絶対的幸福と相対的幸福(あんしん&安全) 全ての人間は尊厳を持っており、敬意と尊敬に値いします。

安全とはリスクが受容できるレベルより低いこと。
安心とは、リスクの存在を忘れることができている心理状態。

原子力は人間の手に負えないのだ-池澤 夏樹

2015年04月22日 15時23分11秒 | 原発

池澤 夏樹 「春を恨んだりはしない」-震災をめぐって考えたこと
        from 中央公論新社 ¥1200 2011年9月初版 

 

7章-「昔、原発というものがあった」P78


原子力は人間の手に負えないのだ。

フクシマはそれを最悪の形で証明した。

もっと早く手を引いていればこんなことにはならなかった。


エネルギー源として原子力を使うのを止めなければならない。

稼働中の原子炉はなるべく速やかに停止し、廃棄する。

新設はもちろん認めない。

それでも残る膨大な量の放射性廃棄物の保管に我々はこれから何十年も、ひょっとしたら何千年も、苦労するだろう。



科学では真理の探究が優先するが,工学には最初から目的がある。

この二つは、きっちり分けられなければならない。

原爆を開発したマンハッタン計画について、科学者は探求を止められなかったという弁明が後になされた。

しかし原爆は科学ではなく工学の産物である。

科学はそれに手を貸したにすぎない。

彼らは十万人の人間を殺す道具を、それと承知で、作ったのだ。



安全を結果ではなく前提としてしまうとシステムは硬直する。

勝利を結果ではなく前提とした大日本帝国が滅びたのと同じ過程を福島第一原子力発電所は辿った。

「原発の安全」は「必勝の信念」や「八紘一宇(はっこういちう)」と同じ空疎なスローガンだった。



安全は不断の努力によって一歩でも近づくべき目標、むしろ方位であるのに、それはもうここにあると宣言してしまった。

だから事故が起こった際のマニュアルも用意しなかった。

安全である以上そういうものを作るのはおかしいと外部から批判されるのを恐れたのだろう。

科学とは自然界で起こる現象とそれを説明する理論の無限の会話である。

現象を観察することで理論は真理に近づく。

安全を宣言してしまってはもう現象を見ることはできない。



原子力は原理的に安全ではないのだ。

この地球の上で起こっている現象が原子レベルでの質量とエネルギーのやりとりに由来するのに対して、原子力はその一つ下の原子核と素粒子に関わるものだというところから来るだろう。

材料工学はまだ原子のレベルの技術であり、そこでどう足掻いても核レベルの強度は得られない。

燃料棒の被覆としてジルコンは優れていたのだろうが、それでもメルトダウンは避けられなかった。

原子炉とは要するに容器と配管である。

絶対に漏れてはいけない高温高圧の固体と流体を入れる容器と延々と長い配管、無数のバルブとポンプ。

そういう構造物が地震で揺すぶられるというのは、正直な設計者にとっては悪夢ではなかったか。

そこで彼らは「大きな地震はないことにしよう」とつぶやきはしなかったか。

 

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絶対的幸福境涯とは?

2015年04月18日 09時33分41秒 | 命 ” いのち”

絶対的幸福って何だろう?

ひとつの大きなヒントがありました。

水谷 尊幸(たかゆき)さん。
https://www.facebook.com/takayuki.mizutani.754?fref=ts

 


「一切衆生(いっさいしゅうじょう)・南無妙法蓮華経と唱うるより外の遊楽なきなり」
-1143ページ御書

仏法で説く「有楽」とは、財産や地位、名声、技能などがあり、健康であるといった相対的なものではなく、自らの生命の奥底からわき出る充実と歓喜であり、絶対的幸福境涯です。

 

 

1994年12月7日 FaceBook より


「余命はわずかかもしれない、でも余命はかんがえない!それは、みんな一緒なんです!

今生きている自分は『無限』ではなくて『有限』なんです!

38年間、そんなこと考えて生きてこなかったです。

だからこそ、自分のできる精一杯を生き抜いてやる!!

