日本は津波による大きな被害を受けるだろう UFOアガルタのシャンバラ

エーテル界の人類の源郷か?神の国か?天上のエルサレムか?
チャネラーとコンタクティの情報を集めています。森羅万象も!

「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(12)

2021-08-28 17:25:27 | 森羅万象

 

・航空自衛隊と言えば、かって国会で「外国に脅威を与えてはならない」「外国の基地を攻撃してはいけない」ということで、F4ファントム戦闘機の爆撃装置と空中給油装置を外してライセンス生産された時代がありました。このような軍事的な国際非常識のことでもまかり通る時代でした。ところが、ライセンス生産された時期と北朝鮮の拉致事件が激化した時期が奇妙にも一致するといわれます。北朝鮮に国会の軍事知識の脳天気(ノー天気)ぶりが見透かされたのではないでしょうか。春秋の筆法によると「国会の軍事常識無視が北朝鮮の拉致事件を招きよせた」といえるでしょうか。歴史に「もし」ということはないそうですが、F4ファントム戦闘機から爆撃装置と空中給油装置を外さなければ、北朝鮮の拉致事件という面倒くさい、長期間にわたる事件は起こらなかったそうです。北朝鮮は拉致被害者関係の書類はすでに焼却しているのかもしれません。

 

・軍事常識的に外国人や外国の軍人に笑われるようなことをしておれば、大きく国益が損なわれるという一例だそうです。「国会は良識の府だ」そうですが、国民としては軍事常識を競ってもらいたいものです。各国の政治家の軍事常識の差が、各国の核シェルターの数の差となっているのでしょうか。限られた予算ですので、税金の無駄使いをやめて、有効に使ってもらいたいものです。そうでないと、国そのものもなくなるような昨今の原子爆弾や水素爆弾の破壊力だそうです。「想定外」の原発事故のために多くの国民の生活が破壊されましたが、「想定外」というのは、想定を超えたすぐそこにあるものですから。グローバル基準を採用して核シェルターはいかがでしょうか。日本人に特有な「甘い国際感覚、貧弱な語学力」では大きく国益を損ねるそうです。

 

・北朝鮮の拉致事件についても警察が何をしていたのか、不思議です。犯罪の検挙率も下がっています。現代の振り込め詐欺についても、被害が巨額ですし、被害者も高齢者で、なぜ全員検挙できないのか私たち一般人は、不思議です。防犯カメラやコンピュータを駆使して検挙率を上げることができるのではないのでしょうか。警察官の数が足らないそうですが、数万人でも増員することは予算的にも可能だと思いますが。元警察官僚で国会議員の人が、「警察がしっかりしておれば拉致事件は起こらなかった」と言っていますが、私たち一般人は、不思議な思いです。政府の「失政」も増えているそうで驚きます。失政を厳しく追及する国民の関心が欠けているのかもしれません。

 

・現在の中国でも当然ながら、日本のマスコミの論調を監視する組織があり、マスコミ関係者を色分けしているそうです。「諜報機関には諜報機関を」「スパイにはスパイを」ということで、彼らに倍する能力の諜報機関を持たなければ国際社会の厳しい戦いには生き残れないそうです。隣国はハニートラップ大国だといわれます。反日教育をしている国は、日本国内の動向や世界の中における日本の動きを日本人が想像する以上に大規模に詳細に観察して分析しているそうです。もちろんその中心はスパイ教育を受けたネイティブ・スピーカー、コンプリート・バイリンガルの民間人たちです。反日国家に対する国会の甘い国際感覚では、大きく国益を損ねる懸念があるそうです。

 

・が、元公安部長によると「日本は本格的な諜報機関を持たない珍しい国だ」そうです。外国人にバカにされないような諜報機関を持っておれば、北朝鮮も拉致事件のような暴挙をあえてしなかったことでしょう。日本の自衛権の武力制裁を北朝鮮は狙ったのでしょうか。経済制裁もすぐにせずに、ひたすら平和的解決ですと数十年の歳月が流れました。詳しくは知りませんが拉致被害者の多くも亡くなっていることでしょう。被害者もその家族も高齢化しており、拉致事件は、大きな失政になったようです。この程度の問題に数十年もかかっているようでは政治家の非力が窺われるといわれます。特に北朝鮮と常日頃コンタクトしていた政治家は何をしていたのでしょうか。

 

・本当に必要な本格的な諜報機関もできていませんので、無駄な時間が経過したようです。核兵器に関する政治家の発言はタブーとなっているといわれます。核兵器について大胆な発言をすることは、マスコミにもたたかれますし、極右の政治家として烙印をおされ、選挙民と気まずい思いをするそうです。おぞましいこと、過激におもわれることのタブーに上手に触れないことが政治家として大成するそうです。

  「航空自衛隊のF4ファントム戦闘機から国会が、爆撃装置と給油装置を外さなければ、北朝鮮は拉致事件を起こさなかったかもしれないし、拡大しなかったかもしれない」という話もあるそうです。歴史には「もし」ということはありません。拉致事件も数十年も経ちますが、諜報機関も作ろうという動きもなく政治の非力さが窺われるそうです。「民主主義国家においては国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」、「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」ということで、諜報機関のない国で国益を大きく損ねている結果となったといわれます。肝心の政治家の劣化、スキャンダルが、世界中に発信されています。

 

・私たち一般人は、軍事専門家ではないので、詳しくは知りませんが、「この狭い国で核兵器を持たなければ、絶対核兵器を撃ち込まれない。確率ゼロである」「だが、横須賀や厚木基地に核を撃ち込まれたらどうしよう」という平和信仰から「核兵器を持てば、核兵器で恫喝される確率は少なくなる。実際に打ち込まれる確率も少なくなる」という「確率」という合理的な思考に転換するのに、日本の平和愛好知識人は数十年かかるそうです。

 

・「素人が専門の軍事問題を扱うのは非常に危険だ」そうです。数十年経っても解決できない「拉致事件」の政治家の非力さを考えれば、誰も責任をとらないという不思議な状況だそうです。否、責任を取る必要もないという意見もあるそうで奇妙です。さまざまな懸念があり、事件の解決まで「タブー」になっていることもあるのかもしれません。

  「貧者の核兵器」という「生物化学兵器」を熱心に作っている国々の指導者に「合理的な思考」を求めるのは、無理な話だそうです。5兆円という限られた防衛予算で抑止力のない高価な通常兵器を少数揃えて、拉致事件程度の問題解決も数十年かかっているのでは、現実に「抑止力」という概念があるとはいえないそうです。「抑止力のない高価な通常兵器を少数揃える」よりも、巡航ミサイルやバージニア級の攻撃型原子力潜水艦等の「抑止力のある高価な通常兵器を少数揃える」必要があるようです。

 

・平和主義者も現実に拉致事件や領土問題で平和を破られているのに、ひたすら「平和を世界に叫び続ける」のは、「憲法で保障されている自衛権の放棄をしている」ことと同じで「外国人の目からは奇異に映る」そうです。平和主義者にこそ、拉致事件を早急に平和的に解決してもらいたいものです。拉致被害者はかなり多くて、その家族も高齢化で亡くなっている人々も多いという話もあるようです。国民の関心の的である拉致事件の平和的な解決は、ないのでしょうか。憲法学者が自衛隊を否定して、拉致事件を解決してくれるのでしょうか。

  それこそ「税金の無駄遣い」をやめて、バージニア級の攻撃型原子力潜水艦や巡航ミサイルの装備で、通常兵器のレベルを上げて抑止力も上げていく必要があるそうです。警備のために小火器も数百万丁備蓄する必要があるといわれます。「そこにある実際の被害と危険」から「拉致事件」の解決や「原子力潜水艦の装備」など数十年遅れていますが、「諜報機関のない国は既に国益を大きく損ねている」ようです。

 

・amazonに「日中戦争」といれますと7920件、「米中戦争」といれますと134件の書籍が分かります。「日中戦争」の本が多いのは、第2次世界大戦のものが多いからでしょう。自衛隊と人民解放軍の兵器を比較したカラー写真の雑誌も多く出版されたりしましたが、売れたのでしょうか。出版界は、売れるものに飛びつくといわれています。特に尖閣諸島の問題が起こってから、「日中戦争」ものの本が急増したそうです。

 

・私たち一般人には、軍事専門家ではないので、軍事問題については理解不能なことが多いようです。しかし、私たち一般人は、軍事問題に無知であってもいけないようです。軍人官僚と政治家のために、無謀な太平洋戦争に巻き込まれ、徴兵で死に、庶民が無差別爆撃で命と財産を失ったように、「生命と財産」を守ってもらえなかった歴史的事実があります。だから一人一人が政治意識を高めていく必要があります。「民主主義国家においては国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」、「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」ということで、現代でも100%政府(防衛官僚や政治家)に頼れないということだそうです。太平洋戦争でもほとんどの将官や将校も「戦争に勝てるとは思わなかった」といわれます。そして、「戦争に負けることが、どういう意味を持つのか」という認識もなかったそうです。

  「徴兵は苦役である」という法律解釈から「国を守る義務は崇高な義務である」という憲法のある外国人の国防意識まで、その差は「雲泥の差」といえるでしょう。「核には核を」という合理的な思考が求められているそうです。すぐに核兵器を持つことは、今までの経緯から「平和ボケ」では無理なことです。時間がかかります。憲法のように外国人の信義と善意を信頼して頼っていても拉致事件は解決しませんでした。人間に闘争心がある以上、いつの時代でも武力制裁が必須となるそうです。ヨーロッパの歴史も昔から国や民族の殺し合いの血で血を洗う歴史でした。

 

・生物化学兵器は「貧者の核兵器」といわれています。周辺諸国が核シェルターや核兵器、生物化学兵器の開発に熱心なのに比べて、「日本は、お人好しを通り越した存在ということになる」そうです。「戦争狂人」といわれている人民解放軍の将軍たちが熱心に真面目に「米中戦争のシナリオ」を研究しているそうです。今の米中間のサイバー戦争は、「すぐそこにある危機」のようです。マクモニーグルの未来透視に「23世紀と24世紀における2度の大戦で人類の人口が6分の1に大激減する」というのがあります。その時は生物化学兵器も大量に使われるようです。「イルミナティ・エージェントが第3次世界大戦を引き起こす」という不気味な予言もあるようです。今世紀にも第3次世界大戦が起こらないという保証はないそうです。

 

・「憲法を厳格に解釈実行して国が滅んだ、地図から消えた」ということではなく憲法を改正しなくても核兵器が持てるそうです。太古から「滅んだ民族や消えた国」の数は非常に多いようです。また公安調査庁の元部長によれば「日本は諜報機関のない世界的に珍しい国だ」そうです。「諜報機関のない国は拉致事件にも無力だった」そうです。この方面に脳天気(ノー天気)ですと、「最終戦争の未来の時代」には日本も歴史から消えていくことになるでしょうか。日本の防衛政策は憲法にかかわる戦後の流れから、非常に特殊で、外国人の目から見れば非常に奇異に映るといわれます。

 

・国会によって爆撃装置と給油装置を外されてライセンス生産された高価な航空自衛隊のF4ファントム戦闘機は、拉致事件に何らの抑止力にはなりませんでした。被害者もその家族も高齢化しており、拉致事件は、進展がなくなるのかもしれません。拉致被害者、その家族や支援者たち、事件の担当者たちも大変苦労していることでしょう。この程度の問題に数十年もかかっているようでは政治家の非力が窺われますが、その後のスパイやテロリスト警備の強化が図られているのでしょうか。抑止力のない高価な通常兵器を少数そろえるのでは、拉致事件にも抑止力がなかったそうです。5兆円という限られた防衛予算で巡航ミサイルやバージニア級の攻撃型原子力潜水艦等の「抑止力のある高価な通常兵器を少数そろえる防衛政策」が必要だそうです。周辺諸国では、核兵器や生物化学兵器、核シェルターの開発を熱心に展開しているそうです。核戦争を想定内にしているからでしょう。核シェルターも超長期計画で整備していくべきだそうです。スイスに習えとよくいわれます。スイスの国防政策は、国民全部への核シェルターと徴兵制と小火器の備蓄だそうです。これで、スイスは核戦争が起きても、サバイバルできるようです。

 

・清水幾太郎という代表的な知識人で社会学者も、急速に「右転回」して1980年に「日本の核武装」を主張して注目されたこともありました。このように戦後から、さまざまな有識者が「核武装」を主張してきた長い歴史があるようです。清水幾太郎は言いました。「最初の被爆国である日本が核兵器を所有しなければ、有事の際、世界中の国国が日本に遠慮してくれるという滑稽な幻想を抱いているのではないか」「核兵器が重要であり、また、私たちが最初の被爆国としての特権を有するのであれば、日本こそ真先に核兵器を製造し所有する特権を有しているのではないか」と。

 時代は流れて変わり、依然として戦争経験者は「絶対に戦争をしてはいけない」と主張する人々も多いようです。しかし、核装備を当然のように語る人々も無視できない勢力というより、以前では想像を絶する水準・かなりの状況になりつつあるようです。

 

・国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートの英知を結集した「国家改造計画」が求められていますが、国として当然ながら、現在でも長期・中期計画があるはずです。おそらく各官庁には優れた長期計画があることでしょうか。「貧弱な国際感覚で大きく国益を損ねてきた」そうです。政治家は選挙民の対応に追われて、勉強ができないそうです。いつまでも「政治が遅れている」ということでは複雑化する社会問題に対応できないでしょう。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。

あまり知られていないことだが、日本の社会保障というのは、先進国とは言えないくらいお粗末なモノなのであると指摘されています。為政者の認識も自覚もないといわれます。「失われた20年」といわれますが、今の世の中「クール・ジャパン」ばかりではないようです。

   深刻な人口問題と社会問題を持つ中国は、国内が乱れると、さまざまな面で国際間のトラブルを起こし自滅していくという「中国崩壊論」がさかんです。中国経済の減速が誰の目にも明らかになっています。世界中のチャイナ・ウオッチャーの発言に今後とも注目していきたいものです。

 

・ロシア軍が巡航ミサイルを始めてシリアで実戦に使用したというニュースが流れました。ロシアも常に戦争を意識している国の一つのようです。「人類の歴史は、平和な時代よりも戦争の時代が長かった」そうです。社会問題に起因する国民の不満の爆発を対外戦争で抑え込もうとする遅れた国の古典的な手法が中国共産党の手法だったようです。国内でみっともないことが激増すれば、人民解放軍としてもやりきれなくなるのでしょうか。近頃では「人民解放軍のクーデターが、最も可能性が高い」という説もあったそうです。「誰も中国の13億人を食わせることはできない」ともいわれます。中国が民主化すれば米国との(核)戦争はありえないといわれます。「来世はブタでも良いから中国人には生まれたくない」と回答する者もいると語られています。中国経済の大減速の社会の結末が、メディアにも頻繁に載るようになりました。中国は人類の難題となっていくそうです。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」といわれます。ガストン・ブートゥールは「古来、人間が戦争を起こす理由はただ一つしかない」と言って、その理由を「若者が増えすぎることにある」と語られています。ブートゥールは「若者がたくさん戦死すれば、戦争は当初の開戦目的に関係なく自然に終わりを迎える」と言っています。「戦争の結果、人が死ぬ」のではなく、「若者がたくさん生まれ、人口が増えすぎると、戦争が起きて人口調整する」と答えたと語られています。

 

 

 

********************************
・ブログ名称: UFOアガルタのシャンバラ

日本は津波による大きな被害をうけるだろう

・第2のブログ名称:UFOパラレル・ワールド

「神の国か?」「人類の原郷か?」 「天上のエルサレムか?」・・・・・・・・・

「パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の殖民星が、地球か?」、「ネガティブのシリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるのだろうか?」

「金髪碧眼のノルディックが住んでいたアガルタのシャンバラ情報の集大成を目指す・・・・・・・・・・」「金星蛇人と火星霊人の戦争はその後どのように展開したのだろうか」
「日本民族の神話の原郷『高天原(たかまがはら)』は、『都市型の超巨大宇宙船』なのか!?」「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔なのか」
「小人族のグレイの母船に同乗する金髪碧眼のノルディックは、”悪魔の王””ルシファー”なのか?!」

「円盤は神人や異人、悪魔の乗り物なのか!?」「天使は神の秘密諜報員なのか」「神は最初のフリーメーソンなのか」

「UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象なのか。UFO問題とは、人間にとっての死の問題を解くことなのだろうか。UFOはフリーメーソンの創作なのか」

「全宇宙を創ったという“虹の神々”も地球に来ているのだろうか」

「イルミナティなどのフリーメーソン組織に入ると神に会えるのだろうか」「金星の神々は地球に到着するやいなや、イニシエーションのためのフリーメーソン本部を設けたのだろうか」「フリーメーソン結社はこの大地が創出されるよりずっと前から、さまざまな太陽系をめぐって、存在していたのだろうか」

「国際連合の設立に動いたキリストの星、アプ星人とは」

「人は皆、記憶喪失の異星人だろうか」

「はるかに進化した天使のような宇宙人は、人間の守護霊や背後霊なのだろうか」「セドナ上空に見えないエーテルのシティが滞空するのだろうか」

「シリウス星人の故郷である天体イジュニュは、もっと高い周波数で共振する6次元の天体であり、地球の宇宙と同時に存在するパラレル・ユニバースに存在するのだろうか」

 

グーグルのブロガー(多言語翻訳)にも書いています→UFOパラレル・ワールド

 

  

 

 

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(11)

2021-08-28 17:24:40 | 森羅万象

 

・世界の諜報機関の「恐ろしい世界」は、私たち一般人は、知りませんし、理解不能なことが多いようです。国家安全保障上の最高機密として暗殺を正当化している国もあるそうです。事故か暗殺なのか「不審な死」という事件もよくあるようです。英国やヨーロッパではたまにロシアのスパイの暗殺事件が報道されたりするようです。暗殺手法も毒薬のほかその他の手法が巧妙になっているといわれます。数十年前の新聞に「ソ連製の自殺企画の発狂薬」について報道されていましたが、その後どうなったのでしょうか。「先進国では諜報機関が政治を引っ張っている」そうですが、政治と諜報機関のつながりは強いようです。特に旧共産圏では絶対的ともいえるような権力があったようです。

 

・北朝鮮の拉致事件も数十年たちますが、政治家の非力が窺われます。「諜報機関は国家存立にとって最も重要な死活の国家組織だ」、「諜報機関は国家安全保障上の要の組織である」、「諜報機関のない国は拉致事件にも無力だった」と語られています。官僚や政治家が「諜報機関の設立」に関心がないのは不思議です。もともと国家予算の分配の問題になるようで、財源をひねり出すためにも、行政、立法、司法の大胆なリストラ、近代化、効率化が必要です。「諜報機関のない国は既に国益を大きく損ねている」そうです。そして公安調査庁の元部長によれば「日本は諜報機関のない世界的に珍しい国だ」といわれます。「諜報機関がないために外国人からバカにされ、物笑いの種にされている」ともいわれます。

 

・日本でも自衛隊の関係者と「田中軍団」との繋がりがあったように、何事も水面下で動いているようなのです。「自衛隊の情報関係者が三島由紀夫を殺した」とまでは極論できないそうです。「クレイジー」な三島事件は、外国人に非常に悪い日本のイメージを与えたそうです。ノーベル文学賞受賞候補者だった三島由紀夫の猟奇事件は、親日派の外国人に相当ショックを与えたといわれます。私たち一般人には、「三島由紀夫が何等かで狂った」としか思えて仕方がないようです。ちなみに旧ソ連製の「自殺企画の発狂薬」もあったといわれます。政治精神の後進性が窺われます。

 

・「スパイ天国日本といわれている間は、自衛隊を海外に派遣する事にはリスクがあり慎重であるべきだ」そうです。戦費に莫大な費用がかかる懸念もあるそうです。イラク戦争時に1兆円以上(130億ドル)、米国に戦費を支払ったこともありますが、それほど感謝されず、今後、自衛隊の死傷者が3ケタにでもならないと世論が耐えられなくなるそうです。スパイ天国日本で、外交官の評判も悪いですし、「甘い国際感覚と貧弱な語学力」では国益を大きく損なうこともありましょう。「集団的自衛権の行使容認」について国論は2分されました。「普通の国」への方向に進みますと、米軍との共同作戦による歩兵の大量出血が強要されることになるでしょうか。

 

・少数の歩兵を派遣して処理できる事態よりも、未来戦争の様相は大きく変化してくるそうです。「将軍たちは前の戦争の兵器で軍事演習をしている」ともいわれます。遠い未来の戦争様相は、テロやゲリラ戦よりも生物化学兵器や核兵器が飛び交う、大規模な大量破壊兵器の戦争となるようです。近隣諸国も核戦争に備えて核シェルターの準備に余念がないそうです。日本には、核シェルターの備えもなく、スイスのようにはいきません。中国軍も米軍と通常兵器で衝突すれば核兵器を使うと公言しているそうです。核アレルギーで、論争もタブー化され、脳天気(ノー天気)だそうです。国民の懸念をなくすために長期の防衛計画が必要ですが、5兆円の防衛予算を大きく増額できないでしょう。毎年25兆円の防衛予算は、捻出できません。社会保障費も減額できない要素が多いといわれます。

 

「東日本大震災の復興等の難問山積みの内政を優先すべきであり、税金の無駄遣いをやめて、行政・立法・司法に大胆なリストラの断行が必要だ」そうです。社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。改革の速度も大変遅いようです。本当に優れた官僚や政治家が登用されていないそうです。「日本は先進国だろうか」という声も街中では増えてきているようです。「女性の登用も先進国とはいえない」といわれます。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。「あまり知られていないことだが、日本の社会保障というのは、先進国とは言えないくらいお粗末なモノなのである」といわれます。為政者の認識・自覚もないといわれます。肝心の諜報機関もありませんし「スパイ天国日本」といわれ、その方面では外国人から「遅れた国」として見られているそうです。

 

・公安調査庁の元部長によれば「日本は諜報機関のない世界的に珍しい国だ」そうですが、真面目な官僚や政治家は諜報機関の設立についてはおとなしいそうで不思議です。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、諜報機関の設立運営や核シェルターの財源にあてるべきだ」そうです。限られた予算、限られた処遇、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字の出口は、容易に見つけられないようです。それに莫大な戦費が加わり出すと、財政破たんの懸念も出てこないでしょう。ベスト&ブライテストの集団で優れていた日本政府が劣化している懸念があるそうです。「自衛隊が出てくれば東京を丸焼けにしてやる」という核の恫喝も受けていないのでしょう。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートの英知を結集した「国家改造計画」が求められているそうです。

 

・amazonに「地震・津波」といれますと2214件が反応します。それだけに今の問題になっているようです。首都直下大地震津波や南海トラフ巨大地震津波は発生確率が7割以上と言うことで、いつ起こるのか分からないだけのようです。当然ながら各地方自治体や国では対策を強化しているようです。東日本大震災では、地震津波の基準が5メートルであったために被害を拡大させました。3階建ての避難センターも役に立ちませんでした。被災地には過去において10メートル級の津波が何回もきていたようですが、津波対策には充分生かされなかったそうです。大変な失政でした。

 

・地震については関東大震災がありましたので、知識人の中にも大型地震について言及する者も少数いたようです。清水幾太郎氏も大地震に言及したり、「戦後最大のタブー」ともいえる「核装備」についても言及していたようです。現代では地震と津波の対策も重要ですが、地球温暖化による「異常気象」も大いに懸念されております。記録的豪雨、ゲリラ豪雨の被害も増えております。オリンピック対策も必要ですが、地震・津波対策もより一層、必須です。

 

・兵器も時代により変遷してきており、戦車や大砲の兵器の時代からミサイルや核兵器、「貧者の核兵器」といわれる、「細菌兵器」や「化学兵器」に戦争の様相が変化してくるものと思われます。戦争のパラダイム・シフトが起こっているといわれます。「将軍たちは前の戦争の兵器で軍事演習をしている」「次の大戦には必ず新兵器が使われる」そうですが、通常兵器が陳腐化する時代は遠くではないそうです。抑止力のない高価な通常兵器を少数揃えても、「貧者の核兵器」を熱心に揃えている国々にたいしては「抑止力」にはならないそうです。戦車と自動小銃で立ち向かっても「細菌兵器」や「化学兵器」をばら蒔かれて一巻の終わりと言うことでしょうか。「戦場の様相」が将来、当然に大きく変化するといわれます。

 

通常兵器では「抑止力」が無くなりつつあります。国会によって爆撃装置や給油装置を外した航空自衛隊の高価なF4ファントム戦闘機が「北朝鮮の拉致事件」には何の抑止力にもなりませんでした近隣諸国の仮想敵国では核兵器や細菌兵器、化学兵器を熱心に作っておりますし、核シェルターも相変わらず整備しているそうです。核兵器でないと「抑止力」にならない時代です。米軍の核打撃力に全面的に頼ることは、抑止力的にも十分でもありませんし、兵器の高度化という点からも核兵器のリースなどを検討すべきだといわれます。

 

原子力潜水艦や核兵器の製造コストは莫大なもので、国民生活を圧迫するという観点から反対する軍事専門家もいます。5兆円の限られた予算では、通常兵器の新兵器の数を十分に揃えることも無理のようです。限られた予算、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字ということで、どの程度防衛予算を増額できるのでしょうか。さまざまな政策が将来的に検討されるべきでしょうか。「官庁はわが国最大のシンクタンク」ですので、活発に機能しているのでしょう。

 

・拉致事件も担当者が苦労しているようですが、この程度の問題が40年以上も経っても全面的に解決されないようですが、「抑止力のある防衛力」を持てば、解決は容易になるものといわれます。拉致事件も米軍だったら、自衛による武力制裁する事例だったそうです。拉致事件は「警察がしっかりとしておれば防げたはずだ」という話もあったそうです。被害者もその家族も高齢化しており、拉致事件はどうなるのでしょうか。この程度の問題に40年以上もかかっているようでは政治家の非力が窺われると語られています。「諜報機関がないので拉致事件を起こされた」そうです。大量の餓死者の出た北朝鮮は、常に戦争の火種を求めているといわれます。またサラリーマンの本脳のためか、タブーである核装備を議論する人は少ないそうです。 とりわけ「未来の大戦ではペスト菌などの“細菌兵器”が使われる」という未来透視もあり不気味です。

 

・「法隆寺の五重塔の塑像の謎」の話は、おそらく動物タイプの宇宙人の塑像かもしれません。宇宙人には動物タイプは3割ほど存在するともいわれます。「トカゲのような容姿をした人物」もレプティリアン(爬虫類人)系統の異星人のようです。太古の天皇は、実はレプティリアン(爬虫類人)系統の異星人だったという説もあります。当時から「宇宙連合」の異星人と地上の権力者とはコンタクトがあったようです。物部氏の祖であるニギハヤヒ命は、河内に降臨する際、天磐船(あめのいわふね)に乗って大空を駆けめぐったといわれます。日本民族の原郷の高天ヶ原の宇宙人たちは、現在も宇宙に分散しているのでしょう。馬頭観音という頭が馬で体は人間のような異星人もいるようです。馬頭観音も昔は、日本にも来ていたようで、異類混血か遺伝子操作等で、人間化しているのかもしれません。ガリヴァー旅行記には馬の国のヤフーの話があります。『ガリヴァー旅行記』は、火星の衛星の正確な描写から宇宙旅行記ではないかという仮説もあります。

 

馬頭観音に似ている異星人に「イアルガ星人」がいます。イアルガ星人とオランダ人のコンタクト話は洋書になっています。イアルガ星人の中型宇宙船(空飛ぶ円盤)を縦に5機結合して、宇宙飛行をすることもあるようです。五重塔は、このタイプの宇宙船からのイメージなのかもしれません。イアルガ星人は、石油タンクのような巨大な円筒形のビルに住んでいるようです。イアルガ星人は、聖書の言う「獣」なのかもしれません。「トカゲに似た奇妙な像は奈良県に多いみたいです」ということは、奈良県付近に太古からレプティリアン(爬虫類人)がいたのかもしれません。異星人は、非物質化ができるようで、テレポーテーションもできるものもいます。「テレポート(瞬間移動)は、人間にとり奇跡ですが、宇宙人にとっては、それほど難しくないテクノロジーだ」といわれます。「顔が龍となっている人物の像」もそのような異星人がいたのかもしれません。また「多肢の仏像」がありますが、宇宙母船の中には多肢のバイオ・ロボットが活動していると言われています。仏教を創ったのはシリウス星人のようです。「爬虫類人を支援していたのが、仏教思想を開発したシリウスB星人であり、その他に爬虫類人支配下でこと座(リーラ)文明を再生させている」といわれます。UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象だといわれます。書籍より優れている膨大な異星人情報がネット記事や動画になっており、個人では把握できない量です。

宇宙人の方が進化の速度が速くて、3次元から4次元の存在へと進化していったそうです。「シリウスのレベルは、もうすでに非物質のレベル」といわれます。

 

 

(2020/12/28)

スイスでも新型コロナウイルスが猛威を振るっているようです。

(2020/12/18)累計感染者数 感染者合計423299人 死者6431人

 

<●●インターネット情報から●●>

ウェブサイトNEWSWEEK日本版 2020/11/12より引用

「優等生」スイスは人命より経済優先 コロナ第2波

<世界一の陽性率や崩壊寸前の医療システムも何のその、「医療より経済が心配」と言うスイスの落とし穴>

スイスは新型コロナウイルス感染が急拡大しており、このままいけばヨーロッパで一番の感染拡大地域になる勢いだ。人口比の感染者数はすでにスウェーデンやアメリカの約3倍、欧州連合(EU)諸国平均の2倍に達している。それも検査数が特別多い訳ではなく、検査普及率はアメリカやヨーロッパ諸国の平均と同程度だ。そのなかで検査の陽性率は27.9%と、スウェーデン(8.5%)やアメリカ(8.3%)を大きく上回る。世界保健機関(WHO)によれば、検査陽性率が5%を超えているのはウイルスを制御できていない証拠だ。

パンデミックについてスイス政府に助言を行う立場の専門家たちは、しばらく前から警鐘を鳴らしてきた。同国内の病院は、11月13日までにICU(集中治療室)の対応能力が限界に達する見通しで、今後はICUでの治療をできる限り短期間に抑えることが課題になると専門家は言っている。

 

<●●インターネット情報から●●>

ウェブサイトSWISSinfo.chより引用 2020/12/24

スイス連邦政府は21日から、変異種の新型コロナウイルス感染が広まる英国、南アフリカからの入国を禁止した。

 

12月22日~21年1月22日の措置

  • レストランは全面営業停止(例外措置あり)。社員食堂、義務教育機関の食堂、ホテル客専用の食堂は営業可。テイクアウト、宅配も可
  • その他の小売店は夜間(午後7時~午前6時)・日曜祝日営業を禁止
  • スポーツ施設は全面閉鎖。屋外でのスポーツは、5人までのグループとする。プロスポーツは無観客試合の実施は可能。満16歳未満の子供は対象外(競技会を除く)
  • 私的な集まりは10人まで(子供含む)。上限2世帯を強く推奨
  • 公共イベントは、葬式、宗教礼拝(最大50人)と議会、政治集会(同)を除き禁止
  • 博物館、映画館、図書館、カジノ、植物園、動物園は閉鎖。少人数での文化活動、16歳未満の子供の場合は可能。観衆ありのイベントは引き続き禁止(オンラインは可能)
  • 不要な外出を控えるよう要請
  • 感染状況が落ち着いている州は、スポーツ施設、レストランに対する制限措置を緩和できる。ウイルスの実効再生産数が1未満、新規感染者の7日平均値が国の平均値を下回ることが条件
  • 簡易テストの利用を拡充。症状がない場合でも、自宅や職場などでテストできるようになる」と報道されています。

 

・「コロナ、コロナ」で明け暮れた1年だったようです。来年のことを言うと鬼が笑うといわれますが、私たち一般人には、予測不能です。政界は「一寸先は闇」といわれますが、来年も活躍を期待したいものです。また首都直下大地震、南海トラフ巨大地震津波の発生、コロナショックの長期化等、リスクが懸念されています。

当然ながら、全国のシンクタンク・研究所では、欧米先進国の政治経済・社会保障のシステムが研究されていることでしょう。北欧や欧米諸国、スイスについての研究も盛んのようです。防災福祉先進国のスイスは日本が参考にすべき政策・システムが多い国といわれますが、当然ながら、プラスとマイナスの面もあります。国防面ではスイスのように100%の核シェルターと国民皆兵的な「ボランティアの民兵」の総務省管轄の郷土防衛隊で備える必要があると指摘されています。スイスでは、その昔、長男以外は「傭兵」に参加するしかなかったという貧しい陰惨な暗黒の時代も大きく今日の国防政策に影響しているという説もあります。ヨーロッパの国々の歴史は戦いと戦争の歴史の凄惨な暗黒面が非常に多いそうです。日本も太平洋戦争をしなければ、スイスのように「豊かな国」になれたといわれます。また戦争で丸焼けになった日本と比較して、社会資本の厚みがあるといわれます。また「安楽死」等の注目すべき制度もあるそうです。

 

当然ながら、「日本最大のシンクタンクである官庁を政治家は上手に使いこなすべきである」といわれます。「民主主義国家においては、国民はその程度に応じた政府しかもちえない」といわれます。良識の国会の「政策の後進性」は、一般国民が恥をかくといわれます。また政治家のスキャンダル報道は、国民が不安を覚え、国民が恥をかくといわれます。国恥的なことを国際的に発信することはいかがなものかといわれます。

制度改革については「抜本的な見直し」が必要という言葉が頻繁に使われています。「改革が遅れているのは本当に優れた官僚や政治家が登用されていないからだ」といわれます。しかしながら、「限られた予算」という障壁が常にあるといわれます

 

・太平洋戦争時、空襲のB29の焼夷弾で、大規模な無差別爆撃により、被災人口は970万人、約223万戸が被災して30万人以上の死者、1500万人が家を失ったといわれます。現代では「敵は一番の弱点(核シェルターのないこと)を攻撃してくる」といわれます。この方面に脳天気(ノー天気)ですと、日本も歴史から簡単に消えていくことになるでしょうか。マクモニーグルの未来透視に「23世紀と24世紀における2度の大戦で人類の人口が6分の1に大激減する」というのがあります。また「貧者の核兵器」といわれる生物化学兵器が、そのとき使われるといわれます。

 

・「日本はスイスのようになれ」といったのは、マッカーサー将軍だったといわれます。

「核の恫喝を受けないためにも核には核を」という合理的な思考が求められているそうです。

「脳天気(ノー天気)な核シェルターもグローバルスタンダードを適用すべきだ」といわれます。「21世紀には核戦争は絶対にない」という保証はありません。

  周辺諸国では、核兵器や生物化学兵器、核シェルターの開発を熱心に展開しているそうです。核戦争を想定内にしているからでしょう。後進国は自爆テロ型の核戦争をするともいわれます。核シェルターがないことが、核攻撃を招き寄せると指摘されています。そして核兵器を持たなければ大量の歩兵の出血を強要されるといわれます。

 

・インターネット情報によると、

「DIAMOND online」から引用。

 

「Jアラート」の評判がよろしくない。

 

「日本を通り過ぎた後に鳴っても意味がない」「宇宙空間まで飛んでいくようなものに、いちいち反応するな」などなど、国民の生命を守るためのシステムであるにもかかわらず、当の国民から厳しい批判が寄せられているのだ。叩かれているのは「Jアラート」だけではない。政府が触れ回っている「弾道ミサイル落下時の行動」、つまり、「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」という呼びかけに対しても、「ミサイル防衛で地面に伏せろと真顔で告知する国などない」「竹槍でB29を落とせという戦前のノリ」など厳しい意見が寄せられている。

  政府を擁護するわけではないが、この呼びかけはまったく意味がないわけではない。世界で最も進んだミサイル防衛システムを構築しているといわれるイスラエルでも、サイレンが鳴ると、市民は物陰に身を寄せて、頭をかかえて地面に伏せている。

  ミサイルの着弾の際には、爆風で瓦礫などがすさまじい勢いで飛散するので、戸外にいる場合、「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」というのは特に荒唐無稽なものではなく、現実的な身の守り方なのだ。

  国民の命を守ろうということで多くの税金と多くの人々のリソースが投入された取り組みが、なぜこうもダメ出しばかりされるのか。いろいろな意見があるだろうが、個人的には大多数の日本人が、口に出さずも、腹の中でこんな風に思っていることが大きいからではないかと思っている」と報道されています。

  

・「ミサイル防衛で地面に伏せろと真顔で告知する国などない」「竹槍でB29を落とせという戦前のノリ」など厳しい意見が寄せられているという報道ですが、超長期計画でスイスのように公共建物の地下室、地下駐車場、核シェルターの整備がマストといわれます。報道では、子供を抱えた主婦が「頑丈な建物か地下室にでも隠れよ」といわれても「どこにあるのか」と非常に当惑していたといわれます。

「この結果、2014年現在、スイス全土の核シェルターは650万ヵ所あり、普及率は95%である」と語られています。核戦争でも生き残れる国のトップの評価だといわれます。日本では「新米」を備蓄して、日常は「古米」を食べるというルールができるのは、未来のいつになるのでしょうか。スイスでは、備蓄された古い小麦粉を使ってパンを焼くので不味いそうです。

 良識の国会の「ノーシェルター政策」は、一般国民が恥をかくといわれます。良識の国会の「ノーシェルター政策」は、「敵の一番の弱点を攻撃する核攻撃を招き寄せる」といわれます。この方面に脳天気(ノー天気)ですと、日本も歴史から消えていくことになるでしょうか。「ノーシェルター政策は、敵の一番の弱点を攻撃する核攻撃を招き寄せる」といわれます。スイスの国防政策や「民間防衛」を参考・目標にする必要があるといわれます。「都心を狙った水爆で、国会も皇居も霞が関も吹っ飛んで一巻の終わりになる」といわれます。

 

・単純に考えても主要都市に10発の核兵器が落ちれば数千万人の死傷者がでることでしょうか。週刊誌をみれば、北朝鮮の核ミサイルが狙う都市の名前も載っています。それでも生き残った者は、国民として地獄の被災地に救援に向かわねばなりません。100%の核シェルターと国民皆兵的な「郷土防衛隊」は必須となるといわれます。この方面に脳天気(ノー天気)ですと、日本も歴史から消えていくことになるでしょうか。「脳天気(ノー天気)な核シェルターもグローバルスタンダードを適用すべきだ」といわれます。政府にはベスト&ブライテストが集結しているはずですが?! そしてベスト&ブライテストしか政府を構成できないはずですが?! 「バカが政治をやっている」という大変失礼な話もあったといわれます。私たち一般人は、理解できません。

 

・米ソの冷戦時代には、スイス(人口790万人)は相当熱を入れて、核シェルターを作っていたようです。ヨーロッパの長い戦乱の時代が、スイスを永世中立国にしたようです。現代では、核戦争の世界大戦があってもサバイバルできるトップクラスの国といわれます。スイスの民間防衛が参考になるといわれます。北朝鮮の核実験やミサイル実験に世界は緊張しました。その対応には、日本的な限界があると指摘されています。スイス型の100%核シェルターと大量の小火器の備蓄で、抑止力は、高まると語られています。「核の恫喝を受けないためにも核には核を」という合理的な思考が求められているそうです。世界平和を数十年間唱えて活動していたら、今度は「核攻撃を懸念する国民が増え、政府不信になっている」といわれます。後進国は自爆テロ型の核戦争をするともいわれます。「平和運動が核攻撃を招き寄せる」といわれ「日本列島を核攻撃で沈める」という恫喝も頻繁に現実に一般国民がうけています。核シェルターの普及率は「スイス100%、イスラエル100%、ノルウェー98%、アメリカ82%、イギリス67%、シンガポール54%で、日本は0.02%の異常値」と語られています。この方面に脳天気(ノー天気)ですと、日本も歴史から消えていくことになるでしょうか。甘い国際感覚で国益を大きく損なうことは許せないといわれます。しかし、山国の人口790万人のスイスと違って、1億2600万人の海洋国家の日本は、独自の国防政策が必要と指摘されています。ちなみにスイスは「傭兵の悲しい歴史」を持っていると指摘されています。

 

<●●インターネット情報から●●>

・「東西冷戦の名残で、2006年までは、家を建てる際には防空壕(核シェルター)の設置が義務づけられていた。その数・収容率と強固な構造は、他国の防空壕より群を抜いている。古い防空壕は、地下倉庫や商店などとしても再利用されている」。

 

・スイスでは、使用目的を申告するだけで審査なしで銃を購入でき、登録の必要もない。

 

・「スイスは国民が日頃から銃を持ち、ひとたび国に脅威が迫れば即座に武装して駆けつける仕組みで、独立と中立を守ってきた。これはスイスの伝統の一部だ」と言った声はなお多く、規制強化は足踏みしている。

 

・スイス人は20歳からだいたい40歳までの間に決められた期間、軍隊に行かなくてはなりません。そして兵役の義務が終わるまでの間は家に銃を保管します。

 

・スイスでは、徴兵期間を終えた国民に小銃を貸与しており、家庭での管理も許されていた。現在は事故防止のため郵便局などが一括管理をしている」と記載されています。

 

・amazonに「田母神俊雄」といれますと、132件の書籍が分かります。最近の本では『國の防人 第四号』(2017/12/20)、『愛国者』(2017/11/10)、『日本の敵』(2017/10/20)、『国家の本音』(2017/7/21)、『不徳を恥じる私心なし 冤罪獄中機』(2017/5/21)、『田母神俊雄の「戦争論」-日本が永久に戦争をしないための究極の選択』(2016/4/23)等があります。2014年の東京都知事選挙に出馬して落選したので、かなりの著名人のようです。2016年4月14日「公職選挙法違反容疑で逮捕された」と報道されておりました。

  守屋元防衛事務次官の汚職事件も私たち一般人は、驚きました。官僚の人事全体がおかしいのではないかという疑念が持たれました。兵器のビジネスは大金が動きますので、世界中で汚職事件が頻発しているそうです。ワイロをもらうのが常識の国も多いそうですが。

 

・日本の防衛政策や自衛隊のことを私たち一般人にも分かりやすく説明しているそうです。ニュークリア・シェアリングの問題は注目されました。核装備の世論もここ10年で大きく変化してきているようです。米国でも大統領候補の選挙中のトランプ氏が、韓国や日本の核装備に言及したことは注目されました。米軍の駐留経費が膨大なので、米軍基地を削減したりなくしたりする代わりに、韓国と日本にニュークリア・シェアリングのような核装備を与えるという構想であったのかもしれません。が、後に否定されたようです。米軍基地で沖縄などが大きな問題を抱えていますが、もし「米軍の駐留なき安保条約」ということになれば、日本の自衛隊と防衛政策にとり大きな転機となることでしょうか。

 

・この本(『円高は日本の大チャンス』)は、東日本大震災が起きた前の出版で、深刻な復興予算を考慮しないでも良かった時期に書かれたものです。限られた予算、増えない税収、福祉予算を削る財政赤字の状態で、なお首都直下地震津波や南海トラフ巨大地震津波に対する対策予算も考慮しなければならない厳しい状況です。社会保障も年金も防衛費も必要予算は上昇する一方のようです。さまざまな経済施策が打たれておりますが、税収が大幅に伸びることがあるのでしょうか。財源の裏付けのない政策は実現できないという限界があるといわれます。アベノミクスで円安誘導政策を行いましたが、「強い円は国益である」と主張する学者もいます。安倍総理自身もアベノミクスの失敗を認めたといわれます。だからといって、円高誘導政策へ転換するわけではないようです。

  「貧者の核兵器」の「細菌兵器」や「化学兵器」の時代に「サムライの心」でもないでしょう。「貧者の核兵器」の前には、通常兵器は陳腐化して抑止力ゼロです。また憲法を改正して「普通の国」になれば、国連軍参加や米軍との共同作戦で、大量の国軍兵士の死傷者がでるということになります。憲法を改正して「普通の国」にする動きがあります。「普通の国」になれば、米軍と共同作戦をして「歩兵の大量出血が強要される」事態も起こりましょうか。

 

・首都直下地震津波や南海トラフ巨大地震津波が発生する確率は、東日本大震災を機会に、地震研究所や危機管理機関の警告も「発生確率が非常に高い」という深刻なものに変っております。ひとつでも大地震が起これば、200兆円の損害、2つで400兆円以上の損害となります。日本経済は完全に破綻することでしょうか。「熊本地震」も執拗に余震が続いたようですが、このような大きな地震が続き、不気味な南海トラフ巨大地震津波に繋がっていくという地震学者の話もありました。人口減少の問題もあり、本当に優れた政治家や官僚の叡智を結集して、国家戦略のシナリオを作らないと、「ひよわな花」の国になってしまいそうです。毎年の自殺者も多くて「ひよわな花」のようです。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートのドリームチームによる、英知を結集した「国家改造計画」が求められているそうです。

 

・今まさに大胆で斬新な「国家改造計画」が必要の時です。しかし、軍人達が「国家危機」「非常時」と叫び出し、「国家改造計画」に熱をあげだすと歴史が示す如く危険な兆候ということになります。各政党の現代の「国家改造計画綱領」はどのようになっているのでしょうか。多くのシンクタンクも研究をしているようです。「失われた日本の20年」ということで、日本社会の予想以上に遅れた面、頭の古い点、後進性、非近代性が浮かび上がっており、「日本は先進国だろうか」という声が街中で増えてきております。「肝心の政治が遅れている」とも言われ続けてきました。何十年もかかっても日本の政治の近代化が計れないのでしょうか。やはり国民の政治風土でしょうか。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。困っている人も増えており、単に政治の貧困としては片づけられないそうです。「失政」が増えている時代に、私たち一般人は、政治意識を高めていく必要があるそうです。「失政」を詳しく調べていくと恐るべきことが分かるのかもしれません。今の時代、国民の血税のタックス・イーターが増殖しているのかもしれません。

  「本当に優れた政治家や官僚が登用されなかったので、日本の衰退や劣化が進んだ」そうです。日本のネガティブな状況を変えていけないようです。「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」「民主主義国家においては、国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」ということで、私たち一般人は、自らの政治意識を高めていかなければならないようです。昔は「経済一流、政治二流」といわれていましたが、二流では拉致事件は解決できないといわれます。「政治家が劣化している時代だ」ともいわれています。この閉塞した事態を「チェンジ」する妙案はあるのでしょうか。

 

・著者(田母神俊雄氏)は自衛隊の元航空幕僚長ということで、当然ながら核武装論者です。民主主義国ですから、日本が核武装するには、国民の多くが核武装を支持しなければ、政治は動きません。さまざまな条約、憲法・法律上の問題もありますが、できるだけスムーズに実現できるようなプロセスを選択すべきでしょう。「ニュークリア・シェアリング・システム」の導入も選択肢のひとつでしょうか。このような状況ですから国民も右傾化してきており、自民党が選挙に大勝する風が吹いているそうです。核武装に対する世論も変化してきているといわれます。「核には核を」という合理的な思考が求められているそうです。核装備のメリット、デメリットの議論もしなければなりません。小さな島国ではデメリットが多いと指摘されています。

 

・米国は日本の核武装に反対するでしょうから、「“核兵器周りの兵器”、例えば、バージニア級の攻撃型原子力潜水艦の国産化、巡航ミサイル、核シェルターなどの兵器を長期計画などで計画すべき」と語られています。「核兵器を持たなければ核ミサイルを撃ち込まれない。が、有事には必ず、横須賀などの米軍基地には核ミサイルが撃ち込まれる」という矛盾した議論では、らちがあきません。すでに北朝鮮の核恫喝をうけたばかりです。「核には核を」が冷厳な国際政治のルールだそうです。

  しかし、5兆円と言う限られた防衛予算では、世界最強の米軍の核打撃力に頼ることが、米国の望む賢明な道ですから、どこかの国のように、国民福祉を犠牲にしてまで、国防費を増大することには、まだまだ国民的な議論が必要なようです。また法律を変えなくても米政府との交渉でかなり実質的なことができるそうです。5兆円という限られた防衛予算で、抑止力のない高価な通常兵器を少数そろえるのでは、費用対効果の点からも問題にされるそうです。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、国民の血税を費用対効果を考えて政策財源にあてるべきだ」そうです。

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(10)

2021-08-28 17:23:42 | 森羅万象

 

<●●インターネット情報から●●>

ウェッブサイト(スイス公共放送協会(SRG SSR)国際部)より引用

 

(国内最大の地下施設)

 スイスの地下世界は素晴らしく、また風変りでもある。同書によれば、国内には個人用の核シェルターが36万戸、大規模なものは2300戸あり、非常事態には全住民を収容してもまだ余裕がある。都市全体が地下にそっくりそのまま避難できるというわけだ。これらの大規模な防護施設は今も残り、中に入ることもできる。

 

 多くの観光客が訪れる古都ルツェルンの地下には、世界最大級の住民用避難施設ゾンネンベルク他のサイトへがある。1976年に稼働したこの施設は、第三次世界大戦に備えて6年かけて建設された。収容可能人数は2万人。アウフデアマウアー氏は「この核シェルターを爆破したら、ルツェルンの半分が吹っ飛ぶ」と熱弁をふるう。同氏はまた「スイスは地下に向かって開拓している」と説明する。

 

ルツェルナー・ツァイトゥング: 「地下のスイス」はどのくらい大きいのですか。

 

アウフデアマウアー: もし通行可能な空間を全て一列に並べたとしたら、理論的にはチューリヒからテヘランを繋ぐ3750kmのトンネルができる長さになります。スイスの地下工事を専門にする企業のおかげで、確かな数がわかり、また立ち入り禁止区域についても、いくつかの推定で補うことができました。

 

ルツェルナー・ツァイトゥング: がっかりしたことは何ですか。

 

アウフデアマウアー: 権力政治の失策や誤った投資です。トンネル計画に目が眩んだ技術者や政治家は、適切な政策を無視して計画を実行に移し、最後まで罰せられることはなかった巨大な住民用避難施設として構想された核シェルターの街、ルツェルンのゾンネンベルクや、「ベドレットの窓」がその一例です。「ベドレットの窓」は長さ5km以上のトンネルですが、一度も列車が通ったことはありません。完成した時にはもう無意味なものになっていたのです。

 

ルツェルナー・ツァイトゥング: 貴著「地下のスイス」はスイス軍との関係は限られたものだと示しています。

 

アウフデアマウアー: その通りです。スイス軍は連邦国家の設立以来、3世代の要塞を造りました。第3世代は冷戦が終結してから初めて完成しましたたが、使い物にならなかったのですぐに放棄されました。

 

軍隊は全体でも全地下構造物の約8%しか建造していません。通行できる空洞としては250km相当です。交通に1240km、水力に800km、市民防護におよそ1200kmで、どれも広々としています。

 

私は、果たして「Xデー」に備えて何億フランも鉄筋コンクリートに投資するべきなのか、という哲学的な疑問もあります。あるいは、それよりも例えば社会の改善のために出費した方がマシなんじゃないかと。私たちは、おそらく世界で唯一、コンクリートの天井に金を使おうと決断した。それこそスイスという特殊事例ですよ。

 

しかしもし軍隊が、今のNEO計画(注:軍隊の情報科学プロジェクト、ネットワーク対応作戦のこと)のように120億~150億フラン(約1兆4千億~1兆7千億円)を使ってスイス中部に位置するウーリ州の岩盤に穴をあける計画を国民の頭越しに強行するなら、不信感を強めることになるでしょう。NEOはある種の電子的な司令塔にする計画で、スイスが戦場となった場合に指揮官はそこからリアルタイムで国土を眺めたいというわけです。

 

民間防衛に関する連邦法の第45条と第46条では次のように謳 ( うた ) っている。「全ての住民のために住居から避難可能な近隣に避難場所を用意する」そして「 家屋所有者は、家屋、宿泊施設等を建築する際には、避難の部屋を建設し、必要な設備を設置、管理する」

 

 1960年以降に建設されたほぼすべての家屋で避難場所が設置されているのは、1963年に発効した連邦法が上記のように定めているからだ。

 

2006年には、スイスにはおよそ30万の核シェルターが個人の家屋、施設、病院といった場所にあり、5100の公共の防衛施設があった。通算すると、860万人もの人々が避難できる。これは、当時のスイスの人口比で考えると、114%もカバーできる計算になる。

 

スウェーデンやフィンランドといった国も、世界でも比較的多くの核シェルターを設置している。それぞれの国が720万と340万の核シェルターを所有し、人口の81%と70%をカバーするといった具合だ。しかしながらスイスの収容力には及ばない。

 

ほかのヨーロッパ諸国のシェルターはさらに規模が小さく貧弱だ。例えばオーストリアには国民の30%をカバーするシェルターがあるだけで、換気装置がない。ドイツにいたっては人口の3%とごくわずかだ。

 

ヨーロッパ諸国以外では、中国、韓国、シンガポールやインドといった国に多くのシェルターが設置されている。しかし国民の50%もカバーされていない。イスラエルでは国民の3分の2がシェルターに避難できる。とはいえ、この避施設は、敵から100%完全に遮断されているわけではない。

この建設ブームは1970年代に入り、最盛期を迎え、毎年30万から40万もの核シェルターが新しく作られた。今日ではブームは去り、年間5万が建築される。

 

(膨大な価値)

スイスは、2006年にはおよそ30万の核シェルターを一般家屋、施設、病院に所有し、750万人分の場所を確保していた。また、5100もの公共の避難所( 110万人分 ) を所有していた。

 

2006年にかかった、核シェルターの建造、維持、解体費は、1億6740万スイスフラン(約150億円 )である。そのうち、個人1億2820万スイスフラン (約115億円 )、地方自治体2350万フラン( 21億円 )、連邦政府980万フラン(約8.8億円 )、州政府420万フラン ( 約3.8億円 ) 、それぞれの費用を負担した。

 

核シェルターにかけられた総額は、今日では118億スイスフラン (約1兆600億円 ) と推測されている。

 

(役所へ補償金)

一般家屋に核シェルターを建築するには、およそ1万フラン( 約90万円 ) の費用がかかる。

 

家を建てる場合、シェルターを作る代わりに、自治体に代替金を支払うことで義務を果たすことも可能だ。その場合は、家の大きさで支払い金額は決められる。例えば、建てた家の大きさが3部屋であればシェルター2人分を支払うことになる。1人頭は1500( 約13.5万円 )フラン。

 

1979年にこの法律が発効して以来2006年まで、自治体はおよそ13億フラン( 約1兆1080億円 )を代替金として徴収した。このうち7億5000万スイスフラン ( 約675億円 ) が公共の避難所建設、もしくは、そのほかの公共の民間防衛施設に費やされた。

 

今日、5億5000万フラン ( 約495億円 ) が準備金としてストックされている。政府は個人の代替金の支払額を半額にする意向だ。

 

個人家屋の核シェルターは、地下収納室や貯蔵庫といった、ほかの目的にも使用することが可能だ。しかしながら、所有者は法的に維持費を負担しなければならない。

 

公共の民間防衛施設は近年、難民申請者を一時的に宿泊させるために使用されたりもした。

 

 

 

 

 ■■■ 私が思うこと、聞いたこと、考えること ■■■

 

 

(2021/8/28)

 

・アフガニスタンの情勢が緊迫しています。米軍撤退後の来月9月からは、どのような大混乱が起こるのか予想ができないそうです。援助資金に頼っていたアフガンの経済が、どの程度まで大混乱するのか懸念されているといわれます。

