体奏家/新井英夫の予告報告 (DANCE-LABO KARADAKARA)

体奏家/ダンサー新井英夫の舞台活動とワークショップ活動の予告と報告。たまに日々の雑感あれこれなども。

野口体操の公開講座やります@九州大学6/27土.28日

2009-06-20 12:49:08 | Weblog

九州大学の一般市民向け連続公開講座"21世紀の『建築探偵』VS『考現学』入門"(全9回)にて、「都市身体論」としての位置づけで野口体操の公開講座(第4.5回)の講師を担当することになりました。近隣の方、まだ空きがあるか定かではないのですが、ご興味があれば、事務局にお問い合わせください。私の恩師でもある藤原惠洋先生(建築史都市文化論)の企画担当されている全体を通して大変興味深い連続講座です。

藤原先生は、ぼくが電気曲馬団という劇団(総合的身体表現集団)を20代のころ率いていた時、都市計画やまちづくりの立場からワークショップとは何か?を指導してくださったり、まちやヒトと関わるパフォーミングアーツの可能性を先駆けて示唆してくださった恩師なのです。


この連続公開講座、外部講師としては私のほかに建築探偵の藤森照信氏などそうそうたる顔ぶれ。そう考えるとちょっと緊張しそうですが、野口体操なんですから「力を抜いて」いくとします。

以下講座概要説明をWebから引用
歩く哲学者となり、ふだん見なれたまちかどや何気ない風景や暮らしの痕跡をいとおしみながら都市の文脈の中で再考する。こころとからだの調和点を探索しながら、都市のはざまに隠れ潜む建築や隠者達の芸術文化をあぶり出して行くとき、21世紀の都市空間がいきいきとたちあがってくるに違いない。

■6/27土.28日 各13-17時、九州大学大橋キャンパス体育館
■一般市民向けの有料講座、定員空き有無は下記にお問い合わせください。
■問い合わせ申し込み先
九州大学芸術工学部学務課教務係
〒815-8540 福岡市南区塩原4-9-1
[電 話]092-553-4418
[FAX]092-553-4597
[E-mail]gkgkyomu@jimu
(メールアドレスの末尾[.kyushu-u.ac.jp]省略)
http://www.kyushu-u.ac.jp/university/coopration/include/kouza/include_geiko9.php


絵本をおどる!「即興ありがとうダンス」

2009-06-18 09:00:24 | 報告
6月は保育園でのワークショップを各所でやらせていただいてます。

やっている内容はだいたいこんな流れ。「ほぐす・つながる・つくる」。
まず自分のからだを「ほぐす」、自然と気持ちもほぐれる。つぎに仲間と恊働して動いたり、音を丁寧に聴いてうごいたり、他者や環境と「つながる」。最後に、緩やかな関係や最小限のルールの中で表現をみんなと「つくる」というもの。

6/11と16は豊島区要町保育園にワークショップに伺いました。(主催:豊島区 コーディネイト:NPO芸術家と子どもたち) この保育園では昨年の12月にワークショップをはじめてやって、またリクエストをいただいての再訪。昨年の年中クラスは、今年は当然、年長クラスになっていて、僕のことを「アライサンタ」なんて呼んでくれる。(初対面が12月だったのと、赤い衣装だったので「私はサンタの弟子なんです」とデマカセ自己紹介をしたので、そういうニックネームになってしまった)

「今日は何しにきたの?」
「夏なのでサンタは暇なので、またみんなと遊びにきました」
「じゃ遊ぼう!」とワークショップがはじまる。今回は初対面の年中クラスとこの年長クラスの2コマ連続ワークショップ。汗びっしょりになる。からだをほぐす、人形になって転がる、ニンジャの歩行、音に合わせて動きをつくる、合体動物をつくる、新聞紙でおどる…などなど。緩急のエネルギーが流れ、あっという間に時間が過ぎる。

そして、ワークショップの最後にいつもやっているのがコレ。
「絵本をおどる! 即興ありがとうダンス」というパフォーマンス。
ふだん保育士の先生が読み聴かせしている絵本を、絵を見せずに朗読だけしてもらって、絵本から飛び出たダンスとして僕が即興で踊ってみせる、音もその場で即興で演奏、という試み。事前の打合せは最小限にしておいて、その場でつくる・おどる・奏でるスリリングなダンス アルティメット ショウ。

