goo blog サービス終了のお知らせ 

一陽来復(いちようらいふく) あわてず・あせらず・あきらめず

"抗がん漢方"をサポートするスタッフがお伝えしていきます。
 れんげ草の花言葉...あなたと一緒なら苦痛が和らぐ

“がん”と“免疫”の関係を医師が解説

2025-08-20 16:30:53 | がん闘病

    「免疫力を高めてがん予防」は間違っている? “がん”と“免疫”の関係を医師が解説Medical DOC」より転用

 

免疫力を高めてがんを予防」という言葉を耳にすることはありますが、じつはこれは大きな誤解をまねく表現です。

がん患者の免疫は普通に働いているのに、なぜがんは倒せないのか? その理由は、がん細胞が免疫に「賄賂」を渡して逃げているからであるとのことです。

ノーベル賞受賞で注目された免疫チェックポイント阻害薬から、最新のがん免疫療法について、

米国アラバマ大学バーミンガム校脳神経外科助教授の大須賀覚先生にわかりやすく解説していただきました。

 

<picture>大須賀 覚</picture>

監修医師
大須賀 覚(米国アラバマ大学バーミンガム校 脳神経外科助教授)

プロフィール
筑波大学医学専門学群(現・筑波大学医学群医学類)卒業。卒業後は脳神経外科医として、主に悪性脳腫瘍の治療に従事。
患者と向き合う日々の中で、現行治療の限界に直面し、患者を救える新薬開発をしたいとがん研究者に転向。現在は米国で研究を続ける。
近年、日本で不正確ながん情報が広がっている現状を危惧して、がんを正しく理解してもらおうと情報発信活動も積極的におこなっている。
 

風邪予防の「免疫」と「がん免疫」との違い

〔編集部〕

免疫という言葉がヨーグルトや風邪予防など、幅広く使われています。医療現場での免疫療法とはどう違うのでしょうか?

大須賀先生〕

一般の方が考える免疫とがんの免疫療法は、じつはかなり違います。

多くの人は「免疫細胞を強くすれば、がん細胞を倒せる」と考えがちですが、実際はそんな単純な話ではありません。

がんは体の中で発生するもので、もともと自分の細胞がおかしくなってできたものです。

私はよく「グレていくギャング」に例えるのですが、青年(普通の細胞)がだんだんグレて、最終的にギャングのようになっていくのががんの発生過程です。

免疫はそのギャングを捕まえる“警察”にあたるものです。

 

〔編集部〕

では、警察である免疫の力が下がるとがんになりやすいということでしょうか?

大須賀先生〕

一般の方が考える免疫とがんの免疫療法は、じつはかなり違います。

多くの人は免疫細胞を強くすれば、がん細胞を倒せる」と考えがちですが、実際はそんな単純な話ではありません。

がんは体の中で発生するもので、もともと自分の細胞がおかしくなってできたものです。

私はよく「グレていくギャング」に例えるのですが、青年(普通の細胞)がだんだんグレて、最終的にギャングのようになっていくのががんの発生過程です。

免疫はそのギャングを捕まえる“警察”にあたるものです。

 

〔編集部〕

では、警察である免疫の力が下がるとがんになりやすいということでしょうか?

大須賀先生〕

マウスの実験で免疫をなくすとがんの発生率が上がることは確認されています。つまり、免疫は日常的に異常な細胞を排除してくれていて、がんができるのを防いでいます。

ただ、がんができてからの治療ということだと、話は変わってきます。最終的にがんになるのは、がん細胞が免疫から逃れる術を獲得したからです。

警察の取り締まりを防ぐ「賄賂」を渡す能力を獲得できた者だけが、最終的にギャングになれる。賄賂を渡せなかった者は途中で捕まってしまうわけです。

 

〔編集部〕

がん患者さんの免疫は弱っているわけではないのですか?

大須賀先生〕

そこが重要なポイントです。がん患者さんも風邪をひけば治りますし、インフルエンザになっても回復します。

がんがあることで弱くなることはありますが、基本的には細菌やウイルスへの免疫自体はちゃんと機能しているのです。

免疫がなくなったわけではなく、がん細胞が逃れる術を獲得しているから倒せない。そこが一般の人の考える免疫とがん免疫療法の大きな違いです。

 

ノーベル賞が証明した「免疫チェックポイント阻害薬」の実力

〔編集部〕

本庶佑(ほんじょ たすく)先生がノーベル賞を受賞したチェックポイント阻害薬とは、どのような薬なのでしょうか?

