重要と考えている要素です。
<中国は台湾をどう攻めるのか? 宮古、八重山も戦場と化す>
・外交や防衛、安全保障は「相手の立場になって考える」ことが基本です。もし私が習近平国家主席だったら、台湾をどう攻めるか、考えてみました。
<台湾有事はまさに日本有事。なぜ沖縄にミサイルが飛んでくるのか?>
・どうやって沖縄基地を叩くのか?ミサイルを飛ばすのが手っ取り早い。つまり、台湾有事は沖縄有事、さらには日本有事なのです。
・ちなみに、沖縄には在日米軍のおよそ70%が集中しています。米軍基地は沖縄各地にあり、その面積は沖縄本島の15%を占めています。
<台湾有事の避難経路を確保。先島諸島の人々を逃がす際の大問題>
・また、国民の保護、台湾にいる法人や外国人保護のための法整備にも動いています。
<戦争に常識はない。台湾からの避難をどうするか>
・台湾には約2万5000人の日本人が住んでいます。コロナ禍以前には、旅行者は年間190万人、1日換算5000人ほど。日本人だけで3万人以上です。
台湾有事になれば、この人たちの救助と避難を行わねばなりません。
・有事には、想定外のことが次々と起こります。平時の常識は通用しないのです。
<まったく新しい戦争と人間>
<戦争は新たな時代に突入。ハイブリッド戦とは何か?>
・そして今、戦争はさらに新たな時代に突入しました。今回のロシアとウクライナの戦いでは“新しい戦争のカタチ”がはっきり見えたと思っています。
「軍事」と「非軍事」を組み合わせた“ハイブリッド戦”です。
・非軍事戦とは、ひと言で表現すると「情報」を使った戦いです。
<兵士の損耗率ゼロでしかも安価。ドローンが戦争を変えた>
・もう一つ“ハイブリッド戦”のリアルな話をします。2020年、アゼルバイジャンとアルメニアの間の実例です。両国ではナゴルノ・カラバフ地域を巡り、30年以上も紛争が続いていましたが、この時はハイブリッド戦を駆使したアゼルバイジャンの圧勝に終わりました。ドローンやスマホを巧みに使い“電波戦”で勝ったのです。
<ハイブリッド戦をなめたツケ。功を焦ったロシア軍の失敗>
・今回、ロシアが短期決戦に失敗した大きな理由の一つ。それは、侵攻した最初の段階でウクライナの対空火器を叩かなかったことです。
・また、電波塔などを叩かなかったことも失敗でした。
<中国の殺人AIドローン。自ら目標を発見、攻撃する>
・2020年、中国が公開した「小型自爆ドローン」の映像は、とてもショッキングなものでした。
・中国の小型ドローンはAIを使った“自律型”です。
<半導体が国の興亡を分ける。人体を破壊するナノ兵器>
・アメリカは今回、ウクライナに「スイッチブレード300」という小型ドローンを提供しています。
・そして台湾のメーカーではすでに、3ナノメートルの集積回路が開発されています。
・中国が台湾を統一したい理由には、半導体やICの技術欲しさもあるのです。
<統制・専制国家が強い理由。AIの分野での軍民融合>
・軍民融合が“統制・専制国家”ほど行われやすいのは当然です。
<機械と機械の戦いの先に。簡単に戦争が始まる未来>
・そして、人間を無視した「機械と機械」の戦いは、今後、さらに恐ろしい世界をつくる可能性があります。ロボットが人類を征服する世界です。規制をしたくても難しい現実がそこにあります。
<情報戦の新たな可能性。ウクライナを救ったスターリンク>
・“情報戦”は新しい戦争のカタチですが、いい意味で大きな可能性を示してくれました。情報を利用すれば、1か国ではなくて、国境を越え、軍・民の枠をも超えて世界中が相手になるのです。
逆に言うと、情報戦は大きな「抑止力」にもなり得るということです。
<統制・専制国家の優位。民主主義では情報統制ができない>
・片や中国では「データセキュリティ法」が2021年に成立し、民間が保有するデータを政府が吸い上げることが可能になりました。
<相手の脳を攻撃する。認知領域での激しい情報戦>
・人間は情報に左右される生き物と言えるでしょう。今回のロシアとウクライナの戦争でも、相手の脳に訴えかける“認知領域での情報戦”がくり広げられています。