ネット情報によると、「日本人1人が自衛隊機でアフガンから退避、アフガン人十数人も=報道」(2021/8/28)ロイター。

[東京 28日 ロイター] - 「アフガニスタンに派遣されていた自衛隊機は27日夜、イスラム主義組織タリバンが実権を掌握した同国からの退避を希望する日本人1人を隣国パキスタンイスラマバードへ輸送した。複数の国内メディアが報じた。NHKによると、自衛隊機は26日に十数人のアフガニスタン人をパキスタンへ輸送していた」と報道されています。

 

「自衛隊機による退避」についても外務省や自衛隊の動きは1~2週間ほど遅れたといわれます。

「政府関係者は「爆発で全てが狂った」と言い訳するが、韓国やドイツなどアフガン人協力者を退避させた例があることから、見通しの甘さや初動の遅れも要因の一つとして批判する声が与党内に出ている」とネット情報によると、指摘されています。

 

・「アフガニスタンで医療支援や砂漠緑化に取り組み、2019年12月に銃撃を受け死亡したNGO「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表、中村哲医師=当時(73)」の事件は、現在のアフガニスタンの状況を暗示していたのかもしれません。30万人といわれている政府軍も、1年は持つだろうと言われていましたが、タリバンの急襲で1カ月も持ちませんでした。兵員の給料を誤魔化す上層部の腐敗が、広範囲にあったといわれ、兵員の士気も大変低かったといわれます。

 

・日本でも防衛問題は、幅広く議論されています。日下公人氏の『「反核」愚問』という本もありますが、近未来には核兵器も発展途上国に拡散して、安上がりの兵器になる可能性があるといわれます。現実に「核の恫喝」を受けているのに国内では「平和ボケ」の人々が非常に多いと頻繁に指摘されています。

貧者の核兵器といわれる「生物化学兵器」の生産も近隣諸国では秘密裏に盛んだといわれます。サイバー戦争の状況も深刻のようです。自衛隊や日本の国防の提言も識者からの見解が増えています。たとえば、「予備自衛官を50万人増員する必要がある」といわれます。

今回の自衛隊のアフガニスタンでの活動も情報組織の弱さが露呈したようです。「日本は諜報機関のない世界的にも珍しい国だ」といわれます

「霞が関では大蔵の自殺、通産の汚職、外務の不倫といわれた」そうです。外務省の評判もその程度のようです。「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」といわれます。

「諜報機関のない国は拉致事件にも無力だった」といわれます。

「それこそ税金の無駄遣いを止めて、諜報機関の設立運営の財源にあてるべきだ」そうです。社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。当然ながら、税金の無駄使いを止めて、可能な限り国民に還元するべきだといわれます。「政治に関心のない人はいるが、政治に関係のない人はいない」といわれます。政治家や官僚の失政やスキャンダル報道は、国民が不安を覚え、国民が恥をかくといわれます。「政治が一番遅れている」といわれます。「改革が遅れているのは本当に優れた官僚や政治家が登用されていないからだ」といわれます。自民党の総裁選挙がありますが、期待したいものです。

 

・この本では、「むしろ自国を含めて国や社会のあり方を批判的に見つつ、ナショナリズムと同胞意識を平和に活かすという発想である。そこにおいては、「血のコスト」と、「負担共有」という発想がカギとなる」、「経済的に豊かな先進国では、実際に戦場に赴き血を流すリスクを負う兵士たち、つまり「血のコスト」を負担する人びとは、往々にして一部の層に偏りがちである」、「「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した」と著者は主張しています。

 

 

 (2019/6/21)

 

・自衛隊の法制の問題点も徐々に改正されているようです。「専守防衛」という概念は、理論的には成り立たないといわれます。専門家によると「「専守防衛」は国際的にも軍事的にも通用しない」と指摘されています。

冨澤暉氏は、第23代陸上幕僚長だったとのこと。専守防衛なのにシェルターがないのも不思議な話です。財源の裏付けのない政策は実現できないといわれます。長期的にも核シェルターが、普及するように法制度を変更していかなければ、国際的に比較すると、極端に少ないといわれています。憲法改正などで 「普通の国」への方向に進みますと、米軍との共同作戦による歩兵の大量出血が強要されることになるでしょうか。

歩兵の大量出血を強要されても国際貢献をしたいというのなら、そうなるのでしょう。核戦争の時代には、100%の核シェルターと国民皆兵的な「ボランティアの民兵」による「スイス型」の国防政策を採るべきだと指摘されています。日本の国防政策に関しては、有識者によるさまざまな見解があるようです。財源の裏付けのない政策は実現できないといわれます。5兆円という限られた防衛予算で、抑止力のない高価な通常兵器を少数そろえるのでは、費用対効果の点からも問題にされるそうです。5兆円という限られた防衛予算を大きく増額するのは難しいようです。

 

・「太平洋戦争末期には空母艦隊の部隊はほぼ全滅し、不沈戦艦の「大和」も「武蔵」も撃沈され、原爆と空襲で本土は焼け野原にされ、防空壕と小銃の絶対数が不足して、丸焼けになった国民は、食糧も石油もなくなった」といわれます。

このブログでも頻繁に引用していますが、マクモニーグルの未来透視に「23世紀と24世紀における2度の大戦で人類の人口が6分の1に大激減する」というのがあります。「今世紀に熾烈な第3次世界大戦は起こらない保証はない」とも主張されています。

米露、米中の大規模な世界的核戦争(第3次世界大戦)下の様相を想定しても、同様の事態となり、自衛艦隊が全滅し全土が焦土となり2割の生存率となるのだが、「核シェルターと小銃の数」の絶対的な不足が懸念されるといわれます。当然ながら、食糧も燃料もなくなります。「歴史は繰り返す」といわれます。また歴史から消えていった国はいくらでもあるといわれます。

 

・帝国陸軍では「この作戦で何人の兵隊を殺すか」ということが幕僚間で議論されたといわれます。当時は「兵隊の命は1銭5厘」といわれました。「1銭5厘とは召集令状のハガキ代を指します。「兵隊の代わりなどハガキ一枚で済む」という意味」ということだそうです。「一将功成りて万骨枯る」といわれます。日本の明治からの近代化の歴史は、戦争の歴史で「歩兵の大量出血が強要された時代」といわれます。軍国の兵隊は何百万人、戦死したのでしょうか。戦争マシンが動き出すと、人命は考慮されません。「彼らが生きていたら、もっと素晴らしい仕事をしただろう」といわれます。巻き込まれた非戦闘員や一般国民も膨大な数でした。

一般国民も殲滅されるのが核戦争だといわれます。戦争経験者による「戦争は、絶対してはならない」という主張が強調され、「核戦争に巻き込まれる」懸念は無視され、あるいはタブー視されていると指摘されています。

 

・敗戦のため困窮して自信を喪失し、「日本人は海外に出ると舞い上がった」といわれました。戦後は左翼文化人、進歩的な論客による素人の国防論が主張され、北朝鮮にノー天気な国会により、拉致事件を招き寄せてしまったといわれます。「ソ連の崩壊によりようやく幻想の社会主義の夢から覚めたのだが、依然として空虚で非現実的な国防論議が、非軍事専門家よりなされている」と指摘されています。核装備や核シェアリングの議論も低調だといわれます。「亡国のイージス」という映画がありましたが「亡国のイージス・アショア」なのでしょうか?「諸外国は日本の国内の動きや言論を、秘密裏に、それこそ「鵜の目鷹の目」で詳細に研究し分析している」そうです。核戦争は想定していないということであれば、貧弱な国防政策になるといわれます。軍の核シェルターは、どの国でも軍事機密になっているようです。戦車を特車といったりする「言葉づかい」の問題ではないといわれます。「どんな時代になっても、核戦争の時代になっても歩兵の役割、数は重要だ」といわれます。

 

 ・核兵器の製造は技術的にそれほど難しくなく、未来の将来戦の様相は、核兵器が拡散して、また小型核砲弾・爆弾も一般化して、小規模戦闘やゲリラ戦でも使われるかもしれないそうです。

 

・あるブログを見ると{スイスのパンは不味いのか?}(2018/5/3)「スイスに最初に来た時に言われたのが、「スイスは武装中立国としてどこにも属さず一国で生き延びられるように準備をしている」「スイスのパンは不味い。一年備蓄しておいた去年の小麦粉を使用しており、有事の際に輸入が全部ストップしても一年間は食いつなげるようにしている」でした。

この「小麦を一年間寝かせて不味くしている」説ですが、スイス人の誰に聞いてもそんな話は知らないという。ではスイスのパンは不味いのか?結論から言うと、ここのパンには日本とは違う美味しさがある」と記載がありました。詳しくは調べていませんが、どうやら「小麦粉の1年備蓄」は、現在も続いているようです。スイスの国防政策や「民間防衛」を参考にする必要があるといわれます。

・飯柴智亮氏は、特異な経歴の持ち主です。日本人として生まれ、渡米して米軍の大尉にまでなったというのです。傍目八目といいますが、米軍人と日本人の目を持つ同氏の、「自衛隊論」や「軍事論」は、興味深いものです。自衛隊や国防や憲法に関する議論は多多益益弁ずということでしょうか。多くの有識者が、独特の「自衛隊論」や「国防論」を語っています。当然ながら、米軍と自衛隊では、ソフトやハードの面で大きな格差があります。人口減少時代において、自衛隊員の確保も難しくなるようです。しかしながら、未来においては「市民軍」「民兵」のボランティアでの希望者も増えてくるといわれます。

 

・いままでのブログに頻繁に述べてきましたように、米国のマクモニーグルの未来透視に「23世紀と24世紀における2度の大戦で人類の人口が6分の1に大激減する」というのがあります。200年後や300年後のことは、私たち一般人は、想像を絶する未来です。石油が200年後に枯渇するという予測がありますが、「大戦の原因」は予測できません。そのころには、異常気象も極端にひどくなり、人が住める地域も少なくなり、干ばつや大飢饉も頻発するのかもしれません。200年後には、核兵器が世界中に拡散しているのかもしれません。その時代には「日本も核兵器大国」となっていることでしょう。「「普通の国」ならば、自分も核兵器を持とうと考えます。また、それを当然とするのが現代の国際社会です」と指摘されています。

 

・兵器の生産も昔から「輸入派」と「国産派」の対立があるそうです。

国産すると高価だが、技術的なメリットは大きいといわれます。輸出も狙えます。輸入は、価格が高騰する傾向があるといわれます。米軍の兵器は輸入すると価格が想定外に高額になる場合が多く、厳重な価格チェックが必要だと指摘されています。軍法会議も憲法の問題にもなりますし、法律的にもセキュリティ・クリアランスの制度もありませんし、不備な点が多いといわれます。

 

・核シェアリングや核シェルターについても度々、述べてきました。スイスのように100%の核シェルターと国民皆兵的な総務省管轄の郷土防衛隊で備える必要があると指摘されています核の恫喝を享けないためにも「核には核を」という合理的な思考が求められているそうです。

「核兵器配備よりも先に、核シェルター整備を」と叫ぶ政治家がいないのも不思議な現象といわれます。良識の国会の「ノーシェルター政策」は、国民が不安を覚え、一般国民が恥をかくといわれます。「ノーシェルター政策は、敵の一番の弱点を攻撃する核攻撃を招き寄せる」といわれます。「21世紀には核戦争は絶対にない」という保証はありません。

莫大なコストをかけて整備しても「100年間は不要な施設」になるのかもしれません。その間、台風や豪雨や地震津波も猛威をふることでしょう。自然災害多発列島ですから。

 

イスラエル100%、ノルウェー98%、アメリカ82%、イギリス67%、シンガポール54%で、日本は0.02%で核シェルターの普及率は、世界的に国防の視点から異常といわれます。国会で問題にされたことはあるのでしょうか。「核シェルター後進国」ですが、財源の裏付けのない政策は実現できないといわれます。優先すべき施策に振り向ける予算の分配の問題だそうです。法律的な整備も必要になるといわれます。

「脳天気(ノー天気)な核シェルターもグローバルスタンダードを適用すべきだ」といわれます。この方面に脳天気(ノー天気)ですと、日本も過酷な国際外交において評価されないといわれます。

それこそ、とかく批判の多い議員の海外視察旅行の目的を「核シェルター視察」とすればよいといわれます。私たち一般人は、自衛隊の核シェルターの実態についてはよく知りません。核シェルターの整備についてはほとんど聞きませんが。5兆円という限られた防衛予算で、抑止力のない高価な通常兵器を少数そろえるのでは、費用対効果の点からも問題にされるそうです。税金の無駄遣いを止めて「沖縄、広島、長崎こそ核シェルターのモデル都市にすべきだ」といわれます。また、「小火器の大量の事前備蓄」も進めるべきだといわれます。「核戦争下では太平洋戦争と同様、防空壕と小銃の絶対数が不足する」といわれます。

自衛隊の要員の全員を核攻撃から守る核シェルターから優先的に整備すべきだともいわれます。シリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるといわれます。「人類の歴史は平和な時代よりも戦争の時代が長かった」といわれます。「世界の歴史は、秘密結社同士の戦争の歴史である」そうです。戦争のパラダイム・シフトが起こり、短期間で国(都市住民)が滅亡する核兵器の時代に移行しているといわれます。「専守防衛」だからこそ核兵器をもつ必要があると専門家は主張しています。

 

・米国の国防関係者は、北朝鮮リスクについて、多くの研究をしているようです。トランプ大統領も対応を検討しているようですが、「瀬戸際政策」が頻繁に行われているそうです。北朝鮮も自国が滅びるようなことはしないだろうという楽観的な見方も多いといわれます。北朝鮮情勢が懸念されています。amazonに「自衛隊」といれますと、3024件の書籍がわかります。北朝鮮リスクの時節柄、「防衛問題」を取り扱う書籍が増えてきているようです。一時は、米国本土も狙える核ミサイルの話でメディアが占拠されたかのようでした。戦争のパラダイム・シフトが起こり、短期間で国(都市住民)が滅亡する核兵器の時代に移行しているといわれます。「日本を海に沈めるぞ」と恫喝を受けているのに、平和を叫んでいるのはいかがなものかといわれます。北朝鮮リスクの増大により、韓国もニュークリア・シェアリング等の米軍の核兵器を導入する方向に動くとの見方もあると指摘されています。北朝鮮のサイバー攻撃もよく報道されています。米中間のサイバー戦争が懸念されています。サイバー戦争がどのような状態なのか、私たち一般人は、分かりません。

 

「日本を海に沈めるぞ」と核の恫喝を受けているのに「平和」を叫んでいるのは、「いかがなものか」といわれます。「核の恫喝を受けないためにも核には核を」という合理的な思考が求められているそうです。「脳天気(ノー天気)な核シェルターもグローバルスタンダードを適用すべきだ」といわれます核シェルターの装備率は「スイス100%、イスラエル100%、ノルウェー98%、アメリカ82%、イギリス67%、シンガポール54%で、日本は0.02%」と世界的な動向を調査すべきだといわれます。世界では核シェルターの老朽化の問題もあり、安全を確保するには高価についたようです。

スイスのように「現在、住宅、病院、学校といった建物の地下に30万基以上のシェルターと、500基余りの公共シェルターがあり、約800万人の人口の114%が収容可能」となるには、長期間、膨大なコストがかかります。良識の国会の「ノーシェルター政策」は、一般国民が不安を覚え、恥をかくといわれます。また良識の国会の「ノーシェルター政策」は、「敵の一番の弱点を攻撃する核攻撃を招き寄せる」といわれます。近未来の北朝鮮リスクの拡大を考慮しても総務省と地方自治体の管轄の「郷土防衛隊」の創設が必要だといわれます。この方面に脳天気(ノー天気)ですと、安全保障に穴があくといわれます。自民党の核シェルターの議論も始まったばかりのようです。核戦争も想定内のことにしないと間に合わないと述べられます。

 

「核の恫喝を受けないためにも核には核を」という合理的な思考が求められているそうです。周辺諸国では、核兵器や生物化学兵器、核シェルターの開発を熱心に展開しているそうです。核戦争を想定内にしているからでしょう。核兵器のコストも低下していると指摘されています。核兵器のシェアリングの政策もあるそうです。近未来では「核兵器が安上がりの兵器になる」そうです。後進国は自爆テロ型の核戦争をするともいわれます。「敵は一番の弱点(核シェルターのないこと)を攻撃してくる」といわれます。良識の国会の「ノーシェルター政策」は、「敵の一番の弱点を攻撃する核攻撃を招き寄せる」と指摘されています。核シェルターがないことが、核攻撃を招き寄せると指摘されています。「21世紀には核戦争は絶対にない」という保証はありません。「平和運動が核攻撃を招き寄せる」といわれ「日本列島を核攻撃で沈める」という恫喝も頻繁に現実に一般国民がうけています。世界平和を数十年間唱えて活動していたら、今度は「核攻撃を懸念する国民が増え、政府不信になっている」といわれます。スイス型の国民皆兵的な“民間防衛”を参考・目標にして国民皆兵的な「郷土防衛隊」が必要だといわれます。また公共施設の地下室や地下駐車場を増やしていく施策も必要だと指摘されています。

 

 北朝鮮の核兵器も「弾頭の小型化」がどれくらいまでできるのかが、問題とされています。小型の核兵器では、1960年代には「23キロの無反動砲の砲弾」も米国で開発、配備されていたようです。人力で運搬可能の「特殊核爆破資材」もあったようです。またインターネット情報によると、「小型核弾頭はゴルフボールぐらいの大きさの重量1kg程度のものまであるようですが、破壊力は1キロトン~15キロトンぐらいのようです。

  核爆弾は機密保持、開発費用、核実験場などの理由から、国家で無ければ作れないというのが国際常識のようです。テログループが核兵器開発をおこなうのは無理で、核兵器を第三国から提供されるか、盗難しない限り、使用するのは難しいでしょうし、起爆装置の暗号解読など技術的に厄介な問題もあるようです」とのこと。実際に、核兵器はどこまで小型化できるのでしょうか。「核物質」がテロリストに渡ると大変危険だというハリウッド映画もあったようですが。核兵器は、核ミサイルばかりではないそうです。核兵器の技術を密かに売買する、国際的な裏マーケットが存在していたと指摘されています。

 

雑誌には、「東京に水爆が落ちたら」というシュミュレーションが記載されたりするようになりました。実際に被爆しますと、数百万人の死傷者が出ると言われています。米国の核の報復があったとしても、まず被災者を救援しなければなりません。米国でも核戦争後には共産主義的な政策をとり、食糧を確保しなければならないと指摘されています。

被爆後の救援のためには国民皆兵的な相当数の郷土防衛隊が、全国に必要となります。核シェルターや医薬品や食糧の備蓄等、スイス型の「民間防衛」を目標にすべきだと述べられます。財源の裏付けのない政策は実現できないといわれます。もともと国家予算の分配の問題になるようで、財源をひねり出すためにも、行政、立法、司法の大胆なリストラ、近代化、効率化が必要です。 

都心を狙った水爆で、国会も皇居も霞が関も吹っ飛んで一巻の終わりになるといわれます。

  

・5兆円という限られた防衛予算で、抑止力のない高価な通常兵器を少数そろえるのでは、費用対効果の点からも問題にされるといわれます。大地震や大津波の対策と並行して、核シェルターも増やしていく必要があるといわれます。また小火器の備蓄も必要といわれます海上自衛隊の最大のいずも型護衛艦は1隻1200億円といわれます。有事には、海に浮かんでいるか撃沈されるかでしょう。1200億円で巡行ミサイルが1,000発、ライフルは2百万丁確保できるそうです。「今そこにある危機」である被爆を考慮した防衛政策が必要だそうです。ライフル等の小火器の備蓄があれば、有事には「郷土防衛隊」の創設は容易だといわれます。有事にはボランティアの人数も相当な数になるでしょう。アマの政治家よりもプロの専門家を中心に防衛政策を作るべきだと指摘されています。過去の日本の防衛政策は、敗戦という特殊事情がありましたが、外国人から笑われたものであったそうです。この方面に脳天気(ノー天気)ですと、日本も簡単に歴史から消えていくことになるでしょうか。

防衛政策にも国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートの英知を結集した「国家改造計画」が求められているそうです。ベスト&ブライテストしか政府を構成できないはずですが?!また政府にはベスト&ブライテストが集結しているはずですが!?

 

・「だとすれば、各地方に防災・消防を兼ね情報・警備を担当するかつての「消防団」のような「郷土防衛隊」が必要となりますが、これを組織するのは防衛省自衛隊の仕事ではなく、総務省と各自治体の役割でしょう」と指摘されています。総務省も各自治体も、税金の無駄遣いをなくして、一つでも多くのシェルターを作るべきだといわれます。「危機管理」のシュミュレーションも十分でないといわれます。

  

 「カジノ法よりもシェルター法を優先すべきだ」という説もあります。政治の貧困が窺えると指摘されています。「国民はみずからの程度に応じた政治しかもちえない」といわれます。

ちなみに、インターネット情報によると、全人口に対し、何%の人を収容できるシェルターが存在するかを見ますと、「スイス100%、イスラエル100%、ノルウェー98%、アメリカ82%、イギリス67%、シンガポール54%で、日本は0.02%で核シェルターの普及率は異常値だ」といわれます。原因は「政治の貧困」だと語られています。良識の国会の「ノーシェルター政策」は、一般国民が恥をかくといわれます。「大津波の対策」の失政があったばかりですので、「核シェルターの対策の失政」を重ねますと、焦土になってからでは遅いといわれます。法律や財政面で対策をとり、または民間活力を利用して、総務省や地方自治体の力を発揮すべきだと述べられます。超長期計画になるようです。「想定外」ということですと、国会や霞ヶ関も消えてなくなると指摘されています。米国の核兵器による報復の前に、致命的な被害を受ける懸念があるといわれます。スイスの国防政策や「民間防衛」を参考にする必要があるといわれます。

 

 ・トランプ大統領の選挙中の「日本と韓国の核武装容認」の発言が注目されましたが、その後のニュースでは、否定されたようです。

 

・毎日新聞(2016/11/15)によると「ランプ次期米大統領は14日までに、過去に日本や韓国の核武装を事実上容認する発言をしたことに関し「そんなことは言っていない」と否定した。トランプ氏は大統領選勝利後、さまざまな立場を現実路線に軌道修正する姿勢が目立っている」と報道されています。

 

・米国は以前から「日本の核装備」を大変恐れているといわれてきました。ところが、近年、有識者の中でも「日本は核武装すべし」という議論も増えてきているといわれます。「核の恫喝を受けないためにも核には核を」という合理的な思考が求められているそうです。「21世紀には核戦争は絶対にない」という保証はありません。周辺諸国では、核兵器や生物化学兵器、核シェルターの開発を熱心に展開しているそうです。核戦争を想定内にしているからでしょう。「敵は一番の弱点(核シェルターのないこと)を攻撃してくる」といわれます。後進国では「核兵器は使える兵器」といわれます。先進国のように「核兵器を使えば、人類が滅びる」という合理的な思考がないと語られています。5兆円という限られた日本の防衛予算で、抑止力のない高価な通常兵器を少数そろえるのでは、費用対効果の点からも問題にされるそうです。核兵器の議論もタブー視されている点がありますが、現実的な議論をしてもらいたいものです。マクモニーグルの未来透視に「23世紀と24世紀における2度の大戦で人類の人口が6分の1に大激減する」というのがあります。

後進国では、大量の餓死者がでている等のみっともないことが国内に続けば、国境紛争や自爆テロ型の(核)戦争を企てると語られています。

 

・世界の諜報機関や日本の影の諜報機関の働きについては、私たち一般人は、知らないことがほとんどのようです。昔の時代と違って、偵察衛星が飛び回っており、詳細な軍事写真もとれるようになりましたので、スパイの役割も大きく変化してきているようです。昔はよくスパイ活動でソ連の外交官が逮捕されたとか、北朝鮮のスパイが国内で潜入して逮捕されたりとかの話があったようです。スパイ船の記事も新聞に載っていたそうです。現代では「産業スパイ」の活動が盛んであるともいわれます。現代でも古典的なハニートラップも盛んだそうで驚きです。「ハニートラップ大国」ともいわれます。

 

・ガストン・ブートゥールは「古来、人間が戦争を起こす理由はただ一つしかない」と言って、その理由を「若者が増えすぎることにある」と答えました。「戦争の結果、人が死ぬ」のではなく、「若者がたくさん生まれ、人口が増えすぎると、戦争が起きて人口調整する」と答えたそうです。ブートゥールは「若者がたくさん戦死すれば、戦争は当初の開戦目的に関係なく自然に終わりを迎える」といわれます。ところで、一人っ子政策の歪みによる3400万人の「中国の男性余剰」問題は、何らかの地政学リスクを産むのでしょうか。

 

公安調査庁の元部長によれば「日本は諜報機関のない世界的に珍しい国だ」そうです。しかし、情報部の関係者の努力のおかげで、米軍との諜報機関との繋がりから、徐々に小規模ながら活動をしてきたようです。戦後は、米軍の諜報機関の下請け組織として機能してきたそうです。スパイの世界は「法律を超えた世界」、「超法規の世界」のようです。常にさまざまなリスクが伴うようです。それでも「諜報機関は国家にとって最も重要な死活の国家組織だ」そうですが、「諜報機関のない国は北朝鮮の拉致事件にも無力だった」ようです。「諜報機関のない国は始めから負けている」ようです。現在でも北朝鮮の動きがつかめないそうです。三島由紀夫も自衛隊の諜報機関と接触しなければ、死期を早めることはなかったかもしれません。諜報機関を作るには、フリーメイソンの研究から始めるという説もあります。「フリーメーソン結社はこの大地が創出されるよりずっと前から、さまざまな太陽系をめぐって、存在していたのである」といわれます。

 

・「諜報機関のない国は既に国益を大きく損ねている」ともいわれ、「諜報機関は国家安全保障上の要の組織である」そうです。真面目な官僚も政治家も「諜報機関」の設立には何故か熱心でないのが不思議です。敗戦後の占領軍の命令が現在でも生きているのでしょうか。旧帝国陸軍の諜報機関や特務機関に対して、敗戦国民は相当にアレルギーがあるそうです。法律理論論争にこだわりますと動けなくなるようです。日本は昔から「スパイ天国」といわれ、スパイに関連する法律も不備のようです。が、現代ではスパイを使わなくても、公表された書籍や文書を分析するだけで80%は、情報分析活動はできるといわれます。米国の大規模な諜報機関やCIAよりも、「女王陛下の秘密諜報員」で知られる英国の秘密情報部の活動が参考になると述べられています。英国のMI6は、創設には異星人が関与していたという奇説もあるようです。現代でも諜報機関と異星人は馴染みがあるといわれます。

 

・「諜報機関のない国は国家競争から最初に脱落する」といわれ、過去に失った国益は莫大なものかもしれません。現在、国会では「集団的自衛権論争」が盛んですが、「諜報機関」については、各党はどのような動きがあるのでしょうか。「諜報機関のない国は始めから負けている」ともいわれ、自衛隊を海外に派遣するのには、大きなリスクを伴うそうです。日本でも諜報機関と政治の繋がりは予想以上に強いので驚きます。

 

・諜報機関の設立、拉致事件、降り込め詐欺のような特殊犯罪、犯罪と検挙率の問題、性風俗、売春問題、女性の地位向上、ゲイ(LGBT等)、社会保障、麻薬、安楽死、自殺、子どもの貧困、教育問題等……………多くの社会問題も欧米先進国のように十分に検討され、良識の国会ですから施策が作られているのでしょう

 

・イラクには大量破壊兵器があったかどうかということは、イラク戦争の時に大きな問題とされました。当時から、「情報操作」があったようです。大量破壊兵器がなかったのに「イラク戦争」をしたと、しつこく非難されたようです。これもプロの情報員とアマのメディアの違いのようです。プロの情報機関の情報操作は、私たち一般人には、理解不能なことが多いようです。特にCIAなどの諜報機関は、かなり進んだ情報操作をするそうです。

 

真偽のほどは分からない歴史的事実の論争が多いそうです。歴史的認識にしても歴史的事実の正確な把握は難しいそうです。その意味において大新聞の報道や社説の影響力の大きさは、かなりのもののようです。私たち一般人は、仕事が忙しいので、メディアのジャーナリストの豊富な知見は、理解できませんし、受け身の立場が多いようです。さまざまな社会問題にも勉強する時間がないようです。しかし、「民主主義国家においては国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」、「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」ということで、私たち一般人は、全員政治意識を高めて、政治の近代化に努めていく必要がありそうです。

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(9)

2021-08-28 17:22:52 | 森羅万象

 

 

『円高は日本の大チャンス』

 「つくって売る」から「買って儲ける」へ

堀川直人   PHP  2010/12

 

 

 

<いまの政治家は「使命を忘れたカナリア」>

・歌を忘れたカナリアに、歌を思い出させるというか、「稼ぐ」ことや、「国を豊かにする」という本来の使命を忘れた国会議員に、坂本龍馬や池田勇人の精神を思い出させようというわけだ。それには、「言って聞かせる」より、実際に制度をつくって「やらせて見せて、ほめて」やるのが一番、というわけさ(笑)。

 

 <「出るを制する」より「入るを図る」ほうが楽しい>

・それよりも、人間は後ろ向きにムダの削減をやるよりも、前向きに「収益を上げる」とか「売り上げを上げる」ことを考えているほうが、ずっと積極的で、人間も明るくなる。プロフィット・センターという考え方をこの国に導入すると、国全体がもう少し明るく、前向きになるかもしれないね。

 

 <国民が国の危機を感じた時、日本は甦る>

・プロフィット・センターが、国の利益戦略をつくり、世界から富を集める。そういう時代にしていけばいいんですね。1億3000万の国民が、みんなで「国を豊かにする」ことを考え、一丸となって知恵を出す。何か、夢と元気が湧いてきますね。

 

 <豊かさランキングの上位の国に学べ>

・昔から、豊かな小国ほど知恵が詰まっているところはない。

 

 戦後の日本は、フヌケの「町人国家」なのか

・この『日本町人国家論』がきっかけとなり、日本は町人国家でいいのか、それとも武士国家に戻るべきか、という論争が始まったんだ。この議論は形を変えて、いまでも続いている。

  武士国家論のいまの急先鋒は、自衛隊OBの田母神俊雄氏のグループだよね。最近では『田母神国軍―たったこれだけで日本は普通の国になる』(産経出版)という本を出している。

 

 日本は重武装した「町人国家」を目指せ

・要するに、自衛隊のハード面に自信がないから、国民も政治家もフヌケみたいになっている、というわけですか。

 

・であるなら、この解決方法は簡単だよ。国民が自信を持てるだけの防衛力をつければいい。そうすれば、日本人は再び二本差しのサムライの心を取り戻し、誇り高いサムライ国家に生まれ変わる。勝てる見込みがあれば、討ち死に覚悟で必死に戦う。それが、人情だというもんだよ。

 

・田母神氏の試算だと、単年度当たりの防衛費を1兆5500億円増額し、これを20年間続けるだけで、日本は中国やロシアに対しても十分な抑止力を持つ「普通の国」になれる、としている。

  その場合、日本は、中露および北朝鮮に対抗して、原子力空母、攻撃型原子力潜水艦、戦略爆撃機、戦略ミサイル、巡航ミサイルなどを保有する。これだけの装備が、初年度における子ども手当2兆2500億円分の3分の2程度の予算でできる。安いもんじゃないか。

  田母神氏は核武装を前提にしているが、費用対効果の問題がある。アメリカの核の傘では不足なのか、この点はもっと議論が必要だろうね。

 

・ふだんは町人国家でいい。しかし、いざ事ある時は、1億3000万人の国民が全員サムライに変身し、国土防衛に立ち上がる。永世中立国のスイスや北欧三国のようにね。

 

・要するに、重武装した町人国家になる。それもアメリカとがっちり提携し、万全の安保体制を敷いた、付け入るスキのない国にする。これが、国家の基本フレームだね。

 

 <ツケ入るスキのない深謀遠慮の国に>

・あとは、ソフト面だね。それは本書で述べてきたとおり、老練かつ狡猾で、「ソフィスティケイト」された、一筋縄ではいかない国になる、ということだよ。

  資源の問題では、エネルギーを自給化したり、レアアースも技術開発で外部資源に頼らない体制をつくる。

 

・日本人はこれまで、どちらかというとお人好しのお坊ちゃんで、あと先を考えずに行動するところがあった。そのために新幹線技術も、うまうまと中国に取られてしまった。こうしたお人好し時代はいい加減に卒業して、これからは、したたかで、昔の武士のように深謀遠慮の国になる。そうすれば、相手に不用意なスキを見せることもない。

 

・それと、日本の表の顔は町人国家なんだから、金融立国と、政府をプロフィット・センターになぞらえる思考習慣は、ぜひここで確立しておきたいね。そうすれば、日本はたちどころに甦り、再び豊かな国になれるよ。

 

・日本人が行うべき方策とは、世界から富を求めて人と情報が集まるような国にすることである。すなわち、日本をビジネス・チャンスにあふれた、魅力的な国にすることであり、海外の人々が日本にやってくる理由・必然性がある国にすることが大切である。

 

 

 

『田母神塾』   これが誇りある日本の教科書だ

田母神俊雄   双葉社    2009/3/1

 

 

 

<究極の抑止力、核兵器で国防と外交を強化せよ>

・世界の多くの国々は、積極的に核兵器をもちたがっています。その理由は、核を持っている国のほうが、核をもっていない国よりも強い安全保障体制を構築できるからです。核を持たないほうがいいと主張しているのは、日本の政治家ぐらいしかいません。より強い軍事力をもつことによって、より安全ではなくなると考える政治家は他国にはいない。軍事力が強いほうが、より安全というのが、常識的に考えもごく普通の考え方でしょう。

 

・「核兵器を持てば日本は戦争と破壊の危険にさらされる」。自虐史観に染まっている人は、そういう考え方をします。

 

・絶対に使われることがない兵器ではあるのですが、核兵器を持っている国と持っていない国とでは、外交交渉において格段の差が生まれてしまう。

 

・日本の外交交渉力を世界と対等にするために、日本も核兵器を持つべきであると、私は、敢えて提言します。核兵器を持たない国は、最終的にアメリカやロシア、イギリスやフランス、中国のいうことを聞かざるをえない状況に置かれているのです。

 

・少なくとも非核三原則は撤廃し、日本が核兵器を持とうと意識すればいつでも持てる状態にしておくことが必要でしょう。「もたない」と強く宣言したとたんに、安全保障上の抑止力は一気に低下してしまう。

 

・アメリカは日本に、どうしても核兵器をもたせたくないのです。日本はNPT(核拡散防止条約)に加盟しているわけですから条約による縛りは今も利いている。

 

・普通の国の政治家であれば「絶対に武力行使はしない」「核兵器を持つことはありえない」とまでは断言しません。「国家を守るため、あらゆる手段を放棄しない」というのが普通です。

 

・核兵器とほかの通常兵器との最も大きな違いは、核兵器は戦力の均衡を必要としない兵器だという点です。つまり、一発だけでも持てば、充分抑止力になる。

 

・イスラエルのように核兵器で武装した国は、軍事攻撃によって潰すことはできません。

 

・自国で核兵器を持つことが難しいのであれば、日本も「ニュークリア・シェアリング・システム」の導入を検討してみてはどうでしょうか。これはアメリカが持つ核兵器の発射ボタンを共有するという試みです。実はすでにNATOのうちドイツ・オランダ・イギリス・ベルギー、トルコの5カ国はニュークリア・シェアリング・システムが導入されています。これらの国が核の脅威にさらされたときには、アメリカが持つ核兵器を引き渡すという取り決めです。

 

・日本はとにかく、国防に関するタブーが多すぎる。民主主義社会なのですから、核兵器保有に関してもタブーの枠内に押し込めることなく、何でも自由に話し合えばいい。

 

・「核武装しないほうが我が国はより安全を保てる」。そんなことを主張する政治家は、世界中見渡しても日本の政治家以外にいません。

 

 

 

 『国(暴)防論』

 田母神俊雄・松島悠佐・川村純彦・勝谷誠彦

アスコム     2009/5/2

 

 

 

<タブーを乗り越え、長過ぎた沈黙を破るべき時がやってきた>

・どこそこの国では戦争という言葉そのものにさえ目を背けさせる教育をしてきた。こういう国は、周辺諸国にとって「危うい」。戦争を作り出すのは無知なのだ。

 

 <核兵器を持たずとも、核抑止力を保持する方法がある>

・そこが同盟の難しいところなんです。確かに同盟は抑止には役に立ちます。しかし、いざというときの国家の運命は、自国で決断しなければなりません。今回は明確にしてくれましたが、アメリカが助けてくれない最悪のケースまでも考慮した上で、あらゆる戦略を立てておかなければならない。したがって、「非核三原則」とお経のようなことを唱えていれば、日本の安全が守られると考えることは、大きな誤りなんです。

 

・NPT(核拡散防止条約)加盟国のなかで、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコの5ヵ国は、ニュークリア・シェアリング・システムというものを採っています。アメリカの核兵器を使って日常的に訓練しています。

 

 <日本が原子力潜水艦を持てば、中国・原子力空母の最高の抑止力になる>

・(原子力潜水艦)は絶対に必要だと思います。ディーゼルエンジンを動力とする在来型の潜水艦は、どうしても息継ぎが必要なんです。潜水艦は浮上してディーゼルエンジンで発電機を回し、発生した電気を蓄電池に充電する。水中ではディーゼルエンジンが使えないので充電ができないからです。それと、艦内の換気のためにも、ときどき浮上しなくてはならない。そのような場合、海峡や東シナ海など、地形が入り組んだ海域なら隠れる場所もあるからいいのですが、太平洋のような広い外洋で海面に顔を出すことは潜水艦にとって自ら隠密性を放棄する非常に危険なことです。広い海域で、息の長い行動をするにはやはり原子力潜水艦でなくてはだめなんです。潜水艦がほかの水上艦船に同伴して行動するためにも原子力潜水艦が必要です。

 

・将来、日本が航空母艦を持つとなったら、これを守るためにも、一緒のスピードで航海できる潜水艦が必要です。それは原子力潜水艦でないと無理ですね。

 

・日本がすぐに核武装はできないとしても、先ず原子力潜水艦を何隻か持って、南シナ海から沖縄近辺の海域に遊弋させれば、中国は嫌がりますよね。中国は原子力空母を建造すると言っていますが、たとえ造ったって、こっちが原子力潜水艦を持っていたら、怖くて動けませんよね。最高の抑止力になると思います。

 

・それに、予算をどれだけつぎ込んだとしても、中国の対潜水艦能力は西側に比べてまだ30年以上の遅れがあると見ています。したがって、当分は中国海軍が日本の潜水艦を捕まえることはほとんど不可能でしょう。ですから、日本が原子力潜水艦を持つことは、最高の抑止力になるはずです。これは断言できます。

 

・非常に有効な手段でしょう。もうひとつあります。日本が核武装をした場合にどういう兵器体系が必要かを改めて検討できる。もし原子力潜水艦を建造できたら、ミサイルを発射できる装置を置いておけばいい。潜没中の潜水艦は探知が困難で残存性も高いですからね。

 

・日本のような狭い国では、あちこちに核ミサイルの基地は造れません。

 潜水艦に積めば、そこが核基地になる。海洋国家としては非常に強いですね。

 

 <兵力の均衡を必要としない核兵器は、ひとつ持っているだけでいい>

・核兵器のバランスの問題もありますが、たとえ10発でも抑止力になります。威力が非常に大きいですから、常に1隻を配備して発射できるようにしておくためには潜水艦の隻数としては3隻は必要でしょう。それだけでも最小限の核抑止力は確保できると言えます。

 

・アメリカはたくさん予算を持っていて、中国も持っている。そこで日本が核を5発や10発ぐらい持ったからって何になるんだと言う人もいます。しかし、5発や10発でも充分に意味があるんです。核兵器は、兵力の均衡を必要としない兵器ですから。

 

・通常の兵器ではあり得ない話ですが、核に関しては兵力比が1対10でも1対100でも抑止が成り立つんです。核兵器は二度と使われてはいけない兵器です。また、使われる可能性もゼロに近い兵器です。しかし、外交交渉で発言権を確保する上でも非常に必要かつ重要な兵器なんです。

 

・核に対してアンタッチャブルのままでいてはいけません。国会でもきちんと議論をしなければ。ところが非核三原則がまずあって、核抑止力はアメリカに依存するというところで話が終わってしまっている。

 

・それよりも、原子力潜水艦を持つのがいちばんいいでしょう。しかし、そのためには時間も金もかかります。

 

・いちばん手っ取り早いのは、アメリカのトマホークを買ってくることでしょう。

 

 <北朝鮮の体制が崩壊するとき、何が起こるか>

・口封じと証拠隠滅のために、北朝鮮にいる拉致被害者、それから数百人いるといわれている特定失踪者が殺されてしまう可能性もあるわけですよね。アメリカだったら特殊部隊を突入させて救出しているところでしょうが、私はそれをぜひ自衛隊にやってほしい。

 

・拉致被害者を奪還するのは、能力的にはゼロではないと私も思います。しかしながら、作戦の基本である情報を積極的に取集する情報機関が日本にはありません。これが最大の問題です。そのため被害者の方が北朝鮮のどこにいるのか、どこに救出に行けばいいのかという情報を得ることができない。大変難しい状況です。

 

・情報戦でもっとも大事なことを「 Humint」と言います。ヒューマン・インテリジェンスの意味です。情報というのは人間に接触し、そこから情報を引き出すのがいちばんいいわけです。日本はその面で諸外国に比べて極端に見劣りがします。

 

・やはりきちんとした情報機関がないということが異常なんですね。そこで調べて勝てるか勝てないかを判断して、だめならどうやれば勝てるかを検討して、勝てるとなって初めて戦争を始めるわけですからね。

 

 

 <●●インターネット情報から●●>

 <清水幾太郎>

その60年安保にかけての時期、安保条約反対の論陣を張った清水幾太郎(社会学者)という人物がいる。安保改定後は急速に「右転回」して、1980年9月に『日本よ国家たれ――核の選択』(文藝春秋社)を出版。日本核武装を主張するまでなった。清水はいう。「最初の被爆国である日本が核兵器を所有しなければ、有事の際、世界中の国国が日本に遠慮してくれるという滑稽な幻想を抱いているのではないか」「核兵器が重要であり、また、私たちが最初の被爆国としての特権を有するのであれば、日本こそ真先に核兵器を製造し所有する特権を有しているのではないか」と。清水が提言する核政策変更への4つの選択肢はこうだ。(1)独自の核武装、(2) 核運搬手段を日本が持ち、核弾頭を米軍から提供してもらう、(3) 核兵器を保有する米陸軍の新たな駐留、(4) 米軍の核持ち込みの許可を宣言する、である。清水は、核武装を含む軍事力強化の道を、「日本が一人前の国家になること」への第一歩と見ている。安保反対論者から核武装論者へ。実に振幅の大きい生きざまではあった(1988年8月10日、81歳で死去)。

 

 

 

『巡航ミサイル1000億円で中国も北朝鮮も怖くない』

 北村淳   講談社    2015/3/23

 

 

 

中国軍の対日戦略が瓦解した日

・現実には(2015年3月現在)日本には中華人民共和国に対してだけでなく、いかなる国に対しても海を越えて報復攻撃を実施する軍事力は存在しない(ゼロとはいえないものの、ほぼゼロに近い)。

 

・ただし、「日本には日米安全保障条約があるではないか」という人々が少なくない。これらの人々は、「たとえ日本自身が報復攻撃力を保持していなくとも、日本の防御力で敵の攻撃を防いでさえいれば、アメリカ軍が助けに来てくれて、彼らがやり返すことになっている」というふうに信じ込んでいるようである。

  その結果、日本は防衛のために必要な軍事力の片面にしか過ぎない「防御力」しか保持せず、「報復攻撃力」がゼロに近い状態でも、平然として国家をやっていられる、というのである。まさに「アメリカは矛、日本は盾」というレトリックに頼りきっている点、これこそが、日本社会が「平和ボケ」といわれている最大の理由ということができる。

 

・そもそも「防衛」のために莫大な税金を投入して軍事力を保持しなければならない究極の目的は、日本が外敵から軍事攻撃を仕掛けられたら「防御」するためではなく、「外敵が日本に対して軍事攻撃を実施するのを事前に思いとどまらせる」こと、すなわち「抑止」にある。

  自衛隊が「防御」する段階に立ち至った場合には、いくら自衛隊が頑強に「防御」したとしても、日本国民の生命財産が何らかの損害を被ることは避けられない。したがって「防衛」の理想は「防御」ではなく「抑止」なのである。

 

・そして、日米同盟のレトリックに頼りきった日本が「防御」のための軍事力しか持たないならば、いくら世界最強の防御力を持っていても、アメリカが助けに来てくれるまでは「やられっぱなし」の状態が続くことになってしまう。

  日本を軍事攻撃しようと考える外敵にとっては、「やられたらやり返す」という軍事能力を持たない日本を攻撃する場合、アメリカが登場するまでのあいだは「やり返される」ことを考えに入れる必要はないため、軍事的には日本攻撃にさしたる躊躇はいらないことになる。

 

・日本が「防御力」しか持っていない状態と、日本が「防御力」に加えて最小限度の「報復攻撃力」を保持している状況とでは、外敵に対する抑止効果という点では、雲泥の差が生ずることになる。

  極言してしまえば、暴力によって勝敗を決してしまう軍事の根底に流れるメカニズムは、実はこのように単純なのだ。そして、「外敵からの武力攻撃を受けないためには、適正な報復攻撃力を持たなければならない」ということは、国防の鉄則なのである。

 

・本書では、現在日本が直面している最大の軍事的脅威は何か、それを明らかにするとともに、その軍事的脅威が実際に発動されないように抑止するために、日本自身が可及的速やかに手にしなければならない「とりあえずの抑止力」を明確に提示したい。

 

 「とりあえずの抑止力」の脆弱性

・憲法第9条や「専守防衛」という奇妙な原則に拘泥してきた日本は、自衛隊という大規模な軍事組織を構築してきたにもかかわらず、中国や北朝鮮に限らずいかなる外敵に対しても、報復攻撃を実施するための軍事力を保有しないように努めてきた。その結果、現在の自衛隊は、様々な優秀かつ高価な兵器を手にしてはいるものの、中国に対しても北朝鮮に対しても、海を渡って攻撃する能力はほとんど保有していない。

 

 中朝への報復攻撃力を持つと

・逆説的にいうと、「日本から攻撃される」という変数が存在するだけで、対日攻撃計画は複雑になってしまうわけだから、そのような変数を初めから捨ててかかっている日本は、お人好しを通り越した存在ということになる。

 

・このように、これまで通りの自由に攻撃作戦を立案させないようにするという効果があるだけでも、日本が「とりあえずの抑止力」を可及的速やかに手にする意義は大きいし、絶対に必要となる。

 

 <トマホークのピンポイント攻撃で>

・そのようなピンポイント攻撃を敢行できる方法としては、現在のところ、長射程ミサイル(弾道ミサイル・長距離巡航ミサイル)による攻撃が唯一の選択肢である。

  日本は弾道ミサイルを製造する技術力は保有しているが、実際に中国や北朝鮮を報復攻撃する兵器としての弾道ミサイルを開発するには、ある程度の年月が必要である。しかし、「とりあえずの抑止力」を手にするためには、日本自身による弾道ミサイルの開発を気長に待っているわけにはいかない。かといって、弾道ミサイルを輸入することはまったく不可能である。

  一方、長距離巡航ミサイルは、弾道ミサイル同様に独自開発には時間がかかり過ぎるものの、アメリカからトマホーク長距離巡航ミサイル(トマホーク)を購入するというオプションが存在する。

 

 <中国が恐れるトマホークの配備>

・逆に考えると、約9600億円では、トマホークが9600基も手に入ることになる(それほど多数のトマホークは存在しないが)。このように、破壊力と装備費だけを比較すると、いかにトマホークがコストパフォーマンスに優れているかが理解できる。

 

 <発射可能なトマホークの数は>

・このように現在、海上自衛隊には、最大1024基の水上戦闘艦発射型トマホークと、最大108基の潜水艦発射型トマホーク、合わせて1132基を一度に装填する能力が備わっている。

 

・以上のように考えると、海上自衛隊の現有艦艇によって、約800基のトマホークを発射することが可能である。そして、水上戦闘艦発射型トマホークは1基およそ1億円であり、潜水艦発射型トマホークは1基およそ1億5000万円である。すると、海上自衛隊は、約900億円で上記のような駆逐艦と潜水艦から発射されるトマホーク約800基を手にすることができる計算になる(実際にはテスト用数十基を含めて約1000億円)。

この場合、自衛隊艦艇の稼働状況や展開状況を考えると、現実的には保有する800基全弾を一度に発射するのは困難であり、400~500基が報復攻撃として連射されることになる。

 

 <北朝鮮への「4倍返し」の値段>

・このように、年間の防衛費の約2%、1000億円を投入してトマホークを海上自衛隊艦艇に配備するだけで、日本は北朝鮮に対し最大で「4倍返し」の報復攻撃力を手にすることになる。

 

 <対中報復攻撃は日本海から>

・国際軍事常識をはるかに凌駕したスピ―ドで長射程ミサイル戦力の充実に邁進し、短期激烈戦争を周辺国に対する侵攻(可能性による脅迫)のドクトリンとしている中国に対しては、トマホーク400~500基による報復攻撃だけでは「とりあえずの抑止力」を超えた抑止効果は期待できそうにない。

 

 <中国でより深刻なトマホーク被害>

したがって、日本が1000億円で手にできるトマホーク戦力は、少なくとも「とりあえずの抑止力」であると、中国共産党指導部は考えるはずだ。

 

 <さらに強力な抑止力の構築には>

・1000億円を投入して、自衛隊が800基のトマホークを装備することによって、本書での目的である「とりあえずの抑止力」は手に入れることができる。本書の目的はここにおいて達成されるが、日本の防衛は「とりあえずの抑止力」を手にすることによって、真の防衛のスタートラインに立ったことになる。

 

・いうまでもなく、抑止力を強化するためには、報復攻撃力だけを強力にしていくのは得策ではない。できるかぎり受動的抑止力と報復的抑止力をバランスよく増強していくとともに、場合によっては報復攻撃力を予防的抑止力に転用する途も工夫して、すべての形態の抑止戦力を手にしていかねばならない。

 

・そして、日本の技術力のすべてを投入すれば、最大射程距離2500キロで最高巡航速度マッハ2を超える巡航ミサイルの開発に成功する可能性は十分にある。

 

・何をおいても1000億円で「とりあえずの抑止力」を手に入れよ――。

 「封じ込めうる抑止力」に近づけるための各種抑止力の増強策、そして国防戦略そのものの大修正を行うための大前提は、1000億円を投入して「とりあえずの抑止力」を手に入れることである。これなくしては強力な抑止力はいつまでたっても手に入らず、それほど遠くない将来に短期激烈戦争を突きつけられ、実際に戦闘を開始する前に中国の軍門に降らなければならなくなる。または、北朝鮮から大量の弾道ミサイルが原発に降り注ぎ、福島第一原発事故の数十倍の放射能被害を受けるかもしれない。

 

 <●●インターネット情報から●●>

 

 「三峡ダム」の恐怖! 攻撃されたら万事休す・・・軍壊滅、民は「億単位で飲み込まれる」=中国メディア         (サーチナ)

 

  中国の軍事情報サイト「捷訊網」は21日、米国や台湾と戦争の事態になった場合、三峡ダムがミサイル攻撃を受け破壊された場合には、戦争に必要な軍部隊も水に飲まれ、民間人の被害は数億人にのぼると紹介した。

 

  三峡ダムの危険性については早い時期から指摘があり、応用数学などを研究した著名学者の銭偉長氏(1912-2010年)は、三峡ダムが通常弾頭付き巡航ミサイルで攻撃されて崩壊すれば、上海市を含む下流の6省市が「泥沼」となり、数億人が被害を受けると試算した。

 

  記事によると、三峡ダム下流の長江沿岸には軍の駐屯地が多く、軍も戦争遂行が不能になるという。

 

  記事は、三峡ダム攻撃をまず研究したのは台湾と指摘。中国軍が台湾侵攻を試みた場合、台湾は同ダムを含む大陸部のインフラ施設攻撃を念頭に置いたという。

 

  記事は次に、尖閣諸島で対立する日本による攻撃も取り上げた。奇襲すれば「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)はポケットの中の物を取り出すのと同様に簡単に手に入る」と豪語するタカ派軍人もいると紹介する一方で、三峡ダムへの攻撃リスクを考えれば、「釣魚島奇襲は不可能」と指摘。それまでに、時間をかけて三峡ダムの水を抜いておかねばならないと主張した。

 

  記事はさらに「釣魚島を奪取しても利は小さい。三峡ダムの被害は甚大だ。しかも、(尖閣奇襲で)先に手を出した方(中国)が国際世論の非難を浴びる」と論じた。

 

  記事は、尖閣諸島が原因で戦争になった場合、米国による三峡ダム攻撃もありうると指摘。さらに、国境問題で対立するインドが攻撃する可能性にも触れた。(編集担当:如月隼人)

 

<●●インターネット情報から●●>

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)

「スイス連邦」

国民皆兵を国是としており、徴兵制度を採用している。20歳から30歳の男性に兵役義務があり、女性は任意である。スイス男性の大多数は予備役軍人であるため、各家庭に自動小銃(予備役の将校は自動拳銃も含む)が貸与され、予備役の立場を離れるまで各自で保管している。かつては、冷戦下の厳しい国際情勢に即応するため、包装された弾薬と手榴弾が貸与され、悪用防止の封印を施した容器に入れて各自が保管していた時期もあった。

 

冷戦の時代には、スイス連邦政府によって、スイスの一般家庭に配布された小冊子『民間防衛』の内容からも窺い知れる様に、スイス国民はあまねく民間防衛組織に加入し、有事に備えていた。冷戦の終結後は、民間防衛組織の多くが役割を失って消滅したか、人員や装備を大幅に削減したため、現在のスイスには「民間防衛」が発行された当時のような高度な防衛体制は、もはや存在しない。それでも、政府が食糧を計画的に備蓄し、スイス軍の施設と公立の学校については、核戦争への備えとして核シェルターが常設されている。民間でも、過去には自宅や職場にシェルターを装備する義務があったが、現在では撤廃された。それでも、任意でシェルターを装備している企業や個人が多いことで有名である。

 

   

<●●インターネット情報から●●>

「産経ニュース」(2017/10/6)

「北朝鮮が核攻撃なら死者210万人 米大推計、東京とソウル」

ワシントン=黒瀬悦成】米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は4日、米国と北朝鮮の間で軍事衝突が起き、北朝鮮が東京とソウルを核攻撃した場合、両都市で合わせて約210万人が死亡し、約770万人が負傷するとの推計を発表した。

  一部の専門家によると、北朝鮮は爆発規模15~25キロトン(TNT火薬換算)の核弾頭を搭載した弾道ミサイルを20~25発実戦配備しているとされる。

  データ解析を専門とするマイケル・ザグレク氏が38ノースに寄せた分析は、米軍による北朝鮮の弾道ミサイル迎撃や、核・ミサイル関連施設の攻撃を受けて、北朝鮮が報復核攻撃に踏み切った事態を想定している。

  北朝鮮が25キロトン弾頭のミサイル計25発を東京とソウルに向けて発射し、うち20発が日韓の迎撃ミサイルをかいくぐって目標の上空で爆発した場合、東京で約94万人、ソウルで約116万人が死亡するとしている。

 

 一方、搭載された弾頭が、9月3日に北朝鮮が地下核実験で爆発させた「水爆」と同規模の250キロトンで、発射されたミサイル25発のうち20発が東京とソウルの上空で爆発した場合、東京での死者は約180万人、ソウルでの死者は約200万人、両都市の負傷者の合計は約1360万人に上るとしている。

