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カルトvsオタクのハルマゲドン/虚業BLOG

オタクと政治に関するBLOG

総務省12p

2007年06月21日 00時15分12秒 | Weblog
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本アプローチは、ICTネットワークをコンテンツ配信・商取引・公共サービス提供基盤として利用する上で必須となっているプラットフォーム機能が、伝送サービス・伝送インフラと同様、極めて高い公共性を有しているとの認識から、規律の必要性を検討するものである。このため、「放送プラットフォーム規律」に加え、ユーザー認証機能、セキュリティ機能などについて、誰もが公平に利用すべき、あるいはそれがないと不測の損害を利用者が被るおそれがある共通機能と認められる場合には、技術革新のインセンティブを阻害するおそれがあることに配慮しつつ個々に規律の必要性を検討すべきである。
○情報流通のボトルネックを排除するため、寡占的なプラットフォーム機能のオープン
性を確保するアプローチ
現在の通信法制では、伝送サービスに関し、公正競争を促進する観点から市場支配力濫用規制(指定電気通信設備制度)を導入している。この趣旨としては、①電気通信分野には既にボトルネック設備の設置、市場シェア等に起因して市場支配力を有する事業者が存在するため競争が進みにくいこと、②ネットワーク産業としての外部性が存在すること、③市場の変化・技術革新の速度が速いこと、が挙げられる。
プラットフォーム機能についても、一般的に「規模の経済性」や「ネットワーク外部性」による独占性・寡占性が生じやすいことを勘案し、市場支配力の濫用を防止し、情報の自由な流通を確保する観点から規律の導入の必要性を検討する必要がある。具体的には、①ネットワーク外部性が強く働いている、②当該ネットワーク外部性が、事実上、競争者による技術革新にとって対抗・凌駕不能、③プラットフォーム市場における独占・寡占性の高まりに伴う市場支配力の行使が観察される、④情報の自由な流通など社会・公共的観点からプラットフォームのオープン化について一定の要請がある、という要件に合致する場合には、一定の規律を適用するという手法が考えられる。その際、規制水準については、プラットフォームのオープン化等に伴う厚生を分析し、イノベーションの促進や技術開発インセンティブの程度等を勘案して決定することが適当である。
本アプローチでは、①市場の変化・技術革新の速度に対応し機動的に必要な規律を適用できる反面、特に自由競争に委ねられているプラットフォーム機能については、「ネットワーク外部性」がどの範囲で発生するか分析が必要であること、②独占性・寡占性を認定するための市場範囲の画定方法が未定であること、③国際競争力の視点からはプラットフォームの開放は事業戦略の根幹であり、安易な規制はイノベーションを制約するおそれがあること、④技術革新により一定期間経過後新たなプラットフォームが登場し、市場構造が一変する蓋然性が高いこと(シュムペータ型競争*6)、⑤独占禁止法の事後規制により対応できる範囲があることなど、慎重に考慮すべき側面があり、上記の各点について実証研究等により厳密に評価し、規律の必要性を慎重に検討する必要がある。
なお、プラットフォーム機能は、伝送インフラとともに伝送サービスの一部として提供される場合があり、その場合、伝送サービスにおける規律をプラットフォーム機能まで適用することが考えられる。