<偽情報、偽旗への対応。VPN回線を使って情報を守る>
・中国やロシアでは、それだけ情報の統制を重視しているということです。友人に送った個人動画が盗まれ、悪用される危険もある。これは恐ろしいことですよね。
<日本の近海と原子力潜水艦。長期潜航によって島国は陸も同然>
・とはいえ、やはり原子力潜水艦をもてば、安全保障上の大きな力になることは間違いありません。
<世界平和実現を絵空事にしないために>
<日本小さな国ではない。世界が日本を大国と見る理由>
・日本の大きさは、世界で61番目です。
・「領海」や「排他的経済水域」(EEZ)まで含めたら、日本は世界で何番目?領海とは「その国の海」と認められた範囲、EEZは「権益」が及ぶ海域。つまり他国に邪魔されず、自由に行動できる海域のことです。
ここまで含めると、なんと日本は「世界で6番目」の大国になるのです。
<国同士の“陣地争い”。海に囲まれた日本も巻き込まれている>
<竹島なんて譲っていい ⁉ 中途半端な考えが日本侵略の第一歩になる>
・小さい島だから、無人島だから譲ってもいい、などと思うのは大間違いなのです。
<ウクライナ危機の嬉しい誤算。欧米は危機を自覚してまとまった>
<自国を守る科学技術を育てる。総合安全保障という考え方>
・最後にもう一つだけ「総合安全保障」という言葉を覚えておいてほしいと思います。防衛や外交だけでなく、経済安全保障、エネルギー安全保障、食料安全保障など、トータルで考えるのが総合安全保障です。
<あとがき>
・北朝鮮に限りません。日本を取り巻く状況は、日増しに緊張を高めているのです。2月24日のロシアのウクライナ侵攻以来、危機感の高まりが加速しているのは確かです。
・ロシアのウクライナ侵攻により、実質的には、第三次世界大戦の幕が開いたと言えるかもしれません。残念ながら日本はすでに、その渦中に放り込まれてしまったのです。
(2022/3/5)
『「反核」愚問』
日本人への遺言 最終章
日下公人 徳間書店 2018/2/28
<「渡部昇一氏を悼む」>
・周知のように、渡部先生はみずからの信じるところを誰に遠慮することもなく素直にお話しになる。周囲の雑音などはまったく気にしない。左派リベラルからの批判など歯牙にもかけない。そうした意味でも、渡部先生はわれら保守派のシンボル的存在であった。
ところが、その渡部昇一先生が2017年4月17日、思いがけず急逝されたのである。満86歳であった。
・先生の方が少し年長と分かったので、これからはずっと弟と思ってください……死ぬまで……と申しあげたのが始まりで、それから今日まで約40年、先生の波瀾万丈の人生をおそばで拝見させていただいたのは望外の幸せだった。
<米朝緊迫は「チキンレース」と心せよ>
<メディアは危機を煽りすぎていないか?>
・私がいま、ちょっと辟易しているのは「トランプは先制攻撃を仕掛けるか?」「核戦争は始まるか?」「日本は核武装すべきか?」……といった議論が日本のマスメディアに溢れかえっていることです。北朝鮮が東アジアの“台風の目”になっていることは事実ですが、少し騒ぎすぎではないかと思います。あるいは、危機の煽りすぎではないかと見ています。
<北の「核ミサイル開発」vs.米韓の「斬首作戦」>
<戦争を「道徳」で考える平和主義者たちへの危惧>
・ここで私なりの考察を加えておけば、日本という国は世界のなかで少々異質なところがあるように思います。どういうことかというと、日本人は「平和」がノーマルな状態で、「戦争」はアブノーマルな状態だと思っているけれども、欧米人はそれとは逆に考えているということです。彼らは「戦争」こそがノーマルな状態で、「平和」はアブノーマルだと感じています。
・ところが、ヨーロッパ大陸に目を向けると、16、7世紀に形成され始めた主権国家同士が領土争いや宗教的対立からしきりに戦争をしています。戦争と内戦はほぼ日常化し、16世紀のヨーロッパでは戦争がなかった時期はわずか10年。17世紀になると、平和な時期はたったの4年(!)でした。宗教戦争、内乱、農民一揆……と、戦乱が相次ぎ、1618年から48年まで続いた「30年戦争」では、いまのドイツが悲惨な状態に陥っています。
