検証：箱根駅伝区間賞獲得者のマラソン記録ランキング

「新・山の神」とも「山の竜神」呼ばれる東洋大の柏原竜二の二年連続５区での逆転で今年の箱根駅伝も大いに盛り上がった。この「正月の風物詩」に対する、僕のスタンスは５年前にこの欄に書いた通り、

“箱根駅伝、礼賛しようと思えば、いくらでもできるし、批判しようと思ってもいくらでもできる。ともあれ、トラック長距離種目とマラソンの日本記録を独占しているランナーも、世界選手権で２回、五輪で１回入賞しているランナーも箱根を走っていない、という事実を箱根駅伝を貶める材料に使うのはやめようと思うし、箱根の区間新記録をマークしたランナーを、次の五輪のマラソン代表候補のごとく扱うのもやめようと思う。”

現在もこのスタンスに変りは無い。ただ、某スポーツライターの「駅伝がマラソンを駄目にした。」というのは半分は正解だが、半分は違うと思っている。

駅伝の実力とマラソンの実力との相関関係については、大学や実業団のチームごとののマラソンベスト記録でランキングを作成してみて、
「駅伝の強豪チームからどのくらい強いマラソンランナーが輩出されているか。」
という検証をこれまで行なってきた。

現在は、このサイトの「友達」に登録されている、広島在住のmdreamさんにランキングの更新を引き継いで下さっているので、そちらを参照していただきたい。はたして、本当に駅伝はマラソンのためになっているかどうかは、このコラム(もどき)のタイトルになっている「感情的」な論議ではなく、データで検証するのがふさわしいと思っている。

久しぶりに、ランキングを作成することを思いついた。箱根駅伝経験のランナーのうち、「区間賞」を獲得したことのあるランナーたちのマラソンのベスト記録でランキングを作ってみた。

記録の後の年代は記録を作った年代で、区間賞を獲得した区間を記入した。○の数字は学年である。学生時代に自己ベストを記録したランナーは、卒業後の所属チームを記入していない。☆は区間新記録である。


１位　藤田敦史(駒澤大～富士通) 2:06:51('00) ４区④☆
２位　谷口浩美(日本体育大～旭化成) 2:07:40('88) ６区②③④
３位　藤原正和(中央大) 2:08:12('03) ５区①２区④
４位　瀬古利彦(早稲田大～エスビー食品) 2:08:27('85) ２区③④
５位　武井隆次(早稲田大～エスビー食品) 2:08:35('02) １区①☆②☆７区③☆４区④
６位　大崎悟史(山梨学院大～ＮＴＴ西日本) 2:08:36('08) 10区③
７位　尾方　剛(山梨学院大～中国電力) 2:08:36('03) 10区②
８位　西田隆維(駒澤大～エスビー食品) 2:08:45 ９区④☆
９位　佐藤信之(中央大～旭化成) 2:08:46('98) 10区④
10位　実井謙二郎(大東文化大～日清食品) 2:08:50('96) １区①
11位　川嶋伸次(日本体育大～旭化成) 2:09:04('00) ６区④
12位　浜野　健(順天堂大～トヨタ自動車) 2:09:18('02) ９区④☆
13位　梅木蔵雄(早稲田大～中国電力) 2:09:52('03) １区③２区④
14位　花田勝彦(早稲田大～エスビー食品) 2:10:02('97) ４区③☆
15位　三代直樹(順天堂大～富士通) 2:10:33 ２区④☆
16位　宇佐美彰朗(日本大～桜門陸友会) 2:10:37('70) ９区③
17位　榎木和貴(中央大～旭化成) 2:10:44('00) ８区①②☆４区③④
18位　中村祐二(山梨学院大) 2:10:49('95) １区②２区④３区①
19位　島嵜貴之(大東文化大～ヤクルト) 2:11:01('02) ６区②
20位　阿部文明(駒澤大～ＮＥＣ－ＨＥ) 2:11:04('85) ２区④
21位　渋谷俊浩(筑波大～雪印) 2:11:04('88) ２区④
22位　近藤重勝(神奈川大～エスビー食品) 2:11:14('01) ５区②④
23位　渡邊　聡(神奈川大～アラコ) 2:11:18('03) ７区①
24位　野口英盛(順天堂大) 2:11:20('02) ４区②③５区④
25位　坂口　泰(早稲田大～エスビー食品) 2:11:21('87) ９区②③
26位　櫛部静二(早稲田大～愛三工業)　2:11:22('02) １区③
27位　高橋謙介(順天堂大～トヨタ自動車) 2:11:25('09) ９区②
28位　倉林俊彰(順天堂大～ＹＫＫ) 2:11:28('94) ４区④
29位　木下(金)哲彦(早稲田大～リクルート) 2:11:48('92) ５区③☆④
30位　中村孝生(日本体育大～エスビー食品) 2:11:51('89)


細かいコメントはあえて述べない。皆さんがこのデータを見て、それぞれに考えて欲しい。