安倍は2度目の自民党総裁に就任、「強い日本を取り戻す」「戦後レジームからの脱却を」を掲げ、異次元的経済施策で株価を2万円台に上昇させ、法人税減税をテコに経団連に賃上げを要請、円安の支えもあり彼らの許容範囲内での賃上げを実現させた。
こうして安倍首相は、経済施策をテコに自民党内での権力基盤の強化を図った上で、集団的自衛権の行使は憲法違反であるとの歴代政権の解釈を廃棄し、「合憲」との解釈を閣議決定した。問題はこれに対し、党内からは村上議員を除き、異論も反論も何一つ出なかったことで、自民党の体質が変化したことは明らかである。安倍自民党は「強い日本、戦後レジームからの脱却」に向け一体となってまっしぐらに突き進むであろう。こうしたことは労働法制や社保障制度の改悪にも結び付いている。
これによって自民党から出てくる政策は、すべてここを起点としたものであることは言うまでもない。強い日本=経済成長のためには労働者に犠牲を強いる労働法制を成立させ(労働者派遣法改悪、解雇金銭解決制度、ホワイトカラーエクゼンプション)こうして資本にとって使いやすい労働者を用意し、海外からの資本を導入しやすくすることも兼ねるのである。
そればかりではない。安倍政権は成長戦略として「カジノの合法化」に加え、国民皆保険の崩壊をもたらしかねない、「混合医療」の全面解禁ともいえる「患者申出療養」を安倍首相が先頭に立って行動し、閣議決定を済ませ医療に貧富の格差を持ち込もうとしている。超高齢化による社会保障費の自然増年間1兆円を16~18年の3年間で1.5兆円に圧縮する方針を明らかにしている。これらはいずれも社会的副作用を度外視した、強い経済を目指す「安倍アベノミクス」が生み出した政策であり、反対の闘いを強化しなければならない。
安保法制の強行採決で安倍政権の支持率は30%台に急落、これは大変とばかり、国民にとって最も分かり易い3000億円を超え、無用の長物になりかねない新国立競技場問題に安倍がしゃしゃり出てきた。見直しについては、国際的信頼の失墜とか、オリンピックに間に合わないと、あれほど頑強に拒否を続けてきた文科省大臣などの姿はなく、強行採決の翌朝、安倍首相が正面に立ち「多くの国民の声に耳を傾け白紙から見直す」と約束した。80%を超える国民が分からないと言っている安保法制は強行採決、新国立については「国民の声に耳を傾けて」と言う。このようなあまりにも「あざとい安倍」を政治家として、人間としても到底信頼することはできない。
日本はあの悲惨な大戦の反省からこの70年間、「闘はない非戦の国」として、多くの国の信頼を得てきた。この国際的ブランドをこれからも守り抜くべきだ。安倍政権は60日ルールを念頭に参議院で安保法制の審議を進め、再び強行採決を決行するだろう。安保法制は参議院での消化試合にしてはならない、何としても廃案に持ち込まなければならない。
そのためには国民一人一人が様々な方法で、反対の声を上げ、(首相官邸にハガキを出すなど)行動に参加して行かなければならない。平和があってこその福祉であり社会保障だ。今一度みんなが平和の尊さを考え、安保法制廃案に向け声を上げ、行動を起こしていきましょう。