  米国が広島に投下した原爆は16キロトン、長崎は21キロトンだった。

  


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(8)

2021-08-28 17:22:02 | 森羅万象

 

 

図解 図25枚で

『世界基準の安保論がスッキリわかる本』

高橋洋一  すばる舎  2016/7/16

 

 

 

戦後の戦争の基礎データは、日本周辺が世界の中でも「戦争リスクが高い危険地帯」であることを教えてくれる。>

<大戦後、2007年までに世界では「戦争」が38回起こった>

・この場合、それぞれの戦争の発生にほとんど因果関係がないことが示唆されるのだが、実際の推移を見ても、そうなっているように感じる。

 

<日本周辺は戦争の多発地帯!>

・38の戦争のうち実に4割近い15の戦争が(中東を除く)アジア地域で発生していることがわかる。第2次大戦後に絞って考えれば、アジアは世界の中でも断トツで戦争が多い地域なのだ。

 

・いかなる議論をするにしても、アジアは世界の中でも近年戦争が多発してきた地域であり、しかも日本の周辺には戦争に関与する頻度が高い国が多いという現実に立脚して、議論を進める必要があるのである。

 

<「民主的平和論」で考えると、民主主義国家ではない中国、北朝鮮、ベトナムなどは特に危ない!>

<民主主義国同士での戦争は滅多に起きない>

・カントは「民主主義(共和制)」「経済的な依存関係」「国際組織への加入」の3つが戦争を防ぎ、平和を増進するという考え方を提示した。

 

・民主主義国であれば、その国の行動は基本的に選挙で選ばれた政治家の合議によって決定される。政治家は常に国民の視線を意識する必要があるし、三権分立や二院制のように、権力機構が互いを牽制する仕組みが政治体制に組み込まれているので、そもそも戦争をするという極端な行動が選択されにくい。

 

・中国とベトナムは、両国間でも1879年と1987年の2度にわたって戦争をしている。死傷者が出る武力衝突も何度か起こしている。両方が非民主主義国家だと、戦争へのハードルがさらに下がることが見て取れるだろう。

 

<近くにある非民主主義国家を警戒するのは当然>

・日本国内では、よく左派の言論人が「むやみに隣国を敵視するのはよくない」という素朴な平和論を言うが、民主的平和論を知っていれば、目と鼻の先の距離に非民主主義国家が存在するという事実だけで、中国と北朝鮮を特に警戒する十分な理由となるのである。

 

<民主度が低く、現在も武力介入を続けるロシアには油断は禁物。ただし、近年の行動を見ると、日本にとっては中国のほうがずっと危険になっている。>

<民主主義国ということになっているが……>

・ロシアでは近年、プーチン大統領の独裁傾向が強まっているほか、野党の政治家やジャーナリストの失踪・不審死が多く発生している。また、クリミアやウクライナ、シリアなどでは積極的に軍事介入する姿勢を見せている。そのため、民主度が低く評価されているのだろう。

 

<南シナ海での傍若無人>

・中国は、民主主義ではないために戦争リスクがもともと高いことに加え、このように近年急激にその軍事力を増大させ、無謀とも思える危険な行動に実際に出てきている。

 さらに中国では最近、経済成長が急激に鈍化してきているが、国内が窮乏してきた時、無能な指導者は対外戦争に打って出ることで国内の不満をそらそうとするのが歴史の教訓だ。

 日本にとって、中国はさまざまな意味で当面の最大のリスク要因となっており、こうした現実を踏まえた対策が求められているのである。

 

<国際政治・関係論の最終理論、ラセットとオニールの「平和の5要件」を理解すると、議論のフレームが整理できる。>

<リアリズムとリベラリズムを統合した理論>

・それまで国際政治・関係論の世界では、大きく分けて軍事力によるバランス・オブ・パワー論を重視するリアリズムの視点と、軍事力に加えて貿易などの経済的な要素も重視するリベラリズムの視点という、2つの異なる立場が対立してきた。前述したカントの三角形は、このうちのリベラリズムの視点という、2つの異なる立場が対立してきた。前述したカントの三角形は、このうちのリベラリズムを代表する考え方だ。

 

・結果、リアリズム勢力の重視する軍事力に依拠したバランス・オブ・パワーの視点も、リベラリズム勢力の重視するカントの三角形の視点も、戦争のリスクを減らすためにはどちらも重要である、という結論が出たのだ。

 

<5つの要素に置き換えて計算できる>

・同書では、軍事力に関するリアリズムの要素を次の2つに置き換えている。

① 有効な同盟関係を結ぶこと

② 相対的な軍事力

 

また、リベラリズムを代表するカントの三角形については、次の3つ

に置き換えている。

③ 民主主義の程度

④ 経済的依存関係

⑤ 国際的組織への加入

 

このような置き換えを行った上で数学的な処理を行ったところ、①~

⑤ のすべての要素が戦争を起こすリスクに影響を与えることが判明

した。また、それぞれの要素がどの程度戦争のリスクを減らすのか、数字で算出することもできたという。

 具体的には、①「有効な同盟関係を結ぶこと」で40%、②「相対的な軍事力」が一定割合(標準偏差分、以下同じ)増すことで36%、③「民主主義の程度」が一定割合増すことで33%、④「経済的依存関係」が一定割合増すことで43%、⑤「国際的組織への加入」が一定割合増すことで25%、それぞれ戦争発生のリスクを減少させるとされている。この5つの要件は「平和の5要件」とも呼ばれている。

 

<国の自衛権は個人の正当防衛と同じ。「個別的」「集団的」と分けて運用する外国はほとんどなく、憲法の不戦条項にも違反しないと考えられている。>

<国際法上の自衛権は、刑法の正当防衛に相当する>

・さて、欧米などの国際社会では、「自衛権」は刑法にある「正当防衛」との類推(アナロジー)で語られる。

 たとえば日本の刑法では、第36条で正当防衛を定めている。

 

・国際社会では、この正当防衛の「自己」と「他人」を、それぞれ「自国」と「他国」とに言い換えて「自衛(権)」が語られるのが普通だ。英語では、「自衛」にも「正当防衛」にもまったく同じ言葉(seif-defense)があてられており、この2つを区別することもない。

 そして、自国のための自衛を「個別的自衛権」、他国のための自衛を「集団的自衛権」と言う。しかし、両者は一体になって自衛なので、あえて個別的、集団的と分けて運用されることは国際社会ではまずない。

 例外として、永世中立を国是とするスイスが、個別的自衛権のみで集団的自衛権は行使しないと言っているが、スイスの場合はいかなる同盟も組まないことを基本方針としているので、それで問題ないだろう。

 

<過剰防衛を防ぐための条件まで同じ>

・正当防衛と自衛権が同じになっているのは、これだけではない。

 刑法の「正当防衛」では過剰防衛が認められていないのと同じように、国際法にも「自衛権」の行使にあたって歯止めとなる条件が存在する。

 実はその条件まで、「正当防衛」と「自衛権」ではほとんど同じになっている。「緊迫性」「必要性」「相当性」の3要件である。

 実力行使をしなくても、その場から離れて逃げられる余裕があるなら、「緊迫性」がないので正当防衛や自衛は認められない。

 

・そして、国際法における「集団的自衛権」では、刑法の正当防衛よりさらに条件が厳しくなり、「他国の要請がある」ことも追加の条件となる。

 

個別的自衛権の拡大論は、集団的自衛権の容認と同じこと

・「他国への攻撃を、自国への攻撃とみなして防衛行為を行うこと」が集団的自衛権なのだから、これらの反対論者が、「アメリカなど密接な関係の他国への攻撃は、自国への攻撃とみなして防衛行為を行うこと」が集団的自衛権なのだから、これらの反対論者が、「アメリカなど密接な関係の他国への攻撃は、自国への攻撃とみなして、集団的自衛権ではなく個別的自衛権で防衛行為を行う」と主張する内容を英訳すれば、結局、集団的自衛権の必要性を認めている文章になってしまう。

 外国の国際法の専門家には、「それは、要するに集団的自衛権そのものではないか?」と言われてしまうだろう。

 個別的自衛権と集団的自衛権はまったくの別モノだと思い込んでいるので、こんな間抜けな話になってしまうのだ。

 

・≪世界標準≫の国際法の見地からすれば、個別的自衛権はよいが、集団的自衛権は行使できないとする以前の憲法解釈のほうが、明らかに異常で非常識なのだ。そのため、限定的にもそれを修正した今回の安保関連法は正しい、と筆者は考える。

 

<9条のような不戦条項を持つ憲法はたくさんある>

・日本の憲法9条の戦争放棄は、1928年の「パリ不戦条約(戦争放棄に関する条約)」を源流とする規定だ。この条約は、戦後の世界各国での憲法の規定に影響を与えたほか、前述したように国連憲章の規定にも影響を与えている。必ずしも日本だけが、戦争否定の憲法を持っているわけではないのだ。

 主要国では、日本国憲法の9条に類似する条文は韓国やフィリピン、ドイツ、イタリアなどの憲法に盛り込まれている。

 

・ところが、これらの国では集団的自衛権は憲法の規定上行使できない、などという議論はまったくされていない。集団的自衛権は、個別的自衛権と一体の当然の権利として行使されており、4ヶ国すべてが第2次大戦後にも海外への軍事派遣を行っている。

 同じ「敗戦国」のドイツやイタリアでも、集団的自衛権が憲法の不戦条約と相反するなどという議論はない。日本と同じアジア地域に位置する韓国やフィリピンでも、そんな議論は行われていない。

 比較憲法学の視点で言えば、こうした現実がある以上、日本だけが集団的自衛権を行使できないと解釈するのは、「誤っている」と言わざるをえないのだ。

 憲法9条に関しては、近年、ノーベル平和賞への自薦を行う運動があるのだが、こうした現実を知っていると、そのニュースに接するたびに恥ずかしさで顔が赤くなる。

 

・安全保障については、国内での議論だけで考えると、国の進路を誤ってしまう。国際政治の現実を踏まえつつ、海外との比較もして議論することが大切である。

 

<民意の反映であり、立憲主義に違反などしていない>

・自社の世論調査では国民の大半が反対だから、急いで法制化する必要はないと多くのマスコミが主張したが、安倍政権下で行われた3回もの国政選挙の結果を無視することなど、できるわけがない。

 複数の選挙で繰り返し示された民意に沿って、憲法の規定に定められたとおりの立法手順を踏み、法律を可決成立させただけである。どこにも、憲法違反の要素などないと考えるのが常識的だろう。

 

・内閣法制局という政府の一部局にすぎない官僚組織が、立法府で大きな権威を持ってきたこと自体が官僚組織の象徴であり、そもそも異常な状態である。内閣法制局の役割は、総理に法の解釈について意見具申をするところまでであって、「集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更」などという大それた権限を掌握できるポストではない。また、そうあるべきでもない。

 ところが、一部の官僚があたかも自らを立法(国会)と司法(裁判所)の上位に立つ存在かのように、法案づくりと国会の通過、さらに法律の解釈に至るまで関与しようとしてきた歴史があった。

 その背景には、国会議員が本来の仕事である議員立法などの立法業務をせず、官僚に丸投げにしてきた実情がある。

 実質的な立法府の形骸化だったのだ。

 そんな官僚支配体制下での慣例を、立憲主義の体現であるかのようにありがたかった人たちは、安保関連法に反対したいあまり、自ら官僚に支配されることを望んだのと同じである。

 

<反対論は中国の思惑どおり>

・集団的自衛権の行使に反対する法律論に、いちいち常識的な国際法や比較憲法学の立場から反論してきた。

 総じて、立憲主義を根拠に反対している人たちは、立憲主義とは決して相容れない中国が、日本の集団的自衛権の行使に反対するという、自分たちとまったく同じ主張をしていることに、もっと違和感を持つべきであろう。

 中国の憲法では、国の上位に共産党が置かれ、人々はその指導を受けるとされている。不戦条約もなく、人民解放軍は国民の軍ではなく共産党の軍隊、つまりは党の私兵であるとも明記されている。これは立憲主義ではない。

 

「北朝鮮の核」は、日米同盟の強化とミサイル防衛能力の拡張、さらには潜在的核保有国政策で対応できる。>

<北朝鮮は、すでに実質的な核保有国>

・北朝鮮は残念ながら、すでに実質的には「核保有国」となっているのが現実だろう。

 

<中国・ロシアが制裁を骨抜きにしてきた過去>

・軍事同盟を結んでいる中国や、長年の友好国であるロシアが、国連安保理で拒否権を持つ常任理事国に含まれている。そのため、本当に決定的な制裁決議は、どうせ出せないと高を括っているのだろう。また、たとえ多少きつい内容の制裁決議が出ても、特に中国などがそれを誠実に履行せず、何度も骨抜きにしてきた経緯がある。

 

<日本自身の核武装にはデメリットが多すぎる>

・また日本独自の核武装は、同盟国のアメリカの疑心暗鬼をも呼び起こしかねない。

 

<過去の歴代政権の知恵を今後も活かせ>

・核武装に関して、過去の日本政府はこうした事情を考慮し、実際の保有はしないが、核技術と核兵器の材料(核物質)は保有し続ける、という「潜在的核保有国」政策だ。

 この政策は、北朝鮮や中国などの危険な隣国に対し、デメリットの多い実際の核武装を避けつつ、一定の抑止力は確保できる賢い政策だ。そのため、この潜在的核保有国政策は継続していくことが望ましいだろう。

 

<憲法学者の多くが、自衛隊は違憲であると言う>

・かく言う筆者も、学生時代にはそう習ったが、正直、違和感があったものだ。社会人になってから、先輩に「学生時代は『自衛隊は違憲』と答案に書いておけばいい。しかしいったん社会に出たら、『自衛隊が憲法違反のはずはない』と言っておけばいいのだ」と聞いて、納得したものだ。

 

 

 

『真・国防論』

 田母神俊雄  宝島社   2009/4/20

 

 

 

<攻撃力を備えた自主防衛ができるとき>

・いままで書いてきたとおり、いまの自衛隊をみて本当に国を守れる防衛力があるかどうかと問われれば、これはまた不完全だろうと答えざるを得ない。

  にもかかわらず、F-15(通称:イーグル)戦闘機を200機もち、世界第4位の軍事費をもつ、いまの自衛隊の装備は過剰なのではないかと言われることがある。しかし軍事力というものは、国力に応じて備えるべきもので、経済力にあった軍事力をもつことは、国際社会を安定させるために国が果たすべき責任である。

 

・このままいけば日本の自主防衛に、私は、20~30年かかるのではないかと思っている。日本政府が大きな政治決断をすれば別だが、それはなかなかむずかしいだろう。

  防衛力整備には長い時間を必要とするのだ。

  政治決断をするにしても、いまの政治をみていると、国内の勢力争いでうまくいかないことが多いように感じている。政治家のみなさんには、政局よりも国家や国民を重視した行動をとっていただきたいものだ。

 <核とはどんな兵器なのか>

・新たな攻撃法を考えると、最初にあがるのは核だろう。しかし被爆国ということもあり、日本には核アレルギーが根強い。核兵器と聞いただけでとんでもないと思う人たちもたくさんいる。その上政治家の中には、核をもっているより、もたない方が安全が保障されると信じる人達がいる。こんなことを信じる政治家がいるのは日本だけだ。

  私に言わせると彼らは本当に無知か、選挙目当てか、タカ派と言われたくないか、リベラル派と言われたいかのいずれかであろう。多くの国では、核武装をしないよりもした方がより安全と考える。だからこそ、核武装している国が身近に存在する我が国は、核兵器についても冷静に議論をしなければならないはずである。

 

・核兵器をもつ国は特権的地位を占めることができるが、もっていない国は核保有国が決めたことに従わざるを得ない。

  なぜ核兵器がそれほどの力を持つのか。それは核兵器が戦力の均衡を必要としないからだ。通常戦力の場合、10対1の戦力比だと抑止は成り立たないが、核兵器は1発でもあれば抑止が成り立つ。核攻撃を受けた国は、たとえ1発でも被害に堪えられない。たった1発の核兵器が、アメリカで起きた9・11テロどころではない被害をもたらすのである。

 

・いま北朝鮮が核をもとうとしているのは、1964年の中国と似ている。あのとき中国は貧しく、餓死者が出るほどだったが、毛沢東は国民がズボンをはかなくても核武装をすると言った。

 

 <日本も核武装をするべきだ>

・私は、大国としての責任を果たすためにも日本は核武装をするべきだと思う。しかし日本はNPT条約に加盟しているため、いまの世界の枠組みの中では、核武装はできない。

  もし日本が核武装しようとしても、アメリカは力一杯妨害するだろう。

 

・自民党の政治家の中には、石破氏のようにどうせできないんだから核武装しない方がよいという人もいる。しかし国家としては、結果できなかったとしても、核武装すると言い続けたほうが核抑止力はぐんと高まるのである。

 

・さて、核を巡る新しい仕組みに、『ニュークリア・シェアリング』(nuclear sharing)というものがある。

  これは、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコの5カ国がアメリカと結んでいる条約で、これらの国がロシアなどから核の恫喝を受けた場合、アメリカの核を使って反撃ができるというものだ。だからこの5カ国は、アメリカの核を使って日常的に訓練をしている。これらの国は核武装国ではないが、アメリカの核をいつでも使えることで核抑止力を担保しているのだ。

  第2次世界大戦で共に敗戦国同士であったドイツやイタリアでさえもこうやって、アメリカの核を担保にして自国の安全保障を追及しているのである。同じことを日本がやって悪かろうはずがない。

  日本もこの仕組みを使えるようになれば、中国から核の恫喝を受けるようなこともなくなるだろう。

 

・もし日本が最初にもつべき核兵器は?と聞かれたら、私は第一にSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)だと考えている。四方を海に囲まれた日本にとっては、潜水艦のほうが隠密性が確保できるからだ。情報化が進んでも、潜水艦は地上に比べ捕捉しにくい。現実的には、海上自衛隊の隊員をアメリカの原子力潜水艦に乗せて日常的に訓練させたらよいだろう。日本が中国から核の恫喝を受けたら、海上自衛隊にミサイル発射権限をもたせるという条約を日米で結んでおけばよいのだ。

 

 <強いことが戦争を回避する>

・日本が抑止力をもつということは、自衛隊を強い存在として認識させる必要があるということだ。そしてその力を発揮させるためにも、日本が理不尽な要求をされたときには、強い自衛隊をもって相手を攻撃する能力と意志があると示すことが重要になる。日本を攻撃したら自衛隊に徹底的に叩かれる、勝てる見込みがないということが、他の国に広く知られていれば、これが抑止力となる。抑止力が効いていれば、他国は簡単に日本に武力行使をしようとは思わないものである。拉致被害や領海侵犯なども、自衛隊が法律でがんじがらめになっており、行動できないために被害が拡大しているのだ。

 

 <政治家自らが、抑止力を低くしている>

・最近では、福田内閣のときに高村外務大臣が「日本は絶対に戦争をしない国だ」と発言をした瞬間に抑止力は大きく下がってしまう。国を代表する政治家からこういった発言が何度もされることにより、日本を攻撃しても反撃されない、簡単に屈服させることができるという誤ったメッセージを他国に伝えてしまい、日本への侵略を誘発する危険性を高めてしまう。本来であれば、「日本はあらゆる手段を排除しない」でなければならないのだ。

  こういった発言は、本来国益を追究する立場にある政治家が、逆に日本を危険に陥れるという皮肉な結果をまねいてしまう。

  またこのような発言が何度も重なることで、他国に与えるイメージだけでなく、国内も影響される。日本は戦争をしないという大臣の発言を、何度も聞いているうちに、だんだんと国家はその発言に縛られるようになってしまう。

 

・国際社会ではどの国も理不尽なことを言われたら断固戦うと宣言しているのに、日本の場合はあくまでも話し合いでと言う。これではまったく抑止力にならないのだ。

  国を代表する政治家が、こうして危機を誘発するような発言をするのは、国際社会では考えられないことである。

 

・なかなか進展をみせない北朝鮮の拉致問題でも、いざとなったら日本は、最終的に軍事力を行使してでも拉致被害者を取り返すという気構えを、これまで見せていたなら、事態は大きく違っていただろう。

  絶対に軍事攻撃をしないと日本政府が宣言することで、北朝鮮にこの問題をどこまでも引き延ばせるという確信を与えてしまっている。拉致被害者を返してしまったら、日本を恫喝する手段がなくなる北朝鮮が、自ら拉致被害者を返すとは到底考えられない。戦争をしないという日本政府の姿勢を変えない限り、これからも拉致被害者が帰国する可能性は低い。

  これまで何度も領海侵犯をしている北朝鮮の工作船についても、警告に応じない場合は沈めるという意志を日本政府が示せば、いまのように好き放題にやられることはなくなり、不審船は二度とこなくなるだろう。

 

・日本政府のこうしたやさしい対応で、多くの国民が拉致されるという悲劇が起こったのである。やさしさが国益を守るのかといえば、決してそうではない。本当に国益を守るためには、国家として断固とした対応をとる必要があるのだ。

 

 <いま何が起きても、黙って見ているしかない自衛隊>

・もちろん他の国の軍隊で、日本の自衛隊のようにやってよいことが決められている法律はない。外国では軍隊というものは政府の判断で動き、禁止されていること以外は何でもできる。

  本来、国際法上では、外国の軍隊のように自立した行動ができる自衛隊だが、国内法の縛りで動けなくなっている。やってはいけないことを決めるのは禁止規定(ネガティブリスト)と言われ、軍隊はこの禁止規定で動くのが国際常識である。逆にやっていいことを決めるのは、根拠規定(ポジティブリスト)と呼ばれ、一般の官公庁はこの根拠規定で動いている。

  軍隊は通常、ネガティブリストで動き、禁止されていること以外は自己の判断でやってもいいことになっている。それが国際社会のグローバル―スタンダードなのだ。

  しかし自衛隊は、一般の官公庁と同じポジティブリストで、行動が細かく決められる存在となっている。これでは、自衛隊はポジティブリストにない想定外のことが起きたときや、あいまいなケースには対応できないのだ。世界の中で、唯一、自衛隊だけがグローバルスタンダードに反しているという状況なのである。

 

 <専守防衛では国を守れない>

・いま、日本はこの専守防衛を考え直す必要に直面していると言っていいだろう。専守防衛で守りに徹し、攻撃的兵器をもたないということでは、国を危険にさらしてしまうことになりかねないのだ。こうした危険を回避するためにも、攻撃的兵器をもつことで、殴られたら殴り返すぞと言えるようになることが必要なのだ。

 

・具体的な例で言えば、北朝鮮の拉致もまさに専守防衛の悪影響といえる。北朝鮮にしてみたら、日本は絶対に自分達を攻撃しないとわかっているから、交渉に3年から5年かけても拉致被害者を返さないのである。これがもし、日本政府が相手に対して、返さないのであればぶん殴るぞという態度を示せば、交渉の結果も違っていただろう。ところが、日本は絶対に武力行使しませんからと北朝鮮に向かって言ってしまうのである。

  拉致被害者を隠しもっている限り、北朝鮮はずっとさまざまなことで日本をゆすることができる。日本が、何があってもこちらから武力行使はしませんと言った途端、返さなくても何もされない北朝鮮は、ああ、じゃあ彼らを返すことはやめようと思ってしまう。

 

 ゆきすぎの専守防衛

・外交交渉においても、この専守防衛は、まったくもって不利な戦略であることはおわかりだと思うが、先にも書いたが、この専守防衛戦略をとる以上、自衛隊は攻撃的な兵器をもてない。いまの自衛隊の装備を見れば、一目瞭然なのだが、海自、空自の能力は専守防衛をもとに装備されている。たとえば、長距離ミサイルや爆撃機といった攻撃的な性格をもつ兵器はないのだ。

 

・しかし専守防衛をとっている日本では、自衛隊がこうしたことを調査することができない。たとえば、こうした調査を通して自衛隊が、北朝鮮のミサイル基地攻撃について研究していたとしたらどうだろうか。そうしたことが明らかになれば、マスコミはこぞって攻撃計画を立てていると大騒ぎをし、政府は関係者を処分することになるだろう。

 

・本来、軍隊というものは、国家の非常時に、敏速な対応をするためにあらゆることを研究、シュミュレーションするものである。外国では軍隊のこうした仕事について、普通国民は「ありがとう」と感謝するものであるが、日本では「余計なことをするな、処分するぞ」となる。私は、こうしたマスメディアの反応や政府の対応が信じられない。まったくもって、おかしな国である。このような考え方が続くようでは、誰が国防を担当したところで、国の安全は確保できないのだ。

 

 軍事力は外交交渉の後ろ盾

・ところが、日本は違うのだ。威嚇射撃をしたら、どこぞの政党が騒ぎ出し、それに対応する政府はひたすら自衛隊の責任問題に摩り替えて、処分をする方向へと流れていく。このような体制だから、海外諸国、とくに近隣の国々に好き勝手されてしまうのだ。

 

・しかし、だからと言って、外交交渉上軍事力の意義が減ずるものではない。外交交渉を支える軍事力の存在は、ますます重要となるのだ。たとえ国同士の関係が悪くなっても、こちらの軍事力の優位性が保たれていれば、相手と交渉を続けることができる。

 

・しかし、侵略や略奪こそなくなってはいるのだが、国際社会の安定は、金持ちの国が、貧乏な国より強い軍事力をもたなければ成立しない。

  その答えは明白だ。もし、経済力が弱くてもその国の軍事力が強ければ、経済力はあっても軍事力の弱い国の富を、略奪することができるからだ。

 

 <守屋という男の素顔>

・守屋氏が逮捕されたとき、自衛隊員のほとんどが“あいつだったらやるかもしれない”と思っただろう。

  彼は以前からうさんくさい噂が絶えず、業者にたかっているとか、業者も要求されて困っていると聞いたこともあった。実際に彼が毎晩業者と飲みにいったり、特定の業者が長い時間、次官室にいたりするのを目にした者も多かった。

  守屋氏が直接こうしろと指示をしなくとも、絶大な権力をもつ事務次官がこう思うと言えば、相手は意図を汲めと言われていると感じることもあっただろう。

  2007年に新任だった小池防衛大臣と退官をめぐる衝突があったが、守屋氏はその当時で次官を4年やっていた。

  通常、事務次官に4年も居座る人などいないのである。

 

・いま官僚がいろいろ言われている。政治家も官僚を叩く。本来、行政・立法・司法の3つは独立しているものだが、政治家は自分が大神でなくとも行政府の上にいると思っているふしがある。また官僚も政治家は自分たちの上にいると認識している。政治家がよってたかって官公庁を叩いたら、官僚は政治家に協力しなくなる。政治家というものは役人に教えてもらわないといけないことがたくさんあるのだ。あなたたちのおかげで国が成り立っていると、ほめて使わないと人は動かないことを忘れてはいけない。

 

 <抑止力としての自衛隊のあるべき姿>

 <国際社会は性悪説で眺めるべきもの>

・日本国憲法の前文には、「世界の国を性善説で見なさい」と書いてある。非常に、外国にとって都合のよい憲法だと私は思う。日本が武力行使をしなければ世界は平和だというが、実際はどうだろうか。世界を見回したとき、国防に力を注ぐ国はあるが、それを縮小しようとする国は日本だけだ。

 

・しかし、国際社会を性善説でとらえるとしたら、この国の進むべき道は間違ってしまう。ざっと見渡してみても、日本の周りでは腹黒いことがたくさん起きていることがこのことを裏付けているといえるのではないか。

 

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(7)

2021-08-28 17:20:57 | 森羅万象

 

『世界一豊かなスイスとそっくりな国 ニッポン』

川口マーン恵美  講談社  2016/11/1/

「幸福度世界1位」の条件は全て日本にも揃っている!!

あとはスイスに見習うだけ

 

 

 

貴族の金儲けのための傭兵

ただ、スイス人がその能力を存分に発揮できるようになったのは、いってみれば、つい最近の話だ。それまでの彼らの歴史は残酷なほど暗い。『アルプスの少女ハイジ』の作者であるヨハンナ・シュピリ(1827-1901年)は、スイスを舞台に多くの小説を残したが、どの作品もあまりにも絶望的だ。

 父親が医者で、本人はチューリッヒの学校まで出た。「上流階級」でありながら、作品に登場する彼女が育った土地の貧しさや閉塞感は凄まじい。外へ一歩出ると、孤児が餓鬼のようにさまよい、どこの家庭でも婦女の虐待は日常茶飯事だった。山奥の貧困はさらに激しく、一度も洗ったことも梳いたこともないような髪の毛を頭の上に帽子のように乗せた人間が暮らし、近親相姦が常態となっているような孤立した村もあったという。

 

山がちな国土では、人口が増えればたちまち食料が不足した。輸出するものは人間しかなかった。それゆえ、スイスは中世以来、ヨーロッパのあらゆる戦線での戦士の供給国となっていったのだが、そのスイス傭兵の歴史は、あまり知られていない。

 ヨーロッパの戦争は、常に傭兵の戦力で行われてきた。イタリアで傭兵が活躍し出したのは、13世紀末だ。

 

・さて、中世のスイス誓約同盟の3州では、州の支配者である貴族たちが、金儲けのためにヨーロッパの各国と傭兵契約を結んだ。つまりスイスの傭兵というのは、各人が自分の才覚で雇用契約を結んだわけではなく、いわば国家の斡旋によるもの。州政庁が安くかき集めた傭兵を、諸外国に高く輸出したのである。

 支配者であった貴族たちが、その利ざやで懐を肥やしたことはいうまでもない。15世紀、すでにスイス人が、ヨーロッパの傭兵の主流を占めていた。

 

<傭兵ではなく植民地人や黒人を>

・書き始めるとキリがないが、アメリカ軍における日系移民で構成された442連隊は、ヨーロッパ戦線のいちばん危険なところに投入され、めざましい活躍と、最悪の死傷率を残した。しかし、当時、442連隊の勇敢な功績は無視され、凱旋パレードには、日系兵士の姿はついぞなかった。

 一方、サイパン島の攻略では、上陸してきたアメリカ兵は全部黒人だったし、朝鮮戦争が勃発すると、日本に駐屯していた兵士のうち、黒人兵だけが最前線に送り出された。これは松本清張の『黒地の絵』に描かれているが、このときの黒人兵は、ほとんど戻ってきていない。

 

<永世中立国だからこそ強い軍隊を>

・現在、スイスが輸出しているのは、ハイテク武器だけでなく、軍事ノウハウも含まれる。軍隊の規模は人口の2%近く、男女平等を期するため、女子にも徴兵制を作るべきではないかという議論さえあるという。

 成人男子には、最初の兵役が終わったあとも予備役があるということはすでに書いたが、興味深いのは、そのため各自が銃を自宅に保管できることだ。2011年、これを見直すべきかどうかという国民投票が行われたが、反対多数で否決された。

 つまりスイスでは、兵役を終えた男性のいる家庭には、その男性が予備役に行く年齢(20歳から34歳)であるあいだ、ずっと銃がある。現在は、銃弾は有事のときにのみ支給されることになったが、少し前までは、銃弾も各自が保管していた。

 

・いずれにしても、スイス人の国防意識は高い。永世中立国であるから、集団的自衛権は持たず、NATOにも加わらず(平和のためのパートナーシップのみ)、自分の国は自分で守るというスタンスを貫いている。

 彼らは、中立を宣言したからといって攻撃されない保証などないということを、ちゃんと知っている。自国の国土と国民を守るためには、強い軍隊を持たなくてはならず、その結果、ようやく得られるものが平和だと考える。

 

日本の核シェルター普及率の衝撃

・また、つい最近までは、スイスの家は必ず地下に核シェルターを備えなければならないという法律もあった。ドイツではどこの家にも地下室があるので、そのようなものを少し強化した防空壕かと思ったら、そうではなく、本当にコンクリートと金属でできた頑丈な核シェルターが各戸に設置されていた。

 しかも、非常食、衛生設備、酸素ボンベなどを完備し、2週間は暮らせるものでなくてはならないなどと決められている。自治体の担当の部署から、抜かりはないか見回りに来ることもある、という話だった。

 そこまで設置を徹底していた核シェルターだったが、2012年、ついに法律が改正され、自治体に1500スイスフランを払って最寄りの公共シェルターに家族分のスペースを確保すれば、自宅には設けなくても済むことになった。1960年より続いていきた国防対策の一つが、ようやく緩和されたのである。

 公共シェルターは、全国に5000基あまり。病院や学校といった公共の建物の地下にあるシェルターと合わせると、その数は30万基にも上るという。全人口の114%の収容が可能だ。

 ところで世界での核シェルターの普及率は、イスラエルが100%、ノルウェーが98%、アメリカが82%、ロシアが78%、イギリスが67%、シンガポールが54%、そして日本は0.02%だそうだ。

 もっとも、広島の原爆投下時の状況について様々な知識のある日本人にしてみれば、核シェルターと聞いても、あまりピンと来ない。いつ駆け込むのか、いつ出るのかなど、様々な疑問が湧いてくる。しかし、それはさておくとしても、やはりいちばん衝撃的なのは、日本人には危機感が完全に欠落しているという事実に気づかされることではないか。

 

<スイス人の危機感から学ぶ国是>

・いま大都市の地下道を核シェルターとして利用可能にするという話があるらしいが、考えてみれば、核攻撃にしろ、災害にしろ、スイスよりも格段に危ういのが日本だ。北朝鮮が飛ばしてくるミサイルは、現在、日本近海に落ちているが、手に入れた物は使ってみたくなるのが人情だ。近い将来「偉大なる指導者」が、そのミサイルに、ようやく完成した核を搭載しないとも限らない。また尖閣諸島周辺では、中国の公船や戦闘機が、自由に日本の領海や領空を侵犯し続けている。

 

・しかし、平和憲法を拝んで、私たちは戦争を放棄しましたと唱えても、戦争が私たちを放棄してくれたわけではない。しかも、いま私たちの置かれている状況においては、攻撃される可能性は間違いなく大きくなってきている。

 日本もスイスを見習って、各自が危険を察知するアンテナを、しっかりと立てたほうがよい。攻撃されないためには、抑止力としての武装が必要であるという事実も、そろそろ冷静に認めるべきではないか。

 武装は戦争を始めるためにするものだという考えは短絡的で、しかも間違っている。それはスイスを見れば、一目瞭然だ。

 

・スイス人の危機感と、現実的な視点を、日本人は真剣に学んだほうがよい。「備えあれば憂いなし」を国是とするべきだ。

 

1970年まで続いた奴隷市場

・2016年4月27日、スイスの下院は、かつて国家が強制労働させた子供たちに対して補償金を支払うことを決めた。

 この強制労働は、戦時下に外国人の子供をこき使ったという話ではない。被害者はれっきとしたスイス国民で、スイスは1800年から1970年ごろまで、なんと160年以上も、貧困家庭や離婚家庭の子供たちを教育という名目で強制的に「保護」し、孤児院に入れたり、「里子」として斡旋したりしていた。

 これはもっと侮蔑的な「Verdingkind=子供召し使い(?)」という言葉で呼ばれていたのだが、この差別的雰囲気をうまく日本語に訳せないので、ここでは「里子」としておく。「里子」の引き取り手は、主に安い労働力を欲していた農家などだったが、ときに炭鉱で働かされたり、薬物実験に回されたりする子供もいたという。

 いくつかの州においては、「里子」を取引する市場が定期的に開かれた。そこで子供たちは家畜のように吟味されたというから、まさに奴隷市場だった。

 ただし、本当の奴隷市場とは違い、引き取り手はお金を支払うのではなく、「里親」として国から養育費をもらった。競売とはちょうど反対で、養育費を少なく要求した人から順に、子供をもらえたのだという。そして子供の人権は一切剥奪され、実質的には、「里親」となった人間に生殺与奪の権利が与えられた。

 こうなると、子供たちの運命は「里親」によって決まる。多くの子供たちは4、5歳ぐいから、賃金も小遣いももらえないまま、ただ、働かされた。戦後は、最低限の義務教育は受けさせてもらったが、それより以前は学校などとは縁がなかった。

 虐待は日常茶飯事で、さらに運の悪い子供たちは、飢えや寒さや性的虐待にも見舞われた。妊娠すれば堕胎させられ、断種や強制避妊も行われた。しかし、虐待がわかっても、警察や行政はほとんど介入することはなかった。

 要するに、子供たちは社会のクズのような扱いを受け、お金がないのでいつまでたっても自立できず、農奴の状態を抜け出せないまま一生を終えることも稀ではなかった。

 1910年には、スイス全土で14歳未満の子供たちの4%もが、「里子」に堕されていた。歴史家マルコ・ロイエンベルガーによれば、児童労働は国家の政策として、組織的に行われていたという。

 

<子供の強制収容が中止された年は>

・驚くべきことに、この「里親」制度が正式に中止されたのは1981年である。この年、ようやくスイスは、これまで行ってきた子供の強制的な収容や「里親」への引き渡し、避妊手術や堕胎、強制的な養子縁組などを停止した。

 そのあと2005年には、法務省の指示で過去の「里親」制度にメスが入れられ、下院が法改正を提案したが、いつの間にかうやむやになり、6年後には立ち消えになってしまった。

 

<スイスで根絶されるべき人種とは>

・スイスのやり方は、ロマに対しても徹底的に過酷だった。ロマとはいわゆるジプシー(差別語)で、東欧やバルカン半島に多く住んでいる。それらの国では、ロマはいまでも激しい差別を受けているが、その対応の仕方は、基本的に「無視」である。早い話、ロマはいないものとして社会が構成されている。

 社会が受け入れないから、ロマたちはもちろん、ちゃんとした職にも就けない。多くの町のあちこちで物乞いをしたり、ゴミを漁ったりしているが、普通の人の目には、その姿さえ見ないも同然なのだ。

 アルバニアでもブルガリアでも、現地でそれを如実に感じた。「ロマがいるから、ハンドバッグに気をつけて」と注意してくれる人の目には、ロマは煩わしい害虫と変わりがなかった。なるべく遠くの集落に住み、なるべく社会に害を与えずにいてくれればそれでよいのだ。ロマの人権はもとより、状況の改善などを本気で考える人は、政治家にもほとんどいないというのが、私の印象だった。

 

・ところがスイスは違った。ロマは根絶されるべき人種だというのがこの国のエリートの考えであったようだ。それゆえ、無視はせず、赤ん坊が誘拐のように連れ去られ、施設に閉じ込められたり、「里子」に出されて強制労働に従事させられたりした。収容施設では寒くて薄暗い独房に閉じ込められ、親に会わせてもらうことも一切なし……そんなロマの子供たちがたくさんいたという。

 また子供だけでなく、大人も多くが強制的に施設に収容され、断種が積極的に行われた。スイスのロマは、生まれてから死ぬまで犯罪者のように扱われたのだ。

 ロマの子供の「保護」は、1912年に設立された「青少年のために」という公共団体の主導のもとに行なわれ、とくに1926年からは浮浪児援助の部局が設けられ、ロマ対策に当たり、スイス政府も1930年ごろから積極的に協力し始めたという。

 

<EU農家の収入の半分は補助金?>

・EUはECの時代より、常に農業部門に、最大の補助金を注ぎ込んできた。戦後、食料の供給が最重要事項の一つであった時代の名残だが、いまでは食料は、どちらかというと余っている。それでも、一度奮発した補助金を縮小することは難しいらしく、現在、EUの農家が受け取っている補助金の額は、ケースバイケースだが、その収入の4分の1から半分を占めているという。

 ただ、多くの補助金を注ぎ込んでいるわりには、EUの農業政策には無駄が多い。目的とは違うところで補助金が消えてしまっている例が、跡を絶たない。牛乳の値段を安定させるためだった生産量の割り当て制度も、極端なミルクの池やバターの山を減らすことには役立ったが、牛乳の値段はそれほど安定することはなかった。

 

 

 

『スイス人が教えてくれた「がらくた」ではなく「ヴィンテージ」になれる生き方』

多根幹雄   主婦の友社 2016/5/25

 

 

 

スイスのパンがまずいワケ

・最近でこそ、だいぶ改善されましたが、スイスのパンのまずさはヨーロッパでも評判でした。パンを焼く技術が低いせいではないのです。安全保障のために1年間、備蓄をしておいた小麦を使うからおいしくない。日本流でいえば、わざわざ古米を食べるわけです。

 

・また自宅にも、いざ戦争が起こったときの備えを欠かさないのがスイス流です。

 マンションでも一戸建てでも、地下には核シェルターが備えられています。厚さ50センチを超えるドアがついていて、いざ有事になったら、この中に入って外部から遮断できるようになっているのです。

 私が購入したマンションにも共同で使うシェルターがあり、各部屋ごとに簡単な間仕切りもありました。

 

・またジュネーブの街には公共の駐車場が地下に造られていて、いざというときは、そこも核シェルターとして使えるように設計されているそうです。地域の人たちが逃げ込んでも大丈夫なように、3日分の非常用食品や水の備蓄があり、さらには病院としても使えるように医療用器具、ベッドがあり、万が一、放射性物質にさらされてしまったら、それらを除染できるような施設もあるとのこと。私の事務所の近所にもそういった場所があり、日本にある地下駐車場などより、ずっと地下深くまで駐車場が造られていたのを覚えています。

 

<自分たちの力で国を守る国民皆兵制>

・スイスには徴兵制度があります。

永世中立国スイスでも徴兵制を導入しているので、日本も導入しているので、日本も導入すべきだという評論家もいるようですが、スイス人と国との関係を無視した不用意な意見だと思います。スイス人にとって徴兵制は、国の強制というのとはちょっと違います。「自分たちのコミュニティを自分たちで守るのが当然」という考えの延長線上で、「自分たちの国を守る」という意識が強く、主体性を持った参加をしているようです。

 

・スイスの家庭には、政府が発行している『民間防衛』というマニュアル本が置かれています。日本でも訳本が出ていて、内容を見ることができますが、国土の防衛について驚くほどこと細かく解説されています。

 食糧や燃料の備蓄のこと、避難所に必要な装備、安全な場所への非難の仕方、原子力爆弾についての解説、生物兵器・化学兵器への対応方法、被災者への支援、救護班と応急手当、さらにはレジスタンス(抵抗活動)の仕方まで記述されているので、日本人にとっては驚くべき内容かもしれません。

 

<自由と独立を守るのは、自分たち自身の力なのだという決意>

・「国土の防衛は、わがスイスに昔から伝わっている伝統であり、わが連邦の存在そのものにかかわるものです。……武器をとり得るすべての国民によって組織され、近代戦用に装備された強力な軍のみが、侵略者の意図をくじき……われわれにとって最も大きな財産である自由と独立が保障されるのです」

 

・スイスは国民皆兵制なので、一般的に男性は20歳になると、15週間の兵役訓練があります。そして42歳になるまで、2年ごとに20日間の訓練を合計10回行います。合計すると200日の訓練義務があるというわけです。この間、軍と企業が負担して給料を支払います。

 軍事訓練ですから、銃の扱い方も学びますし、体力的にも厳しい内容です。ただ最近では民間病院での奉仕活動などの選択肢もあるようです。また訓練期間中、土日には必ず家に帰れるというのも、どこかスイス的ですね。

 さらに43歳から52歳までの男性には、民間防衛と災害援助のボランティア義務があります。

 災害には①一般災害、②水害、③放射能という3つの種類があります。ある時期まで原子爆弾の脅威があったので「放射能」に対する備えもしているのでしょう。それぞれサイレンの音が異なり、それを聞くことで識別できるように訓練を行うそうです。

 

<自分たちの命は、まず自分たちで守る>

・また日本では考えられないことですが、兵役訓練を受けた男性は自宅に武器をワンセット置いておき、いざというときに備えています。機関銃、缶に入った銃弾は年に一度の点検が義務づけられていて、時折、軍から呼び出しがあって射撃訓練を受けます。そこで成績が悪いと、また別途、特別訓練を受けなければいけないというので、なかなか大変です。自宅に銃があっても、きちんと使えなければ意味がないので、そこは徹底して教育しているのです。

 この他、自宅には軍服、コート、軍靴、リュックサック、ヘルメット。飯ごう、コップ、スプーン、アーミーナイフ、水筒、ガスマスク、薬セット、銃の手入れセットなども常備して、コミュニティを守るべく、準備しています。「ヴィンテージ」を目指すためには、実用的な準備が必要なのですね。

 

<「自由」と「自立」を守るには覚悟が必要>

・永世中立国を維持する」とはどういう意味なのか。それが、どれだけ大変なことなのか。スイス人の「防衛」に対する決意を見るとよくわかりますし、私たち日本人の中にある感覚とはまったく異なることに気づかされます。

 日本人は「平和賛成!」と言うけれども、では「どうすれば、それを実現できるのか」についての議論がないのです。スイス人は「1年前の古い小麦で作ったパンを食べる」というつらいことも引き受け、また国民皆兵という厳しい義務をまっとうしながら「自由」と「独立」を守っています。その覚悟を、私たちも学び、理解しなければならない時代になっているのかもしれません。

 

 

 

『脱・限界集落はスイスに学べ』

住民生活を支えるインフラと自治

川村匡由    農村漁村文化協会     2016/11/29

 

 

  

<スイスの山村が過疎化せず、元気を保っている最新事情>

・そこで、とくにこの10年はベルナー・オーバーラント(ベルン州の高地)地方のU字谷の谷底と断崖の中腹や上に点在する6つの山村を継続して訪問し、現地の住民や議員、役所や施設の職員などに聞き取り調査を重ねた。これらの村はアルプスのお膝元、標高1500~2000メートルのU字谷にありながら、登山電車や路線バス、ケーブルカー、ロープウェイなどが連絡しているため、難なく訪ねることができる。女性議員をはじめ、知り合いも徐々にできた。そこには、現地の人と国際結婚した日本人の移住者も含まれる。

 

<徹底した国防と備え>

<永世中立国だからこそ国防の義務が>

・永世中立国であるスイスは、一方で国防の備えを万全に整えた国である。1647年に早くも国境警備隊を創設し、第1次世界大戦には、国境のある山脈や幹線道路の岩山、渓谷の橋のたもとに兵舎や弾薬庫を建設した。また、主要な道路には敵国の戦車の侵入を阻止するため、さまざまな障害物やトーチカ(防御陣地)を設置している。先にも述べたように、公共交通機関がくまなく整備されたのは実はこれらの国防の備えを建設する際、必要に迫られたからでもある。

 

・国民もまた、有事に備える義務を課せられている。一戸建て住宅を所有したり、50人以上のアパートなどの集合住宅を建てたりする場合、2006年までは厚さ約20センチの鉄製の扉でできた核シェルターの設置が義務づけられ、連邦政府がその資金の75%を補助した。50人未満のデパートの入居住民は、公共施設の核シェルターを無料で避難所として使用できる(民間施設の核シェルターは有料)。

 ただし、1990年の東西ドイツの統一と東西冷戦の終結を機に、1日1000人以上の不特定多数の人が出入りする駅やレジャー施設、博物館、資料館、病院、ホテル、レストラン、スーパーマーケット、学校、福祉施設を除き、核シェルターの設置の義務づけはなくなった。もっとも、国民はその後も一戸建て住宅やアパートなどの集合住宅を新築する場合、自主的に核シェルターを設置しており、最低1ヵ月の食料の備蓄に努めている。この結果、2014年現在、スイス全土の核シェルターは650万ヵ所あり、普及率は95%である。

 

・また、上記の公共施設では1962年以降、その規模に応じ、利用者や周辺の住民など100~1000人以上を保護し、かつ1ヵ月以上避難生活ができるよう、小麦などの食料1年分の備蓄をはじめ、簡易ベッドやミニキッチン、簡易トイレ、兵服、銃器、軍用車、の常備が義務づけられている。有事の際はスイス国民だけでなく、外国人駐在員や旅行者も保護されることになっている。

 

・スイスは現在、約4000人の職業軍人と約21万人の予備役からなるスイス国軍を有し、原則として20~50歳の男子には18~21週間の兵役義務がある。女子は志願制である。そして、有事の際には、州政府と連邦政府の指揮のもと、1次派遣は職業軍人や予備役とともに消防、市民防衛隊が出動、2次派遣はこれに救急医療と地域住民および事務所の自警団、3次派遣はさらに各街区・地区ごとに医師や看護師が加わって組織された救急救助隊が援軍し、24時間以内に約24万人、48時間以内に約50万人が出動できる態勢を整えている。

 

・国民1人当たりの軍事費が世界トップクラスのスイスは、1996年、いつでも離脱できることを条件にNATO(北大西洋条約機構)に加わっているが、武器は絶対に使用せず、専守防衛と人道支援に徹する形で国連の平和維持活動(PKO)に参画するなど、中立政策を堅守している。また、2001年6月、外国における平和維持活動に際し、自衛のための武器を携行し、外国の軍隊との共同演習を増やすことが国民投票で可決され、翌2002年、国連に加盟した。

 

<官民が連携して災害に備える>

・次に災害対策についてみてみよう。スイスには活火山や活断層がないため、火山の噴火や地震のおそれはまずないが、国民の約1割がアルプスなどの山岳地帯で生活しているため、崖崩れや雪崩などの自然災害の危険にさらされている。ただ、その数は、近年では1999年、雪崩で17人、暴風雨で14人、2005年、洪水で6人が死亡しているだけである。

 

<社会保障を支えるしくみ>

<年金と医療保険>

・最後に社会保障だが、前述したように、年金は公的年金(基礎年金)、企業年金(職場年金)、個人年金(個人貯蓄)の3つからなっており、公的年金の老齢年金(老齢・遺族年金)の加入は18~65歳(女性は64歳)までとなっている。

 

・一方、医療保険は強制加入の基礎保険と任意加入の追加保険からなり、治療費の1割を自己負担することになっている。医療保険は、連邦政府承認の州営保険会社が運営する場合が大半であるところも日本と異なる。

 

<インフラ整備を中心に経済政策をみる>

<貧しい国からの脱出――時計と土木建設と観光と>

・今でこそ世界第1位の平均年間所得を誇るスイスだが、かつては北欧諸国とともにヨーロッパ各国のなかで最も貧しい国の一つだった。国土の約7割が山岳部のため、平坦な耕作地に恵まれず、アルプスの雪解け水以外、これといった資源に恵まれているわけではなかった。このため、16世紀半ばごろまでドイツやフランス、イタリア、スぺインなどへ農業や製造業の労働者として出稼ぎをし、生計を立てる人々が後を絶たず、チーズ職人などとしてアメリカやロシアに移住したスイス人も少なくなかった。なかでも有名なのはバチカン王国の傭兵としての派遣で、その血と犠牲の歴史はスイス・ルツェルンにある悲劇のライオン記念碑に表されている。

 そこで、政府はこうした国民の窮状を救うべく、まずは食料の確保のため、平原や山麓、草原などを開拓し、農地や牧草地に造成して農業の振興を図ったが、厳しい自然環境を相手にした過酷な労働のため、ただちに国民経済を潤すまでには至らなかった。

 

・このようななか、16世紀後半、ジュネーブに亡命したフランスのカルヴァン派の新教徒が小型の腕時計の製造のノウハウを国内にもち込んだ。その高度な技術はやがてスイス全土に広がり、ヨーロッパをはじめ、世界各国に輸出されるまでに発展し、スイスの時計産業は世界的なブランドを誇るようになった。

 

<財源の手立て>

・スイスは過去2回にわたる世界大戦を含め、この400年間の間に一度も戦火を交えなかったため、ヨーロッパの大半の国のように膨大な国費を戦費に費やすことなく、道路や鉄道の建設や公共交通機関の充実に投じ、産業を振興させることができた。

 

<日本とスイスを比べてみると>

・スイスの国土面積は日本の国土の約9分の1、人口は約16分の1である。九州ほどの面積に大阪府ほどの人口が住んでいる。国土の約7割が山岳部であることは共通する。

 

・一方、平均税率は日本が50%に対し、スイスは40%。消費税はともに8%だが、スイスには軽減税率がある。失業率は日本の3.16%に対し、スイスは1.7%とはるかに低い。ちなみに、国と地方の長期債務残高では2014年度末現在、日本が総額1162兆円と世界第1位の債務を抱えるのに対し、スイスは1兆6554億スイスフラン(約18兆2094億円、世界同71位)と財政面でも健全である。

 一方、高齢化率は2060年に39.9%とピークに達するとされる日本に対し、スイスは、2012年現在16.7%、2060年でも28.0%にとどまると予測されている。

 

<自治力による「元気農山村」>

<スイスの山村に学び、自立の道を歩む――群馬県上野村>

・「スイスの山村に学べ」と、ゲキを飛ばした故黒澤丈夫村長をはじめ、歴代村長の陣頭指揮のもと、村営事業の振興とともに行財政改革によって人件費を削減し、浮いた予算を観光や福祉政策に転用し、「限界集落」化を防ぐ地域再生に取り組んできたのが群馬県上野村である。

 

・現在の人口1303人(618世帯、2016年5月1日現在)は群馬県の自治体のなかで最少である。

 村の約95%が山間部という急峻な地形のため、耕作地はごく限られており、その多くは急傾斜地である。水田はなく、主要農産物はかつてのコンニャクや養蚕からシイタケ、イノブタ、養豚、キク、プラム、リンゴなどに転換した。農家戸数は、1995年の157戸から2000年には106戸に減少したが、2005年には、高崎や前橋市内の高校や大学を卒業した若者が役場や商工会、森林組合、国民宿舎の職員として就職し、所帯をもったり、東京在住の団塊世代の夫婦が定年退職し、田舎暮らしのために移住したりして152戸に回復した。うち、販売農家は28戸、自給的農家が124戸である。

 

・林業ではスギやトチ、シオジ、ブナなどの森林資源を活用し、昭和50年代前半から木工品製造業を手がかりに、茶盆や菓子器、茶托を中心とした食器や家具などを製造してきた。そして、Iターン者を含め、15人の木工職人が上野村木工家協会を設立し、林家の数も1990~2005年の15年間で12戸も増加し、計207戸となり、新たな地場産業に成長した。

 また、1994年に群馬県で初めて設定された「道の駅上野」には、農協が経営する農産物などの特産品の直売所やイノブタ料理のレストランなどがあり、やはり農協が経営する焼肉センターとともに軌道に乗ってきた。

 

・ただし、人口は昭和30年代をピークに年々減少し、同50年代前半、減少が鈍化したものの、その後、再び激減し始め、2009年10月には1391人と、ついに1400人を割った。高齢化率は同年現在、43.1%となっている。

 

・こうしたなか、村の自治力を引き出すことにより、今日に上野村の基礎を築いたのは、1965~2005年、12代村長を務めた故黒澤丈夫であった。

「役場の職員は全員、地元に住んで税金を落とし、住民の生活を日常的に知れ!」

 黒澤村長は元海軍少佐らしい厳しい姿勢で、しかし、地方自治に賭ける熱意は人一倍あふれていた。「平成の大合併」では自立の道を選び、村をあげて地域再生に取り組んだ。

 黒澤村長は緊縮財政を敷く一方、医療・福祉の充実に力を注いだ。1985年までに成人病教育やへき地歯科診療所、広域消防出張所、高齢者生産活動センター、保健センター、給食センターの建設や、田舎のしんせき村事業などに着手し、その取組みに対し、厚生労働省から老人保健事業優良町村および過疎対策優良町村として大臣表彰を受けた。その後、1987年のふるさと休暇センターの建設を皮切りに、2014年までに保健福祉課や社会福祉協議会、高齢者集合住宅、村営住宅、へき地診療所、デイサービスセンターなどを合築した総合福祉医療センター「いきいきセンター」を整備した。

 

・また、産業・観光振興では特産のシイタケを栽培、加工品を製造・販売する「きのこセンター」や交流促進センター「ヴィラせせらぎ」、ふるさと交流センター「福寿庵」などを設置する一方、村営乗り合いタクシーを運行した。2004年には村民念願の湯の沢トンネル開通、下仁田町・高崎方面とのアクセスが飛躍的に改善した。この結果、生徒は下宿することなく、乗り合いタクシーで富岡市や下仁田町の高校などに通学することができるようになった。

 

・こうした施策を合併せずに進めるためには、村の自主財源が欠かせなかった。その要となったのは、最大出力282万キロワットの東京電力神流川揚水発電所の誘致だった。

 

・その中心は、豊富な森林資源を活用した再生可能エネルギーの開発と雇用創出である。村では2012年にペレット工場を建設し、ペレットストーブの振興を図ってきたが、2015年には村内の間伐材や未利用材を燃料とするバイオマス発電所を建設し、きのこセンターなどの村内の施設の電力を賄っている。

 

・村では生活補給金制度や住宅資金借入補給制度など独自の助成金、子どもの養育手当、村営住宅を用意し、Iターンを促進している。その結果、Iターン者は村の人口の約2割を占めるまでになった。

 このため、近年、上野村にはこのような「森とともに生きる村」の先端的な施策の見学者も少なくなく、視察ツアーのコースも設けられている。

 

共同店の伝統を生かす集落の自治――沖縄県大宜味村

・一方、住民の高い自治意識による協同組合的な運動を通じ、地産地消の高齢者の見守り、安否確認に取り組んでいるのは沖縄県大宜味村である。

 大宜味村は沖縄本島の北部、国頭半島の西部に位置し、世界最長寿国である日本のなかでも「日本一長寿宣言の村」として知られている。

 

・村の主な産業は農業を中心とした第一次産業で、山間部を中心にシークヮーサーやマンゴー、シイタケの栽培が行われている。

 

・人口は2012年現在、3145人で、1970年当時の4535人よりも約30%も減少している。高齢化率も30.8%と高いが、17ある集落のいずれも50%には達していない。

「日本一長寿宣言の村」の大宜味村は“生涯現役”で農業や水産業などに従事する高齢者の多い村でもある。90歳以上の者は80人もいる。同村では「長寿の秘訣」として、山原の木々の深い緑、サンサンと降り注ぐ南国の太陽、澄んだ空気と清らかな水、手つかずの大らかな自然に恵まれており、かつ気負わず、あせらず、ゆったりと暮らす住民の気質、さらに、緑黄色野菜や豆腐に代表される豆類の摂取が多い一方、食塩の摂取が少ない食生活、高齢になっても高い社会活動性などをあげている。

 

・ところで、大宜味村は、過疎化のため、自治体の財政力の強弱である財政力指数が2012年現在、0.12で全国第1070位、また、その変動を示す財政力指数変動率も2007年度以降、2013年までにマイナス20.00%と下落し、厳しい行財政運営を強いられている。このため、村は2005年から2009年まで職員を10人削減し、平均給与も引き下げるとともに、村長や副村長、教育長、議員も低額の報酬(歳費)とし、一般会計予算の歳入・歳出総額を約40億円(2014年実績)に抑えている。

 

・それと同時に、1972年の本土復帰以来、2015年度までに第1次~第4次にわたって総合計画を策定し、国道58号線と村道をつなぐ、「島の上農道」の開通や地元の中小企業を支援する賃貸工場の整備などを通じ、産業の振興や生活の利便性を確保するとともに、企業誘致を図ってきた。また、道の駅「おおぎみ」も設置し、地産地消と地域振興を図ってきた。

 

・その一方で、行政に頼らず、住民自治によって集落の住環境を維持する取組みとして注目されるのは共同店である。これは住民が行政から1銭の補助を受けず、それぞれの集落で1世帯当たり年間2000~5万円程度の運営資金を出資し、設けた店舗である。これらの店では、自分たちの田畑や漁区で収穫した農・水産物や日用雑貨、農業用資材などの販売や仕入れのほか、電話の取次ぎや金銭の貸付け、農作業の受託(集落営農)まで行っている。

 

<落ち着く先はスイス>

・筆者が社会保障の研究にとりかかってから今年で約30年。この間、北欧など世界各地を調査したが、落ち着く先はスイスだった。日本と同様、国土の約7割は山岳部だが、言語や文化が異なるものの、国民の強い自治意識のもと、農業や自然景観の保護、インフラの整備、エネルギー政策、災害、国防などについて国民投票で決めるなど、分権国家を推進しているからである。

 

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(6)

2021-08-28 17:19:58 | 森羅万象

 

 

『未来を透視する』(ジョー・マクモニーグル) FBI超能力捜査官

(ソフトバンク・クリエイティブ)2006/12/21

 

 

 

<気象変動>

・来るべき気象変動により、2008年からこの台風の発生回数は増えていくと私は、予想している。とくに2011年は過去に例を見ない台風ラッシュとなり、大規模な暴風雨が吹き荒れる深刻な年になるとの透視結果が出ている。この台風ラッシュは、2012年にずれこむかもしれないが、可能性は低い。嵐の増加を促す地球の温暖化は、現在も急速に進行中だからである。

 

2010年から2014年にかけて、また、2026年から2035年にかけて、平均降雨量は年々560~710ミリメートルずつ増加する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけては、380~530ミリメートルずつ減少する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけて、平均降雪量は300~550ミリメートルずつ増加する。

 

日本の自然災害

2010年、長野で大きな地震が起きる

透視結果を見てもうろたえず、注意程度にとらえてほしい。ただし、最悪の事態に備えておいて、何も起こらないことを願おう。こと天災に関しては、透視は間違っているほうがありがたい。

 

今後、日本で発生する大地震

 

2007年  高槻市  震度6弱

2008年  伊勢崎市 震度6弱

2010年  長野市  震度7

 2012年  伊丹市  震度6弱

2018年  東京都  震度6弱

2020年  市川市  震度6弱

2037年  鈴鹿市  震度7

 

・噴火や地震にともなって海底では地盤の隆起や沈降が起きる。そして、膨大な量の海水が突然動きだし、衝撃波となって陸地の海外線へと進行する。

 

遠洋ではあまり目立つ動きではないが、浅瀬に入ると、衝撃波は巨大な津波となって陸地を襲い、都市部などを徹底的に破壊してしまう(波の高さはときには30メートル以上になることもある)。

 

内陸へと押し寄せる力がピークに達すると、今度は海に戻り始め、残された街の残骸を一切合財引きずりこんでいく。警告もなしに、突然襲ってくれば被害はとりわけ甚大となる。

 

幸い日本には、優良な早期警戒システムがあるのだが、海底地震が発生して警報が発令されてから、津波が押し寄せる時間は、残念ながらどんどん短くなっている。

 

<日本を襲う津波>

2008年夏   11メートル

2010年晩夏  13メートル

2018年秋   11メートル

2025年夏   17メートル

2038年初夏  15メートル

2067年夏   21メートル

 

日本は津波による大きな被害を受けるだろう(なお、波の高さが10メートル以上に及ぶものだけに限定している)。北海道の北部沿岸の都市部は特に津波に弱い。徳島市、和歌山市、浜松市、鈴鹿市、新潟市、石巻市も同様である。このほかにも津波に無防備な小都市は数多くある。 

 

<土地>

・気象変動とともに、日本の土地問題は悪化しはじめる。沿岸部での海面上昇と、暴風雨の際に発生する大波によって、低地の村落と小都市の生活が脅かされるようになる。堤防や防壁といった手段は効力を発揮しないため、2012年から2015年のあたりまでに多くの人が転居を余儀なくされるだろう。

 

 

<●●インターネット情報から●●>

「人文研究見聞録」から引用

五重塔の塑像の謎

法隆寺の五重塔には、仏教における説話をテーマにした塑像が安置されています。

 

その中の「釈迦入滅のシーン」があります。これはガンダーラの釈迦涅槃図と比較しても大分異なる、日本独自のものとなっています。

そして、法隆寺の塑像群の中にいる「トカゲのような容姿をした人物」が混じっており、近年 ネット上で注目を浴びています。

 

 問題の像は、塑像の○の部分にいます(実物では見にくいので、法隆寺の塑像のポストカードで検証しました)。

 

これらの像は侍者像(じしゃぞう)と呼ばれ、それぞれ馬頭形(ばとうぎょう)、鳥頭形(ちょうとうぎょう)、鼠頭形(そとうぎょう)と名付けられています。しかし、どう見ても「トカゲ」ですよね?

