京都・左司馬の河童さん日記

河童母さんが生まれ育った鳥取県八頭郡私都（きさいち）村。
山あいの数十軒の村から京都へ来て、45年。

子供の頃の憶いをテーマに、ヤギさんを連れて行くことになった今回の作品展。
90歳近い義母や、親戚や友人達や、いつも楽しみに待っていて下さる方たちのふる里展まで、
あと少し。
河童母さんにとっては、鳥取展は、いつも格別の思いらしい。
あと2日間しか無いのに、することがいっぱい。
アトリエの野菜達も準備完了。
最後の窯焼きをしながら、ぎりぎりまで、二人で準備や。

昨日、長年デザインの仕事でお世話になっている、
大洲のお漬け物会社、玉井社長ご夫婦から
地元の旬の野菜がどっさり届いた。
京都には無い立派な茄子、破竹、空豆、グリンピース、
サヤエンドウ、タマネギ、レモン、トウモロコシ、それに、冷麺、うどんなどなど・・。
『いっぱい食べて、元気に頑張って下さいや！』と、気遣って、河童さんを応援してくれる玉井さん。
ありがとうございます。
さっそく、破竹と、グリンピースの料理とワインのおつまみに、ソラマメをゆがいた。
さすが、うまい！楽しみながら、いただきます！

昨日のギャラリーも、午前中、金沢からの母娘さんが、
道に迷いながら来てくださった。三年前の金沢芸術村での展示会に来て頂いた方。
わざわざ、河童さん家に日帰りでとは、嬉しいお客さんやった。
夕方、無添加の数十種類のジャムや卵、乳製品、バター不使用の雑穀のクッキーなどを作って、
販売されている岸和田の元気なお母さん、ままやさんが、車に、ジャムの販売ケースや、かき氷の機械など
いっぱい積んで、ギャラリーに。「今日は、滋賀のアースデイに出店してきたんです！」
『藍＆愛プロジェクト』なるものを立ち上げたという。
一粒の種、藍の種から育てて、自分達の愛でもって藍を育てて、藍建てのかめを発酵させて、
自分達で藍を染めてみようというプロジェクトらしい。
広く会員を募集しているとのことで、さっそく河童さんも参加。
娘さんが育てた藍の苗をアトリエに植えた。
藍染めは、染付けの器とともに、大好きな二人。
さて、うまく育ってくれるかなあ。楽しみがまた一つふえた。
今週から、梅雨の走りのような天候になりそう。
他の野菜も藍の苗も水やりが、助かりそうや。

今日は、河童母さん一人下山で、ギャラリーオープン日。
朝から、鳥取からのご夫婦のお客さんや七尾からの友人が来られたらしい。
大洲からのデザイン関係の荷物がきたり、画材屋さんから、額が届いたり、
息つく暇も無い午前中やったらしい。
アトリエでは、深夜から窯の火入れが続く。
夏日に、シャクヤクが一斉に5輪花を咲かせた。
アイリスも紫色が鮮やかに咲いた。
菜園もしっかりなえも根付き、ひと安心。
ふたつのネギ坊主に，微かに見える蜘蛛の糸が、風に揺れて光ってる。

4日からの鳥取展にむけて、ぎりぎりまで本焼き中。
『今日は、ある物で食べよう～。なんか無いかな』と毎日の食事。
お昼は、河童父さんメニューの沖縄の家庭料理の「にんじんしりしり」。
にんじんってこんなに美味しいんや！と、河童さん二人もモリモリ食べれる。


味付けは、ちょこっと石川県能登地方に古くから伝わる魚醤油の『いしり』だけ。
料理に塩味と旨みを加えてくれる、
タイのナンプラーや、ベトナムのニョクマムみたいなもんやけど、河童さんの隠し味は、「いしり」が欠かせない。
能登の「いしり」と三重の「はさめず醤油」と日本酒で、父さんも料理に自信がついた。

いしりとしりしり。河童さん家では、「しりあい」や。

　花無心招蝶　　花は　心無くして蝶を招く
　蝶無心尋花　　蝶は　心無くして花を尋ぬ
花は招こうという気持ちもなく、自然に蝶を招き寄せ、
蝶は尋ねようという気持ちもなく、自然に花を尋ねまわる。良寛

自然のままに、今日も雑草の中を、蝶が飛び回ってる。

もうすぐ鳥取での五回目の「河童さん展』。
土日のギャラリーオープンの日も
深夜から、河童母さんは、墨彩画の裏打ち。
屏風や軸装以外は、いつも河童母さん，大きな和紙と大奮闘。
自分の作品は、ギリギリまで自分で仕上げる。
今回も、新作がどこまで準備できるか、
陶彫『河童さん』と『うつわ』と墨彩画の『朝までしごと』がつづく。

「お父さん、この絵欲しいと言われる方があるんやけど・・」
河童母さんが、数年前の今頃、
比叡平のアトリエで描いた絵や。
何度か尋ねられた事はあるけど、今まで、時々この時期にギャラリーに掛けると
なんとなく、心が落ち着く絵やった。
昨年、出会った方のお家に、今日、もらって頂くことになった。
心から通い合った方との出会いは、河童母さんの心を動かしたらしい。
絵は、その頃の純粋な何かを、伝えてくれるんやなあ。

アトリエは、ツツジやコデマリが満開。
シャクヤクがしっかりおおきな蕾を付けている。
真っ白い梅花空木や、オレンジ色のかわいいポピーが風に揺れて咲いている。
十年ぶりのエビネもしっかり咲いた。


斑入りのドクダミも、アザミも、マーガレットも、もうすぐ全開。
住宅地やけど、ときどき車の音が聞こえるぐらいの，
静かなボロアトリエで、『ホーホケキョ！」が、心地いい。
花と鳥の音とすこしの会話だけで、今日もふたり。

比叡山中腹のアトリエも、地熱が上がって，今日も夏温度。
やっと、夏野菜の準備ができた。
一人で一気に畝づくり。
暑さで頭がぼーっとして、木陰で一服。

絵付けの合間に二人で苗を植えて完了や。
ハルのお墓の横に、真っ白いミヤコワスレが咲いた。
雑草の中に、真っ白いヤマブキも一輪咲いていた。
都を忘れた子の、心の乱れが気になる。