鴨頭の掲示板

日本史学関係の個人的な備忘録として使用します。

【業績】 鴨頭俊宏《調査と探求》「萩藩政における役職名『八幡改方』と機関名『八幡方』」『山口県地方史研究』第116号

2016年11月19日 03時05分09秒 | いち研究者としての日記

標記の小論文を掲載する山口県地方史学会『山口県地方史研究』第116号(2016年10月)が完成して、自宅にも届きました。

江戸時代のいわゆる「鎖国」下異国船対応をめぐる幕藩関係については、2000年代に入って以降、中央の幕閣と地方の藩庁とのあいだに存在するネットワークが注目され、議論が深められてきました。具体的には、江戸・大坂などの留守居や長崎の警備・聞役がキーワードになっていたといえましょう。

こうした研究動向に対し、実際異国船に対応した地域社会に途中藩庁を経由しない廻状ルートが存在することに着目し、幕閣―藩庁の二者関係に“地域社会の現場”を加えた計三者間の関係の視点で、ネットワーク像を見なおすべきだというのが私の立場です。

本稿は、萩藩(長州藩)領の伊崎(現山口県下関市)に立地した「赤間関在番所」が以上に述べた研究で恰好の素材だとして、その関連史料に出てくる用語の注意点を解説したものです。会誌でわずか4頁分の分量にすぎませんけど、とにかく「赤間関在番所」をめぐり学界に提起しておきたかったことはできました。

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【業績】 鴨頭俊宏《書評》「和田実著『享保十四年、象、江戸へゆく』」『芸備地方史研究』第303号(2016年)

2016年11月07日 22時31分15秒 | いち研究者としての日記

芸備地方史研究会へ投稿していた標記単著(岩田書院、2015年2月、A5判ソフトカバー、126頁、1,800円+税)の書評(16~22頁)を掲載する会誌が完成し発行されました。

本書は、中国清王朝の商人の手配によって現在のベトナム国域から長崎へ移され、享保14年(1729)、江戸幕府に献上された象1頭の国内通行を対象としました。そして、経路上にある各宿の役人などが情報の収集・交換をしながらいかに迎接の準備をしたのかを、平易な文章で概説したものです。

江戸時代において、長崎から山陽道など街道をとおりつつ江戸まで移送された象は、その1件のみ。しかも、1週間のうちに通過したものだから近世芸備地方史研究の素材としてはなかなか取り上げられてこなかった、というのが実情です。こうした研究動向に対し、幕府直轄街道の1つ東海道の現愛知県域を対象フィールドにしつつ公用通行をめぐる情報ネットワークを解析された著者が一石を投じてくれたとして、このたび投稿させていただきました。

ぜひご味読ください。

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