 

なお、この像がネットで注目を浴びている理由は、イラクのウバイド遺跡から発見された「爬虫類人(レプティリアン)の像」と酷似しているためなのです。

「爬虫類人(レプティリアン)」とは、世界中の神話や伝承などに登場するヒト型の爬虫類のことであり、最近ではデイビット・アイク氏の著書を中心に、様々な陰謀論に登場する「人ならざる者」のことです。

 

もちろん「日本神話」の中にも それとなく登場しています(龍や蛇に変身する神や人物が数多く登場する)。

 

また、この像は、飛鳥の石造物の一つである「猿石(女)」や、同じ明日香村の飛鳥坐神社にある「塞の神」に形が酷似しています(トカゲに似た奇妙な像は奈良県に多いみたいです)。

 

また、この「トカゲ人間」以外にも、以下の通りの「人ならざる者」が含まれていることが挙げられます。

 

① は「多肢多面を持つ人物の像」です。これは、いわゆる「阿修羅」を彷彿とさせる像ですが、実は『日本書紀』に「両面宿儺(りょうめんすくな)」という名の「人ならざる者」が登場しています。『日本書紀』には挿絵はありませんが、この像は そこに記される特徴と著しく一致します。

両面宿儺(りょうめんすくな)

仁徳天皇65年、飛騨国にひとりの人がいた。宿儺(すくな)という。

 

 一つの胴体に二つの顔があり、それぞれ反対側を向いていた。頭頂は合してうなじがなく、胴体のそれぞれに手足があり、膝はあるが、ひかがみと踵(かかと)が無かった。

 

 力強く軽捷で、左右に剣を帯び、四つの手で二張りの弓矢を用いた。そこで皇命に従わず、人民から略奪することを楽しんでいた。それゆえ和珥臣の祖、難波根子武振熊を遣わしてこれを誅した。

 

②  尻尾が蛇となっている人物の像

②は「尻尾が蛇となっている人物の像」です。日本には尻尾が蛇となっている「鵺(ぬえ)」という妖怪が存在します。これは古くは『古事記』に登場しており、『平家物語』にて その特徴が詳しく描かれています。その鵺の特徴は、この像の人物と一致しています。

 

③  顔が龍となっている人物の像

④ は「顔が龍となっている人物の像」です。「日本神話」には「和爾(わに)」と呼ばれる人々が数多く登場し、かつ、海幸山幸に登場する山幸彦(ホオリ)に嫁いだトヨタマビメの正体も、実は「八尋和爾」もしくは「龍」だったとされています。また、仏教の経典である「法華経」の中にも「八大竜王」という龍族が登場しており、仏法の守護神とされています。③の仏像は、これらにちなむ人物なのでしょうか?

 

このように法隆寺の五重塔に安置される塑像には「人ならざる者」が複数含まれています。なお、これらは奈良時代のものとされているため、飛鳥時代に亡くなっている太子との関係は不明です。

 

また、オリジナルと思われるガンダーラの釈迦涅槃図とは著しく異なっており、どのような意図を以って上記の「人ならざる者」を追加したのかはわかりません。なぜ作者はこのような仏像を参列させたのでしょうか?

 

もしかすると、これらの像は釈迦入滅の際に人間に混じって「人ならざる者」も参列していた、つまり「人ならざる者は存在している」ということを示唆しているのかもしれません。信じるか信じないかはあなた次第です。

 

 

 

『防災福祉先進国・スイス』」

災害列島・日本の歩むべき道

川村匡由    旬報社   2020/6/29

 

 

 

首都直下地震や南海トラフ巨大地震

この狭い日本で1993年以降、地震や津波、火山噴火、さらには史上初めての原子力災害まで発生し、改めて世界にまれにみる災害大国であることを痛感させられたが、じつは、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などではこれら以上の大規模災害や「広域災害」の発生が懸念されている。それも今後、30年以内に70-80%の確率でマグニチュード(M)7-9クラス、震度6弱以上といわれているが、これに新型コロナウイルス・ショックが加われば日本の政治や経済、社会ともども危機的な状況となり、“日本崩壊”のおそれさえある。

 

・ところが、肝心の政府と国と地方の債務残高が2019年度末現在、約1120兆円にのぼり、世界最悪の借金大国となっているにもかかわらず、財政の再建による社会保障や災害対策の強化よりも日米軍事同盟の強化にともなう防衛費の増額や原発の再稼働、東京五輪の再度の開催、新幹線の延伸など土建型の公共事業を強行、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を三大原則とする日本国憲法に反した政権運営に邁進している。また、このような権力の横暴をチェックすべきメディアは政権の言論の自由への干渉に反発せず、むしろ忖度した報道に終始しており、国際社会から危ぶまれている有様である。

 

このようななか、防災福祉先進国として注目されているのがスイス連邦(スイス)である。なぜなら、外国軍の武力攻撃や大規模なテロリズム(テロ)などの有事や災害時に備え、官公庁や駅、空港、学校、病院、社会福祉施設などの公共施設はもとより、民家やホテル、劇場、商店街、スーパーマーケット(スーパー)などに核シェルターを整備したり、食料・飲料水などを長期に備蓄したりして防災および減災に努める一方、「永世中立国」として専守防衛と人道援助による平和外交、また、諸外国の被災地への共助に努めているからである。

 

そこで、このようなスイスにおける有事および災害時に備えた防災福祉の最新事情を紹介し、災害大国・日本における防災福祉コミュニティを形成すべく上梓したのが本書である。その意味で、本書がより多くの人たちに少しでも参考になり、日本がスイス並み、否、スイス以上の防災福祉コミュニティの形成、ひいては防災福祉国家を建設し、かつ国際貢献すべき方途となれば筆者としてこれにまさる喜びはない。

 なお、1スイスフランは110円で換算している。また、文中の写真は過去、約20年余りスイスや国内各地の被災地などで調査・研究した折、すべて筆者が撮影したものである。

 

「エネルギー戦略2050」

・そこで、連邦政府は2016年に決定した「エネルギー戦略2050」に従い、予定どおり、現在ある5基も段階的に廃炉するとともに、今後、原発の新設をいっさい認めず、再生可能エネルギーに転換することになった。

 具体的には、2050年に向け、アルプス山脈の豊富な水に恵まれている立地を生かし、ノルウェー、オーストリア、アイスランドに次いで盛んな水力をはじめ、風力や太陽光、グリーン・テクノロジーなどの再生可能エネルギーに転換し、環境の保全に取り組むことになった。このような官民一体となった取り組みは隣国・ドイツとともに国際社会から高く評価されている。

 

国民生活

税金などの負担

ところで、スイスの国民はどのような生活を送っているのだろうか。

 前述のように、スイスは分権国家で、かつ連邦政府や州政府、基礎自治体がそれぞれ独自の税制にもとづく税率を設定している。また、物価が世界一高いため、さぞ税金などの負担も高いだろうと思いきや、一時40%だった平均税率は2018年1月、追加徴税措置の終了にともない、付加価値税(消費税のような間接税)が2018年1月、8%から7.7%に引き下げられた結果、11.5-17.85%となり、アイルランドに次ぐ世界第2位の低さとなった

 

また、所得税や住民税、資産税、事業所得税などからなる総合税率も30.1%とルクセンブルク、アイスランドに次いで3番目に低い。近年、相続税と贈与税は課せられるようになったが、税率は州によって異なる。夫婦間の相続や贈与には課税されない。

 一方、国民の約3割はパートタイム労働者のため、共働き世帯が大半だが、国民所得に対する国民全体の税金と社会保障の負担の合計額である国民負担率は税金が10.7%、社会保険料が6.2%の計16.9%と低い。

 

もっとも、スイス人は持ち家にこだわらず、国民の約7割は賃貸住宅に住んでいるため、収入の4分の1から3分の1は家賃に消えている。

 いずれにしても、物価がスウェーデンやデンマーク、ノルウェーなどの北欧諸国、あるいはそれ以上のスイスとはいえ、世界一高い給与のほか、税率が意外と低く、かつ交通が至便で治安もよいとあって世界的な国際金融都市・チューリヒは世界の富裕層や資産家、医師、弁護士、研究者に交じり、最近、高額所得者の世界のトップ・アスリートの移住が急増している。

 

消費生活

スイスは物価が世界一高いため、ドイツやフランス、イタリアなどの国境近くに在住している住民はパスポートを持参、物価の安い国境にあるドイツやフランスなどのスーパーへ越境し、買い物に出かけているものの、2018年1月、消費税が8.0%から7.7%に引き下げられ、かつ書籍・食品代は2.5%の軽減税率、消費者物価の上昇率は0.2%にとどまっている。また、IMFの2017年調査によると、スイスの国民1人当たりの名目GDPは8万591ドル(約886万円)で、10万5803ドル(同1163万円)のルクセンブルクに次いで世界第2位にランキングしている。

 

・これに関連し、スイスは州政府、基礎自治体ごとに税率が設定できるため、最低賃金制が導入されていない。このため、貧困や少子化対策、社会保障の縮減の代替策として、成人に毎月2500スイスフラン(約30万円)、子どもに同625スイスフラン(同7万5000円)を連邦政府が無条件に支給するベーシックインカム(最低所得保障)の導入の是非をめぐる国民投票が2016年に行われた。

 結果は反対多数で否決されたが、ベーシックインカムが導入した暁には公的年金と失業保険(雇用保険)を撤廃する代替措置まで議論されたほどだった。ちなみに、チューリヒ近郊の基礎自治体、ライナウ(人口1300人)に至っては2019年1-12月、住民全員に毎月2500スイスフラン(約27万5000円)を支給する社会試験を行うことになったが、スイスの給与の高さはそれほど世界一というわけである。

 

・参考まで、OECD(経済協力開発機構)の「世界貧困率ランキングマップ調査:2020年」結果をみると、総人口に対する貧困層の割合を示す貧困率は9.10%と世界162ヵ国中31位で、世界平均の11.0%である。このため、消費生活は比較的安定しているといえる。失業率も2.60%とまずまずである。

 余談だが、スイスは「ノーチップの国」のため、外国人がスイスで買い物や食事をした際、チップを渡す必要はない。タクシーを利用したときに料金の10%を支払う程度である。もっとも、そのタクシーも交通インフラが充実しているため、よほど急いでいるときぐらいしか利用することもない。それだけ生活しやすく、かつ治安もよいというわけである。

 

ボランティア活動

・たとえば、中世以来、キリスト教徒は今なお毎月、地元の協会に教会税を納め、その宗教倫理である「隣人愛」にもとづく住民どうしの見守りや安否確認、日曜礼拝後の歓談を通じ、互いにコミュニケーションを図っている。また、国民の4人に1人がボランティア団体に属し、無報酬の各種地域活動に参加している。

 なお、上述したように、スイスではベーシックインカムの導入の是非が国をあげて議論されるほど、いずれの職業でも高収入が保障されているため、大学に進学する人は国民全体の2-3割にとどまり、残りの8-7割は中学や高校、職業学校などを卒業し、社会人となっている。それというのも、日本のように大学に進学しなくても努力次第でサラリーマンになることができるほか、農林や観光などの自営業であれば大学卒でなくても安定した生活が保障されているからである。

 

しかも、いずれも国立だけで公立や私立はなく、授業料は連邦政府が全額支給するため、無料である。このため、卒業後、政治家や官僚、一流企業の幹部になっても世話になった社会に還元しなければならないと考え、ボランティア活動に努める者がほとんどである。また、企業・事業所も社会貢献活動を社員に奨励している。まさにスイス古来の国民の自治と連帯による証左の一端がみてとれる。

 

スイスの社会保障と有事対策

年金

公的年金

・具体的には、年金は国民皆年金のもと、公的年金(基礎年金)、職場積立金(企業年金)、個人貯蓄(個人年金)の3階建てで、職業や居住地を問わず、すべての国民に適用される。

 

企業年金と個人年金

・これに対し、職場積立金(企業年金)は老齢・遺族基礎年金を上乗せし、定年退職後、これらの公的年金では足りない老後の生活費を補うもので、被用者は一定額を超える給与がある場合、その額に応じて掛金、企業・事務所はそれよりも少ない程度で資金を毎月、ともに企業基金に拠出する。

 

医療

医療保険

・スイスでも基本的に国民皆保険が導入されているため、すべての国民はもとより、スイスに在住する外国人も毎月、所定の医療保険の保険料を支払えば医療保険の対象になる。

 

保健医療と救急医療

・保健医療で受診する場合、まず州営保険会社が指定する地域の診療所のファミリードクター(主治医)に受診し、診察の結果、必要に応じて専門医が紹介される。

 

また、スイスでは自殺幇助が合法化されている。なぜなら、本人の意思とは別に延命治療が施され、医療費の増大によって医療保険財政が圧迫されることを避けるとともに、何よりも本人が自分の死を選ぶ権利を選択する自由は保障されるべきだと考えているからである。このため、本人や家族の希望であれば病院やフレーゲハイム(特別養護老人ホーム)、アルタースハイム(養護老人ホーム)、有料老人ホームで主治医がその対応に当たる。この場合、主治医は点滴を開始後、臨終に至るまでの模様をビデオで撮影し、検視に訪れた警察官に殺人でない旨を証拠として提示する安楽死とは別物と考える尊厳死を重視しているため、連邦政府は組織的な自殺幇助を法的に規制しようという意図を放棄し、現在に至っているのである。

 

一方、スイスは国民皆兵性を敷いており、兵営を終えたのち、有事の際、

民兵として出動を要請するため、連邦政府は希望者には兵役後、使用したライフル銃や自動小銃を自宅に保管することを認めている。このため、このライフル銃や自動小銃を使って自殺したり、一家無理心中をしたりする者が年間約400人の自殺者のうち、半数にのぼっているが、20年前に比べれば3分の1に減少、また、WHOの2019年調査によれば「世界の自殺率ランキングで第10位にとどまっている。アメリカのように一般の国民や観光客、旅行者に乱射するような事件も起きていない。ちなみに日本の自殺率は第7位である。

 なお、公衆衛生に関していえば、下水道の普及率は都市部はもとより、山岳部も100%完備している

 いずれにしても、スイスの医療保険は国民が州営保険会社と医療保険を自由に選べるが、近年、医療技術の高度化や国民の長寿化を受け、医療費はGDPの全体の1-2割近くを占め、ドイツやフランス並みに増えている。それでも、医療の技術や水準が世界トップクラスとあって国民の満足度は高い。

 

介護

施設介護

・高齢者や障害児者の介護は健康保険の介護給付として現物給付(介護給付)と現金給付(介護手当)に分かれており、介護施設には基礎自治体や地域の教会、NPOが運営する特別養護老人ホーム、養護老人ホームのほか、企業・事務所などが運営する有料老人ホームがある。

 

在宅介護

・在宅介護は訪問介護・看護事業所の訪問介護・看護、あるいは地域の特別養護老人ホーム、養護老人ホームへのデイサービス(通所介護)、あるいはショートステイ(短期入所生活療養・介護)である。

 

子育てなど

子育て

・子育ての施設は公営の幼稚園、または保育園が主だが、都市部、山間部を問わず、共働きの世帯が多い割にはいずれも不足しているため、十分整備されているとはいえない。また、前述したように、いまだに育児休業を保障する法律がないため、企業・事務所が1-2週間、給与を80%保証する独自の育児休業制度を導入して対応している。

 

地域福祉

・一方、スイス連邦統計局の2016年の「貧困の動学分析」によると、総人口の7.5%に当たる約61万5000人のうち、14万人は就業しているにもかかわらず、貧困である。その意味で、世界一高給与の国とはいえ、総人口の約1%は長期の貧困状態に陥っており、格差が広がりつつあることもたしかである。

 

有事対策

専守防衛と人道援助

・「蜂蜜は、いつも流れ出ているわけではない」――。スイスの有事での政策はズバリ、永世中立国としての専守防衛と人道援助による平和外交に徹している。

 

・具体的には、1914-1918年の第一次世界大戦までに、ドイツやイタリア、オーストリアとの国境や谷、断崖、峠などの山岳部に農家の作業小屋や穀物倉庫などに見立てたコンクリート製の要塞やトーチカ、兵舎、弾薬庫を建設、弾薬や爆撃個、兵器を格納、国境警備隊、さらに国際河川のライン川や湖に船舶部隊を常駐、警備に当たっている。

 

その後、1962年、侵略者に対しては官民をあげ、焦土も辞さない覚悟で臨む「民間防衛」を連邦法で定め、有事に備えることにした。また、翌1963年、民間防衛関係法の一つとして避難所建設法を制定、官公庁や学校、駅、博物館など1000人以上の不特定者が自由に出入りする公共施設やホテル、レストラン、レジャー施設、さらに50人以上が入居可能なアパートやマンションなどの集合住宅、および民家の全世帯に鉄筋コンクリートの核シェルターを地下に整備することを義務づけた。

 

核シェルターは厚さ20-30センチで、かつ避難ハッチ(非常脱出口)付きという堅牢なもので、全費用の75%を連邦政府が補助する。そして、官公庁や学校、駅、博物館などの公共施設やホテル、レストラン、レジャー施設は1年、アパートや全世帯は6ヶ月、スーパーは1年以上、小麦のほか、国民食のレシュティ(ロスティ)やチーズ、ソーセジ、パンなどの食料や飲料水は原則として2ヶ月以上、食器や調理器具、ガスコンロ、冷蔵庫とともに備蓄するほか、簡易シャワー・トイレやベッド、空気清浄器、自家発電機、卓球場、ジム、軍服、軍事車両も保管し、少なくとも半年間、避難生活を送ることができるように指示している

 

・また、国民1人当たりの軍事費は世界159か国中、65位と少ない割には、その実力はかつてオーストリアのハプスブルグ軍と交戦して「スイス軍の不敗」を証明したほか、第ニ次世界大戦、ユダヤ人難民の受け入れを拒否し、ヒトラーにスイスへの侵攻を断念させたことからもわかるように、スイスの核シェルターの堅牢さ、およびスイス人の自治と連帯にもとづく結束はそれほど強いのである。

 

<民間防衛>

・一方、連邦政府国民保護庁は1962年に定めた「民間防衛」の具体化のため、1969年、『民間防衛』を260万部発行、全世帯に無償で配布し、基礎自治体の各教区、または地区ごとに攻撃、消防、救護、搬送、焼き出し、連絡、広報、道路の復旧、社会秩序の維持などの任務を平常時から国民が分担し、訓練を重ねておくように指示した。

 

・具体的には、固定式サイレンは4200ヶ所、移動式サイレンは3000台整備するなど世界一の普及率を誇っている。

 

・さらに、東西冷戦が終わった1989年以後、平和外交の一環として各地の扮装の仲裁役を買って出る半面、自国が有事の際、6時間以内に約4000人の連邦軍のほか、21万人の予備役、民兵も含め、計約50万人が武装、自宅に所持するライフル銃や自動小銃を持って出動し、敵国軍の侵略に反撃する体制を敷いている。

 これらの人材の確保のため、2003年まで20-52歳の男子は兵役に就くとともに、健康や身体的な理由なので兵役に就けない者、および早期除隊者が「民間防衛」に従事し、州政府指揮下の消防団は軍、または「民間防衛」に付加的に就業、以後、各自の自由意思で参集することを課したが、翌2004年以降、兵役は30歳まで、保護支援ユニットは40歳までに短縮した。その後、20-32未満の男子に最低1年の兵役および有事に備えることを義務づけ、現在に至っている。

 

・しかし、スイスは、第一次世界大戦はもとより、第ニ次世界大戦後、今日まで連邦軍や予備役、民兵などが外国の軍隊の戦火を交えることはなかった。また、1996年に北大西洋条約機構(NATO)に参加したものの、核兵器は持たず、先制攻撃のための武器は絶対に使用しないことを国是としていることは今も変わりはない。

 それだけではない。日本が1945年8月、第ニ次世界大戦での敗戦を認め、連合国軍に「ポツダム宣言」を受託する際、その仲介をしたのはじつはスイスだった。

 

災害対策との連携

なお、1955年、従来の国民に対する「民間防衛」の義務に新たに防災のための目的を加え、翌1956年以降、兵役の代わりに防災訓練への参加を選択できる代替制度を発足した。そして、2004年、各州政府の指揮における消防、警察、医療、電気・ガス・水道などのテクニカル(ライフライン)、連邦政府の指揮における保護支援の5つのサービスに組織を再編、連邦政府と各州政府の指揮・命令系統を連携した「市民保護」とした。

 

・一方、多くの国民は2006年以降、自宅に限り任意とされた核シェルターをその後も自費で自宅の地下に設け、食料や飲料水、調理器具、空気清浄機などとともに兵役時代に使用したライフル銃や自動小銃を保管、有事に備えており、その普及率は約650万の全世帯に及ぶ。また、全国の病院などにも計約10万ベッド分がある。これらの建設基準はアメリカが広島、長崎両市に投下した原子爆弾クラスが平均約660m以内で投下されても爆死はもとより、重傷も負わない堅牢さとされ、1基当たり23万スイスフラン(2530万円)前後の代物で、東日本大震災および東京電力福島第一原発事故以来、日本の住宅機器メーカーが開発、販売している50万-840万円ほどの家庭用核シェルターとはその設計や設備、規模、強度などの点で雲泥の差がある。

 

ちなみに、日本における普及率は政府の補助も認識もないとあって、2018年現在、わずか0.02%にすぎず、かつ内部の備蓄用品や機器、さらには地域における災害、また、有事への取り組みも行政や消防署、警察署、消防団、自衛隊、それに町内会や自治会、集合住宅の団地自治会や管理組合など一部の住民有志による組織で、かつセオリー的な防災訓練などの取り組みにとどまっていることを考えれば家庭用核シェルターがあるに越したことはないが、気休めにすぎないおそれもある。

  

・このため、国際社会では「将来、万一、核戦争になっても生き残ることができるのはアメリカ人とスイス人だけ」といわれている。だが、有事でも災害時でも自国の国土が維持され、市民保護さえ果たせられればよいと考えているわけではない。

 

災害の危険度

自然災害

実際、過去約700年間、地震らしい地震が発生したのはフランスとの国境にあるバーゼルだけで、1356年、M6.5を記録、中世の古城や教会、塔などが倒壊した程度である。そのせいか、住宅などの建築の耐震基準が定められているのは全26の州のうち、このバーゼルとローヌ川沿いのワインの山地、ヴァレーの2州だけである。

 

スイスと日本

スイスはドイツやフランス、イタリア、オーストリアの列強に接する小国でありながら、多言語・多文化共生の国である。また、ゲルマン民族を中心に湖畔や断崖、渓谷、丘陵地、高原、平原・平地に集落を形成、キリスト教の宗教倫理である「隣人愛」、「コープ・スイス」・「ミグロ生協」の二大生協および国民の「REGA(航空救助隊)」などへの加入にみられるように国民の自立と連帯が強い。

 

防災福祉コミュニティの形成

災害保障の概念化

・スイスに学び、日本における防災福祉コミュニティを形成するために必要なことの第1は、災害保障を新たに概念化することである。

 

・しかし、2065年の本格的な少子高齢社会および人口減少のピークを前に、2018年、「全世代型社会保障」と銘打ち、年金や医療、介護、子育てを拡充すべきとしながらも消費税収入のほとんどは2019年度末現在、総額約1120兆円と膨れ上がっている長期債務残高の補填に大半を充てている。また、毎年、自民党へ多額の政治献金をしている日本医師会や製薬会社などに関わる医療へのメスは棚上げしたまま社会保障給付費を抑制する傍ら、防衛費や宇宙開発費の増強や東京五輪、新幹線、高速道路の延伸など土建型公共事業を推進しており、「1億総活躍社会」や「全世代型社会保障」、「働き方改革」、「地域共生社会の実現」などいずれもかけ声だけでその検証はされず、かつ災害対策は二の次、三の次である。

 

公助・自助・互助・共助のベストミックス

第2は、公助・自助・互助・共助をベストミックスとすることである。

 具体的には、政府はここ数年、介護保険における地域包括ケアシステムの推進にあたり、本来、政府や自治体による公的責任としての公助であるべき介護保険など、社会保険は国民が消費税など税金や社会保険料、利用料を負担する共助であることを強調している。

 

有事と災害対策の再編

・第3は、有事と災害対策を再編することである。

 

・一方、自治体、とりわけ、市町村は政府の主導のもと、過去の災害の有無や地形などの検証をふまえ、地域防災計画や地区防災計画、ハザードマップ、国民保護計画の改定はもとより、おにぎり、パン、各種レトルト食品、缶詰などの食料や飲料水の備蓄、避難経路、避難場所、一時避難所、福祉避難所、医療救護所、避難協力ビル、自主防災組織や消防団の拡充、防災教育の徹底、避難訓練の参加への広報、災害ボランティアの普及啓発に努める。

 

地域防災・地域福祉と国民保護の融合

第4は、地域防災および地域福祉と国民保護を融合することである。

 具体的には、まず地域防災と地域福祉を連携すべく市町村の地域福祉計画および地域防災計画と市町村社協の地域福祉活動計画を連携、または一体化して防災福祉計画とする。

 

防災福祉文化の醸成

そして、第5は、防災福祉文化を醸成することである。

 具体的には、政府や自治体はもとより、企業・事務所、国民も自宅や学校、職場など周辺の地形や立地、地盤、建物の耐震状況、通勤・通学・通院・通所などの避難経路、商店街や老朽化したオフィスビル、タワーマンションおよびその周辺の危険個所、さらには郷土史やウェブサイト、防災アプリで過去の災害の有無をチェックすべきである。

 

防災福祉国家・防災福祉世界への地平

防災福祉教育の推進

・最後に、この国の防災福祉国家への地平を拓くため、政府や自治体、企業・事務所、国民はどのような取り組みが必要か、提起して結びとしたい。

 第1は、関係者が一丸となって防災福祉教育を推進すべきである。なぜなら、いくら政府や自治体がその気になっても、国民が各家庭や学校、地域、企業・事務所において防災教育を学び、防災福祉文化を醸成して防災・減殺に努めなければ「絵にかいた餅」に終わってしまうからである。

 

防災福祉コミュニティの広域化

第2は、防災福祉コミュニティの広域化を図ることである。なぜなら、大規模で広域な災害が発生した場合、避難所が満員となって収容できなくなるからである。

 

防災福祉先進国との共生

第3は、防災福祉先進国との共生を推進することである。なぜなら、スイスは有事を想定した総合安全保障、あるいは「民間防衛」にもとづき「永世中立国」として専守防衛と人道援助による平和外交をベースに災害対策を連邦政府の主導および官民一体で取り組んでおり、参考にすべき点が山ほどあるからである。

 

防災福祉国家の建設

第4は、防災福祉国家を樹立することである。なぜなら、当該地域における防災福祉コミュニティの広域化にとどまるのであれば、国家としての有事、災害時における国土の維持や防衛、減災に拡充されないからである。

 

防災福祉世界への貢献

そして、最後に第5は、防災福祉世界に貢献することである。なぜなら、スイスに倣い、日本も有事、災害時における防災福祉コミュニティの形成、ひいては防災福祉国家の建設に努め、かつ防災福祉世界へと普遍化しなければ有事および複数の国や地域に及ぶ大規模災害に対応できず、災害危険度の高い国や地域は旧態依然として有事、災害時における国土の維持や防衛、防災・減災とはならないからである。

 

日本人が移住したい国

・世界の関係機関の様々な調査によると、日本人が移住したい国としてスイスは必ずといっていいほどベスト10に入る。その理由として治安がよく、景観がすばらしいことが挙げられている。

 しかし、スイスは北欧諸国並みに物価が高く、ゲルマン民族の血を引くだけに、大和民族などを主とする日本人が単にアルプス山脈や中世の家並みなどの景観へのあこがれなどだけでスイスへ移住することは困難である。この20年以上にわたる現地の調査を機に知り合ったスイス人と国際結婚した日本人女性のほとんどは、夫を見送ったあと日本に帰国して老後を過ごしたいと異口同音に話している

 

・この点、日本は第ニ次世界大戦後、約75年にわたり一貫して対米従属および大地主と大企業の利益誘導の政治・経済体制のもと、有史以来、各地で頻繁に繰り返される自然災害に対し、旧態依然とした対処療法であるばかりか、東京電力福島第一原発事故後、9年経ったにもかかわらず、被災者の賠償や補償、汚染物質の処分も責任者の追及もされないままである。

 

・日本にとって、政府の主導および自治体も含めた公的責任としての公助をベースに、国民の自助と公助、さらには被災地以外の災害ボランティアや企業・事業所の共助のベストミックスによる防災福祉コミュニティの形成および広域化、さらには防災福祉国家を建設する意味で、単にスイスのプラス面にだけ注目するのではなく、このようなマイナス面も学び、窮極的には有事および災害対策はスイス、社会保障・社会福祉は北欧諸国、また、国際社会における立場は非武装中立のオーストリアに学ぶことが最善である。

 

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(5)

2021-08-28 17:19:17 | 森羅万象

 

 

『自衛隊秘密諜報機関』   青桐(あおぎり)の戦士と呼ばれて

阿尾博政  講談社    2009/6/5

 

 

 

胸に刻まれた諜報任務の重み

・数週間の教育が終わり、やがて、私が兄貴と呼ぶことになる内島洋班長のもとで仕事をすることになった。内島班は、内島班長、班員の根本、伊藤の3名で構成されていて、当時は、新宿区大久保の住宅地にあった2Kのアパートの一室を事務所としていた。

 こうした諜報の拠点は、存在を隠すために、約2、3年ごとに転出をくり返すのだが、ここに私が新米諜報員として加わったのだ。

 最初の担当地域は極東ロシアであった。このため、ロシア語を勉強しなければならず、夜間は御茶ノ水にあったニコライ学院に通った。

 また、調査の縄張りに新宿区が入っていたことから、暇を見つけては、当時、四谷にあった伊藤忠の子会社であるロシア貿易専門商社「進展貿易」にもよく通ったものだった。

 

・伊藤忠は、元関東軍参謀の瀬島隆三が戦後に勤務した会社で、この瀬島とソ連(現・ロシア)との関係に疑問符がつけられていたことから、私も内偵をしたことがあるのだが、結局、これといった確証は得られなかった。

 

秘密諜報員という任務の厳しさを思い知らされたのも、この時期である。

 極東ロシアの軍事拠点であるナホトカとハバロフスクの白地図を、詳細な地図に作り直す仕事を私が担当することになった。今ならスパイ衛星などのハイテク機器を使うのだろうが、そんな代物などなかった時代だ。地道に見たこと、聞いたことを地図に書き込み、国防に役立てるしかなかったのだ。

 

・私は、まずナホトカの地図作りから取り掛かった。ナホトカと日本を行き来する木材積み取り船があったので、私は搭乗していた通訳を買収した。そして、通訳が現地へ行こうとするたびにカネを渡し、知りたい情報を仕入れてきてもらった。こうしてナホトカの地図は、ほぼ完璧に仕上がった。

 

秘密諜報機関の誕生

・諜報活動はいわば放任主義で、工作資金についても自由裁量でいくらでも使うことができた。私も湯水のごとく工作資金を使ったが、班長も先輩たちも一言の文句もいわなければ、何の注文をつけずに、ただ部下の行動を静かに見守るといった態度だった。

 そこで昔のコネを思い出して、経団連副会長だった植村甲午郎の実弟である植村泰二が所長をつとめる「植村経済研究所」の人間として活動を開始した。だが、諜報員として成果を挙げて、先輩に負けてなるものかと努力すればするほど、ある疑問が心のなかで大きく育っていった。それはムサシ機関が得た成果を、米国側がすぐに知るという点だった。

 

怪傑ハリマオのモデルと藤原岩市

この藤原岩市と山本舜勝は、ともに戦前の陸軍中野学校で教官をつとめ、藤原のほうは太平洋戦争の初期にF機関の機関長として、マレー半島で大活躍をした。戦後、テレビで大人気だった『怪傑ハリマオ』のモデルであり、マレーの虎「ハリマオ」と呼ばれた谷豊を諜報員として育成したのが、この藤原岩市である。

 

・また、後に調査学校の副校長に就任する山本舜勝のほうだが、彼は私の調査学校時代の教官で、青桐会の先輩と後輩として、友情は長く続い

た。山本は藤原とは対照的な、行動派だった。三島由紀夫と山本舜勝とのことは、『自衛隊「影の部隊」三島由紀夫を殺した真実の告白』(山本舜勝著 講談社)に詳しいので、興味のある方は一読してみるといいだろう。

 藤原と山本は、私にとって人生の恩師といえる存在だった。

 

秘密諜報員の日常

・諜報は国防や国益に関わる重要な仕事だが、その内容は案外地味なものだ。上層部から「これをやれ」と命じられたら、「分かりました」と返事をし、任務遂行のため黙々と課題をクリアしていくだけである。ときには命に関わる危険な仕事もあるが、「007」のジェームズ・ボンドのように、さっと銃を抜いて敵を撃ち、危機を脱するようなことなどないのだ。

 そして任務が完了したら、せっせと報告書を仕上げ、上司に提出する。ときには、部下数名と徹夜で報告書を書き上げたこともある。基本は、普通のサラリーマンと何ら変わらないのだ。

 

国家の秘密は書にあり

何もジョームズ・ボンドの真似をしなくても、その国の正規の出版物をよく整理し、比較研究すれば、国の動きは読み取れるのだ。

 とくに軍の機関紙である『解放軍報』には、表面的には隠していても、やはり書き手も軍の人間だから、軍人としてのプライドや思いといったものが滲み出た表現の文章がある。その裏を読んでいけば、かなり正確な情報がつかめるものなのだ。

 

 

 

『日米秘密情報機関』

「影の軍隊」ムサシ機関長の告白

平城弘通   講談社   2010/9/17

 

 

 

日米秘密情報機関は生きている

「ムサシ機関」とは、陸幕第二部別班、通称「別班」のことを指す。昭和47~48年ごろ、共産党の機関紙「赤旗」によって、秘密謀略組織「影の軍隊」であると大きく宣伝をされ、国会でも追及を受けた組織だ。昭和48年(1973年)に金大中拉致事件が起きたときには、これも「別班」の仕事ではないかということで、また騒がれた。

 

・私は陸軍士官学校出身の職業軍人として中国大陸で転戦し、昭和26年(1951年)、警察予備隊(自衛隊の前身)に入隊した。22年間の自衛官生活のうち、中隊長(第8連隊第3大隊の第12中隊長)、大隊長(第7師団第7戦車大隊長)、連隊長(第7師団第23普通科連隊長)を務めた一時期以外は、大部分を情報将校として仕事にあたってきた。

 

そのころは、米ソ冷戦時代で、両陣営の衝突は日本国内に甚大な影響をもたらすことは火を見るより明らかだった。自衛隊で早くからソ連情報を担当した私は、共産主義とは何か、その歴史的事実等に興味を持ち、研究を進めるうち、その非人道的な残酷な史実を突きつけられ、反共の思想を持つに至った。

 

・今日、非常の事態、たとえば大規模・同時多発テロ、北朝鮮の核攻撃、中国軍の南西諸島侵略など、現実の脅威に備えるため、政治家や国民が真剣に考えているのかどうか、誠に心許ない。しかし、情報機関は存在そのものが「秘」であり、いわんや活動の実態については極秘でなければならぬと信じている。

 

・さらに、三島由紀夫に影響を与えたとされている山本舜勝元陸将補(元自衛隊調査学校副校長)は、平成13年に出版した『自衛隊「影の部隊」 三島由紀夫を殺した真実の告白』で、自衛隊の諜報活動の存在を明らかにしている。

 加えて近年、「自衛隊 影の部隊」に関する本が、塚本勝一元陸幕ニ部長(『自衛隊の情報戦陸幕第二部長の回想』)や松本重夫調査隊第一科長(『自衛隊「影の部隊」情報戦 秘録』)らによって相次いで出版され、さらに先述の阿尾が『自衛隊秘密諜報機関』を出して、そのなかで本人が別班に所属していたことを公表した。そして、「ムサシ機関」という秘密機関は実在し、機関長は平城一佐だったと暴露してしまったのだ…………。そのため私は、多くのマスコミから電話や手紙による取材攻勢を受け、その対応に苦慮した。

 

・とくに、その是非は別として、現在は専守防衛を国是とする日本では、情報こそが国家の浮沈を握る。その中心部分を担う「日米秘密情報機関」、いってみれば「自衛隊最強の部隊」が、その後、消滅したとは思えない。私は、現在でも、この「影の軍隊」が日本のどこかに存在し、日々、情報の収集に当たっていると確信している。

 

明石元二郎大佐は日露戦争全般を通して、ロシア国内の政情不安を画策、日本の勝利に貢献した。そのため、彼の働きを見たドイツ皇帝ヴィルヘルム二世は、「明石元二郎一人で、満州の日本軍20万人に匹敵する戦果をあげた」と賞讃した。また、陸軍参謀本部参謀次長の長岡外史は、「明石の活躍は陸軍10個師団にも相当する」と評している。

 明石のDNAを、自衛隊は、いや日本人は受け継いでいるのだ—―。

 

東方二部特別調査班の活躍

・私が力を入れた東方二部特別調査班(調査隊所属)は、昭和44年3月、編制を完了し、大阪釜ヶ崎を経て山谷に入り訓練を重ね、同年6月から本格的行動に移った。一部を横浜方面に派遣し、主力は山谷を拠点として、さまざまな集会、とくに過激派の集会には必ず潜入させ、各種の貴重な情報を入手させた。ただ、攪乱工作をやるような力はなく、もっぱら情報収集を秘密裡に行う活動だった。

 私は武装闘争をいちばん警戒していたから、武器を持っているか、どのくらいの勢力か、リーダーは何をいっているのか、そのようなところに重点を置いて情報を収集した。

 

三島由紀夫との出会い

三島事件は、自衛隊史上、最大の汚辱事件

・私の二部長時代には、文壇では既にノーベル文学賞作家に擬せられる大家であったが、文人としては珍しく防衛に関心のある人物として、三島に好意を持っていた。

 

・その後、事件の詳細を知るにつけ、私が痛感したことがある。それは、三島の憂国の至情はわかるとしても、あのような内外情勢、とくに警察力で完全に左翼過激勢力を制圧している状況下で、自衛隊が治安出動する大義がない、ということだ。それを、事もあろうに、いままで恩義を受けた自衛隊のなかで総監を監禁し、隊員にクーデターを煽動するとは……。

 

二将軍は果たして裏切ったのか

・だが私は、三島がそれにあきたらず、自ら立案したクーデター計画の実行にのめり込んでいく様子に気づいていた。(中略)武士道、自己犠牲、潔い死という、彼の美学に結びついた理念、概念に正面切って立ち向かうことが私にはできなかった。(中略)

 三島のクーデター計画が結局闇に葬られることになったのは、初夏に入ったころだった。私はその経緯を詳しくは知らない。(中略)

 いずれにせよ二人のジェネラルは、自らの立場を危うくされることを恐れ、一度は認めた構想を握りつぶしてしまったのであろう。(『自衛隊「影の部隊」三島由紀夫を殺した真実の告白』山本舜勝、講談社)

 

三島には大局観を教えなかったがために

・以上のような山本舜勝氏の回想記を読んだ私の所感は次のようなものだった。

 まず、山本一佐の教育は兵隊ごっこといわれても文句のいえないもの。情報活動の実務、技術は教えているが、情勢判断、大局観を教えていない。とくに、三島の檄文を除いて、この著書のどこにも警察力のことが書かれていない。三島のクーデター計画でも、警察力には触れず、いきなり自衛隊の治安出動を考えているが、自衛隊の出動事態に対する

研究がまったく不足している。

 

 

 

『自衛隊「影の部隊」情報戦 秘録』

松本重夫  アスペクト     2008/11

 

 

 

<影の部隊>

・かつてマスコミや革新政党から「影の部隊」あるいは「影の軍隊」と呼ばれ、警戒された組織があった。自衛隊にあって情報収集と分析を専門に行う「調査隊」だ。私は調査隊の編成からかかわった、生みの親の一人である。

 

・私は陸軍の兵団参謀の一人として、終戦を迎えた。戦後たまたま米国陸軍情報部(CIC)と接点を持ったことから、彼らの「情報理論」の一端に触れることになった。

 

 それはかつて陸軍士官学校の教育にも存在していなかった、優れて緻密な理論体系だった。それを研究すればするほど、私は日本の敗戦の理由の1つは、陸軍のみならず日本の国家すべてが「情報理論」の重要さを軽視したことにあると確信した。残念ながら戦後半世紀以上たった現在も、その状況は変わっていない。

 

「葉隠」の真意

・1945(昭和20)年8月5日、私は宮中に参内して天皇陛下に拝謁を賜り、茶菓と煙草を戴いて、翌6日、陸軍大学の卒業式を迎えた。卒業式終了後、記念写真を撮り昼食の会食となる。そのころに、学生の仲間内で広島に大型爆弾の投下があったという噂を聞いた。その大きさは6トンまたは10トン爆弾かというような情報が流れ、「原爆」という表現は伝わらなかったが、しばらくして、「原子爆弾」という情報が不確定的ながら耳に入り、大変なものが投下されたなと思いつつも、各自、それぞれの任地に向かった。

 

三島由紀夫事件の隠れた責任者

・1970(昭和45)年11月25日、作家の三島由紀夫が「盾の会」会員とともに市ヶ谷自衛隊駐屯地、東部方面総監室に立てこもり、割腹自殺を遂げた。私は当時、既に自衛隊を退職し、情報理論と独自の情報人脈を駆使して、民間人の立場で「影の戦争」を闘っていた。

 

・三島事件の陰には調査隊および調査学校関係者がかかわっていたことは、山本舜勝元陸将補が『自衛隊「影の部隊」・三島由紀夫を殺した真実の告白』(講談社刊)という著書で明らかにしている。

  私は、山本氏が三島由紀夫を訓練しているということは、それとなく聞いていた。

そのとき私は、「ビール瓶を切るのに、ダイヤの指輪を使うようなことはやめた方がいい」と話した覚えがある。私は、山本氏らの動きは、三島のような芸術家に対してその使いどころを間違えていると思っていた。

 

・山本氏は、私が幹部学校の研究員(国土戦・戦略情報研究主任)だったときに、調査学校長だった藤原岩市に呼ばれて、調査学校に研究部員として着任してきた。研究テーマは私と同じ、専守防衛を前提としての国土戦つまり遊撃戦(ゲリラ戦)であった。私はその当時、韓国の予備役軍人や一般国民で組織される「郷土予備軍設置法」なども参考にしながら「国土戦論」を練り上げていた。

 

・山本氏らが調査学校の教官となり、「対心理過程」などの特殊部隊の養成を担当することになった。それが前述したように当初の私の構想とは異なった方向に進んでいたことは気づいていた。結局そのズレが「青桐事件」となり、三島由紀夫に「スパイごっこ」をさせてしまうような事態を招いてしまうことになったのだといわざるを得ない。

 

・山本氏に三島を紹介したのは藤原岩市である。山本氏によって通常では一般人が触れることのできない「情報部隊の教育」を受けさせ、三島の意識を高揚させることに成功するが、三島がコントロールできなくなると、藤原らは一斉に手を引き、山本氏と三島を孤立させていく。そのあたりの経緯を山本氏の著書から引用してみよう。

 

 文学界の頂点に立つ人気作家三島由紀夫の存在は、自衛隊にとって願ってもない知的な広告塔であり、利用価値は十分あった

《しかし三島は、彼らの言いなりになる手駒ではなかった。藤原らジュネラルたちは、『三島が自衛隊の地位を引き上げるために、何も言わずにおとなしく死んでくれる』というだけではすまなくなりそうだということに気づき始めた》

 

藤原は三島の構想に耳を傾けながら、参議院選挙立候補の準備を進めていた。今にして考えてみれば、参議院議員をめざすということは、部隊を動かす立場を自ら外れることになる。仮にクーデター計画が実行されたとしても、その責を免れる立場に逃げ込んだとも言えるのではないか》

  この山本氏の遺作は、三島由紀夫の死に対して自らのかかわりと責任の所在を明らかにすると同時に、三島を利用しようとした藤原岩市らかつての上官たちの責任を示し、歴史に記録しておきたいという意志が感じられる。

 

田中軍団の情報員

・かつてマスコミが竹下派七奉行として、金丸信元副総理を中心に自民党内で権勢を振るった人物を挙げていた。梶山静六、小渕恵三、橋本龍太郎、羽田孜、渡部恒三、小沢一郎、奥田敬和。この格付けには異論がある。

 

・この「七奉行」の表現から抜けていて、忘れられている人物に亀岡高夫がいる。彼は金丸のように目立って権力を行使しなかったが、「創政会…経世会」の設立時に、田中角栄の密命を受けて竹下を総裁・総理にする工作を、築地の料亭「桂」において計画推進した主導者の一人である。

 

この亀岡高夫と私が陸士53期の同期生でしかも「寝台戦友」であることは既に述べた。しかもGHQ・CICと協力して活動した「山賊会」のメンバーであり、自衛隊時代そして除隊してから、彼が昭和天皇の葬儀のときに倒れて亡くなるまで、私の戦後の「情報活動」は亀岡とともにあった。

 

・私は亀岡と顔を見合わせた。「福田は来ていないな……」

 福田は都議までしか挨拶に行っていない。下を固めろ。本部に戻ってその情報をもとに、方針を決めた。

 区議会議員と村長、市町村、これを全部やれ。県議は相手にするな

 電話で全国の田中軍団に指令を出した。県議も区議、村長も同じ1票。福田派は県議のところに行って、その下の国民に一番密着している人のところに行っていなかった。県議に行けば下は押さえることができるという、古い考え方だった。それを田中軍団が、ごっそりとさらっていった。

  そのように密かに票固めを行っている最中に、福田の方から、国会での本選挙はやめようという申し出があった。田中は「しめた!」とばかりにその申し出を受け、劇的な勝利につながっていった。

  この総裁選がいわゆる「田中軍団」のローラー型選挙の嚆矢といわれている。そのきっかけは私と亀岡の地道な調査活動にあったことはあまり知られていない。

 

中国情報部の対日情報活動

・やや古いが、その当時私が入手していた、中国の情報機関に関する情報をもとにこの問題を整理すると、次のような背景がわかった。

 1974年当時、中国では国家安全省は誕生してなく、北京市公安局が国内外の情報を収集する機関としては中国最大の組織であり、約1万人ほどいたといわれる。当時の北京市公安局は13の部門に分かれていた。

 

・それぞれの科の中には、さらに最高レベルの秘密扱いにされていた外国大使館担当班が存在していた。第3処 尾行・視察調査 第4処 海外から送られてくる手紙などの開封作業を担当 (略) 第7処 不穏分子や海外からのスパイ容疑者の尋問  

こうした北京市・公安局の活動に対して、日本大使館の防諜意識は信じがたいほど低かったとの情報もある

 29名いたとされる日本大使館に対する盗聴チームのもとには、常に新鮮なデータが集まっていたという(例:ある大使館幹部と、大使館員の妻とのダブル不倫関係まで把握していたほどであるという)。

 

O-157、サリン事件の背景で

・「対情報」の研究というのは今風にいえば対テロリズムの研究もそこに含まれる。そこではかつての大戦中の各国が行った生物・化学兵器の使用データの分析も行っている。

 

・資料が特ダネ式に入手されたとすれば、警視庁内の秘密保全のルーズさを示す“恥”となろう。しかし、これはどちらかといえば公安関係者からの意図的なリークに等しい。公安委員長(国務大臣)の責任・罷免に発展してもおかしくないのだが、ほとんどの国民は、この問題に関心を示すことはなかった。現実にはこの国では、こうした問題は機密漏洩対策の向上に役立てられることもなく、いわば政争の道具に利用されただけだ。「スパイ天国日本」という世界の防諜関係者からの汚名の返上は当分できそうにないようだ。