もともとの発想は僕が大好きでやってもいた「落語」にあったりする。客との呼吸のやり取りで自在に間が変化する、一人で何役も演じる。扇子一本が何にでも化ける。座布団の上で宇宙まで語れる。すべてを表現しないで観客の想像力を信じる。省略の美、見えないものが見える面白さ豊かさ…。CGなんかの説明し過ぎる絵や映像文法に慣れている今ドキの子どもに、なるべく想像力で、自由に感じてほしい。ライブならではの即興性も楽しんでほしい。そんなコンセプトのダンスなのだ。

昨年12月は「めっきらもっきら どおんどん」という絵本で踊った。今回は「じごくのそうべえ」という上方落語を素材とした絵本で。どちらも登場人物が多く(ちょっと冷や汗)、即興でエンジン全開で踊った。集中してキラキラ輝く新鮮な目玉で観てもらえたと感じている。子どもたちは、ある意味もっともシビアな観客だ。有名無名、受賞歴あるなし、僕がどんなダンサーがなんてフレコミはいっさい関係ない。目の前の出来事がすべて。だから素直にうれしい。

最後にうれしいことがもうひとつ。
なんと昨年12月、僕がおどった「絵本をおどる即興ありがとうダンス」に刺激されて、当時の年中クラス(今は年長クラス)が、3月の卒園生を送る会で、「めっきらもっきらどおんどん」をクラス全員の舞台作品として創作上演してくれたというのだ。今回、そのスペシャルなショウを僕への「ありがとうダンス」として見せてくれた。即興で僕がやった表現もしっかり振り付け構成に取り入れてくれていた。作品化にあたってこの保育園の先生方のチカラが何より大きい。この保育園の子どもたちは幸せだ。VIPシートで鑑賞させていただいた僕は涙腺がゆるんだなぁ。

この年長クラス「めっきらもっきらどおんどん」は、保育園の近所の高齢者施設で
も上演され好評を博したのだそうだ。もはや立派なレパートリーなのだ。保育園から発信されるコンテンポラリーダンス!! いいなぁ。こういうの。

今回、お世話になった要町保育園の先生方、芸術家と子どもたちのスタッフ=南谷さん、内川さん、ワークショップ中のサポートで大活躍してくれた東京芸大の学生さん=田島さん、山崎さん、小暮さん、そして即興演奏をバッチリ決めてくれた正木さん。みなさんありがとうございます。どなたが欠けても今回のワークショップは成立しませんでした。心から感謝申し上げます!!



こちらは「じごくのそうべえ」桂米朝師匠の噺が原作。関西弁です!

都市で「芸と農」!! グリグリプロジェクトでワークショップの2回目

2009-06-17 16:34:06 | 報告
写真は、西巣鴨創造舎(旧朝日中学校)の元校庭で撮ったもの。「ネジリバナ」という植物で螺旋状に花がついています。美しい!!

先月に引き続き、6/13土に都市の廃校校庭を利用した地域のオトナと子どもが参画している畑づくり、グリグリプロジェクトに「からだのワークショップ」ゲストとして呼んでいただきました。ぼくの理想とする「ワークショップの次なるカタチ」に近いとても気持ちいい試みだと感じています。
アーティストを自認する人がファシリテートするワークショップは、その作家の価値観だけが前面に出過ぎて引っ張られ過ぎちゃうこともあると思うのだけど、グリグリはそんな気配がぜんぜんない。企画側・参加者・指導者・畑(自然)のゆるやかな関係が醸し出す賜物といっていい。流れがとてもいい。
集まった人と人のつながりから無理なく生まれるモノやコトの豊かさ。風や光や土や水や植物が教えてくれる「ささやか」で「かけがえのない」歓び。自然にオトナは子どもに還り、子どもはちょっぴりオトナびる。からだワークショップゲスト参加全3回の今回は2回目でしたが、さらに確信したことは、芸と農はおんなじ根っこから生まれてきたのにちがいない、ということだった。

みなさんありがとうございます!!

