KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
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2008ロンドンマラソン雑感vol.2

2008年04月30日 | マラソン観戦記
女子は27km過ぎて3人のランナーが先頭集団に上がってきた。ケニアのサリナ・コスゲイ、ロシアのスヴェトラナ・ザハロワとリュドミラ・ペトロワ。ロシア人コンビの名前を聞いて、思わず頬が緩んだのは「れいこさん命」のマラソン・ファンだろう。6年前のこの大会で、トップを世界最高ペースで突っ走るラドクリフの見えない背中を追いかけていた土佐礼子の後ろにぴたりとくっつき、ラスト3kmで逆転したのがこの2人だった。土佐は4位だったが、ゴールタイム2時間22分46秒は彼女のパーソナルペストであり、日本人のこのコース最高記録である。

それにしても、前半、先頭を引っ張っていたディータに、今、トップにいるミキテンコ、それにこのロシアコンビに、日本でもおなじみのリディア・シモン。彼女たちの共通点にお気づきだろうか?

30代後半のママさんランナー、というだけではない。彼女たちは競技者人生のスタートを旧社会主義国家の、「ステート・アマチュア」と呼ばれたスポーツ・エリート養成所で切ったランナーたちであり、ようやく世界の舞台へと出ていこうとしたユース年代に冷戦体制の崩壊を経験し、国家という後ろ盾をなくした中で世界に飛び出していったランナーたちである。たくましい。ペトロワは今年の10月で40歳になる(弘山晴美と同い年)のだが、2年前のロンドンで2時間21分29秒の記録を出している。

(付記:27日に行なわれたハンブルグ・マラソンではルーマニアのルミニタ・タルポス、ウィーン・マラソンではロシアのイリーナ・ティモフィエワと、彼女たちと同世代の旧社会主義国出身ランナーがそれぞれ制した。)

30km直前の給水所でワミが転倒。スコボルツォワも巻き添えを食ったように見えた。
30kmの通過は1時間43分22秒。

タワー・オブ・ブリッジを男子の先頭集団が通過する。20km58分59秒。時速20km以上のペースで書け抜けていく。ワンジルの福岡での初マラソンと、日本語で答えるインタビューの映像が紹介される。昨秋のシカゴマラソン中継でのダニエル・ジェンガのように、日本人が出ていないから、せめて日本在住のランナーに肩入れしようということか。ワンジルは21歳だが、既に妻子がいるという。

中間点過ぎてケニアのフェリックス・リモ、南アフリカのヘンドリック・ラマーラが落ちていく。

男子の過去の名シーンが映し出される。レル、エバンス・ルト、ゲザハン・アベラ、カリド・ハヌーシ、そして日本人の優勝者は谷口浩美さんと、今日の解説者瀬古利彦さん。ちなみに、女子のレースを解説している増田明美さんは'90年に2時間34分42秒でロンドンを走っている。

女子はミキテンコとワミがトップを争い、コスゲイが集団から離れていく。

男子の中間点通過は1時間2分13秒。この記録は昨年の日本のハーフマラソンのランキングでは5位に相当する!!そしてこのタイムをそのまま2倍すれば、昨年のベルリンでハイレ・ゲブレセラシエが作った世界最高記録になる。25kmは1時間13分48秒で通過する。

このレースを(無理矢理)野球に喩えれば、投手が時速160kmの豪速球をど真ん中に投げ込み、打者がフルスイングでホームランを狙う勝負だろうか?そして、これは決して真夏の北京では絶対にできないレースだ。繰り返すが、ハイレの北京五輪回避を「ボイコット」と報じたニュース番組もあったが、ハイレの主戦場はまさに「このようなマラソン」なのである。北京では「このようなマラソン」ができない。だから出ない。それだけのことである。改めて言うが、これは決して、
「北京五輪の前哨戦」ではない。

予定より早く、27km手前で男子のペースメイカーは退いた。ここまでよくついていた、ライアン・ホールが離れていった。
20km過ぎには瀬古さんから体調がどうだろうかと心配されていたワンジルが先頭に立つ。

(つづく)


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