gooブログはじめました!

第2話(1)

 ペルシャの地(1)


 (バグダードの商人の話)
 今から20余年前、第4代大ハンについたモンケ・ハンは、太祖チンギス・ハンの遺志を継ぎ、世界制覇に乗り出した。

 東の中国南部の宋帝国にはモンケ・ハンと弟のフビライが、西のペルシャには弟のフレグが、それぞれ大遠征軍を率いて出撃した。

 フレグは精鋭モンゴル騎馬軍団と同盟軍、中国人工兵計10万を率いて、ペルシャに侵攻した。
2年かけてイラン北部アラムートの山岳要塞に立てこもる暗殺教団の砦を次々に攻略する。
抵抗の意志を示した砦では、全住民―女、子供を含めて―が殺され、砦は徹底的に破壊された。

 この恐ろしい情報はペルシャ全土に知れ渡り、土地の諸侯は次々とフレグに帰順を申し出た。

 「バグダードのカリフは凡庸な男で、モンゴル軍が近くに来るまで何の準備もしていなかったのだよ。」
「私たちは“羊飼いの軍など、恐れるに足らぬ”というカリフの言葉を信じていた。」

 侵入当初の2倍にふくれあがったフレグの軍はバグダードを包囲し、降伏を要求した。
しかし、カリフは拒否する。


 モンゴル軍は建国以来の闘いで、百戦錬磨だった。
囮の小部隊を攻撃に向かわせる。
それを撃退したカリフの軍が城門を開き、追撃する。
モンゴル軍の主力が待ち伏せしている森に、カリフの軍は誘い込まれ、壊滅してしまった。

 バグダードへの攻撃が始まった。
「城壁に上ってみると、まわりはモンゴル軍の旗で一杯だった。」

 中国人工兵が作ったカタパルト式の投石機による砲撃が始まった。
「大きな石が次から次へと空から降ってきた。」
「すさまじい音を立てて、城壁や建物を破壊していった。生きた心地がしなかったよ。」


 攻撃は7日間続いた。
そしてカリフは降伏する。

 「モンゴル兵は目につくもの全てを奪い、殺していったよ。」
「しかし、生き残った私たちは、2年でこの街を復活させたんだ。」

参考図:「日本と世界の歴史 13世紀」、学習研究社、1969
     
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「東方見聞録序章」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事