30年戦争というのは、ヨーロッパで覇権を確立しようとするハプスブルグ家とそれを阻止しようとする勢力との権力争いであると同時に、カトリックとプロテスタントの宗教戦争でもあったため、憎悪の炎がいっそう燃え盛り、もうむちゃくちゃな殺し合いとなりました。30年間も戦乱が続いたので、1648年に平和条約が締結されたとき、ドイツの人口は30年前の3分の1以下になっていました。60%以上の人口が消えた(!)のです。なくなってしまった町や村の数は100以上、ともいわれています。
・たとえば、ヴェルテンベルクだけでも1634年から1641年までに34万5000人が殺され、チューリンゲン地方の19ヵ村1773世帯があったところでは、たった316世帯しか残らなかった。これはほんの1、2例にすぎず、数百という村落がまったく地図から姿を消したのである。
・30年戦争はそれほど凄惨な戦いでした。そして、そんな戦争が日常化していたのがヨーロッパ大陸です。そういう歴史を有しているから、欧米人は「戦争」がノーマルで、「平和」はアブノーマルだと捉えているのです(もちろん口ではそんなことは申しません)。
・それに対して欧米人の暮らすヨーロッパ大陸は地続きですから、いつ国境の向こうから敵が攻めて来るか分からない。そうなれば、ただちに戦争が始まる。前述したように、16世紀に戦争がなかった時期はわずか10年、17世紀に入ると平和な時期はたったの4年でした。したがって、彼らは平和が長く続くとは考えない。そうしたDNAが彼らの体にも、社会にも沁みついている。「戦争」の状態がノーマルなのだから、欧米人は戦争になっても日本人のように逆上することは少ないのです。
<米朝対立は究極のチキンレースだ>
・私に言わせれば、いま世界では4か国がすくみ合っている状態です。言い方を変えるなら、4か国がチキンレースを行っている。それゆえ、どこの国も動けなくなっている。「チキンレース」というのは、ご承知のように、度胸のよさを競い合うゲームです。
<付け焼刃の「日本核武装論」を嗤う>
・しかし、長谷川さんや私のような冷静な意見は少数派です。現在の米朝対峙はチキンレースであるから大事に至ることはないという意見はほとんど見当たりません。テレビや月刊誌を見ると、明日にも“第二次朝鮮戦争”が勃発するかのような報道や見出しが躍り、いろんな方々が急ごしらえの「日本核武装論」を打ち上げています。
<四輪がイビツだった「戦後日本」という車>
・ただし、ここへきてアメリカで「日本核武装論」の声が高まっているのはそう悪い傾向ではありません。なんとなれば、米朝緊迫という東アジア情勢を別にしても、「自主防衛」は国家の基本だからです。その自主防衛のなかに「核武装」というオプションが入ってくるのはなんら例外的な話ではありません。
振り返れば、日本が自主防衛に立ち遅れたのは戦後日本の青写真を描いた宰相・吉田茂が「経済復興第一主義」を貫いたからです。流行の言葉を使えば、「経済フォースト」だった。国家という車には、政治、経済、外交、国防という4つの車輪が必要ですが、戦後日本は「国防」という車輪がきわめて小さかった。そのままでは真っ直ぐ走行できないはずでしたが、アメリカが日米安保条約で「国防」という車輪に下駄を履かせてくれたので、どうにか走り続けることができたのです。
・今回の北朝鮮問題でも同じようなことがいえます。自分の頭でチキンレースの実態を分析しないから、メディアが右往左往したり、世の不安を煽ったりすることになるのです。
メディアだけではありません。「ポスト安倍」を狙っていると見られる石破茂・元地方創生相もここへきて、しきりに「ニュークリア・シェアリング」を唱えています。
・ニュークリア・シェアリングというのは、NATO内で核を保有していないドイツ、ベルギー、イタリア、オランダがアメリカの核兵器を共有するシステムです。アメリカと核兵器を共有し、軍備を提供し、核兵器を自国内に備蓄する国を「ホスト国」と呼び、以前はカナダ、ギリシャ、トルコがこのホスト国に入っていましたが、現在は上記4か国だけです。