 

 <●●インターネット情報から●●>

(CNN)( 2014/10/16)米紙ニューヨーク・タイムズは16日までに、イラクに駐留している米軍が化学兵器を発見し、一部の米兵がそれにより負傷していたにもかかわらず、米政府が情報を隠ぺいしていたと報じた。

 

記事によれば2003年以降、マスタードガスや神経ガスとの接触により、米兵17人とイラク人警官7人が負傷。彼らは適切な治療を受けられなかったばかりか、化学兵器で負傷したことを口外しないよう命じられたという。

 

「2004~11年に、米軍や米軍による訓練を受けたイラク軍部隊は、フセイン政権時代から残る化学兵器に何度も遭遇し、少なくとも6回、負傷者が出た」と同紙は伝えている。

 

同紙によれば、米軍が発見した化学兵器の数は合わせて5000個ほどに上るという。

 

「米国は、イラクには大量破壊兵器計画があるに違いないとして戦争を始めた。だが米軍が徐々に見つけ、最終的に被害を受けたものは、欧米との緊密な協力によって築き上げられ、ずっと昔に放棄された大量破壊兵器計画の遺物だった」と同紙は伝えている。

 

国防総省のカービー報道官は、この報道に関連し、詳細は把握していないと述べる一方で、2000年代半ばから10年もしくは11年までの間に、化学兵器を浴びた米兵は約20人に上ることを認めた。

 

ニューヨーク・タイムズは政府が情報を隠ぺいしようとした理由について、事故を起こした化学兵器の設計・製造に欧米企業が関与している可能性があったことや、製造時期が1991年以前と古く、フセイン政権末期に大量破壊兵器計画があったとする米政府の説を裏付けるものではなかったからではないかとみている。

 

 

<●●インターネット情報から●●>

イラクに化学兵器あった~NYタイムズ紙

 

< 2014年10月16日 6:48 >

 15日付のアメリカ・ニューヨークタイムズ紙は、イラクでフセイン政権時代の化学兵器が見つかっていたと報じた。

 それによると、イラク戦争後の2004年から11年にかけて、首都・バグダッド周辺でフセイン政権時代のマスタードガスやサリンなど化学兵器の弾頭5000発以上が見つかったという。弾頭は腐食していたものの、有毒ガスにさらされたアメリカ兵などがケガをしたとしている。アメリカ政府はこれまで、イラク戦争開戦の根拠とした化学兵器を含む大量破壊兵器は見つからなかったとしている。発見を公表しなかった理由について、ニューヨークタイムズは、化学兵器が欧米製だとみられたことなどを挙げている。

 これについて国防総省は15日、イラクで化学兵器が発見されアメリカ兵約20人が有毒ガスにさらされたことは認めたが、公表しなかった理由については明らかにしなかった。

 

 

 

『メディアと知識人』  清水幾太郎の覇権と忘却

竹内洋  中央公論新社  2012/7/9

 

 

 

東京が滅茶苦茶になる

・そのような状況のなか、1970(昭和45)年を迎えることになった。清水は、満を持し、狙いをすましたように「見落とされた変数―1970年代について」を『中央公論』(1970年3月号)に発表する。

 

・世は未来学が流行っていたが、未来論はインダストリアリズムの反復と延長で、芸がなさすぎる。明るい未来学の潮流に反する問題提起こそ警世の言論となる。未来論に反する問題提起といえば、公害も社会問題となっていたが、これは猫も杓子もいっている。60年安保を闘った者がいまや公害問題に乗り換えている。目新しさはないし、そんな仲間と同じ船にまた乗っても仕方がない。そこで飛びついたのが地震である。アラーミスト(騒々しく警鐘を乱打する人)としての清水がはじまった。意地悪くいってしまえば、そういう見方もできるかもしれない。

 

 ・地震こそ清水の十八番である。清水は、16歳のとき関東大震災(1923年9月1日)で被災する。死者・行方不明者10万人余。2学期の始業式を終えて、自宅で昼食をとっているときである。激しい振動で二階がつぶれた。落ちた天井を夢中で壊して這いあがった。

 

・技術革新や経済成長によって自然の馴致がすすんだが、他方で自然の反逆がはじまったことを公害と地震を題材に論じている。清水は「私たち日本人は、遠い昔から今日までー恐らく、遠い未来に至るまでー大地震によって脅かされる民族なのであります」とし、論文の最後に、私たちにできることをつぎのように言っている。

 

それは、東京を中心とする関東地方において、道路、河川、工場、交通、住宅、と諸方面に及ぶ公害の除去および防止に必要な根本的諸政策を即時徹底的に実施するということです。(中略)それは、或る意味において一つの革命であります。この革命が達成されなければ、1970年代に、東京は何も彼も滅茶苦茶になり、元も子も失ってしまうでしょう。

 

「文春に書くわけがないだろうが!」

「見落とされた変数」は、来るべき大地震という警世論の頭出しだったが、翌年、『諸君!』1971(昭和46)年1月号には、「関東大震災がやってくる」というそのものずばりの題名の文章を書く。

 

<「関東大震災がやってくる」>

清水は、地震学者河角広(元東大地震研究所長)の関東南部大地震の69年周期説――69±13年――をもとにこういう関東大震災から69年は1991年である。13年の幅を考えると、1978(昭和53)年もその範囲内ということになる。とすれば、1970年代は関東大震災並の大地震が東京に起こりうるということになる。たしかに、東京都はいろいろな対策を考えているようだが、構想の段階で手をつけていない。そんなことで間に合うか、というものである。しかし、この論文には何の反響もなかった。「関東大震災がやってくる」を書いて2年8ヶ月のちの新しい論文では、これまで地震の危険を指摘した論文を書いたが、反響がなかったことを問題にし、こういう。

 

 ・・・私は、右肩上がりでの文章(「関東大震災がやってくる」論文――引用者)のゼロックス・コピーを作り、多くの国会議員に読んで貰おうとしました。けれども、私が会った国会議員たちの態度は、多くの編集者の態度より、もっと冷たいものでした。「地震は票になりませんよ。」

 

・1975(昭和50)年には、関東大震災の被災者の手記を集めた『手記 関東大震災』(新評論)の監修もおこなっている。清水の東京大震災の予言ははずれたが、「関東大震災がやってくる」から24年後、阪神淡路大震災が起きる。さらにその16年後の東日本大震災。清水は、地震は「遠い昔から今日まで――恐らく、遠い未来に至るまで」の日本の運命と言い添えていた。日本のような豊かな国が大地震のための「革命的」方策をとらないで大地震の到来を黙って待っているのか、といまから40年も前に警鐘を鳴らしていたのだ。

 

 論壇への愛想づかしと「核の選択」

・「核の選択――日本よ 国家たれ」の内容はつぎのようなものである。第一部「日本よ 国家たれ」では、こういう。日本国憲法第九条で軍隊を放棄したことは日本が国家でないことを宣言したに等しい。しかし、国際社会は法律や道徳がない状態で、軍事力がなければ立ちゆかない。共産主義イデオロギーを掲げ、核兵器によって脅威をあたえるソ連の膨張主義がいちじるしくなった反面、アメリカの軍事力が相対的に低下している。したがって、いまこそ日本が軍事力によって海上輸送路の安全をはからなければ、日本の存続は危うくなる。最初の被爆国日本こそ「真先に核兵器を製造し所有する特権を有している」と主張し、核兵器の保有を日本の経済力にみあう軍事力として採用することが強調されている。

 

・第二部「日本が持つべき防衛力」は、軍事科学研究会の名で、日本は独自に核戦略を立てるべきだとして、日本が攻撃される場合のいくつかのシナリオが提起され、空母部隊の新設など具体的な提言がなされている。最後に国防費をGNP(国民総生産)の0.9%(1980年)から3%にする(世界各国の平均は6%)ことなどが提言されている。この論文は、主題と副題を入れ替え、1980年9月に『日本よ国家たれ――核の選択』(文藝春秋)として出版される。

 

 論文が掲載されると、『諸君!』編集部に寄せ有られて賛否両論の投書数は記録破りになり、翌月号に投書特集が組まれるほどだった。

 

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(4)

2021-08-28 17:18:16 | 森羅万象

 

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より引用

 

「W54(核弾頭)」

W54は、アメリカ合衆国が開発した核弾頭。超小型の核弾頭であり、重量は50ポンド(約23kg)ほどである。開発はロスアラモス国立研究所で行われ、1961年-1962年にかけて400発が生産された。1971年頃まで部隊配備されていた。

 

概要

これは、戦術目的で用いる核兵器であり、小型で可搬性が高く、発射部隊や味方を爆発被害に巻き込まないように、爆発威力を低く抑えることを目的として開発された。1957年頃から低核出力の核実験が繰り返されたが、威力が100ktオーダーになるなど、低く抑えることは難しかった。実験を繰り返し1961年までには核爆発を低威力に抑えることに成功した。W54自身は1962年に2回の核実験が行われ、22tと18tの核出力を記録している。

 

W54は、プルトニウムを用いたインプロージョン方式の核分裂弾頭であり、サイズは直径27cm、長さ40cm。核出力は10-250t。後のW72核弾頭は、W54を再使用・再設計したものである

 

バリエーション

Mk.54デイビー・クロケット用。歩兵が運用する無反動砲砲弾であり、アメリカ陸軍で運用された。核出力10tまたは20t、時限信管。

Mk.54特殊核爆破資材(SADM)用。アメリカ海軍およびアメリカ海兵隊の特殊部隊向けの装備であり、人力で運搬可能で、爆破地点に設置する資材である。核出力10t-1kt、時限信管。

W54 AIM-26A ファルコン核空対空ミサイル用。核出力250t、触発および近接信管。アメリカ空軍で運用。

 

 

 

『逆説の軍事論』   平和を支える論理

元陸上幕僚長  冨澤暉   バジリコ  2015/6/19

    

 

 

<敵地攻撃の難しさ>

敵地を攻撃するといっても、軍事的な観点から考えると、これは至難の業です。アメリカですら、目標情報が掴めないと嘆いている現状で、日本がどのように独自に目標情報を得るのか。北朝鮮を24時間監視するためには、どれだけの偵察衛星が必要なのか。

 

さらに攻撃兵器の問題もあります。日本が核兵器を保有していれば、敵ミサイル陣地にでも、あるいは平壌のような都市でも効果的な攻撃ができるでしょうが、核はないのだから、攻撃のためには空爆であろうとトマホークのような巡航ミサイルであろうと天文学的な弾量を整備する必要があります。そのための予算をどこまで投入するのでしょうか。しかも、その効果は未知数です。

 

・ここで、従来型の「個別的安全保障」ではなく、「集団(的)安全保障」の枠組みの中で対応を考えることが重要になってくるのです。複雑な民族感情を越えて協力していくためにも、国連軍または多国籍軍という枠組みを活用することが重要になるわけです。

 

<日本の核武装>

政治家の中には、北朝鮮の核実験に対抗して、日本も核武装の議論をすべきだという人がいます。

 

・重要なのは、ただ核兵器の議論をすることではなく、関連するすべての政治・軍事問題を広く、かつ、もれなく検討し、核を持った場合、あるいは持たない場合の外交の在り方や在来兵器による防衛力整備の在り方を議論することなのです。

 

政治的にいえば、核武装論の裏側には、「中国の軍備増強への対応」や「アメリカに対する日本の自主性確立」という問題が潜んでいます。

 

・一連のシナリオを想定し、それぞれについてシュミュレーションし、備えておく必要があります。

 

<戦車の再評価>

・日本でも、このテロ・ゲリラ対策のため歩兵を増やす必要があるのですが、人件費が高く隊員募集に苦しむ陸上自衛隊の兵員数を増やすことは困難だといわれています。だとすれば、各地方に防災・消防を兼ね情報・警備を担当するかつての「消防団」のような「郷土防衛隊」が必要となりますが、これを組織するのは防衛省自衛隊の仕事ではなく、総務省と各自治体の役割でしょう。

 ともあれ、防衛省自衛隊としては歩兵の戦いを少しでも効率的にするための砲兵・戦車の数を確保する必要があろうかと思われます。

 

・現在、日本へのテロ・ゲリラ攻撃はありません。しかし、仮に朝鮮半島で動乱が起きた場合、日本全国でテロ・ゲリラ攻撃が多発する恐れは十分に考えられます。

 

<その破壊が直接国民生活を脅かす無数の脆弱施設が全国に存在>

難民を担当するのは入国管理局でしょうが、何万、何十万になるかもしれない難民を日本はどう受け入れるつもりなのでしょうか。まさか、戦時の朝鮮半島に送り返すわけにはいかないでしょう。この人々への対応が悪ければ、混乱も起きるでしょう。収容施設、給食など生活環境の支援、さらには治安維持のために警察、自衛隊は何ができるのか。そうした有事への準備が既にできているとは寡聞にして聞きません。

 

・さらにいえば、こうした事態は全国で分散同時発生するので、とても現在の陸上自衛隊の歩兵では数が足りません。実は、そのわずかな歩兵を支援する兵器として戦車ほど有効な兵器はないのです。

 

軍事というパラドックス

・さて、軍事とは人間社会固有の概念です。したがって、軍事について考える際には、私たち人間の本質をまずは押さえておかなければなりません。すなわち、「闘争本能」と「闘争回避本能」という人間固有の矛盾した特性です。

 

一部の例外を除き、人は誰しも死にたくない、殺したくないと思っているはずです。にも関わらず、有史以来人間は日々、せっせと殺し合いをしてきたという現実があります。

 19世紀ロシアの文豪トルストイの代表作に『戦争と平和』という大長編小説がありますが、人類の歴史はまさしく戦争と平和の繰り返しだったといえましょう。どうした天の配剤か、人間はほとんど本能のように闘争を繰り返す一方で、争いを回避し平和な生活を維持するための方法を模索してもきました。

 人は一般に他者からの支配、干渉を好まず、誰しも独立(自立)して自由に生きたいと考えているはずですが、自由とは欲望(利害)と切り離せない概念でもあります。

 そして、そうした人間同士が集まり集団(社会)を形成すると必ず争いが起こり、往々にして生命のやりとりにまで至ることになります。それは、民族や国家といった特定の集団内でもそうだし、集団と集団の間においてもしかりです。

 ただ、人間は他の動物と峻別される高度な知恵を有しています。そして、その地位を使い、自分たちが構成する社会の中に法律、ルール、道徳などによって一定の秩序を設計し、争いを回避する工夫をしてきました。

 

・要するに、21世紀の現在においても、「世界の秩序」と「個々の国家の自由・独立」の関係は、「国家」と「個人」の関係よりはるかに未成熟であり、極めて不安定な状態にあるという他ありません。

 軍事について考えるとき、私たちは好むと好まざるとに関わらず、こうした世界に生きているということを認識することから始めるべきでしょう。

 

ところで、国内の秩序を維持するための「力」を付与されている組織は一般に警察ですが、国際秩序を維持するための「力」とは100年前までほぼ軍事力のことでした

 現代世界では、経済力、文化力、あるいはそれらを含めた「渉外機能としての外交力」の比重が高まり、脚光も浴びています。しかし、だからといって軍事力の重要性が低下したわけではありません。

 軍事の在り方は戦前と戦後では異なるし、戦後も米ソ冷戦時代とソ連崩壊後、アメリカにおける9・11同時多発テロ後ではかなり変化しています。ある意味で、世界秩序における軍事の重要度は、以前よりもむしろ高まっているといえます。

 

「世界中から軍事力を排除すれば平和になるのだ」という単純な論理

・ひとつ、例をあげてみましょう。つい20年ほど前、ルワンダで10万人以上の人々が鉈や棍棒で殺戮されるという悲惨な民族紛争が起きました。私たちは、この事実をどう理解すればよいのでしょうか。

 

・現実には軍事力こそ戦争の抑止に大きな役割を果たしているというのが私たち人間の世界の実相です。

 

・周知の通り、20世紀は「戦争の世紀」といわれています。世界の人口が25億~30億人であった20世紀前半、2度の世界大戦における死者数は5000万人~6000万人にのぼりました。一方、20世紀後半の戦争、すなわち朝鮮戦争、ベトナム戦争をはじめとする「代理・限定・局地戦」と呼ばれる戦争での死者数は3000万人以下とされています。また、その間に世界の人口が60億~70億人に増加したことを考え合わせると、20世紀の前半より後半の方が、はるかに平和になった、ともいえます。

 

・米ソ2極時代、互いが消滅するような核戦争を起こすことは、現実には不可能でした。また、核兵器を保有しない国同士による戦争が世界戦争に発展しないよう、米ソ2大軍事大国が、通常兵器の威力をもって抑え込んだことも一定の抑止となりました。

 まことに皮肉なことながら、大量破壊兵器である核兵器の存在が20世紀後半の世界に相対的平和をもたらした要因であることは事実なのです。

 

いずれにせよ、歴史が教える通り、最も危険なことは無知であることなのです

・その間、日本政府が宣言した非核三原則にも関わらず、核兵器が持ち込まれていたことも、アメリカの外交文書が公開されたことから明らかになっています。

 以上のような事実から導かれるのは「憲法第9条により軍隊を保有しなかったために日本は平和を享受できた」という説がフィクションだということです。

 

・以上述べてきたことからわかるように、人間の世界において軍事とは平和と不即不離の壮大なパラドックスということができるのではないでしょうか。

 

軍隊とは、武力の行使と準備により、任務を達成する国家の組織である

・現実に武力を行使するかどうかではなく、悲惨な歴史的教訓がその背景にあるわけです。現実に武力を行使するかどうかではなく、武力を行使する準備があると相手に理解させることが大切だと考えているのです。

 

安全保障を成立させる4つの方法

・脅威に対して価値を守る手段として次にあげるような4つの方法があるように思えます。

① 失って困るような価値は最初から持たない

② 脅威(敵)をなくす。または敵の力、意志を弱める

③ 被害を被っても、その被害を最小限に食い止め、回復するための準備をしておく

④ 脅威(敵)をつくらない。あるいは敵を味方にする

 

・以上、4つの手段を紹介しましたが、これらを見ても、安全保障の設計には外交と軍事両面が重要だとおわかりいただけるはずです。軍事なくして安全保障は成立しませんし、軍事だけでも安全は確保できません。安全保障においては、軍事と外交が両輪となって機能していくということをここでは理解してください。

 

情報

なぜいま「情報」なのか

・大東亜戦争時の帝国陸海軍は「情報」を軽視しそれ故に敗れた、ということがよくいわれます。私もその意見に同意します。確かに、作戦畑しか経験しなかった元帝国陸軍将校の一部に、自衛隊員になってからも「あの情報屋たちの書く情報見積もりなど、30分もあれば俺がひとりで書いてみせる」と言う勇ましい人がいたことは事実です。ですが、このような情報軽視の根本的原因は、このような作戦将校たちにあったのではなく、情報将校をも含む陸海軍全体に、さらにはその背景をなす日本国民全体の中にこそあった、と知らなければなりません。

 

・民主主義世界ではすべての情報を互いに公開すべきだという意見がありますが、「闘いの世界」では秘密保全は極めて重要なことです。それは民主主義世界においても皆さんの個人情報が保全される必要があるということと実は同義なのです。

 正しく説得力のある情報は、作戦担当者の決断を促し、時にはその決断を強要するものでなければなりません。情報は学問の世界における「知識ならぬ知(智)」です。日本では「水と情報は無料」だという誤解がありますが、これらは本来極めて価値ある(高価な)ものであると認識する必要があります。自衛隊が、そして国中が情報の価値を認識した時、情報軽視(蔑視)という悪弊は消え去り、国民もより強靭になることでしょう。

 

機械的情報と人間情報

・そして、最も上質の人間情報とは、相手の意図を戦わずして我が意図に同化させることなのです。その意味では今、政治的にも「首脳外交」が、そして軍事的には「防衛交流」が、ますます重要になってきているといえるでしょう。

 

「三戦」時代の情報

・既に述べたことですが、中国は「今や三戦(心理戦、広報宣伝戦、法律戦)の時代である」と自ら宣言してその「戦い」を推進しています。彼らは、その三戦の背景を為すものとして軍事力を極めて有効に使用します。

 我が国の安全保障分野に従事する者は、その中国の三戦の背景にある軍事力がどのようなものであるかを見抜く情報能力を持たなければなりません。

 

・逆に、自衛隊の軍事力が日本の三戦の背景の一部としてどれだけ効果的なものであるか、それを増強するにはどうすべきか、について国家安全保障局、外務省、財務省に進言しなければなりません。

 すなわち、現代の軍事情報そのものが三戦(心理戦、広報宣伝戦、法律戦)を含んだ戦略分野に移行しつつあるということなのです。

 

<作戦>

戦略と戦術

・軍事における作戦は、将校(幹部自衛官)の本業(主特技)だといわれています。しかし、情報を軽視した作戦はあり得ないし、後述する教育・訓練や兵站を無視した作戦もあり得ません。

 

・アメリカの存在感の相対的低下、中国の経済力・軍事力の爆発的拡大と覇権的野望、北朝鮮の核保有、韓国の国家レベルでの反日キャンペーン。冷戦後、ほぼ同時期に起こったこうした変化は、当然のことながら日本の安全保障に大きな影響を及ぼさざるを得ません。

 加えて、戦後長らく続いた日本の経済中心戦略は綻びを顕にします。バブル崩はじめとする壊を経て、肝心の経済力の凋落は覆うべくもありません。経済紙誌をはじめとするメディアが日本の状況を「第二の敗戦」と表現してから久しく時が流れました。

 

いずれにせよ、戦略とは自衛官(軍人)の問題ではなく、政治家、そしてその政治家を選ぶ国民1人ひとりの問題であるということをここでは指摘しておきます。

 

戦術における基本原則

・「専守防衛」という言葉は、かつての自衛隊では「戦略守勢」といっていたのですが、1970年頃に中曽根防衛庁長官がつくった『日本の防衛』において「専守防衛」に換えられました。もっとも、この「専守防衛」という言葉をはじめに発明した人は中曽根長官ではなく、意外にも航空自衛隊幹部(一空佐)であったという話です。

 国策を変えるということは戦略を変えるということなので、現職自衛官からは言い出しにくい問題です。しかし、私ども自衛官OBは、「攻撃は一切しない」と誤解されやすく、自衛官という専門家の手足を必要以上に縛りかねないこの「専守防衛」を「専守守勢」という本来の言葉に戻してほしい、と考えています。

 

日本の戦略

・日本の戦略は、外交・経済・文化・軍事等の専門家の意見を聞いて、国民の代表たる政治家が決定すべきものです。その意味で、2013年の秋に新組織・国家安全保障会議によって、日本初の「国家安全保障戦略」ができたことは、評価されてもよいと私は考えています。

 

・確かに、現代の日本の脅威は「大量破壊兵器の拡大」と「国際テロ・ゲリラ」なのです。

 

PKO等海外勤務の増加

・「後方部隊は後方にいるので安全である」というのは正に神話です。後方兵站部隊は防御力が弱いので、敵方からすれば格好の攻撃目標となります。また後方兵站部隊が叩かれれば戦闘部隊の士気は下がり、戦闘力も確実に落ちます。

 

装備

オールラウンドな装備体系を

・これらの兵器(装備)は、互いにそれを使わないようにするために存在するのですが、どんな兵器がどこで、いつどのようにつかわれるかは不明です。数量の問題については別途検討する必要がありますが、装備の質はオールラウンド、すべて整えておくというのが正道なのです。

 なお、核兵器による抑止という面についていえば、現実に保有しなくても保有できる能力を持ち続けるということで日本は対応すべきだと私は考えます。

 

これからの自衛隊

変化する自衛隊の役割

・世界情勢の変化に対応して、自衛隊に求められる役割も大きく変化してきています。

繰り返しになりますが、現在の自衛隊が求められている任務は次の3点です。

① アメリカ主導の一極秩序を維持するためのバランスウェイト(重石)、あるいはバランサー(釣り合いを取る機能)となること

② 各国との共同による世界秩序を崩す勢力の排除

③ 世界秩序が崩壊した時への準備

 

しかし、いつの日か最悪の状況下で個別的自衛だけで生き延びなければならなくなった時、最期の頼りとなるのは自衛隊です。そう考えると、何よりも人材の育成と技術開発が重要になります。具体的な兵器を揃えるとか、部隊の編成をどうするかという話よりも、どのような状況にも対応できる人と技術を備えておくことが、防衛力の基礎となるのです。

 日本の防衛力整備を考えると、現在はハードよりもソフトが重要になっています。人材や情報ももちろんそうですが、自衛隊が行動する上での法律や運用規則の整備も必要です。

 

「自衛」を越えて

・憲法改正をめぐる議論の中で、自衛隊の名称を変更すべきだとする話があります。自民党の憲法改正案では「国防軍」となっています。長い間務めた組織ですから、自衛隊の名前には愛着がありますが、私も改称する時期に来ていると思います。

 

陸上自衛隊への期待

・そして外国からの援助が期待できなくなった時、最も頼りになるのは国産装備です。すべての装備というわけにはいきませんが、本当に基幹となる装備だけは、自前で生産とメンテナンスができる体制をつくっておかなければなりません。こればかりは事態が迫ってから準備を始めても間に合わないので、30年後、50年後を見据え、今から基礎を打っておくことが必要です。

 最後に、すべてを通じて最も重要な事は、第一も第二も第三の役割も、どれをとっても自衛隊だけでは果たし得ないということです。国民・地元民・友軍・ボランティア団体等の絶大な信頼と支援がなければ、自衛隊は何をすることもできないのです。

 

自衛隊は強いのか

・そこで、「艦艇の総トン数にして海上自衛隊は世界5~7位の海軍、作戦機の機数でいうと航空自衛隊は世界で20位ぐらいの空軍、兵員の総数からして陸上自衛隊は世界で30位前後の陸軍、というのが静的・客観的な評価基準です。真の実力はその基準よりも上とも下ともいえるわけで、想定する戦いの場によって変わってきます」と答えることにしています。

 

・現実に、隊員たちは極めて厳しい訓練に参加しており、安全管理に徹しつつも、残念ながら自衛隊発足時から60年間に1500人(年平均25人)を超える訓練死者(殉職者)を出しています。殉職した隊員たちは、この訓練は危険な厳しい訓練だと承知した上でこれに臨み、亡くなった方々です。

 

・「自衛隊は強いのか」という質問は、実は「国民は強いのか」と言い換えて、国民1人ひとりが自問自答すべきものなのではないか、私はそう考えています。その意味で徴兵制の有無に関わらず、「国民の国防義務」を明記した多くの諸外国憲法は参考になると思います。

 

 

 

『自衛隊の情報戦』  陸幕第二部長の回想

塚本勝一  草思社  2008/9

 

 

 

情報担当

・陸上幕僚監部(陸幕)の第二部(情報担当)長をつとめ、朝鮮半島の問題のエキスパートとして知られる元高級幹部が、ベールに覆われていた活動の実相を初めて明らかにする。

 

・「よど号」ハイジャック事件と「金大中拉致事件」が多くのスぺ―スを占めているが、これは前者は、私が直接体験した事件であり、これを刻銘に追って記録としてとどめ、後者はなんの根拠もなく陸幕第二部が中傷されたことがあり、これまで適切な反論がなかったのでやや詳細に事実を記述した。

 

これからの防衛省に何が必要か

国防力の狙いは「抑止力」

・国防力の最大の狙いは「抑止力」なのである。だから防衛省などと言わずに「国防省」とし、日本の強い意志を内外に示したほうがよかったであろう。強い意志を示すことが一つの抑止なのである。この自主国防への意識の改革が、まず重要な課題である。

 

イラク派遣の無形の収穫

・一方でイラクへの自衛隊派遣は、自衛隊自身にとって大きな収穫があった。それは、自衛官一人ひとりが統率の緊要性に目覚めたことであった。平和な状態に馴れた自衛隊は、物質万能の世相を受けて、ややもすれば物品を管理する曹(下士官)が幹部(将校)より力を持つことになった。イラクへの派遣は、この傾向を霧散させた。指揮系統の重要性を体得して、軍(部隊)の統率の本来あるべき姿に帰ったのである。この無形の収穫は、はかり知れないほど大きい。

 

武装集団にとって、士気は重要な要素である

・私の体験からも、自衛隊は永年にわたって下積みの苦労を味わってきた。当初は「税金泥棒」とすら言われ、その後も日陰の扱いが続いた。それに耐えて黙々と訓練にはげみ、災害派遣では最も厳しい場で任務を果たしてきた。

 

老兵からのメッセージ

・当時の日本軍は、第1次世界大戦か日露戦争の頃とあまり変わらない歩兵が主体の軍隊であった。いわゆる「75センチ、114歩」、すなわち歩幅は75センチ、1分間に114歩で行動するしかないということだ。戦後になって米軍がジープという小型の全輪駆動車を、ごく普通に使っているのを見て驚いたものである。

 

・その後、内地の陸軍通信学校に入校し、すでに米英軍ではレーダーが実用化されていることを知った。科学技術の遅れを痛感させられたが、われわれ軍人だけではどうしようもなかった。また陸軍大学校の最後の卒業生の一人として、ほんの少しだけにしろ、終戦当時の大本営の緊迫した空気にも接した。戦後、旧軍人に対する公職追放の解除とともに、警察予備隊に入隊し、創隊当初の苦労も味わった。

 警察予備隊では米軍人が顧問で、最初は旧軍人を完全に排除していたため、米軍のマニュアル(教範)を日系二世が翻訳して訓練していたから、珍談にはこと欠かない。

 

・自分で経験し、または見聞したことを、断片的ながら取り上げ、なんらかの参考になればと記述したものが本書である。「針の穴から天井をのぞく」「九牛の一毛」の謗りは免れないが、あえて世に問うものである。

 

リーダーシップ。長幼の序、軍紀、科学技術

・終戦間近の陸軍大学校でも科学教育はなされており、われわれは仁科研究所の所員から核兵器の講話を聞いたことがある。原子爆弾についての机上の研究は終わり、製造の予算を請求したが却下されたとのことであった。この戦局ではそんな予算がないし、間に合わないであろうという理由だったそうである。

 そこで仁科研究所は原子爆弾の開発を中止し、殺人光線の研究に切り替えたと語っていた。今に言うレーザー光線のことであろうが、大きな設備で至近距離の小動物を殺傷するのが限界だったようである。またこの研究所には、優秀な朝鮮系の研究者がおり、そのうちの3人が戦後に北朝鮮に渡り、北朝鮮の核兵器開発の中堅となったことは、時世の運命としか言いようがない。

 

「ときすでに遅し」の陸軍中野学校

・明治維新における西郷隆盛も、謀略を駆使して無益な戦闘を避けつつ、徳川幕府を倒した。また日露戦争中における明石元二郎大佐(のち大将)の対露工作も著名であった。明石大佐はストックホルムを拠点とし、ロシアの反政府組織を支援し、日露戦争を側面から支えた。この工作資金として百万円支給されたと言われるが、当時の陸軍予算が四千二百万円であったことを思えば、その巨額さには驚かされる。

 

・山本五十六連合艦隊司令長官は、開戦に先立ち「1年は暴れて見せる」との言葉を残したが、その後については、「2年、3年となれば、まったく確信が持てない」と率直に述べている。

 

・人の発言の裏を読むことを訓練されている情報屋が山本五十六の発言を耳にすれば、2年目からは自信がない、戦争終結の方策を考えよと言っていることに気がつく。それが情報担当者の習性であり、かつ責務である。ところが当時の情報屋の発言力は弱く、そこまで読んだ人が表に出られなかった。そして、純粋培養された中堅の幕僚のほとんどは、当面の作戦のほかに考えが及ばなかった。これが国を大きく誤らせたと言える。

 

「南京事件」と宣伝戦の巧拙

2年後の南京に「戦場のにおい」なし

間違えてはならない住民対策

・この沖縄戦の例は、軍と国民のあいだに密接な協力関係があっても、なお国内戦では住民対策がむずかしいことを示している。わが国では地上戦がきわめて困難であり、ほとんど不可能であることを実証している。

 専守防衛を攻略するわが国では地上戦ができないとなると、防衛の策はただ一つ、強力な海、空戦力とミサイルによる抑止力に頼らざるを得ないことになる。洋上や領海で侵攻してくる敵をことごとく撃滅する力を誇示するほかはないのである。

 

つくり出された従軍慰安婦問題

旧日本軍に「従軍慰安婦」はない

<部隊と慰安所の本当の関係>

<広報・宣伝に6割、戦闘に4割>

以上述べた「南京事件」と慰安婦問題から得られる教訓は、広報の重要性と、もう一つ、軽々しく謝罪してはいけないということであろう。

 

・紛争を引き起こす勢力は、戦闘で勝とうとは思っていない。正面から正規軍とぶつかって勝てるような力を持っていないことが多い。世間を騒がせたり、民衆に恐怖心を抱かせたりするのが目的であり、あるいは相手国のイメージダウンを図ったり、内部で暴動を起こさせたりする。目的を達したり、追えば手を引き、隠れてしまう。

 このような敵に勝つためには、個々の戦闘に対処するだけでなく、広報や宣伝で圧倒してしまうことが重要となる。われに同調する国、民衆を多くして、厄介な敵を孤立させるのである。そのために広報は重要な戦力なのである。

 

非難を覚悟で「河野談話」の取り消しを

広報・宣伝とともに留意しなければならないのは、国際関係では絶対に謝ってはならないことである。謝るにしても、最大は「遺憾に思う」が限度である。

 

・まさか慰安婦問題で、国交断絶までする国はないであろう。しかし、ODA(政府開発援助)を取られ、日本の安保理常任理事国入りをさえぎられた。日本のような人権無視の国に常任理事国の資格はないと言う。これは「河野談話」など出して、こちらが最初に謝ったのが間違いだったのである。

 国際関係では、曖昧な表現がなされれば自分の有利なように解釈する。陳謝すれば、そこで終わりとなり、あらゆる不利な話を押しつけられる。「河野談話」を取り消さないかぎり、日本にとって不利なことばかりが続く。取り消すとなれば、これまた大きな非難を覚悟しなければならないであろう。

 

「専守防衛」の政略に縛られる

・現在の自衛隊には、中野学校のような教育機関はないし、謀略、諜報の機能をもつ組織もない。自衛隊は、憲法に基礎がある「専守防衛」との政治戦略の拘束を受けるので、謀略、諜報にはなじまないところがある。

 

あるべき防衛省の“情報”

「人事と予算」二つのネック

・情報重視と叫ばれて久しい。専守防衛の国だから、ウサギのような大きな耳を持つべきであると語られてきた。ところが、あまり実効はあがっていない。私の経験からすれば、人事と予算という大きなネックがある。

 

東アジアの情報に弱いアメリカ

CIAも万能な情報機関ではなく、弱点もある

・CIAは、ブリック・システムをとっている。煉瓦の積み上げ方式と言われるもので、個々の要因は多数の煉瓦の一つで、それを積み立てて情報組織を構成している。私が陸幕第二部長であった1970年代初期におけるCIAの活動の重点は、当然ながらソ連と中東であった。そのためのアジア正面での煉瓦の壁は薄かった。薄い壁だから、一ヵ所が崩れれば、全体が瓦解する。それが弱点であった。

 情報面での自衛隊のカウンターパートは、米国防総省のDIA(国防情報局)であり、これはピラミッド状の部隊組織をとっている。これも強力な情報機関であり、主として軍事情報を扱っている。CIAは政治や経済が主な対象であるから、そこに自ずから努力の指向が異なってくる。また東アジアに強いのはDIAで、CIAは弱い。極東正面では、DIAがCIAを補完するという関係があったように見受けられた。

 

<「非核三原則」を見直すべきときが来た

北朝鮮は国際世論や取り決めなど、まったく眼中になく実験を強行したのだから、いったん核兵器を手中にすれば、なんの躊躇もなくこれを使うと見なければなるまい。北朝鮮は、十分日本に届く弾道ミサイルの実験をして、すでに配備を終えている。この核実験は日本にとって衝撃的な出来事であった。

 そこで日本国内に核兵器対抗論が沛然として起こるかと思ったが、「持たず、作らず、持ち込ませず」の「非核三原則」にすっかり溺れているのか、世論はほとんど反応しなかったように見受けられた。有力な閣僚が核政策について議論すべきときが来ていると至極当然の発言をしたことに対して、野党の幹部をはじめマスコミ、媚中・媚朝派の学識者らが反発して、議論の芽を完全に閉じ込めてしまった。

 

もし広島型の核兵器が東京を直撃したならば、死者50万人、負傷者3百~5百万人という慄然とする予測を、これらの人たちはどう考えているのだろうか。おそらく、「そのような問題はわれわれの世代には起こらない」「後世の者が考えて苦労すればよい」といった程度に思っているのだろう。西郷隆盛が座右の銘の一つにしていた「先憂後楽」とは

ほど遠い。

 核兵器をめぐる事態は、より早く進んでいる。今すぐ対処の方法をたてなくてはならないほど切迫しているのである。

 

・核兵器に関しては、日本はアメリカの核の傘に頼らざるを得ないのである。アメリカも核の傘を日本に提供すると言明している。ところが、日本は非核三原則を政策の重要な柱と位置づけている。

 核兵器は「抑止の兵器」だから、平時には非核三原則も有効と考えてもよいであろう。ところが、日本が核攻撃を受けるのではないかというほどの事態が緊迫すれば、アメリカの核政策と非核三原則と矛盾する点が浮上してくる。日本はアメリカの核政策を享受しながら、それに制限を加えている。非核三原則の第三、「持ち込ませず」である。アメリカの立場から見れば、「(アメリカは)日本を核兵器で守れ、しかしそれは持ち込むな」ということになり、これでは身勝手すぎる。

 そこで、日本に核兵器の危機が迫るような情勢になれば、アメリカと調整して、「持ち込ませず」の原則の撤廃を宣言することが緊要である。この宣言をするだけでも大きな抑止力となる。抑止力とは、形而上の問題である。だから、あらゆる手段を最大限に活用しなければならない。いたずらにきれいごとにこだわり、いつまでも非核三原則にしがみついていれば、核兵器の抑止力は破れ傘となる。

 

「持ち込ませず」の原則を撤廃するとともに、領空や領海を含む日本の国内に配備されたアメリカの核兵器使用権限の半分を日本が持てるように協定することも考慮すべきであろう。

そうすれば、核抑止力の信頼性はより確実なものになる。繰り返しになるが、核抑止も結局は形而上の問題であるから、抑止効果のある施設を研究して、積極的に採り入れることが重要である。

 

・現在の迎撃方式が完璧でないとなれば、弾道ミサイル防衛と並行して、相手のミサイル基地を叩くミサイル報復攻撃の整備も必要になってくる。日本は専守防衛の政略によって拘束されているので、反撃のためのプラットホームは国内か領空内に限られる。軍事的合理性を追求できないことになるが、それでも核攻撃を受ければ、その発射基地、発進基地を徹底的に叩く報復攻撃の準備は必須である。

 

前防衛事務次官の汚職による逮捕

・日本防衛の最高責任者は首相であり、次いで防衛大臣であることは周知のことだが、実質平常業務の最高責任者は事務次官であると聞けば多くの人は驚くだろう。

 だが、そうなっている。事務次官はほかの9人の参事官(内局の局長等)の補佐を得て、大臣の指揮下にある統合幕僚長、陸海空幕僚長、情報本部長等を束ねて防衛省の意思を決定し大臣に報告する。補佐官のない大臣は「よかろう」と言って防衛省の行動方針を決める。つまり、平常の業務はシビリアンコントロール(政治統制)ではなく、官僚統制となっているのである。

 平時と有事との限界ははっきりしないから、官僚統制の状態はずるずると有事にまで及ぶ危険性がある。本書はシビリアンコントロールの実を発揮するため、まず軍政と軍令を分離し、軍令は統合幕僚長が、軍政は事務次官が、同等の立場で大臣を補佐することを提唱した。それが本当のシビリアンコントロールなのだが、その方向に進むことを期待している。もしそうなれば、前事務次官の逮捕という災いが転じて福をなすことにもなると思う。

 

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(3)

2021-08-28 17:17:29 | 森羅万象

 

『軍事のリアル』

 冨澤暉    新潮社   2017/11/16

 

 

 

米国安全保障戦略の揺らぎ

・米戦略国際問題研究所(CSIS)シニアアドバイザーのエドワード・ルトワックは、(1)財務省とウォール街は「親中」である、(2)国務省は「親中」と「反中」の間をゆれる、(3)国防総省は「反中」である、と言っている。

 彼は、財務省が「金融」にしか関心を持たず、そのため米製造業が凋落したと非難しつつも「財務省・ウォール街と中国は利害共同体になっている」と述べたうえで、国務長官のヒラリー・クリントンはやや「反中」だったが続くケリー長官は「より親中」で、その意味で国務省は「反中」と「親中」を右往左往している、としている。しかし、米海・空軍にとって、中国は少なくとも計画・調達の目的の上では、明らかに将来の「主敵」になっている、と述べている。

 

・では、米国の軍事戦略とは何なのか。考え方はいろいろある。主要なものを以下に列挙してみよう。

  1. 「(1)北朝鮮が残存性のある核能力を持つ可能性を踏まえ抑止力と即応体制を構築すべきである、(2)同盟国・友好国の軍事能力向上を推進すべきである、(3)中国との摩擦低減に努力すべきである」との3つの提言をしている。つまり「米国のアジア・リバランスは北朝鮮対応が主目的であり、全体としては米軍自身ではなく同盟国、友好国に期待し、しかも中国とは敵対しないように」と言っている訳である。
  2. 2010年の米国のQDR(4年毎の戦略見直し)にエア・シー・バトル(ASB)という言葉が現出して以来、日本では「これが米国の新戦略だ」と誤解する人々が増えた。彼らは、その直後にクリントン国務長官が「アジア・リバランス」という言葉を用いたこともあり「これからの米国戦略は対中戦略が全てであり、それが海・空戦略である」と早合点してしまったようである。

 

・あれだけの陸軍軍拡をし、海空軍軍縮をすれば、海空軍の不満が高じるのは当然である。そこで「海空軍には将来に備えて欲しい」と予算のつかない約束として提示されたのが「エア・シー・バトル」だったのである。

 

  1. 中国が接近阻止・領域拒否(A2AD)をやっているのだから、それに対し日本も中国に対しA2ADをやれば良い、そうすれば日本を隘路の門番にして中国軍を分散させ、米軍はもっと効率的・攻撃的な作戦に集中できる」といい、これを受けて日本でも、南西諸島周辺に自衛隊を配備してそのA2ADを準備しよう、という動きが盛り上がり、既にその一部の準備が進められている。

 

  1. 「オフショア・コントロール戦略」は「同盟国と協力しつつ中国による第1列島線以東、以南の海洋使用を拒否して島嶼を防衛し、その領域を支配しつつ遠くから中国のシーレーンを封鎖して経済消耗戦にもち込む」というものであり、当初から日米韓など南シナ海経由シーレーンを放棄したものであった。

 

  1. ザック・クーパー研究員は、もっと積極的に日米海軍(自衛隊)が共同して南シナ海での警戒活動をすべきだと提案した。

 

  1. 2つの面白い情報が入ってきた。1つは米国の国家安全保障会議が国防総省に対して「大国間の競争」や「中国との競争」という言葉を使用しないようにという指示を出したというものであり、2つ目は米海軍トップの海軍作戦部長が「今後米海軍においてA2ADという用語を使用しないと発表した」というものである。

 

・主なものでも、米軍事戦略にはこれほどのバリエーションがある。何れにせよ、生煮えの米戦略案を追いかけ、それに合った日本の戦略を論ずることは禁物である。

 

オフショア・バランシング戦略とトランプ大統領

・数年前に、米国に潜在する幾つかの軍事戦略案を少し勉強していた。その中に、これまでに述べてきたものとは趣を異にする「オフショア・バランシング」という戦略があった。それは、

  1. 米国経済発展のため、米国は中国との軍事対立を避け良好な関係を保つ、
  2. しかし、中国軍事力が米国以上のものになるのも困る、
  3. このため、中国に対しては、北のロシア、西のインド、東の日本から、軍事的に牽制させる、
  4. そのため日本にも核兵器を持たせる
  5. オフ・ショア(沖合)に退いてはいるが所要に応じて戦力投射できる準備はしておく、

 というものであった。

 

それから数カ月を経て、トランプという米大統領候補が、彼らと概ね同様のことを言っていることを知った。今度は、このネオリアリストたちがトランプ大統領のスタッフたちに、どういう影響を与えるのかを見守って行きたい。

 

戦後70年の世界は、国際協調(グローバル化)という不可逆な流れの中にあると考えられてきたが、実は今、100年周期の「世界分裂」という、より大きいうねりを迎えられたのかもしれない。

 この状況の中から如何に新しい国際協調を生み出すのか、それとも本当にまたブロック化の時代が来るのならどのブロックに属して生きのびていくのか。国民1人1人が真剣に考えるべき秋(とき)を迎えたようである。

 

ミサイル防衛の限界と民間防衛

北朝鮮による核弾頭ミサイル攻撃に対して、日本のミサイル防衛システムでは対応できないことは、第5章で述べたとおりである。

 そこで日本も、艦艇搭載の非核巡航ミサイルなどにより敵基地を攻撃できるようにしては、という意見が20年も前からある。

 

ということになれば、本当に核攻撃から身を守るのであれば、日本でも「核シェルター」を準備して国民を守るしかない。「核シェルター」は1次放射線や爆風を避けるだけでなく「核の灰(フォールアウト)」やそこから発せられる2次放射線による被曝を避けるものとして有効である。スイス、イスラエル、ノルウェー、アメリカ、ロシア、イギリス、シンガポールなどでは、50~100%の高率でシェルターが準備されていると聞く。日本では0.02%である。「日本は核兵器を認めていないからシェルターも認めていないのだ」という言い訳は、全く理屈になっていない。

 

せめて、各都市にある地下街に空気清浄機(濾過器)を設置し、そこに避難した人々が2週間程度暮らせる備蓄食料と上下水道を完備することぐらいは実行して貰いたいのだが、この「民防」を進んで担当する役所は、いまのところ国にも地方自治体にもない。無論、警察も防衛省もそれを担当する余力を持っていない。こうした準備は国民1人1人の意志とその要求によって初めて実現するものである。

 

「専守防衛」は軍事的に成り立たない

理念は良いけど、対策は?

・何よりもまず、この戦略の基本理念を「国際協調主義に基づく積極的平和主義」としているところを筆者は高く評価している。

 

・本来、テロ・ゲリラ対策には人手を必要とする。1996年に韓国の江陵というところに北朝鮮特殊部隊員26人が上陸した時、49日間延べ150万人を投入して漸くこれを駆逐したという記録がある。そんなゲリラが日本国内で数チームも出現したら、街のお巡りさんを含む全国29万の警察と14万の陸上自衛隊では如何ともしがたい。特に、全国50数カ所にある原子力発電所の幾つかが同時にゲリラ部隊に襲われたらどうするのか。現職自衛隊員たちは「それは警察の任務で我々のものではありません」と言うしかないが、警察は「十分に対応できます」と言えるのだろうか。

 中国は220万の軍隊の他に150万の武装警察と800万の民兵を持っている。日本のスケールが中国の10分の1だとすれば、15万の武装警察と80万の民兵が要ることになる。しかし、そんな話をする人はどこにもいない。

 つまり、国家安全保障戦略は、看板はよく出来ているが中身は看板に相応しくないものだ、と言わざるを得ないのだ。

 

そもそも専守防衛は成り立つのか

そもそも「専守防衛」というものは軍事的に成り立たないものである。如何にガードとジャブが上手くても、相手を倒すストレートかフックのパンチを持たないボクサーが勝てないのと同じことである。或いは、一定時間を稼いで全体に寄与する城や要塞はあり得ても、日本のように広正面の国をハリネズミのように守る技術はなく、あったとしても天文学的な金額がかかるのでそれは不可能だということでもある。

 日本が「専守防衛」で何とかやれるのは「自衛隊は盾の役割を担当し、米軍が矛(槍)の役割を果たす」という「日米ガイドライン」による約束があるからである。米国がその約束をとり消した場合には、自衛隊の予算をいくら増やしたところで「専守防衛」の国防はなりたたない、ということを、国民は良く承知しなければならない。

 

世界秩序を支える核兵器

20世紀前半(1945年まで)には第1次世界大戦と第2次世界大戦という戦争があり、その戦争で5000万~6000万の人が亡くなった。それ以降、ソ連が崩壊する91年までの約45年間は冷戦時代で、米ソ間の国家観決戦はなかったが、朝鮮・ベトナム戦争に代表される代理・局地・制限戦が行われ、結局2000万人強の戦死者を出した(中国文化大革命での犠牲者数は除く)。

 20世紀前半の世界人口は約25億人で後半の人口は約50億人だから、戦死者の比率は前半に比べ後半は約5分の1に減少したといえる。ということは、前半より後半の方がはるかに平和になったということである。

 

・91年以降の約25年間にも各種民族紛争が続いたが、人口の多い国同士の国家間決戦は殆どなく、戦死者総数は前2期に比べ明かに減っている。たとえば戦死者数について、朝鮮戦争での米軍3万4000、中国義勇軍90万、北朝鮮52万、ベトナム戦争での米軍4万6000、韓国5000、ベトナム・ベトコン90万、イラク戦争での米軍など4800、イラク(民間人を含み)15万~65万(65万は誇張と言われているが)という概略数が報告されている。

 

恐ろしい兵器だからこそ平和に資する

・日本では特に「核廃絶」を主張する人々が多いが、本当に世界から核がなくなっても世界に平和は訪れないであろう。なぜなら在来型(通常型)兵器が残るからである。

 在来型兵器はその使用者に「相手を絶滅させても、自分は生き残れる」という可能性を与える。核兵器に比べ在来兵器には「軍事的相互脆弱性」がない

 

NPTは不平等な秩序ではあるけれど

・インドとパキスタンの核は、両国間の戦争抑止を目的とし、それなりに成果を上げてはいるが、世界秩序(平和)の維持にはそれほど関係がないともいえる。

 北朝鮮の核弾頭の数は定かではないが、金正恩朝鮮労働党委員長が「ミサイルの目標は在日米軍基地だ」と明言したことにより、日本・世界の秩序(平和)破壊に関わるものとなった。

 

日本は核武装すべきではないけれど

・NPT加盟国たる日本が核武装することは、できないしすべきではない、というのが筆者の考えである。軍事は外交の背景として存在するものだから、日本が孤立化し、その外交が成り立たなくなるような軍事措置をとってはいけない。

 しかし、外交が核武装を求める事態になった場合は別である。最大の同盟国たる米国自身が日本核武装を求める事態になった場合は別である。最大の同盟国たる米国自身が日本核武装を公式に要求してきたような時には、国際情勢を良く分析し、国家戦略を再構築し、それに沿った軍事措置をとらねばならない。例えば韓国が核武装した場合などには、諸外国の態度も変わり、国民感情も変わるかもしれない。その時のことは考えておかなければならない。

 

最大の難問は国民の反対が多く残る中で、核兵器装備化へのロードマップを描ける政治家・学者・官僚が全くいないことだ。仮に米国が豹変し、日本核武装を押し付けようと各種の米国人たちがやってきたとしても、これに協力できる有力な日本人はどこにもいないだろう。

 そうなると核兵器の借用、すなわち「ニュークリアー・シェアリング」はどうか、という話が出てくる。しかし、これはかつてソ連の大戦車軍団が欧州を襲う時、核兵器で止めるしかなく、その場合、投射手段が不足し猫の手も借りたい米軍が欧州各国の航空機などに核弾頭を載せてもらおうという趣旨のものであり、弾薬庫の鍵を米軍が持つこともあり、各国の自主的な核兵器とはいえない。大戦車軍団の侵攻は現在では考えられず、欧州における「ニュークリアー・シェアリング」は今や形骸化していると聞く。同様の施策を日本が取ったとして何の意味があるのか、と議論する必要がある。

 

それでも大事なのは「本腰」

トランプ米大統領は日本に対し、NATO(北大西洋条約機構)並みのGDP2%の軍事支出を求めている。その当否はおくも、それが実現した場合には米国製対空ミサイルを買うことより、陸上自衛隊の足腰を強化することの方がより大切であると筆者は考えている。

 

「徴兵制」と「志願制」

・現在、G7の中に徴兵制をとっている国は1カ国もない。このG7にロシアとEU、更に新興経済国11カ国を加えてG20と称するが、これらの中でなお徴兵制をとっている国は、ロシア、中国、韓国、トルコ、ブラジル、メキシコの6カ国だけである。

 

・ロシアは10年以上も前から志願制に変更したいと言っているが、領土が広いのでなお100万人の軍人定数を維持している。

 

・中国は選抜徴兵制をとっている。13億の人口に対して220万の軍隊だから、1億3000万弱の人口で24万の自衛官を持つ日本と、軍人/人口比はほぼ同じである。中国人は、日本人以上に兵隊になることを嫌っている。「好鉄不打釘、好人不当兵(良い鉄は釘にならない、良い人は兵にならない)」という古い言葉があり、今でも多くの人たちがそう言っているらしい。

 

・「それじゃ、兵隊が集まらなくて困るね」というと、「大丈夫です。貧乏な農村地帯の青年たちが軍隊に入りたがってますから、兵隊が足りなくなることはありません。兵隊は共産党員になる近道で、党員になれれば田舎に帰って郷長(村長)にもなれるから人気があるんです」という、どこまで本当かは分からないが、如何にもありそうな話であった。別の人に聞いたら志願兵を希望するものが多く、その志願兵に合格できなかった者が徴兵枠で採用されるというシステムになっているとのことであった。

 

韓国は北朝鮮と休戦状態を続けているため、徴兵制を止められずにいる。しかし、大学進学率の向上など若者世代の変化があり、良心的兵役拒否が認められないといった特殊事情も加わって、徴兵上の様々な問題が生起している。

 

・スイスは1648年のウェストファリア条約で独立した小国(現人口842万人)であるが、独立以来永世中立国であり、その中立政策を守るため370年間、徴兵制を続けている。

 

・西ドイツは1955年に志願制のドイツ連邦軍を編成したが、募集に応じる者が少なかったので、やむを得ず1956年に徴兵制を復活させた。

 

・2002年から、ドイツ連邦軍兵士の兵役期間は10カ月から9カ月へと更に短縮された。兵役拒否者の奉仕期間は兵役より長いことが原則だったが、2004年からは兵役期間と同じ9カ月になった。そして2011年6月末をもって、ドイツの徴兵制は終った。

 

・イタリア軍は1860年代から徴兵制度を続けてきたが、2000年に徴兵制廃止を決定、2005年から完全志願制の軍隊となった

 

・徴兵制は廃止されたが「国家の防衛は共和国市民の神聖な義務である」とする憲法条項は、そのまま残されている。

 

自衛隊は「苦役」なのか

・「日本の徴兵制復活は?」という質問に対し、歴代政府はいつも憲法第18条の「何人も、(中略)犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」を理由に、「憲法違反の徴兵制復活はありえない」と説明する。「苦役」の意味を、囚人たちでも理解しないというこの時代に、何たる言葉を使うのであろうか。自衛官をして「苦役を自ら志願する変わり者」とするこの表現は差別であり許せない。「日本の防衛政策は、徴兵制よりも志願制を求めている」と理路整然と説明するのが政府の責務である。

 

勿論、「国家間決戦なき時代」が永遠に続くとは言い切れないから、徴兵・志願という政策は固定化すべきものではない。それよりも憲法に固定化すべきは、イタリアのように「国家の防衛は国民の義務である」ということではないか。日本は国民主権の民主主義国家なのだから。

