地方史研究協議会へ投稿していた標記の記事を掲載する『地方史研究』第430号が完成し発行されました。掲載頁は130~132です。
本記事で案内した新たな編著書(岩田書院、2024年1月)は元々、石川県を中心に日本海沿岸地域の歴史研究に寄与しつづけた編者見瀬和雄氏の古希を祝おうと、編者に学恩を受けた研究者たちが企画していたものです。しかし、完成の前に編者が逝去したため急遽、編者の追悼論集へとかたちを変えて刊行したといいます。江戸時代加賀藩領の社会を中心としつつ、出羽・越後・越前国域も対象に入れながら、中近世日本海沿岸地域史の研究をめぐる議論を発展させようとする論文21本が収録されました。
この記事を投稿した直接の動機は、収録論文に、私の専門である江戸時代の情報史をテーマとしたものが含まれていることにあります。
具体的には、以下の2本です。
堀井美里「幕末期の日本海海運業者と政治情報活動」
宮下和幸「慶応期将軍進発後の情勢と加賀藩京都詰—聞番の情報収集と周旋活動—」
いずれも、幕末期を対象としたものです。以前までにいかなる情報活動のありようがかたち作られそれがいかに幕末へとつながったのか、が今後の課題点に感じるところですが、興味深く読ませていただきました。