総務省11p

2007年06月21日 00時14分45秒 | Weblog
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4 プラットフォームに関する法体系のあり方
(1)基本的な考え方
現在、ICTネットワークは、「通信」「放送」という単一サービス利用から「コンテンツ配信・商取引・公的サービス提供基盤」に拡大しつつある。このようなICTネットワークの役割の変化を可能にする、「物理的な電気通信設備と連携して多様な事業者間や事業者とユーザーの間を仲介し、利便性の高い安全・安心なコンテンツ配信・商取引利用や公的サービス提供の実現を目的とした、サービスポータル機能や、ネットワーク及びそれと連携する端末上のソフトウェア機能」は、「プラットフォーム機能」と定義づけられる。
インターネット(開放)網においては、伝送サービス提供事業者がオープンアクセス等の規制を受ける一方で、通信インフラをコンテンツ配信・商取引・公的サービス提供基盤として運用するために必須となるこれらプラットフォーム機能について、「ネットワーク外部性」等により周辺市場を含めた寡占化傾向が見受けられる。このため、「プラットフォーム機能」が新たなボトルネックを形成し、事業者の自由で健全な経済活動だけでなく、情報の自由な流通をも阻害するおそれがある*5。
ユビキタスネット社会の健全な形成という観点から、このようなネットワークの機能・構造の変化を踏まえ、ネットワークにおける事業者間の自由かつ公正な競争を促進するため、必要な範囲でプラットフォーム機能に対しても、例えばサービス提供における不当な差別的取扱いの禁止など、オープン性を確保するための規律を、その必要性も含めて検討することが必要である。ただし、プラットフォーム機能については、技術革新に対応して最も変化の激しい分野であり、一定の規律を適用する場合にもその必要性について不断に見直すことが求められる。
(2)プラットフォーム規律のアプローチ
プラットフォーム規律については、以下の2つのアプローチから、具体的な制度設計の可能性について検討を進めるのが適当である。
○プラットフォーム機能の社会性・公共性に着目し、利用者保護の観点からオープン性を確保するアプローチ
本件アプローチは、高度な社会性・公共性のあるプラットフォーム機能を個別に定義し、利用者保護の観点から必要な規律を検討するものである。例えば、衛星放送による有料サービスについては、現在受信制御業務や個々の衛星放送事業者と視聴者との間の契約の代行業務等が、いわゆる衛星プラットフォーム事業者により提供されているが、こうした事業者の衛星放送分野における影響力が増大している中で受信者の保護を確保するために一定の規律を課すことなどが考えられる(本年4月、国会に提出された放送法改正案においては、こうした業務を行う事業者を「有料放送管理事業者」として制度化し、事前届出やその業務の適正を確保するための規律が定められている。)。

総務省10p

2007年06月21日 00時14分18秒 | Weblog
**10p
さらに、「一般メディアサービス」においても一律にコンテンツ規律を適用するのではなく、前述のメルクマールとして社会的機能・影響力を評価し、類型化する。その上で、現在のCS放送や有線テレビジョン放送に相当すると認められるコンテンツ配信サービスは、現行のコンテンツ規律のうち番組編集準則(適用される準則の内容については検討の余地がある。)・広告識別など適正内容の確保に関する規律を適用する一方、その他については、より緩やかなコンテンツ規律の適用にとどめることを検討する。その際、音声・データについては、デジタルネットワーク上では「公然通信」とその影響力において大きな違いはない場合には、制度上の扱いについて「公然通信」と一元化することを検討すべきである。
なお、自らのサービスの信用が保証されることを望む事業者が規律を選択できる仕組みについて、利用者保護の観点から有用との意見がある一方、ニーズの有無や運用上の問題があるとの指摘もあり、引き続き議論することが適当である。
(3)「公然通信」
「公然通信」に係るコンテンツに関しては、現在は「通信の秘密保護」を踏まえ、コンテンツ規律について「プロバイダ責任制限法」などを除き制度化していない。しかし、インターネットのメディア化の急速な進展や、有害コンテンツが社会問題化している現状を踏まえ、「通信の秘密保護」の根拠は匿名による表現の自由の確保とプライバシーの保護(狭義の通信の秘密)にあるとの視点から、保護の範囲と程度を捉え直すべきである。その上で、有害コンテンツを含め、表現の自由と公共の福祉の両立を確保する観点から、必要最小限の規律を制度化することが適当である。
具体的には、「公然通信」に係るコンテンツ流通に関して、各種ガイドラインやモデル約款等が策定・運用されていることを踏まえ、違法・有害コンテンツ流通に係る最低限の配慮事項として、関係者全般が遵守すべき「共通ルール」の基本部分を規定し、ISPや業界団体による削除やレイティング設定等の対応指針を作成する際の法的根拠とすべきである。「プロバイダ責任制限法」などICT利用環境整備関係法制度についても、可能な限り一元化すべきである。
その際、特に有害コンテンツ流通について、「自殺の方法」や「爆弾の作り方」、「ポルノ」など、違法とは必ずしも分類し難い情報ではあるが、青少年など特定利用者層に対する関係では一定の規制の必要性があるものに関しては、有害図書防止条例などの手法を参考にしつつ、いわゆる「ゾーニング」規制(特定の行為等に対して一定のゾーン(範囲や利用方法)に限り規制することを許容する規律手法)を導入することにより、広汎な内容規制の適用を回避しつつコンテンツ流通の健全性を確保することが可能となるため、その導入の適否を検討する必要がある。