大須賀先生〕

まさに、がん細胞が出している「賄賂」を遮断する治療です。がん細胞は、免疫細胞を攻撃しないようにさせるシグナル、つまり賄賂を出しているのです。

本庶先生たちは、このシグナルを抑える薬を開発しました。「賄賂を遮断したら、びっくりするほどがんを殺せるようになった」。

これが免疫チェックポイント阻害薬です。

 

〔編集部〕

でも、すべての患者さんに効くわけではないのですよね?

大須賀先生〕

その通りです。効かないがんもじつはたくさんあります。がんの中には、免疫細胞を抑える力がとてつもなく強いものがあるのです。

賄賂を多少阻害する薬を入れても、十分に抑えきれないことがあります。また、がんの集団はとても複雑です。

8割のがんで賄賂を防ぐ薬であっても、残り2割は違う方法を使っていたり、一つのがん細胞が複数の逃げ道を持っていたりする場合もあります。

 

〔編集部〕

先生が研究されている脳腫瘍では、とくに効きにくいそうですね。

大須賀先生〕

脳腫瘍は、チェックポイント阻害薬が効きにくいがんの代表例です。理由は主に二つあります。

一つは、薬が脳の中にうまく届かないこと。脳は重要な臓器なので、外から異物が入らないようにする特別なバリアがあります。これが薬の侵入も防いでしまうのです。

もう一つは、脳腫瘍独特の免疫抑制です。

脳腫瘍は免疫から逃れる技がとてつもなく多彩で、先ほどの賄賂にとどまらず、見つからないように隠れるなど多種な方法で免疫から逃れます。

膵がんなども同様ですが、現時点で予後が悪いがんの多くは、免疫療法がうまくいっていないことが背景にあります。

 

「Medical DOC」2025/08/04記事より 転載

 

 

 

 


消化器外科医は減少傾向にあり、危機的な状況が迫っている

2025-05-09 16:28:36 | がん闘病

          外科で取り扱う臓器 東京都立広尾病院 HPより転用

外科・消化器外科に関連するがん

 

若手医師が消化器外科を諦める現状

2024年4月25日、日本消化器外科学会は「国民の皆様へ」と呼びかけるように

「消化器外科医の数は10年後には現在の4分の3に、20年後には現在の半分にまで減少する恐れがあります」との試算を公式ホームページで発表した。

「2022年 厚生労働省『主たる診療科別にみた医師数』によると、医療施設に従事する医師数(約32万7444人)は20年前に比べて3割以上増えています。

しかし、他の内科系や外科系の呼吸器外科、心臓血液外科、泌尿器科、産婦人科などの医師数は軒並み増加傾向にある中、

消化器・一般外科医の数(1万8066人)は2割以上も減っているのです」(全国紙医療担当記者)

 

消化器外科の現状について、外科医で作家の中山祐次郎氏が解説する。

「消化器外科医の数が減り続けている要因として、昔からとにかく激務というのが一番大きい。

私が医師になった18年前と比べると、忙しさはややマシになっているとは思いつつも、絶対後回しにはできない緊急手術なども突発的に発生するので、

その他の科に比べると、圧倒的に時間外労働が増えます。

その負担の大きさの割には、給与面などの待遇も特別良いわけでもないので、消化器外科を志望していた医学生や研修医が途中で断念し、

他の診療科に移ってしまうのです」

 

胃がんや大腸がんの手術ができなくなる?

消化器外科医の主要な業務として、食道や胃、大腸などの消化管や肝臓、胆道、膵臓などの腹部臓器のがん手術がある。

日本ではこれらのがんに年間40万人以上が罹患しており、約12万件以上の手術が行われている。

この外科手術に加えて、手術前の検査や説明、術後患者の全身管理や合併症の対応、救急患者の受け入れや緊急手術、

退院後の外来診療や抗がん剤の薬物療法、がん患者の緩和ケアなど、消化器外科医の業務は多岐にわたる。

また、患者の生命に直結する疾患も多いため、多くの人手と労力が必要となる。

特に地方の病院では、抗がん剤の治療や緩和ケアを専門とする医師が不足しているため、消化器外科医が対応せざるを得ないことも珍しくないという。

消化器外科を志望する医師が減ることで、忙しさにも拍車がかかるという悪循環。

 