それを教えてくれたのは、末期ガンなんです!

他からみれば『最悪』の出来事なんかも知れない。

でも人間はどんな事からでも、自分の生きている『価値』を『創る』事ができるやと思います。

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クライシス(緊急時・災害や事故に関する)コミュニケーション

2015年04月15日 16時48分11秒 | 原発

  クライシス(緊急時・災害や事故に関する)コミュニケーションについて、

西澤真理子さんと柳田邦男さん、二人のご意見を箇条書きに紹介します。


クライシス(緊急時)コミュニケーションの基本

(「リスクコミュニケーション」 西澤真理子-エネルギーフォーラム新書 より引用)


1-
迅速に、統一したメッセージを国内外の関係者に伝え安全情報を共有すること
2-
分かりやすく、はっきりした言葉で安全なのか、どのような行動をとるべきかを相手に伝えること。

クライシス(緊急時)コミュニケーションの失敗
初期に段階で失敗すると、信頼関係が失われ、それから続くコミュニケーションの失敗を呼び起こすやすくなる。

(3.11における原発災害時において、政府のコミュニケーションのあり方が失敗事例)

 

緊急時に備えるポイント

(「リスクコミュニケーション」 西澤真理子-エネルギーフォーラム新書 より引用)

1-緊急時には必要とされている情報を正確、迅速に伝達する。


2-平時には緊急時の行動マニュアルや意思決定体制を明確にしておき、
 緊急時に備えること。


3-過去の記者会見での失敗例を振り返り、準備をすることが重要。


4-情報の発信側と受けて側、双方のリスク情報の共有化が大切

 

災害や事故に関するリスク・コミュニケーションとは何か?

(柳田邦男「想定外」の罠-大震災と原発 文芸春秋 から引用)

災害や事故に関する情報が被災者や一般国民にとって有効な意味を持つには、少なくとも次の4つの条件が不可欠。

1-必要なときに手際よく素早く提供すること
(原発事故の場合には、今何が起きているかの正確な状況把握に基づく速やかな情報提供)


2-正確であること
(原発事故の場合には、これからどうなるかの見通しを隠さずに)


3-分かりやすいこと
(原発事故の場合には、一般人にも専門用語を分かりやすく)


4-それから情報を受け取った一般の方々がそれを理解する力を持つような啓発活動が、日常から綿密に行われていること。
(原発事故の場合には、普段から周辺住民が熟知していること。放射能の基礎知識を身に付け、避難の方法についても熟知していること。避難について実地訓練が行われ、住民がとっさに正しい行動が取れるほど身体全体で覚えていること)

ところが今回の3.11原発災害では、4つの条件はすべてにおいて失策だった。

 

 

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人間復興を目指す--山中茂樹さん(原発避難民事例含む)

2015年04月09日 09時51分08秒 | 原発

人間復興を目指す--山中茂樹さん-関西大学 災害復興制度研究所顧問
 (聖教新聞社 4/9(木)2015年 要旨・箇条書き)
  


A-様相異なる原発避難
1-災害復興の究極の目標は人間復興。
2-家族、コミュニティー、元自治体との「つながり」の復興必要。
3-原発災害には危険レベルが確定できないという特徴がある。避難者の数だけ
 避難者のカテゴリー区分が発生している。
4-原発災害においては、一律の支援制度では避難者を支援できない。

 

B-行政と被災地を結ぶ組織
1-人間復興の視点から、災害復興によって、「棄民」を生み出してきた過去の経 験(阪神大震災)から目をさらしてはいけない。
2-阪神大震災。神戸市内には、新住民が7割、元の住民は3割にとどまる地域 も出ている。戻らなかった住民の中には復興に乗り切れず、戻りたくても戻れ なかった避難者もいるのでは?
3-震災復興として掲げられる成長主義は、一つ間違えれば、「棄民政策」につな
 がりかねない危険性をはらんでいる。
4-棄民をつくらない小さな変化と地域全体の発展を両立させていく制度が必要。
 そのためには、政府や行政と被災地、被災者を結ぶ中間支援組織が必要。