総務省9p

2007年06月21日 00時13分55秒 | Weblog
**9p
アの区別等が考えられるが、メルクマールの公正性・客観性を確保するため、具体的なメルクマールについて、関係者の意見を幅広く聴取しつつ今後さらに検討を進め、表現の自由の確保に十全に配慮したものとする必要がある。
ア 「特別メディアサービス」
「特別メディアサービス」は、言論報道機関として健全な民主主義の発達に最も重要な強い世論形成機能を有し、地域住民の生活に必要不可欠な情報を総合的にあまねく提供する一方、災害など非常時における主要な情報伝達手段としての機能など特別の社会的役割を担うコンテンツ配信として位置づけられる。このような役割は、現在は主として地上テレビジョン放送が担っており、このため、現在の地上テレビジョン放送により提供されるコンテンツ配信を基本として「特別メディアサービス」の具体的範囲や規律内容の構成を検討する必要がある。
「特別メディアサービス」に関する具体的な制度設計に当たっては、以下の点に留意することが求められる。
○ 「特別メディアサービス」に適用されるコンテンツ規律は、現在の地上テレビジョン放送に対する規律を原則維持すること。
○ 放送の多元性・多様性・地域性の確保を目的とするマスメディア集中排除原則を基本的に維持すること。
○ 社会的機能・影響力に着目した「特別メディアサービス」の適合性審査については、現在の無線局免許ではなく、コンテンツ配信法制に基づく制度に移行するに際し、民主主義の発達に果たすべき役割や非常時の情報伝達、地域性の確保など、特別メディアサービスとして求められる社会的機能が何かを明確化すること。
イ 「一般メディアサービス」
「一般メディアサービス」の具体的な範囲については、現在の衛星放送(CS)や有線テレビジョン放送とともに、従来「通信コンテンツ」とされていたインターネット上で提供される映像配信サービスの中にも、専用端末を用いテレビと同様に容易なアクセスを実現するなど、視聴者からみて現在の放送と同等の機能を有するものが現れつつあることなどを踏まえ、現在の放送に類比可能なコンテンツ配信サービスのうち、事業性があり、かつ一定の社会的機能・影響力を有するものについて対象とする方向で検討すべきである。
具体的な規律内容については、災害放送など特別な社会的役割に係る義務の適用を緩和し、「マスメディア集中排除原則」についても最小限度の規律を課す方向で検討すべきである。

総務省8p

2007年06月21日 00時13分26秒 | Weblog
**8p
ールを自律原則とともに保障し、表現の自由を確保する」という理念を堅持しつつ、情報の自由な流通を確保する観点から、社会的機能及び社会的影響力に重点を置いて、技術中立的にコンテンツ規律体系を一元的に再構築し、安全・安心なユビキタスネット社会の構築に向けた環境整備を図ることが適当である。
具体的には、「公然性を有する通信」のうち現在の放送と類比可能なコンテンツ配信サービスについて、現在の放送を含め「メディアサービス(仮称)」として一体化し規律することとし、その他の「公然性を有する通信」を「公然通信(仮称)」として違法・有害コンテンツ流通対応を制度化することを検討すべきである。
なお、このような制度の見直しに関連して、著作権法の強制許諾制度の特例措置など、放送ないし有線放送を対象として設けられている制度も見直しが必要となることにも留意が必要である。また、インターネット上の情報流通に関しては、特定人間の通信についても迷惑メール等の問題があり、ユビキタスネット社会の基盤としてのネットワークの安全性・信頼性確保の観点から対応すべき制度的課題についても検討が必要である。
(2)メディアコンテンツ規律の再構成
「メディアサービス」については、EUと同様に技術中立性を基本として、現行放送法制を基軸に、対象をインターネット上の映像配信まで含め、社会的機能・影響力に重点を置いて、コンテンツ規律を再構成すべきである。
規律の根拠を主として社会的機能・社会的影響力に置くという考え方に関しては、学説においても、放送の社会的機能・影響力に着目して規律を正当化する議論が通説的見解となりつつある。現行の放送法制が、コンテンツ規律の実効性確保を原則として放送事業者の自律に委ね、表現の自由の確保に対し慎重に配慮した枠組みとなっていることも踏まえれば、このような考え方は憲法上問題がないと考えられる。また、インターネット上の映像コンテンツ配信については、EUにおいてもVODやダウンロード型サービスを含め、既にその方向で検討が進められている。
基本的な再構成のあり方としては、「メディアサービス」について、コンテンツの社会的機能・影響力に基づき類型化した上で、その社会的機能・影響力の程度に応じて、現行の放送規制を緩和する方向で「階段状」に整理すべきである。
その際、特別な社会的役割を担う「メディアサービス」は、「特別メディアサービス(仮称)」として、現在の放送のコンテンツ規律を維持し、その他の「メディアサービス」(「一般メディアサービス(仮称)」)については規律を緩和する方向で検討すべきである。
なお、類型化の具体的なメルクマールとしては、①映像/音声/データといったコンテンツの種別、②端末によるアクセスの容易性、③視聴者数、④リニア・ノンリニ