ぼくの参加した日のご報告とグリグリ全般の活動を知っていただきたいので、主催の「NPO芸術家と子どもたち」さんからの「ACTION!メールマガジン」を転載いたします。

素敵な写真も満載、スタッフ日記はこちらから。
http://children-art.net/staffblog/002action/005grigri/


-------------------以下転載---------------------------------------------
グリグリプロジェクトの4月、5月の様子をお伝えします!
グリグリプロジェクトとは、植物を通して、世代を超
えた人々の交流の機会を生み出すとともに、ふだんとはひと味違う発想・表
現の機会をつくりだしていくプロジェクトです。2006年度よりにしすがも創
造舎の校庭に畑や花壇をつくって、野菜やお花の栽培を行っています。大人
も子供も「無理に参加しない」中で、自然と発生していく小さなコミュニケ
ーションの様子をお届けします。

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~'09 グリグリ・プロジェクト レポート! vol.1
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4月に新メンバー約30名が加わってから約一月半。

この間、夏に向けて育てていく植物をみんなで相談して植え込んだり、バラの
アーチを組み立てたりしてきました。毎年4,5月は畑づくりで慌ただしく過
ぎていくので、新メンバーの方たちはわけもわからないうちに畑仕事に巻き込
まれていったことと思いますが、今年はバラのアーチを組み立てる大きな作業
もあったので、グリグリは何でも手づくりするんだなぁという印象をもったの
では。少々手間はかかりますが、その分一つ一つに思い出が詰まっていく楽し
さもあることを、少しは感じてもらえているのではないか…と期待していると
ころです。

さて、グリグリ初の試みとして5月より「からだワークショップ」(全3回)
を開催しておりますので、その様子を少しだけご紹介したいと思います。ワー
クショップ講師として来てくださったのは新井英夫さん(体奏家・ダンスアー
ティスト)。畑仕事の合間に、自然を感じながら身体を動かしてみることで、
疲労した身体がリラックスするのではないか、或いは人と自然とのつながりを
何かしら感じることができるのではないか、という思いがあって実現しました。

ワークショップは1時間半ほど。新井さんには朝から作業に加わってもらった
上で、畑の隣の芝生の上をワークショップ会場として実施していただきました。
ワークショップのために新井さんが用意してくれたのは芝生の上に張る大きな
幕と少しの楽器。幕が風になびく様子をながめたり、ときどき誰かが楽器を奏
でたりしながらのゆったりとしたワークショップの中では、見えないボールを
キャッチボールしたり、風に吹かれたつもりで身体をふにゃふにゃゆすってみ
たり、その傍らで鍵盤ハーモニカや即席の木琴を即興で音をならしてみるとい
ったことが、新井さんの声かけでとても心地のいい形で起こっていきました。
まさに、身体が心地よさを感じているからこそ自然と生まれた美しいコラボ
レーション。参加した子どもも大人も、みんなとても気持ちよさそうに動いて
いました。

新井英夫さんのワークショップの詳細や、バラのアーチづくりなど活動の様子
はスタッフ日記にもつづっておりますので、ぜひご覧になってください。
http://children-art.net/staffblog/002action/005grigri/

●グリグリ・プロジェクト参加アーティスト

◇グリーン&ワークショップ企画・監修
カブ(美術家/深沢アート研究所緑化研究室代表)
http://www.hukalabo.com/poppycab/

◇プロジェクトファシリテーション
坂倉杏介(慶應義塾大学専任講師/三田の家LLP代表)
http://kyosuke.inter-c.org/cahiers/

■グリグリ畑の掲示板■今月の活動日:6月13日、28日■今月の収穫物:
グリーントマト、ブルーベリー、ジャガイモ■今咲いている花:ジャガイモの
花、チコリの花、バラの花

グリグリ・プロジェクト:http://children-art.net/action/015grigri/


ダン活で鹿屋市に行ってきました。

2009-06-17 15:13:42 | 報告
このところブログが更新停滞で反省。6月は今まで地方へ行ったりライブをやったりワークショップいろいろ。のっけから忙しく楽しくしておりました。ということで、事後報告をいくつか…。