 

 

 

<●●インターネット情報から●●>

「新潮社サイト」から引用

<軍人と文人>

 『軍事のリアル』の著者、冨澤暉さんは、陸上自衛隊トップの陸上幕僚長までおつとめになった方ですが、不思議と文人と縁があります。

  実は、冨澤さんのお父さんは、戦前に芥川賞を受賞した冨澤有為男という作家で、代表作は新潮社から出版しています。お住まいも新潮社のすぐそばだったそうです。

  その後、戦中に福島に疎開し、家族は戦後も福島に住み続けますが、冨澤さんは東京に戻り日比谷高校に通いました。ここでは庄司薫と古井由吉という、二人の将来の芥川賞作家が同級生になりました。在学中は特に交流はなかったそうですが、同級生には塩野七生さんもいました。ついでに言えば、東京で下宿していた先は、お父さんに私淑していた作家志望のお坊さんが住職を務めるお寺で、そのお坊さんも後に直木賞作家になっています(筆名・寺内大吉)。

  ちなみに岳父は戦中に東南アジアで情報活動をしていた陸軍軍人の藤原岩市で、その著書『F機関』は、情報関係者にとっては必読の古典となっています。

 

 

<●●インターネット情報から●●>

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より引用

 

デイビー・クロケット (戦術核兵器)

M-388 デイビー・クロケットは、アメリカ合衆国が開発した戦術核兵器の一つ。名称は、アラモの戦いで玉砕した英雄デイヴィッド・クロケットの名に因む。

M-388は、無反動砲にW54核弾頭を外装式に装填し運用する外装式砲弾システムである。無反動砲は口径4インチ(102mm)のM-28と6インチ(152mm)のM-29の2種類があった。M-28の最大射程は約2km、M-29は約4km。W54核弾頭の核出力は0.02kt(TNT火薬20トン相当)であった。

 

弾頭の威力は、主に強烈な放射線の効果によるものである。低出力の設定でも、M-388核弾頭は150メートル以内の目標に対し即座に死亡する強さの放射線(10,000レム(100シーベルト)を超える)を浴びせる。400メートル離れていてもほぼ死亡するレベル(およそ600レム(6シーベルト)に達する。

M-28およびM-29は車載もしくは地面に三脚で設置して発射する。

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(2)

2021-08-28 17:16:33 | 森羅万象

 

 

『矛盾だらけの日本の安全保障』

「専守防衛」で日本は守れない

冨澤暉・田原総一朗   海竜社   2016/8/7

 

 

 

「二世帯住宅のたとえ」から見えてくる日本の安全保障の現状

・(冨澤)弟の私(日本)は二階に住んでいて、一階には頼りになる兄貴(アメリカ)が住んでいる。財力もあり、めっぽう腕っ節の強い兄貴と比べると、弟のほうは腕力に自信がない。

 

町内の平和のための「夜回り」に参加できない日本

・(冨澤)ただ、このままでは兄貴としても面白くないし、弟なのに何もやらないというのでは問題だから、兄貴の家に強盗が入ったときは、やはり助けに行って少しぐらいは兄貴の手伝いをしたほうがいい。夜回りについても、お金やお弁当を出して終わりにしないで、みんなと一緒にパトロールに出る、「カチカチ火の用心」をみんなと一緒になってやる。そういうことが必要ではないかというのが私の基本的な考え方です。

 

戦後日本は一国平和主義にどっぷりと浸かっていた

・(冨澤)もちろん兄貴に対しては、日本に普通は置かせないようなアメリカ軍の基地を置かせているので、それなりの代償は払っています。

 

日本にとって実に都合のいい日米安保条約

(冨澤) 一言で言えば、アメリカは世界の秩序を守るためにリーダーとして関わっていきたい。そのための米軍基地だというのです。

 

(田原) 日米安保条約が岸信介総理の手で改定されたときは東西冷戦のさなかでした。アメリカを中心にした西側とソ連を中心にした東側が鋭く対立して、もしも核兵器がなかったら戦争になっていたかもしれません。そういう厳しい対立状況があったとなると、日本を守るという形はとっていても、実際は日本を守るのではなくて、西側陣営の東アジアを守るのがアメリカの狙いだった。

 

・(冨澤)その代わり、核戦争という破滅的な戦争は起きないけれども、ブロック同士での小競り合いは起こる。そういう局地的な紛争が起こったとき、それに対処するための基地として日本、ドイツ、イタリア、もちろん戦勝国のイギリスにもありますが、世界のいろいろなところに基地を置いたのです。そういった事情があるので、日本人が「日本を守ってくれるために在日米軍基地がある」と考えたのは、大いなる誤解です。

 

「専守防衛」は国際的にも軍事的にも通用しない

・(田原)ところで、冨澤さんは専守防衛という政策を批判していますね。僕らも含めて、日本人の多くが「専守防衛」を日本の安全保障の基本的概念だと思っているなかで、こんな言葉は世界に通用しないとおっしゃっている。改めて詳しく聞かせていただけますか。

(冨澤)専守防衛というのは、こちらから攻撃しないで守りに徹することです。だけで、私ども軍事を勉強してきた者にとって、そういうのはあり得ないのです。

 

・(冨澤)あらゆるところから飛んでくるミサイルを全て叩き落とすのは不可能です。3万キロの正面を守ることはとてもできない。そういう技術はまだないし、仮に技術ができたとしても、3万キロの正面全部でそれをやるには、それこそ天文学的なお金がかかります。

 そんなことは、日本はもちろん中国だってアメリカだってできません。どんな国でもできない。そういうことを「専守防衛」と称して、これが日本の防衛政策だと宣言してしまったのです。

 

・(冨澤)戦略守勢とは攻勢に対する守勢です。ところが、中曽根さんは張り切って日本で最初の『防衛白書』(昭和45年版)を刊行するのですが、その時に、これは中曽根さんが発想したわけではなく航空自衛隊の1佐と聞いています。具体的に誰とは知りませんが、その自衛官が「戦略守勢といっても、ちょっと言葉が難しい。専守防衛と言ったらみんなにわかるだろう」と言って、専ら守る防衛だ、それでいいだろうということで専守防衛になったそうです。それを日本の防衛政策として定めたのです。

 

・(冨澤)日本の防衛政策としては、当時はもう「国防の基本方針」ができていました。これは1957年に岸内閣がつくったものですが、専守防衛はその基本方針とは別なのです。

「国防の基本方針」には専守防衛という言葉も概念も出てきません。それなのに、後になって非核三原則などと一緒に日本の防衛政策として定めてしまった。それがいまだに生きています。

 

憲法上、専守防衛にせざるを得ない日本

(冨澤)守るだけで攻めなかったら相手にダメージを与えられない。それと同じで、専守防衛というのは、自衛官や軍人から見ると成り立たないものなのです。

 

・(田原) それと、専守防衛でいくと、いきなり本土決戦ということになりませんか。

 

日本は敵基地攻撃能力を持つべきか

・(冨澤)ボクシングをやってもわかるように、一方で守って一方で殴る。両方なければ戦えませんよ。それを「守りに徹しなさい」と言うこと自体、極めて不合理だという感じを我々は持っています。

 

自衛隊は軍隊なのか、警察の延長なのか

・(冨澤)前身の警察予備隊は警察の延長でしたが、自衛隊になったとき、個別的自衛は明確に認めたわけです。憲法学者のなかには、いまだに認めていないと言う人もいますが、自衛隊は個別的自衛で武力行使ができる。この点が警察と決定的に違うところです。

 

武器を使ってもいいが、人に危害を与えてはならない ⁉

・(冨澤)面白いのは、主語が自衛官になっていることです。「自衛官は………武器を使用することができる」と書いてあります。主語が自衛隊という組織ではないのです。

 それから同条には、次に正当防衛・緊急避難という要件が出てきて、その要件に該当する場合を除いて「人に危害を与えてはならない」と明確に書いてあります。つまり、武器等を守る任務を与えられた自衛官が敵に遭遇したとして、敵が武器に弾薬を奪いにきたら任務遂行のために射撃をしてもいいのですが、相手に危害を与えてはいけない。自分が撃たれたときは打ち返してもいい。

 

自衛隊は奇襲攻撃を撃退できるか

・(冨澤)ならば指揮官の責任かというと、これは非常に難しい。日本の場合、判断基準は国際法ではないからです。あくまで国内刑法によって裁くので、個人の責任が問われる可能性があります。安倍内閣の安全保障法制は、その点が曖昧なまま残されているところに一つの問題があると私は思っています。だけど、そんなことを兵隊さんの責任にはさせないと信じたいですね。たぶんさせないでしょう。

 

海上保安庁が襲われても自衛隊は助けられない

・(冨澤)ただし、これ(外国の軍隊を守ること)は集団的自衛権とは関係はありません。集団的自衛権とはまた別の話なのですが、とにかく自衛隊は今まで非常に不思議な軍隊だったのです。

 

同じ自衛隊ですら指揮系統が違えば守れなかった

・(冨澤)防衛出動が命令されていれば別ですよ。防衛出動命令が出た後ならできますが、そうでない場合はグレーゾーンの問題です。グレーゾーンの状態では武器等防護で武器を使用することはできます。ただし、指揮系列が違えば、もう守れない。

 

「平和安全法制」でアメリカの艦船も守れるようになる

・(冨澤)アメリカにいろいろ聞いたところ、一緒に訓練している場合は一つのユニットと考えるそうです。彼らは「ユニット・セルフ・ディフェンス」と呼んでいて、共同訓練をしている場合、どこかの艦が撃たれたら、指揮系列の違う別の艦が撃ち返すというようなことは普通にやっているそうです。それで今回、そのやり方を取り入れて、日本でもできるようにしました。つまり、武器等防護の対象を拡大したわけです。自衛隊の艦船がアメリカ海軍の艦船と一緒に行動しているのであれば、アメリカ海軍の艦船も守れるようにしました。

 

「基盤的防衛力構想」とは、防衛力の存在を示すこと

・(冨澤)ただ、仮想敵国をつくらないと言っても、あの当時、つまり1970年代に日本に攻めてくるだけの能力を持っているのはソ連しかなかったのです。

 

仮想敵国がない状態で防衛力を整備するのは難しいか

・(冨澤)つまり、防衛力整備には時間がかかるわけです。一朝一夕にできるものではない。装備品を開発するのにも時間がかかるし、特にいちばん大変なのは人間をつくることです。

 

米ソの戦争は起きないが、小規模限定武力侵攻はあり得る

・(冨澤)基盤的防衛力ではあるけれども、具体的な想定が何もなければ演習一つまともにできないので、小規模限定武力侵攻に耐えるようなものであって、将来、大きな戦いになったときにはエクスパンドできる、拡張できるものにする。妥協の結果、そういう考え方に落ち着きました。

 

福田赳夫首相の後押しで始まった有事の作戦研究

・(冨澤)ところが1978年に来栖さんの事件が起きて、現に在日米軍がいて日米安保体制があるのだから、日米で共同訓練をして共同作戦計画をつくろうじゃないか、という話になった。どういう敵を設定し、その敵が侵攻してきたときに米軍が何をして日本軍が何をするか。日本軍の中で陸・海・空三自衛隊はどういう役割分担をするか。そういったことをこのとき、さんざん議論しました。随分と揉めましたけどね。それは福田赳夫総理が大事だと言ってくれたからできたのです。

 

ソ連潜水艦を日本海に封じ込めよ――ノルディック・アナロジー

・(田原) 中曽根さんが言った三海峡封鎖だ。

(冨澤) まさにそこが大事なところで、バルト海の場合と同様、海峡を押さえてやればソ連はアメリカと戦争できません。米ソが戦争しなければ、日本も戦争をしないで済む。ごく簡単に言えば、そういう考え方です。

 

アメリカ1人勝ちで問題になった「同盟のジレンマ」

・(冨澤) その問題が起きたとき、私は言ったのです。「配当というのは資本金を出した人がもらうものであって、日本は基盤的防衛力でやってきた。特定のことのために資本金を出していないのだから、平和の配当の予知はない」と。

 

冷戦後初の「大綱」にアメリカからクレームがつく

・(冨澤) アメリカのクレームというのは国防省あたりからきたのです。私はそんなに中枢にはいませんでしたから詳しいことはわかりませんが、当時の防衛事務次官、畠山蕃さんが私に「冨澤さん、アメリカからクレームがついちゃって。今度の大綱にはアメリカのことがあまり書いていない、おかしいじゃないかと。我々としてはアメリカに頼るのは当然なのですが、何か誤解しているようですね」と言ってきた。

(田原)国連、国連と言い過ぎている。

 

弾道ミサイル防衛に力を入れた石破防衛庁長官

・(冨澤)2003年12月に石破さんがリードして弾道ミサイル防衛の導入を閣議決定します。しかし、防衛力整備のあり方をめぐって相当大きな議論になりました。ミサイルを入れるのはいいけれども、値段がものすごく高い。PAC-3の有効射程はたった25キロしかないし、必ず当たるというわけでもない。そんなものをたくさん買ってどうするんだという反論もかなりあったのを、石破さんが抑え込みました。

 

菅直人内閣の「二二大綱」は「基盤的防衛力は全部消せ!」

・(冨澤) ええ。減らされました。私は、それは理屈に合わないと言ったのです。減らされたのはお金がないからです。ミサイル防衛をやるためには財源が必要ですね。防衛費の総額は毎年、だいたい決まっているので増やすとしてもそんなには増やせない。

 

湾岸戦争時、国連の集団安全保障に参加できなかった日本

湾岸戦争に自衛隊を派遣せず、130億ドルでごまかした日本

感謝どころか馬鹿にされた日本

・(冨澤)その愛知さんが、「あれだけのお金を、多国籍軍が平等に使うのならいいんだけど、ほとんどアメリカだけで使ってしまった」と言って不満げでした。そういうところは問題だと思いますが、アメリカのあの行動そのものはまさに集団安全保障で見事だったと思います。日本はその本質を見抜けずにお金でごまかしてしまった。

(田原) クウェートがアメリカの新聞に感謝広告を出しました。ところが名前の挙がった世界30カ国のなかに日本は入っていなかった。

(冨澤) そうなんです。入っていなかった。

(田原) 日本は馬鹿にされた。これがトラウマになって……。

(冨澤)トラウマですよ。当時の為替レートで1兆7000億円ですから。

 

いちはやく「イラク戦争支持」を表明した小泉首相

イラク戦争は集団的自衛権とは無関係

シンセキ、パウエルの進言を無視して失敗したイラク戦争

・(冨澤) そういう意見もあったということです。ネオコンの考え方も、今はおかしいということになっていますが、当時は力を持っていました。ブッシュ自身、「日本を占領したら日本は立派な国になった。フセインを倒せばイラクも立派な民主主義国になる」などと言っていました。日本とイラクでは歴史的な背景が全然違うのですから、「そんなの、なりっこないじゃないか」と私は今でも思うし、あの当時も思いましたけど、そういう理論がネオコンのなかにあったのでしょうね。

 

「湾岸戦争のような戦争には参加しない」(安倍首相)でいいのか?

・(田原) 集団的自衛権の行使は条件付きでOKだけど、武力行使を伴う集団安全保障には参加してはいけない。

(冨澤) 私個人は、それはおかしいと思っています。集団的自衛権と集団安全保障では、武力行使の意味が全然違うのです。

 

国連の集団安全保障は権利ではなく義務である

・(冨澤)集団的自衛権というのは、その名が示す通り、国家の自衛権、つまり権利です。一方、集団安全保障は国連加盟国にとっての義務だと考えられます。

 

集団安全保障が国連加盟国の義務だとすると、日本は国連に加盟したわけですから、田原さんがおっしゃるように、加盟国の義務を果たさないのはおかしなことですね。憲法上、武力行使ができないというのも理屈に合いません。それならなぜ国連に加盟したんだという話になる。もともと国連ができたとき、これからがすべて集団安全保障でやろうという理想がありました。それぞれの国が独自の判断で武力行使をするのはもうやめようということです。

 

国連の制裁が間に合わないときは、自衛権は行使してよい

・(冨澤)NATOというのは、国連憲章に言う地域的取り決めなのです。地域的取り決めとは、先ほど申し上げたように、当初は武力行使を認められていなかった。あくまで話し合いとか経済制裁ぐらいにとどめて、それで解決しない場合に最後の手段として国連安保理が武力制裁を決議し、加盟国が一致結束してその制裁を実行する。そうなっていたのが、「間に合わないときはどうするのか」という不安の声が出て、そこで初めて集団的自衛権が国連憲章に入ったのです。

 

・日本では集団的自衛権にばかり焦点が当たっていますが、それでは物事の一面しか見ていないことになります。私に言わせれば、集団的自衛権よりも、集団安全保障のほうがはるかに重要性が高いのです。

 

 

集団的自衛権の解釈変更に大騒ぎする愚

集団的自衛権はイギリスの「妻子等の自衛」に由来する

・(冨澤)では、集団的自衛権とは何かというと、これが非常に面白くて、大本はイギリスの「妻子等の自衛」という慣習法なのです。

 

・「妻子等」の「等」には、執事(バトラー)など近しい関係の人も含めるそうですが、イギリスでは、自分以外の人間をこの「妻子等」と「見知らぬ他人」に二分するのです。そして、たとえば電車に乗っているときに私と一緒にいる「妻子等」が襲われたら、「妻子等」は私と一心同体であるとみなして、私がやり返してもいいことになっています。

 

・また、電車の中で見知らぬ他人が誰かに襲われたときは、同じ電車に乗っている人たちがみんなで立ち上がってその暴漢を懲らしめなければいけないということになっています。こちらは「犯罪の防止」と呼ばれています。

 どちらもイギリスで長い時間をかけて出来上がった慣習的なルールです。

 このうち、前者の「妻子等の自衛」は変じて集団的自衛権になり、後者の「犯罪の防止」が集団安全保障になったといわれています。国連憲章は英米法で書かれていますから、イギリスの慣習に由来するルールが国連憲章に反映されるのはごく自然なことですね。

 

・国連憲章では、武力行使は国連軍がすることになっています。国連軍はいろいろな国の軍隊を一つに束ねてつくるわけですが、仮にそういうものができたとして、その国連軍はヨーロッパに置かれるだろうというのが当時のイメージでした。戦前、国際連盟の本部があったのはスイスのジュネーブです。

 

・この51条が入ったことで、地域的取り決めにおいて、国と国とがお互いに集団的自衛権を行使し合うという形で同盟を結ぶことができるようになりました。その代表的な例がNATOです。

 

ところが、面白いというか不思議なことに、NATOではこの集団的自衛権の行使によって行われる行動を「自衛」とは呼ばないのです。なぜか「共同防衛」と呼んで、自衛という言葉を外しています。第5条も、見出しは「武力攻撃に対する共同防衛」となっています。

 

朝鮮半島有事の際、自衛隊は韓国に出て行けるのか

・(冨澤)集団的自衛権を考える上でもう一つのポイントは、要請があるかどうかです。

(田原)攻撃されたら国が助けを求める?

(冨澤)ええ。武力攻撃された国が要請した場合に限り、要請を受けた国は権利を行使できます。要請がないのに助けに行っても、それは集団的自衛権の行使とは認められない。

 

 

 

『自衛隊の弱点: 9条を変えても、この国は守れない』

飯柴智亮    集英社インターナショナル 2018/8/24

 

日報管理すらできない「軍隊」に、核を持つ資格はない。

「冷戦期の遺物」、陸自は解散せよ。

「国家指針は米国任せ」という思考停止。

軍法会議がない軍隊ほど危険なものはない。

日米安保は即時解消せよ。NATOと「第2の日英同盟」を結ぶべし。

動乱アジア――日本は生き残れるか。

 

 

 

一生を決めた映画

――ここからはしばらく飯柴大尉がどうして米軍に入られたのかをお聞きしたいと思っていますが、大尉のお父上はかなり偉い方で、相当に厳しかったとお聞きしています。

(飯柴)親父は、東大在学時に国家上級職公務員試験と司法試験を同時に受験し、両方とも合格して、警察庁に入った人です。エリート幹部として出世コースを驀進して、暴力団対策のトップとして、活躍していました。

――超インテリで、しかもマル暴の総元締めだ。そりゃおっかいないですね。

(飯柴)当然、家ではスパルタ教育です。私も小さい頃から、警察剣道をやらされてましたね。で、剣道大会に出場すると表彰状を渡すのがうちの親父で………(笑)。

――嬉しいものなんですか、それは?

(飯柴)なんか微妙な感じなんですね。そのときの記念写真があるんですが、自分、ちっとも嬉しそうな顔をしていないんですよ。

 

――そのきっかけになったのが小学生のときに観た映画『ランボー』(1作目)だった。

(飯柴)親父とは一度も一緒に映画に行ったことはないです。そういう人じゃないんで。たまたま、親戚のお兄ちゃんと観たのが『ランボー』で、そこで人生の進路が決まってしまいました。今の自分の原点は間違いなく『ランボー』ですね。

 

<同級生は将校殿>

――大学を卒業して、すぐに将校に任官ですか?

(飯柴)いいえ、グリーンカード(永住許可証)だけは取得できましたが、その後、民間人は5年、軍人は3年経過しないと、市民権(国籍)の申請ができませんでした(当時の法律、現在では法律が変わり、永住権保持者は入隊した瞬間に、国籍の申請が可能)。市民権がなければ将官になることはできません。

 だから、同級生は皆、すぐに将校になりましたが、自分は、2等兵からです。

 

――空挺部隊といえば、日本の自衛隊でも最精鋭部隊とされています。

(飯柴)米軍でも同じです。しかも、フォートブラッグは「空挺部隊の故郷」とも呼ばれるくらいで、米軍の空挺部隊の中でも最も精強とされています。基地内で空挺資格を持ってないやつはほとんどいませんでした。また、世界各国の軍隊で、精鋭部隊とは空挺部隊であり、空挺部隊とは精鋭部隊です。米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)も海軍のシール(SEAL)チームも、その他すべての特殊部隊と呼ばれる部隊は、すべてが空挺部隊です。その証拠に部隊記号にかならず「AIRBORNE」(空挺降下可能)と入っています。

 

――エリート中のエリートですね。

(飯柴)空挺部隊に入るためには空挺降下資格が必要です。アメリカで唯一、空挺資格が取れるのはフォートべニングにある空挺学校です。ここでのトレーニングをこなして落下傘徽章をもらわないと空挺部隊には入れないんです。

 82空挺では第505空挺歩兵連隊に配属になりました。第2次世界大戦中の「マーケット・ガーデン作戦」などでも戦闘降下した米陸軍内でも伝統と名誉のある部隊です。

 

<アフガニスタンへ>

――体温が下がった、つまり死んだということですね。

(飯柴)お断りをしておくと、50口径の重機関銃はあまりにも強力なので国際法上、人間への射撃は禁止されています。あくまでも「アンチマテリアル」、つまり対物射撃にしか使ってはいけません。

――人を撃っちゃダメではないですか。

(飯柴)いや、アメリカ軍の公式見解ではこれは国際法をクリアしているんです。というのも、私が狙ったのは敵が着ている装備品(衣服やブーツ)なので、アンチマテリアルなんです。

――はっきり言って屁理屈ですね。

(飯柴)私もそう思いますが、屁理屈でも理屈が通っている以上、これは合法なんです。

――平和ボケした日本人にも想像をつかない戦場の現実ですね。近接戦闘はありましたか?

(飯柴)村のパトロール中に現地の住民から通報を受けて、敵が潜伏していると思われる家屋に突撃したことがあります。

 すると家の中で髭面のアフガン戦士がRPG-7を構えて、自分を狙っていましたね。こちらから敵兵の懐に飛び込んで、M4カービンの銃身の先で、鳩尾(みぞおち)を突いて、左手で相手の身体を掴んで、地面に転がしました。対戦車ロケット砲を奪って、身体検査したらAK-47に装着する銃剣、ナイフを隠し持っていましたね。

 

<ようやく将校に>

――アフガニスタンからいつ、帰還されたんですか?

(飯柴)2003年の6月に帰ってきました。半年で帰還することになったのは、911の前に提出していた士官訓練の申請がようやく受理されたからです。

 

<「山桜」で見た自衛隊の素顔>

――第1軍団は太平洋地域が担当だから、当然、日米共同演習、米韓合同軍事演習などにも参加するわけですね。自衛隊を米軍将校から見て、どうだったんですか?

(飯柴)一言で言うと、かわいそうだなと思いました。これは後で詳しく話しますが、我々の目から見ると、自衛隊は冷戦時代から少しも変化していない。米軍に追いつこうという意思はあっても、国家指針がないのでどれも行き当たりばったり、あっち行ってフラフラ、こっち行ってフラフラ、でしかない。だから見ていると、とんちんかんなことばかりなんですよ。

――その自衛隊の「とんちんかんぶり」をぜひお聞きしたいというのが、この本の主題であるわけですが、その前に、今、「進化」という言葉が出ました。日本の自衛隊は少しも進化していないと。ということは、アメリカ軍はつねに進化し続けているわけですね。

(飯柴)ことに911以後のアメリカ軍の進化はすごいです。アフガニスタン、イラクと実戦体験を積んだことで、これまで以上にアメリカ軍は強くなっています。

 

<変化、進化する米軍>

――日本の自衛隊も外地にPKO任務に出ていますが、それを教訓にしているんでしょうか。

(飯柴)それはまったく期待できないですね。そもそも日本政府はPKOでは戦闘なんか起きない、遭遇しないと言っているわけでしょう?何も経験していないというのだったら、変化が起きるはずもないでしょう。とにかく、意味のない伝統にこだわる日本と、質と量の両面で高速の進化を遂げる米軍との差に驚かされました。

 

リーダー不在の「軍隊」は敗れる

<総理大臣こそ自衛隊の弱点>

――では、本論に戻って、自衛隊の弱点についてお話し願います。どこから手を付けていきますか?

(飯柴)国家指針のない日本政府のトップ、内閣総理大臣の問題からいきましょう。

――総理大臣の存在が「自衛隊の弱点」なんですか?

(飯柴)残念ながらそうです。それが最もよく現れたのは311、東日本大震災のときでした。小峯さん、あのときに菅直人首相はどうしていましたか?

――それについては自分は言いたいことがたくさんあります。そもそも震災翌日の朝、菅首相は陸自のヘリコプターで福島第一原発、そして三陸沿岸部の被災地を視察しました。それを褒める人がいるかもしれませんが、軍オタの自分から見れば「最高指揮官が何をやっているんだ?」という印象しかなかったです。

(飯柴)まったく小峯さんと同感ですね。あれはパフォーマンスでしかない。あの大震災直後の現場ですから、すべては一刻を争う。現地では首相への対応なんかしている暇なんかありません。むしろ迷惑です。

――「自衛隊の弱点その1」は、上官がダメということですね。しかも総司令官の日本国首相までがダメなんだ。

(飯柴)いくら立派な装備があって、兵士を訓練しても、上官がダメならば部下はついてきませんよ。

 

<猿真似ばかりの日本>

<だいたい外敵を日本に上陸させた時点で日本の防衛は終わっていますよ>

(飯柴)高い調達価格ということでいうと、空自のグローバルホークもアメリカの言いなり、ぼったくりで買わされていますね。

――大型の無人偵察機グローバルホークは、最初に導入が決まったときには3機で510億円という見積もりでした。ところが後になってアメリカは「日本向けの製造に追加費用がかかる」と言いだして、510億円が630億円になりました。搭載レーダーの在庫がないので代替品を作るからカネがかかるんだそうです。

(飯柴)ふざけた言い分ですよね。そもそも在庫がないのは契約の時点で分かっているはずでしょう。

――しかも、これとは別にメンテナンスの費用として毎年100億円を支払うことになっているらしいです。そこにはグローバルホークが配備される三沢基地に駐在するアメリカ人技術者40人の生活費として30億円が含まれているという報道があります。

(飯柴)ひとりあたりの生活費が1年間で7500万円!いったい何に使うんですか。馬鹿げた話ですよ。

――さすがにこれは導入中止を検討しているともいわていれます。

 

・(飯柴)敵が数十キロ圏内にいないと役に立たないわけですよね。敵国が日本の沿岸数十キロ以内に迫っているとしたら、それはもはや制空権と制海権を奪われた状態だと考えるのが常識です。MLRSは発射する前に潰されてしまうでしょう。しかもMLRSは陸上の標的に向けて撃つもので、海上の標的に撃つものではありません。国土防衛という観点で考えたらまったくの無用の長物です。

 

<住民はどこに消えた?>

(飯柴)ところで、さっきの図に重要な要素が欠けていることに気付きましたか?

――うーん、分かりません。

(飯柴)それは住民です。この国のどこにも住民の存在が書かれていませんよね。

――敵に皆殺しになっているということですか?

(飯柴)まさか! これは山桜でもそうですが、そもそも住民がいるということを考えてはいけないんです。

――狭い日本だから敵がどこに上陸しようとも、かならず住民がいます。その人たちは想定される戦場からできるかぎり離れようと家財を積んで逃げるはずだから、国道や高速道は渋滞になっちゃいますよね。そのあたりは、演習で検討しないんですか?

(飯柴)私の記憶するかぎり、そうした要素は演習から省かれていましたね?

――作家の司馬遼太郎先生は戦争末期、戦車隊の小隊長として栃木県佐野市におられたそうです。そのとき、アメリカ軍が上陸したら佐野から東京に出撃すると聞いた司馬さんは若い将校に「そうなれば市民は大混乱になりますが、どうすればいいですか」と聞いたところ、一言「ひき殺していく」と答えたそうです。このときに感じた、「日本人はどうしてこんな馬鹿になったのだろう」という疑問が後の創作活動の原点になったそうですが、そのときと変わっていませんね。

 

<本土決戦は愚の骨頂>

――話を戻しましょう。山桜演習で行なわれている本土防衛プランというのは、まったくの机上の空論だというのは分かりました。そもそも本土に敵が上陸した時点でゲームオーバーだというのが飯柴大尉のご指摘でした。

(飯柴)極論に聞こえるかもしれませんが、自分は陸上自衛隊不要論で考えています。陸自の大前提は本土防衛ですが、その本土防衛という目的を達成するには戦車をどれだけ持つかよりも、空自や海自に制空権、制海権を守ってもらいことが必須です。制空権、制海権が奪われて、上陸作戦を行なわれたら結果は火を見るより明らかですよ。

 

<離島奪回には揚陸作戦は不要>

(飯柴)そもそも海兵隊というのは外征専門部隊です。ご承知のとおり、海兵隊が創立されたのは敵国の海岸に上陸強襲するためです。今では航空機で敵地の奥深くに入るということのほうが多いわけですが、外征部隊である基本は変わりません。現状では憲法9条という縛りがある以上に、外征などありえない自衛隊がどうして日本版海兵隊をつくるのか、理解に苦しみます。

 

・(飯柴)自衛隊を活躍させたいんだったら、まず敵機や敵の艦艇、潜水艦が離島に近づいてきた段階ですみやかに撃退させればいいだけのことです。仮にそこで撃退できなくて上陸を許したとすれば、これは離島防衛作戦の失敗を意味します。そうじゃないですか?

 

<ミサイル撃墜よりも先制攻撃>

(飯柴)とりあえず、対ロシア、対北朝鮮、対中国――この3つの仮想敵に対応する。

 

<陸自不要論>

・(飯柴)8割は不要と言いましたが、それは「防衛力として」という意味で、台風や地震などの災害対応部隊は必要です。日本版FEMA(連邦緊急事態管理庁)を創設します。また、PKOなどの国際貢献部隊も必須ですから、それは別途組織を作って残します。

 

<自衛隊はなぜ「ダメな軍隊」になったのか>

地位協定の前提は「日本全土戦場化」>

――つまり、これは共産主義からの侵略があった場合、日本全土を戦場にするぞという意味なんです。

(飯柴)なるほど、そこが日本の出発点なんですね。だったら日本の陸自があんなにたくさんの戦車を持っているかが理解できます。要するに日本の自衛隊は日本を守るためでなく、アメリカの尖兵になる。だったら、日本で敵を上陸させて、そこで迎え撃つというシナリオは合理性がある。でも、それって「自衛」隊ではないですよね。日本が焦土と化してもかまわないという話です。

 

・(飯柴)なるほど、だからすでに敵が上陸しているという前提で演習を行なっても別にかまわない――いや、かまわないことはないでしょう。自分の国なんですよ ⁉ 自国が捨て石になって、焦土となってもかまわないなんて「戦略」、ありえませんよ。

 

軍法会議なき日本

・(飯柴)最も強調したいのが「日本にはセキュリティ・クリアランスがない」ということです。つまり、秘密保持の対策がまったくできていない。いくら強い軍隊をつくろうとして高い武器を買っても、情報管理ができていなければ意味がありません。日報問題にせよ何にせよ、多くの問題の根源にはこの「クリアランスの欠如」があります。

 

・(飯柴)でも、流出元とされて逮捕された3等海佐は当然、終身刑ですよね。

――懲役2年6ヵ月、執行猶予4年で判決が確定しました。

(飯柴)米国ではありえない判決です。スパイ行為は基本、仮釈放なしの終身刑です。

(飯柴)おまけに自衛隊には軍法会議がない。これはありえないですよ。

 

・(飯柴)何でも米軍の真似をする自衛隊が、まったく真似していないのが、セキュリティ・クリアランスです。つまり機密情報を取り扱う資格があるかどうかをチェックする制度です。これは自衛隊だけでなく、国会議員、警察などの司法関係、さらには民間の防衛産業の関係者もクリアランスを受けないといけません。ちなみに米国の場合はこのクリアランス制度はどの連邦職員も共通のもので、各省庁で異なるということはありません。

 

なぜ日本の自衛官には機密情報を見せてないのか

・(飯柴)でも、その自衛隊の1佐は米軍のクリアランスを受けているわけではないので、この1佐にかぎらず、クリアランスを保持していない人物がSCIF(機密情報施設。スキフと発音)に入る場合は、コンピューターの画面はすべてシャットダウンし、プリントアウトした機密書類も鍵が付いた金庫に収納したうえで入室してもらいます。その後に続くブリーフィングもグリーン色のファイルで行ないました。

 

・(飯柴)ひと口に機密といって、情報の機密性には何段階もの区分があります。機密性の低いものから順番に紹介していくと、

  1. 区分外(Unclassified)――機密でも何でもないもの。
    1. FOUO 公式使用のみ。外に持ち出してはいけない。
    2. SBU 区分外だけで、他言無用。「取扱注意」
  2. マル秘(コンフィデンシャル) これ以上の段階になるとシークレット・クリアランスの資格が必要になります。
  3. 極秘(シークレット)
  4. 最高機密(トップ・シークレット) シークレット・クリアランスのさらに上のトップシークレット・クリアランスを持っていないと見られません。

4-1 TS/SCI 日本語に直すと「最高機密防護所要区分情報」

 

これ以外にもTS/SAR(特に許可を得た者のみ閲覧可能な最高機密)というのもありますし、さらに詳細な振り分けがありますが、話が長くなるので省略します。

 

・(飯柴)米軍は日本のセキュリティ・クリアランスを信頼していません。それは日本国の首相相手でも同じで、開示している情報はすべて機密指定外のものばかりです。

 

――アメリカ大統領をファーストネームで呼び合える仲になっても関係ない。

(飯柴)もちろんです!もし、セキュリティ・クリアランスを受けていない人間に国家の秘密を漏らしたら、大統領であろうと国家反逆罪です。

――トランプ大統領がプーチン大統領に情報を流したのではないかと大問題になっていますが、それもこれなんですね。

(飯柴)トランプ大統領は今のアメリカの最高権力者ですが、しかし、どんなに権力があっても勝手に機密指定を破ることは許されません。それをやったら無条件でアウトで、大統領は職を追われることにつながります。それほどの犯罪行為です。だからそういった報道がデタラメだというのは、クリアランスに関わった人間だったらすぐに分かることです。

 

セキュリティ・クリアランスとは

・(飯柴)アメリカでも同じで、民間の信用調査会社に問い合わせて調べます。

このファイナンスチェックは犯罪歴やメディカルチェックとは違って、100パーセントごまかせません。アメリカに居住している人間は皆9桁の社会保障番号、ソ-シャルセキュリティナンバー(日本のマイナンバーに当たる)を持っていて、この番号で経済活動が紐付けられています。番号が分かれば、借金があるかないかなど、その人の経済状態が一発で分かるんです。そして、その人の経済状態はスコアで表示されます。

 

・(飯柴)自衛隊員を含む公務員は言うまでもないですが、国会議員も当然、クリアランスを受けてもらいます。国会議員の下で働く秘書も同様です。さらに、三菱重工や富士重工など、政府と契約している民間企業の人間もクリアランスを受けてもらわないといけません。政府の情報を知りうるわけですから。

 

・(飯柴)だから国家安全保障というのは、カネと時間と手間のかかる作業なんです。悠長なことは言っていられません。すぐに始めないと。現に中国やロシアは日本の情報を虎視眈々と狙っています。

 

・(飯柴)今のようにセキュリティ・クリアランスが充分になされていないのでは日米間の本当の情報共有などできるわけもない。

 

・(飯柴)アメリカが日本の核武装に反対するのも、根本はそれが理由だと思います。今のままの状態で日本が核を扱うようになれば、核兵器に関する情報はもとより、核兵器そのものが流出しかねませんからね。

 

なぜ日報問題は深刻なのか

・(飯柴)すでに述べたことと重なりますが、日報問題はまさに自衛隊の情報管理の緩さが現れたものですよ。

 

・(飯柴)これは「普通の軍隊」ならば軍法会議ものですよ。

――戦後の日本には軍法会議がありません。つくろうと思っても、憲法の規定でそれが禁止されています(第76条2項 特別裁判所は、これを設置することができない。)

(飯柴)そこも日本の自衛隊の大きな欠点ですね。

 なぜ軍隊にかぎって、特別な法(軍法)と特別な裁判所(軍法会議)が必要かというと、たとえば情報を外部に流出することは国家の危機に直結しかねないからです。

 

日本の平和ボケという病は重症なんですよ

・――セキュリティ・クリアランスを徹底しようとしたら、軍法会議までつくらないといけないわけですね。日本の自衛隊が「普通の軍隊」になるにはやらなきゃいけないことが多すぎますね。とても憲法を改正するくらいでは追いつかない。

 

(飯柴)そして鋭い方はもう気がついたかもしれませんが、セキュリティ・クリアランスのシステムを確立するには莫大なお金がかかります。OPM(人事管理局)の組織構築と人件費、各人のレコード・チェックにかかる捜査費用、秘匿回線ネットの構築、そしてその管理、情報の振り分け作業など、考えただけでもいくらかかるのか予想がつかないくらいです。額だけでなく、時間と手間もかかる作業です。

 

<ロシアと韓国の動きも重要>

(飯柴)それはこれまで何度も言ったとおりですよ。アメリカはアメリカの国益しか考えません。「日本を守る」ということはそこには含まれていません。それに米中の軍事衝突が起きる可能性はゼロではなく、その場合、日本が巻き込まれる確率はほぼ100パーセントと言っていいでしょう。その覚悟はすべきです。

 

911は「超限戦」の一環だった?

・(飯柴)アルカイダに対して中国が、なんらかの形で関わっていることは明白です。アルカイダから捕獲された武器やIED(即席爆発装置)、対戦車地雷などの多くは中国製ですからね。中国はアルカイダの動きについてなんらかの情報を得ていたのは間違いありません。

 それにその後の展開を見れば、911が中国の軍部にとって有利に働いたのも否定しがたい事実です。

 

<はたして日本は核武装すべきか?>

・(飯柴)彼ら(北朝鮮)が核兵器開発にぶち込んでいるのは、わずか2000億円弱と言われています。

――日本は年間5兆円、過去70年間、防衛予算をつぎ込んでいながら、アメリカ様の言いなりです。

・(飯柴)日本はアメリカ、ロシア、中国、北朝鮮と核兵器を持った国々によって囲まれています。そうした国際環境にあって、日本だけが持っていない。「普通の国」ならば、自分も核兵器を持とうと考えます。また、それを当然とするのが現代の国際社会です。

――核兵器製造可能なレベルの濃縮プルトニウムが日本には核爆弾数千発分あると言われています。

 

<核兵器の前にセキュリティ・クリアランスの構築を>

・(飯柴)でも、今の日本では材料があっても核兵器はつくれません。そもそもまともなセキュリティ・クリアランスさえできていないわけですから、そこから始めないとダメです。

 

・(飯柴)ですから国内にいる中国人はふるいにかけ、不法滞在者や犯罪を犯した者はバンバン強制送還し、送還前に指紋やDNAを採取しておいて再入国が不可能なようにするべきでしょう。これをやらないと日本が中から腐ってしまいます。

 

<第二の敗戦を避けるには>

・(飯柴)もちろん国防予算には限りがありますし、日本は莫大な国家債務を抱えています。カネに糸目をつけない軍拡なんてできるはずもないのですから、日本の採るべきCOA(統合作戦計画立案実行システム、任務遂行計画)は何かを徹底的に検討して、国家の体力に見合った形での改革をするしかない。その努力を怠っているのがいちばんの問題点です。

――冷戦時代の発想のまま、無駄なカネをダラダラと毎年使っている。「緩慢なる自殺」をしているのは今の日本ということですね。

 

飯柴智亮

軍事コンサルタント/元アメリカ陸軍大尉。1973年東京都生まれ。16歳で渡豪。米軍に入隊するため19歳で渡米。北ミシガン州立大学に入学し、士官候補生コースの訓練を修了。99年に永住権を得て米陸軍入隊。

・11年アラバマ州トロイ大学より国際政治学・国家安全保障分野の修士号を取得。著書に『第82空挺師団の日本人少尉』(並木書房)等。

 

 


「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した。(1)

2021-08-28 17:15:28 | 森羅万象

 

 

『21世紀の戦争と平和』

徴兵制はなぜ再び必要とされているのか

 三浦瑠麗    新潮社  2019/1/25

 

 

 

いかに平和を創出するか

・したがって、本書では平和について規範的な議論を行うものの、あくまでもそれが人びとの利害構造や自然な感情を土台として展開するように留意している。「間違った戦争をしてはならない」という規範を述べるにとどまらず、人びとが政治的感情をもつときに当然に介在するナショナリズム、同胞意識といった強い感情を受け容れる。その上で、ナショナリズムや同胞意識が、戦争を思いとどまるにあたってある働きをしていることを積極的に評価する。この点は、本書の重要な特色の一つだろう。ナショナリズムを活かした平和主義というと、かつてイギリスの知識人が、ナポレオンのフランスや軍国主義のプロイセンを見て、自らの国が優れた平和性を持つと主張したようなことを想起する人もいるかもしれないが、本書の主張はそれらと同列のものではない。むしろ自国を含めて国や社会のあり方を批判的に見つつ、ナショナリズムと同胞意識を平和に活かすという発想である。そこにおいては、「血のコスト」と、「負担共有」という発想がカギとなる。

 

・平和を求めない人は少ない。しかし、平和のイメージはそれぞれの国で異なるだろうし、国内でも平和を実現する手段をめぐって激論が戦わされる。そうした中で、ひとまず生存を確保した国家が熟慮すべきは、国家が軍という実力組織を有していることの意味と、その自己抑制の方法であろう。リアリズムの神髄は熟慮であり、それが欠けている社会に平和は訪れないからだ。

 

変動期世界の秩序構想

変動期に入った世界

ポスト「冷戦後」はカオスか

・冷戦が終結して四半世紀の時が流れ、世界は二極でも単極でもない、多極の時代になだれ込んだ。領土紛争や軍事的緊張が残存する地域では、国家間での古典的な勢力争いがエスカレートする危険をはらんでいる。長い雌伏の時期を経て台頭した中国や軍事大国ロシアの「失地回復」の動きも活発化している。他方で、2010年代初頭の「アラブの春」に存在した中東の民主化への期待は空しくしぼみ、破綻国家や自国民の生活を破壊する政府が作り出されてしまった。

 

・全てをカオスと見るか、それとも不確実性の中で世界が秩序や平和を取り戻そうとする調整の過程と見るのかによって、現在の一つ一つの出来事の解釈が違ってこよう。私たちは、最近、国家の方針転換や変化をいくつか目撃しているが、その解釈は定まっていない。例えば次のようなニュースである。

◎2016年3月29日、日本の安倍晋三政権下において集団的自衛権を容認する安保法制が施行された。

◎2017年5月7日、徴兵制復活を公約とするエマニュエル・マクロンがフランス大統領選に勝利した。

◎2018年1月1日、スウェーデンが2010年に廃止されていた平時における徴兵制を復活させた。

 

結論を先取りすれば、これらの試みは、戦争を抑止し、平和をもたらす新たな構造を作り出そうとする国家の自助努力であると私は考えている。1945年以降の秩序に寄りかかっているだけでは、国家も平和も維持できない時代が到来したからだ。むろん、安全を確保しようとする試みはときに軍拡競争を生んでしまうという有名なジレンマがある。「合理的な行動」が不合理な結果を生んでしまう構造として、幾度となく指摘されてきただから国家の本能に任せていてはいけないのだという意見は正しい。けれども、いま私たちが直面しているのが単にそのようなジレンマを生んでしまう構造なのか、それとも先ほど提起したような、ポスト「冷戦後」へ向けた新たな対応という大きな文脈のなかで理解すべきことなのかは、検討してみなければわからないだろう。

 

アメリカの内面化が与えたダメージ

・これまで、西側の平和はアメリカが提供する圧倒的な公共財と投資、開かれた市場、それらを支える軍事力によって成り立ってきた。冷戦後には、東側陣営が西側の経済圏に組み込まれることでグローバル化が急速に進展し、公共財を提供してきたアメリカの力が持続することによって、世界はさらなる平和と繁栄を享受できるかに思われた。

 

十年スパンの因果関係で考えてみる。すると、混乱の原因はアメリカのイラク戦争とアフガニスタン戦争に求めることができよう。これらの戦争で挫折し、国力を費消したアメリカが結果として内向きになったことで、世界は大きな転換点を迎えることになったからだ。

 

・およそ四半世紀続いた「冷戦後」という時代は、BREXITの国民投票とトランプ大統領当選があった2016年には明白に終わりを告げた、と私は考える。後世の歴史家は、時代の終焉の地点を私たちより明確に指定することができるだろう。

 

民主的平和論はなぜ下火になったか

・ここでいう方法論とは、「民主化こそが問題を解決する」という認識を指す。つまり、冷戦後の失敗の経験によって、人びとは「民主化がすなわち平和を意味しない」ということを痛いほどわかってしまったのである。急激な民主化は内戦を呼ぶ場合もあったし、民主化した後の世論が平和的だとは限らないことも分かってきた。

 

・民主主義であることに疑いがない国々の行動も、平和とは程遠いものがある。アメリカをはじめとする西側先進国が行った戦争も、決してなくなったわけではないからだ。イラク戦争、アフガニスタン戦争、レバノン戦争など、不毛な戦争がたびたび戦われてきた。これらの戦争は、民意によって後押しされた戦争であった。

 

過去の安定に引きずられる危険

・そこで、アメリカの存在感が低下していく将来の見通しを踏まえ、1945年以降の常識を前提としない現代的な平和のための処方箋を考えていく必要がある。そのためには、国際的な構造全体として戦争を抑止し、平和を実現する構想が必要であるが、その過程では一国の政策、つまり内政が支配する領域にも踏み込まざるを得ない。

 

民主主義を前提とした同盟管理

・「民主主義は最悪な政体である。これまで実在したほかのいかなる政体を除いては」と言われる。これは、民主主義の決定が合理的であるとは限らないが、だからと言って民主主義を否定するのではなく、他の要素を取り込んで民主主義を補強していくべきだとする考え方だと言い換えることができる。

 

・まとめれば、安保法制の位置づけは、東アジアにおける安全保障環境の悪化とアメリカの内向き化のなかで、日米同盟の信頼性を強化することで、軍拡競争に一国で立ち向かうことを避けようとするものだった。しかし、将来にわたって日本の民主主義が軍事行動に対して抑制的であり続けられるかどうかは、まだわからない。

 

「シビリアンの戦争」の時代

・民主主義を前提としたうえで、平和を実現するために調整を行わなければならない最大の理由は、民主主義が戦争を選んでしまう可能性があるからである。

 経済的に豊かな先進国では、実際に戦場に赴き血を流すリスクを負う兵士たち、つまり「血のコスト」を負担する人びとは、往々にして一部の層に偏りがちであるそれゆえ、こと総動員ではない限定的な戦争においては、「血のコスト」を負担しない統治者や市民層が、不必要で安易な開戦判断に傾く危険がある。

 たとえば、2003年のイラク戦争のように、専門家である軍からすると必然性が低く、またリスクが高いと思われる戦争であっても、アメリカのような安定したデモクラシー国家では政治や民意の力が強いゆえに、軍の反対を押し切る形でよく考え抜かれていない攻撃的な戦争が起きてしまうことがある私はこのような戦争を「シビリアン(文民)の戦争」と名付け、警鐘を鳴らしてきた。

 

・シビリアンの戦争は、総動員がかかるような大戦争ではないところに重要な特徴がある。限定的な戦争である限り、シビリアンが負う戦争のコストは相対的に低いし、「血のコスト」の負担は一部の階層に集中するので、現実の犠牲が国民全体に強く感じられることはない。現代の豊かな民主国家では、軍は厳正なシビリアン・コントロールの下にあるが、見方を変えれば、それは自らが戦争に行くとは考えない国民が兵士の派遣を判断していることを意味する。歴史を繙けば、実に多くの民主国家が、民主的正当性のもとに安易な戦争を繰り返してきたことがわかる。

 

・そこで前著では、「シビリアンの戦争」を避けるためには、国民が血のコストの認識を共有できるような仕組みを導入すること、つまり国民一般を対象とした平等な徴兵制を導入することを解として示した

 

「徴兵制」復活は何のためか

・フランスのマクロン大統領による徴兵制復活の公約や、スウェーデンでの徴兵制復活の試みを、どのように理解することができるかを考えてみよう。

 まずロシアの脅威が再び欧州を脅かしつつあることが背景にあるのは確かだろう。スウェーデン政府は、かつては軍隊の花形であった、対露

防衛の拠点であるゴットランド島への配属志願者が不足していることに危機感を持っている。フランスはロシアと共存しつつも、その勢力浸透に警戒心を抱いている状況だ。

 しかし、兵器の高度化が進んだ現代戦においては、もはや徴兵制は軍事的には役に立たない。それどころか、軍隊が面倒を見なければならない素人が増えるだけで、むしろお荷物であるという評価の方が根強い。徴兵制の訓練には多額の予算が必要となり、ただでさえ苦しい軍事予算を圧迫する可能性があるからだ。現に、フランス軍は徴兵制の復活に否定的であった。

 

・反対に、スウェーデンでは、軍が徴兵制の復活を望んでいた。それは、端的に言えば人員が欠乏していたからであり、引き続き有能な軍隊を維持しようと思えば、志願兵だけでは定員を賄いきれなかったからである。

 

変革期世界の秩序構想>

平和を創るための5つの次元

・1次元;大戦争の抑止、2次元:国際的取り決めと制度化、3次元:政府の意思決定における自制、4次元:紛争抑止と平和構築、5次元:人びとの敵意の逓減

 

つまり、誰かが政府のように強制力をもって粛々と法執行してくれることが期待できない国際社会では、やはり核戦争に発展する恐れのない戦争は起きてしまう

 

国家の意思決定を拘束するもの

・では、そのようなシビリアン・コントロールの下で、自衛や懲罰の目的で頻繁に起こる戦争を、この第3の次元である「政府の意思決定における自制」の段階で食い止めるにはどうすればよいだろうか。

「シビリアンの戦争」の経験に学べば、一つの考え方として、血のコストの担い手である軍のプロフェッショナリズムからなされる提言を、政治が重く受け止め、受け容れることがあげられよう。これは、民主主義が健全な判断をしにくいときに、非民主的な要素を持ってバランスするという考え方に基づくものである。

 もう一つは、戦争における国民の負担共有を明示しておくことで、開戦決定の際に国民がそのコストを自覚した上で判断できるようにするやり方もあるだろう。特に血のコストの平等負担を課すことにより、国民の多数がより慎重で抑制的な態度を示すことを期待するというシナリオである。

 

内戦を防ぐ次元の努力

・第4の次元は、戦争抑止と平和構想、いわば内戦を防ぐための取り組みである。全世界が内戦のない統治の安定した国々であれば、そもそも第1から第3までの次元ではほとんどの戦争は防げる。しかし、実際にはそうではない。戦争がない状態というのは、何も対外戦争がないことだけを意味するのではない。近年、武力紛争の多くを占めているのは、むしろ内戦だからである。

 

望まれたグローバリゼーションの次元

・もちろん、国家や武装勢力が互いに敵意を抱えながら、第1から第4の次元によって戦争を思い止まることが平和の最終形態ではない。最終的には、互いに敵意を逓減していくことが求められる。

 

・そこで、第5の次元には、時代の底流にあるグローバリゼーションの力学をおく。というのも、それこそが国家間の相互依存関係を促進する要因となっており、それによって平和が確立していくことが想定されるからだ。すなわち、貿易や投資などの経済活動を通じた相互利益、相互依存の増進や、人びとの移動や交流に基づく相互理解を通じて、全般的な敵意の低下がもたらされるという仮説である。

 

現時点での平和への課題を確認する

・こうしてみると、いま、世界が平和へ向かう道のどの段階に私たちが位置しているかが明らかになる。グローバリゼーションの深化による長期的な敵意の逓減という第5の次元に手をかけつつも、第3と第4の次元のところで苦悩している。とくに第3の次元において、まだ国家や

人びとは血のコスト負担に充分に思いを巡らし、戦争を思いとどまる段階には到達していない。

 20世紀後半以降の世界における「進歩」は、大戦争を防ぐことができたという点だろう。

 

カント再訪

<「永遠平和のために」

・本書が示した、現代的な平和創出のための5次元論は、冷戦構造やアメリカの覇権を前提としていないので新奇に映るかもしれないが、けっして無から紡ぎ出されたものではない。世界政府というものが存在しない、無政府状態を前提とする以上、規範や動機付けで国家意思を縛り、民主的な意思を平和に導き、そして長期的に敵意を逓減していくという5次元論は特に変わった建付けではなく、これまでも度々論じられてきたものだ。

 

・民主国家を前提とした戦争抑止のための包括的な構想のなかで、古典となっているのは、やはり18世紀の哲学者イマヌエル・カントの晩年の著作『永遠平和のために』である。随分と昔の書物を持ち出すと思われる方がいるかもしれない。

 

・カントは、当該書で「常備軍の廃止」、「共和政の実現」、「国際法の確立」などを訴えた。

 

平和と共和政という二つの目標

・さて、『永遠平和のために』の議論が優れているのは、その目指す目的において、国際的な平和と国内正義のどちらにも偏ることがなく、両者の実現を目指している点である。

 

三つの確定条項

・彼の提言を見てみよう。『永遠平和のために』は、文字通り世界が永遠に平和になるにはどうしたらよいかを正面から論じている。

 

そのことを端的に表しているのが、カントが設けた確定条項と予備条項という二種類のハードルである。

 まずは、より本質的な条件であるところの、確定条項について見ていきたい。

 カントは、永遠平和を達成するための本質的な方策として、

(Ⅰ)国家を法の支配に服する自由で平等な市民による共和制とし

(Ⅱ)その国家の連合制度としての国際法を重視したうえで

(Ⅲ)世界市民法により外国人にも安全と入国の自由など最低限の権利を認めること

 

