京都・左司馬の河童さん日記

いつも、この狭い仕事場で、
グーグーといびきをかいて、土まみれになりながら、
寝ていたハルの敷物も，器もすっかり片付けて、
寂しいけど、気を入れ直しの大掃除。
明日から南の島へ、二人ででかけるちょうど一週間前に
『ゆっくりいってきてね！」と逝ってしまったハル。
年老いてからのお留守番は、つらかったんやなあ。

今も、河童母さんの机の前には、
12年前のハルの写真が一枚貼ってある。
田んぼのおたまじゃくしが気になって、田んぼに飛び込んで
叱られていた思い出のワンショットや。

なんとなく、心に大きな穴があいたような今日の一日。
いつも後部座席でハルを抱いて乗っていた河童母さんやったけど
河童さん二人だけで、寂しく比叡平のアトリエにむかう。
ハルのタオルや布団、10日分用意して出かけるための器や、
あまり好きでなかったドッグフード、散歩の道具など
比叡平での14年間のハルとの暮らしの足跡を、二人で片付けた。
これからの道を模索しながら不安な毎日やったあの頃を思い出しながら
『ハルちゃんがいてくれたから、がんばれたんやね』
『ハルちゃん！、今日から河童さんのリセットスタートや！ありがとう！』
と、おもわずため息つきながら、ふたりでなんども写真に話しかけた。

アトリエで、河童さん二人が
食べているのを、
ものほしそうに外から覗いていた昨年の10月ごろのハル。
15歳でも、幼い子犬のような表情が遺影となった。

最後迄よくがんばったね。
たくさんの思い出、ありがとう！
河童さん二人の心の支え、ごくろうさん。
さよなら、ハル１
1月21日10時55分お別れがきた。

昨夜から、目を離せない状態が続く。
涙目が、乾いてきた。ときどき足が
棒のように固くなって、けいれんが起きる。
力のなかった目が、きつくなって苦しそうや。
膝の上で、体を何度もさすってやる。
そばを離れると、悲しそうな声で鳴き出した。
『ハル！もう，がんばらんでいいで！ゆっくり，お休み。楽になってな』
つぶやきながら、くるときを待つ。

今日は、寒の内の大寒やのに、
春のような陽気。
ぽかぽか気分につられて、
ギャラリーの周りの木の枝打ちをした。
一年のスタートは何かと用事があるもんや。
すっきりと刈り込んで、陽の気をもらお！

朝から、春のように暖かい。
ギャラリーの前でぽかぽか日差しにあたりながら、
ハルの白い毛をといてやった。
なんとなく、気持ち良さそうで、
ときどきだらりと内向きに垂れたしっぽが
ピクピクと上に動く。
『お！元気あるで！』
うれしくなって、『このままスッと立って、歩いてくれたらなあ・・』
夜は、おしっこも出なくなってきた。

にぎやかな新年の集いのギャラリーの二階で、
静かに寝ていたけど、
その夜は、もう立てなくなっていた。
もうなにも食べ物は口に入れなくなって、
目は力もなく、遠くの方を見ているようや。
抱いておしっこに連れて行くときも、
もうだらりとして、全身の重みが伝わってくる。
『もうあかんかなあ』ため息と覚悟の時間が増える。
『ハル！しっかり！』
心の中で何度もくりかえしてる。
今日、90の父は、二週間ぶりに病院から
帰ってきた。温かいおそばをみんなで食べにいった。
これから部屋を暖かくして、二つの老いの暮らしを看る日が続く。

今年も、おいしい一品と楽しいライブと
今回初の抽選会で盛り上がった新年会も無事終了。
東京からも七尾からもサプライズの参加もあって、
夜遅く迄、たのしい一日やった。
ギャラリー4年目。みんなに感謝，感謝の河童さん二人です。
今年も宜しくおねがいします。