ホスト国は自国の基地内にアメリカの核兵器を配備しますが、平時において核をコントロールする「キー」を握っているのは米軍です。
<アメリカで台頭する「日本核武装論」>
・田中宇(さかい)さんという国際ジャーナリストのニュース・レター「国際ニュース解説」9月10日号によれば、多くの識者がいろんなかたちで「日本核武装論」を展開しています。
――タカ派の国際政治学者のウォルター・ラッセル・ミードは、ウォール・ストリート・ジャーナルの9月4日付に「トランプは日本の核武装を望んでいるか」という論考を載せています。
《日本の核武装に対する米政府内の意見は分裂している。日本の核武装を阻止したほうが米国の覇権を維持できると考える人と、日本が核武装し、つられて韓国や台湾も核武装したほうが中国の台頭を抑止できるし、日韓から米軍が撤退できて防衛費を節約できるので好ましいと考える人がいる。トランプ自身は後者だ》
――米海軍のジョ・ンバード元中将の主張は次のとおりです。
《トランプは、北の核の脅威に対抗するため、日韓に「核武装を許す」と公言すべきだ。日韓に核武装させたくない中国は、本気で北に圧力をかけるようになり、北の核問題を解決できる》
――右派の論客パット・ブキャナンも日韓の核武装に関して肯定的な立場をとっているようです。
《米本土が北から核攻撃される可能性が出てきた今、米国は朝鮮半島政策を再検討すべきだ。(中略)米国は日韓に、自立した防衛と、独自の核兵器を持つことを計画させるべきだ。核武装は日韓両国を台頭させることになり、アジアでの中国の一強体制が崩れて均衡する良い効果もある》
・いずれも北朝鮮の核開発・核武装と関連させての議論ですが、そうした情勢論を抜きにしての「日本核武装論」は「自主防衛」という観点からもなされてしかるべきでしょう。じっさい、私はいまのように識者たちが騒ぎ出すよりももっと前、すなわち10年前、いや、それ以上前から「日本核武装論」を展開していました。
<私は十年以上前から「日本核武装」を説いてきた>
<早かった私の「日本核武装論」>
・私がいつごろから「日本核武装論」を言い始めたか、自分でもはっきりとは覚えてはいませんが、21世紀に入ったころからだったような記憶があります。
・その安くする方法とは、読者の皆さんは驚かれるかもしれないが、原子爆弾を持つことなのである。最近パキスタンが原爆を持ちたがっているのも、かつてソ連が持っていたのも、実は「安上がり」というのが理由だった。
・そもそも核というのは使うための兵器ではないのです。
「相互確証破壊」という言葉があるように、核戦略観点からすると――核兵器を保有して対立する二か国のどちらか一方が相手国に対して核を使用した場合、先制核攻撃を受けたもう一方の国は必ずや残った核兵器を使用して報復を行うでしょう。このため、一方が核兵器で先制攻撃を行えば、最終的には、双方が必ず核兵器によって完全に破壊し合うことになる。これを「相互確証破壊」と呼んでいるのです。
早い話、核兵器は使える兵器ではないということ。
<日本という国家の「意志」の表明を!>
<世界のトップ水準にある「力」を自覚すべし>
・日本は再び、自分で自分の体格に合った服をつくり、着こなすようにならなければいけない。他者がつくった服を無理に着る必要はない。日本は、自らに合う服をつくるセンスも、技術も、経済力も十二分に持っている。軍事力さえも、日本人にその自覚が薄いだけで、ポテンシャルは世界のトップ水準である。
・これを「日本社会が右傾化している」「いつか来た危険な道」などと喧伝するのは、今そこにある危機を糊塗する、現実を見ようとしない為にする議論にすぎない。日本は自ら変わることを恐れる必要はないし、むしろそれによって世界の日本を見る目が変わるということを自覚すべきである。
<ロシアにおける北方四島返還論登場の背景>
<「日本は原子力潜水艦と原子爆弾を持つ」と宣言せよ>
・実力を自覚した日本は多様な選択肢を持つ。その選択の一つが、「非核三原則」を廃棄することである。
