KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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ニューイヤー駅伝雑感vol.3

2007年01月31日 | 駅伝時評
6区のランナーで目を引いたのは富士通の藤田敦史。区間3位の走りで、チームを15位から9位に引き上げた。昨年の福岡では中盤に失速し、ハイレ皇帝と勝負できなかったが、2ヶ月のインターバルで別大毎日マラソンに出場するという。同郷の佐藤敦之との直接対決が注目される。


尾崎輝人からタスキを受け取った中国電力のアンカーは、世界選手権銅メダリストの尾方剛。
「駅伝男」とも「山登り男」とも呼ばれた大久保初男さんは、自らの著書「駅伝必勝法」の中で、
「優勝するチームのアンカーは。区間賞を取って優勝に花を添えるべきだ。」
と記している。
'94年の箱根駅伝で優勝した山梨学院大のアンカーは尾方だったが、この時彼は区間賞を獲得している。今回は区間賞は大塚製薬のルーキー井川重史にさらわれたが、井川との区間タイム差は5秒。ほぼ、アンカーの責任は果たしたと言えるだろう。

ところで、箱根駅伝と全日本実業団対抗駅伝。その両方で優勝のゴールテープを切ったのは、この尾方だけである。

中国電力、3年ぶり2度目の優勝。中国大会では全員区間賞で圧勝したが、その時のメンバーを4人外しても優勝、という層の厚さを見せた。2位には、現在のコースになっての最高の成績となる古豪、旭化成。現在のコースは、外国人ランナーや、箱根駅伝経験者を多数抱えるチームの方が有利かと思われたが、今回、誰も区間賞を獲得しなかったものの、ブレーキを起こすランナーもなく、安定した走りで「復活」を印象づけた。ちなみに、今回のメンバーで箱根経験者は日大出身の岩井勇輝のみだった。

3位は日清食品。ゲディオンに刺激された日本人ランナーの成長が待たれる。ゲディオンにトップでタスキを渡せるようにならないと。4位はコニカミノルタ。5年前の優勝時も、ザガヨ・ガソが故障で起用できず、日本人のみのチーム編成だった。今回も松宮裕行と太田崇のコンディション次第では、優勝争いに加われたと思える。今後新しい外国人を加入させるのかどうかは分からないが、僕としては、中井祥太や下重正樹ら若手の底上げをして欲しい。

トップ10の中で「純国産」チームは他には大塚製薬にカネボウと、五輪や世界選手権のマラソン代表を輩出しているチームが上位に食い込んだ。5位のトヨタ紡織は、ジョン・カリウキの19人抜きが効いたが、7位の安川電機は3区のウイリー・カンゴゴが奮わず、後半の立石慎士、岡田徹、下森直がふんばった。久しぶりに1ケタ順位となる8位の日産自動車、新加入の外国人、サイラス・ジュイのみならず、上岡宏次の復活、下里和義の成長も大きいと思う。11位と過去最高順位の日立電線もフィリップ・モシマよりも、笹谷甲(ささやきのえ、と読む。)ら若手の活躍の賜物だった。

こうして見ると、決して外国人頼みではないチームの活躍が今回目を引いた。外国人ランナーのあり方も一考が必要だと思う。

僕は決して外国人ランナーを排除すべきとは思っていない。むしろ、現在の
「外国人ランナーをエース区間に使用することを禁止する」
というルールの撤廃を望んでいる。それによって、レース展開ががらりと変わると思うからだ。

ともあれ、佐藤敦之らの激走を元旦早々から見られて、世界選手権イヤーである今年の日本男子マラソンは期待がもてるぞと、いい初夢を見せてもらった。駅伝の活躍が即、マラソンに結びつくとは限らないと分かってはいるけれど。

元旦の上州路で力を出し切ったランナー、出しきれなかったランナー、どちらも今度は、個人のレースでアピールして欲しい。まだマラソンを走っていない大学生や、往年の名ランナーの息子に「マラソン日本の復活」を託さなくても、自分たちにまかせてくれという気概をこれから見せて欲しい。



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