厳しい予備条項

・カントの定義した永遠平和のための前提条件は、第6条まである。より簡素な表現でまとめると、

  • 休戦に過ぎない協定は平和条約と見なさない
  • 独立国家の継承・交換・買収・贈与を禁止する
  • 常備軍を時とともに全廃する
  • 対外紛争に関わる国債発行を禁止する
  • 暴力による内政干渉を禁止する
  • 戦時における各種の秘密工作や条約違反を禁止する

 

カントの国民への懐疑

・カントは、常備軍の廃止を求める項で、次のように述べている。

人を殺したり人に殺されたりするために雇われることは、人間がたんなる機械や道具としてほかのものの(国家の)手で使用されることを含んでいると思われるが、こうした使用は、われわれ自身の人格における人間性の権利とおよそ調和しないであろう」。

 常備軍の廃止の提言には、強い軍備そのものが軍拡競争を誘発することへの懸念に加えて、権力者個人が軍隊を保持することや、国民を戦争の道具として強制的に動員することへの強い忌避があった。

 

兵士を国民化する試みへの応答

・なぜ、カントはそのように考えるに至ったのか。それを探るカギは17世紀後半から18世紀にかけての西欧世界の進歩にある。1648年に宗教戦争である30年戦争が終結し、ウェストファリア条約が結ばれ、主権国家の存在感が増し、帝国と教会の支配や権威が減退していった

 

郷土防衛軍とは何か

では、カントが想定した常備軍の代わりの軍隊、郷土防衛軍とはどのようなものだろうか。基本的には定期的訓練以外は普通の生活を送り、外に攻めていくことを目的としない、専守防衛の一般市民からなる軍隊である。有事のみに編成される軍隊だが、カントの生きた時代はまだ兵器が高度化されておらず、歩兵の威力が強くなってきた時代であったので、日頃から市民の防衛の士気を高め、軍事演習さえ積み重ねておけば国防は達成できると考えられたのだろう。

 

この郷土防衛軍の構想は、現代に置き換えれば、いわば民主国家が、国土防衛のための訓練のみを課す「徴兵制」を、全国民に平等に導入することと同義と言えるカントの郷土防衛軍のイメージに現代で一番近いものは、国民皆兵のスイスになるだろう。もっとも、スイスにそのような防衛体制が可能なのは、自然の要衝としての地の利に加え、ヨーロッパ内の緩衝地帯としての地位を確立しており、さらに地方分権のカントン制(地方行政区分)を有しているからであって、すべての国がスイスのように永世中立国家になれるわけではない。

 

国家観と人民観の共存

・そのひとつが、外国人の移動を許容すべきだという確定条項の第3項である。カントは永遠平和のためには、国家間の平和構想だけでなく、個人のレベルでも国境や民族を超えた信頼醸成が必要だと考えており、これも時代を先取りしたものだった。カントの時代には、庶民が国境を越えて行き交うことはまれであり、ここでカントが念頭に置いていたのはエリート層、すなわち外交官であり、あるいは他の宮廷や領主のお抱えとなる文人や芸術家、そして貿易網をもつ商人といった人びとだった。

 

19世紀以降の展開

・ところが、歴史の展開はカントの敷いたレールとは異なっていた。フランス革命の直後に『永遠平和のために』を出版し、共和政の広がる世界を夢見たカントは、19世紀を通じて裏切られ続けることになる。まずはフランス革命自体が暴政化してナポレオンの独裁に転じてしまい、平等な徴兵制からなるフランスの国民軍がヨーロッパ全土に攻めこんでいくことで平和が壊れるという事態が出現した。

 

カント2.0

・では、カントを現代に応用するとすれば、どのように再解釈できるのか。そして、その場合に国家の多層的な平和のための努力はどこまで進んでおり、課題は何か、という具体的な問いについて考えてみたい。カントの確定条項と予備条項をもう一度振り返ろう。

 

確定条項

(Ⅰ)国家を法の支配に服する自由で平等な市民による共和制とし

(Ⅱ)その国家の連合制度としての国際法を重視したうえで

(Ⅲ)世界市民法により外国人にも安全と入国の自由など最低限の権利を認めること

 

予備条項

  • 休戦に過ぎない協定は平和条約と見なさない
  • 独立国家の継承・交換・買収・贈与を禁止する
  • 常備軍を時とともに全廃する
  • 対外紛争に関わる国債発行を禁止する
  • 暴力による内政干渉を禁止する
  • 戦時における各種の秘密工作や条約違反を禁止する

 

・前述の平和のための5次元論で洗い出した課題に、「カント2.0」をふたたび照らし合わせると、次のように三つの現代的な課題が見つかる。

(1)民主主義の判断を健全にし、国民が武力行使を自制するようなコスト負担共有のメカニズムがあるか(第3次元の課題

(2)国際法を遵守しつつも平和構築活動を行うため、「正しい戦争」の概念を、現代的かつ抑制的に定義できているか(第2次元~第4次元にかかわる課題

(3)グローバル化を引き続き進めていくうえで、国内の反発に対応しなければならない国民国家の求心力が減退していないか(第5次元の課題)。

 

したがって、「カント2.0」の命題に則り、かつ先に示した5次元論に沿って民主主義を平和に導くための喫緊の課題というものが特定できる。ごくシンプルに表現すれば、正しい戦争を再定義し、民主国家における負担共有を実現して、国民国家を強化するということになろう。

 

カント2.0のための予備条項

・つづいて、予備条項の再定義に戻ろう。予備条項の中で明確に満たされていないのが、先に述べた通り、戦時国債の禁止と常備軍の段階的廃止である。とはいえ、主権国家から国債の発行権を奪うことはできないから、こちらを禁ずることは無理だろう。ただし、民主主義国家が自らの体力以上の戦争を始めないようにするため、戦争のコストを「見える化」することには大きな効果がある。

 

誰が「血のコスト」を負担するのか

戦争のコストには大別して「経済的コスト」と「血のコスト」の二つがある。経済的コストは、ときに政権の甘い見積もりや情報隠しなどによって見えにくくなることがあるものの、比較的話題に上りやすいコストといえる。それに比べると、負担の実感が出にくいのが血のコストである。本書では、歴史から兵士の実情を採ることで、血のコスト負担が偏在してきたことを明らかにして、議論の土台としたい。

 

歴史的な政軍民関係
見えにくい兵士
・戦争で血を流すのは誰か。巻き添えとなる一般市民の被害者ではなく、兵士に着目して、彼らにシンパシーを抱きつつ、この問いを探ろうとする試みは少ない。

 軍事研究の先端は勝利をめぐる戦略や戦術であって、必ずしも兵士の物語ではない。逆に、平和研究の観点からすれば、国家が国民を駆り出すこと自体が非難されるべきことであり、その先にある兵士が蒙る被害に着目する視点は乏しい。さらにどのような戦争でも間違っているという立場をとる平和主義者にとっては、良い兵士とはすなわち悔い改めて反戦に転じた兵士だけだ、としたら言い過ぎだろうか。

 

つまり、軍事研究の立場を取れば、兵士は守るべき国民ではなく戦争の道具であり、平和研究の立場からすれば自ら志願する兵士は理解しがたい異質な存在なのである

 

・要するに、血のコストが見えにくいのは、国民から兵士の存在が見えにくいからなのである。

 

守護者としての政治家と軍人

・私たちが政府と軍と国民の関係性を考えるとき、つい、現代の先進国における実状を投影してしまいがちだ。しかし、今の政軍民の三角関係は、歴史上のさまざまな変化を経て、ここに落ち着いたものである。

 

羊と羊飼いと犬と狼と

・ソクラテスやプラトンは、国の「守護者」集団を、知識を有する統治者とその補助者としての軍人とに分け、統治者(羊飼い)が市民(羊)を治め、軍人(犬)が内外の敵(狼)から市民を守ることを理想とした。

 

都市共同体から帝国、軍の辺境化へ
・時は移り、地中海世界を支配するようになったのはローマだった。ローマというのは面白い素材で、その栄枯盛衰を見ることで、さまざまなことを学べる人類にとっての遺産である。政軍関係についても例外ではない。

 ローマでは、統治者と軍、市民の関係がギリシャの都市国家よりも大規模に展開した。

 

スイス

中立を可能にする条件
・スイスは最もよく知られた永世中立国だろう。この国もスウェーデンと同じく非同盟と徴兵を用いた重武装に立脚して自律性を守ってきた。スウェーデンは志願兵と選抜徴兵からなる常備軍のほかにおよそ2万1千人の国土防衛の民兵を擁しているが、スイスはさらに極端な政策をとっている。文字通り男子国民皆兵の制度を維持しているのだ。18歳に到達すると、男子は11週間の軍事教練を課され、以後34歳まで、1年に1回の短期訓練に戻る

 

・現存する徴兵制の中では、スイスの国民皆兵制度が、辞書的な意味での「民兵」――常備兵に対して、平時は一般の職業に従事しながら定期的に軍事訓練を受け、有事の際に部隊を形成する兵のこと――に最も近い制度といえるかもしれない。そのような極端なまでに国民の間に国防意識を高める一方で、政治はあくまでも地方分権であり、現在は26のカントン(地方行政区)ごとに高度な自治を行っている。連邦政府は、2018年時点でコンパクトな約2万1千人規模のプロの現役将兵からなる陸空軍を保有し、司令、防空と国境の防衛に努めている。国民皆兵制の下で軍に組み込まれた約14万4千人の予備役と、7万4千人ほどの民間防衛部隊がその軍を支える。中立国とはいえ、もしも敵に防空網が破られ国境内に侵入されたならば、スイス国民は全土でその敵に応戦するものとされる。第2次世界大戦中に、スイスは中立を保ったが、国境警戒のため85万人の国民が軍に組みこまれた。

 

・もちろん、どの国でもスイスのようになれるわけではない。スウェーデンが北欧の厳しい自然条件に守られているように、スイスも自然の要塞に囲まれ、地理的特徴が永世中立を保つことに味方している。また、もっと赤裸々な現実もある。つまり第2次世界大戦中にスイスが中立国としての地位を維持できたのは、双方の陣営にとって便利な、とくにナチスドイツにとっては最も価値のある、都合の良い商売相手だったからに他ならない。

 

戦わない徴兵制

・これまで、スイスでは徴兵制の存続の是非をめぐる国民投票が三度行われている。毎回、圧倒的多数で存続が支持されており、国民からの強い支持が窺える。

 

・そのようにして、1996年、ついにスイスはNATOとのパートナーシップ協定に加入する。スイスは、ヨーロッパや世界に冷戦期のような敵対関係が生じていなければ、NATOの多国籍軍に参加しても中立を損なうことにはならないと考えたのである。

 

移民を統合しない国家

・さて、イスラエルとスウェーデンの例で見てきたように、先進民主国家において共和国性を損ないかねない重大な論点は、一つは軍務負担の共有のあり方であり、もう一つは移民の受け入れとその扱いであった。

 スイスは、およそ840万人の人口を擁し、約218万人の外国人を受け入れている。

 

スイスは移民に恩恵をあまり与えず、国民と移民の峻別を堅牢なものとする一方で、先進国では稀にみる厳格な国民皆兵制度を維持し、国民の統合を強化している。そして自国との利害関係の薄い域外紛争には無関心を貫き、最小限のリスクとコストしか負担しようとしない「自国民第一」の国家のあり方を続けている。それは孤立主義に流れがちな多くの日本人にとって、親和性の高いモデルかもしれない。しかし、スイスの人口は日本の15分の1以下である。

 

各国の経験に何を学ぶのか

戦う徴兵制の経験

・イスラエルは、韓国と同様、先進国でありながら高い安全保障上の脅威に直面し続ける国家である。韓国と異なるのは、初めから民主制が敷かれ、上からの強制的な動員ではなく、自警団を基礎に持つプロフェッショナルな革命軍を組織していたことだ。ジェノサイドの生き残りを受け入れ、貧しさの中で国家建設をスタートしたイスラエルにおいては、国民の負担共有が初めから当然に想定されている。

 

最近では、イスラエルでもっとも意欲的に徴兵に応じる層が、主流派のアシュケナージムから宗教右派へと変わりつつある。宗教右派は、植民地戦争とも受け取られかねないような、占領地の拡大とその防衛を主張する。それに対するまっとうな反対意見は存在するが、それが軍全体の声として強く押し出されるためには、プロの軍人よりも社会と多様な接点を持ち、広い視野から柔軟な思考ができる予備役将校のプレゼンスが確保されていなければならない。

 

象徴的な負担共有と理想

・そして、安全保障上の高い脅威には晒されていないが、PKOなどの軍事的な国際貢献を行うヨーロッパの国々の経験も見てきた。徴兵制度は(よほど人口が足りないのでない限り)ほとんどの場合、軍事上の必要性はない。実際、第3次世界大戦に備えざるを得なかった冷戦時代が終結すると、もともと空洞化しつつあった徴兵制度はヨーロッパの多くの国で縮小や廃止の方向に向かう。

 

・スイスの徴兵制は、天然の要塞のような地形や独特な金融戦略上の位置づけに下支えされている。スイスは移民を多く受け入れながらも、決して彼らを「国民」として包摂しようとしない。スイスでは、スイス国民か外国人かの違いは明確であり、徴兵制が義務付けられているのは現在でもスイス人男子だけである果たして、このような「自国民第一」主義を、この先、日本のロールモデルにすべきなのか、あるいは反面教師とすべきなのか、私たちはよく考えなければならない。

 

・ノルウェーの徴兵制は、少ない人口と油田のもたらす圧倒的な富に下支えされ、また同国伝統の男女平等運動のエネルギーを推進力としたものである。

 

・いずれにせよ、世界が今、実効的な安全保障、健全な民主主義、すべての階層に望まれるグローバリゼーションの三つを同時に成り立たせるための新たな解を必要としていることは確かである。私たちは思考停止してはならない。

 

国民国家を土台として

・平和の実現という課題を突き詰めて考えていくと、その最たる問題は、国家に、国際政治構造上にも国内政治構造上も戦争をする権限があるという一点に行き着く。このことは、「人間団体に、正当な暴力行使という特殊な手段が握られているという事実、これが政治に関するすべての倫理問題をまさに特殊なものたらしめた条件なのである」とし、政治における特殊な倫理の問題を直言したマックス・ヴェ―バーの指摘と呼応している。

 

変化に対応する変革の時代には、常に「保守的な変革者」と「革新的な変革者」がいる。本書で言えば、常備軍の処遇改善を選ぶのが前者であり、徴兵制による血のコストの負担共有を選ぶのは、後者の中でも最も革新的な部類ということになる。

 

・本書を国際政治学者の「机上の空論」として切って捨てることは簡単だろう。理論とはそもそもそのような性格を持っているものだ。

 

 


仮に新型コロナウイルスの完全撲滅が実現したとしても、安心はできない。次なる感染症が繰り返しやってくる。なぜ21世紀が「感染症の世紀」になりそうかと言えば地球規模で人口増加が続いているからだ。(11)

2021-08-21 10:03:14 | 森羅万象

 

肝心の選挙制度がうまく機能していないといわれます。何年もかけて検討し中選挙区制から小選挙区制に変えたのですが、その欠陥が多くの人々から指摘されるようになりました。小選挙区制にしたら、以前よりも余計にカネがかかるというのです。その他の予想されなかった欠陥がどんどんでてきたといわれます。今度は「小選挙区制」を直ちに変えよという声が強まってきているのは皮肉な話です。またインターネットの普及で「直接民主制」も視野に入ったり、行政のデータベース化で、大幅なコストカットが期待できる技術革新の時代になっているといわれます。欧米の政治の合理性は学ぶべきことが多いといわれます。政治経済の制度疲労が激しく、システムが劣化しているそうです。そのうえ官僚と政治家の劣化もひどいそうです。選挙によるエリートの選抜機能もうまく働いていないといわれます。

  地方議会に対する失望や怒りが沸き起こる事件が続きました。政務活動費の問題も深刻なものでした。いわゆる「政治とカネ」の問題です。議員の近未来の姿は欧米のようにボランティア議員の流れだといわれます。欧米の地方議会は、斬新な議会運営をしているといわれます。「海外の地方議員は無給、もしくは少額の報酬や手当が当たり前である」とは意外な実態のようです。欧米のシステムや制度を直ちに採用することは、時期尚早で無理であるといわれます。しかし、時代の流れは、その方向に動くのではないでしょうか。そのためには、柔軟な議会システムの導入が必要のようです。「道州制」も検討されていますが、行政サービスを上げるためにもコストカッターが求められているといわれます。

 

行政コストや立法コスト、司法コストを削減する大胆なリストラが必要だそうですが、「身を切る改革」は難しいようです。もともと国家予算の分配の問題になるようで、財源をひねり出すためにも、行政、立法、司法の大胆なリストラ、近代化、効率化が必要といわれます。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、司法・立法・行政の大胆なリストラを断行すべきだ」そうです。政治家は、世論の反発や票離れを恐れるあまり、日本の将来に必要不可欠な社会保障制度改革や年金改革に着手できずにいるといわれます。「政治家が劣化している時代だ」ともいわれています。「政治は税金なり」といわれますが、税制も劣化してきているともいわれます。政治家は選挙民の対応に追われて、勉強ができないそうです。そこで日本に国立の「政治研究所」が必要だといわれます。

政治経済の制度疲労が激しく、システムが劣化しているそうです。そのうえ官僚と政治家の劣化もひどいといわれます。「日本の政治家はアメリカのロビイストのような役割を果たしている」という説もあります。

「政治が遅れている。私たち一般人は、政治意識を高めて政治の近代化を急がなければならない」そうです。地方自治を大胆にリストラする必要もあるといわれます。

 

・amazonで「河村たかし」氏の本を見るといろいろと分かると指摘されています。『この国は議員にいくら使うか―高給優遇、特権多数にして「非常勤」の不思議』、『名古屋発どえりゃあ革命!』、『おい河村!おみゃぁ、いつになったら総理になるんだ』、『減税論―「増税やむなし」のデタラメ』、『河村市政の裏表』、『名古屋から革命を起す!』、『国破れて議員あり』等です。「私は衆議院議員時代から言い続けてきたが、議員の職業化、さらにあまたの二世議員が象徴する議員の家業化が、日本のすべての政治問題の根本にあると思う」ということで、氏の批判は痛烈です。

  「職業議員が幅を利かせる旧態依然の政治においては、民主党だろうが自民党だろうが、大した違いはない」ということで、職業議員に厳しい見解を述べています。「家業の古紙回収業に従事。中小企業の辛酸を体験」ということで、苦労人のようです。現在、名古屋市長ですのでマスコミに多く取り上げられている有名人です。私たち一般人には、氏の「方言」が気にかかるそうです。先進国の中では、フランスの制度を参考にすべきであるという有識者が多いようです。フランスは先進国として、さまざまな斬新な政治システム、政策を採用しているといわれます。しかしながらフランスは社会主義国になっているという見解もあるようです。

 

「日本の失われた20年」といわれますが、さまざまな面で、いわゆる「遅れ」が目立つようになりました。社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。改革の速度も大変遅いようです。官僚制度も時代の流れに適応できずに制度疲労、劣化が目立つともいわれます。本当に優れた官僚や政治家が登用されなかった結果ともいわれます。日本の制度の劣化も指摘されており、経済成長も勢いがありません。河村たかし氏のいう「ボランティア議員」の実現性は薄いようです。しかし、社会の方向性は、「ボランティア議員」という流れなのかもしれません。日本における特殊事情を、無理に変えようとする力は働いていないようです。欧米のシステムをまねるばかりではなく、日本の特殊性にもこだわる必要性があるのかもしれません。議員の近未来の姿は欧米のようにボランティア議員の流れだといわれます。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。とにかく「改革」から手をつけなければならないようです。「日本は先進国だろうか」という声も街中では増えてきているようです。増税や国債の国家ファイナンスについて財務省の指導には、抵抗勢力は少ないようで、政治家もそれに従うそうです。

 

・松下政経塾のウェブサイトを見ますと、「卒塾者の進路」として次のような数字が分かりました。(2016/12/12)国会議員34名(衆議院議員24名、参議院議員10名)、地方議員22名、首長8名、政策スタッフ11名、政治活動中35名。経済分野93名、マスコミ分野11名、研究、教育分野35名となっています。この後、どのように数字がかわるでしょうか。

  1979年、松下幸之助が84歳にして、未来のリーダーを育成する松下政経塾を設立して39年経ちます。やはり私たち一般人の目には、大きな成果に映ります。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。「失政」が増えている時代に、私たち一般人は、政治意識を高めていく必要があるといわれます。

  「政治の近代化」も関係者の努力で進んでいると思われます。しかし、私たち一般人には、目だった効果が目につかないそうです。松下政経塾の卒塾者たちが、今後どのような新風を政治に送りこむのかが注目され、出版物も出ています。少なくない国民が「時代遅れの古い政治」にあきてきているそうです。今年も選挙の年、政治はどのように動いていくのでしょうか。「民主主義国家においては、国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」、「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」ということで、「松下政経塾」の卒塾者に期待する有権者も増えているそうです。グローバリゼーションで世界の政治も連動してきています。

 

日本の現状を見てみると、社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。改革の速度も大変遅いようです。本当に優れた官僚や政治家が登用されてこなかったことが原因だといわれます。安倍総理自身もアベノミクスの失敗を認めたといわれます。「日本は先進国だろうか」という声も街中では増えてきているようです。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。実際に、驚くような後進性が指摘されています。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、司法・立法・行政の大胆なリストラを断行すべきだ」そうです。多くの有識者が指摘するように財政・社会保障費の抜本改革が不可欠であることは明らかだそうです。が、「言うは易く行うは難し」のようです。「財源の裏付けのない政策は実現できない」ということで、社会保障費のカットも視野に入っているようにいわれます。もともと国家予算の分配の問題になるようで、財源をひねり出すためにも、行政、立法、司法の大胆なリストラ、近代化、効率化が必要といわれます。「あまり知られていないことだが、日本の社会保障というのは、先進国とは言えないくらいお粗末なモノなのである」といわれます。

 

・amazonに「松下政経塾」と検索すれば、422件が出てきます。やはりメディアから注目されるようになったということでしょうか。最初は「失敗するだろう」と否定されていた松下政経塾も首相を輩出するようになり、世の常で世間の評価も一変したようです。松下幸之助は「経営の神様」といわれましたが、「政治の神様」と言われるようになるのでしょうか。松下政経塾を研究しているジャーナリストも少なくないようです。

  『松下政経塾とは何か』(出井康博 新潮社 2011/9/12)という本が出版されてから7年以上もたちます。政治は早く動いています。現在の松下政経塾や卒塾者の動向に関心が集まっており、続編に期待したいものです。

  政治は評論家がするものではなく、選挙に実際に出馬して当選して、議員にならなければならないので、とにかく選挙で結果を出さなければならないそうです。厳しい選挙戦のある政治世界のようです。この選挙システム自体がインターネット革命等の技術革新で大きく変わることになるのでしょうか。特にインターネットを選挙の投票機械に使用することは、直接民主制に道が開かれるということで、アメリカでもまだ実現していないようです。実現すると投票率は上がると思いますが。「地盤・看板・カバン(資金)」の敷居も将来は低くなることでしょうか。とにかく松下政経塾は新鮮な風を日本政界に吹き込んだようです。松下政経塾の卒塾者は、与野党に所属しており、その動向に関心が集まっているようです。

 

・「みんなの党」渡辺代表の8億円の借入金の問題がメディアをにぎわせたことがありました。政治家とカネの問題は、昔は汚職問題等で政治の後進性が問題になりましたが、現代ではインターネット献金などの個人献金が問題になります。実際に選挙に金がかかるようです。松下政経塾の卒塾者もカバン(資金)には苦労するそうです。政治活動資金が続けば、いつまでも政治活動を続けたいという人が多いそうです。政治活動と政治資金、政治献金の問題は、「政治家の口利き」という問題になりますが、現代でも「政治家の口利き」が有効になるほど社会が遅れているのかと私たち一般人は、疑問に思います。政治経済の制度疲労が激しく、システムが劣化しているそうです。そのうえ官僚と政治家の劣化もひどいそうです。日本に国立の「政治研究所」が必要だといわれます。「数千万円から数億円の政治資金の相続は大きい」と語られています。

  インターネット情報によると「スウェーデンの場合、『行政の決定はできるだけ身近なところで行われるべし』という意識が徹底し、地方分権が徹底しています。素人の政治を大切にし、政治家の給与だけでは生活ができないようにし、別の職業を持つのが普通になっています。選挙は政策本位で行うようにし、比例代表制に重点が置かれています」とのことですが、スウェーデンの政治家の処遇は参考になるのでしょうか。

  政治家の処遇も未来では「他に職業を持ち、ボランティア的に政治家の職に就く」という斬新なアイデアもあるそうです。しかし、「現実的には無理だ」が多数説のようです。名古屋市長の「河村たけし」氏の特異な見解があるようです。「言うは易く行うは難し」の話なのでしょうか。

 

・ウィキペディア(フリー百科事典)を見てみると、「『議員報酬に関する主張』河村は議員の職業化を強く批判しており、議員はボランティアで行うべきだとし、議員が税金で身分保障されることに日本の民主主義が成熟しない根本原因があると主張する。実際に議員の年収を市長の主張する800万円とした場合、名古屋市議の藤田和秀の場合、月495,000円(賞与をのぞく)のうち、年金掛金8万円、所得税8,000円、住民税72,600円、議員互助会45,000円、党費・勉強会など82,950円、事務所費120,000円となり、最終的に手元に残る額は86,450円となり、職業としては議員の仕事は成立せず、河村市長の主張どおり実質ボランティアで議員活動を行うことになる。

 しかし、このようにボランティア的に賄うとすると、政治には様々なお金がかかるため実質高所得者でなければ議員になれなくなるという批判もある。また、選挙費用まで考えると800万の報酬では困難だという指摘もあり、実際に河村市長本人も2009年の市長選時には小沢一郎の資金を一心会の有力議員より裏金として受けていたという報道もある。また、800万の給与では私設秘書が雇えないが、選挙活動に私設秘書が必要なため大西副市長の給与で秘書を雇用するように河村市長の婦人が依頼していた。河村市長は選挙に費用をかけすぎであり、また足らない部分は個人献金で補えばよいとしている。

  しかし、日本では個人献金を行う慣習が定着しておらず、多くは中小企業の同族会社の経営者が行う個人献金で実質は企業献金の形を変えたものである場合も多い。実際、河村たかし本人も、市長になってから献金が倍になっており、800万の市長給与で足りない部分は中小企業経営者から個人献金を集めているという報道もある」とのこと。依然として「政治とカネ」は古くて新しい大きな問題のようです。 また選挙制度の改革も必要でしょうか。政治資金の相続の面で世襲は有利だといわれます。

 

・「無税国家論」も振り返られることもない世相になりました。限られた予算、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字ということで、日本の未来にも黄信号・赤信号がともるようになりました。国の借金額が多いので、財政破綻を懸念する有識者も少なくないようです。政府の紙幣発行権をめぐる議論もでてくるようになりました。「財源がない」ということで、予算削減や税金の無駄遣いが問題になっています。「失われた20年」から脱出するのは難しいようです。その点については政治家と官僚の認識も自覚もないといわれます

  「無税国家論」の背景には米国の共和党の「小さい政府」の理論があるようです。現代においては社会福祉のような社会主義的な政策が不可欠ですが、「財源がない」ということで、「補助金のカット」が頻繁に行われていくようです。選挙の時期だけが政治の季節ではなく、常に私たち一般人は、政治意識を高めていくように自覚していかなければならないといわれます。「中国人は常にあらゆることを政治的に考えなければならない社会にいる」そうですが、日本人には疲れる体制だといわれます。

 

・「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」「民主主義国家においては、国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」ということで、私たち一般人も選挙に行き、投票率をあげるようにしていかなければならないようです。また、松下幸之助が指摘するように「日本には政府の政治研究所がない」という体制的欠陥があるといわれます。政治研究所を作り明確な結論を出すことに大きな抵抗があるのでしょうか。政府の政治経済研究所を作り、そこから政治家を輩出したり、「しっかりとした政策」を研究したりすることも必要なのかもしれません。しかし、官庁それ自体に、シンクタンク機能があるといわれます。それを大いに活用するべきだといわれます。

 

・松下幸之助の30年前の夢がどのように実現するのでしょうか。「経営の神様」から「政治の神様」と評価されるのでしょうか。松下教の信奉者は非常に多いそうで、卒塾者の数も増え、政治家として総理大臣も出現していますので、今後の動向が注目されているようです。また政治家の常として、さまざまなトラブルにも巻き込まれているようです。

  松下幸之助も松下政経塾については、最初は冷笑されたり、失敗するといわれていたようです。が、ハーバード大学ケネディ行政大学院(通称ケネディ・スクール)よりも実績を見せ始めると世の中は手の平を返したようになったということです。「政治が一番重要なので、寄与貢献を考えて政治家や官吏は優遇すべきだ」という松下幸之助の見解は、現在の政治を何とみているのでしょうか。政治に企業の経営の要素を入れようとしているようです。仕事の成果で待遇を判断すべきだといわれます。

 

・「一番大事な政治の改革が遅れている」そうですが。「はたして政治の神様はいるのでしょうか?」。私たち一般人には「政治を指導する原理」がよく分かりません。船井幸雄氏は経営コンサルタントして名を成した人だそうですが、精神世界への関心が非常に深く多くの書籍もあるようです。船井氏によると政治や経営、経済をつきつめていくと「高等知性体の存在」や「闇の勢力」の動きが見えてきたそうです。

  松下政経塾の第一期卒塾生の野田元首相は、「経営の神様」といわれた松下幸之助とも面識があり、今後の言動が注目されているといわれていました。国民生活の観点から予想以上に遅れた施策が増えてきているそうですので、どの政党も改革を急がなければならないようです。

  船井幸雄氏は「公私ともにいろいろ、教えていただいた松下幸之助さんが、なぜ『松下政経塾』という変なものをつくられたかは、私にはいままで分からなかったのです」と語っておられますが、期待と失望で、松下政経塾の卒塾生が今後どのような働きをするのかが注目されます。昔の経済人は、あまり政治家と交渉したり、政治に介入することを嫌ったようです。政治活動と経済活動は別と考えていたのでしょうか。松下幸之助のように時間的な余裕がなかったのかもしれません。

 

東日本大震災は「1000年に一度の『天災』ではなく100年に一度の『人災』であった」のでしょうか。「県庁の役人たちは何をしていたのだろうか?」という評判が巷では囁かれていたといわれます。事前の対策にも欠陥があり、被害を拡大したようです。失政が、残念ながら増えているようです。「失政」について調べてみると驚くことが多いのかも知れません。東日本大震災は全国民に大きな衝撃を与えました。あの経験したことのない「揺れ」を体感した人が非常に多かったようです。大津波は政界も直撃したようです。

  警鐘の意味を込めてこのブログも震災後に<UFOアガルタのシャンバラ 日本は津波による大きな被害を受けるだろう>という名称に変えました。世界中の自然災害の予想は、昔から「予言」や「預言」、「未来透視」という形で伝わっています。しかし、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」というように「多くの予言は、当たらなくなる」という結果になるようです。多くの予言者が、笑われて無視されてきました。なぜ、「予言」が当たらなくなるのかといいますと、「“あの世”が、パラレル・ワールドで、常に“この世”と相互作用があり、変動していくからだ」といわれます。あの世とこの世が交錯する体験は誰でもが、無意識的にかまたは意識的にも、経験しているのかもしれません。「あの世」の動きが時間を経て「この世」に起こってくるともいわれます。

 

・『未来を透視する』という本でマクモニーグルはさまざまな未来透視をしています。そしてマクモニーグルの未来透視に「23世紀と24世紀における2度の大戦で人類の人口が6分の1に大激減する」というのがあります。生物化学兵器は「貧者の核兵器」といわれていますが、その2度の大戦に相当使われるようです。「あの世」も私たち一般人には、訳の分からない奇説だそうです。しかし、「霊界ははるか遠いところにあるのではなく地上1メートルのところにある」そうです。人間の死後の世界、幽界や霊界は、割合信じる人が多いようです。20世紀の米ソの対立による「第3次世界大戦」の予言は、全て誤りとなりました。そして、その種類の本は店頭から消えてしまいました。またそろそろ、米中核戦争による第3次世界大戦の本が出てきだしました。「米中も南シナ海で軍事衝突するほどにはいかないだろう」と大多数の有識者が見ているようです。と同時に米中間のサイバー戦争が懸念されています。実際にサイバー空間では米中戦争が行なわれているのでしょうか?人民解放軍の将校の名前が新聞に載ったり、上海のビルの名前がでたりしていましたが。

  amazonに「東日本大震災」と打ち込みますと11388件が検索されます。「地震・津波」と入力しますと2371件が検索できます。これらの数字は東日本大震災の衝撃の大きさを物語るものと思われます。東京にいた人々も激しく揺れた記憶とその日のことが、いまだに鮮明です。あたかも日本全国の人びとが感じたほどの、地震の強さでした。東日本大震災の責任問題も日本的な対応が限界だそうです。次の3月11日で6回目の春になります。原発事故の処理や補償等、「東日本大震災から発する国家危機が続いている」といわれます。

 

・被災地では様々な復興計画が作られ検討されたようです。防潮堤の計画も様々な専門家の検討がなされているそうです。が、防潮堤の高さをめぐっていろいろと対立があるようです。東日本大震災の惨状をみますと「県庁の役人や選良、地震研究所のスタッフがしっかりと事前に過去の津波被害範囲を認識して、住民保護のためにしっかりとした防災計画をつくり、予算を確保しておれば」という思いを国民の大多数がしたようです。ハザードマップも一部、誤りがあったといわれます。また「明治、昭和と2度も大津波で被災しているのに、その被害が生かされず防災対策が甘かったのではないのか」と言う声も多いといわれます。3階建ての避難センターに逃込んでも溺死したのではやりきれませんでしょう。10メートルの津波は何度もきましたが、津波の基準を5メートルにして、行政が10メートルの堤防を作り、未曽有の被害を受けてしまいました。行政の責任がほとんどだともいわれます。

 

・「高台移転」とかの抜本対策も土地の確保の問題がでてきていたようです。「高台移転」について思い出すのは、松下幸之助の「新国土創成論」です。土地が不足する日本では海を埋め立てて土地を増やせという主張です。限られた予算、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字では、大規模な長期計画は無理でしょうか。オリンピックは確実な期日がありますが、首都直下大地震津波と南海トラフ巨大地震津波は、起きる確率が非常に高いそうです。が、期日は不明だそうです。「天災は忘れたころにやって来る」ようです。「新国土創成論」も財源の裏付けのない政策は実現できないので、松下幸之助の夢に終わってしまうようです。ちなみに東京オリンピック・パラリンピックの予算が当初の計画したものよりも急増しているといわれます。

 

いつも政治の季節ですが、既に松下政経塾の卒塾者が総理大臣になりましたので松下幸之助の政治哲学、政治遺産に関心が集まるようです。成功した実業家、事業経営者としての松下幸之助の限界と飛躍・志が窺われます。「経営の神様」であったとともに「新国土創成論」にも見られるように慧眼があり「政治の神様」だったのかもしれません。松下幸之助は、当時の政治に絶望して、松下政経塾を、私財を投じて設立したといわれます。政治家は選挙民の対応に追われて、勉強ができないそうです。いつまでも「政治が遅れている」ということでは複雑化する社会問題に対応できないでしょう。「経済研究所」は多いのですが、詳しく知りませんが、政府の「政治研究所」がないのはなぜでしょうか。限られた予算、限られた処遇、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字ということで、消費税も10%どころか将来は20~30%も上げられる懸念もあるようです。混乱している時代に対応するために松下政経塾を作った松下幸之助の慧眼が窺われます。

  amazonで「松下幸之助」を検索すると1540件が分かります。それだけに「松下教の信者」も多いようで、私たち一般人は、詳しくは知りませんが、「経営の神様」については多くの研究者がいるようです。

  戦後の日本政治と言うのは、マッカーサー元帥の占領軍の時代から「現代のグローバル・スタンダードという戦勝国・米国の政治指導に自然に従うようになっている」そうです。さまざまな原因として考えられることは、「ヨーロッパの王族や貴族、米国の支配階層を統括するといわれているイルミナティなどのフリーメーソン王国(米国)の支配が敗戦後の日本にも当然、長きにわたって秘密裏に及んでいるのでしょうか。自民党がフリーメーソン的な組織と言われますが、どうなのでしょうか?「自民党が選挙に強いのもフリーメーソン的な組織だからだ」そうです。はたして実際はどうなのでしょうか?「日本国憲法はフリーメイソンの理性主義の産物」という説もあるといわれます。

 

 ・「過密日本の狭い国土が諸悪の根源である」という認識で松下幸之助は、国土の創成を主張し「新国土創成事業」を政策としました。インターネット情報によると「大都市の過密問題が地価の高騰や大気汚染を引き起すようになった。特に日本の食糧自給率は先進国中最低の水準にとどまっている。こうした狭い国土の制約を解消し、食糧自給の道を講じるための国家100年、いや1000年の発展を考えていく大きな構想ではないか」。「松下幸之助は、この狭い国土の弊害、諸悪の根源を断ち切るために、昭和51年(1976)、『新国土創成論』を発表、「新国土創成」を新しい国家目標とし、国家事業として実現していくべきであると唱えたのである」とのこと。

  「『新国土創成論』の内容は、簡単にいえば、国土の約70%を占める山岳森林地帯のうち、20%を2世紀にわたって開発整備して、これを有効可住国土とし、併せて山岳森林地帯をならした分の土砂で海を埋めたてることで、合計して15万平方キロメートルの有効可住国土を新たに生み出し、現在の有効可住国土(11.3万平方キロメートル)を倍増させ、住みよい理想的な国土にしていこうというものである」とのことです。

  「新国土創成論」を作った当時の松下幸之助の頭の中には「明治と昭和の三陸津波」の惨状の対策はなかったかもしれませんが、現代こそこのような雄大な国家計画が必要となりましょうか。あるいは松下幸之助の頭の中には、「明治と昭和の三陸津波」の惨状の記憶があったのかもしれません。なぜなら「神様」ですから。

 

・日本国政府直轄の「政治研究所」を作れば叡智を結集した、誰でも納得できる権威ある政策が作れるのではないでしょうか。「経済研究所」は、民間のシンクタンクをはじめ多く存在します。思いつきではなく国家経営の実務に精通した実務担当者が作る政策では、国論が2分されることはないでしょう。官僚組織や民間組織から選抜して政府直轄の「政治研究所」をつくり、国家政策を検討していくべきでしょう。「政治研究所」は、ある意味ではタブーなのかもしれません。また官庁自体がシンクタンクの機能を有しているといわれます。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートの英知を結集したドリームチームの「国家改造計画」が求められているといわれます。東京オリンピック・パラリンピックの準備も大事です。が、それ以上に起こる確率の高い首都直下大地震津波と南海トラフ巨大地震津波の対策も喫緊です。イベント戦略は「費用対効果」で、経済波及効果を狙っています。東京オリンピック・パラリンピックでは、当初の計画予算を数倍超えた、数兆円の予算になってしまいました。いくらかの手直しを努力していますが、これでは「費用対効果」の数字がひどく悪化することでしょう。

 

・「TPPで国論を2分する必要もなく松下幸之助のいうように、明治政府からの伝統である常に農民の生活を中心に考えるべきである。農民に無理な要求をすべきではない」、「TPPは開国の起爆剤になるどころか自爆剤になる」ともいわれ国論が2分されました。が、国会はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を承認しました。しかし、米国のトランプ大統領は、TPPの離脱を宣言しました。米国の議会での条約の批准もなくなりました。農業対策は具体的に決まりだしたようですが、「補助金のバラマキ」に終わるのかもしれません。「攻めの農業」は、高齢化した多くの農民にとっては難しいようです。経済波及効果の数字も不確定の要素が大きいといわれます。都市近郊の土地成金の豊かな農家と、そうでない山間部の農家の格差は非常に大きいといわれます。「社会の弱者のすべてを助けることはできない」ともいわれます。社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。改革の速度も大変遅いようです。米中の貿易戦争から、再びトランプ大統領の通商政策における対日要求が大きいものになっているといわれます。どのように展開するのでしょうか。

  「松下幸之助のいうように国家への寄与貢献を考えて、政治が一番大事なので、政治家及び官吏を優遇すべきだ」、「政府直轄の政治経済研究所が農家とビジネス社会の実態を知悉・把握し政策を作るべきだ」そうです。ここには地方議会の「ボランティア議員」の概念はありません。「特に外交・防衛政策は与野党一致して、対外的に統一的なものであるべきだ」といわれます。政治経済も問題が山積みですが、今こそ国家100年の計をつくるべきでしょうか。国家目標をつくりシナリオをいくつも想定して、国民が分かりやすい説明が必要のようです。政府は当然ながら、さまざまな「長期計画」を作っていると思われます。

 

・東日本大震災から、7年経ちましたので、震災後の立て直しが進んでいるようです。被災者の日々の生活もめどが立ってきたようです。そして過去の欠陥のあった政策の検証がされて、反省がなされているようです。

  さて「専門家の想定外の大津波」で壊滅的な約30兆円の被害と18457人の死者がでた東日本大震災ですが、チリ地震の津波を基準にして作成された行政の防災計画は役に立たなかったことは、非常に残念です。なぜ明治29年の大津波の40メートル(明治三陸地震)を基準にしなかったのでしょうか。昭和8年(1933年)の昭和三陸地震の教訓は生かされなかったといわれます。昭和三陸地震の際、津波が襲来した後の田老村は、家がほとんどない更地同然の姿となったそうです。

 

3階以上も超えてくる大津波ではたまりません。原発の津波の防災レベルも5メートルの津波基準で低かったので未曽有の国家危機となりました。大変な失政でした。放射能が東京まで飛んできたら大変な危機でした。東京の住民が避難する懸念もあったといわれます。松下幸之助が「国土の狭さが諸悪の根源だ」と言ったことが思い出されます。過去において2度も10メートルの大津波が襲ったのですが、津波の基準を5メートルにして、10メートルの防潮堤を選良と行政当局が造って、東日本大震災で大きな被害を受けました。行政当局のずさんな政策が批判されているようです。防災計画は日本の津波災害史上で最大の被害となった明治29年の大津波40メートル(明治三陸地震)を基準にすべきだったそうです。

  明治三陸津波の到達高は、全般的に10メートル程度、最大で38メートル。防潮堤の高さは、資金面から限られますが、避難基準に「明治29年の大津波(明治三陸地震)」のものを参考に適用すべきだったといわれます。「明治29年の大津波(明治三陸地震)」教訓は、一部の民間人の教訓にも活かされたようです。

  『遠野物語』には、海岸部の不思議な話も載っており、当時の津波の大槌町の幽霊話や「山田における奇妙な外国のような都会の蜃気楼の伝承」等があります。現在では「実は、東日本大震災の被災地では、地元住民による幽霊の目撃談が絶えません」とのことです。東北学院大学の社会学を専攻している大学生たちが、宮城県の石巻市でタクシー運転手たちに震災後の霊的体験についてインタビューしたのだそうです。幽霊話を集めた『呼び覚まされる霊性の震災学――3・11』(新曜社)が発売されています。やはり「歴史は繰り返す」といわれますが、被災地での「幽霊話」も繰り返されているようです。幽霊現象や心霊現象も「宇宙人現象」と理解すればかなり分かるようです。

 

・2014年12月の衆議院選挙前のいくつかの新聞社の世論調査では、「自民党の優勢」が伝えられていました。団塊の世代の高齢化、人口の減少の時代には、自民党が優勢になるような環境がでてきています。「目に見えない」人間の心理的な面においても、自民党が有利になる展開のようです。国民が右傾化してきているからなのでしょうか。「投票日前の世論調査に規制をかけている国もある」ようですが、米国と同じく言論の自由を大事にして、日本では議論にもなっていないようです。

 2014年の第47回衆議院議員総選挙では、自民党が291、公明党が35、民主党が73、維新の党が41、共産党が21の議席獲得の結果となりました。

 2014年12月の選挙前における世論調査の結果は、「選挙前ですが、選挙結果をあるていど正確に映し出す」といわれます。つまり世論調査の大きく狂うような選挙結果はでないといわれます。近年、世論調査の精度がかなり高くなってきているそうです。「与党、3分の2を超す勢い」ということも意外な結果なようでした。前の選挙から2年程で、野党の選挙準備が出来ていなかったともいわれていました。選挙が終わったら「常在戦場」ということで、次の選挙を常に意識して行動しなくてはいけないので「代議士は楽な商売ではない」といわれます。常日ごろから、選挙活動をしているようなものなので、選挙公示で、選挙戦が終わったともいえる状況だそうです。何でも常日頃の行動が大事です。

 

・投票行動を研究している学者も多いようです。選挙も時代の流れとともに大きく変化してきているようです。人間は高齢化すると保守的になるようで、ますます高齢化社会になる日本は、保守の優勢が続くといわれます。インターネット選挙などさまざまな選挙手法が研究されていますが、高齢化・保守化の流れを逆転する手法を実施することは難しいようです。政党の理念や選挙公約、政策などの次元を超えた「目に見えない世界」の次元で選挙結果は動くようです。革新的なインタ―ネットを機械として投票を行うと、選挙結果が大きく違ってくるので、猛烈な抵抗勢力があるといわれます。

  さて政治の季節だった2016年。第24回参院選(2016/7/10)の選挙結果は「即日開票の結果、安倍晋三首相(自民党総裁)が目指す憲法改正に前向きな勢力は、非改選と合わせて改憲の発議に必要な全議席の3分の2を超えた」と報道されました。「民主主義国家においては国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」ということで私たち一般人も政治意識を高めて投票行動をしたようです。「政治に関心のないひとはいるが、政治に関係のないひとはいない」といわれます。

  「株主総会が年間二百日開かれるのと同じ」ということで、迅速な企業運営と、国会や行政の効率は別の次元の話のようです。さまざまな政策提言が有識者からなされていますが、実際の政策を策定した経験がないために空論に終わるそうです。

 

・官僚は「法律を武器に使う」法治国家ですから、その専門性と相まって、普通の政治家は対抗できないそうです。また政治家は、選挙民との対応に追われるので忙しく、勉強する時間がないそうです。政治家が政策を策定しようとすると10人くらいの政策スタッフが必要だとも言われています。政治家と官僚は役割と選抜方法が全く違いますので、それぞれの機能を強化する方向にいくことでしょうか。

  また戦後できた政治システムにおいても、さまざまな制度疲労もいたるところに出てきているという話もあるようです。古くて新しい問題である「行政改革」、「政治とお金の問題」も絶え間ない改革が必要のようです。政治にお金がかかるので、新人の新規参入がむつかしく、世襲の同じ顔ぶれが続いているそうです。実際の選挙コストや政治コストを下げていく工夫が必要かもしれません。「政治家を専門職というよりはスウェーデンのようにボランティア的な仕事にしよう」とする流れがあるそうです。「絶対権力は絶対的に腐敗する」といわれますが、流動性を高める必要があるのかもしれません。

 

・米国の政治家の選抜方法や役割は、日本と大きく違うようで、あまり参考にならないようです。国会議員の出身職業の国際比較を見ると、日本では地方議会議員や政治家秘書が多いようです。米国は、法律専門職(弁護士)やビジネス・金融界、公務や政治関係者が多いようです。米国は議員立法が多いので、政治家も弁護士をスタッフとして雇用するケースが多く、弁護士の活動範囲が広いそうです。日本の弁護士数が約3万人、米国が約120万人(企業内弁護士も含む)ですから、社会における弁護士の位置づけも大きくことなるそうです。

  私たち一般人は、政治の世界や官僚の世界に詳しくはありませんが、日本人の従来の常識をいわゆる「壊す」ことは、大変難しいようです。「天下り規制」でここ数十年間は政界、官界行政は動いてきましたが、「自由な移動」「適材適所」ということで、「規制緩和」を主張する識者もでてきているようです。

  東日本大震災からの国家危機は続いていると認識され、難問山積みの日本の世直しが早急に必要です。「民主主義国家においては国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」、「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」ということで、私たち一般人も政治意識を高めて、世の中の動きを見ていく必要があるようです。

 

 

 

 

********************************
・ブログ名称: UFOアガルタのシャンバラ

日本は津波による大きな被害をうけるだろう

・第2のブログ名称:UFOパラレル・ワールド

「神の国か?」「人類の原郷か?」 「天上のエルサレムか?」・・・・・・・・・

「パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の殖民星が、地球か?」、「ネガティブのシリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるのだろうか?」

「金髪碧眼のノルディックが住んでいたアガルタのシャンバラ情報の集大成を目指す・・・・・・・・・・」「金星蛇人と火星霊人の戦争はその後どのように展開したのだろうか」
「日本民族の神話の原郷『高天原(たかまがはら)』は、『都市型の超巨大宇宙船』なのか!?」「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔なのか」
「小人族のグレイの母船に同乗する金髪碧眼のノルディックは、”悪魔の王””ルシファー”なのか?!」

「円盤は神人や異人、悪魔の乗り物なのか!?」「天使は神の秘密諜報員なのか」「神は最初のフリーメーソンなのか」

「UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象なのか。UFO問題とは、人間にとっての死の問題を解くことなのだろうか。UFOはフリーメーソンの創作なのか」

「全宇宙を創ったという“虹の神々”も地球に来ているのだろうか」

「イルミナティなどのフリーメーソン組織に入ると神に会えるのだろうか」「金星の神々は地球に到着するやいなや、イニシエーションのためのフリーメーソン本部を設けたのだろうか」「フリーメーソン結社はこの大地が創出されるよりずっと前から、さまざまな太陽系をめぐって、存在していたのだろうか」

「国際連合の設立に動いたキリストの星、アプ星人とは」

「人は皆、記憶喪失の異星人だろうか」

「はるかに進化した天使のような宇宙人は、人間の守護霊や背後霊なのだろうか」「セドナ上空に見えないエーテルのシティが滞空するのだろうか」

「シリウス星人の故郷である天体イジュニュは、もっと高い周波数で共振する6次元の天体であり、地球の宇宙と同時に存在するパラレル・ユニバースに存在するのだろうか」

 

グーグルのブロガー(多言語翻訳)にも書いています→UFOパラレル・ワールド

 

 

 

 

 

 


仮に新型コロナウイルスの完全撲滅が実現したとしても安心はできない。次なる感染症が繰り返しやってくる。なぜ21世紀が「感染症の世紀」になりそうかと言えば、地球規模で人口増加が続いているからだ。(10)

2021-08-21 10:00:43 | 森羅万象

 

 

 ■■■ 私が思うこと、聞いたこと、考えること ■■■

 

(2021/8/21)

 

・朝日新聞デジタルから引用(2021/8/21)

世界の動き   新型コロナウイルス感染症の最新情報

 

「感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」の感染が世界で広まっている」といわれます。中国も7月下旬から「デルタ株」拡大、アメリカ「デルタ株」で再拡大、ワクチン接種強化の動き、と報道されています。

 

 日本経済新聞のウェブサイトによりますと、(2021/8/20)

国内コロナ感染、新たに2万5876人 累計125万7554人

緊急事態・重点措置29都道府県に 「人流再増加の兆し」

1週間の10万人あたり感染者、沖縄323人 東京の1.3倍

国内ワクチン2回接種、5000万人超す 累計1億1573万回

ワクチン接種、世界で累計48億3868万回に」と記載されています。

 

 

 世界の感染者数は(2021/8/20)2億1千万人で、死者数は440万人とされています。

スペイン風邪(1918-1920年)は、推計で確定症例数5億人で、死者数が1700~5000万人(推計)とされています。当時の状況では、統計の数字が正確とはいえませんが、医学の進歩を考えても、新型コロナウイルス感染症の状況は深刻なようです。

 ウィキペディアWikipediaによりますと日本におけるスペイン風邪の被害として患者が2380万4673人、死者が38万8727人、致死率1.65%となっています。

 新型コロナウイルスのパンデミックによって、社会が変わっていきます。自然災害でも「100年に一度」という言葉がよく使われるようになりましたが、異常気象で、大雨や洪水が毎年、世界的に起こるようになりました。

 

・著者は、『未来の年表』(2017)を書いて、人口減少のリスクを警鐘しました。当時から人口減少に関する未来の予測本が多く出されました「人口減少は緩やかな民族浄化である」と指摘されています。その人口減少のリスクや傾向が、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって加速されたというのです。歴史の暗い影がパンデミックで出てきています。

「コロナ禍が残した最大の爪痕は、少子高齢化とそれに伴う人口減少の悪化であった。いわずと知れた、わが国一番の国難だ」、「仮に、新型コロナウイルスの完全撲滅が実現したとしても、安心はできない。次なる感染症が繰り返しやってくる。なぜ21世紀が「感染症の世紀」になりそうかと言えば、地球規模で人口増加が続いているからだ」と主張しています。

 

・「問題のない所はない。改革は恒常的に遅れている」といわれます。制度改革については「抜本的な見直し」が必要という言葉が頻繁に使われています。そして「時期尚早」という言葉が、頻繁に使われ、その都度改革が遅れてきたと指摘されています。アンリアルな理想論も多いようですが、「すべてのプロジェクトは試行錯誤だ」といわれます。

パンデミックの今こそ国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートの英知を結集した「国家改造計画」が求められているそうです。「わが国一番の国難の人口減少」の対策や計画も地方自治体や国では進んでいることでしょうか。

 

・パンデミックによって、労働環境も急速に変化してきています。悪しき労働慣行(極度の残業依存や休日返上、法的原則と現場実体のダブルスタンダードの使い分け等)が大きく減らないといわれていました。淘汰される企業や商店も増えてきています。パンデミックを契機として、労働革命で、採算の取れない職業や古臭い職業は、なくなっていくことでしょう。人口減少もマイナス面ばかりでなくチャンスに変えて「労働革命」の契機にする必要があるといわれます。労働生産性も先進国ではないといわれます。その昔イギリスが「老大国」に成り下がったといわれた時期もありましたが、日本も「老いた国」になりつつあるようです。「労働生産性」の問題も、簡単な解決策はないと指摘されています。

 「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。ヒューマンリソースの活用では、女性が最も活用されていないと指摘されています。人口減少高齢化の時代には「女性と高齢者の活用」「生産性の向上」「障害者雇用」「外国人労働者問題の解決」が重要だといわれます。

 

様々な分野で、経営者や有識者、役所や政治家が「改革」のスケジュールを述べています。パンデミック・ショックは、従来の常識やアイデアを破壊してきています。部分的に需要が激減していますので、対応ができない企業も出てくるといわれます。

教育の分野では、大学生以下がオンライン学習の機会が激増しています。教育の改革も多くの意見があるといわれています。例えば、大学の教養課程を止めて、職業教育に専念すべきだという識者の見解もあるようです。大学教育が現代のビジネス社会の急激な変化に対応できていないというのが理由だそうです。学生にとっては、就職は非常に大きな問題です。「新しい酒は新しい革袋に盛れ」といわれますが、パンデミックでオンライン教育が普及する中で、「国家百年の計」の教育制度の改革が急がれているようです。

 

 

 (2021/1/3)

・NHK NEWSWEB(2021/1/2)によりますと、

「新型コロナ 世界の感染者8396万人 死者182万人(2日午後3時)」

感染者の多い国

感染者が最も多いのは
▽アメリカで2012万8693人、
次いで
▽インドが1028万6709人、
▽ブラジルが770万578人、
▽ロシアが315万3960人、
▽フランスが269万7014人となっています。

死者の多い国

亡くなった人が最も多いのも
▽アメリカで34万7788人、
次いで、
▽ブラジルが19万5411人
▽インドが14万8994人、
▽メキシコが12万6507人、
▽イタリアが7万4621人となっています。

 

・日本でも新型コロナウイルスの状況はメディアで毎日伝えられていますが、第3波は危機的な状況に向かっています。収束の兆しも見られないようです。東京オリンピック・パラリンピックの開催も、懸念されているようです。

 

・『日本の宿題』という本は、令和時代に解決すべき17のテーマについて検討されたものですが、「問題のない所はない。改革は恒常的に遅れている」といわれます。制度改革については「抜本的な見直し」が必要という言葉が頻繁に使われています。かいつまんでいうと、改革が遅れているのは本当に優れた官僚や政治家が登用されていないからだ」といわれます。

著者たちは「しかし、今後5年ないし10年の間に、世界の主要国で必ずベーシック・インカムの議論が行われるようになるだろうと筆者たちは考えている」、「日本経済の成長力を高めるために求められる最大のポイントは、企業の生産性を高めることだ」、「アメリカの場合は、地方議員の大半が非常勤で、週に1回程度会議に出席すればよい。議員報酬も無報酬か、あってもわずかな額である。議会も「土日・夜間開催」が普通だ」、「これらの宿題の解決を避けて通ろうとすれば日本の未来はない!」と主張しています。そして「当面の日本経済はコロナ問題への対応で大揺れになるだろう。しかしその先に、日本が避けて通れない『宿題』が待っている。いや、コロナ問題に対応するためにも、本書で示した宿題への処方箋が急がれる」、「このように安倍内閣発足以降、コロナ問題が生じるまでについては当面の日本を良くするための政策はそれなりに議論されてきた」、「政策の決定は、業界団体・族議員・官僚機構の三者により、閉鎖的に行われ、その目的は特定権益集団の利益を最大化することであった」、「「鉄のトライアングル」と呼ばれる業界団体・族議員・官僚機構の三者が、相変わらず、社会全体の利益よりも特定の利権を持っている人たちの利害を優先するような構造になっている」と語り、改革の必要性を説いています。

やはり「資質の問題」に帰着するのでしょうか。

「日本経済の成長力を高めるために求められる最大のポイントは、企業の生産性を高めることだ」としても、それに対する政策は「言うは易く行うは難し」と指摘されています。「机上の空論」とまでは言えませんが。

 

ポストコロナの時代は、「災いを転じて福となす」ということでしょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)への変革も加速度を増しそうです。テレワーク(在宅勤務)も普及するようです。さまざまな変革が必要のようです。

DXは、「企業がデータやデジタル技術を活用し、組織やビジネスモデルを変革し続け、価値提供の方法を抜本的に変えること」といわれます。

当然ながら、組織や個人は、新型コロナウイルスのパンデミックに直面し対策の中長期の計画を立てていることでしょう。経済的な危機は、非常に深刻だといわれます。想定外の事態に直面したと悩んでいる人や商売人、業者も多いことでしょう。景気のV字回復は難しいと指摘されています。前代未聞の経済事態です。

従来から社会の分け前の分配、再分配がうまくいっていないと指摘されています。パンデミック前でも社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきていました。改革の速度も大変遅いようです。本当に優れた官僚や政治家が登用されてきていない結果ともいわれています。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートの英知を結集した「国家改造計画」「コロナ対策」「ポストコロナの政策」が求められているそうです。識者の語るベーシックインカムは、近未来には具体的な政策となる可能性があるようです。「日本最大のシンクタンクである官庁を政治家は上手に使いこなすべきである」といわれます。菅政権もコロナ対策や経済再生に官民あげて知恵を絞ることが期待されています。ドイツのメルケル首相のいう「戦後最大の試練」(2020/3/19)に世界は直面しているようです。

 

・ 実際の経済の運用はノーベル経済学賞を受けた理論的な経済学者でも難しいといわれます。当然ながら、日銀や財務省のエリート達でも経済政策は難しいのでしょう?現代では、世界的な規模で連動しますから、より一層、予測が複雑になるようです。

経済システムばかりではなく、治安警察・国防政策も大胆な「改革」が必要と指摘されています。権威のある財務省とか日銀が、政策を誤ると、困るのは一般国民です。しかしながら、「日銀が政策を誤った」ということは、昔から有識者がよく指摘していたことだそうです。特にバブルの処理を間違い「バブル崩壊」に導いた日銀の責任は大きかったといわれます。バブル崩壊前までは「日本式経営」が、米国の学会にまで評価されていたようで、今では信じられない話でした。

 

・「政治に関心のないひとはいるが、政治に関係のないひとはいない」といわれます。政治家や官僚のスキャンダルや失政の報道は、国民が不安を覚え、国民が恥をかくといわれます。さまざまな国家システムが、劣化して機能不全に陥っているともいわれます。もはや「日本は先進国で豊かだ」とはいえなくなっているようです。国際比較では、さまざまな面で、「遅れた国」になってしまいました。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。今の時代、「日本は凄い!」「クール・ジャパン」を強調するよりも、子どもの虐待、難病や奇病も増えており、困っている人々も多いので早急な改革が必要とされています。「日本の政治家はアメリカのロビイストのような役割を果たしている」という説もあります。憲法が制定された当時、想定された国会や地方議会の機能が十分に機能せずに、「劣化」が目立つといわれます。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。「「官僚と政治 家、どっちが勝つか」こんな評論も多い。他の先進国から見たら噴飯ものだ」といわれます。政治の貧困が子どもの貧困を創っていると指摘されています。「改革が遅れているのは本当に優れた官僚や政治家が登用されていないからだ」といわれます。こうも「失政」が増えると「優秀な官僚」という折角のイメージが毀損されるといわれます。 

政治家と諜報機関に人材を集めるために、国会と地方議会の大胆なリストラを実施すべきだといわれます。「日本は諜報機関のない世界的にも珍しい国だ」そうです。「諜報機関がないために外国人からバカにされ、物笑いの種にされている」といわれます。「諜報機関のない国は拉致事件にも無力だった」といわれます。「船頭多くして船山に登る」状況でしょうか?ベスト&ブライテストしか政府を構成できないはずですが?!拉致事件にしても40年以上もかかって解決できず、被害者やその家族たちが可哀想です!