総務省7p

2007年06月21日 00時13分03秒 | Weblog
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3 コンテンツに関する法体系のあり方
(1)基本的な考え方
現行法制では、概念的には、放送は通信の「部分概念」と位置づけられるが、コンテンツ規律においては、通信(インターネット)については、法律レベルの包括的な規律は(情報削除対応などを除き)存在しない一方、放送については「放送法」をはじめとする放送法制において包括的に規律されている。これは、現行法制において、通信に対して「通信の秘密保護」を踏まえ、制度上コンテンツへの関与を原則として排除しているのに対し、放送は送り手及び受け手に係る「表現の自由確保」の観点から公共の福祉との整合性を図っていることによる*4。
「完全デジタル元年」には、さらにインターネットのメディア化・インフラ化が進展すると想定され、そこでは放送事業者のみならず、ICTネットワークにおける情報流通を担う当事者は等しく「安全・安心なネットワーク社会」構築の責任を有するべきである。その意味では、既存の放送事業者についてコンテンツ規律を課す一方、インターネット上のコンテンツ配信については、公然性を有し、放送同様電子メディアとして強力な伝幡力がある場合であっても、「通信」としてコンテンツ規律を制度上課されていないことは、違法・有害コンテンツ流通の拡大を招くなど、公正かつ適切な情報流通を損なうおそれがある。
その際、通信コンテンツについても、「公然性」を有するものについては「通信による表現の自由の確保」の問題と捉えるべきである。ただし、プライバシー保護としての「通信の秘密保護」の意義は、憲法に定められる基本的人権としての重要性を依然有することに留意が必要である。
通信コンテンツと憲法上の「表現の自由」との関係では、表現活動の価値をも勘案した衡量の結果として違法として分類されたコンテンツの流通は、表現の自由の保障の範囲外であり、規律することに問題はない。また、有害コンテンツ流通に対する規制も、有害図書に関する青少年保護条例による認定基準が最高裁で合憲とされていることを踏まえれば、規律の対象とする余地はあると考えられる。
一方で、放送は、多様な情報を迅速に提供する有用な手段として現代社会において特別の役割を担ってきた。具体的には、健全な民主主義の発達に資する言論報道機関としての機能、地域住民の生活に必要不可欠な情報提供や、多様化する国民のニーズに応じた豊かで良質な各種番組の提供など、様々な公共的役割が挙げられる。技術革新により伝統的な「放送」概念が変容しつつあるとしても、このような役割自体の社会的重要性が失われるわけではなく、その意味において「放送」の規律の枠組みはメディアコンテンツ規律の基準として成り立ちうると考えられる。
以上を踏まえ、成熟した規律体系である放送法制を基本として、「必要最低限のル

