体奏家/新井英夫の予告報告 (DANCE-LABO KARADAKARA)

体奏家/ダンサー新井英夫の舞台活動とワークショップ活動の予告と報告。たまに日々の雑感あれこれなども。

絵本をおどる!「即興ありがとうダンス」

2009-06-18 09:00:24 | 報告
6月は保育園でのワークショップを各所でやらせていただいてます。

やっている内容はだいたいこんな流れ。「ほぐす・つながる・つくる」。
まず自分のからだを「ほぐす」、自然と気持ちもほぐれる。つぎに仲間と恊働して動いたり、音を丁寧に聴いてうごいたり、他者や環境と「つながる」。最後に、緩やかな関係や最小限のルールの中で表現をみんなと「つくる」というもの。

6/11と16は豊島区要町保育園にワークショップに伺いました。(主催:豊島区 コーディネイト:NPO芸術家と子どもたち) この保育園では昨年の12月にワークショップをはじめてやって、またリクエストをいただいての再訪。昨年の年中クラスは、今年は当然、年長クラスになっていて、僕のことを「アライサンタ」なんて呼んでくれる。(初対面が12月だったのと、赤い衣装だったので「私はサンタの弟子なんです」とデマカセ自己紹介をしたので、そういうニックネームになってしまった)

「今日は何しにきたの?」
「夏なのでサンタは暇なので、またみんなと遊びにきました」
「じゃ遊ぼう!」とワークショップがはじまる。今回は初対面の年中クラスとこの年長クラスの2コマ連続ワークショップ。汗びっしょりになる。からだをほぐす、人形になって転がる、ニンジャの歩行、音に合わせて動きをつくる、合体動物をつくる、新聞紙でおどる…などなど。緩急のエネルギーが流れ、あっという間に時間が過ぎる。

そして、ワークショップの最後にいつもやっているのがコレ。
「絵本をおどる! 即興ありがとうダンス」というパフォーマンス。
ふだん保育士の先生が読み聴かせしている絵本を、絵を見せずに朗読だけしてもらって、絵本から飛び出たダンスとして僕が即興で踊ってみせる、音もその場で即興で演奏、という試み。事前の打合せは最小限にしておいて、その場でつくる・おどる・奏でるスリリングなダンス アルティメット ショウ。

もともとの発想は僕が大好きでやってもいた「落語」にあったりする。客との呼吸のやり取りで自在に間が変化する、一人で何役も演じる。扇子一本が何にでも化ける。座布団の上で宇宙まで語れる。すべてを表現しないで観客の想像力を信じる。省略の美、見えないものが見える面白さ豊かさ…。CGなんかの説明し過ぎる絵や映像文法に慣れている今ドキの子どもに、なるべく想像力で、自由に感じてほしい。ライブならではの即興性も楽しんでほしい。そんなコンセプトのダンスなのだ。

昨年12月は「めっきらもっきら どおんどん」という絵本で踊った。今回は「じごくのそうべえ」という上方落語を素材とした絵本で。どちらも登場人物が多く(ちょっと冷や汗)、即興でエンジン全開で踊った。集中してキラキラ輝く新鮮な目玉で観てもらえたと感じている。子どもたちは、ある意味もっともシビアな観客だ。有名無名、受賞歴あるなし、僕がどんなダンサーがなんてフレコミはいっさい関係ない。目の前の出来事がすべて。だから素直にうれしい。

最後にうれしいことがもうひとつ。
なんと昨年12月、僕がおどった「絵本をおどる即興ありがとうダンス」に刺激されて、当時の年中クラス(今は年長クラス)が、3月の卒園生を送る会で、「めっきらもっきらどおんどん」をクラス全員の舞台作品として創作上演してくれたというのだ。今回、そのスペシャルなショウを僕への「ありがとうダンス」として見せてくれた。即興で僕がやった表現もしっかり振り付け構成に取り入れてくれていた。作品化にあたってこの保育園の先生方のチカラが何より大きい。この保育園の子どもたちは幸せだ。VIPシートで鑑賞させていただいた僕は涙腺がゆるんだなぁ。

この年長クラス「めっきらもっきらどおんどん」は、保育園の近所の高齢者施設で
も上演され好評を博したのだそうだ。もはや立派なレパートリーなのだ。保育園から発信されるコンテンポラリーダンス!! いいなぁ。こういうの。

今回、お世話になった要町保育園の先生方、芸術家と子どもたちのスタッフ=南谷さん、内川さん、ワークショップ中のサポートで大活躍してくれた東京芸大の学生さん=田島さん、山崎さん、小暮さん、そして即興演奏をバッチリ決めてくれた正木さん。みなさんありがとうございます。どなたが欠けても今回のワークショップは成立しませんでした。心から感謝申し上げます!!



こちらは「じごくのそうべえ」桂米朝師匠の噺が原作。関西弁です!