第41回「SGIの日」記念提言-5 池田SGI会長 2016年1月26日
聖教新聞(1/27-2016年の2面) より抜粋要約・箇条書き(連続掲載予定)
A
人道と人権-子どもの生命と権利を共に守る
今年5月に行われる世界人道サミットに関しての提案。
1-特に難民の半数を占める子どもたちの生命と権利を守るための対策を強化する。
2-難民問題の対応の基盤は国際人権法の中核をなす「人間の生命と尊厳」の保護に置くことを再確認すべき。
3-国連が主導する中東地域での受け入れ国支援の強化と、アフリカやアジアなど他の地域でも同様のアプローチを重視することを合意に盛り込むよう提唱したい。
B
難民受け入れ国支援
難民条約の前文では、「難民に対する庇護の付与が特定の国にとって不当に重い負担となる可能性」への留意を促した上で、「問題についての満足すべて解決は国際協力なしには得ることができない」と記されているが、この条約の原点に脈打つ国際協力の精神を今一度想起し、難民問題に臨むことが求められていると思う。
受け入れ国の青年や女性も一緒に教育支援や就労支援を受けられるような仕組みを各国の協力で設けることを提案。
(昨年の「SGIの日」記念提言で提案)
C
日本の取り組み
これまでシリアと周辺国への人道支援を続けてきた経験を生かしながら、今後は特に「子どもたちの未来を育むための支援」に大きな力を注ぐことを呼びかけたい。
現在、トルコやレバノンなどでは、難民の子どもたちが学校や一時的な教育施設に通える状況も生まれているが、大半の子どもは教育から取り残されたままとなっている。
ユニセフと連携し、シリアや周辺国での教育支援を進めてきたEU(欧州連合)とともに、日本がその分野で貢献を果たしてほしい。
現在、日本のいくつかの大学が、国連難民高等弁務官事務所と協力して、難民となった若者たちに大学教育の機会を提供する「難民高等教育プログラム」を実施していますが、こうした若い世代への教育支援をあらゆる形で広げていくべきである。
D
排他主義に流されない人権文化の確立が急務
喫緊の課題は次の二つ
1-自由で平和、多元的で誰も排除されない社会の責任ある一員として、人が成長するよう支援すること。
2-あらゆる形態の差別、人種主義、固定観念や憎悪の扇動、それらの背景にある有害な態度や偏見との戦いに貢献すること。
ここで焦点となるのは、自分が差別をしないだけでなく、「誰も排除されない社会」を築くために、偏見や憎悪による人権侵害を許さない気風--すなわち、人権文化を社会に根づかせることにある。
牧口会長が”不善は悪に通じる”と警鐘を鳴らしたが、一人一人の行動が鍵を握る人権文化の建設には、そうした不善の意味に対する問い直しが強く求められる。
国連の宣言では、人権に関する知識の習得や理解の深化にとどまらず、「態度と行動を育むこと」を明確に射程に入れているほか、人権教育と研修を「あらゆる年齢の人びとに関わる、生涯にわたるプロセス」と位置づけている。