総務省6p

2007年06月21日 00時12分37秒 | Weblog
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このため、コンテンツ面では社会的影響力に応じてメディアとして最低限維持すべき規律を課す一方、サービス面ではレイヤー間・レイヤー内での公正競争を重視して自由で公平・透明な事業活動を促進するための規律を適用する、いわば技術中立的でサービス指向型の法体系への移行を図るのが適当である。このようなレイヤー型の法体系は、EUにおいて、域内市場統合を進めるため、歴史的・文化的に異なる加盟国間の調整を図りつつ通信・放送法制の共通の枠組みを構築する観点から指令化が進んできているが、加盟各国レベルでは国内法制上の具体的な対応を模索中であり、我が国が国際的な対応を先導する観点からも、レイヤー型の法体系を目指すべきである。
以上を踏まえ、現在の我が国の通信・放送法体系を、個々のコンテンツやサービスのネットワークにおける情報流通の中での位置づけ・役割の違いに応じて規律することとする。さらに、レイヤー内の規律を可能な限り簡素化するとともに、レイヤー間の規律の明確化を図ることにより、全体としてネットワーク及び情報流通のオープン性・普遍性を確保する世界最先端の法体系に転換することが適当である。
具体的には、現在のいわゆる「縦割り規律」に基づく通信・放送法体系を抜本的に見直し、情報通信を、機能や求められる役割に基づき、情報を作成・編集・表現した形態である「コンテンツ」、情報の円滑な流通を媒介する「プラットフォーム」、情報を電磁的手段により送り、伝える「伝送インフラ」の3つのレイヤーを基軸として分類し、それぞれの規律の内容について検討する。その上で、各レイヤーの規律の基本理念を踏まえ、それぞれのレイヤー毎に(必要な場合レイヤー間も含め)できる限り法律を集約し、全体としても法技術的に可能な限り大括り化し、「情報通信法(仮称)」として一本化を目指すべきである。

総務省5p

2007年06月21日 00時12分04秒 | Weblog
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イ ネットワークの国際化への先駆的な取組
情報流通のボーダレス化が益々本格化している状況において、通信・放送法制における規律の在り方も、国際的な整合性確保を重視しなければならない。
しかしながら、「サイバー犯罪に関する条約」や知的財産権保護など部分的に国際的合意が形成されている分野はあるものの、総合的・包括的な世界共通のルール形成はまだ途上にあり、かつ通信・放送法制は経済規律的側面のみならず社会規律的側面を有し、後者の点では各国の歴史的・文化的背景も考慮する必要があるため、早期に合意形成に至る状況にはない。
このため、「完全デジタル元年」を目途にした法制においては、諸外国の融合・連携問題に対する対応動向を踏まえつつ、少なくとも国家として利用者保護等の観点から最低限必要と考えられる規律を責任をもって整備すべきであり、その意味でも我が国の取組を先駆的なものとすることが必要である。
また、我が国において先導的な対応を進めることが、イノベーションの促進を通じて我が国全体の国際競争力の強化をもたらすとの視点も重要である。
このような観点から、我が国においてユビキタスネット時代を正面に見据えた世界最先端の通信・放送法制度を構築することが求められる。
(3)具体的枠組み~レイヤー型法体系への転換・規律の集約化
融合・連携に対する諸外国の対応は、①既存メディア別で縦割りの規律の枠組みを維持しつつ、個々の問題への対応を図る米国型、②規律をコンテンツやサービスで横割りに大別し、類似コンテンツ・サービスについては用いられている技術に関係なく同じ規律を適用するという技術中立性を目指すEU型に二分される。
通信・放送の融合・連携が進んだ背景には、ICT分野における急速な技術革新・激しい市場変化がある。伝送インフラのデジタル化やIPの広汎な普及により、伝送インフラやサービス間での共用が進展し、通信・放送の境界的サービスが発展するなかで、情報通信産業が、コンテンツや伝送インフラなどのレイヤー毎にマーケットが構築され、その中で事業者間の競争が行われる「横割り構造」に変化してきている。
また、レイヤーを超えた事業統合・連携が進展し、多様なビジネスが展開されつつある。さらに近年、コンテンツを効率的・効果的に伝送インフラで配信するためのプラットフォームの重要性が認識されつつある。良質のコンテンツを円滑に流通させ、また高度な伝送インフラを効率的・効果的に運用する視点からは、こういった産業構造の変化に即したレイヤー型法体系に転換することが、融合・連携に積極的に対応し、競争の促進を通じて情報通信産業におけるイノベーションの進展につながるものと考えられる。