ダンスのチカラで「まち」を元気にする。そんなことにいくつか関わっています。そのひとつが(財)地域創造の「ダン活」(=公共ホール現代ダンス活性化事業)。コンテンポラリーダンサーを地方公共ホールに派遣して、劇場で地域市民のみなさんとワークショップをしたり、高齢者施設や学校や福祉施設にアーティストが出張してワークショップをしたり。そして地域の方々とダンスを作って公演もやる…というもの。ぼくは平成21.22年度のダン活登録アーティストをやらせていただいています。

ということで、6/3.4と鹿児島県鹿屋市に下見と打ち合わせと準備ワークショップを兼ねていってまいりました。プロジェクトの本格実施は来年1月の予定です

鹿児島空港から噴煙を上げる桜島を横目に、道の駅で眼下の湾で養殖しているというブリイサキ定食で昼食。車で二時間弱で鹿屋に到着。出撃地だったことから特攻の資料館があり見学、戦士の方々の遺された直筆手紙の生々しさ。漢文調あり、文語体あり、漫画入りイラストもあり、愛する人への想いを綴ったものもあり。おんなじ人間がこうして亡くなっていったのだという当たり前のことを改めてリアルに感じ入る。それから会場のリナシティかのや鹿屋市市民交流センターhttp://www.kanoyashimin.jp/でスタッフのみなさんとご挨拶、のち職員のみなさんを対象としたダンスワークショップを実施。ほぐしれたカラダと心から、個性的な表現が次々と。盛り上がる。みなさんとお疲れ様会を芋焼酎で。(まずお湯を入れてから焼酎が本場お作法なのだそう) 

翌日は来年の事業実施の候補となる高齢者施設での打合せ。施設長さんから「やはりダンスは人と人をつなぐチカラがありますよね!」とのっけから力強いお言葉をいただき驚く。伺うと施設長さんはお若いころ「ディスコ」でフィバーしていたのだそうだ。ここ鹿屋でもディスコ文化が70年代花開いていたとのこと。「やがて高齢者施設にはダンスホールとミラーボールが必須ですかね」と冗談まじりに「ダン活」への期待を語り合う。早速お試しアポなし訪問ワークショップをしてみよう!ということで真っ赤な衣装に着替えてグループホームのお部屋へ。ぼくが笛を吹いて登場、即興でいっしょに踊り、ダンスでのコミュニケーションをはかる。興に乗ったおばぁちゃんから島唄民謡が手踊り付きで次々飛び出す。こりゃ本物! すばらしかった。(利用者さんからお礼の言葉をいただいた、本場の鹿児島弁は英語よりわかりませんでしたが)
名物黒豚とんカツをお昼にいただいて後、 地域おこしのコミュニティ「やねだん」http://www.yanedan.com/を取材、休耕地にムラの人総出で芋を植えてオリジナル焼酎を開発したり、空家にアーティストを招いて滞在させたり、土着菌を利用した有機農業にとりくんだり…と地域資源を最大限活用しながら地に足の着いた持続可能な魅力的ムラづくりを実践されているところ。ここでもワークショップをやらせていただくことになりそう。

宿泊していたホテルから朝の散歩中に原付きバイクにまたがった女子高生の一群に遭遇。んんん?? ここ鹿屋では、なんでもバイク通学は当たり前とのこと。全員黒髪で、まんまの長いスカート丈。バイクでスカートをなびかせて通学してくる化粧っけのない女子高生の群れは、東京の山の手線で見かけるイマドキのワカモノとずいぶん違っていた。これも同時代の日本の風景なんだな。彼女たち鹿屋の高校生が参画して創り上げたリナシティかのや制作オリジナルミュージカル「ヒメとヒコ」http://himetohiko.blog123.fc2.com/というのがあって、各地で再演を重ね、劇場レパートリー化しているのだそうだ。地域の歴史的物語に取材し異文化交流をテーマとしたこの作品、DVDを見せていただいたがとてもレベルの高いものだった。「ダン活」がこういう活動ともリンクしていけたらきっと楽しい。


行ってみて、はじめて知ることわかることがたくさん。
来年1月の鹿屋「ダン活」、楽しみです!!