 

・健康問題は、誰でも非常に関心の高い事項です。著名人が「全身ガン」だとかの報道がメディアによく載りだしました。健康に関するコメントは「1日に1時間歩くことと、ゆで野菜を調味料なしで食べること。これに尽きる」という名医の言葉だそうです。「だから結局、1日1時間歩くだけで、癌、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞すべてに予防効果があるわけです」ということですので、毎日適度に体を動かしたいものです。働くことが、通勤も含めて適度な運動になり、社会的な関りもできて、健康に一番良いといわれます。

そして、食事は野菜を中心とした少食で、排出する断食もお勧めということらしいのです。

 

竹中平蔵氏は著名人ですので、毀誉褒貶相半ばする人だといわれます。amazonの「竹中平蔵」といれますと232件で多作のようです。内閣府特命大臣や総務大臣も務め、小泉内閣では理論的なリーダー的な存在だったといわれます。メディアでの評判やトラブルについては知りません。ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)によると、さまざまなトラブルがあったようです。昔は「有名税」といわれましたが、現在では訴訟になるといわれます。生産性が先進国では、低いと指摘されています。政治的資源の時間の分配が不効率だといわれます。いつまでも「政治が遅れている」ということでは複雑化する社会問題に対応できないでしょう。さまざまな面で「時代遅れ」が増えているといわれます。「『竹中先生は弱者切り捨ての自由競争主義で、もう旧いと思っている人も多いです」ということですが、興味深いものです。詳しくはフォローしていませんが米国型の「新自由主義」「市場経済原理主義」「弱者切り」とかで、メディアにかなり批判されたようです。米国でも共和党と民主党では、政治理念や経済理念が大きく違うといわれます。経営者サイドの観点からの政策と見られた場合が多かったようです。現代ではドイツと日本は「遅れてきた近代化の国」として世界から見られてきているようです。「政治に関心のないひとはいるが、政治に関係のないひとはいない」といわれます。「改革が遅れているのは本当に優れた官僚や政治家が登用されていないからだ」といわれます。「社会の分け前の分配、再分配がうまくいっていない」といわれます。

 

・ベーシックインカム、歳入庁設立、持続可能な社会保障の形、時代遅れの官僚制度、時代遅れの不要な地方自治体、道州制、働き方改革、生き残るリスク、医療問題、会社のガバナンス、学校教育、マニフェスト、非能率な国会、時代遅れの農業政策、産業政策等、論点は非常に多いようです。さすがに大臣経験者だけあって、知見は大いに参考になるといわれます。

学校問題や文部科学省の汚職で、国会も非能率ですし、私たち一般人も「政治の近代化」に協力しなければならないと指摘されています。人口減少に伴って「労働革命」「職業革命」が起こってくるといわれます。「AIが人類史上最大のパラダイム・シフトを起こす」といわれます。人口減少高齢化の時代には「女性と高齢者の活用」「生産性の向上」「障害者雇用」「外国人労働者問題の解決」が重要だといわれます。生産性の低さや女性の活用も、外国人の目から見ると、日本のイメージが悪くなるといわれます。

 どんな時代でも「人事・教育」が社会のどの分野でも一番重要だそうです。「日本の劣化」は東京オリンピック・パラリンピックまでには、なんとかしたいものです。

 

 ・ヒューマンリソースの活用では、女性が最も活用されていないと指摘されています。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。「女性が働く必要のない社会」というベーシックインカムのユートピア世界の発想もあるといわれます。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。女性の目と外国人の目からの評判・評価を気にしなければいけないといわれます。様々な分野の世界ランキングで日本の地位は低下しています。東京オリンピック・パラリンピックに想定外の多額の税金を使って、肝心なところにお金が回っていないといわれます。「子供の貧困」の問題も私たち一般人は、当然詳しくはありません。

  

熊本地震では「エコノミー症候群」が相次いでいると報道されていました。やはり、車の中で、一夜を過ごすことは、ストレスにもなり、血液の血栓を作るようです。とにかく体を動かす、歩くことが必要だと言われます。「健康法」にもさまざまな見解があり、奇説と思われるものもあるようです。高齢者になると「ラジオ体操」でも体に悪いという医者もおり、説が分かれているそうです。

 現代人は絶対的な運動不足だそうです。若いうちは「運動不足」でも、なんとかスムーズに日常生活ができますが、高齢になると「適度な運動」が必須になります。働くという事は、通勤を含めて、「適度な運動」になります。高齢者は意識して、日常生活に「適度な運動」を取り入れる必要があるようです。

 

・断食の本もよく読まれているようです。amazonに「断食」といれますと1060件の本がわかります。たとえば、『週1断食で万病が治る(週1回、2食抜くだけ!)』、『奇跡が起こる半日断食―朝食抜きで、高血圧、糖尿病、肝炎、腎炎、アトピー、リウマチがぞくぞく治っている!』、『3日食べなきゃ、7割治る!』、『「断食」が健康のための最高の方法だ!』、『食べなきゃ治る!糖尿病』、『断食でがんは治る』等、刺激的な題名が続きます。女性のダイエットということも非常に大きな話題・関心事になっています。断食がこれほど効果があるのなら、実践してみたいと思うものばかりのようです。

  アメリカ人の自己啓発書を読んでいますと「白いもの、砂糖と塩を控えめに」と書いてありました。肥満や心臓病に大敵だからでしょう。喫茶店にも人工甘味料が置いてあるところが増えたようです。アメリカ人はコーヒーやコーラを良く飲みますし、食事も塩味が基本だからです。砂糖を入れないでコーヒーを飲む人も増えているようです。砂糖と食塩の「白いもの」はタブーのようです。色とりどりの野菜サラダが良いようです。アメリカ人の肥満も日本人のサイズを超えているものが多いようです。

 

・ドイツ人がビールで、フランス人がワインという具合に歴史的にも日常の食生活に結びついているようです。酒屋や煙草屋には悪いですが、ここは「禁酒・禁煙」でしょう。ノンアルコール・ビールを飲む人も増えているようです。特に年齢を重ねますと酒が体に悪いことが実感されます。また、アメリカのビジネスパーソンは、「仕事中にタバコを飲んでいると仕事ができない」といって、マイナス評価をするそうです。しかし、若い頃から「禁酒・禁煙」を実行することは難しいことでしょう。日本の場合はビジネスマンと煙草が結びついているイメージです。病に倒れて入院したりする契機があれば、「禁酒・禁煙」の道にすすむようです。

  「禁酒・禁煙」で塩分と砂糖は控えめ、野菜中心のバランスの食生活、日常生活に組み込まれた適度な運動、「死ぬまでできる仕事やボランティアや生きがい」、「実行が容易な生活習慣」、「介護フリーの人生」が現代人の理想だそうです。確かに働かなくなると、軽い引きこもりになり足腰が弱まるといわれます。とにかく、ありとあらゆる病気が蔓延しているような現代です。医学の発達と病気の数が比例しているかのようです。難病や奇病も増えており、困った人々も増えています。

 

・「健康」と「運動」はコインの表裏で、「適度な運動」を日常生活に組み込むことが必須のようです。アメリカ人は「死ぬまで仕事をしたい」というモーレツ人間が多いそうですが、「仕事を続けることが適度な運動になる」ようで健康に良いようです。健康ばかりでなく社会性という観点からも「死ぬまで仕事をする」ことが、これからは重要になってくるようです。趣味に生きるのも良いですが、「死ぬまでできる何かを探す。適度な運動になる生きがいを探す」ことが重要になるようです。それでこそ、「ピンピンコロリ」で介護なしの大往生を遂げられることでしょう。「ひきこもり」やうつ病のような精神の健康についても「適度な運動」が効果的でしょうか。

  フランス料理の基本は「塩味」だそうです、ヨーロッパ人は、塩味になじみがあり、昔は、日本の味噌、醤油、生魚、納豆にはぞっとしたようです。今でも、ぞっとする外国人が多いそうです。しかし、寿司は、世界的なフードになりましたが。近年の世界中の和食ブームで、寿司なども外国人が好んで食べるようになりました。欧米人も健康志向で、長寿の日本人の原因が、和食、魚を中心とする食事ということからのようです。そして外国人が食べやすいような料理法も研究されています。

  インターネットの世界でも「数百もある健康法や美容法」は大きなジャンルのようです。「料理法」、レシピのネット企業もあります。健康法や美容法は商業ベースにのりやすく、「食」が大きなテーマのようです。「世界中の大人は誰でも何かの健康法や美容法を実践している」そうです。健康や運動は毎日のことです。あなたは、いかがでしょうか。

 

昔の中国の皇帝は「不老不死」を求めたようです。昔から宇宙人と会っていたからかもしれません。中国でも昔から異星人とのつながりがあったようです。死後の世界が不老不死の世界で、幽界では人生のベストな若い時の姿になるようです。「不死の惑星」というエロヒムのリラ星人の惑星もあるようです。遺伝子操作で「不死」を達成している宇宙人がリラ星人のようです。フランスのコンタクティ、クロード・ボリロン・ラエルによると「3万年進化しているサタン(悪魔)と呼ばれるリラ星人が、実験室で人間を創った」そうです。また人類は45 万年前に地球にやってきたアヌンナキという異星人が、遺伝子操作によってつくった存在だともいわれます。

  米国政府が秘密協定を結んだといわれているオリオン星人は人類に5万年進化しており「人間の魂の交換」ができるそうです。「オリオンの邪体霊」ともいわれ、アブダクション(誘拐)や生体実験をしたりして「宇宙の悪玉」のようです。また「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔」といわれ、「日本の異人や天狗」もオリオン星人系列のようです。

 

・パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の植民星が地球ともいわれ、人間は死後、幽界で天使のような宇宙人、シリウス星人と出会うそうです。しかし、ネガティブ・グループのシリウス星人もおり、「シリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こる」ともいわれます。

 

著者(松枝迪夫氏)の「私の健康長寿法十則」には「禁酒・禁煙」については書かれてありませんが、著者は適度に嗜む方なのでしょうか。昔の学生は酒をよく飲んだようです。しかし、酒も過度に飲めば体に悪いようです。何か大病を患い、病院に入院するなどして、そこで「決心」して「禁酒・禁煙」に向かう人も少なくないようです。私たち一般人は、「禁酒・禁煙で健康リスクをかなり減らせる」そうです。

  近年の世界的な「健康志向」で人々の関心も「自分自身や家族の健康の維持」に向けられているようです。現代人は絶対的な運動不足ですので、自分でジョギングやウォーキングをしたり、マラソンなどの練習をしたりする人が増えているようです。家庭でできる運動器具の販売宣伝も非常に多いようです。室内でやる運動器具にはすぐに飽きてしまう人々が多いそうです。またスポーツ・ジムやスイミング・クラブに通う人々も多く「適度な運動」を日常生活に取り入れて健康を維持して楽しい生活をしよう、愉快な人生を送ろうということのようです。

 

・街中では散歩をしている老人も増えており、「家に引きこもり」だと足腰が急に弱くなるようです。日常生活に「体を動かすこと」「歩くこと」を取り入れる必要があるそうです。そしてダイエットは女性の日常的な関心のようです。「肥満は万病の元」ともいわれます。メディアにはガン等で死亡した有名人のニュースが頻繁に出てきますが、ガンで死亡する有名人が意外に多いという印象です。また「塩や砂糖」も控えめにとるのがいいのですが、どの程度がいいのか分からなくなるようです。「人は誰でも自己流の健康法・美容法を実践している」といわれます。健康法を毎日実践して、介護リスクや痴呆リスクなど、誰でも嫌なことを本能的に避けようとしているのでしょう。

  近年、子供や大人の奇病や難病も増えているようで、治療法も分からない病気が増えているようです。医者でも病気の原因が分からないのですから厄介です。また自殺者も依然多いそうで、「心の健康リスク」の悪化が懸念されています。高齢化、少子化の時代に自分自身の肉体や精神の「健康リスク」にどう向き合っていくのかが日常の課題のようです。

  現代人は子供の頃から「絶対的な運動不足」といわれて、肥満は子供の世代にも増えているようです。またガンや心臓病などの病気で亡くなる人も増えております。現代人の最大の関心事は「健康」ということでしょうか。そのために適度な運動を無理なく日常生活に取り入れている人が増えています。気分転換のためにスポーツクラブやスイミングクラブに通う人も多いでしょう。その他の体を動かすサークルに参加したり、ジョギングやウォーキングが入りやすいようです。自転車で体を動かすことも必要です。長寿のためには「適度な運動」が必須だそうです。部屋に閉じこもって仕事をしていると、能率も大きく落ちてきます。

  働かなくなると老け込むといわれます。働くことが通勤も含めて適度な運動になり、体に良いようです。人間は毎日、体を動かすようにできているようです。散歩よりも早歩きのウォーキングを習慣にしたいものです。また老齢化と共にボランティア活動や仕事などで、「社会との関わり合い」が必要なようです。

 

・「食べる健康」では、この書のように「七色サラダ」を中心にタンパク質を取り入れるようにすることも必要です。また砂糖は体に悪いともいわれております。「砂糖や塩は控えめに」ということです。ノンアルコールビールに変えたりして「禁酒・禁煙」が最も体にいいようです。歳をとると「断酒」する人も増えてくるようです。お酒の会社には悪いですが、高齢者にとっては「酒は体に悪い」そうです。サプリメントも必要になりましょう。寿命が延びていますので、100歳を超える人々の数はますます、伸びるものと思われます。やはり、あの世に行くのにはPPK(ピンピンコロリ)がいいのでしょうか。あの世には天使のような異星人があなたを待ち受けているといわれます。

 

・インターネット情報(2014/9/12)によると、「全国の100歳以上の高齢者が過去最多の5万8820人に上る」、「100歳以上の高齢者の内訳は女性が5万1234人、男性が7586人。今年度中に100歳になった人と、なる予定の人々では女性が2万5千人、男性が4357人」、「国内最高齢は、女性が116歳、男性は111歳」、「日本人の平均寿命(13年)は男性80.21歳、女性86.61歳」、「100歳以上の人数は調査がはじまった1963年が153人だったが、98年に1万人を超え、2012年に5万人を突破した。近年は1年に3千~4千人台のペースで増えており、今後も増加が見込まれる」とのこと。近未来は、高齢者が増え長寿化しますので、100歳以上の人々は大きく増えるように思われます。

  日野原さんの長寿の原因は詳しくは分かりませんが「現役の医者として活動している」からだったようです。「働くこと」が「適度の運動」になり、社会との関係もでき、健康に最も良いようなのです。現代人は絶対的な運動不足ですから、定年退職して家に引きこもりますと、足腰がすぐに弱くなるようです。「通勤」や「働くこと」が「体を適度に動かすこと」になり肉体や精神に刺激を与え、長生きができるようです。日野原重明氏は、2017年7月18日に105歳で亡くなられました。

  とにかく体を毎日、動かす必要があるようです。病気で早死にするのも困りますし、病気で寝たきり老人でも家族が困ります。やはり、外に働きに出ることが自然な適度な運動になり、スポーツジムや室内での運動器具を使うことよりも効果的のようです。「働くこと」は、適度な運動になり、ウォーキングやジョギングよりも効果的のようです。

 

・アメリカ人は「死ぬまで働きたい」という人々が多いそうです。「働くこと」が健康によいことを知っているからでしょう。遊んだり、旅行したり、趣味に生きるのもいいですが、社会でボランティア活動をしたり、死ぬまでできる何か、働くことを見つけて、「生涯現役」ということで、長寿を全うしたいものです。しかし、普通の医者でも70歳以上になると引退する人が多いのでしょうか。血管の病気で倒れないために、食事にも注意をしなければならないようです。「肥満は万病の元」のようです。やはり「ピンピンコロリ」が理想的な死に方のようです。しかし、ピンピンコロリで実際、死ぬ人は少ないようです。

  さまざまな病気のリスクを掛け合わせると高い確率になり、発症リスクを避ける努力が個人に課せられています。「食べ物」のテレビ番組が多いようですが、日常の食と認知症は密接に関係しています。食の西欧化でこれまできましたが、認知症などを考えると「洋食」「中華」よりも「和食」に軍配があがるそうです。一般的に普通でも砂糖と塩分の摂りすぎになるようです。意識的に減塩・減糖をしなければ突然倒れる可能性が高まります。

  「認知症予防には一切飲まないにかぎる」ということですが、「お酒のリスク」は、まだ一般化していないようです。「タバコのリスク」は、昔から広く研究されて報道されていますので、若い人でも「禁煙」をする人も増えているようです。喫煙には規制も多くあります。タバコを喫煙するひとへの風当たりも強くなっています。「お酒のリスク」は病気で倒れないとなかなか一般的に認識されていないようです。

 

・飲酒の習慣が社会に一般化しており、全く飲めないことは、マイナスのイメージになるようです。毎日の飲酒の習慣を持つ人々も多いようです。サラリーマン社会では「居酒屋文化」がありますが、飲酒習慣のない人が増えると夜の商売の人々が困ります。飲酒習慣のついた人にとっては、「断酒」は難しいようです。

  「言うは易く行うは難し」で、病院に長期入院でもしないと「禁酒禁煙」の決心や実践もできないようです。「食生活の改善」とともに「適度の運動」も必須だそうです。とにかく毎日、体を適度に動かすように工夫することが必要です。「散歩」やウォーキングも日常の習慣として実践しなければならないようです。「介護」のお世話にならないように、しっかりと「適度な運動」をしなければなりません。

  「介護の問題」は、知識人でも自分の家族が倒れたことを契機に、真剣に考えだすようです。遠隔地の親が倒れて困ったという人々も多いようです。介護が原因でサラリーマンを辞めた人もいます。高齢化・少子化の時代ですから誰でも「認知症」や「介護」の問題に直面する時代のようです。

 

・「少子高齢化の時代」で、当然ながら、各国政府もさまざまなシナリオを描き政策を研究・実施しているようです。また「地方創生」ということで各国の地方自治体や企業もいろいろな手法を研究・実践しているといわれます。「近未来の高齢者、女性、若者の働き方」が斬新な発想で組み直しされる必要があるようです。女性の場合は、子育て支援とかさまざまな制度的な担保が必要のようです。「超高齢化」は世界の潮流ですので、各国政府とも対策には余念がないようです。待機児童の保育所の問題が脚光をあびています。日本に国立の「政治研究所」が必要だそうです。「官庁はわが国最大のシンクタンク」ですので、活発に機能しているのでしょう。それで、国民は「最大のシンクタンク」に頼らざるをえないでしょう。

 

高齢者の場合の対策は、米国の様に「定年なしの会社」も増えてくるものと思われます。若者の就職状況は、世界的には悪化しているようです。それに比較すると日本の学生は恵まれているようです。日本でも正社員以外の派遣労働者の問題が大きくなっています。日本の将来は人口減少でネガティブな見解が多くありますが、対策は考えれば豊富にあるようです。意外にも「ピンピンコロリ」の高齢者が増えるようです。少子高齢化でも創意工夫によっては、明るいシナリオが描けます。しかし、NPO法人も補助金や寄付が頼りで、採算にのるのは困難なケースが多いといわれます。

  社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。改革の速度も大変遅いようです。本当に優れた官僚や政治家が登用されなかった結果でしょうか。「失われた20年」と言われますが長い期間です。「日本は先進国だろうか」という声も街中で増えてきています。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。当然のことながら国家を維持発展させるために、制度的に、政府にはベスト&ブライテストが集結しているはずですが?!女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。

 

「限られた予算、限られた処遇、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字」ということで、アベノミクスの成果が問われています。アベノミクスもはっきりした数字も出てきています。「消費税の増税も将来は20%にまでいく必要がある」とのエコノミストの予測もあるようです。「定年を75歳まで延長し、消費税を20%にすれば社会保障制度の維持が可能になる」という議論もあります。今後は特に「高齢者に優しい電子政府の推進が経済活性化の鍵を握る」のかもしれません。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートのドリームチームの英知を結集した「国家改造計画」が求められているそうです。

  「つまり、自民党というのは、いわば商業ビルの「PARCO」や「109」スタイルで、右から左まで何でもござれの“よろず陳情受付所”“すべての票を取り込むための総合デパート“なのである」といわれます。そういった総合性、網羅性が自民党の選挙の強さの背景にあるのかもしれません。少子高齢化で、人々が「保守的」になっているといわれます。対抗する野党勢力が、迫力に欠いているのも原因なのかもしれません。年金問題にしてもなかなか抜本的な解決ができず、「国民は政府が受給開始年齢を引き上げ、次世代の負担を重くして問題の根本的な解決を先送りしていることを容認している」と語られています。

 


仮に、新型コロナウイルスの完全撲滅が実現したとしても、安心はできない。次なる感染症が繰り返しやってくる。なぜ21世紀が「感染症の世紀」になりそうかと言えば、地球規模で人口増加が続いているからだ。(9)

2021-08-21 09:57:08 | 森羅万象

 

地震後の避難が遅れたのはなぜか

・以上のデータから何が理解できるのか。確実にいえることは、今回の地震がきわめて大規模であり、しかも三陸沿岸のような津波の常襲地帯で、大規模地震の到来が予告されていた土地であるにもかかわらず、多くの人が自宅から逃げずに亡くなっているということだ。理由はさまざまだろう。自宅が高台にあったために、ここまでは津波がこないと過信して巻き込まれたか。あるいは高齢その他の理由で、そもそも逃げることができなかったか。貴重品やペットを取りに戻って流されたというケースがかなりあることも、私が聞いた話から明らかになっている。その理由はどうであれ、多くの人が地震の直後に逃げないで亡くなっているという事実は、基礎的事実として確認されなくてはならない。

 

・では、彼らはなぜ逃げなかったのか。くり返し述べてきたが、高台に自宅があったために、ここまでは津波がこないと過信して津波に巻き込まれた人が大勢いるのは事実だ。その意味では、津波の恐ろしさを周知徹底して、迅速な避難を呼びかけていくという作業はどこまでも必要だろう。

 

・制度的な問題として第一にあげられるのは、気象庁が発表した大津波警報の過ちだ。気象庁が最初に発表した3メートルという数字が住民の意識のなかにインプットされてしまい、避難行動を遅らせていたことは私が集めた証言からも明らかだ。何人もの人が、3メートルの津波であれば6.5メートルの防潮堤でふせぐことができると考えて、避難しなかったと証言しているのだから。これは早急に改善されるべき点だが、これについては情報の課題の箇所で検討する。ここで取りあげるのは、津波の浸水予測図、いわゆるハザードマップの問題だ。

 

岩手県と大槌町が発表していたこのハザードマップが決定的に間違っていたこと、そのために多くの死者を出す一要因となったことは明らかだといわなくてはならない。間違いの第一は、今回の地震の予測をあまりに低く見積もっていたことであり、第二は、事実の誤認が多く含まれていることだ。たとえば大槌町のハザードマップでは、町方の避難指定場所であった江岸寺は明治と昭和の津波の浸水区域の外側に記載されている。しかし明治の大津波では、浸水が寺の庫裏の根板から1メートル20の高さに達していたことが過去の記録に明記されている。にもかかわらず、それが浸水区域外として記述されていたのはなぜなのか。間違っていることが明らかであるとすれば、誰が、あるいはいかなる部局が、なにを根拠として、このハザードマップを作成していたのかが解明されなくてはならない。それがおこなわれなかったなら、今後もおなじ過ちがくり返されるだろうからだ。

 

ハザードマップはなぜ間違っていたのか

・役所が指定した避難所が津波に襲われて大勢の人が亡くなったケースは、大槌町や釜石市だけでなく、陸前高田市でも宮城県三陸町でも見られている。であれば、役所の出していた想定が多くの箇所で間違っていたことは明らかなのであり、その想定がどのようにして作成され、役所はどれだけの情報をあらかじめ提示していたのか、その全過程が公表されることが不可欠だろう。情報をできるだけ正確に、かつ広く住民に提供するというのは、防災にかぎらず行政が銘記すべきことの第一であるのだから。

 

車で逃げた人が多く、徒歩で逃げたのは一部にとどまったこと

・このように、自宅や勤務場所の近くに避難ビルが適切に配置されていれば、徒歩での迅速な避難が可能になって、多くの人命が救われることができる。

 

情報の混乱や途絶があり、被害を拡大したこと

・被災後に出された情報の内容や伝達方法に関し、今回の震災は大きな課題があることを示した。まず気象庁の津波警報だが、沿岸部の住民の多くは、気象庁が最初に出した岩手県で3メートルという予測値だけを知り、避難行動の目安としていた。その意味で、気象庁の出したこの情報は、人びとの迅速な避難行動をうながすというより、むしろ逆にそれを阻害する要因として働いていたのは明らかだ。

 

被災後すぐに火災が発生したこと

・一方、火災に関しては別の問題がある。先の白澤さんの話にもあったように、車はすぐに発火するという問題だ。彼によれば、大槌町では火のついた車が水に流されて漂い、火をつけてまわったので町方全体が火の海に巻き込まれたというのだ。

 

勤務中に津波にさらわれた人が多かったこと

・大槌町では老朽化した役場の倒壊の危険性があったために、地震直後の役場の前の広場に机を並べて、災害対策会議を開こうとしていた。そこを津波が直撃したために、危険を察知して屋上に逃げようとした町長をはじめとする幹部職員の多くが水に流されて亡くなった。と同時に、役場のなかでは職員が避難もせずに勤務していたのであり、彼らもまた建物のなかで津波に呑まれてしまい、役場職員140名のうち40名もが尊い生命を失った。

 

津波がまちを襲う

・マグニチュード9.0というわが国の観測史上最大規模の巨大地震とそれが引き起こした津波は、東日本の太平洋岸に大きな被害をもたらした。なかでも岩手県の三陸沿岸中部に位置する大槌町は、今回の震災で最大の被害を出した市町村のひとつだ。

 

・この本は、その3月11日から1年半のあいだに、吉里吉里をはじめとする大槌町と釜石市の人びとが、どのように行動し、何を語り、何を考えてきたかを再現することを目的として書かれたものだ。

 

・宮城県沖地震が30年以内に99パーセントの確立で襲うことが予想されていたにもかかわらず、その地震の規模と津波の予測が大きく間違っていたこと。しかも、地震の直後に気象庁が出した警報さえもが間違っていたこと。避難所に十分なそなえもなく、支援の手もなかなか入らず、住民自身の相互扶助と集団行動だけが秩序の空白を埋めていたこと。そしてまちづくりの現場では、住民の生活の質を向上させたり利便性を高めたりしようという配慮は行政の側にはほとんどなく、あるのはあいかわらず縦割り意識であり、数字合わせと表面的な効率性のみを重視する行政特有のロジックであること。これらのことを告発することもまた、本書が書かれた理由のひとつだったのだ。

 

 

 

『哀史 三陸大津波』  歴史の教訓に学ぶ

山下文男     河出書房新社  2011/6/17

 

 

 

繰り返される『大量死』の恐怖  「東日本大津波」を体験して

・すぐる3月11日(2011年)の東日本大津波は、死者2万人以上という過去の三陸津波史の中でも最大級の巨大津波であったことを示している。

 

・「三陸海岸は日本一はおろか、世界一の津波常習海岸」とまでいわれた恐怖の津波海岸。

 こうした難しい地域事情の中で、実際には観光への否定的影響を考え過ぎて住民への津波防災教育を中途半端、乃至は軽視してきたことが大被害の背景としてまず問題になる。

 岩手県の場合、これには誰よりも県当局と行政に責任がある。このことを率直に反省し、腰を据えて防災教育に取り組まなければ、将来、またも同様のことを繰り返すことになりかねないと私は心配している。

 

三陸津波史の特徴は、強烈なパワーによる大量死と遺体の海の藻屑化、そして「体験の風化に伴う悲劇の繰り返し」だと言われつづけてきた。

 

・今回も、互いに助けあおうとしての共倒れ、津波のスピードと引き潮の猛威を無視した逃げ遅れ、一度逃げたのに物欲のため家に戻って折角の命を失ったケース(私の親戚などそのため二人も溺死している)等々、明治の津波や昭和の津波の後で数え切れないほど体験した悲劇がまるで新しいことでもあったかのように住民たちによって語られ、連日紙面を埋めている。

 今回こそ、こうした風化現象にはっきりとした歯止めをかけなければならない。

 

哀史 三陸大津波

「津浪常習海岸」の「宿命」

・三陸沿岸一帯を襲った明治以降の初めの大津波は、三陸沖を波源とする明治29年(1896)6月15日の大津波であった。被害数は文献によって異なるが、比較的実数に近いと思われるものによると、死者は岩手県1万8158人、宮城県3387人、青森県343人、合計2万1888人。流出、倒壊、半壊戸数も三県で8200余戸に及んだ。

 

次のものは、それから37年後の昭和8年(1933)3月3日の大津波で、前と同様、波源は三陸沖、この時も岩手県で2658人、宮城県で307人、青森県30人、合計2995人が死亡し、三県で約6000戸が流出・倒壊した。

 

・この間、明治30年(1897)8月をはじめ数度にわたる小津波があったと記録されているし、昭和8年の大津波後27年を経過した戦後、昭和35年(1960)5月24日には、今度は遠く太平洋を隔てた地球の裏側の南米チリ沖を波源とする、いわゆる「チリ津波」に襲われている。この時も岩手県で61人、宮城県で54人、青森県で3人、福島県で4人、合計122人が死亡し、4000余戸が流出あるいは全・半壊した。

 

・「三陸沿岸地方は古来大津波に襲われることが頻繁」で、貞観11年(869)以来17回も津波に襲われている。これによると平均して60年余に一回襲われている計算になる。

 

・1600年から1970年までの370年間の津波を専門的な方法で分析すると「三陸沖では35年周期」が顕著であると指摘している。

 

実に三陸の太平洋沿岸は津浪襲来の常習地として日本一はおろか、世界一なのである。

 

狂瀾怒濤一瀉千里の勢い

・しかも、津波の波高は、低いところでも2~3メートル、8~10メートルは普通の方で、なかには20メートル~30メートルと、まるで今日の7階建てー10階建てビルのような高さの波であった。「山のような波」だった、と表現されているのも、あながち誇張とはいえない。

 

 

 

『松下幸之助はなぜ、松下政経塾をつくったのか』

江口克彦    WAVE出版   2010/6/20

 

 

 

個性・持ち味を生かす

・結論を申せば、松下幸之助は職種を増やすことを考慮した政治をおこなうことであり、「お互いの欲望が適正に満たされる社会」が政治の目指す姿だと考えていたようだ。

 

赤字国債の発行に危機感

・それでなくとも国費が膨大に膨れあがっている。戦前と比べるとそれは一目瞭然であり、物価は約1000倍、賃金は1300倍であるのに対し、国費だけが13000倍になっており、一桁違っている。「おかしい」というのが松下幸之助の直感である。

 

なぜ政府に政治研究所がないのか

・今政治は何といっても一番大事です。しかし、それだけ大事なのに政府に政治を研究している機関がないのです。

 

しかし、政府直轄の政治研究所はないのです。これが元々間違っています。自民党にしても与党として30年近く政権を担当し、あれだけの活動をしているのですから、専属の研究所があってもいいと思うのです。各議員の方々の体験からくるところの感覚で政治をやっておられるわけです。そういうところに一つの弱さがあると思います。

 

・このかってない非常時をかってない絶好のチャンスとするには、一にかかってお互いが「国難こそ絶好のチャンスだ」とはっきりと認識するかどうかである。

 

政治が日本の繁栄をつぶす

政治の要諦とは何か

・農業にたずさわる多くの人たちが食べることだけが精一杯の貧しい生活状態にあると仄聞している。農民自身も生産方法の改善に努めねばならないが、それ以上になぜ蓄積できないのか、また貧困に甘んじなければならないのかを追及し、その原因を糾していくのが、政治家の責任ではなかろうか。こうした政治の点に政治の貧困を感じていた。

 

政経塾設立への5つの理念

1、「百花繚乱の社会」を実現する政治をおこなうべきであるというものである。

2、「人間重視の社会」を実現する政治をすべきだということである。

3、「政治の生産性の高い社会」の実現を考え求めていた。

4、「道義道徳の高い社会」を実現する政治である。

5、最後に一つだけ加えれば「志の社会」の実現ということになるだろう。

 

採用基準は運と愛嬌

研修の基本方針

1、「自修自得」

2、「切磋琢磨」

3、「万差億別」

4、「徳知体の三位一体研修」

 

・政治がしっかりしなければ、国民は路頭に迷いかねない。国民の生活を支え、国民の幸不幸を左右する政治が今の姿ではとても安心しておれない。

 

当面の実現10目標

・新党の組織、党則を構築する一方、活動方針として「当面の実現10目標」を掲げた。

 

1、所得税一律5割減税の実施

2、建設国債の発行

3、無税国家、収益分配国家の実現

4、新国土創成事業

5、政治の生産性の向上

6、日本的民主主義の確立

7、多様な人間教育の実施

8、政治家及び官吏の優遇

9、生きがいを高める社会の実現

10、国際社会への真の寄与貢献

 

 

 

『未来を透視する』  FBI超能力捜査官

(ジョー・マクモニーグル) 

(ソフトバンク・クリエイティブ)2006/12/21

 

 

 

気象変動

・来るべき気象変動により、2008年からこの台風の発生回数は増えていくと私は、予想している。とくに2011年は過去に例を見ない台風ラッシュとなり、大規模な暴風雨が吹き荒れる深刻な年になるとの透視結果が出ている。この台風ラッシュは、2012年にずれこむかもしれないが、可能性は低い。嵐の増加を促す地球の温暖化は、現在も急速に進行中だからである。

 

・2010年から2014年にかけて、また、2026年から2035年にかけて、平均降雨量は年々560~710ミリメートルずつ増加する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけては、380~530ミリメートルずつ減少する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけて、平均降雪量は300~550ミリメートルずつ増加する。

 

 

 

『未来を透視する』   ジョー・マクモニーグル

ソフトバンク・クリエイティブ    2006/12/26

 

 

 

日本の自然災害

2010年、長野で大きな地震が起きる

・透視結果を見てもうろたえず、注意程度にとらえてほしい。ただし、最悪の事態に備えておいて、何も起こらないことを願おう。こと天災に関しては、透視は間違っているほうがありがたい。

 

今後、日本で発生する大地震

2007年  高槻市  震度6弱

2008年  伊勢崎市 震度6弱

2010年  長野市  震度7

2012年  伊丹市  震度6弱

2018年  東京都  震度6弱

2020年  市川市  震度6弱

2037年  鈴鹿市  震度7

 

・噴火や地震にともなって海底では地盤の隆起や沈降が起きる。そして、膨大な量の海水が突然動きだし、衝撃波となって陸地の海外線へと進行する。

 

・遠洋ではあまり目立つ動きではないが、浅瀬に入ると、衝撃波は巨大な津波となって陸地を襲い、都市部などを徹底的に破壊してしまう(波の高さはときには30メートル以上になることもある)。

 

・内陸へと押し寄せる力がピークに達すると、今度は海に戻り始め、残された街の残骸を一切合財引きずりこんでいく。警告もなしに、突然襲ってくれば被害はとりわけ甚大となる。

 

・幸い日本には、優良な早期警戒システムがあるのだが、海底地震が発生して警報が発令されてから、津波が押し寄せる時間は、残念ながらどんどん短くなっている。

 

<日本を襲う津波>

2008年夏   11メートル

2010年晩夏  13メートル

2018年秋   11メートル

2025年夏   17メートル

2038年初夏  15メートル

2067年夏   21メートル

 

日本は津波による大きな被害を受けるだろう(なお、波の高さが10メートル以上に及ぶものだけに限定している)。北海道の北部沿岸の都市部は特に津波に弱い。徳島市、和歌山市、浜松市、鈴鹿市、新潟市、石巻市も同様である。このほかにも津波に無防備な小都市は数多くある。

 

<土地>

・気象変動とともに、日本の土地問題は悪化しはじめる。沿岸部での海面上昇と、暴風雨の際に発生する大波によって、低地の村落と小都市の生活が脅かされるようになる。堤防や防壁といった手段は効力を発揮しないため、2012年から2015年のあたりまでに多くの人が転居を余儀なくされるだろう。

 

 

 

『口語訳  遠野物語』

柳田國男  河出書房出版社   1992年7月

 

 

 

『遠野物語』

・『遠野物語』は、1916(明治43)年に出版された日本民俗学の誕生を告げる記念碑的な本。

 

 魂の行方

・土淵村の助役 北川清という人の家は、字火石(あざひいし)にあります。代々山伏で祖父は正福院といい、学者で著作も多く、村のために尽したんです。

 

・その清の弟で福二という人は、海岸の田の浜へ、聟に行きましたが、先年(明治29年)の大津波にあい、妻と子どもを失いました。その後は、生き残った二人の子供とともに、元の屋敷あとに小屋を作り、一年ばかりそこにおりました。

 

・それは夏の初め、月夜の晩のことでした。福二は、便所に起きましたが、便所は遠く離れたところにあり、そこまで行く道は、波の打ち寄せるなぎさです。

 

・霧の一面に広がる夜でしたが、その霧の中から男女の二人連れが近づいて来ました。見ると女は、たしかに亡くなった自分の妻です。福二は思わず、その跡をつけて、はるばる船越村へ行く岬の、洞穴のあたりまで追いました。

 

・そこで妻の名を呼びますと、女は、ふり返ってにこっと笑いました。男のほうを見ますと、これも同じ里の者で、津波の難にあって死んだ人です。なんでも自分が聟に入る前、互いに深く心を通わせていたと聞いていた男です。

 

「いまは、この人と夫婦になっています」と、女が言うものですから、「子どもはかわいくないのか」と言いますと、女は、少し顔色を変え、泣きだしてしまいました。

 

・死んだ人と話をしているようには思えず、現実のようで悲しく、情なくなりました。うなだれて足元に目を落としているうちに、その男女は再び足早にそこから立ちのき、小浦へ行く道の山陰をめぐって、見えなくなってしまいました。

 

・少し追いかけてもみましたが(相手は死んだ人なのに)と気づいてやめました。それでも、夜明けまで、道に立っていろいろと考え、朝になってからやっと小屋に帰りました。福二はその後もしばらくの間、悩み苦しんだということです。

 

明治29年の大津波(明治三陸地震)

・明治29年6月15日(旧暦5月5日)夜8時ごろ、岩手県を中心とする三陸沿岸を襲った大津波のことです。波高は、38.2メートルを記録し、溺死者は2万2千人といわれ、最大級の津波でした。とくに、大槌町では、日清戦争の凱旋記念花火大会が行われていて、一瞬のうちに全滅という惨状だったといいます。

 

 山田の蜃気楼

・海岸の山田では、毎年蜃気楼が見えます。いつも外国の景色だということです。それは、見たこともない都会のようです。道路をりっぱな馬車がひっきりなしに通り、人の往来もびっくりするほど多いそうです。家の形など毎年少しも違いがないということです。

 

 

 

『政治学・行政学の基礎知識』

堀江湛  一藝社   2007/8/8

 

 

 

日本人の投票行動

政治的態度と投票行動

・わが国では政党支持態度という概念が政党帰属意識と近似の概念として存在する。日本人の投票行動においても政党支持態度の重要性は認識されており、投票行動に対する政党支持態度の規定力は強い。

 

・また、三宅一郎は日本人の政党支持がアメリカやイギリスのように一つの政党に対する固定的な支持というよりも、複数の政党について選択の可能性があることに注目し、「政党支持の幅」仮説を提示した。

 

・およそ5割が無党派層という近年のわが国の状況も投票行動に対する政党支持態度の規定力の減退を意味する。

 

社会的属性と投票行動

・社会的属性と投票行動との関係では、職業、年齢の重要性が指摘できる。職業別の投票行動については、自民党は自営業者に強く、とりわけ農林漁業者に高い支持を得ている。他方、民主党は被用者、とりわけ事務職や専門・技術職に比較的強い。ゆえに、自民党は農村部では圧倒的な強さを誇り、民主党は被用者の多い大都市部で強い。

 

・年齢に関しては、自民党は年齢が高いほど支持率が高い「高年型」のパターンを示す。それに対して民主党は20歳代から50歳代あたりの現役世代で比較的指示が高く、60歳以上の引退世代では弱い。自民党が高年型である原因は、加齢に伴う政治意識の保守化や老後において活動の主体が職場から地域に移行し、地域に根ざした個人後援会を発達させている自民党議員の支持者となるなどがあげられる。

 

アナウンスメント効果

・アナウンスメント効果とは、候補者や政党の現在おかれている状況に関する何らかの情勢報道が、有権者の投票意図や、実際の投票行動に何らかの変化をもたらすことと定義される。「勝ち馬」効果(バンドワゴン)、「負け犬」効果(判官びいき効果・アンダードッグ効果)などのように同情票が有権者の投票行動に影響を与えると考えられてきた。

 

・旧中選挙制の下では、マスコミの情勢報道が「選挙戦において優勢」と報じられた候補者に予測以上の集票が起こったり(勝ち馬効果)、「選挙戦において劣勢」と報じられた候補者の票が増えたりする(負け犬効果)ことが起こった。

 

・並立制になってからについては、2003年の衆議院選挙を事例として考えてみる。世論調査の結果にもとづき、マスコミは「自民党単独過半数の勢い」と報じた。その報道に対して自民党は「世論調査で『自民党有利』と報道されると本来は自民党に入れる人も他党に入れる。日本人にはそういうところがある」と懸念を表明し、陣営の引き締めを図った。

 

アナウンスメント効果の研究動向

・このアナウンスメント効果に関する研究ではパネル調査による研究も数多く行われてきたが、いまだ最終的な結論が出ていない。

 また90年代に選挙制度が変更されたことによって、ますますマスメディアの流す情報に候補者も有権者も敏感になりつつある。さらに最近の傾向としてはインターネットの登場により旧来の新聞・テレビだけでは予測できない変化が次第に生じているものとおもわれる。

 

・テレポリティックスが盛んにマスメディアで指摘されつつあるが、このアナウンスメント効果自体についてはマスメディア自体が大きく取り上げられる機会が少ないままである。すべての有権者は、候補者を選択する際に同じような情報をもつべきであると考えるならば、マスメディアのこのような効果について有権者も知っておくべきである。

 

・世界的にみて、このアナウンスメント効果の影響を問題視し、投票日前の世論調査に規制をかけている国もある(フランス、ルクセンブルク、ポルトガル、スぺイン、ハンガリー、ポーランド、ロシア、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、ベネズエラ、メキシコ、チリ、カナダ、南アフリカ、韓国などである)。

 

 日本の選挙では、総務省によるホームページの利用に関する研究会など公職選挙法改正に向けた取り組みが行われてきた。さらなるマスメディアの影響に関する実証的研究が望まれている。

 

<●●インターネット情報から●●>

 

衆院選中盤情勢>与党、3分の2超す勢い…本社総合調査

 ・毎日新聞は2014年12月の第47回衆院選(定数475=小選挙区295、比例代表180)が14日に投開票されるのを前に、5~7日に特別世論調査を実施し、取材情報を加味して中盤情勢を探った。自民党は小選挙区、比例代表で計300議席を上回る勢いで、公明党と合わせて衆院の3分の2(317議席)を超えるだけでなく、自民単独での3分の2超えも視野に入る。

 

◇自民堅調続く/第三極振るわず、民主伸び悩み

 

・民主党は公示前の62議席を上回るが、小選挙区、比例ともに前回の2012年から小幅の伸びにとどまりそうだ。維新の党は計30議席に届かない見通しだ。

 

 

 

『日本経済 今度こそオオカミはやってくる』

負けないビジネスモデルを打ちたてよ

竹中平蔵  冨山和彦  PHP研究所  2011/9/13

 

 

 

批判することではなく、結果を出すこと

・共通して経験したのは、経済と経営の基本原則に則って正しいことをやろうとすると、必ず既得権を持つグループが執拗に反対運動を展開することです。それを、無知で無責任なメディアがサポートします。その結果、日本の経済と産業は疲弊し、そこに大災害が重なって「今度こそオオカミはやってくる」という状況に至ったのです。

 

日本とシリコンバレーでは、社会背景も文化土壌もまったく異なる>

・学生の時とビジネスマンになる間のちょうどブリッジの部分を鍛える仕組みが必要です。社会人になった新人を数年かけて鍛え上げ、仕事をこなせるようにもっていくような人材育成のやり方を、社会全体の力で改める必要があるのです。

 

政策の経験がない民間人には政策立案はできない>

・現在、国家レベルの政策作りができる人材を育てられるのは、霞が関の中央官庁だけです。ところが、官僚が霞が関に長くいると、所属する各省庁の利害関係にがんじがらめになります。

 

・たしかに日本にもシンクタンクがあります。特に金融系のシンクタンクや経済団体がさまざまな提言をだしていますが、それを実現させるにはどうしても無理がある。なぜなら、彼らは政策をつくったことがないからです。経営をやったことがない人が、外から評論するのと同じです。

 

・一度でも政策立案にかかわった人ならわかりますが、政策立案は、非常に細かな法律的手続きの積み重ねによってなされるものです。もっともな題目だけ並べるだけでは、実現可能性はゼロなのです。霞が関の官僚たちは、外部からの政策提言なんて、気にもとめていないと思います。

 

・ビジネスパーソンに、「役人や政治家を連れてきて、会社の経営ができると思いますか?」と聞けば、たいていの人は「無理」と答えるはずです。同じように、民間の人を霞が関に連れてきても、いきなり政策をつくれるわけがありません。

 

役所は民間と違う複雑なゲームを展開している

・官僚の世界は官僚の世界で、経済人とはまったく違うタイプの複雑なゲームをやっているわけです。そもそも種目が違うから、民間の発想をそのまま官僚の世界に取り込むことはできません。

 

株主総会が年間二百日開かれるのと同じ

・民間と行政ではルールがまったく違うわけです。

 

・政府にとって、株主総会に当たるものは何かというと、国会です。国会は年間二百日程度開かれています。「株主総会が200回開かれている会社だと思え」と私はよく言っています。簡単に改革ができるわけがないのです。

 

法律と予算を変えることの大変さ

・企業なら役員会で決められる話を、すべて株主総会を開いて、そこで議決しているようなものです。それがどれほどたいへんか、わかっていない人が多すぎます。

 

・すると、「そんな面倒くさいことをやっているからダメなんだ。仕組みを変えればいいじゃないか」と反論する人がいるかもしれませんが、日本は民主主義の国だから、そこはそう簡単には変えられない。良くも悪しくも、国民の代表である国会議員による国会での審議を経ずに、重大な意思決定をするわけにはいかない、面倒くさい仕組みなのです。

 

法律と予算を変えることの大変さ

・政府といっても法律事項、予算事項は授権されないので、毎回国会の承認をもらわなければいけません。企業なら役員会で決められる話を、すべて株主総会を開いて、そこで議決しているようなものです。それがどれほど大変か、わかっていない人が多すぎます。

 

・良くも悪しくも、国民の代表である国会議員による国会での審議を経ずに、重大な意思決定をするわけにはいかない、面倒くさい仕組みなのです。

 

法案作成から成立までの手続きが複雑

・このように、政策立案は大変だからこそ、そのノウハウをずっと持ち続けてきた官僚が結局強いわけです。民間が何を言おうと、官僚組織に歯が立たない。こういう状況を打ち破るために何が必要かというと、人が交流することです。それがいちばん早い。

 

独自の隠語を駆使して政策プロセスを牛耳る

・霞が関の官僚が外部の人間を簡単に寄せつけないのは、政策プロセスの複雑さもさることながら、彼らにしかわからないジャーゴン、専門用語を多用することにも原因があります。

 

・ジャーゴンがあるということは、日本の政策プロセスはごく一部の人間に牛耳られているということです。政治家と官僚だけ。民間人は入っていく余地が少ないということです。

 

私益、公益、組織益の三つの円の重なりを大きくする

・役人たちは、天下りまで含めた終身雇用制度の中に完全に組み込まれています。今の時代、彼らが、国民の利益の最大化ではなく、組織の利害の最大化という潜在的な欲求を持ってしまうのは、そのせいでもあります。

 

天下り制限撤廃とキャリア制度廃止で人材を流動化

・むしろ、天下りというか、民間企業に行くことに対する制限を撤廃すべきです。いつでもやめられるという状況になれば、いつでも入っていける。官から民へ、民から官へ。人の移動が活発になれば、政治家と役人だけが政策プロセスを牛耳ることができなくなります。

 

・さらに、論功行賞にして、キャリア制度を廃止しなければいけません。

 

日本のベスト&ブライテストを集結する

・政策立案というのは知的な仕事であることは間違いありません。もっと自由にひとが出入りするようなオープンなコミュニティを築き、そこに日本のベスト&ブライテストを集めて、その人たちが政策立案する状況をつくらなければならないのです。

 

・民間には民間の厳しさ、難しさがあります。政府には政府の難しさがある。その両方を真剣勝負で経験し、二つの世界の違いと共通点、それぞれの長所、短所を体感的に理解している人材を、急がば回れでつくっていく努力をすべきなのです。

 

それを実現するには憲法改正が必要です

・政策立案を専門的に行っているのは官僚ですが、先に述べたように彼らはけっして高学歴集団ではありません。一方、民間のシンクタンクにいる「政策評論家」は、実際に政策をつくったことがない人が大半です。国会審議のことも何もわかっていない人の話をいくら聞いても無駄なのです。

 

政治の混乱は国民の混乱の反映にすぎない

・日本は民主主義国家です。主権は国民にあります。政治家の悪口をいろいろ言うけれども、選んだ自分たちの責任でもあるのです。要するに、自分たちの悪口を言っていることにもなるわけです。

 

・現在の混乱を生み出したのも、厳しい見方をすれば、自分たち国民がそういう選び方をしたからです。政治が混乱しているとすれば、それはわれわれ自身が混乱していることの反映にすぎません。選ぶ側にキズがあれば、選ばれた政治家にはもっとはっきりとしたキズが表れます。