この先、消化器外科医不足によって起こりうる問題点について、中山氏が説明する。

「真っ先に問題となるのは、胃がんや大腸がんの手術がすぐ行なうことができなくなります。

また、腹膜炎や腸閉塞などの緊急度の高い疾患についても、夜間の救急車の受け入れが困難となり、即対応できる病院が少なくなるでしょう。

それだけでなく、がん患者さんの中で1カ月以内に手術すればいいケースが、人手不足のせいで2カ月、3カ月待ちになるなど

待機期間が延長されることも考えられます」

 

一人前になるには10年以上

最近の消化器外科手術では、患者の負担を軽減するために内視鏡手術やロボット手術も導入され、より高度化しつつある。

消化器外科医には、このような高度な診療の提供に加えて、他の科に比べても特に大変な面があるという。

「一人前になるための時間で言うと、他の診療科は大体5、6年だとすると消化器外科は最低でも10年はかかる。

習得すべき技術も多くて、ハードルは少し高いかもしれません。それでも昔はやりがいがあると考える医学生や研修医は一定数いました。

ただ、徐々に医師の意識や社会全体の価値観が変わってきて、自分のプライベートを重視する医師が増えてきたのだと思います」(中山氏)

 

忙しさの割には薄給

しかも、消化器外科医がどれだけ緊急手術に対応し、高度な医療を提供したとしても、診療科によって給与に差はない。

諸外国では認められている医師への技術料などは、日本では一切なく、医師の患者に対する責任感によって支えられているのが現状だ。

日本消化器外科学会によると、特に大学病院に勤める医師は、一般病院の医師に比べ給与水準が極めて安く、

近隣病院の外勤(アルバイト診療)に行くことで、低い給与を補っている。

ただし、平日の時間内は非常に多忙なため、夜間の休息時間や、休日の家族と過ごす時間を削り、

自身の健康や、プライベートを犠牲にして働いている消化器外科医が多いという。

さらに2024年4月から「医師の働き方改革」が始まり、医師の時間外労働時間の上限は原則年960時間、月100時間未満となったことの影響も生じている。

 

人々の生死に直結するがんや、腹膜炎、腸閉塞などの疾患に対する消化器外科診療は、

市民が安全、安心に暮らしていくためには決して欠かすことができないものだ。

消化器外科医が不足し、手術ができないという最悪の事態を防ぐためにも、働きやすい労働環境の整備に加えて、

給与面の待遇改善などの対策を国レベルでも行なっていくべきだろう。

 

※「週刊現代」デジタル  医療・健康・食 2024年6月27日 記事より転載 

 

 

 

 

 


「治療あきらめるのか」と絶望 高額療養費見直し、がん患者の訴え

2025-01-28 11:21:47 | がん闘病

      共同通信社 「47NEWS」より転載

 

患者が負担する月ごとの医療費の限度額を定める「高額療養費制度」の上限引き上げを政府が検討していることを受け、患者から不安の声が上がっている。

特に、高額な治療を長期にわたって受けざるをえないがん患者らは、「治療を続けられなくなる」と深刻な懸念を抱いている。

 

「治療を諦め死なねばならないのかと絶望している」  「どうか高額療養費の引き上げはやめてください」  

52のがん患者団体で作る、全国がん患者団体連合会(全がん連)が1月17~19日に緊急に行った「高額療養費制度の負担上限額引き上げ反対に関するアンケート」には、

3日間で患者やその家族、医療従事者ら3623人の声が寄せられた。  

高額療養費制度は、公的医療保険の「セーフティーネット」として機能している。

高額な治療を受け、窓口での支払いが高くなっても、上限があることで、自己負担を一定額に抑えることができる。

月々の自己負担の上限は、その人の年齢や所得区分によって決まる。  

政府は、増え続ける社会保障費の伸びを抑えるため、2025年度当初予算案で、高額療養費制度を見直し、

自己負担限度額の計算に使う基礎的な部分の金額の引き上げを盛り込んだ。

政府案では、25年8月に所得区分ごとに2.7~15%を引き上げ。さらに、26年8月と27年8月にも区分を細分化して引き上げる。

最終的には、中間的な収入の人で現行から5万8500円増の月13万8600円となる層がある。  

 

患者への影響は大きい。全がん連が行ったアンケートの中で、がん患者の30代女性は「突然の病で働くことができなくなり、高額療養費制度に助けられているが、

治療費は毎月限度額いっぱいの支払いです」と訴える。

生活費も含めれば夫だけの収入ではままならないため周りからお金を借りていると明かす。

私の医療費が高くなってしまえば子どもの学費も出してあげられない」とつづる。  

 

