**12p
本アプローチは、ICTネットワークをコンテンツ配信・商取引・公共サービス提供基盤として利用する上で必須となっているプラットフォーム機能が、伝送サービス・伝送インフラと同様、極めて高い公共性を有しているとの認識から、規律の必要性を検討するものである。このため、「放送プラットフォーム規律」に加え、ユーザー認証機能、セキュリティ機能などについて、誰もが公平に利用すべき、あるいはそれがないと不測の損害を利用者が被るおそれがある共通機能と認められる場合には、技術革新のインセンティブを阻害するおそれがあることに配慮しつつ個々に規律の必要性を検討すべきである。
○情報流通のボトルネックを排除するため、寡占的なプラットフォーム機能のオープン
性を確保するアプローチ
現在の通信法制では、伝送サービスに関し、公正競争を促進する観点から市場支配力濫用規制(指定電気通信設備制度)を導入している。この趣旨としては、①電気通信分野には既にボトルネック設備の設置、市場シェア等に起因して市場支配力を有する事業者が存在するため競争が進みにくいこと、②ネットワーク産業としての外部性が存在すること、③市場の変化・技術革新の速度が速いこと、が挙げられる。
プラットフォーム機能についても、一般的に「規模の経済性」や「ネットワーク外部性」による独占性・寡占性が生じやすいことを勘案し、市場支配力の濫用を防止し、情報の自由な流通を確保する観点から規律の導入の必要性を検討する必要がある。具体的には、①ネットワーク外部性が強く働いている、②当該ネットワーク外部性が、事実上、競争者による技術革新にとって対抗・凌駕不能、③プラットフォーム市場における独占・寡占性の高まりに伴う市場支配力の行使が観察される、④情報の自由な流通など社会・公共的観点からプラットフォームのオープン化について一定の要請がある、という要件に合致する場合には、一定の規律を適用するという手法が考えられる。その際、規制水準については、プラットフォームのオープン化等に伴う厚生を分析し、イノベーションの促進や技術開発インセンティブの程度等を勘案して決定することが適当である。
本アプローチでは、①市場の変化・技術革新の速度に対応し機動的に必要な規律を適用できる反面、特に自由競争に委ねられているプラットフォーム機能については、「ネットワーク外部性」がどの範囲で発生するか分析が必要であること、②独占性・寡占性を認定するための市場範囲の画定方法が未定であること、③国際競争力の視点からはプラットフォームの開放は事業戦略の根幹であり、安易な規制はイノベーションを制約するおそれがあること、④技術革新により一定期間経過後新たなプラットフォームが登場し、市場構造が一変する蓋然性が高いこと(シュムペータ型競争*6)、⑤独占禁止法の事後規制により対応できる範囲があることなど、慎重に考慮すべき側面があり、上記の各点について実証研究等により厳密に評価し、規律の必要性を慎重に検討する必要がある。
なお、プラットフォーム機能は、伝送インフラとともに伝送サービスの一部として提供される場合があり、その場合、伝送サービスにおける規律をプラットフォーム機能まで適用することが考えられる。
本アプローチは、ICTネットワークをコンテンツ配信・商取引・公共サービス提供基盤として利用する上で必須となっているプラットフォーム機能が、伝送サービス・伝送インフラと同様、極めて高い公共性を有しているとの認識から、規律の必要性を検討するものである。このため、「放送プラットフォーム規律」に加え、ユーザー認証機能、セキュリティ機能などについて、誰もが公平に利用すべき、あるいはそれがないと不測の損害を利用者が被るおそれがある共通機能と認められる場合には、技術革新のインセンティブを阻害するおそれがあることに配慮しつつ個々に規律の必要性を検討すべきである。
○情報流通のボトルネックを排除するため、寡占的なプラットフォーム機能のオープン
性を確保するアプローチ
現在の通信法制では、伝送サービスに関し、公正競争を促進する観点から市場支配力濫用規制(指定電気通信設備制度)を導入している。この趣旨としては、①電気通信分野には既にボトルネック設備の設置、市場シェア等に起因して市場支配力を有する事業者が存在するため競争が進みにくいこと、②ネットワーク産業としての外部性が存在すること、③市場の変化・技術革新の速度が速いこと、が挙げられる。
プラットフォーム機能についても、一般的に「規模の経済性」や「ネットワーク外部性」による独占性・寡占性が生じやすいことを勘案し、市場支配力の濫用を防止し、情報の自由な流通を確保する観点から規律の導入の必要性を検討する必要がある。具体的には、①ネットワーク外部性が強く働いている、②当該ネットワーク外部性が、事実上、競争者による技術革新にとって対抗・凌駕不能、③プラットフォーム市場における独占・寡占性の高まりに伴う市場支配力の行使が観察される、④情報の自由な流通など社会・公共的観点からプラットフォームのオープン化について一定の要請がある、という要件に合致する場合には、一定の規律を適用するという手法が考えられる。その際、規制水準については、プラットフォームのオープン化等に伴う厚生を分析し、イノベーションの促進や技術開発インセンティブの程度等を勘案して決定することが適当である。
本アプローチでは、①市場の変化・技術革新の速度に対応し機動的に必要な規律を適用できる反面、特に自由競争に委ねられているプラットフォーム機能については、「ネットワーク外部性」がどの範囲で発生するか分析が必要であること、②独占性・寡占性を認定するための市場範囲の画定方法が未定であること、③国際競争力の視点からはプラットフォームの開放は事業戦略の根幹であり、安易な規制はイノベーションを制約するおそれがあること、④技術革新により一定期間経過後新たなプラットフォームが登場し、市場構造が一変する蓋然性が高いこと(シュムペータ型競争*6)、⑤独占禁止法の事後規制により対応できる範囲があることなど、慎重に考慮すべき側面があり、上記の各点について実証研究等により厳密に評価し、規律の必要性を慎重に検討する必要がある。
なお、プラットフォーム機能は、伝送インフラとともに伝送サービスの一部として提供される場合があり、その場合、伝送サービスにおける規律をプラットフォーム機能まで適用することが考えられる。