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福田ますみ「でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相」

2007-02-26 21:58:16 | 読書日記
福田ますみ「でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相」

平成15年6月、福岡県のある小学校教師による生徒へのいじめが、新聞で報道された。
そのいじめの内容とは。。。

・アメリカ人の血を引く生徒に対し、「血が穢れている」という言葉を浴びせ、精神的なショックを与えた
・日常的に暴力・虐待を行った。生徒は出血をするなど、さまざまな外傷を受けた
・虐待によって、生徒はPTSD(心的外傷後ストレス障害)になった。生徒は教師の姿を目にしただけで、嘔吐・腹痛・精神不安定となった
・教師は生徒に自殺を強要した

新聞や雑誌などでセンセーショナルに報道されたこの事件、私も記憶に残っている。
当時は「極悪非道な教師もいるものだな」と思っていたのだが、先日読んだ週刊誌にたまたまこの著書が紹介されていて、先週末に購入し、先ほど読み終えた。
読後感は、タイトルどおり、事件はまさに「でっちあげ」だ。

虚言癖を持つ両親が、学校に執拗に「苛め」を訴えかける。学校側は訴えを調べもせずに謝罪を繰り返す。両親の要求はエスカレートし、教師はついに停職に追い込まれる。しかし事件は沈静化せず、全国紙にも取り上げられ、教師は「殺人教師」に仕立て上げられる。そしてついには民事訴訟となる。

教師本人は体罰もいじめも虐待も行っていないにもかかわらず、自分が極悪人として世間に認識されていくというのは、まさに悪夢である。
大変気の毒に思うけど、事実よりも謝罪して丸く治めようとする傾向の強い日本らしい事件かもしれない。

ところが、法廷で次々と原告側の主張の嘘が明らかになってくる。
原告側の化けの皮が次々とはがれていく公判の箇所は、読んでいて痛快でもある。

事件は、朝日新聞が火をつけ、週刊文春と西日本新聞が油を注いだ。
著書には、記者の実名も記述してある。裏も取らずに報道する姿勢はいただけない。

それとこの本を読んでいると、被害者が一方的に騒ぎ、内容の検証もせずにとにかく謝罪と賠償を政府に声高に要求する-歴史認識論争の報道と同じ構図のように思えた。

最後に著者の言葉を引用したい。

子供は善、教師は悪という単純な二元論的思考に凝り固まった人権派弁護士、保護者の無理難題を拒否できない学校現場や教育委員会、軽い体罰でもすぐに騒いで教師を悪者にするマスコミ、弁護士の話を鵜呑みにして、かわいそうな被害者を救うヒロイズムに酔った精神科医。そして、クレーマーと化した保護者。
結局、彼らが寄ってたかって川上(教師)を、"史上最悪の殺人教師"にデッチ上げたというのが真相であろう

原告側に、人権派弁護士が550人もついたというのはびっくり。
みっともない^^;

世田谷一家殺人事件―侵入者たちの告白

2007-02-22 22:21:06 | 読書日記
世田谷一家殺人事件―侵入者たちの告白

たまには読書日記。
一年くらい前に読んだこの本。読む前はかなり興味深々だったけど、
ページをめくるにつれ、なんか違和感を覚えた
犯人に会って、直接聞いた話を核に物語りは展開するのだが、
よくもまあ犯行の内容をこうもペラペラしゃべるものだなあという
不自然さが読んでいくとどんどん強くなっていく。

で、情報提供してくれる刑事が現れたり、犯人を知っている人物が現れて、
著者に会わせてくれたりと、三文小説よりもひどい支離滅裂な展開。

読後感は、「この本、信用できん」。

最近知ったのだが、週刊朝日にこの本の検証記事が載っていた。
それによると、事実関係がめちゃくちゃなうえ、しゃべったこともないことを本に書かれ、遺族も困惑しているとのことだった。
もともと持ち込みの原稿で、初めの出版社は裏づけのないことに危うさを感じ、
出版を断ったとか。
で、結局、草思社で出版された。
当の編集長は、週刊朝日の「この本。怪しいんじゃないの?」という取材に対し、
著者のデータを信頼して、出版したとのこと。

売れればなんでもいいんだね、出版業界って。。

『ダ・ヴィンチ・コード』を読んだ

2007-01-18 19:41:16 | 読書日記
噂の『ダ・ヴィンチ・コード』を読んだ。

キリスト教の発祥と歴史、教会の説く教義と事実(らしきもの)の差、
それらを絡めて展開される謎解き話。

謎については大変神秘的で興味を引かれた。キリスト教徒ではない
私でさえも、いろいろ調べてみたいと思ったくらいだ。

しかし小説・読み物としては、出来が悪いような気がする。
前半は宗教論と解説が延々と続き、後半は謎解き話。
ストーリー展開も陳腐だし、仕掛けもあまりないし、読んでいてワクワクはしない。

個人的には、小説としてではなく、研究書みたいな形式で発売されたら良かったのにと思う。
内容の正確性・妥当性については横においておくとしても、一つの説として読む限りは大変面白かった。宗教論と小説とをミックスさせたことで、非キリスト教徒でも手軽に読むことができた。

登場人物が少なく、また彼らの心理描写が驚くほど少ないのは、小説としての完成度よりも、「学説」らしさを強調したことが理由かもしれない。

続編らしき作品もでているので、おそらく読んでしまうと思う

雪月夜

2006-10-21 12:23:22 | 読書日記
先日、馳星周の『雪月夜』を読んだ。
感想は、馳ばりの暗黒小説といういつもの思いと
根室ってそんなに陰鬱とした場所なの?という疑問を覚えた。
作品はフィクションなんだけど、主人公達の根室に対する思いがこれまた
辛辣。

不夜城では新宿
マンゴーレインではタイ
ダークムーンはカナダ
雪月夜では根室

それぞれの作品で、それぞれの街の負のイメージを強調しているので、
馳の本は「地球の歩き方」の暗黒版といってもいいかもしれない。
根室には行きたくないと思ってしまう読者がいるかも。

なんだかんだ言って、馳の作品は好きですが。

散るぞ悲しき

2006-09-28 22:31:37 | 読書日記
散るぞ悲しき

ハリウッドで映画化されると言うことで、最近話題の硫黄島。
その硫黄島の防衛司令官だった栗林忠道中将を描いたノンフィクション作品です。

水不足に苦しみ、援護も補給も途絶えた太平洋の孤島で、いかに戦うべきか。
硫黄島を防衛するにあたり、栗林が考えていたことは、以下の2点でした。
・硫黄島を死守することで、日本全土が絨毯爆撃の圏内にはいらないようにする
・硫黄島を死守することで、アメリカの厭戦気分を高め、講和への道を促進する

しかし結局は、日本は大空襲の被害を受け、さらに講和どころか一億総玉砕の破滅への道を選択するようになります。

合理主義者でありアメリカの国力の強大さを実感している栗林、さらには部下にも家族にも優しい栗林が、多くの部下を死なせることになる必敗の戦を指導しなければならないということは、なんと残酷なことでしょう。

栗林は現実に即した戦略・戦術を駆使し、アメリカ軍と壮絶な殺し合いを繰り広げます。

戦争の悲惨さとともに、この国を守ろうと、命がけで戦い抜いた多くの日本人がいたということをあらためて認識させられました。

国の為重きつとめを果たし得て 矢弾尽き果て散るぞ悲しき
 栗林忠道

精魂を込め戦ひし人 未だ地下に眠りて島は悲しき
 天皇陛下 御製