 

C-実態把握と「準市民」制度
1-避難者の動態を正しく把握する仕組みが必要。
2-実態の把握とともに、避難者が避難先で十分な行政サービスを受けられるよう な制度も必要。
3-原発品名者の中には賠償等の問題で住民票を移さずに避難している人が多い。
 このような方々に「準市民」として市民と同様のサービスを受けられる制度の
 創設を。

 

D-セカンドタウンの設計
1-新たな地で生活をスタートする人々に、人々のつながりを維持するための町つ づくりセカンドタウンの制度設計が必要。
2-ひとつは、別の地に新たな自治体を建設する(新十津川村)。
 もうひとつは、合併特例法に基づく「地域自治区」として、旧町名を残し、  人々のつながりを維持する方法。
3-いずれの方式も元の居住区を売却せず、東電や国に借地として貸し付けること が大切。ふるさとへ帰りたい人たちは、いつでも帰ることができる。つまり「二地域居住」の思想を基本にすること。
4-避難者にとって何が絶望的かといえば、将来が見えないということです。
 避難者にとって、すべての期間は、それは一人一人にとって大切な人生の一部 です。それを”仮の人生”にしてしまってはならない。帰還を待つ避難者も、 移住を選択した避難者も、それぞれが前向きに希望を持てる人生をが保障され なければなならない。


 
 

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病院のリスクコミュニケーション

2015年04月07日 09時54分31秒 | 原発

病院のリスクコミュニケーション

 

8日前、私は急病になり、救急車で病院に運ばれました。
 それは胆石という病気でした。
 胆石のある胆嚢という内臓を除去手術しました。

 無事、私は 3月6日、病院から退院できました。

 つくづく健康の大切さに再度気付きましたし、家族の支援に心から感謝する日々を体験しました。

 さて体験を元に医療過誤防止におけるリスクコミュニケーションについて気付いたことをコメントします。

 手術直前、執刀医師から「急性なので今回は、腹腔鏡下手術を行う予定です」と言われました。そして同意を求められました。
 
 お腹の中に腹腔鏡という細長いカメラを入れ、お腹の中の様子をテレビモニタ−で見ながら細長い鉗子という器具を使って行う手術のことです。

 最近のニュースで、某大学病院でこの手術ミスで何人か死亡者が出ていることをとっさに思い出しました。 

 お腹の中の状態をテレビモ二タ−で見ながら、すべての手術操作が器具を通して行われるため直接手で触れることができないということです。そのため手術操作に制限があり従来の開腹下手術と異なる危険性
があるらしいですが、苦痛に耐えながら、手術台のベットの上にいる私には選択の余地はありませんでした。

 しかしながら、執刀前に、手術中に腹腔鏡下手術を続けることが困難と判断されたときは患者の安全を第一に考え、従来の開腹下手術に切り替え手術をしますといわれ、ほっとしました。

 手術約4時間半。

 無事終了しました。

 手術後の2日間の集中治療室、一般病棟での術後治療。
 
 確かに、退院した今となって、開腹下手術と比べ、腹腔鏡下手術 の、メッリト下記 五つを体験できました。

1. 創が小さく美容上優れている
2. 創が小さいため痛みが軽い
3. 翌日から飲水や食事が可能である
4. 早期退院ができるため早期の社会復帰が可能である
5. 入院期間が短いため経済的に優れている

 入院中、医療過誤におけるリスクコミュニケーションというテーマの気付きを、看護士(全員女性)が私に何度も与えてくれました。

 薬の受け渡し、点滴、採決、検査の際、その都度私の名前や生年月日を確認するのです。

 先ほど、言ったばかりではないか?と何度か思ったのですが、看護士さんから名前を言うのでなく、私(患者)から名前、生年月日を言わせて確認するのです。

 薬の投与ミス、点滴取り違えミス、採決ミス、検査ミス、医療過誤の第一原因となるのはやはり、医療リスクコミュニケーション不足にあるのでは?と痛感した入院体験でした。

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