非核三原則は、1968年の佐藤栄作首相の国会発言「核兵器はつくらず、持たず、持ち込ませず」とその後の政府の答弁にすぎず、国際条約ではない。国内において法制化されたものでもない。アメリカに自国の安全を委ね続けた戦後の固定観念や従来発想、収縮思考から離れて、「日本は原子力潜水艦と原子爆弾を持つ」とここで宣言すれば、日本を取り巻く環境は劇的に変わる。
<インドの選択が日本に問いかけること>
・アメリカがインドにそうした“地位”を認めたのは、インドが民主主義国家で、核拡散の懸念が小さいとしたからで、この要件はすでに日本は十二分に満たしている。しかも、わが国はアメリカの最有力同盟国である。今後、インドを日本に置き換えてのアメリカ大統領の発言があり得ないとどうして言えようか。NPTの枠組みもまた、核保有を選択しようとする国の「意志」と「実力」によるのである。
インドの選択が日本に何を問いかけているかを、われわれは真摯に考えねばなるまい。
日本人としての気概――何よりそれが大切だから、私は気概を養うことになる日本の核武装を説き続けてきたのです。
昨今、雨後のタケノコのように出てきた「日本核武装論」とは性質が異なります。そこは一緒にしないでいただきたいと、読者の皆さまにはお願いしておきます。
<孤立しても「核保有」を実現したインドの胆力に学べ>
・日本がいますぐ「核武装する」と言うと、抵抗は大きすぎる。世界各国から批判を浴びることになるでしょう。しかし、核の議論ははじめなければいけない。その時期にきていることは確実です。
・インドが核保有国となった後、私はインドへ行くと会う人ごとに「どういうステップで核保有の階段を一歩ずつ上がっていったのですか」と、聞いて回りました。彼らが口々に言うのは――「途中の段階は本当に苦しかった。世界中から孤立して、アメリカには猛反対され、ぶん殴られそうになった。どこも応援してくれる国は出なかった。しかし、一流国に仲間入りするにはどうしても核の保有が必要だった。だから、われわれは歯を食いしばって核開発に邁進したのです。
<「核武装への15のステップ」~前編>
・このように、私の説いてきた「日本核武装論」は日本国内に対しては「刺激」であり、海外に向かっては「揺さぶり」でした。先に「相互確証破壊」という用語を説明しましたが、核兵器というのは元来、使用するものではないからです。
では、私がこれまで行ってきた核の議論は空理空論だったのかといえば、けっしてそんなことはありません。具体的に、入念に輪を進めてきました。
その一つが「核武装への15のステップ」です。
<(1)日本の首相には靖国神社の4月例大祭に参拝してもらう>
・いきなり「核武装」というのではなく、まず日本国の首相に靖国神社へ行っていただきます。そのときは首相だけでなく国民も参拝する。みんなが靖国神社へ行くわけにはいきませんから、各県には必ず一つはある、地元出身の戦死者を祀った護国神社へ行く。護国神社も遠い場合は産土の神様のある地元の神社でもいいでしょう。そこには忠魂碑が建っていて、郷土からの戦死者の名前が書いてありますから、それにお参りするのです。首相が靖国神社に参拝するとき国民もそれらに参拝すれば、世界に向かって日本人の姿勢を示すことができます。
<(2)非核三原則を廃止する>
・現実に、非核三原則が有名無実であることは誰もが知っていることですから、一言、「もう、や~めた」と言えばよい。日本が勝手につくった原則なのですから、「今後は、非核三原則はなかったことにする」と宣言すれば、それで済みます。勝手に止めても何の問題もありません。
<(3)集団的自衛権の行使を肯定する>
・集団的自衛権とはいうまでもなく、同盟国に対する攻撃を自国への攻撃とみなし、共同で反撃する権利のことです。
【これまで、集団的自衛権については内閣法制局長官が「集団的自衛権は保有するが、行使できない」と、まことに矛盾した解釈を行ってきましたが、15年9月、安倍内閣によって「平和安全法制」関連二法案が成立。それが公布・施行されたため、集団的自衛権の行使は可能になりました】
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