全がん連の天野慎介理事長は、「近年、長く高額な薬を飲み続けることを前提とした治療が増えている。こうした治療は続けなければ長期生存がかなわない。

高額療養費が引き上げられれば、患者への影響は甚大で、生活が成り立たなくなったり、治療をやめたりするケースが出てくるおそれがある」と話す。

全がん連は昨年末、負担上限額引き上げの軽減や影響の緩和策を求める要望書を厚生労働相らに提出。

アンケートも今後、厚労相に提出予定だという。

配信記事より転載


命つなぐガリガリ君 終末期患者に食の喜びー医療現場で注目されるカップタイプ

2024-12-17 16:41:55 | がん闘病

     医療現場などで注目されている「ガリガリ君カップタイプ」

 

命つなぐガリガリ君 終末期患者に食の喜び 医療現場で注目されるカップタイプ 

緩和ケア患者に、食の喜びを―。

赤城乳業(本社・深谷市)の人気アイスキャンディー「ガリガリ君」のカップタイプが医療現場で注目されている。

ガリガリ君ならではの歯応えを生む細かな氷片が緩やかに溶け、乾いた口中を潤し血糖値も上げる。

嚥下(えんげ)機能の衰えから経口摂取が難しくなる終末期。自らが握るスプーンで再び口から味わう食事として、患者の心と生きる意欲を支えている。

 

「どんなに体調が悪くても喉を通る」病院や介護現場では季節を問わず圧倒的な支持

県立循環器・呼吸器病センター(熊谷市、池谷朋彦病院長)の一角に、植栽豊かなウッドデッキを配した緩和ケア患者を受け入れる病棟がある。

ベッドのテーブルに置かれているのは、カップのガリガリ君。

緩和ケア認定看護師の大久保敦子さんは「終末期の患者さんが『自分の手で、残さずにおいしく食べられたよ』と

涙ながらに喜ぶ姿は、何度目にしてもうれしい」と明かす。「ここでのガリガリ君はおやつではなく、命をつなぐ“食事”なんです」

 

学会が表彰

夏場に味わう氷菓のイメージが強いガリガリ君だが、病院や介護現場では季節を問わず「どんなに体調が悪くても喉を通る」など圧倒的な支持を集める。

各地の医師が寄せた「生活の質(QOL)の維持向上に多大な貢献」の声を受け、2019年には日本緩和医療学会が「最優秀緩和ケア食の維持賞」で表彰。

ガリガリ君に感謝状を贈呈した。

肺がん患者が多い同センターもQOLの向上に力を注いでいる。楽しさの大きな部分を占めるのは食事。

しかし、患者は病状が進むにつれ飲み込む力が弱り、急激に食欲を失う。ショックのあまり、「もういいよ」と、自暴自棄になってしまうケースも。

口の中が乾燥すると、水分を飲み込む際にむせることが増える。患者は氷片やかき氷などを求めるが、市販の通常サイズでは量が多すぎて食べきれない。

同センター栄養部長の萬羽知子さんと管理栄養士の関根清美さんは、「溶けてしまった」と肩を落とす患者のために模索を重ね、

少量サイズの「ガリガリ君カップタイプ」(60ミリリットル)と出合う。

     

     緩和ケア患者向けメニューに取り入れた経緯を話す栄養部長の萬羽さん(左)と管理栄養士の関根さん=熊谷市の県立循環器・呼吸器病センター

 

患者の家族から感謝

小ぶりなカップの中身は、バータイプのようにコーティングされていない、わずかな力でもすくえるシャリシャリのかき氷。

ガリガリ君独自の、細かな氷片を感じる食べ応えはそのままだ。硬さや量を工夫し、給食のデザートなど業務用として製造されている。

2人は「きっと、患者さんに喜んでもらえる」と、17年にメニューへ取り入れた。

「ガリガリ君、ありがとう」。闘病を見守る患者の家族からは感謝の言葉とともに「お店で気軽に買えたら」と望む声も届く。

 

※『埼玉新聞  postDizital』 2024/12/10より転載


がん治療の現場に異変、「医師不足で手術待ち数カ月」の恐怖シナリオ

2024-11-27 17:26:53 | がん闘病

    

       NHK NEWS WEBより転用

 

日本各地で深刻化している医師不足。しかし、日本国内の医師数は増え続けている。いったい何が起きているのか。

『週刊東洋経済』11月30日号の第1特集は「医者・医学部 崖っぷち」だ。

医師不足をはじめとした診療現場を取り巻く現実、その一方で盛り上がりを見せる美容医療、さらに医学部の最新事情を取り上げる。