言語楼-B級「高等遊民」の戯言

日本語を中心に言葉の周辺を“ペンション族”が散策する。

生まれて初めて見た竹林(06/06/15)

2006-06-15 00:30:57 | 言葉の遊歩道
 霧の日が多く日照時間の少ない所で生まれ育ったせいだけではないが、今にして悔やまれるのは草木についての常識を身につけてこなかったことだ。成人するまで稲穂すら見たことがなかった。
 松竹梅のうち、自然の状態の姿を知っていたのは松だけ。その松も白砂青松のイメージからかけ離れたエゾマツ、トドマツの類だ。竹は缶詰の筍、梅にいたっては梅干しぐらいしか思いつかないほどだった。

 梅の名所といえば水戸の偕楽園。三十余年前の夏、新聞記者として水戸に赴任してすぐ偕楽園に行ってみた。むろん梅の花の時季ではなかったので特段見るべきものを期待していたわけではない。新任地の名所見物がてら管内の土地勘を養う一助になれば、という軽い気持ちからだった。ところが、そこで一種のカルチャーショックを受けた。園内の一角に広がる竹林を見た時だ。
 林立する竹の間を涼しげな風がサワサワと吹き抜けていく。同じ偕楽園の中なのに他の場所とは異次元の別世界に一人いるような感じがして、竹取物語のかぐや姫が生まれたのは、こんな所なのだ、と突拍子もないことを連想した。なにしろ、その「別世界」こそ生まれて初めて見る竹林だったのだ。

 「マイ・ブログ」立ち上げのトップページのデザインに、数あるテンプレートの中から竹の図柄を借用した所以である。

 竹にまつわる言葉の話題は次回にしよう。