総務省4p

2007年06月21日 00時11分35秒 | Weblog
**4p
2 通信・放送法制の抜本的再編の方向性
(1)ユビキタスネット社会を見通した検討の視点
2011年に向けて進展する全てのネットワークのデジタル化と並行して、現在急速に展開しつつある「ALL IP」化がさらに幅広いネットワーク、サービスに波及すると見込まれる。これにより、IPを通じて様々な通信用設備が統合されたボーダレスなネットワーク・インフラが形成され、そのインフラ上で政治・経済・社会その他人間のあらゆる活動が行われる社会が本格的に展開すると予想される。このため、法体系の検討に当たっては、ユビキタスネット社会の形成を促進し、ICTネットワークを介してあらゆる経済社会活動が安心、安全に行えるようにするため、制度上対応が求められる事項を洗い直し、抜本的に再構成する視点が求められる。
(2)基本的方向性
ア 「ユビキタスネット社会の中核法」としての理念の明確化
ユビキタスネット社会に相応しく、ICTネットワークを真の「イノベーション基盤」として機能させるためには、我が国の経済社会を規律する制度全般を見直す視点が重要である。
情報の自由な流通は、経済・社会のイノベーションの根本と位置づけられる。「表現の自由」や「通信の秘密」が基本的人権の最も重要な構成要素として、各国の憲法等において規定されているのも、その表れである。ユビキタスネット社会は、まさしく21世紀の経済社会を表象する概念であり、情報の自由な流通や、情報通信技術のあまねく享受という、いわば「情報権」*3は、新たな通信・放送法制の基本理念であるとともに、本来、未来志向の基本的人権の有り様として、重要な意義を有している。また、自由な意思に基づく多様な情報流通に加え、信頼性の高い安全な環境下での情報流通を確保することも重要である。従って、「情報の自由な流通」(通信・放送における表現の自由)、「すべての国民が情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会の実現」(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法第3条)及び「安全・安心なネットワーク社会の構築」を、通信・放送法制の基本理念として明確化すべきである。その上で、基本理念を実現するための保護法益として、「公正競争促進・利用者保護」、「事業、業務運営の適正性の確保」、「ICTイノベーションの促進」など、従来の通信・放送法制の個別保護法益を位置づける必要がある。

総務省3p

2007年06月21日 00時11分02秒 | Weblog
**3p
イ EUの動き
EUでは、伝送サービス・設備やそれに関連するサービス・設備については電子通信規制パッケージ、コンテンツ部分については、「国境なきテレビ指令」等により規律され、技術中立性*2を基本とするレイヤー型の法体系を目指している。
「融合」(Digital Convergence)は、EUでは主たる政策課題として位置づけられており、映像配信サービスの拡大に対する社会的規律のあり方が議論の焦点になっている。具体的には、「国境なきテレビ指令」について、コンテンツ規律の対象を「テレビ放送」から「視聴覚メディアサービス」に拡大し、公衆向けの映像配信サービスを従来型放送に代表されるリニアサービス(プロバイダが時間的なスケジュール編成を行う映像配信サービス)と、ビデオ・オン・デマンドサービスなどのノンリニアサービス(プロバイダがカタログを提示し、視聴者がその視聴時間を決定する映像配信サービス)に区分し、インターネット(開放網)映像配信を含め、伝送路を問わず社会的影響力に基づき規律する見直し(「視聴覚メディアサービス指令案」)が進行中である。
主なポイントとしては、①リニア・ノンリニアにかかわらずマスメディアとしての社会的影響力に着目して規律を適用(ただし私的な通信やコンテンツ配信が主目的でない場合は除外)、②インターネット上でのライブストリーミング、ウェブキャスト、ダウンロードコンテンツ配信も対象、③リニアサービスの前提となる「同時視聴」には、準同時視聴を含み、ユニキャスト型配信も含まれうると整理、などが挙げられ、これらの基本的枠組みについて本年5月にEU理事会・議会で政治的合意に達した。
また、昨年12月に、視聴覚メディアサービス・オンライン情報サービスを統合した「オンラインメディア」を対象とする「視聴覚と情報サービス産業の競争に係る青少年と人間の尊厳の保護及び反論権に関する勧告」が欧州議会と欧州理事会において正式に採択され、加盟国に対して、反論権等の国内法等への導入の検討とともに、行動準則(code of conduct)を政府機関その他関係者が共同で策定し、それに基づき青少年向け有害コンテンツの流通防止に関係者が協調して行動する枠組みの導入など、制度面を含む積極的な対応を促したところである。
他方、サービス・設備規律については、電子通信規制パッケージの見直しが進められており、本年7月の改正案提出を目指し関係者間の調整が進められている。昨年6月末に公表された文書では、周波数政策に関する技術・サービス中立性の確保、支配的事業者規制に関する対象市場の見直し、ドミナント事業者の構造分離、欧州委員会の権限強化などが検討対象となっている。